ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーションシステムの構成:
(2)推奨車線案内処理:
(3)他の実施形態:
(1)ナビゲーションシステムの構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる推奨車線案内システムを含むナビゲーションシステム10の構成を示すブロック図である。ナビゲーションシステム10は、車両に備えられており、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20、記録媒体30を備えている。ナビゲーションシステム10は、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。記録媒体30には、予め地図情報30aが記録されている。
地図情報30aは、車両の位置や案内対象の施設の特定に利用される情報であり、車両が走行する道路上に設定されたノードの位置等を示すノードデータ,ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ,ノード同士の連結を示すリンクデータ,道路やその周辺に存在する地物の位置等を示す地物データ等を含んでいる。本実施形態においては、ノードが示す交差点への進入道路の車線構成を示す情報が各リンクデータに対して対応づけられて記録されている。
例えば、あるリンクデータがあるノードへの進入道路を示しており、当該あるノードが示す交差点への進入道路上に3個の車線が存在し、左車線、中央車線、右車線のそれぞれにおいて、直進および左折が可能、直進が可能、右折が可能である場合、これらを示す情報が車線構成を示す情報としてリンクデータに対応づけられている。さらに、本実施形態においては、各車線の区画線の種類を示す情報がリンクデータに対応づけられている。例えば、ある道路上の左車線が左側に存在する実線の区画線と右側に存在する破線の区画線で形成される場合、当該左車線に対して左側に実線の区画線、右側に破線の区画線が存在することを示す情報が対応づけられリンクデータの一部を構成している。
さらに、地物データには道路上または道路の周辺に存在する地物であって、車両が走行している車線を特定するために使用される車線特定用地物を示す情報が含まれている。本実施形態において、車線特定用地物は、道路の上方または道路脇に設置された道路標識(看板)であり、位置および形状(撮影画像内での像の形状)が既知の地物である。また、車線特定用地物を示す情報には、車線特定用地物の撮影画像から車両の走行車線を特定するための情報が含まれている。
すなわち、当該車線特定用地物の周辺の予め決められた撮影地点(道路上の地点)において、車両に搭載された前方カメラ(後述)で車線特定用地物を撮影すると、車線特定用地物を含む画像が撮影される。そして、車両が存在する車線が変化すると当該車線特定用地物と車両の相対位置関係が変化するため、車線特定用地物の像の撮影画像内での位置は、車両が走行している走行車線によって変化し得る。
そこで、本実施形態においては、車線特定用地物の像の位置と車両が走行している走行車線との対応関係を示す情報と各車線特定用地物を撮影するための撮影地点とが予め定義され、車線特定用地物を示す情報に対応づけられている。なお、車線特定用地物を撮影可能な範囲は広域にわたるが、撮影画像から走行車線を特定するためには、車線特定用地物と特定の関係にある撮影地点で撮影が行われる必要がある。そこで、本実施形態においては、車両が存在し得る道路上で車線特定用地物が前方カメラの視野内に入り、かつ、車線の差異による車線特定用地物の像の撮影画像内での位置変化が明確になる地点が撮影地点として予め特定される。
本実施形態における車両は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とカメラ44とユーザI/F部45とを備えている。GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在地を算出するための信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の現在地を取得する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車速を取得する。ジャイロセンサ43は、車両の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、車両の向きに対応した信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の進行方向を取得する。車速センサ42およびジャイロセンサ43等は、車両の走行軌跡を特定するために利用され、本実施形態においては、車両の出発地と走行軌跡とに基づいて現在地が特定され、当該出発地と走行軌跡とに基づいて特定された車両の現在地がGPS受信部41の出力信号に基づいて補正される。
