JP2017181919A - 車両用効果音発生装置 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、運転者による運転操作量を検出し、運転操作量に応じたエンジンの効果音を車室内スピーカを通して車室内に発生させる効果音発生装置(Active Engine Soundともいう)が提案されている。
これにより、運転者を含む乗員に刺激的なレベルのエンジン音を体験させている。
これにより、運転者に心地良い加速性能や加速感を得ている。
ここで、音量は音圧レベル、音程は周波数、音色は音質に夫々対応している。
基本周波数成分からなる基本波音とこの基本波音に対して2次以上の整数次周波数成分からなる整数次成分波音とが同時に発生された場合、整数次周波数成分の整数次調整波音(成分波音)が基本波音の倍音系列であるため、両方の音間にうなり(干渉)を生じることなく、音が互いに溶け合った協和音が形成されている。
これに対し、基本波音とこの基本波音に対して2次以上の整数次周波数成分以外の周波数成分からなる成分波音とが同時に発生された場合、基本波音に合成される調整波音が基本波音の倍音系列ではないため、両方の音間に干渉を生じることから、濁った不協和音が形成される。
また、特許文献2の車両制御装置では、エンジン音の高周波数成分波音の目標音圧レベルを設定することにより、車両の加速の伸びに対応した効果音を生成している。
しかし、特許文献1,2の効果音発生装置では、運転者が受ける感じ方の側面(感覚)において、生成する効果音の性質に着目したものではなく、効果音の性質調整と運転者の注意力喚起との関連性について一切考慮されたものではない。
即ち、音圧レベルや周波数の調整によって、運転者に緊張感や警戒感を持たせることができ、効果音の音像位置の変更により運転者の意識に対して指向性を持たせることができるという効果音の特性に着目していないため、特許文献1,2は、運転者の意識に対して時間的に先行した注意力喚起を図ることができない。
車両進行方向前方の車線における旋回情報を取得する旋回情報取得手段と、前記旋回情報に基づいて将来車両に作用する予測横加速度を演算する横加速度演算手段とを有するため、旋回情報に基づいて将来車両に作用する予測横加速度を演算することができる。
前記予測横加速度が判定閾値以上のとき、前記基本波音と前記調整波音とを合成する効果音生成手段を有するため、車両の旋回挙動を時間的に先行して聴覚的演出することにより、事前に車両に作用する予測横加速度に基づく効果音によって運転者の旋回に対する注意力を喚起することができる。
この構成によれば、乗員に不快感を与えないハーモニック音とランブル音とにより、多彩な聴覚的演出を実行することができる。
この構成によれば、乗員が知覚する心地良さ又はパワー感の強調によって注意力を喚起することができる。
この構成によれば、協和レベルを維持しつつ、聴覚的演出数を増加することができる。
以下の説明は、本発明を車両Vに適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
効果音発生装置1は、車両Vの走行状態に応じてエンジンの効果音(ハーモニック音、ランブル音、不協和音)を選択的に発生し、このエンジンの効果音の音程を走行状態に応じて使い分けることにより、運転者(乗員)に聴覚を介して現在及び将来に亙った走行情報を提供し、運転時の聴覚的演出効果を高めている。
この効果音発生装置1による効果音演出機能は、臨場感高揚機能、注意喚起機能、及び操作違和感解消機能等から構成されている。
1対のスピーカ3,4は、前席に着座した運転者の左前方位置及び右前方位置に夫々対応するように左右1対のフロントピラーの下端側部分に夫々配設されている。
これらスピーカ3,4は、ECU2から入力される作動信号によって、発生する音(効果音)の各周波数ゲイン及び音圧レベルを独立して変更可能に構成されている。
それ故、スピーカ3から発生する効果音の音圧レベルがスピーカ4から発生する効果音の音圧レベルよりも大きく設定されたとき、運転者の視線がスピーカ3の方向に誘導され、運転者に左側ドアミラーを含む左側前方視野を認識させることができる。
また、スピーカ4から発生する効果音の音圧レベルがスピーカ3から発生する効果音の音圧レベルよりも大きく設定されたとき、運転者の視線がスピーカ4の方向に誘導され、運転者に右側ドアミラーを含む右側前方視野を認識させることができる。
