JP2017182860A - 磁気ディスク基板研磨用組成物、磁気ディスク基板の製造方法および研磨方法 - Google Patents

磁気ディスク基板研磨用組成物、磁気ディスク基板の製造方法および研磨方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シリカ砥粒を用いて、高い研磨レートとうねり低減とを両立し得る磁気ディスク基板研磨用組成物を提供する。【解決手段】シリカ粒子を含む砥粒と、水と、を含む磁気ディスク基板研磨用組成物が提供される。前記砥粒の個数平均アスペクト比は1.3以下である。また、前記砥粒の体積基準のアスペクト比分布における累積50%アスペクト比(A50)に対する累積75%アスペクト比(A75)の比(A75/A50)は、1.05以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、磁気ディスク基板研磨用組成物、該研磨用組成物を用いた磁気ディスク基板の製造方法および研磨方法に関する。
磁気ディスク基板の製造においては、一般に、最終製品の表面精度に仕上げるために行う最終研磨工程(仕上げ研磨)の前に、より研磨効率を重視した予備研磨(一次研磨)が行われている。例えば、ニッケルリンめっきが施されたディスク基板(以下「Ni−P基板」ともいう。)に対して、少なくとも予備研磨と最終研磨とを行うことにより、高精度の表面が効率よく実現され得る。このような研磨プロセスでは、上記予備研磨のように最終研磨工程より前に行われる研磨においても、最終研磨工程における表面精度向上に寄与するため、良好な表面状態を実現することが望ましい。
研磨対象物の表面精度を左右する要素の一つとして、研磨液に含まれる砥粒の材質や性状が挙げられる。例えば、砥粒としてシリカを用いる研磨液によると、より硬度が高いアルミナ等の砥粒を用いる研磨液に比べて、研磨対象面の表面品質(例えば表面平滑性や砥粒突き刺さりによる欠陥)が改善する傾向がある。砥粒としてシリカを用いる研磨技術に関する技術文献として特許文献1〜3が挙げられる。
特開2004−204155号公報 特開2012−054281号公報 特開2014−116057号公報
しかし、一般にシリカ砥粒を用いた研磨液は研磨効率(典型的には研磨レート)に劣る傾向があり、例えばNi−P基板の一次研磨のように高い研磨レートが要求される研磨において使用される場合に、かかる要求に充分に応えることができないおそれがあった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、シリカ砥粒を用いて、高い研磨レートとうねり低減とを両立し得る磁気ディスク基板研磨用組成物を提供することを目的とする。関連する他の目的は、上記研磨用組成物を用いた磁気ディスク基板の製造方法および研磨方法を提供することである。
本発明によると、シリカ粒子を含む砥粒と、水と、を含む磁気ディスク基板研磨用組成物が提供される。前記砥粒の体積基準のアスペクト比分布における累積50%アスペクト比(A50)に対する累積75%アスペクト比(A75)の比(A75/A50)は、1.05以上である。また、前記砥粒の個数平均アスペクト比は1.3以下であることが好ましい。上記の特性を満足する砥粒を含む研磨用組成物によると、磁気ディスク基板の研磨において、高い研磨レートとうねり低減とが高レベルで両立される。
ここで開示される研磨用組成物は、pHが5以下であることが好ましい。上記A75/A50を満足する砥粒を、このようなpHを有する研磨用組成物において用いると、本発明の効果がより好適に発揮され得る。
ここで開示される研磨用組成物は、仕上げ研磨工程の前工程で用いられる研磨用組成物として好適である。例えば、前記研磨用組成物は、磁気ディスク基板の一次研磨に好適に用いられる。ここに開示される研磨用組成物は、高い研磨レートを示し得るため、前記一次研磨のような高い研磨効率が要求される研磨プロセスにおいて用いられることが有用である。
また、本発明によると、磁気ディスク基板の製造方法が提供される。その製造方法は、ここに開示されるいずれかの磁気ディスク基板研磨用組成物を用いて磁気ディスク基板(研磨対象基板)を研磨する工程(1)を包含する。かかる製造方法によると、高品位な表面を有する磁気ディスク基板を生産性よく製造することができる。好ましい一態様では、上記磁気ディスク基板の製造方法は、前記工程(1)の後に、仕上げ研磨用組成物を用いて前記磁気ディスク基板(研磨対象基板)を研磨する工程(2)をさらに含む。前記仕上げ研磨用組成物は、コロイダルシリカを含むことが好ましい。上記工程(1)の後に上記工程(2)を実施することにより、より高品位な表面を有する磁気ディスク基板が生産性よく製造される。
ここに開示される磁気ディスク基板製造方法の他の側面として、該方法により製造された磁気ディスク基板が提供される。このような磁気ディスク基板は、高品位な表面を有し、かつ生産コストの面でも有利なものとなり得るので好ましい。
また、本発明によると、磁気ディスク基板の研磨方法が提供される。その研磨方法は、ここに開示されるいずれかの磁気ディスク基板研磨用組成物を磁気ディスク基板(研磨対象基板)に供給して該磁気ディスク基板を研磨することを特徴とする。かかる研磨方法によると、磁気ディスク基板の表面品質を効率よく高めることができる。好ましい一態様では、上記磁気ディスク基板の研磨方法は、前記工程(1)の後に、仕上げ研磨用組成物を前記磁気ディスク基板(研磨対象基板)に供給して該研磨対象基板を研磨する工程(2)をさらに含む。前記仕上げ研磨用組成物は、コロイダルシリカを含むことが好ましい。上記工程(1)の後に上記工程(2)を実施することにより、より高品位な磁気ディスク基板表面が得られる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
<砥粒>
(アスペクト比分布)
ここに開示される研磨用組成物は砥粒を含む。この砥粒の体積基準のアスペクト比分布における累積50%アスペクト比(A50)に対する累積75%アスペクト比(A75)の比(A75/A50)は、1.05以上である。ここで「累積75%アスペクト比」とは、体積基準で求めた砥粒のアスペクト比分布の全体積を100%とする累積体積分布曲線において、アスペクト比が小さい側からの砥粒累積体積が75%となる点のアスペクト比をいう。また、「累積50%アスペクト比」とは、体積基準で求めた砥粒のアスペクト比分布の全体積を100%とする累積体積分布曲線において、アスペクト比が小さい側からの砥粒累積体積が50%となる点のアスペクト比をいう。上記累積体積分布曲線は、典型的には、横軸をアスペクト比とし、縦軸を累積体積(%)とするグラフによって表される。上記比(A75/A50)が1.05以上である砥粒は、磁気ディスク基板の研磨において高い研磨レートとうねり低減との両立に寄与する。
上記のような効果が得られる理由としては、特に限定的に解釈されるものではないが、例えば以下のように考えられる。すなわち、上記比(A75/A50)の値が大きいことは、体積基準で中位に位置するアスペクト比よりも高アスペクト比側に位置する粒子の非球形度(球形からの歪みの程度)が大きいことを意味する。また、体積基準で中位から低アスペクト比側の粒子の球形度が高いことを意味する。上記比(A75/A50)が高い砥粒を使用することにより、高アスペクト比粒子が研磨レート向上に寄与し、また低アスペクト比粒子がうねり低減に寄与する。その結果、高い研磨レートとうねり低減とを高レベルで両立することができると考えられる。
上記のような観点から、上記比(A75/A50)は、好ましくは1.10以上、さらに好ましくは1.15以上、特に好ましくは1.20以上(典型的には1.25以上)である。また、砥粒の入手性等の観点から、上記比(A75/A50)は、1.50以下(例えば1.35以下)程度であることが適当である。
砥粒の体積基準のアスペクト比分布における累積75%アスペクト比(A75)は、上記比(A75/A50)を満足する範囲において特に限定されない。好ましい一態様では、研磨レート等の観点から、A75は1.05以上であり、より好ましくは1.10以上、さらに好ましくは1.20以上、特に好ましくは1.30以上(例えば1.40以上)である。また上記A75は、表面品質等の観点から、通常は1.70以下であることが適当であり、好ましくは1.60以下、より好ましくは1.50以下、さらに好ましくは1.45以下、特に好ましくは1.40以下(例えば1.35以下)である。