カメラ44は、車両の前方の斜め上方を視野に含むように車両に対して固定された前方カメラ44aと、車両が走行する道路上の区画線を視野に含むように車両に対して固定された後方カメラ44bとを含む。これらの前方カメラ44aおよび後方カメラ44bは、所定の周期で車両の画像を撮影し、撮影された画像を示す画像情報を生成して出力する。制御部20は、前方カメラ44aおよび後方カメラ44bが出力する画像情報を取得する。ユーザI/F部45は、運転者の指示を入力し、また、運転者に各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しないタッチパネルディスプレイやスイッチ等やスピーカー等を備えている。すなわち、ユーザI/F部45は画像や音声の出力部および利用者指示の入力部を備えている。
制御部20は、図示しないナビゲーションプログラムの機能によりユーザI/F部45の入力部を介して運転者による目的地の入力を受け付け、車両の現在地から目的地までの走行予定経路を探索する。また、制御部20は、当該ナビゲーションプログラムの機能により、車両の運転者に対して走行予定経路を指示する経路案内を行うことが可能である。本実施形態においては、当該ナビゲーションプログラムの付加機能として、走行予定経路に従って走行する際に走行することが推奨される推奨車線を案内することが可能であり、当該車線案内は推奨車線案内プログラム21によって実現される。
推奨車線案内プログラム21は、当該案内を実現するため、推奨車線取得部21aと走行車線特定部21bと案内地点決定部21cと案内部21dとを備えている。推奨車線取得部21aは、道路上の推奨車線を取得する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。本実施形態において制御部20は、走行予定経路に沿って走行する際に非直進方向に進行する交差点を案内交差点と見なす。また、制御部20は、地図情報30aを参照し、案内交差点に接続された車両の走行道路上の車線構成を示す情報を取得する。
さらに、制御部20は、車線構成を示す情報に基づいて、案内交差点で非直進方向(左折方向や右折方向等)に走行するために走行することが好ましい車線(左折可能車線や右折可能車線)を推奨車線として取得する。なお、本実施形態においては、非直進方向に進行する交差点を案内交差点とし、案内交差点に関する車線案内を行う構成であるが、むろん、走行予定経路に沿って走行する際に直進方向に進行する交差点に関する車線案内、例えば、強制左折車線や強制右折車線以外の車線を推奨車線とする車線案内が行われてもよい。
走行車線特定部21bは、道路上または道路の周辺に存在する車線特定用地物に基づいて車両が走行している走行車線を特定する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。本実施形態において、制御部20は、一定期間毎(例えば、100ms毎)に車両が現在走行している走行車線を特定する処理を行っている。具体的には、制御部20は、GPS受信部41,車速センサ42,ジャイロセンサ43の出力信号に基づいて車両の現在地を特定する。また、制御部20は、後方カメラ44bの撮影画像から車両が現在走行している車線の区画線を抽出する。
さらに、制御部20は、地図情報30aを参照し、車両の現在地が存在する道路の車線構成を示す情報に基づいて各車線の区画線を特定する。そして、制御部20は、特定された区画線と後方カメラ44bの撮影画像から特定された区画線と比較し、車線構成を示す区画線と撮影画像とが一致する車線を特定して走行車線とみなす。なお、車線構成を示す区画線と撮影画像とが一致する車線が存在しない場合、制御部20は、走行車線を不定と見なす。
さらに、制御部20は、一定期間毎(例えば、100ms毎)に地図情報30aに基づいて、車両の現在地が車線特定用地物の撮影地点に到達したか否かを判定する。車両の現在地が車線特定用地物の撮影地点に到達した場合、制御部20は、前方カメラ44aの撮影画像内で車線特定用地物の画像(車線特定用地物の一部分の画像でもよい)を特定する。制御部20は、地図情報30aを参照し、当該撮影地点で撮影される車線特定用地物を示す情報を参照し、当該車線特定用地物の像の撮影画像内での位置に基づいて車両が走行している走行車線を特定する。
さらに、制御部20は、一定期間毎(例えば、100ms毎)に後方カメラ44bの撮影画像に基づいて車両で車線変更が行われたか否かを判定する。すなわち、制御部20は、撮影画像内の区間線の変化が車線変更に伴う変化である場合に、車両において車線変更が行われたと判定する。走行車線が特定された後に車線変更が行われた場合、制御部20は、地図情報30aに基づいて車線変更後の車線を特定し、当該車線変更後の車線を走行車線とみなす。本実施形態においては、以上のように複数の手法で走行車線が特定されるが、複数の手法によって特定された走行車線が矛盾する場合、制御部20は、予め決められた優先度の高い手法での特定結果を採用すればよい。