舵角センサ7は、運転者によるステアリングホイールの操舵角度θに関連する信号を出力し、横Gセンサ8は、車両Vに作用する現在の横加速度Aに関連する信号を出力している。車輪速センサ9は、車速vを検出するために車輪(図示略)の回転速度に応じた信号を出力し、勾配センサ10は、車両Vが現在走行或いは停車している走行車線(路面)の傾斜角度に応じた信号を出力している。重量センサ11は、車両Vのトランク内に積載された荷物等の重量に関連する信号を出力している。
図1,図2に示すように、ナビゲーション装置12は、インスツルメントパネルの上部中央に配設され、車両Vの位置検出器、地図データ入力器、音声出力用スピーカ、及びモニタ等を備えている(何れも図示略)。このナビゲーション装置12は、車両Vの現在の走行位置を検出するためのGPS受信部(図示略)が電気的に接続されている。
このGPS受信部は、複数のGPS衛星からの信号を受信することで車両Vの現在位置を検出している。
これにより、ナビゲーション装置12は、GPS受信部によって、車両Vの現在位置データ、地図データベースの道路地図データ及び交通規則データベースの交通規則データを利用して運転者に目的地までの経路案内を行う。このナビゲーション装置12は、車両Vの現在位置データ、道路地図データ、及び交通規則データをECU2に出力している。
ナビゲーション装置12は、地図データベースから車両Vの進行方向前方の走行車線におけるカーブの存在位置及びカーブの旋回半径を含む曲率情報を取得するための旋回情報取得手段に相当している。
具体的には、DSC装置13は、ヨーレートセンサ6と、横Gセンサ8と、車輪速センサ9の検出信号に基づき車両Vの旋回姿勢が所定値以上に崩れたと判定されたとき、ブレーキ液圧の加圧ユニット(図示略)の作動により各車輪の制動力を制御し、車体にヨーモーメントを作用させて車両Vの旋回姿勢を目標方向に収束させている。
具体的には、DSC装置13は、車輪速センサ9の検出信号に基づき各車輪のスリップ率を算出し、算出したスリップ率が所定の閾値を超えた車輪を検出したとき、加圧ユニットを制御して該当する車輪に作用する制動力を低下させてホイールロックを防止している。
このDSC装置13は、各車輪のスリップ率に加えて、横Gセンサ8の検出信号及び車輪速センサ9の検出信号に基づき路面摩擦係数μ(以下、路面μと略す)を演算し、演算した路面μをECU2に出力している。
車間距離報知機能とは、走行中、車両Vの前方及び後方において所定距離離隔した領域内に他車両(先行車両又は後続車両)や障害物が存在しているとき、スピーカ3,4を介した警報やワーニングランプ(図示略)を点灯させることによって運転者に衝突の危険性を認識させ、回避動作を行うように誘導することにより衝突回避を図る機能である。
感情改善機能とは、運転者の表情や動作に基づき、走行中における運転者の喜怒哀楽に関する感情を推定し、照明や音楽によって運転者の感情を改善方向(不快又は不活性状態から快又は活性状態)に誘導する機能である。
前方カメラ16は、ルーフパネル前端側下面のバックミラー(図示略)近傍位置に装着され、フロントウインドガラスを介して進行方向前方の走行車線の白線位置、先行車両、及び進行方向前方のカーブの進入・脱出位置等を撮像可能に構成されている。
後方カメラ17は、ルーフパネル後端側下面に装着され、リヤウインドガラスを介して後続車両等を撮像可能に構成されている。これらカメラ16,17は、2台のカメラのレンズ機構とシャッタ機構とを1台にしたステレオタイプカメラであり、単体で撮像対象物までの離隔距離及び車両Vから撮像対象物までの方向を夫々検出可能に構成されている。
また、この室内カメラ18は、運転者以外の乗員(搭乗者)を含む室内画像を広角に撮像可能であり、この撮像画像により車両Vに乗車している乗員数を検出している。
モード切替スイッチ15は、所定のオン操作によってハーモニック音を主体としたエンジンの効果音を生成する第1モードと、所定のオン操作によってランブル音を主体としたエンジンの効果音を生成する第2モードとを切替可能に形成されている。
基本波音と整数次周波数成分からなる整数次調整波音は、成分音の周波数が全て一致し、うなり(干渉)を発生しないため、基本波音と1又は複数の整数次調整波音とを合成したハーモニック音は、伸びがあり、運転者に対して心地良い印象を与える協和音を形成する。
偶数次倍音が基本波音の倍音系列である半次周波数成分からなる半次調整波音は、基本波音との間に一部干渉が生じるものの、運転者(乗員)の感覚的には僅かであるため、基本波音と1又は複数の半次調整波音とを合成したランブル音は、力強さがあり、運転者等乗員にパワー感を知覚させる準協和音を形成する。
