以下、本実施形態について説明する。なお、以下で説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.観測システム
前述したように、地震等の災害発生時には、建物等の構造物の損壊状況を定量的、かつ、できるだけ迅速に把握することが求められている。例えば、構造物にセンサーを取り付けておけば、センサーによりセンシングデータを検出し、作業員がセンシングデータを解析することで、構造物の損壊状況を定量的に判断することが可能である。しかし、災害発生時には、センサーに電力を供給する電源が喪失してしまったり、センサーとデータ収集装置を繋ぐネットワークが切断されてしまったりする場合がある。この場合には、災害発生時の有用なセンシングデータが検出できていなかったり、災害発生時のセンシングデータが検出できていても、センサーからセンシングデータの取得が出来なかったりすることがある。また、センシングデータを取得可能であっても、データの取得に時間がかかってしまう場合もある。
そこで、本実施形態の観測システムは、構造物の異常状態が検出された時のセンシングデータの収集における確実性及び効率性を向上させる。
具体的に、本実施形態の観測システムのシステム構成例を図1に示す。図1に示すように、本実施形態の観測システム100は、センサー部110と、記憶部120と、処理部130と、バッテリー150(二次電池)とを含む。観測システム100は、表示部140と、退避用記憶部160とをさらに含んでいても良い。
センサー部110は、構造物の状態を検出し、センシングデータを取得する。記憶部120は、少なくとも構造物の異常状態が検出された時のセンシングデータを記憶する。処理部130は、センシングデータに基づいて得られた構造物の状態のモニタリング情報を、表示部140の表示情報として転送する転送処理を行う。モニタリング情報の転送処理における転送先は、後述するように、表示部140であってもよいし、退避用記憶部160であってもよいし、あるいはその両方であってもよい。なお、観測システム100は、図1の構成に限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加したりするなどの種々の変形実施が可能である。
ここで、構造物とは、例えばビルや家屋等の建物(建築物)や、橋、高速道路、塔、電柱、又はダムなど人工構造物のことを指す。また、構造物は、山や岩、河、木、川、又は崖などの自然構造物であってもよい。そして、構造物に通常生じ得ない振動や加速度が発生した場合に、構造物が異常状態にあるものとする。例えば、ビルは地震等の異常状態が発生しなければ、1日を通して傾斜はほとんど変化しないが、大地震等の異常状態が発生した場合には、数時間のうちに、数日や数ヶ月の傾斜変化よりも大きく傾斜が変化する場合がある。このような場合、構造物に異常が発生している、または構造物が異常状態にあると言える。そして、構造物が異常状態にあるか否かは、例えばセンシングデータが示す値が所与の閾値を越えたか否かにより判定することができる。より具体的には、センシングデータが示す加速度、速度、変位、圧力、温度などの大きさが、それぞれに対応する所与の閾値を越えた場合に、構造物が異常状態にあると判定し、これらの値が対応する所与の閾値以下である場合には、構造物が異常状態ではないと判定する。この判定は、センサー部110が行っても良いし、処理部130が行っても良い。また、観測システム100の外部のシステムが行っても良い。
また、センシングデータは、センサー部110によって検出された計測データのことである。例えば、センサー部110が加速度センサーによって実現される場合には、センシングデータは、加速度データである。また、センサー部110が、3軸の加速度センサーと3軸のジャイロセンサーとにより実現されている場合には、センシングデータは、3軸それぞれの方向に対する加速度データと、3軸のそれぞれの軸回りの角速度を表す角速度データとにより構成されるデータである。そして、構造物の異常状態が検出された時のセンシングデータとは、例えば、構造物の異常状態が検出されたタイミングの前後の所与の期間において計測されたセンシングデータであってもよいし、構造物の異常状態が検出されたタイミング後の所与の期間において計測されたセンシングデータであってもよい。
モニタリング情報は、センシングデータに基づいて生成され、構造物の異常状態の程度を数値やレベル、画像、テキストなどで示すための情報である。例えば、モニタリング情報は、後述する図8の例に示すように、電源断が発生した日時情報や、構造物が異常状態になった日時情報、センシングデータの記録時間情報、震度情報、構造物の振幅情報、センサー部110(後述する図2の観測装置MS)の設置場所情報、建物危険度情報、モニタリング情報が送信済みであるか否かを示す転送状態情報等である。また、モニタリング情報は、例えばセンシングデータそのものであってもよいし、センシングデータのうちの一部のデータであってもよい。例えばモニタリング情報は、処理部130が記憶部120から読みだして、表示部140に出力する。または、処理部130が記憶部120からモニタリング情報を読みだして、一度、退避用記憶部160に書き込んだ後、処理部130が再度、退避用記憶部160からモニタリング情報を読み出して、表示部140に出力してもよい。