案内地点決定部21cは、予め決められた基準地点の前方に存在する車線特定用地物と基準地点との距離が閾値以下の場合、車線特定用地物による走行車線の特定後の特定後地点を案内地点とし、車線特定用地物と基準地点との距離が閾値以下でない場合、基準地点を案内地点とする機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20は、推奨車線および案内交差点での進行方向を案内する機能を実行するが、制御部20は、これらの案内を開始する案内地点をまず決定する。本実施形態においては、推奨車線の案内と案内交差点での進行方向の案内とが同一の案内地点で実行される。
本実施形態においては、デフォルトの案内地点として基準地点が設定される。基準地点は、車線特定用地物の存在にかかわらず設定される地点であり、案内交差点から後方に予め決められた距離の地点が基準地点である。そこで、制御部20は、地図情報30aを参照し、案内交差点から進行方向後方に予め決められた距離の地点を当該案内交差点の基準地点として特定する。
また、制御部20は、地図情報30aを参照して基準地点の前方に存在する車線特定用地物を特定し、基準地点と当該車線特定用地物との距離を特定する。本実施形態において、基準地点と車線特定用地物との距離は、基準地点と撮影地点との距離である。そこで、制御部20は、地図情報30aを参照し、車線特定用地物を撮影するための撮影地点を特定する。そして、制御部20は、基準地点と当該車線特定用地物との距離を取得し、予め決められた閾値と比較する。閾値は、通常は基準地点で行われる案内が延期されてもよい範囲を示す値として定義されていればよい。
すなわち、基準地点は、推奨車線および案内交差点での進行方向を案内するデフォルトの地点として設定されているため、基準地点から過度に離れた位置で案内が行われると、案内自体が機能しない場合もある。例えば、推奨車線の案内が遅れたため、推奨車線へ車線変更する充分な期間が確保できない等の状況が発生し得る。そこで、本実施形態においては、基準地点から過度に離れた位置が案内地点とならないように、基準地点から前方で案内を行う際に案内を遅らせることが可能な最大限の位置を示す固定値によって閾値が定義されている。
車線特定用地物と基準地点との距離が閾値以下でない場合、制御部20は、デフォルトである基準地点を案内地点とする。一方、車線特定用地物と基準地点との距離が閾値以下である場合、制御部20は、車線特定用地物による走行車線の特定後の特定後地点を案内地点とする。特定後地点は、車線特定用地物によって走行車線が特定された後の地点であり、走行車線が特定された直後であるために当該走行車線が高精度に特定されていると見なすことができる地点である。本実施形態においては、走行車線が特定された場合における車両の現在地が特定後地点となる。
すなわち、車線特定用地物と基準地点との距離が閾値以下である場合、制御部20は、当該車線特定用地物に基づいて走行車線が特定された地点において案内を開始するように設定する。以上の構成によれば、車線特定用地物が基準地点の前方において基準地点の近くに存在する場合、制御部20は、車線特定用地物によって走行車線が特定されるまで待ってから案内を行うことになる。
案内部21dは、案内地点において推奨車線を案内する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。本実施形態において、制御部20は、車両の利用者が推奨車線を走行できるように支援し、案内交差点で適切な進行方向に進行するように支援するために案内を行う。このため、制御部20は、GPS受信部41,車速センサ42,ジャイロセンサ43の出力信号に基づいて車両の現在地を特定し、車両の現在地が案内地点を通過したら案内を行う。
本実施形態において、推奨車線の案内は走行車線からみた推奨車線の相対位置が案内されることによって実行される。そこで、制御部20は、地図情報30aに基づいて走行車線から見た推奨車線の方向(右または左)を特定する。また、制御部20は、地図情報30aに基づいて走行車線と推奨車線との間の車線数(推奨車線や走行車線が含まれて数えられてもよいし含まれなくてもよい)を特定する。そして、制御部20は、ユーザI/F部45に対して制御信号を出力し、走行車線からみた推奨車線の相対位置(走行車線から見た推奨車線の方向の両車線の間の車線数)を示す音声を出力させる。この結果、例えば、「右側の1個目の車線が推奨車線です」などの音声案内が行われる。さらに、制御部20は、地図情報30aを参照し、走行予定経路に従う場合における案内交差点での進行方向を特定する。そして、制御部20は、ユーザI/F部45に対して制御信号を出力し、当該案内交差点での進行方向を示す音声を出力させる。この結果、例えば、「交差点で右接してください」などの音声案内が行われる。