第3モードにおいて生成される効果音は、基本周波数成分からなる基本波音とこの基本波音の整数次周波数成分及び半次周波数成分以外の不協和周波数成分からなる1又は複数の不協和調整波音とを合成した効果音であるため、成分音間でうなりを生じ、運転者に対して緊張感や警戒感を伴った不快な印象を与える不協和音である。
ECU2は、基本波音と選択された1又は複数の調整波音とを合成してエンジンの効果音を人工的に生成することにより、運転者の操作感を向上するように構成されている。
このECU2は、CPU(Central Processing Unit)と、ROMと、RAMと、アンプと、イン側インタフェースと、アウト側インタフェース等によって形成されている。
ROMには、エンジンの各効果音を生成するための種々のプログラムやデータが格納され、RAMには、CPUが一連の処理を行う際に使用される処理領域が設けられている。
イン側インタフェースは、各センサ5〜11,各装置12〜14及びモード切替スイッチ15と電気的に接続され、アウト側インタフェースは、アンプを介して1対のスピーカ3,4及び各装置12〜14と電気的に接続されている。
図3に示すように、振動音マップM1は、エンジン回転数毎に、基本周波数成分の1次成分波音(基本波音)から基本周波数成分の10倍の周波数成分を備えた10次成分波音まで単位周波数(例えば、0.01次周波数)毎の音源を記憶している。
それ故、振動音マップM1内には、エンジン回転数毎に、基本波音、基本周波数成分の整数倍の周波数成分を備えた整数次成分波音(整数次調整波音)、偶数次倍音が基本波音の倍音系列である半次成分波音(半次調整波音)、及び基本波音と倍音関係が成立しない不協和成分波音(不協和調整波音)が夫々存在している。
ヨーレートの検出値をy、横加速度の検出値をAとしたとき、車両Vの車速vが判定用閾値t2以上の場合、横入力量Pを次式(1)によって演算している。
P=y/A …(1)
これにより、車両Vの横滑り傾向とスリップ傾向とを反映した横入力量Pが取得される。
尚、横入力量Pは、少なくとも、横方向に対する車両状態を反映できれば良く、上記低車速時の横入力量Pのように、ステアリングホイールの操舵角度θ、ヨーレートy、横加速度Aのうち何れか1つの検出値を車速vに拘らず横入力量Pとして使用しても良く、また、2つ以上の検出値を組み合わせたパラメータを車速vに拘らず横入力量Pとして採用することも可能である。
調整波音選択部22は、振動音マップM1に記憶されている複数の成分波音から基本波音N0に合成する1又は複数の調整波音を選択可能に構成されている。
この調整波音選択部22は、第1〜第3調整波音N1〜N3を選択し、走行状態に基づいて選択されたゲインマップM2〜M4を用いて第1〜第3調整波音N1〜N3を夫々補正する第1〜第3ゲインg1〜g3(0<g1<g2<g3)を決定している。
図4(a)〜図4(c)に示すように、ECU2には、標準ゲインマップM2と、減少ゲインマップM3と、増加ゲインマップM4とが予め記憶されている。
効果音の出力特性の1つである第1〜第3調整波音N1〜N3のゲインα2〜α4,β2〜β4,γ2〜γ4は、横加速度Aが零のとき、ゲイン値が零に規定され、横加速度Aの絶対値が増加する程ゲイン値が一次関数状に増加するように左右対称に設定されている。
そして、各ゲインα2〜α4,β2〜β4,γ2〜γ4は、ゲイン値が所定の中段地点からそれ以前の増加率よりも大きな増加率で増加し、上限値において一定値に収束している。
γ2<β2<α2
γ3<β3<α3
γ4<β4<α4 …(2)
また、ゲインマップM2〜M4間では、次式(3)が成立するようにゲイン値が夫々規定されている。
α3<α2<α4
β3<β2<β4
γ3<γ2<γ4 …(3)
挙動遅れ予測部23は、乗員数及び積載物の重量が多い状況、所謂車両Vの総重量が判定用閾値t3以上の場合、車両Vの挙動遅れ状況を予測するように構成されている。
この挙動遅れ予測部23が車両Vの挙動遅れ状況を予測判定したとき、調整波音選択部22は、応答性が高い増加ゲインマップM4を選択している。
車体重量が判定用閾値t3以上の場合、運転者による舵角操作(操作量)に対して車両Vの挙動が遅れるため、車両Vによる将来の挙動を予測して車両Vの現在の挙動に先行して効果音を増加補正し、聴覚的に車両Vの挙動遅れを補正することにより運転者の操作違和感を解消するためである。
DSC装置13から入力された路面μが判定用閾値t4以下又は勾配センサ10から入力された登坂勾配が判定用閾値t5以上の場合、運転者の舵角操作に対して車両Vの実際の挙動が追従し難いため、効果音を減少補正し、聴覚的に車両Vの追従性低下を補正することにより運転者の操作違和感を解消するためである。
