JP2017183650A - 太陽電池セル、太陽電池モジュール、太陽電池セルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】発電効率の低下を抑制しながら、抵抗損失を低減する技術を提供する。【解決手段】複数のセル接続配線材18は、光電変換層60の表面に配置され、かつ、光電変換層60の表面から隣接した他の太陽電池セル10の方向に延びる。複数のフィンガー電極52は、光電変換層60の表面に配置され、かつセル接続配線材18と同一の方向に延びる。複数の補助電極62は、フィンガー電極52とセル接続配線材18に交差するように配置され、セル接続配線材18の本数よりも多い。補助電極62の電気抵抗率は、フィンガー電極52の電気抵抗率よりも小さい。【選択図】図2
Description
本発明は、太陽電池セル、特に配線材が配置される太陽電池セル、太陽電池モジュール、太陽電池セルの製造方法に関する。
太陽電池モジュールでは、複数の太陽電池セルがインターコネクタにより直列に接続される。そのような直列接続における抵抗損失を低減するために、裏面電極をインターコネクト上から銅箔によって覆う(例えば、特許文献1参照)。
太陽電池セルが受光面側だけでなく、裏面側でも発電可能である場合、裏面電極をインターコネクト上から銅箔によって覆うと、太陽電池セルの発電効率が低下する。抵抗損失を低減する場合であっても、発電効率の低下は抑制される方が望ましい。
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、発電効率の低下を抑制しながら、抵抗損失を低減する技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の太陽電池セルは、光電変換層と、光電変換層の表面に配置され、かつ、光電変換層の表面から隣接した他の太陽電池セルの方向に延びる複数の配線材と、光電変換層の表面に配置され、かつ配線材と同一の方向に延びる複数のフィンガー電極と、フィンガー電極と配線材に交差するように配置され、配線材の本数よりも多い複数の補助電極とを備える。補助電極の電気抵抗率は、フィンガー電極の電気抵抗率よりも小さい。
本発明の別の態様は、太陽電池モジュールである。この太陽電池モジュールは、複数の太陽電池セルと、隣接する複数の太陽電池セルのうち、一方の太陽電池セルから他の太陽電池セルの方向に延びて配置され、一方の太陽電池セルと他の太陽電池セルとを電気的に接続する複数の配線材と、を備える太陽電池モジュールであって、複数の太陽電池セルのそれぞれは、光電変換層と、光電変換層の表面に配置され、かつ配線材と同一の方向に延びる複数のフィンガー電極と、フィンガー電極と配線材に交差するように配置され、配線材の本数よりも多い複数の補助電極とを備える。補助電極の電気抵抗率は、フィンガー電極の電気抵抗率よりも小さい。
本発明のさらに別の態様は、太陽電池セルの製造方法である。この方法は、光電変換層の表面上に、一方向に延びるフィンガー電極を配置するステップと、光電変換層の表面上に、フィンガー電極と同一の方向であって、かつ、光電変換層の表面から隣接した他の太陽電池セルの方向に延びる複数の配線材を配置するステップと、フィンガー電極および配線材上に、フィンガー電極と配線材に交差するように、配線材の本数よりも多い複数の補助電極を配置するステップと備える。補助電極の電気抵抗率は、フィンガー電極の電気抵抗率よりも小さい。
本発明によれば、発電効率の低下を抑制しながら、抵抗損失を低減できる。
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、複数の太陽電池セルが配置された太陽電池モジュールに関する。太陽電池セルの受光面および裏面には、配線材が配置される。また、配線材は、当該太陽電池セルに隣接した太陽電池セルにも配置されるので、隣接した2つの太陽電池セルが配線材により電気的に接続される。そのため、複数の太陽電池セルが直列に接続されるので、抵抗損失の低減が求められる。さらに、太陽電池セルの裏面側でも発電がなされる場合、発電効率の低下になるような銅箔の使用は好ましくない。発電効率の低下を抑制しながら、抵抗損失を低減するために、本実施例に係る太陽電池モジュールは次のように構成される。