以上の構成において、車線特定用地物による走行車線の特定直後には高精度に走行車線が特定された状態となるが、車線特定用地物による走行車線の特定後、時間が経過すると走行車線の特定精度が低下し得る。本実施形態において推奨車線は、車両の走行車線から見た相対位置によって案内されるため、走行車線の特定精度が低下した状態での推奨車線が案内された場合、特定精度が高い状態で推奨車線が案内される場合よりも推奨車線の案内の信頼度が低くなる。
しかし、本実施形態において制御部20は、基準地点の前方において基準地点の近くに車線特定用地物が存在する場合に基準地点を案内地点とせず、走行車線が特定された後の特定後地点を案内地点とする。車線特定用地物によって走行車線が特定された直後であれば、走行車線は正確であるため、特定後地点が案内地点となった場合には、正確に特定された走行車線に関連づけて推奨車線を案内することが可能である。従って、推奨車線の案内精度を高めることが可能である。
(2)推奨車線案内処理:
次に、推奨車線案内プログラム21による推奨車線案内処理を説明する。図2は推奨車線案内プログラム21が実行する推奨車線案内処理を示すフローチャートである。また、図3A、図3Bはナビゲーションシステム10が搭載された車両Cが走行する道路の例を示す図である。図3A、図3Bにおいては、案内交差点Iの手前を車両Cが走行している例を示している。これらの例において、走行予定経路は案内交差点Iを右折する経路であり、右折のためには車線R3を走行すべきであるため、推奨車線は車線R3である。また、車両は車線R2を走行しているため、走行車線は車線R2である。なお、これらの図において、推奨車線を示す符号には下線が付されている。
本実施形態において制御部20は、一定期間毎に走行車線特定部21bの処理によって走行車線を特定している。また、走行予定経路が特定されると、制御部20は、推奨車線取得部21aの処理により、案内交差点と推奨車線とを特定する。推奨車線案内処理は、以上のようにして案内交差点と推奨車線が特定され、また、一定期間毎に走行車線が特定される状況で一定期間毎(例えば、100ms毎)に実行される。
推奨車線案内処理において、制御部20は、案内部21dの処理により、基準地点に接近したか否かを判定する(ステップS100)。すなわち、制御部20は、案内交差点から進行方向後方に予め決められた距離にある地点を基準地点と見なす。また、制御部20は、GPS受信部41,車速センサ42,ジャイロセンサ43の出力信号に基づいて車両の現在地を特定する。そして、制御部20は、当該基準地点まで既定の距離の範囲内に現在地が存在する場合に基準地点に接近したと判定する。図3Aおよび図3Bにおいては、案内交差点Iから予め決められた距離L1の基準地点Psを例示しており、これらの例に示す車両Cは基準地点Psまで既定の距離の範囲内である。従って、これらの図に示す状態において、制御部20は、基準地点に接近したと判定する。
ステップS100において、基準地点に接近したと判定されない場合、制御部20は、ステップS100以降の処理を繰り返す。ステップS100において、基準地点に接近したと判定された場合、制御部20は、案内部21dの処理により、推奨車線を案内すべきか否かを判定する(ステップS105)。すなわち、制御部20は、地図情報30aを参照し、車両の現在地の前方において最も近い案内交差点に関連して推奨車線が特定されているか否かを判定し、特定されている場合に推奨車線を案内すべきであると見なす。
図3Aおよび図3Bにおいては、車線R3が推奨車線であるため、制御部20は、推奨車線を案内すべきであると判定する。車両の現在地から案内交差点までの間に存在する道路上の車線構成を示す情報が地図情報30aに記録されていない場合など、推奨車線が特定不可能であった場合、推奨車線は特定されておらず、制御部20は、推奨車線を案内すべきであると判定しない。
ステップS105において、推奨車線を案内すべきであると判定されない場合、制御部20は、ステップS100以降の処理を繰り返す。ステップS105において、推奨車線を案内すべきであると判定された場合、制御部20は、案内地点決定部21cの処理により、車両の現在地と案内交差点との間の走行予定経路上の車線特定用地物を取得する(ステップS110)。すなわち、制御部20は、地図情報30aを参照し、車両の現在地と案内交差点との間の走行予定経路上または当該走行予定経路の周辺(道路脇)に存在する施設の地物データを取得する。
そして、制御部20は、当該地物データに車線特定用地物を示す情報が対応づけられているか否かを判定する。地物データに車線特定用地物を示す情報が対応づけられていた場合、当該施設を車線特定用地物として特定する。図3Bは、車両Cが走行する道路の道路脇に車線特定用地物としての標識Sが存在する例である。従って、この場合、制御部20は、標識Sを車線特定用地物として取得する。走行予定経路上または走行予定経路の周辺に存在する施設の施設データに車線特定用地物を示す情報が対応づけられていない場合、車線特定用地物は取得されない。図3Aは、車両Cが走行する道路上や道路脇に車線特定用地物が存在しない例である。従って、この場合、車線特定用地物は取得されない。