砥粒の体積基準のアスペクト比分布における累積50%アスペクト比(A50)は、上記比(A75/A50)を満足する範囲において特に限定されない。好ましい一態様では、A50は1.25以下である。このような砥粒を使用することによって、うねりを良好に低減することができる。その理由としては、特に限定的に解釈されるものではないが、例えば以下のように考えられる。すなわち、所定値以下のA50とを有する砥粒は、所定値以下のアスペクト比(低アスペクト比)を有する粒子を所定以上の体積割合で含有する砥粒であるといえる。所定値以下のA50によって表される球形度の高い粒子を所定以上含有する砥粒は、転がり性が付与されるため、研磨時において加工が安定し、表面品質向上が向上(典型的にはうねり低減)すると考えられる。上記A50は、うねり低減等の観点から、より好ましくは1.20以下、さらに好ましくは1.15以下、特に好ましくは1.10以下、最も好ましくは1.05以下である。また、上記砥粒の累積50%アスペクト比は、原理上1.00以上であり、1.05以上(例えば1.10以上)であってもよい。
また、ここに開示される砥粒の体積基準のアスペクト比分布における累積90%アスペクト比(A90)は、特に限定されない。ここで「累積90%アスペクト比」とは、体積基準で求めた砥粒のアスペクト比分布の全体積を100%とする累積体積分布曲線において、アスペクト比が小さい側からの砥粒累積体積が90%となる点のアスペクト比をいう。好ましい一態様に係る砥粒は、A90が1.25以上である。このような砥粒を使用することによって、高い研磨レートが実現される。上記A90は、研磨レート等の観点から、より好ましくは1.30以上、さらに好ましくは1.40以上、特に好ましくは1.50以上、最も好ましくは1.60以上である。また、上記砥粒の累積90%アスペクト比は、該砥粒の耐久性(例えば、応力により崩れにくいこと)や研磨の安定性等の観点から、通常は3.0以下であることが適当であり、2.5以下が好ましく、2.0以下(例えば2.0未満)がより好ましい。例えば、累積90%アスペクト比が1.25より大きく3.00未満(より好ましくは1.31以上2.20以下、さらに好ましくは1.52以上1.96以下)である砥粒を含む研磨用組成物が好適である。
また、累積90%アスペクト比(A90)と累積75%アスペクト比(A75)との比の値(A90/A75)は、研磨レート等の観点から、好ましくは1.05以上、より好ましくは1.10以上、さらに好ましくは1.20以上である。また、上記比の値(A90/A75)は、より高品質な表面を得るという観点から、好ましくは1.6以下、より好ましくは1.5以下である。
上記砥粒の体積基準のアスペクト比分布は、使用する砥粒粒子の選択やその組み合わせによって調整することができる。例えば、アスペクト比が大きい大径の粒子をより小径の粒子と適切な重量比で混合して用いることによって、上述したアスペクト比分布におけるA50、A75およびA90をここに開示される適切な範囲に調整することができる。
本明細書において、上記A50、A75およびA90の基準となる累積体積アスペクト比は、研磨用組成物に含まれる砥粒の総体的な特性として把握される累積体積アスペクト比を意味する。したがって、研磨用組成物に含まれる砥粒が例えば2種類の砥粒粒子X,Yの混合物である場合、上記累積体積アスペクト比は、該砥粒(すなわち、砥粒粒子X,Yの混合物)を測定サンプルとして、該砥粒に含まれる複数個の砥粒粒子についてアスペクト比および体積を測定することにより求めることができる。
具体的な手順としては、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて、測定対象の砥粒(1種類の砥粒粒子であってもよく、2種類以上の砥粒粒子の混合物であってもよい。)に含まれる1000個以上の粒子を、1視野内に100個以上の粒子を含むSEM画像で観察する。観察倍率は50000倍とする。そして、各粒子画像に外接する最小の長方形について、その長辺の長さ(長径の値)を短辺の長さ(短径の値)で除した値を各粒子の長径/短径比(アスペクト比)として算出する。また、各粒子画像の投影面積と等しい面積を有する理想円(真円)の半径rから4πr/3により得られる値を各粒子の体積として算出する。ここで、上記アスペクト比および体積は、一次粒子であるか二次粒子であるかを問わず、研磨用組成物中において独立して分散している粒子を1個の粒子と数えて算出するものとする。そして、上記所定個数の粒子のアスペクト比および体積からアスペクト比分布の累積体積分布曲線を導出することにより、上述した各累積体積アスペクト比を求めることができる。かかる累積体積アスペクト比は、一般的な画像解析ソフトウエアを用いて求めることができる。後述の実施例についても同様である。
ここに開示される砥粒としては、個数平均アスペクト比が1.3以下のものを使用することが好ましい。個数平均アスペクト比が小さいことは、測定される個数において支配的となりがちな小径粒子の球形度が高いことを示唆する。そのような個数平均アスペクト比が低い砥粒では、表面品質向上に寄与する小径粒子が転がり性を付与しやすい。この小径粒子の転がり性により加工が安定し、うねりが好ましく低減される。上記砥粒の個数平均アスペクト比は、より好ましくは1.25以下、さらに好ましくは1.10以下(例えば1.05以下、典型的には1.02以下)である。また、上記砥粒の個数平均アスペクト比は、原理上1.00以上であり、研磨レートの観点から、1.01以上であることが好ましい。上記個数平均アスペクト比は、1.10以上であってもよい。
砥粒の個数平均アスペクト比は、例えば次の方法で測定される。具体的には、SEMを用いて、測定対象の砥粒(1種類の砥粒粒子であってもよく、2種類以上の砥粒粒子の混合物であってもよい。)に含まれる1000個以上の粒子を、1視野内に100個以上の粒子を含むSEM画像で観察する。観察倍率は50000倍とする。上記観察画像中の砥粒粒子について、各々の粒子画像に外接する最小の長方形を描く。そして、各粒子画像に対して描かれた長方形について、その長辺の長さ(長径の値)を短辺の長さ(短径の値)で除した値を長径/短径比(アスペクト比)として算出する。上記所定個数の粒子のアスペクト比を算術平均することにより、個数平均アスペクト比を求めることができる。上記個数アスペクト比は、一般的な画像解析ソフトウエアを用いて求めることができる。後述の実施例についても同様である。
(平均一次粒子径)
ここに開示される砥粒の平均一次粒子径(D1)は特に限定されない。通常は、平均一次粒子径が150nm以下の砥粒が用いられる。上記平均一次粒子径は100nm以下(例えば80nm以下、典型的には70nm未満)であることが適当である。好ましい一態様では、砥粒の平均一次粒子径は60nm未満である。平均一次粒子径が所定値以下である砥粒は、小径粒子を所定以上の割合で含む。そのような砥粒を使用することで、高い研磨レートを得つつ、小径粒子の作用(具体的には、基板表面における加工ポイントの微細化)によって、うねりを好ましく低減することができる。砥粒の平均一次粒子径は、より好ましくは55nm以下、さらに好ましくは50nm以下である。また、砥粒の平均一次粒子径は、凡そ10nm以上であることが適当であり、好ましくは20nm以上、より好ましくは30nm以上、さらに好ましくは35nm以上(例えば40nm以上、さらには45nm以上)である。平均一次粒子径の増大によって、より高い研磨速度が実現され得る。
なお、ここに開示される技術において、砥粒の平均一次粒子径は、BET法に基づいて求められる平均粒子径(比表面積換算粒子径)をいう。比表面積の測定は、例えば、マイクロメリテックス社製の表面積測定装置、商品名「Flow Sorb II 2300」を用いて行うことができる。後述の実施例についても同様である。
(シリカ粒子)