本実施例において、太陽電池セルの裏面において、配線材と平行になるように複数のフィンガー電極が配置される。また、配線材および複数のフィンガー電極と交差するように、複数の補助電極が配置される。ここで、フィンガー電極は印刷により形成されるが、補助電極はワイヤにより形成されており、補助電極の電気抵抗率は、フィンガー電極の電気抵抗率よりも小さい。このような補助電極がフィンガー電極に加えて使用されるので、抵抗損失が低減される。さらに、補助電極は、太陽電池セルの裏面全部を覆わないので、発電効率の低下が抑制される。なお、以下の説明において、「平行」は、完全な平行だけではなく、誤差の範囲で平行からずれている場合も含み、「直交」は、完全な直交だけではなく、誤差の範囲で平行からずれている場合も含むものとする。また、「略」は、おおよその範囲で同一であるという意味である。
図1は、本実施例に係る太陽電池モジュール100の構成の受光面側からの平面図である。図1に示すように、x軸、y軸、z軸からなる直交座標系が規定される。x軸、y軸は、太陽電池モジュール100の平面内において互いに直交する。z軸は、x軸およびy軸に垂直であり、太陽電池モジュール100の厚み方向に延びる。また、x軸、y軸、z軸のそれぞれの正の方向は、図1における矢印の方向に規定され、負の方向は、矢印と逆向きの方向に規定される。太陽電池モジュール100を形成する2つの主表面であって、かつx−y平面に平行な2つの主表面のうち、z軸の正方向側に配置される主平面が受光面であり、z軸の負方向側に配置される主平面が裏面である。以下では、z軸の正方向側を「受光面側」とよび、z軸の負方向側を「裏面側」とよぶ。
太陽電池モジュール100は、太陽電池セル10と総称される第11太陽電池セル10aa、・・・、第84太陽電池セル10hd、群接続配線材14、第1端配線材16、セル接続配線材18、第2端配線材20を含む。第1非発電領域38aと第2非発電領域38bは、y軸方向において、複数の太陽電池セル10を挟むように配置される。具体的には、第1非発電領域38aは、複数の太陽電池セル10よりもy軸の正方向側に配置され、第2非発電領域38bは、複数の太陽電池セル10よりもy軸の負方向側に配置される。第1非発電領域38a、第2非発電領域38b(以下、「非発電領域38」と総称することもある)は、矩形状を有し、太陽電池セル10を含まない。
複数の太陽電池セル10のそれぞれは、入射する光を吸収して光起電力を発生する。太陽電池セル10は、例えば、結晶系シリコン、ガリウム砒素(GaAs)またはインジウム燐(InP)等の半導体材料によって形成される。太陽電池セル10の構造は、特に限定されないが、ここでは、一例として、結晶シリコンとアモルファスシリコンとが積層されているとする。
図2(a)−(b)は、太陽電池セル10の構成を示す平面図である。図2(a)は、太陽電池セル10の受光面を示し、図2(b)は、太陽電池セル10の裏面を示す。光電変換層60は、前述の半導体材料に相当する。ここでは、光電変換層60の受光面および裏面が長辺と短辺とが交互に接続された八角形により構成されるが、それ以外の形状、例えば、八角形に含まれる短辺が非直線であってもよいし、四角形により形成されてもよい。図2(a)に示すように、光電変換層60の受光面には、互いに平行にx軸方向に延びる複数のフィンガー電極52が配置される。また、光電変換層60の受光面には、複数のフィンガー電極52に交差、例えば直交するようにy軸方向に延びる複数、例えば3本のバスバー電極50が配置される。バスバー電極50は、複数のフィンガー電極52のそれぞれを接続する。また、バスバー電極50、フィンガー電極52は、例えば、銀ペースト等により形成される。さらに、複数のバスバー電極50それぞれに対して、z軸の正方向側からセル接続配線材18が重ねられて配置される。セル接続配線材18は、隣接した他の太陽電池セル10の方向、つまりy軸方向に延びる。