次に、制御部20は、案内地点決定部21cの処理により、ステップS110の結果に基づいて車線特定用地物が存在するか否かを判定する(ステップS115)。ステップS115において、車線特定用地物が存在すると判定されない場合、制御部20は、基準地点を案内地点に設定する(ステップS135)。すなわち、制御部20は、ステップS100において特定された基準地点を車両の前方において最も近い案内交差点の案内地点に設定する。図3Aに示す例であれば、制御部20は、基準地点Psを案内地点として設定する。
一方、ステップS115において、車線特定用地物が存在すると判定された場合、制御部20は、直近の車線特定用地物の撮影地点を取得する(ステップS120)。すなわち、制御部20は、ステップS110にて取得された車線特定用地物の中から、車両の現在地に最も近い車線特定用地物を特定する。そして、制御部20は、当該車線特定用地物を示す地物データに対応づけられた撮影地点を取得する。
図3Bに示す例においては、車両の現在地と案内交差点Iとの間に車線特定用地物としての標識Sが存在し、他に車線特定用地物が存在しない例を示している。従って、この場合、制御部20は、車両Cの現在地に最も近い標識Sを特定し、当該標識Sを示す地物データを参照し、撮影地点を取得する。図3Bにおいては、撮影地点を符号Zで示している。
次に、制御部20は、案内地点決定部21cの処理により、基準地点と撮影地点との距離が閾値以下であるか否かを判定する(ステップS125)。すなわち、制御部20は、地図情報30aを参照し、ステップS100で取得された基準地点とステップS120で取得された撮影地点との距離を取得する。そして、制御部20は、当該距離が予め決められた閾値以下であるか否かを判定する。図3Bに示す例においては、当該閾値がLthである例を示している。この場合、制御部20は、基準地点Psと撮影地点Zとの距離はLth以下であると判定する。
ステップS125において、基準地点と撮影地点との距離が閾値以下であると判定されない場合、制御部20は、ステップS135において基準地点を案内地点に設定する。一方、ステップS125において、基準地点と撮影地点との距離が閾値以下であると判定された場合、制御部20は、案内地点決定部21cの処理により、特定後地点を案内地点に設定する(ステップS130)。すなわち、制御部20は、ステップS120で取得された撮影地点における撮影結果に基づいて走行車線が特定された地点を案内地点とみなす。この場合、画像解析が終了するまで走行車線が特定されないため、ステップS130の段階で案内地点が具体的に特定されていないことになるが、制御部20は、少なくとも走行車線が特定された地点で案内が行われるように設定を行う。
ステップS130またはステップS135によって案内地点が設定されると、制御部20は、案内部21dの処理により、車両が案内地点を通過したか否かを判定する(ステップS140)。ステップS130を経てステップS140が実行された場合、制御部20は、ステップS120の撮影地点にて撮影された撮影画像に基づいて走行車線が特定された段階で案内地点を通過したと判定する(当該走行車線が特定された地点が案内地点であるため走行車線が特定されたと判定される状態は案内地点を通過した状態であると見なすことができる)。例えば、図3Bに示す例であれば、車両Cが前進し、撮影地点Zを通過した直後には案内地点を通過したと判定される。ステップS135を経てステップS140が実行された場合、車両の現在地が図3Aに示す基準地点Psを通過すると、制御部20は、車両が案内地点を通過したと判定する。
ステップS140において、車両が案内地点を通過したと判定されない場合、制御部20は、ステップS140の判定を繰り返す。ステップS140において、車両が案内地点を通過したと判定された場合、制御部20は、案内部21dの処理により、推奨車線と交差点での進行方向とを案内する(ステップS145)。すなわち、制御部20は、走行車線からみた推奨車線の相対位置を取得し、地図情報30aおよび走行予定経路に基づいて案内交差点における進行方向を取得する。そして、制御部20は、ユーザI/F部45を制御し、当該推奨車線の相対位置および案内交差点における進行方向を示す音声を出力させる。
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、推奨車線案内システムは、車両等に搭載された装置であっても良いし、可搬型の端末によって実現される装置であっても良いし、複数の装置(例えば、クライアントとサーバ)によって実現されるシステムであっても良い。
推奨車線案内システムを構成する推奨車線取得部21aと走行車線特定部21bと案内地点決定部21cと案内部21dの少なくとも一部が複数の装置に分かれて存在する構成としては、種々の構成が想定される。例えば、ナビゲーションシステムがサーバに対して通信を介して要求を行うことによって推奨車線取得部21aや案内地点決定部21cの処理が実行される構成等であってもよい。むろん、上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。