そして、車両Vの挙動遅れ及び追従性低下の何れの状況も発生する可能性が低い場合には、応答性が標準値である標準ゲインマップM2が選択される。
第1モードが選択されているとき、調整波音選択部22は、横入力量Pに基づき整数次周波数成分からなる第1〜第3調整波音N1〜N3を選択するように構成されている。
具体的には、横入力量Pが判定用閾値p2(0<p1<p2)以下のとき、基本周波数成分に最も近接した整数次周波数成分である2次成分波音を第1調整波音N1に割付け、横入力量Pが判定用閾値p2よりも大きく且つ判定用閾値p3(p2<p3)以下のとき、既に選択された第1調整波音N1に加えて、2次成分波音の次に近接した整数次周波数成分である3次成分波音を第2調整波音N2に割付け、横入力量Pが判定用閾値p3よりも大きいとき、既に選択された第1,第2調整波音N1,N2に加えて、3次成分波音の次に近接した整数次周波数成分である4次成分波音を第3調整波音N3に割付けている。
整数次周波数成分からなる調整波音は、基本周波数成分に近接する程協和レベルを高くできるためである。
具体的には、横入力量Pが判定用閾値p2以下のとき、基本周波数成分に最も近接した半次周波数成分である1.5次成分波音を第1調整波音N1に割付け、横入力量Pが判定用閾値p2よりも大きく且つ判定用閾値p3以下のとき、既に選択された第1調整波音N1に加えて、1.5次成分波音の次に近接した半次周波数成分である2.5次成分波音を第2調整波音N2に割付け、横入力量Pが判定用閾値p3よりも大きいとき、既に選択された第1,第2調整波音N1,N2に加えて、2.5次成分波音の次に近接した半次周波数成分である3.5次成分波音を第3調整波音N3に割付けている。
半次周波数成分からなる調整波音は、基本周波数成分に近接する程協和レベル(準協和レベル)を高くできるためである。
危険度判定部25は、現在の走行状態に基づいて車両Vの危険度Bを判定している。
この危険度判定部25は、運転者の操舵操作による舵角速度Δθと、横入力量Pと、先行車両又は後続車両のうち最も近い車両との車間距離Lとによって各々の判定量a〜cを演算し、これらの判定量a〜cに基づいて危険度Bを演算している。
舵角速度判定量aは、舵角速度Δθが判定用閾値t6以上のとき、次式(4)によって演算され、それ以外のときには、零である。尚、k1〜k3(0<k1,k2,k3)は、補正係数である。
a=k1×Δθ …(4)
横入力量判定量bは、横入力量Pが判定用閾値t7以下のとき、次式(5)によって演算され、それ以外のときには、零である。
b=k2×P …(5)
車間距離判定量cは、車間距離Lが判定用閾値t8以下のとき、次式(6)によって演算され、それ以外のときには、零である。
c=k3×L …(6)
危険度Bは、次式(7)によって演算される。
B=a+b+c …(7)
これにより、何れの判定量も平均的に高いときに加え、特定の判定量に限って高いときにも、危険度Bを正確に判定している。
具体的には、危険度Bが判定用閾値r2(r1<r2)以下のとき、基本周波数成分から最も離隔すると共に整数次周波数成分(10次周波数成分)と半次周波数成分(9.5次周波数成分)の何れからも最も離隔した不協和周波数成分である9.75次成分波音を第1調整波音N1に割付け、危険度Bが判定用閾値r2よりも大きく且つ判定用閾値r3(r2<r3)以下のとき、既に選択された第1調整波音N1に加えて、9.75次成分波音の次に整数次周波数成分(9次周波数成分)と半次周波数成分(9.5次周波数成分)の何れからも離隔した不協和周波数成分である9.25次成分波音を第2調整波音N2に割付け、危険度Bが判定用閾値r3よりも大きいとき、既に選択された第1,第2調整波音N1,N2に加えて、9.25次成分波音の次に整数次周波数成分(9次周波数成分)と半次周波数成分(8.5次周波数成分)の何れからも離隔した不協和周波数成分である8.75次成分波音を第3調整波音N3に割付けている。不協和周波数成分からなる調整波音は、基本周波数成分から離隔する程、また、整数次周波数成分と半次周波数成分から離隔する程干渉が増加し、不協和レベルを高くできるためである。
以上により、調整波音選択部22は、第3モードが選択されているとき、危険度Bが大きい程選択される第1〜第3調整波音N1〜N3の数を増加すると共に選択された各第1〜第3調整波音N1〜N3の第1〜第3ゲインg1〜g3を夫々増加している。
横G演算部26は、ナビゲーション装置12の地図データベースから入力した旋回半径を含む地図情報に基づき車両Vの進行方向前方にカーブが存在するか否かを判定し、カーブが存在する場合、車両Vがそのカーブを旋回するとき、車両Vに作用する予測横加速度A1を先行的に演算するように構成されている。