図2(b)に示すように、光電変換層60の裏面には、互いに平行にy軸方向に延びる複数のフィンガー電極52が配置される。このようなフィンガー電極52は、図2(a)におけるフィンガー電極52に直交しており、互いに異なった方向に配置される。また、光電変換層60の裏面には、図2(a)と同様に、互いに平行にy軸方向に延びる複数、例えば3本のセル接続配線材18が配置される。そのため、セル接続配線材18と複数のフィンガー電極52とは、同一の方向に延びる。さらに、x軸方向に延びる複数の補助電極62は、セル接続配線材18と複数のフィンガー電極52に交差するように、それらのz軸の負方向側から重ねられて配置される。本実施例では、1枚の太陽電池セル10に接続される補助電極62の本数はセル接続配線材18の本数よりも多く設けられ、裏面側のフィンガー電極52の本数は補助電極62の本数よりも多く設けられる。補助電極62は、光電変換層60の裏面だけに配置され、受光面に配置されない。このような太陽電池セル10の構成の詳細は後述し、図1に戻る。
太陽電池モジュール100において、複数の太陽電池セル10は、x−y平面上にマトリクス状に配列される。ここでは、一例として、x軸方向に8つの太陽電池セル10が並べられ、y軸方向に4つの太陽電池セル10が並べられる。なお、x軸方向に並べられる太陽電池セル10の数と、y軸方向に並べられる太陽電池セル10の数は、これに限定されない。y軸方向に並んで配置される4つの太陽電池セル10は、セル接続配線材18によって直列に接続され、1つの太陽電池群12が形成される。例えば、第11太陽電池セル10aa、第12太陽電池セル10ab、第13太陽電池セル10ac、第14太陽電池セル10adが接続されることによって、第1太陽電池群12aが形成される。他の太陽電池群12、例えば、第2太陽電池群12bから第8太陽電池群12hも同様に形成される。その結果、8つの太陽電池群12がx軸方向に平行に並べられる。また、太陽電池群12がストリングに相当する。
太陽電池群12を形成するために、セル接続配線材18は、隣接した太陽電池セル10のうちの一方の受光面側のバスバー電極50と、他方の裏面とを接続する。例えば、第11太陽電池セル10aaと第12太陽電池セル10abとを接続するための2つのセル接続配線材18は、第11太陽電池セル10aaの裏面と第12太陽電池セル10abの受光面側のバスバー電極50とを電気的に接続する。本実施例において、太陽電池セル10の裏面側のセル接続配線材18が設けられる領域には、フィンガー電極52及びバスバー電極50のいずれも設けられない。太陽電池セル10の裏面側において、セル接続配線材18は、光電変換層60の表面に、樹脂接着材(図示なし)を用いて接着される。
7つの群接続配線材14のうちの3つが、第1非発電領域38aに配置され、残りの4つが、第2非発電領域38bに配置される。7つの群接続配線材14のそれぞれは、x軸方向に延びて、第1端配線材16を介して互いに隣接する2つの太陽電池群12に電気的に接続される。例えば、第1太陽電池群12aの第2非発電領域38b側に位置する第14太陽電池セル10ad、第2太陽電池群12bの第2非発電領域38b側に位置する第24太陽電池セル10bdのそれぞれは、第1端配線材16を介して群接続配線材14に電気的に接続される。ここで、第1端配線材16は、太陽電池セル10の受光面あるいは裏面において、セル接続配線材18と同様に配置される。
x軸方向の両端に位置する第1太陽電池群12a、第8太陽電池群12hには、第2端配線材20が接続される。第1太陽電池群12aに接続される第2端配線材20は、第11太陽電池セル10aaの受光面側から第1非発電領域38aの方向に延びている。第2端配線材20には、正負一対の取出し配線が接続されている。
図3は、太陽電池モジュールのy軸に沿った断面図であり、図1のA−A’断面図である。太陽電池モジュール100は、太陽電池セル10と総称される第11太陽電池セル10aa、第12太陽電池セル10ab、第13太陽電池セル10ac、第14太陽電池セル10ad、群接続配線材14、第1端配線材16、セル接続配線材18、第2端配線材20、取出し配線30、保護部材40と総称される第1保護部材40a、第2保護部材40b、封止部材42と総称される第1封止部材42a、第2封止部材42b、端子ボックス44、樹脂シート64を含む。図3の上側が裏面側に相当し、下側が受光面側に相当する。