ここに開示される研磨用組成物は、砥粒としてシリカ粒子を含む。上記砥粒に含まれるシリカ粒子は、シリカを主成分とする各種のシリカ粒子であり得る。ここで、シリカを主成分とするシリカ粒子とは、該粒子の90重量%以上(通常は95重量%以上、典型的には98重量%以上)がシリカである粒子をいう。使用し得るシリカ粒子の例としては、特に限定されないが、コロイダルシリカ、沈降シリカ、ケイ酸ソーダ法シリカ、アルコキシド法シリカ、フュームドシリカ、乾燥シリカ、爆発法シリカ等が挙げられる。使用し得るシリカ粒子の例には、さらに、上記シリカ粒子(すなわち、沈降シリカ、ケイ酸ソーダ法シリカ、アルコキシド法シリカ、フュームドシリカ、乾燥シリカ、爆発法シリカ等)を原材料として得られたシリカ粒子が挙げられる。そのようなシリカ粒子の例には、上記原材料のシリカ粒子(以下「原料シリカ」ともいう。)に、加温、乾燥、焼成等の熱処理、オートクレーブ処理等の加圧処理、解砕や粉砕(破砕)等の機械的処理、表面改質(例えば、官能基の導入、金属修飾等の化学的修飾)等から選択される1または2以上の処理を適用して得られたシリカ粒子が含まれ得る。ここに開示される技術における砥粒は、このようなシリカ粒子の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて含むものであり得る。
シリカ粒子としては、例えば、原料シリカに対して熱処理を施して得られたシリカ粒子(以下「熱処理シリカ」ともいう。)、具体的には加温されたシリカ粒子、乾燥されたシリカ粒子、焼成されたシリカ粒子等を好ましく利用し得る。ここで、加温されたシリカ粒子とは、典型的には、60℃以上110℃未満の環境下に一定時間以上(例えば15分以上、典型的には30分以上)保持する処理を経て得られたシリカ粒子をいう。また、乾燥されたシリカ粒子とは、典型的には、110℃以上500℃未満(好ましくは300℃以上500℃未満)の環境下に一定時間以上(例えば15分以上、典型的には30分以上)保持する処理を経て得られたシリカ粒子をいう。そして、焼成されたシリカ粒子(以下「焼成シリカ」ともいう。)とは、典型的には500℃以上、好ましくは700℃以上、さらに好ましくは900℃以上の環境下に一定時間以上(例えば15分以上、典型的には30分以上)保持する処理を経て得られたシリカ粒子をいう。上述したいずれかの原料シリカ(沈降シリカ、ケイ酸ソーダ法シリカ、アルコキシド法シリカ、フュームドシリカ、乾燥シリカ、爆発法シリカ等)を熱処理する過程を経て得られたシリカ粒子は、ここでいう熱処理シリカの概念に包含される典型例である。
ここに開示される技術におけるシリカ砥粒の構成成分として使用し得るシリカ粒子の他の一好適例として、コロイダルシリカが挙げられる。なかでも、ケイ酸ソーダ法シリカやアルコキシド法シリカのように、水相での粒子成長を経て合成されたコロイダルシリカの使用が好ましい。この種のコロイダルシリカを含むシリカ砥粒によると、高い研磨レートと良好な面精度とが好適に達成され得る。ここに開示されるシリカ砥粒がコロイダルシリカを含む場合、該シリカ砥粒に含まれるコロイダルシリカは、1種であってもよく、製造条件および/または物性の異なる2種以上であってもよい。また、上記シリカ砥粒は、1種または2種以上のコロイダルシリカからなる構成であってもよく、コロイダルシリカと他のシリカ粒子(すなわち、コロイダルシリカ以外のシリカ粒子)とを組み合わせて含む構成であってもよい。
コロイダルシリカの粒子形状は特に限定されず、例えば球形であってもよく、非球形であってもよい。非球形の具体例としては、ピーナッツ形状(すなわち、落花生の殻の形状)、繭形状、突起付き形状(例えば金平糖形状)、ラグビーボール形状等が挙げられる。特に限定するものではないが、コロイダルシリカの長径/短径比の平均値(個数平均アスペクト比)は、好ましくは1.01以上、さらに好ましくは1.05以上(例えば1.1以上)である。個数平均アスペクト比の増大によって、より高い研磨レートが実現され得る。コロイダルシリカの個数平均アスペクト比は、上述の砥粒の個数平均アスペクト比と同様の方法で測定することができる。
ここに開示される技術は、研磨用組成物に含まれる砥粒が、熱処理シリカを単独で含むか、熱処理シリカと他のシリカ粒子とを組み合わせて含む態様で好ましく実施することができる。熱処理シリカと他のシリカ粒子とを組み合わせて含む態様において、使用される熱処理シリカの粒子径やアスペクト比は特に限定されない。
例えば、ここに開示される技術において、他のシリカと組み合わせて用いられる熱処理シリカとしては、平均一次粒子径が凡そ10nm以上(より好ましくは20nm以上、さらに好ましくは30nm以上、特に好ましくは40nm以上、典型的には50nm以上)である熱処理シリカを好ましく使用することができる。また、上記熱処理シリカの平均一次粒子径は、通常は凡そ150nm以下(好ましくは100nm以下、より好ましくは80nm以下、典型的には70nm未満)であることが適当である。上記平均一次粒子径を有する熱処理シリカを使用することにより、A75/A50等の砥粒特性が所望の範囲に調節された砥粒を好適に得ることができる。熱処理シリカの平均一次粒子径は、上述の砥粒の平均一次粒子径と同様の方法で測定することができる。
また、ここに開示される技術において、他のシリカと組み合わせて用いられる熱処理シリカの個数平均アスペクト比は、通常は1.10以上であることが適当であり、好ましくは1.20以上、より好ましくは1.30以上、さらに好ましくは1.35以上である。熱処理シリカは、個数平均アスペクト比が高くても加工時に粒子の欠けが発生しにくく、良好な加工性を付与する砥粒となり得る。また、上記熱処理シリカの個数平均アスペクト比は、通常は3.0以下であることが適当であり、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下(例えば1.7以下)である。上記個数平均アスペクト比を有する熱処理シリカを使用することにより、A75/A50等の砥粒特性が所望の範囲に調節された砥粒を好適に得ることができる。熱処理シリカの個数平均アスペクト比は、上述の砥粒の個数平均アスペクト比と同様の方法で測定することができる。
また、熱処理シリカと組み合わせて用いられる他のシリカ粒子の種類は、特に限定されず、上述のシリカ粒子(コロイダルシリカ、沈降シリカ、ケイ酸ソーダ法シリカ、アルコキシド法シリカ、フュームドシリカ、乾燥シリカ、爆発法シリカ等)の1種または2種以上を使用することができる。なかでも、コロイダルシリカが好ましい。したがって、ここに開示される技術は、研磨用組成物に含まれるシリカ砥粒が、熱処理シリカとコロイダルシリカとを組み合わせて含む態様で好ましく実施することができる。熱処理シリカに加えてコロイダルシリカを用いることにより、より高い面精度が実現され得る。
また、上記他のシリカ(好ましくはコロイダルシリカ)の粒子径やアスペクト比は特に限定されない。例えば、ここに開示される砥粒において、熱処理シリカと組み合わせて用いられる他のシリカとしては、平均一次粒子径が凡そ100nm以下(より好ましくは80nm以下、さらに好ましくは60nm未満、典型的には40nm未満)であるシリカを好ましく使用することができる。また、上記他のシリカの平均一次粒子径は、通常は凡そ10nm以上(好ましくは20nm以上、より好ましくは30nm以上)であることが適当である。上記平均一次粒子径を有するシリカを使用することにより、A75/A50等の砥粒特性が所望の範囲に調節された砥粒を好適に得ることができる。他のシリカの平均一次粒子径は、上述の砥粒の平均一次粒子径と同様の方法で測定することができる。
また、ここに開示される砥粒において、熱処理シリカと組み合わせて用いられる他のシリカの個数平均アスペクト比は、通常は1.25以下(好ましくは1.10以下、より好ましくは1.05以下、さらに好ましくは1.02以下、典型的には1.01以下)であることが適当である。また、上記他のシリカの個数平均アスペクト比は、原理上1.00以上であり、1.01以上であってもよい。他のシリカの個数平均アスペクト比は、上述の砥粒の個数平均アスペクト比と同様の方法で測定することができる。