推奨車線取得部は、道路上の推奨車線を取得することができればよい。推奨車線は、車両を支障なく走行させるために選択することが推奨される車線であり、種々の要素によって特定されてよい。例えば、目的地までの走行予定経路が設定されている場合、当該走行予定経路に沿って走行するために(右左折や直進等を支障なく行うために)特定の車線を走行すべきであれば、当該車線が推奨車線となる。また、道路上の特定の車線で工事や通行止め等が行われている場合、当該特定の車線と異なる車線が推奨車線となる。
走行車線特定部は、道路上または道路の周辺に存在する車線特定用地物に基づいて車両が走行している走行車線を特定することができればよい。すなわち、道路上または道路の周辺に存在する車線特定用地物は位置が既知の地物であり、車両が存在する車線が変化すると当該車線特定用地物と車両の相対位置関係が変化する。そこで、走行車線特定部は、当該相対位置関係に基づいて車両の走行車線を特定する。
当該相対位置関係は、種々のセンサによって特定されてよく、例えば、カメラや距離センサ等によって相対位置関係を特定する構成が挙げられる。前者であれば、例えば、車両に固定されたカメラで撮影された車線特定用地物の像が撮影画像内のどの位置に存在するかを解析するなどして走行車線を特定する構成等が挙げられる。車線特定用地物は、道路上または道路の周辺に存在する地物であれば良い。前者としては、例えば、道路上のペイントや道路の上空に存在する交通標識等が挙げられ、後者としては、例えば、道路の周辺に設置された交通標識や看板等が挙げられる。
案内地点決定部は、予め決められた基準地点の前方に存在する車線特定用地物と基準地点との距離が閾値以下の場合、車線特定用地物による走行車線の特定後の特定後地点を案内地点とし、車線特定用地物と基準地点との距離が閾値以下でない場合、基準地点を案内地点とすることができればよい。すなわち、案内地点決定部は、車線特定用地物が基準地点の前方において基準地点の近くに存在する場合、車線特定用地物によって走行車線が特定されるまで待ってから案内が行われるように案内地点を決定する。
基準地点は、車線特定用地物の存在にかかわらず、案内が行われるデフォルトの地点として予め決められていればよい。従って、車線特定用地物以外の要素、例えば、前方に存在する案内交差点との距離等に基づいて決められてよい。車線特定用地物と基準地点との距離と比較される閾値は、通常は基準地点で行われる案内が延期されてもよい範囲を示す値として定義されていればよい。
すなわち、基準地点は、推奨車線を案内するデフォルトの地点として設定されているため、基準地点から過度に離れた位置で推奨車線が案内されると、推奨車線の案内自体が機能しない場合もある。例えば、推奨車線の案内が遅れたため、推奨車線へ車線変更する充分な期間が確保できない等の状況が発生し得る。そこで、閾値は、例えば、基準地点から過度に離れた位置が案内地点とならないように、基準地点から前方で案内を行う際に案内を遅らせることが可能な最大限の位置を示す値として設定される。
なお、基準地点と案内交差点との距離や閾値は、固定値であってもよいし、可変値であってもよい。後者としては、車両の周囲の状況、例えば、車両が走行している道路の道路種別や当該道路上の交通状況、推奨車線と走行車線との間の車線数等によって距離や閾値が変化する構成を採用可能である。また、車両の状況、例えば、車速等によって距離や閾値が変化する構成を採用可能である。むろん、これらの要素が組み合わされて距離や閾値が決定されてもよい。
特定後地点は、車線特定用地物によって走行車線が特定された後の地点であり、走行車線が特定された直後であるために当該走行車線が高精度に特定されていると見なすことができる地点であれば良い。従って、走行車線が特定された地点であってもよいし、当該撮影地点から既定の期間または距離のマージンが設けられた地点であってもよい。
案内部は、案内地点において推奨車線を案内することができればよい。すなわち、車両の利用者が推奨車線を走行できるように支援することができればよい。案内の態様は、種々の態様を採用可能であり、例えば、推奨車線を示す情報を音声や画像等によって案内する態様等を採用可能である。また、推奨車線を案内する際には、走行車線との関係が示されることが好ましい。例えば、車両の走行車線から見て右または左に何個目の車線が推奨車線であるなどと示される構成等を採用可能である。
さらに、案内部においては、推奨車線案内以外の案内が行われてもよい。案内の例としては、例えば、交差点における進行方向の案内が挙げられる。すなわち、交差点における進行方向が非直進方向である場合には、当該進行方向に進行するために推奨される推奨車線が限定される場合がある。この場合には、案内部において交差点の進行方向を案内することが好ましい。交差点の進行方向の案内は、基準地点で行われてもよいし、特定後地点で行われてもよい。