この予測横加速度A1の演算は、車両Vが走行している現在位置から予め設定された設定距離、又は車両Vが予め設定された時間内に到達すると予測された領域内にカーブが存在することを条件として実行されている。
θt=θp/gr …(8)
また、車両Vの前輪位置回転半径Rは、車両VのホイールベースをWとしたとき、次式(9)によって演算することができる。
R=W/sinθt …(9)
予測横加速度A1は、車速をvとしたとき、次式(10)によって表すことができるため、式(9)で演算された前輪位置回転半径Rを式(10)に代入することにより近い将来走行するカーブ旋回時において車両Vに作用する予測横加速度A1を求めることができる。
A1=v2/R …(10)
効果音生成部27は、次式(11)に示すように、モード毎に抽出された第1〜第3ゲインg1〜g3によって第1〜第3調整波音N1〜N3を夫々補正し、基本波音N0と選択後補正された第1〜第3調整波音N1〜N3とを合成して効果音Sを生成するように構成されている。
g1×N1
g2×N2
g3×N3 …(11)
また、この効果音生成部27は、横入力量Pが大きい程、危険度Bが大きい程、また予測横加速度A1が大きい程効果音Sの音圧レベルを増加している。
これにより、車両Vの走行に影響を与える、横入力量P、危険度B、及び予測横加速度A1の程度を運転者に対して聴覚的に認識させている。
この効果音生成部27は、視線誘導方向設定部28によって設定された視線誘導方向側スピーカ3(4)の音圧レベルを増加し、視線誘導方向θdに対して反対側スピーカ4(3)の音圧レベルを減少している。
運転者の視線を誘導する場合、音圧レベル補正係数Gl,Grを補正係数k4,k5に夫々設定することによって、音圧レベル補正係数Gl,Grの強度比を変更し、運転者の正面方向に対して左右方向における音像の定位方向を変更している。
尚、補正係数k4,k5は、視線誘導方向θdに基づいて設定される補間係数として求められる。
運転者が視線を向けるべき対象は、運転者が視認しない場合、安全性又は操安性上、車両Vの走行に影響を与える可能性がある対象であり、視線誘導方向θdは、運転者を基準として運転者が視線を向けるべき対象を視認することが可能な方向と定義される。
具体的には、後続車両が車両Vを追い越しする(又は右側車線を走行中の車両が急接近した)状況では、車両Vの右側を通過するため、車両Vが右側車線に車線変更する場合、車両同士が接触する虞がある。そこで、運転支援装置14が後続車両(又は右側車線を走行中の車両)による急接近を検出した場合、視線誘導方向設定部28は、視線誘導要請有りを判定し、運転者の視線を右側ドアミラーに誘導するため、右側前方に対応した視線誘導方向θdを設定し、この視線誘導方向θdにスピーカ3,4による音像を定位させている。
高速道路走行中において運転者が疲労している状況では、運転操作を誤る虞がある。そこで、運転支援装置14が運転者の疲労(例えば、不快且つ不活性)状態を検出した場合、視線誘導方向設定部28は、視線誘導要請有りを判定し、ナビゲーション装置12の地図情報に基づいて、パーキングエリア(又は頭上標識)位置に対応した視線誘導方向θdを設定し、この視線誘導方向θdにスピーカ3,4による音像を定位させている。
図5のフローチャートに示すように、効果音発生処理では、まず、S1にて、各センサの検出値や判定閾値等の各種情報を読み込むと共に前回のルーチンで設定されている第1〜第3調整波音N1〜N3、ゲインg1〜g3、音圧レベル補正係数F、音圧レベル補正係数Gl,Gr、及び判定量a〜c等を初期化し、S2へ移行する。
S2では、モード切替スイッチ15がオン操作されているか否か判定する。
S2の判定の結果、モード切替スイッチ15がオン操作されている場合、S3に移行し、横入力量設定処理を行う。S2の判定の結果、モード切替スイッチ15がオン操作されていない場合、効果音発生処理を実行することなく、リターンする。
S6では、危険度Bが判定用閾値r1以上か否か判定する。
S6の判定の結果、危険度Bが判定用閾値r1以上の場合、第1,第2モードよりも第3モードを優先して実行させるため、S7に移行し、不協和音生成処理を行う。
次に、S8に移行して、重み付け設定処理を行う。
次に、S9に移行して、効果音Sと音圧レベル補正係数Glを乗算して左側効果音Slの信号、効果音Sと音圧レベル補正係数Grを乗算して右側効果音Srの信号を設定する。