上記のように、砥粒が少なくとも熱処理シリカを含む態様において、砥粒における熱処理シリカの含有量は、特に限定されない。上記熱処理シリカの含有量は、研磨レートの観点から、砥粒の10重量%以上であることが好ましく、より好ましくは20重量%以上(例えば25重量%以上)、さらに好ましくは30重量%以上である。砥粒における熱処理シリカの含有量の上限は特に限定されず、実質的に100重量%(典型的には99重量%以上)であってもよい。各種性能(例えば研磨レート、研磨対象面のうねり等)のバランスをとる観点から、砥粒における熱処理シリカの含有量は、90重量%以下であることが好ましく、より好ましくは80重量%以下(例えば75重量%以下)、さらに好ましくは60重量%以下である。
また、研磨用組成物に含まれる砥粒が、熱処理シリカと他のシリカ粒子とを組み合わせて含む態様において、シリカ砥粒に含まれる熱処理シリカ(シリカ粒子A)の重量(W)と他のシリカ(シリカ粒子B、好ましくはコロイダルシリカ)の重量(W)との比(W/W)は、特に限定されない。研磨レートの観点から、上記比(W/W)は、0.20以上であることが好ましく、より好ましくは0.30以上、さらに好ましくは0.50以上、特に好ましくは1.0以上(例えば1.5以上)である。より高い研磨レートを得る観点から、W/Wを10以上とすることができ、30以上としてもよい。各種性能(例えば研磨レート、研磨後における研磨対象面の面精度等)のバランスをとる観点からは、W/Wは、50以下(例えば15以下、典型的には5.0以下)とすることが有利であり、他の一態様では3.0以下、さらには2.0以下(例えば1.5以下)であり得る。
(シリカ粒子以外の粒子)
ここに開示される研磨用組成物は、シリカ粒子以外の粒子を含有することができる。シリカ粒子以外の粒子としては、無機粒子、有機粒子、および有機無機複合粒子のいずれも利用可能である。無機粒子の具体例としては、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、酸化クロム粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、二酸化マンガン粒子、酸化亜鉛粒子、ベンガラ粒子等の酸化物粒子;窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等の窒化物粒子;炭化ケイ素粒子、炭化ホウ素粒子等の炭化物粒子;ダイヤモンド粒子;炭酸カルシウムや炭酸バリウム等の炭酸塩;等が挙げられる。上記アルミナ粒子としては、α−アルミナ、α−アルミナ以外の中間アルミナおよびこれらの複合物が挙げられる。中間アルミナとは、α−アルミナ以外のアルミナ粒子の総称であり、具体例としてはγ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、η−アルミナ、κ−アルミナおよびこれらの複合物が挙げられる。有機粒子の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子やポリ(メタ)アクリル酸粒子(ここで(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸を包括的に指す意味である。)、ポリアクリロニトリル粒子等が挙げられる。これらシリカ粒子以外の粒子は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここに開示される研磨用組成物において、該研磨用組成物に含まれる固形分に占めるシリカ粒子の含有量は、特に限定されない。上記シリカ粒子の含有量は、本発明による効果を発揮しやすくする観点から、上記固形分全体の40重量%以上であることが好ましく、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上、さらにより好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上(例えば99重量%以上)である。なお、本明細書において研磨用組成物に含まれる固形分とは、結合水が除去されない程度の温度(例えば60℃)で研磨用組成物から水分を蒸発させた後の残留分(不揮発分)をいう。
ここに開示される研磨用組成物は、アルミナ砥粒(例えばα−アルミナ砥粒)を実質的に含まない態様で好ましく実施され得る。かかる研磨用組成物によると、アルミナ砥粒の使用に起因する品質低下(例えば、スクラッチや窪みの発生、アルミナの残留、砥粒の突き刺さり欠陥等)が防止される。なお、本明細書において、所定の砥粒(例えばアルミナ砥粒)を実質的に含まないとは、研磨用組成物に含まれる固形分全量のうち当該砥粒の割合が1重量%以下(より好ましくは0.5重量%以下、典型的には0.1重量%以下)であることをいう。アルミナ砥粒の割合が0重量%である研磨用組成物、すなわちアルミナ砥粒を含まない研磨用組成物が特に好ましい。また、ここに開示される研磨用組成物は、α−アルミナ砥粒を実質的に含まない態様で好ましく実施され得る。
ここに開示される研磨用組成物は、シリカ粒子以外の粒子(非シリカ粒子)を実質的に含まない態様でも好ましく実施され得る。ここで、非シリカ粒子を実質的に含まないとは、研磨用組成物に含まれる固形分全量のうち非シリカ粒子の割合が1重量%以下(より好ましくは0.5重量%以下、典型的には0.1重量%以下)であることをいう。このような態様において、ここに開示される技術の適用効果が好適に発揮され得る。
<研磨用組成物>
(水)
ここに開示される研磨用組成物は、典型的には、上述のような砥粒の他に、該砥粒を分散させる水を含有する。水としては、イオン交換水(脱イオン水)、純水、超純水、蒸留水等を好ましく用いることができる。
ここに開示される研磨用組成物(典型的にはスラリー状の組成物)は、例えば、その固形分含量が5g/L〜300g/Lである形態で好ましく実施され得る。上記固形分含量が10g/L〜200g/Lである形態がより好ましい。
(酸)
ここに開示される研磨用組成物は、研磨促進剤として酸を含む態様で好ましく実施され得る。好適に使用され得る酸の例としては、無機酸や有機酸(例えば、炭素原子数が1〜10程度の有機カルボン酸、有機ホスホン酸、有機スルホン酸、アミノ酸等)が挙げられるが、これらに限定されない。酸は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機酸の具体例としては、リン酸、硝酸、硫酸、塩酸、次亜リン酸、ホスホン酸、ホウ酸、スルファミン酸等が挙げられる。
有機酸の具体例としては、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、グリコール酸、コハク酸、イタコン酸、マロン酸、イミノ二酢酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、酒石酸、クロトン酸、ニコチン酸、酢酸、アジピン酸、ギ酸、シュウ酸、プロピオン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、シクロヘキサンカルボン酸、フェニル酢酸、安息香酸、クロトン酸、メタクリル酸、グルタル酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グリコール酸、タルトロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、イソクエン酸、メチレンコハク酸、没食子酸、アスコルビン酸、ニトロ酢酸、オキサロ酢酸、グリシン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、プロリン、シスチン、グルタミン、アスパラギン、リシン、アルギニン、ニコチン酸、ピコリン酸、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、エチルグリコールアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、フィチン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸、アミノポリ(メチレンホスホン酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アミノエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