第1保護部材40aは、太陽電池モジュール100の受光面側に配置されており、太陽電池モジュール100の表面を保護する。第1保護部材40aには、透光性および遮水性を有するガラス、透光性プラスチック等が使用され、矩形板状に形成される。第1封止部材42aは、第1保護部材40aの裏面側に積層される。第1封止部材42aは、第1保護部材40aと太陽電池セル10との間に配置されて、これらを接着する。第1封止部材42aとして、例えば、ポリオレフィン、EVA、PVB(ポリビニルブチラール)、ポリイミド等の樹脂フィルムのような熱可塑性樹脂が使用される。なお、熱硬化性樹脂が使用されてもよい。第1封止部材42aは、透光性を有するとともに、第1保護部材40aにおけるx−y平面と略同一寸法の面を有する矩形状のシート材によって形成される。
第2封止部材42bは、第1封止部材42aの裏面側に積層される。第2封止部材42bは、第1封止部材42aとの間で、複数の太陽電池セル10、セル接続配線材18等を封止する。なお、各太陽電池セル10の裏面側には樹脂シート64が配置される。樹脂シート64については後述する。第2封止部材42bは、第1封止部材42aと同様のものを用いることができる。また、ラミネート・キュア工程における加熱によって、第2封止部材42bは第1封止部材42aと一体化されていてもよい。
第2保護部材40bは、第2封止部材42bの裏面側に積層される。第2保護部材40bは、バックシートとして太陽電池モジュール100の裏面側を保護する。第2保護部材40bとしては、PET(ポリエチレンテレフタラート)等の樹脂フィルム、Al箔を樹脂フィルムで挟んだ構造を有する積層フィルムなどが使用される。第2保護部材40bには、z軸方向に貫通した開口部(図示せず)が設けられる。
端子ボックス44は、直方体状に形成され、第2保護部材40bの開口部(図示せず)を覆うように、第2保護部材40bの裏面側から、シリコーンなどの接着剤を使用して接着される。取出し配線30は、第2保護部材40bの開口部(図示せず)を通って、端子ボックス44に格納されているバイパスダイオード(図示せず)に導かれている。ここで端子ボックス44は、例えば、第2保護部材40b上において、第41太陽電池セル10da、第51太陽電池セル10eaにオーバーラップする位置に配置される。太陽電池モジュール100の周囲には、Alフレーム枠が取り付けられてもよい。
このような太陽電池モジュール100の構成をもとにして、以下では、太陽電池セル10の裏面側の構成をさらに詳細に説明する。図4(a)−(c)は、太陽電池セル10の裏面側の構成を示す。図4(a)は、図2(b)の太陽電池セル10の裏面の構成を分解して示した平面図であり、図4(b)は、斜視図である。光電変換層60の裏面には、y軸方向に延びたセル接続配線材18およびフィンガー電極52がx軸方向に並んで配置される。ここで、セル接続配線材18と光電変換層60との間に、フィンガー電極52が配置されていてもよく、配置されていなくてもよい。
このような光電変換層60に対して、z軸の負方向側から樹脂シート64が取り付けられる。ここでは、樹脂シート64のx−y平面におけるサイズが、光電変換層60のx−y平面におけるサイズと同一であるように示しているが、同一でなくてもよい。図4(c)は、樹脂シート64のy軸に沿った断面図であり、図4(a)のB−B’断面図である。z軸の正方向に向かって、第1層66、第2層68が重ねて配置される。例えば、第1層66はPETにより形成され、第2層68はポリオレフィンにより形成される。さらに、第2層68のz軸の正方向側には、補助電極62が配置される。補助電極62はワイヤ形状であるので、樹脂シート64は、ワイヤシートであるともいえる。
図4(a)−(b)に戻る。光電変換層60と樹脂シート64とが重ね合わせられることによって、光電変換層60の裏面上に配置されたフィンガー電極52およびセル接続配線材18上に、補助電極62が配置される。その結果、フィンガー電極52およびセル接続配線材18は、補助電極62を介して電気的に接続される。ここで、フィンガー電極52は、例えば、樹脂と銀粒子とが混合した銀ペースト(エポキシ樹脂・エステルを含む)により形成され、突起形状の断面を備える。補助電極62は、例えば、断面が略円形の銅心材を低融点半田でコートすることによって形成され、略円形の断面を備える。セル接続配線材18は、例えば、断面が略矩形の銅心材を銀でコートすることによって形成され、略矩形の断面を備える。つまり、フィンガー電極52、補助電極62、セル接続配線材18のすべての材料または形状が異なる。また、補助電極62の金属密度は、フィンガー電極52の金属密度よりも高いので、補助電極62の電気抵抗率は、フィンガー電極52の電気抵抗率よりも小さくなる。