次に、S10に移行して、効果音Sl,Srの制御信号をスピーカ3,4に夫々出力して、スピーカ3,4から効果音Sl,Srを夫々発生させた後、リターンする。
S11の判定の結果、車両Vの進行方向前方にカーブが存在する場合、S12に移行し、式(8)〜式(10)を用いて予測横加速度A1を演算する。
S13では、予測横加速度A1が判定用閾値t1以上か否か判定する。
S13の判定の結果、予測横加速度A1が判定用閾値t1以上の場合、近い将来進入するカーブの走行に慎重な操縦が必要であり、運転者の意識を操縦に指向させるために注意力喚起が必要であるため、S14に移行し、予測横加速度A1と補正係数f1との乗算値を音圧レベル補正係数Fとして設定する。
S15では、モード切替スイッチ15の操作によって第1モードが選択されているか否か判定する。
S15の判定の結果、第1モードが選択されていない場合、第2モードが選択されているため、S17に移行し、ランブル音生成処理を行った後、S8に移行する。
S13の判定の結果、予測横加速度A1が判定用閾値t1未満の場合、将来発生する予測横加速度A1が小さく運転者に注意を喚起する必要性が低いため、S18に移行し、現在発生している横入力量Pが判定用閾値p1以上か否か判定する。
S18の判定の結果、横入力量Pが判定用閾値p1以上の場合、車両Vの挙動に影響を与える横入力量Pが発生しているため、S15に移行する。
S18の判定の結果、横入力量Pが判定用閾値p1未満の場合、車両Vの挙動に影響を与える横入力量Pが発生していないため、リターンする。
図6のフローチャートに示すように、横入力量設定処理では、まず、S21にて、車速vが判定用閾値t2以上か否か判定する。
S21の判定の結果、車速vが判定用閾値t2以上の場合、S22に移行し、ヨーレートyを横加速度Aで除算した値を横入力量Pとして設定した後、終了する。
S21の判定の結果、車速vが判定用閾値t2未満の場合、S23に移行し、横加速度Aを横入力量Pとして設定した後、終了する。
図7のフローチャートに示すように、マップ選択処理では、まず、S31にて、乗員数や積載物重量を含む車体重量が判定用閾値t3以上か否か判定する。
S31の判定の結果、車体重量が判定用閾値t3以上の場合、運転者による舵角操作に対して車両Vの挙動が遅れる虞があるため、S32に移行し、増加ゲインマップM4を選択した後、終了する。
S33の判定の結果、路面μが判定用閾値t4以下の場合、又は登坂勾配が判定用閾値t5以上の場合、運転者の舵角操作に対して車両Vの実際の挙動が追従し難い虞があるため、S34に移行し、減少ゲインマップM3を選択した後、終了する。
S33の判定の結果、路面μが判定用閾値t4を超え且つ登坂勾配が判定用閾値t5未満の場合、運転者の舵角操作に対して車両Vの実際の挙動が追従するため、S35に移行し、標準ゲインマップM2を選択した後、終了する。
図8のフローチャートに示すように、危険度判定処理では、まず、S41にて、舵角速度Δθが判定用閾値t6以上か否か判定する。
S41の判定の結果、舵角速度Δθが判定用閾値t6以上の場合、S42に移行し、舵角速度Δθと補正係数k1との乗算値を舵角速度判定量aとして設定する。
S43では、横入力量Pが判定用閾値t7以下か否か判定する。
S43の判定の結果、横入力量Pが判定用閾値t7以下の場合、S44に移行し、横入力量Pと補正係数k2との乗算値を横入力量判定量bとして設定する。
S45の判定の結果、車間距離Lが判定用閾値t8以下の場合、S46に移行し、車間距離Lと補正係数k3との乗算値を車間距離判定量cとして設定する。
次に、S47にて、判定量a,b,cを足し合わせた値を危険度Bとして設定した後、終了する。
S43の判定の結果、横入力量Pが判定用閾値t7を超える場合、S49に移行し、横入力量判定量bを零に設定した後、S45に移行する。
S41の判定の結果、舵角速度Δθが判定用閾値t6未満の場合、S50に移行し、舵角速度判定量aを零に設定した後、S43に移行する。
図9のフローチャートに示すように、不協和音生成処理では、まず、S51にて、危険度Bが判定用閾値r2以下か否か判定する。
S51の判定の結果、危険度Bが判定用閾値r2以下の場合、危険度Bが中程度であるため、S52に移行する。
S53では、マップ選択処理で選択されたゲインマップに基づいて前ステップで設定された調整波音N1(N2,N3)についてのゲインg1(g2,g3)を設定する。
次に、S54に移行し、危険度Bと補正係数f2との乗算値を音圧レベル補正係数Fとして設定する。
S55では、ゲインg1により補正された第1調整波音N1とゲインg2により補正された第2調整波音N2とゲインg3により補正された第3調整波音N3とを足し合わせた値に音圧レベル補正係数Fを乗算した乗算値を効果音Sに設定した後、終了する。