研磨効率の観点から好ましい酸として、リン酸、硝酸、硫酸、スルファミン酸、フィチン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、メタンスルホン酸等が例示される。なかでも硝酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸、メタンスルホン酸が好ましい。
研磨用組成物中に酸を含む場合、その含有量は特に限定されない。酸の含有量は、通常、1g/L以上が適当であり、3g/L以上が好ましく、5g/L以上(例えば10g/L以上)がより好ましい。酸の含有量が少なすぎると、研磨レートが不足しやすくなり、実用上好ましくない場合がある。酸の含有量は、通常、200g/L以下が適当であり、100g/L以下が好ましく、50g/L以下(例えば30g/L以下)がより好ましい。酸の含有量が多すぎると、研磨対象物の面精度が低下しやすくなり、実用上好ましくない場合がある。
酸は、該酸の塩の形態で用いられてもよい。塩の例としては、上述した無機酸や有機酸の、金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩)、アンモニウム塩(例えば、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩)、アルカノールアミン塩(例えば、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩)等が挙げられる。
塩の具体例としては、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩およびアルカリ金属リン酸水素塩;上記で例示した有機酸のアルカリ金属塩;その他、グルタミン酸二酢酸のアルカリ金属塩、ジエチレントリアミン五酢酸のアルカリ金属塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸のアルカリ金属塩、トリエチレンテトラミン六酢酸のアルカリ金属塩;等が挙げられる。これらのアルカリ金属塩におけるアルカリ金属は、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等であり得る。
ここに開示される研磨用組成物に含まれ得る塩としては、無機酸の塩(例えば、アルカリ金属塩やアンモニウム塩)を好ましく採用し得る。例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、リン酸カリウム等を好ましく使用し得る。
酸およびその塩は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。ここに開示される研磨用組成物の好ましい一態様において、酸(好ましくは無機酸)と、該酸とは異なる酸の塩(好ましくは無機酸の塩)とを組み合わせて用いることができる。
(酸化剤)
ここに開示される研磨用組成物には、必要に応じて酸化剤を含有させることができる。酸化剤の例としては、過酸化物、硝酸またはその塩、過ヨウ素酸またはその塩、ペルオキソ酸またはその塩、過マンガン酸またはその塩、クロム酸またはその塩、酸素酸またはその塩、金属塩類、硫酸類等が挙げられるが、これらに限定されない。酸化剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、硝酸、硝酸鉄、硝酸アルミニウム、硝酸アンモニウム、ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ一硫酸アンモニウム、ペルオキソ一硫酸金属塩、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸金属塩、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸ナトリウム、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、過塩素酸、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、過マンガン酸カリウム、クロム酸金属塩、重クロム酸金属塩、塩化鉄、硫酸鉄、クエン酸鉄、硫酸アンモニウム鉄等が挙げられる。好ましい酸化剤として、過酸化水素、硝酸鉄、過ヨウ素酸、ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸および硝酸が例示される。少なくとも過酸化水素を含むことが好ましく、過酸化水素からなることがより好ましい。
研磨用組成物中に酸化剤を含む場合、その含有量は、有効成分量基準で1g/L以上であることが好ましく、より好ましくは3g/L以上、さらに好ましくは4g/L以上である。酸化剤の含有量が少なすぎると、研磨対象物を酸化する速度が遅くなり、研磨レートが低下するため、実用上好ましくない場合がある。また、研磨用組成物中に酸化剤を含む場合、その含有量は、有効成分量基準で30g/L以下であることが好ましく、より好ましくは15g/L以下である。酸化剤の含有量が多すぎると、研磨対象物の面精度が低下しやすくなり、実用上好ましくない場合がある。
(塩基性化合物)
研磨用組成物には、必要に応じて塩基性化合物を含有させることができる。ここで塩基性化合物とは、研磨用組成物に添加されることによって該組成物のpHを上昇させる機能を有する化合物を指す。塩基性化合物の例としては、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩や炭酸水素塩、第四級アンモニウムまたはその塩、アンモニア、アミン、リン酸塩やリン酸水素塩、有機酸塩等が挙げられる。塩基性化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属水酸化物の具体例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
炭酸塩や炭酸水素塩の具体例としては、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
第四級アンモニウムまたはその塩の具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム;このような水酸化第四級アンモニウムのアルカリ金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩);等が挙げられる。
アミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、無水ピペラジン、ピペラジン六水和物、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−メチルピペラジン、グアニジン、イミダゾールやトリアゾール等のアゾール類、等が挙げられる。
リン酸塩やリン酸水素塩の具体例としては、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のアルカリ金属塩が挙げられる。
有機酸塩の具体例としては、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム、酒石酸カリウム、酒石酸カリウムナトリウム、酒石酸アンモニウム等が挙げられる。
(その他の成分)
ここに開示される研磨用組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、界面活性剤、水溶性高分子、分散剤、キレート剤、防腐剤、防カビ剤等の、研磨用組成物(例えば、Ni−P基板等のような磁気ディスク基板用の研磨用組成物)に使用され得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。