セル接続配線材18とフィンガー電極52とは、補助電極62を介して電気的に接続されるので、セル接続配線材18は、光電変換層60に一部分のみが接着されていればよい。一方、図2(a)のように、太陽電池セル10の受光面側では、セル接続配線材18は、バスバー電極50と電気的に接続されるので、セル接続配線材18は、光電変換層60にしっかりと接着される。
以下では、太陽電池セル10の裏面側の構成の様々な変形例を説明する。図5(a)−(b)は、樹脂シート64の別の構成を示すy軸に沿った断面図である。これらは、補助電極62の形状についての変形例である。図5(a)では、補助電極62が楕円断面形状に形成され、図5(b)では、補助電極62が矩形断面形状に形成されている。これらは、ワイヤではなく、タブや、Alシートのような形態であることに相当する。図5(a)−(b)では、y軸方向の断面において、z軸方向の長さよりもy軸方向の長さの方が長い形状になっているといえる。
図6(a)−(e)は、太陽電池セル10の別の構成を示す平面図である。図6(a)では、これまでと同様に、フィンガー電極52およびセル接続配線材18が光電変換層60の裏面上に配置され、補助電極62がフィンガー電極52およびセル接続配線材18上に配置される。しかしながら、これまでは、補助電極62が樹脂シート64に配置されていたのに対して、ここでは、補助電極62が樹脂シート64に配置されていない。つまり、フィンガー電極52およびセル接続配線材18上には、補助電極62だけが配置される。図6(b)では、図6(a)の構成において、y軸方向の両端に配置された補助電極62がそれ以外の補助電極62よりも太くされている。なお、図6(b)において、補助電極62が樹脂シート64に配置されてもよい。
図7は、太陽電池セル10のさらに別の構成を示す平面図である。これは、これまでと比較して、z軸方向におけるフィンガー電極52、補助電極62、セル接続配線材18の配置の順番が異なる。フィンガー電極52は、光電変換層60の裏面上に配置される。また、補助電極62は、フィンガー電極52上に配置される。さらに、セル接続配線材18は、補助電極62上に配置される。
以下では、太陽電池モジュール100の製造方法について説明する。まず、z軸の正方向から負方向に向かって、第1保護部材40a、第1封止部材42a、太陽電池セル10、第2封止部材42b、第2保護部材40bが順に重ね合わせられることによって、積層体が生成される。その際、光電変換層60の裏面上に、一方向に延びるフィンガー電極52が配置されるとともに、フィンガー電極52と同一の方向であって、かつ隣接した他の太陽電池セル10の方向に延びるセル接続配線材18が配置される。さらに、フィンガー電極52およびセル接続配線材18上に、フィンガー電極52とセル接続配線材18に交差するように配置された補助電極62を含んだ樹脂シート64が重ねられる。
これに続いて、積層体に対して、ラミネート・キュア工程がなされる。この工程では、積層体から空気を抜き、加熱、加圧して、積層体を一体化する。前述のごとく、ラミネート・キュア工程における真空ラミネートでは、温度が前述のごとく、50〜180℃程度に設定される。さらに、第2保護部材40bに対して、端子ボックス44が接着剤にて取り付けられる。
本実施例によれば、光電変換層60の裏面において、フィンガー電極52と交差するように、フィンガー電極52よりも小さい電気抵抗率を有した補助電極62を配置するので、発電効率の低下を抑制しながら、抵抗損失を低減できる。また、光電変換層60の裏面の一部の領域だけに補助電極62が配置されるので、発電効率の低下を抑制できる。また、光電変換層60の裏面に補助電極62を配置するので、光電変換層60の裏面におけるバスバー電極50の配置を不要にできる。また、光電変換層60の裏面におけるバスバー電極50の配置が不要になるので、銀ペーストの使用量を削減できる。銀ペーストの使用量が削減されるので、製造コストを低減できる。