前者の構成例としては、案内部が、車線特定用地物と基準地点との距離が閾値以下の場合と閾値以下でない場合とにおいて、基準地点で交差点での進行方向を案内する構成が挙げられる。すなわち、交差点での進行方向は車両の走行車線に依存せず、走行予定経路等に依存する。そこで、案内部においては、車線特定用地物の有無にかかわらず基準地点において交差点での進行方向を案内することが好ましい。この構成によれば、推奨車線の案内は基準地点よりも前方で行われる場合があるが、交差点での進行方向は基準地点で案内されるように構成することができる。この結果、交差点での進行方向は、交差点到達までに十分に余裕のある状態で案内が行われるように構成することができる。
このような構成は、例えば、図1に示す構成において、図2に示す推奨車線案内処理を修正することによって実現可能である。図4に示す推奨車線案内処理は、図2に示す推奨車線案内処理の一部を修正した処理である。図4に示す推奨車線案内処理において、図2に示す推奨車線案内処理と同一の処理は同一の符号で示している。図4に示すように、交差点での進行方向を案内する構成は、ステップS130の次の処理と、ステップS115,S125で否定判定された後の処理を修正することによって実現可能である。
具体的には、ステップS130において特定後地点が案内地点に設定された後、制御部20は、案内部21dの処理により、車両が基準地点を通過したと判定されるまで待機する(ステップS200)。ステップS200で車両が基準地点を通過したと判定されると、制御部20は、案内部21dの処理により、交差点での進行方向を案内する(ステップS205)。すなわち、制御部20は、地図情報30aを参照し、走行予定経路に基づいて案内交差点での進行方向を特定し、ユーザI/F部45を制御し、当該進行方向を示す音声を出力させる。例えば、図3Bに示す例において、車両が基準地点Psを通過すると、案内交差点Iの進行方向が右折方向であることを示す音声が出力される。
次に、制御部20は、案内部21dの処理により、車両が案内地点を通過したと判定されるまで待機する(ステップS210)。すなわち、制御部20は、ステップS120で取得された撮影地点で撮影された撮影画像に基づいて走行車線が特定された場合に車両が案内地点を通過したと判定する。
ステップS210において、車両が案内地点を通過したと判定されると、制御部20は、案内部21dの処理により、推奨車線を案内する(ステップS215)。すなわち、制御部20は、走行車線と推奨車線との相対位置関係を特定し、ユーザI/F部45を制御し、当該相対位置関係を示す音声を出力させる。例えば、図3Bに示す例において、車両が撮影地点Z通過後に走行車線が特定されると、1個右の車線が推奨車線であることを示す音声が出力される。
一方、ステップS115,S125で否定判定された場合、制御部20は、案内部21dの処理により、車両が基準地点を通過したと判定されるまで待機する(ステップS220)。ステップS220で車両が基準地点を通過したと判定されると、制御部20は、案内部21dの処理により、推奨車線と交差点での進行方向とを案内する(ステップS225)。すなわち、制御部20は、走行車線からみた推奨車線の相対位置を取得し、地図情報30aおよび走行予定経路に基づいて案内交差点における進行方向を取得する。そして、制御部20は、ユーザI/F部45を制御し、当該推奨車線の相対位置および案内交差点における進行方向を示す音声を出力させる。例えば、図3Aに示す例においては、基準地点Psにおいて、推奨車線の相対位置と案内交差点における進行方向との双方が案内される。
さらに、車線特定用地物の周辺の予め決められた撮影地点において撮影された車線特定用地物の画像に基づいて走行車線が特定される構成において、基準地点と車線特定用地物との距離が、基準地点と撮影地点との距離である構成が採用されてもよい。すなわち、車線特定用地物を撮影する構成において、車線特定用地物を撮影可能な範囲は広域にわたるが、撮影画像から走行車線を特定するためには、車線特定用地物と特定の関係にある撮影地点で撮影が行われる。当該撮影地点は、車両が存在し得る道路上で定義されるため、車線特定用地物が道路外(道路脇等)に存在したとしても、車線特定用地物の位置と基準地点との距離を容易に定義することができる。
さらに、基準地点において特定されていた走行車線と、特定後地点において特定されていた走行車線とが異なっていた状況が発生した比率が基準比率以上である場合に、案内地点決定部が特定後地点を案内地点とする構成としてもよい。すなわち、走行車線が誤認識されている状況は、特定の区間で発生しやすいことが想定される。例えば、走行車線が不定となりやすい右左折等が行われた直後に基準地点が存在する区間において、走行車線が誤認識されている状況が発生しやすいことが想定される。