界面活性剤としては、特に限定されず、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使用可能である。界面活性剤(典型的には、分子量1×10未満の水溶性有機化合物)の使用により、研磨用組成物の分散安定性が向上し得る。界面活性剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、アルキル硫酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスルホコハク酸、アルキルスルホコハク酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ポリアクリル酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、およびこれらの塩等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤の他の具体例としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ベンゼンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のポリアルキルアリールスルホン酸系化合物;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物;リグニンスルホン酸、変成リグニンスルホン酸等のリグニンスルホン酸系化合物;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸系化合物;その他、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリイソアミレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸;およびこれらの塩等が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルアミン塩等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。
界面活性剤を含む態様の研磨用組成物では、界面活性剤の含有量を、例えば0.005g/L以上とすることが適当である。上記含有量は、研磨後の表面の平滑性等の観点から、好ましくは0.01g/L以上、より好ましくは0.1g/L以上である。また、研磨レート等の観点から、上記含有量は、100g/L以下とすることが適当であり、好ましくは50g/L以下、例えば10g/L以下である。
ここに開示される研磨用組成物には、水溶性高分子を含有させてもよい。水溶性高分子を含有させることにより、研磨後の面精度が向上し得る。水溶性高分子の例としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド等のポリアルキルアリールスルホン酸系化合物;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物;リグニンスルホン酸、変成リグニンスルホン酸等のリグニンスルホン酸系化合物;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸系化合物;その他、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリイソアミレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリ酢酸ビニル、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリビニルアルコール、ポリグリセリン、ポリビニルピロリドン、イソプレンスルホン酸とアクリル酸の共重合体、ポリビニルピロリドンポリアクリル酸共重合体、ポリビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体、ジアリルアミン塩酸塩二酸化硫黄共重合体、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、プルラン、キトサン、キトサン塩類等が挙げられる。水溶性高分子は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
水溶性高分子を含む態様の研磨用組成物では、研磨液中における該水溶性高分子の含有量(複数の水溶性高分子を含む態様では、それらの合計含有量)を、例えば0.01g/L以上とすることが適当である。上記含有量は、研磨後の研磨対象物(例えば磁気ディスク基板)の表面平滑性等の観点から、好ましくは0.05g/L以上、より好ましくは0.08g/L以上、さらに好ましくは0.1g/L以上である。また、研磨レート等の観点から、上記含有量は、10g/L以下とすることが適当であり、好ましくは5g/L以下、例えば1g/L以下である。なお、ここに開示される技術は、研磨用組成物が水溶性高分子を実質的に含まない態様でも好ましく実施され得る。
分散剤の例としては、ポリカルボン酸ナトリウム塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩等のポリカルボン酸系分散剤;ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩、ナフタレンスルホン酸アンモニウム塩等のナフタレンスルホン酸系分散剤;アルキルスルホン酸系分散剤;ポリリン酸系分散剤;ポリアルキレンポリアミン系分散剤;第四級アンモニウム系分散剤;アルキルポリアミン系分散剤;アルキレンオキサイド系分散剤;多価アルコールエステル系分散剤;等が挙げられる。
キレート剤の例としては、アミノカルボン酸系キレート剤および有機ホスホン酸系キレート剤が挙げられる。アミノカルボン酸系キレート剤の例には、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸アンモニウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラミン六酢酸およびトリエチレンテトラミン六酢酸ナトリウムが含まれる。有機ホスホン酸系キレート剤の例には、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸およびα−メチルホスホノコハク酸が含まれる。これらのうち有機ホスホン酸系キレート剤がより好ましく、なかでも好ましいものとしてエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)およびジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)が挙げられる。特に好ましいキレート剤として、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)が挙げられる。
防腐剤および防カビ剤の例としては、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾリン系防腐剤、パラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール等が挙げられる。
(研磨液)
ここに開示される研磨用組成物は、典型的には該研磨用組成物を含む研磨液の形態で研磨対象物(磁気ディスク基板)に供給されて、該研磨対象物の研磨に用いられる。上記研磨液は、例えば、研磨用組成物を希釈(典型的には、水により希釈)して調製されたものであり得る。あるいは、研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。すなわち、ここに開示される技術における研磨用組成物の概念には、研磨対象物に供給されて該研磨対象物の研磨に用いられる研磨液(ワーキングスラリー)と、希釈して研磨液として用いられる濃縮液との双方が包含される。このような濃縮液の形態の研磨用組成物は、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から有利である。濃縮倍率は、例えば1.5倍〜50倍程度とすることができる。濃縮液の貯蔵安定性等の観点から、通常は2倍〜20倍(典型的には2倍〜10倍)程度の濃縮倍率が適当である。