表示情報は、表示部140に表示する情報である。表情情報は、例えば処理部130から出力されたモニタリング情報である。ただし、表示情報は、前述したセンシングデータの一部(または全部)であってもよい。
ここで、図2及び図3を用いて具体例を説明する。例えば図2に示す例では、本実施形態の観測システム100が一つの観測装置MSにより実現されている。観測装置MSは、筐体BXの中に、前述した記憶部120と、処理部130と、バッテリー150と、退避用記憶部160とを収納している。センサー部110は筐体BXの中に配置してもよいし、筐体の外に取り付けても良い。また、表示部140は、筐体BXの外側、すなわち外部から表示面が視認可能なように配置されている。例えば図2に示す例では、表示部140は電子ペーパーEPPである。
図3の例では、フロアーごと揺れを解析するために、5階建てのビルBLの各階において、図2に示すような観測装置(MS1〜MS5)を一つずつ設置しておく。そして、地震等の異常が発生した際に、各観測装置(MS1〜MS5)のセンサー部110が、各設置場所においてセンシングデータを検出する。処理部130は、異常発生タイミング前後の所与の期間のセンシングデータをモニタリング情報として選択し、このモニタリング情報を表示情報として表示部140に表示させる。さらに、処理部130は、モニタリング情報を退避用記憶部160に記憶させる。その後に、作業員OPが各観測装置(MS1〜MS5)を巡回して、表示部140に表示されている表示情報を確認する。また、この際に、作業員が、携帯する携帯端末装置ITを用いて、退避用記憶部160に記憶されているモニタリング情報を読み出す。
このように、表示情報を表示部140に表示させておくため、作業員OPが一目でセンサー部110(観測装置MS1〜MS5)の設置場所における損壊状況を定量的に判断することが可能となる。また、前述したように、例えばモニタリング情報の転送状態情報を表示部140に表示させておけば、作業員が、データ転送済みの観測装置と、データ未転送の観測装置とを素早く見分けることができるようになり、データ収集の効率性を向上させることが可能になる。
さらに、本実施形態では、ネットワークが切断された場合にも、モニタリング情報の取得が可能である。例えばモニタリング情報(センシングデータ)を退避用記憶部160に記憶させておくため、データ取得の確実性を向上させることができる。
よって、構造物の異常状態が検出された時のセンシングデータの収集における確実性及び効率性を向上させることが可能となる。
また、前述したように、地震等の災害によって、センサー部110や処理部130へ電力の供給が停止してしまった場合には、センサー部110がセンシングデータを検出できなくなり、処理部130がモニタリング情報を退避用記憶部160へ転送できなくなってしまう。
そのため、図1に示す観測システム100はバッテリー150を含んでおり、処理部130は、バッテリー150からの電力に基づいて動作する。これにより、地震等の発生により外部から電力の供給が停止してしまった場合でも、バッテリー150の電力残量がなくなるまでは、処理部130を動作させることが可能となる。センサー部110についても同様である。
そして処理部130は、前述した転送処理として、モニタリング情報を表示部140へ転送する処理及びモニタリング情報を退避用記憶部160へ転送する処理の少なくとも一方の処理を行う。例えば、電力の供給が停止した場合に、バッテリー150の電力残量がなくなる前に、このようなモニタリング情報の転送処理を行っておけば、バッテリー150の電力残量がなくなった後でも、モニタリング情報を退避用記憶部160から読み出したり、表示部140の表示により確認したりすることができる。すなわち、例えば電源が喪失した場合など、電源から電力の供給が停止した場合でも、構造物の異常状態が検出された時のセンシングデータを確実かつ効率的に収集すること等が可能になる。
2.観測システムの詳細な構成例
次に、本実施形態の観測システム100(監視システム)の詳細な構成例を図4に示す。図4に示すように、本実施形態の観測システム100は、センサー部110と、記憶部120(揮発性メモリー)と、処理部130(プロセッサー)と、表示部140と、バッテリー150(二次電池)と、電源回路170と、ICタグチップ190と、を含む。ICタグチップ190は、退避用記憶部160(不揮発性メモリー)を含む。なお、観測システム100は、図4の構成に限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加したりするなどの種々の変形実施が可能である。
次に、観測システム100の各部について説明する。
センサー部110は、構造物の状態を検出し、センシングデータを取得する。センサー部110は、例えば前述したように、3軸の加速度センサーと3軸のジャイロセンサーにより構成される6軸センサーによって実現される。ただし、本実施形態はそれに限定されず、センサー部110は、加速度センサーであってもよいし、ジャイロセンサーであってもよい。また、他にもセンサー部110は、構造物の傾斜を検出する傾斜センサーや、構造物の振動を検出する振動センサー、構造物の温度変化を検出する温度センサー等であってもよい。