補助電極62をワイヤ形状のものを用い、1枚の太陽電池セル10の一方の表面に接続されるセル接続配線材18の数よりも多い補助電極62を、1枚の太陽電池セル10の裏面に配置する場合、裏面側のフィンガー電極52の銀ペーストの使用量を削減することができる。具体的には、裏面側のフィンガー電極52のz軸方向の高さを受光面側のフィンガー電極52のz軸方向の高さよりも低くするか、または、裏面側のフィンガー電極52のx軸方向の幅を受光面側のフィンガー電極52のy軸方向の幅より小さくすることができる。
銀ペーストをスクリーン印刷してフィンガー電極52を形成する場合、フィンガー電極52のz軸方向の高さを一定に形成することが難しい。z軸方向の高さが低い領域において、フィンガー電極52の抵抗が高くなるか、分断してしまう恐れがある。従来、フィンガー電極52のz軸方向の高さは、フィンガー電極52が分断しない程度に十分なものとしていた。その結果、銀ペーストの使用量が増大して太陽電池セル10の製造コストが高くなっていた。本実施例の太陽電池モジュールによれば、セル接続配線材18の数よりも多い補助電極62を用いることによって、裏面側のフィンガー電極52の一部が分断した場合であっても、補助電極62によって光電変換層60で発生した電流の収集を続けることができ、太陽電池セル10の出力の低下を抑制することができる。つまり、フィンガー電極52を形成する銀ペーストの使用量を削減させても、太陽電池セル10の出力の低下を抑制することができ、太陽電池セル10の製造コストを低くすることが可能となる。
また、補助電極62の金属密度がフィンガー電極52の金属密度よりも高いので、抵抗損失を低減できる。また、補助電極62が、ワイヤ形状を有するので、補助電極62の製造を簡易にできる。また、補助電極62の光電変換層60の表面に垂直な方向の長さよりも、補助電極62の光電変換層60の表面に沿った方向の長さの方が長い形状を有するので、構成の自由度を向上できる。また、補助電極62が樹脂シート64に配置されるので、ワイヤシートを使用できる。また、ワイヤシートが使用されるので、製造を簡易にできる。また、光電変換層60の表面上に、フィンガー電極52およびセル接続配線材18が配置され、それらの上にセル接続配線材18が配置されるので、製造を簡易にできる。また、光電変換層60の表面上に、フィンガー電極52が配置され、その上に補助電極62が配置され、その上に、セル接続配線材18が配置されるので、製造を簡易にできる。また、補助電極62が光電変換層60の受光面に非配置であるので、発電効率の低下を抑制できる。
なお、本実施例では、太陽電池セル10の裏面側のセル接続配線材18が設けられる領域には、バスバー電極50が設けられない構成としたが、バスバー電極50を設ける構成としてもよい。太陽電池セル10の裏面側にもバスバー電極50を設けることで、セル接続配線材18を接続する工程における位置合わせの基準として用いることができ、セル接続配線材18の接続の工程を容易に行うことができる。また、太陽電池セル10の受光面側と裏面側との、バスバー電極50及びフィンガー電極52の対称性が高くなり、信頼性の高い太陽電池セル10を提供することがきる。ただし、銀ペーストの使用量が増大し太陽電池セル10の製造コストが高くなるため、本字氏異例ではバスバー電極50を設けない構成を採用している。
本実施例の概要は、次の通りである。本発明のある態様の太陽電池セル10は、光電変換層60と、光電変換層60の表面に配置され、かつ光電変換層60の表面から隣接した他の太陽電池セル10の方向に延びる複数のセル接続配線材18と、光電変換層60の表面に配置され、かつセル接続配線材18と同一の方向に延びるフィンガー電極52と、フィンガー電極52とセル接続配線材18に交差するように配置され、セル接続配線材18の本数よりも多い複数の補助電極62とを備える。補助電極62の電気抵抗率は、フィンガー電極52の電気抵抗率よりも小さい。
補助電極62の材料は、フィンガー電極52の材料とは異なり、フィンガー電極52の本数は、補助電極62の本数よりも多く、補助電極62の金属密度は、フィンガー電極52の金属密度よりも高い。
補助電極62は、ワイヤ形状を有してもよい。
補助電極62の断面であって、かつ補助電極62が延びる方向に垂直な方向の断面は、光電変換層60の表面に垂直な方向の長さよりも、光電変換層60の表面に沿った方向の長さの方が長い形状を有してもよい。