図5Bは、走行車線が不定となりやすい例を示す図である。同図5Bに示す例においては、車両Cが交差点Iで左折した後、すぐに図示しない案内交差点についての基準地点Psが存在し、その前方に撮影地点Zが存在する例を示している。このような例において、車両Cが左折を行った直後には、車線の区画線による走行車線の特定が不安定(または不可能)になり、車線変更による車線の特定も困難であることが多い。従って、基準地点Psにおいて特定されていた走行車線と、特定後地点において特定されていた走行車線が異なる可能性は高いことが予想される。一方、道路に変化が少なく、区画線も明確である道路等においては、図5Bに示す区間よりも走行車線が誤認識される可能性は低い。
そこで、走行車線が誤認識されている状況、すなわち、基準地点において特定されていた走行車線と、特定後地点において特定されていた走行車線とが異なっていた状況、が基準比率以上の比率で発生した場合に、特定後地点を案内地点とする構成としてもよい。この場合、当該状況が基準比率以上の比率で発生していなければ、基準地点が案内地点とされる。この構成によれば、走行車線の誤認識が発生しにくい区間では決められた地点である基準地点で推奨車線を案内することができる。
このような構成は、案内地点を特定後地点とし得る区間で走行車線の誤認識が発生したか否かを解析するための情報を履歴として収集することによって実現可能である。図5Aは、履歴取得処理を示すフローチャートである。この例は、図1に示す構成において外部の図示しないサーバとナビゲーションシステム10とが通信可能に構成されており、ナビゲーションシステム10で取得された履歴がサーバに送信されることによって実現される。
制御部20は、案内地点通過後に、案内地点決定部21cの処理により、当該履歴取得処理を実行する。履歴取得処理が実行されると、制御部20は、直近の案内地点が特定後地点であったか否かを判定する(ステップS300)。ステップS300において、直近の案内地点が特定後地点であったと判定されない場合、その区間は比率判定対象とならないため、制御部20は履歴取得処理を終了する。
ステップS300において、直近の案内地点が特定後地点であったと判定された場合、制御部20は、基準地点での走行車線と特定後地点の走行車線を取得する(ステップS302)。すなわち、制御部20は、特定後地点において走行車線が特定された前後において制御部20が把握していた走行車線を取得する。
次に、制御部20は、基準地点と特定後地点で走行車線が異なっていたか否かを判定する(ステップS305)。そして、ステップS305において、基準地点と特定後地点で走行車線が異なっていたと判定された場合、制御部20は、基準地点での走行車線と特定後地点で走行車線が異なっていたことをサーバに通知する(ステップS310)。一方、ステップS305において、基準地点と特定後地点で走行車線が異なっていたと判定されない場合、制御部20は、基準地点での走行車線と特定後地点で走行車線が同一であったことをサーバに通知する(ステップS315)。
これらの通知が行われると、サーバは、以上の履歴取得処理で処理された対象の区間(例えば、基準地点と特定後地点とを含む区間)に関し、基準地点と特定後地点で走行車線が異なっていた数を、基準地点と特定後地点で走行車線が異なっていた数と基準地点と特定後地点で走行車線が同一であった数の和で除することにより、この区間で誤認識が発生していた比率を特定する。サーバは、ナビゲーションシステム10からの要求により、任意の区間の比率をナビゲーションシステム10に送信するように構成されている。
このようにして履歴の取得と比率の統計が行われている状況において、制御部20が図2に示す推奨車線案内処理を修正した処理を実行すると、誤認識が発生していた比率に応じて特定後地点を考慮するか否かを決定することができる。すなわち、図2に示す処理において、ステップS115において、車線特定用地物が存在すると判定された場合、制御部20は、案内地点決定部21cの処理により、サーバに対して車線特定用地物を含む区間の比率を送信するように要求する。
当該要求に応じてサーバが送信した比率を制御部20が取得すると、制御部20は、当該比率が基準比率以上である場合にステップS120以降の処理を実行する。また、制御部20は、当該比率が基準比率以上でない場合にステップS135以降の処理を実行する。以上の構成によれば、基準地点において特定されていた走行車線と、特定後地点において特定されていた走行車線とが異なっていた状況が発生した比率が基準比率以上である場合に、特定後地点を案内地点とするための処理を実行することが可能である。
さらに、本発明のように、基準地点の前方に存在する車線特定用地物と基準地点との距離が閾値である場合に車線特定用地物による走行車線の特定後に推奨車線を案内する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合や、複数の装置によって実現される場合が想定可能であり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような手段を備えたナビゲーションシステムや方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。