S56の判定の結果、危険度Bが判定用閾値r3以下の場合、危険度Bが大きいため、S57に移行する。
S57では、9.75次成分波音を第1調整波音N1に設定し、不協和周波数成分である9.25次成分波音を第2調整波音N2に設定し、第3調整波音N2を設定することなく、S53に移行する。
S56の判定の結果、危険度Bが判定用閾値r3を超える場合、危険度Bが極めて大きいため、S58に移行する。
S58では、9.75次成分波音を第1調整波音N1に設定し、9.25次成分波音を第2調整波音N2に設定し、不協和周波数成分である8.75次成分波音を第3調整波音N3に設定した後、S53に移行する。
図10のフローチャートに示すように、ハーモニック音生成処理では、まず、S61にて、横入力量Pが判定用閾値p2以下か否か判定する。
S61の判定の結果、横入力量Pが判定用閾値p2以下の場合、横入力量Pが中程度であるため、S62に移行する。
S63では、マップ選択処理で選択されたゲインマップに基づいて前ステップで設定された調整波音N1(N2,N3)についてのゲインg1(g2,g3)を設定する。
次に、S64に移行し、既に音圧レベル補正係数Fが設定されているか否か判定する。
S64の判定の結果、既に音圧レベル補正係数Fが設定されている場合、S65に移行する。
S64の判定の結果、未だ音圧レベル補正係数Fが設定されていない場合、S66に移行する。
S66では、横入力量Pと補正係数f3との乗算値を音圧レベル補正係数Fとして設定した後、S65に移行する。
S67の判定の結果、横入力量Pが判定用閾値p3以下の場合、横入力量Pが大きいため、S68に移行する。
S68では、2次成分波音を第1調整波音N1に設定し、整数次周波数成分である3次成分波音を第2調整波音N2に設定し、第3調整波音N3を設定することなく、S63に移行する。
S67の判定の結果、横入力量Pが判定用閾値p3を超える場合、横入力量Pが極めて大きいため、S69に移行する。
S69では、2次成分波音を第1調整波音N1に設定し、3次成分波音を第2調整波音N2に設定し、整数次周波数成分である4次成分波音を第3調整波音N3に設定した後、S63に移行する。
図11のフローチャートに示すように、ランブル音生成処理では、まず、S71にて、横入力量Pが判定用閾値p2以下か否か判定する。
S71の判定の結果、横入力量Pが判定用閾値p2以下の場合、横入力量Pが中程度であるため、S72に移行する。
S73では、マップ選択処理で選択されたゲインマップに基づいて前ステップで設定された調整波音N1(N2,N3)についてのゲインg1(g2,g3)を設定する。
次に、S74に移行し、既に音圧レベル補正係数Fが設定されているか否か判定する。
S74の判定の結果、既に音圧レベル補正係数Fが設定されている場合、S75に移行する。
S74の判定の結果、未だ音圧レベル補正係数Fが設定されていない場合、S76に移行する。
S76では、横入力量Pと補正係数f4との乗算値を音圧レベル補正係数Fとして設定した後、S65に移行する。
S77の判定の結果、横入力量Pが判定用閾値p3以下の場合、横入力量Pが大きいため、S78に移行する。
S78では、1.5次成分波音を第1調整波音N1に設定し、半次周波数成分である2.5次成分波音を第2調整波音N2に設定し、第3調整波音N3を設定することなく、S73に移行する。
S77の判定の結果、横入力量Pが判定用閾値p3を超える場合、横入力量Pが極めて大きいため、S79に移行する。
S79では、1.5次成分波音を第1調整波音N1に設定し、2.5次成分波音を第2調整波音N2に設定し、半次周波数成分である3.5次成分波音を第3調整波音N3に設定した後、S73に移行する。
図12のフローチャートに示すように、重み付け設定処理では、まず、S81にて、視線誘導方向設定部28により視線誘導要請が存在するか否か判定する。
S81の判定の結果、視線誘導要請有りの場合、左右スピーカ3,4の音圧レベルに差異を付ける必要があるため、S82に移行し、視線誘導方向θdを設定する。
次に、S83に移行して、音圧レベル補正係数Gl,Grを視線誘導方向θdに基づく補正係数k4,k5に夫々設定し、終了する。
S81の判定の結果、視線誘導要請なしの場合、左右スピーカ3,4の音圧レベルに差異を付ける必要がないため、音圧レベル補正係数Gl,Grを共に1に設定し、終了する。