補助電極62は、樹脂シート64に配置されてもよい。
フィンガー電極52は、光電変換層60の表面上に配置され、セル接続配線材18は、光電変換層60の表面上に配置され、補助電極62は、フィンガー電極52およびセル接続配線材18上に配置されてもよい。
フィンガー電極52は、光電変換層60の表面上に配置され、補助電極62は、フィンガー電極52上に配置され、セル接続配線材18は、補助電極62上に配置されてもよい。
補助電極62は、光電変換層60の別の表面に非配置であってもよい。
本発明の別の態様は、太陽電池モジュール100である。この太陽電池モジュール100は、複数の太陽電池セル10と、隣接する複数の太陽電池セル10のうち、一方の太陽電池セル10から他の太陽電池セル10の方向に延びて配置され、一方の太陽電池セル10と他の太陽電池セル10とを電気的に接続する複数のセル接続配線材18と、を備える太陽電池モジュール100であって、複数の太陽電池セル10のそれぞれは、光電変換層60と、光電変換層60の表面に配置され、かつセル接続配線材18と同一の方向に延びる複数のフィンガー電極52と、フィンガー電極52とセル接続配線材18に交差するように配置され、セル接続配線材18の本数よりも多い複数の補助電極62とを備える。補助電極62の電気抵抗率は、フィンガー電極52の電気抵抗率よりも小さい。
補助電極62の材料は、フィンガー電極52の材料とは異なり、フィンガー電極52の本数は、補助電極62の本数よりも多く、補助電極62の金属密度は、フィンガー電極52の金属密度よりも高くてもよい。
本発明のさらに別の態様は、太陽電池セル10の製造方法である。この方法は、光電変換層60の表面上に、一方向に延びるフィンガー電極52を配置するステップと、光電変換層60の表面上に、フィンガー電極52と同一の方向であって、かつ、光電変換層60の表面から隣接した他の太陽電池セル10の方向に延びる複数のセル接続配線材18を配置するステップと、フィンガー電極52およびセル接続配線材18上に、フィンガー電極52とセル接続配線材18に交差するように、セル接続配線材18の本数よりも多い複数の補助電極62を配置するステップと備える。補助電極62の電気抵抗率は、フィンガー電極52の電気抵抗率よりも小さい。
以上、本発明について実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本実施例において、フィンガー電極52は、y軸方向に連続的に延びている。しかしながらこれに限らず例えば、フィンガー電極52は、y軸方向において途切れながら、離散的に配置されていてもよい。その際、離散的な部分のそれぞれがいずれかの補助電極62に電気的に接続される。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
10 太陽電池セル、 12 太陽電池群、 14 群接続配線材、 16 第1端配線材(配線材)、 18 セル接続配線材(配線材)、 20 第2端配線材、 38 非発電領域、 40 保護部材、 42 封止部材、 44 端子ボックス、 50 バスバー電極、 52 フィンガー電極(電極)、 60 光電変換層、 62 補助電極、 64 樹脂シート、 66 第1層、 68 第2層、 100 太陽電池モジュール。
Claims (11)
- 光電変換層と、
前記光電変換層の表面に配置され、かつ、前記光電変換層の表面から隣接した他の太陽電池セルの方向に延びる複数の配線材と、
前記光電変換層の表面に配置され、かつ前記配線材と同一の方向に延びる複数のフィンガー電極と、
前記フィンガー電極と前記配線材に交差するように配置され、前記配線材の本数よりも多い複数の補助電極とを備え、
前記補助電極の電気抵抗率は、前記フィンガー電極の電気抵抗率よりも小さいことを特徴とする太陽電池セル。 - 前記補助電極の材料は、前記フィンガー電極の材料とは異なり、
前記フィンガー電極の本数は、前記補助電極の本数よりも多く、
前記補助電極の金属密度は、前記フィンガー電極の金属密度よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池セル。 - 前記補助電極は、ワイヤ形状を有することを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池セル。