研磨液における砥粒の含有量(複数種類の砥粒を含む場合には、それらの合計含有量)は特に制限されないが、典型的には5g/L以上であり、10g/L以上であることが好ましく、20g/L以上であることがより好ましい。砥粒の含有量の増大によって、より高い研磨レートが実現される傾向にある。研磨後の基板の表面平滑性や研磨の安定性の観点から、通常、上記含有量は、250g/L以下が適当であり、好ましくは200g/L以下、より好ましくは150g/L以下、さらに好ましくは100g/L以下である。
(pH)
ここに開示される研磨用組成物のpHは特に制限されない。研磨用組成物のpHは、例えば、12.0以下(典型的には0.5〜12.0)とすることができ、10.0以下(典型的には0.5〜10.0)としてもよい。研磨レートや面精度等の観点から、研磨用組成物のpHは、7.0以下(例えば0.5〜7.0)とすることができ、5.0以下(典型的には1.0〜5.0)とすることがより好ましく、4.0以下(例えば1.0〜4.0)とすることがさらに好ましい。研磨用組成物のpHは、例えば3.0以下(典型的には1.0〜3.0、好ましくは1.0〜2.0、より好ましくは1.0〜1.8)とすることができる。研磨液において上記pHが実現されるように、必要に応じて有機酸、無機酸、塩基性化合物等のpH調整剤を含有させることができる。上記pHは、例えば、Ni−P基板等の磁気ディスク基板の研磨用(特に一次研磨用)の研磨用組成物に好ましく適用され得る。
(多剤型研磨用組成物)
なお、ここに開示される研磨用組成物は、一剤型であってもよいし、二剤型を始めとする多剤型であってもよい。例えば、該研磨用組成物の構成成分(典型的には、水以外の成分)のうち一部の成分を含むA液と、残りの成分を含むB液とが混合されて研磨対象物の研磨に用いられるように構成されていてもよい。好ましい一態様に係る多剤型研磨用組成物は、砥粒を含むA液(典型的には、分散剤を含んでもよい砥粒分散液)と、砥粒以外の成分(例えば、酸、水溶性高分子その他の添加剤)を含むB液とから構成されている。通常、これらは、使用前は分けて保管されており、使用時(研磨対象基板の研磨時)に混合され得る。混合時には、例えば過酸化水素等の酸化剤がさらに混合され得る。例えば、上記酸化剤(例えば過酸化水素)が水溶液(例えば過酸化水素水)の形態で供給される場合、当該水溶液は、多剤型研磨用組成物を構成するC液となり得る。
ここに開示される研磨用組成物は、例えば、Ni−P基板の研磨に好ましく適用され得る。上記基材ディスクは、例えば、アルミニウム合金製、ガラス製、ガラス状カーボン製等であり得る。このような基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層以外の金属層または金属化合物層を備えたディスク基板であってもよい。なかでも、アルミニウム合金製の基材ディスク上にニッケルリンめっき層を有するNi−P基板用の研磨用組成物として好適である。かかる用途では、ここに開示される技術を適用することが特に有意義である。
ここに開示される研磨用組成物は、仕上げ研磨工程後において高精度な表面が要求される研磨物(磁気ディスク基板)の製造プロセスにおける予備研磨工程のように、高い研磨効率が要求される用途において特に有意義に使用され得る。仕上げ研磨工程の前工程として複数の予備研磨工程を有する場合は、いずれの予備研磨工程にも使用可能であり、これらの予備研磨工程において同一のまたは異なる研磨用組成物を用いることができる。ここに開示される研磨用組成物は、例えば、研磨対象物の一次研磨工程(最初のポリシング工程)に用いられる研磨用組成物として好適である。なかでも、Ni−P基板の製造プロセスにおいて、ニッケルリンめっき後の最初の研磨工程(一次研磨工程)において好ましく使用され得る。
ここに開示される研磨用組成物によると、研磨後の磁気ディスク基板(典型的にはNi−P基板)表面の算術平均うねり(Wa)が、好ましくは5Å未満に調整され得る。また、上記のうねり低減は、凡そ0.25μm/min以上(例えば0.30μm/min以上、典型的には0.40μm/min以上)という高い研磨レートで実現され得る。したがって、ここに開示される技術によると、うねりを効率的に低減するのに適した磁気ディスク基板の研磨方法(うねり低減方法ともいえる。)が提供される。上記算術平均うねり(Wa)および研磨レートは、後述の実施例に記載の方法で測定される。
ここに開示される研磨用組成物は、例えば、Schmitt Measurement System Inc.社製レーザースキャン式表面粗さ計「TMS−3000WRC」により測定される表面粗さ(算術平均粗さ(Ra))が20Å〜300Å程度の磁気ディスク基板を研磨(典型的には一次研磨)して、該磁気ディスク基板を10Å以下の表面粗さ(算術平均粗さ(Ra))に調整する用途に好適である。かかる用途では、ここに開示される技術を適用することが特に有意義である。
<研磨プロセス>
ここに開示される研磨用組成物は、例えば以下の操作を含む態様で、研磨対象物(ここでは磁気ディスク基板)の研磨に好適に使用することができる。以下、ここに開示される研磨用組成物を用いて研磨対象物(研磨対象基板ともいう。)を研磨する方法の好適な一態様につき説明する。
すなわち、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を含む研磨液(ワーキングスラリー)を用意する。上記研磨液を用意することには、研磨用組成物に濃度調整(例えば希釈)やpH調整等の操作を加えて研磨液を調製することが含まれ得る。あるいは、研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。
次いで、その研磨液を研磨対象物に供給し、常法により研磨する。例えば、一般的な研磨装置に研磨対象物をセットし、該研磨装置の研磨パッドを通じて上記研磨対象物の表面(研磨対象面)に研磨液を供給する。典型的には、上記研磨液を連続的に供給しつつ、研磨対象物の表面に研磨パッドを押しつけて両者を相対的に移動(例えば回転移動)させる。かかる研磨工程を経て研磨対象物の研磨が完了する。
上述のような研磨工程は、磁気ディスク基板(例えばNi−P基板)の製造プロセスの一部であり得る。したがって、この明細書によると、上記研磨工程を含む磁気ディスク基板の製造方法および研磨方法が提供される。
ここに開示される研磨用組成物は、研磨対象物の予備研磨工程(例えば一次研磨工程)に好ましく使用され得る。この明細書によると、上述したいずれかの研磨用組成物(予備研磨用組成物)を用いて予備研磨を行う工程を含む、研磨物(基板)の製造方法および研磨方法が提供される。上記方法は、ここに開示される研磨用組成物を研磨対象物に供給して研磨対象物を研磨する工程(1)を含む。上記方法は、上記予備研磨工程の後に仕上げ研磨工程を含み得る。仕上げ研磨工程に使用する研磨用組成物(仕上げ研磨用組成物)は特に限定されない。したがって、この明細書により開示される事項には、ここに開示される砥粒を含む研磨用組成物で研磨対象物を研磨する工程(1)と、工程(1)で用いられる研磨用組成物とは異なる研磨用組成物で研磨対象物を研磨する工程(2)とをこの順で含む、磁気ディスク基板の製造方法および研磨方法が含まれる。かかる製造方法によると、磁気ディスク基板を効率よく製造することができる。
工程(2)で使用される砥粒としては、特に限定されず、典型的には、工程(1)で用いられる砥粒(工程(2)で使用される砥粒A2と区別する目的で、以下「砥粒A1」という。)として例示した各種砥粒であって砥粒A1とは異なる種類の砥粒A2が用いられる。工程(2)では、工程(1)に用いられる砥粒A1よりも個数平均アスペクト比が小さい砥粒A2を含む仕上げ研磨用組成物を使用することが好ましい。砥粒A2の個数平均アスペクト比(長径/短径比の平均値)としては、砥粒A1の個数平均アスペクト比Aspect1と砥粒A2の個数平均アスペクト比Aspect2との比(Aspect2/Aspect1)が1未満(より好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.8以下)のものが好ましく使用される。より具体的には、砥粒A2の個数平均アスペクト比は、1.00以上であり、好ましくは1.01以上(例えば1.05以上)である。個数平均アスペクト比の増大によって、より高い研磨レートが実現され得る。また、上記個数平均アスペクト比は、表面粗さ低減等の観点から、好ましくは1.5未満であり、より好ましくは1.3未満、さらに好ましくは1.25未満である。また、砥粒A2は、表面品質の観点から、A90が1.25未満(例えば1.2未満、さらには1.1未満)であることが好ましい。なお、砥粒A2の個数平均アスペクト比およびA90は、上述の砥粒A1の個数平均アスペクト比およびA90とそれぞれ同様の方法で測定することができる。