本効果音発生装置1によれば、センサ6,8等により検出された走行状態に基づいて車両Vの車幅方向の移動と旋回方向の移動の少なくとも1つに関連する物理量をパラメータとする横入力量Pを設定する横入力量設定部21を有するため、運転者による車両Vの操作量に拘らず、実際の車両Vの旋回挙動を反映した横入力量Pを設定することができる。
車両進行方向前方の車線における旋回情報を取得するナビゲーション装置12と、旋回情報に基づいて将来車両Vに作用する予測横加速度A1を演算する横G演算部26とを有するため、旋回情報に基づいて将来車両Vに作用する予測横加速度A1を演算することができる。予測横加速度A1が判定用閾値t1以上のとき、基本波音N0と第1〜第3調整波音N1〜N3とを合成する効果音生成部27を有するため、車両Vの旋回挙動を時間的に先行して聴覚的演出することにより、事前に車両Vに作用する予測横加速度A1に基づく効果音S(Sl,Sr)によって運転者の旋回に対する注意力を喚起することができる。
調整波音選択部22は、横入力量Pが大きい程基本波音N0と合成する第1〜第3調整波音N1〜N3の数を増加するため、協和レベルを維持しつつ、聴覚的演出数を増加することができる。
1〕前記実施形態においては、基本波音に合成される調整波音数を、走行状態に基づいて3つまで設定可能に構成した例を説明したが、車両Vの仕様や走行環境や状態に応じて2又は4つ以上の個数の調整波音数を設定しても良い。4以上の個数の調整波音数を設定する場合、設定された調整波音数に応じてゲインマップM2〜M4内に規定されるゲイン数を予め設定しておくことが好ましい。
具体的には、視線誘導方向と反対側のスピーカによる出力を視線誘導方向側のスピーカによる出力よりも遅延させることにより、視線誘導方向側に音像の定位方向を移動させることができる。
また、運転者による認知性を高めるために、音像の定位方向を運転者の正面方向から視線誘導方向に亙ってリニアに変位させても良く、この変位動作を反復させても良い。
更に、スピーカを可動にしても良く、1対のスピーカに加えてこれらよりも上方位置に配置するスピーカを増加することにより、視線誘導方向を3次元的に設定することも可能である。
また、検出手段についても、CCD以外の手段、例えばミリ波レーダ等であっても良い。
また、アクセル開度に基づきエンジンの効果音を生成する効果音発生装置と協調制御することも可能である。
また、車両が実際に搭載している4気筒ガソリンエンジンの振動音マップを用いた例を説明したが、ハイブリッド自動車や電気自動車に対して任意の内燃機関(例えば4気筒ガソリンエンジン)の振動音マップを用いた効果音を発生させても良い。
1 効果音発生装置
2 ECU
3 (左側)スピーカ
4 (右側)スピーカ
6 ヨーレートセンサ
8 横Gセンサ
12 ナビゲーション装置
21 横入力量設定部
22 調整波音選択部
26 横G演算部
27 効果音生成部
M1 振動音マップ
N0 基本波音
N1〜N3 調整波音
g1〜g3 ゲイン
Claims (4)
- 基本周波数成分からなる基本波音と基本周波数成分以外の周波数成分からなる複数の調整波音を含む振動音データベースに基づいてエンジンの効果音を生成する車両用効果音発生装置において、
車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、
前記走行状態検出手段により検出された走行状態に基づいて車両の車幅方向の移動と旋回方向の移動の少なくとも1つに関連する物理量をパラメータとする横入力量を設定する横入力量設定手段と、
車両進行方向前方の車線における旋回情報を取得する旋回情報取得手段と、
前記旋回情報に基づいて将来車両に作用する予測横加速度を演算する横加速度演算手段と、
前記予測横加速度が判定閾値以上のとき、前記基本波音と前記調整波音とを合成する効果音生成手段とを設けたことを特徴とする車両用効果音発生装置。 - 前記横入力量に基づき半次周波数成分又は整数次周波数成分からなる1又は複数の調整波音を選択して前記効果音生成手段に出力する調整波音選択手段を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用効果音発生装置。
- 前記調整波音選択手段は、前記横入力量が大きい程前記選択された調整波音のゲインを増加することを特徴とする請求項2に記載の車両用効果音発生装置。
- 前記調整波音選択手段は、前記横入力量が大きい程前記基本波音と合成する調整波音の数を増加することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用効果音発生装置。
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