- 前記補助電極の断面であって、かつ前記補助電極が延びる方向に垂直な方向の断面は、前記光電変換層の表面に垂直な方向の長さよりも、前記光電変換層の表面に沿った方向の長さの方が長い形状を有することを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池セル。
- 前記補助電極は、樹脂シートに配置されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の太陽電池セル。
- 前記フィンガー電極は、前記光電変換層の表面上に配置され、
前記配線材は、前記光電変換層の表面上に配置され、
前記補助電極は、前記フィンガー電極および前記配線材上に配置されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の太陽電池セル。 - 前記フィンガー電極は、前記光電変換層の表面上に配置され、
前記補助電極は、前記フィンガー電極上に配置され、
前記配線材は、前記補助電極上に配置されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の太陽電池セル。 - 前記補助電極は、前記光電変換層の別の表面に非配置であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の太陽電池セル。
- 複数の太陽電池セルと、
隣接する複数の前記太陽電池セルのうち、一方の前記太陽電池セルから他の前記太陽電池セルの方向に延びて配置され、一方の前記太陽電池セルと他の前記太陽電池セルとを電気的に接続する複数の配線材と、
を備える太陽電池モジュールであって、
前記複数の太陽電池セルのそれぞれは、
光電変換層と、
前記光電変換層の表面に配置され、かつ前記配線材と同一の方向に延びる複数のフィンガー電極と、
前記フィンガー電極と前記配線材に交差するように配置され、前記配線材の本数よりも多い複数の補助電極とを備え、
前記補助電極の電気抵抗率は、前記フィンガー電極の電気抵抗率よりも小さいことを特徴とする太陽電池モジュール。 - 前記補助電極の材料は、前記フィンガー電極の材料とは異なり、
前記フィンガー電極の本数は、前記補助電極の本数よりも多く、
前記補助電極の金属密度は、前記フィンガー電極の金属密度よりも高いことを特徴とする請求項9に記載の太陽電池モジュール。 - 光電変換層の表面上に、一方向に延びるフィンガー電極を配置するステップと、
前記光電変換層の表面上に、前記フィンガー電極と同一の方向であって、かつ、前記光電変換層の表面から隣接した他の太陽電池セルの方向に延びる複数の配線材を配置するステップと、
前記フィンガー電極および前記配線材上に、前記フィンガー電極と前記配線材に交差するように、前記配線材の本数よりも多い複数の補助電極を配置するステップと備え、
前記補助電極の電気抵抗率は、前記フィンガー電極の電気抵抗率よりも小さいことを特徴とする太陽電池セルの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016072730A JP2017183650A (ja) | 2016-03-31 | 2016-03-31 | 太陽電池セル、太陽電池モジュール、太陽電池セルの製造方法 |
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Family Applications (1)
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JP2016072730A Pending JP2017183650A (ja) | 2016-03-31 | 2016-03-31 | 太陽電池セル、太陽電池モジュール、太陽電池セルの製造方法 |
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2016
- 2016-03-31 JP JP2016072730A patent/JP2017183650A/ja active Pending
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