砥粒A2の好適例としては、コロイダルシリカが挙げられる。コロイダルシリカを用いることにより、面精度の高い研磨物を効率よく製造することができる。砥粒A2として用いられるコロイダルシリカの粒子形状は特に限定されず、例えば球形であってもよく、非球形であってもよいが、球形のコロイダルシリカが好ましく用いられる。
砥粒A2(例えばシリカ砥粒、典型的にはコロイダルシリカ)を含む仕上げ研磨用組成物において、該仕上げ研磨用組成物に含まれる砥粒A2の平均一次粒子径(D1)は特に限定されない。仕上げ研磨後における面精度の観点から、仕上げ研磨用組成物に含まれる砥粒A2の平均一次粒子径は、上記予備研磨用組成物に含まれる砥粒A1の平均一次粒子径よりも小さいことが好ましい。仕上げ研磨用組成物に含まれる砥粒A2の平均一次粒子径は、例えば70nm以下(典型的には5nm以上70nm未満)とすることができ、65nm以下(典型的には5nm〜65nm、例えば10nm〜50nm)とすることが好ましい。好ましい一態様において、仕上げ研磨用組成物に含まれる砥粒A2の平均一次粒子径は、例えば40nm未満(典型的には5nm以上40nm未満)とすることができ、35nm以下(典型的には5nm〜35nm、例えば10nm〜30nm)とすることが好ましい。なお、砥粒A2の平均一次粒子径は、上述の砥粒A1の平均一次粒子径と同様の方法で測定することができる。
砥粒A2(例えばシリカ砥粒、典型的にはコロイダルシリカ)を含む仕上げ研磨用組成物において、砥粒A2の含有量は特に限定されない。上記砥粒A2の含有量は、仕上げ研磨用組成物に含まれる固形分全体の40重量%以上であることが好ましく、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上(例えば80重量%以上)である。
仕上げ研磨用組成物は、典型的には砥粒A2の他に水を含む。その他、仕上げ研磨用組成物には、上述した研磨用組成物と同様の成分(酸、酸化剤、塩基性化合物、各種添加剤等)を必要に応じて含有させることができる。特に限定するものではないが、仕上げ研磨用組成物のpHは、例えば12.0以下(典型的には0.5〜12.0)とすることができ、好ましくは7.0以下(例えば0.5〜7.0)、より好ましくは5.0以下(典型的には1.0〜5.0)、さらに好ましくは4.0以下(例えば1.0〜4.0)である。好ましい一態様において、仕上げ研磨用組成物のpHを3.0以下(典型的には1.0〜3.0、好ましくは1.0〜3.5、より好ましくは1.0〜3.0)とすることができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<例1〜7>
[研磨用組成物の調製]
アスペクト比や平均粒子径の異なる複数種類のシリカ粒子(熱処理シリカ、コロイダルシリカA〜D)を用意した。これらのシリカ粒子を単独でまたは組み合わせて含む砥粒と、リン酸と、31%過酸化水素水と、脱イオン水とを混合して、砥粒を45g/L、リン酸を12.5g/L、31%過酸化水素水を40g/Lの割合で含む例1〜7の研磨用組成物を調製した。各例に係る研磨用組成物のpHは1.5であった。各例で使用した砥粒の種類、物性を表1に示す。
[ディスクの研磨]
各例に係る研磨用組成物をそのまま研磨液に使用して、下記の条件で、研磨対象物の研磨を行った。研磨対象物としては、表面に無電解ニッケルリンめっき層を備えたハードディスク用アルミニウム基板を使用した。上記研磨対象物(研磨対象基板)の直径は3.5インチ(外径約95mm、内径約25mmのドーナツ型)、厚さは1.75mmであり、研磨前における表面粗さRa(Schmitt Measurement System Inc.社製レーザースキャン式表面粗さ計「TMS−3000WRC」により測定したニッケルリンめっき層の算術平均粗さ)は130Åであった。
(研磨条件)
研磨装置:システム精工社製の両面研磨機、型式「9.5B−5P」
研磨パッド:FILWEL社製のポリウレタンパッド、商品名「CR200」
研磨対象基板の投入枚数:15枚(3枚/キャリア ×5キャリア)
研磨液の供給レート:135mL/分
研磨荷重:120g/cm
上定盤回転数:27rpm
下定盤回転数:36rpm
サンギヤ(太陽ギヤ)回転数:8rpm
研磨量:各基板の両面の合計で約2.2μmの厚さ
[研磨レート]
各例に係る研磨用組成物を用いて上記研磨条件で研磨対象基板を研磨したときの研磨レートを算出した。研磨レートは、次の計算式に基づいて求めた。
研磨レート[μm/min]=研磨による基板の重量減少量[g]/(基板の面積[cm]×ニッケルリンめっきの密度[g/cm]×研磨時間[min])×10
得られた値を、例3の研磨レートを1としたときの相対値に換算して表1の「研磨レート」の欄に示す。
[長波長うねり]
KLA Tencor社(米国)製の「Optiflat III」を使用して、研磨後の基板の中心から半径20mm〜44mmの範囲についてカットオフ値5mmの条件で測定した算術平均うねり(Wa)の値を測定した。そして、得られた測定値が5Å未満のものを「○」、5Å以上のものを「△」と評価した。結果を表1の「うねり」の欄に示す。
Figure 2017182860
表1に示されるように、個数平均アスペクト比が1.3以下であり、かつ体積基準のアスペクト比分布における累積50%アスペクト比(A50)に対する累積75%アスペクト比(A75)の比(A75/A50)が1.05以上である砥粒を使用した例1〜4では、高い研磨レートとうねり低減とを高レベルで両立することができた。これに対して、個数平均アスペクト比が1.3を超えるか、あるいは比(A75/A50)が1.05未満である例5〜7では、研磨レートとうねり低減とを両立することができなかった。この結果から、ここに開示される技術によると、高い研磨レートとうねり低減とが高レベルで両立され得ることがわかる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (6)

  1. シリカ粒子を含む砥粒と、水と、を含む磁気ディスク基板研磨用組成物であって、
    前記砥粒の個数平均アスペクト比は1.3以下であり、
    前記砥粒の体積基準のアスペクト比分布における累積50%アスペクト比(A50)に対する累積75%アスペクト比(A75)の比(A75/A50)は、1.05以上である、磁気ディスク基板研磨用組成物。
  2. pHが5以下である、請求項1に記載の研磨用組成物。
  3. 仕上げ研磨工程の前工程で用いられる、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
  4. 磁気ディスク基板を製造する方法であって、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨用組成物を用いて研磨対象基板を研磨する工程(1)を含む、製造方法。
  5. 前記工程(1)の後に、仕上げ研磨用組成物を用いて前記研磨対象基板を研磨する工程(2)をさらに含み、
    前記仕上げ研磨用組成物はコロイダルシリカを含む、請求項4に記載の製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨用組成物を研磨対象基板に供給して該研磨対象基板を研磨する工程(1)を含む、磁気ディスク基板の研磨方法。
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