記憶部120は、少なくとも構造物の異常状態が検出された時のセンシングデータを記憶する。記憶部120は、電気的にデータの書き込みが可能なRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリーにより実現され、処理部130におけるワーク領域として用いられる。
処理部130は、センシングデータに基づいて得られた構造物の状態のモニタリング情報を、表示部140の表示情報として転送する転送処理を行う。転送処理は、モニタリング情報を表示部140や退避用記憶部160に出力する処理であってもよいし、ネットワークを介してモニタリング情報を表示部140や退避用記憶部160に送信する処理であってもよい。処理部130の機能は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーにより実現される。プロセッサーはCPUに限定されるものではなく、GPU(Graphics Processing Unit)、或いはDSP(Digital Signal Processor)等、各種プロセッサーを用いることが可能である。また、プロセッサーはASIC(Application Specific Integrated Circuit)によるハードウェア回路でもよい。
表示部140は、電源非供給でも表示情報の表示が可能な表示部である。より厳密に言えば、表示部140は、電源が供給されない期間においても、表示情報を継続して表示可能な表示部である。例えば、表示部140は、電子ペーパーなどの電気泳動ディスプレイにより実現される。電子ペーパーには、情報の書き換え時には電力を消費するが、情報の表示中には電力を消費しない、または電力消費が極小で済むという特徴がある。また、表示情報の書き換え時の消費電力も少ないという特徴もある。そのため、本願の観測システムの使用状況のように、表示情報を確認する必要性が高い時に、電源非供給となる可能性も高くなるケースにおいて、電子ペーパーは特に有用である。なお、電気泳動ディスプレイとは、電気泳動方式を採用した表示部のことである。電気泳動方式においては、例えば白色と黒色の粒子の流体を収めたマイクロカプセル内で、電界によって粒子を移動させることで、白と黒の表示を行う。
これにより、電力を消費せずに、または電力消費を大幅に抑制して、表示情報の表示を継続して行うこと等が可能になる。例えば災害等の発生により、電源300から電力の供給が停止してしまった場合であっても、電力消費を抑えて、表示情報の表示を継続して行うこと等が可能になる。そのため、電源300からの電力供給が停止してから、長時間経過した後であっても、作業員が表示情報を確認すること等が可能になる。ただし、本実施形態の表示部140は、上記の例に限定されず、例えば表示部140として、物理的に文字や記号が記載されていたり、絵が描かれている表示パネルなどを用いても良い。その場合には、例えば構造物の損壊状況に応じた内容の表示パネルを、処理部130が外部から目視可能な位置に移動させる制御を行って、作業者に構造物の損壊状況を報知する。
ICタグチップ190(RFタグ)は、近距離無線通信により、外部の携帯端末装置500から送信されるデータ読み取りコマンドを受信した場合に、退避用記憶部160に記憶されたモニタリング情報を外部の携帯端末装置500等に送信する。ICタグチップ190は、例えば外部の携帯端末装置500から送信される電波信号で電力を得て動作するパッシブ型のICタグチップにより実現される。ICタグチップ190は、所謂RFID(Radio Frequency IDentifier)であり、例えば退避用記憶部160と、不図示の送受信部(アンテナ部)と、不図示の制御部とを含む。また、近距離無線通信の通信規格としては、Bluetooth(登録商標)などが利用可能であるが、本実施形態ではこれに限定されない。
退避用記憶部160は、電気的にデータの書き込みが可能な不揮発性メモリーであり、処理部130から出力されるモニタリング情報等を記憶する。例えば、退避用記憶部160は、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)や、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリー等により実現される。
バッテリー150(二次電池)は、電源回路170を介して、処理部130等に電力を供給する。また、バッテリー150は、電源300から供給される電力に基づいて、電源回路170を介して充電を行う。
電源回路170は、例えば電源300から電力が供給されている場合に、供給される電力に基づいて、センサー部110及び処理部130等への電力供給動作と、バッテリー150への電力供給動作の少なくとも一方を行う。電源回路170からバッテリー150に電力が供給される場合には、バッテリー150が充電される。また、電源回路170は、センサー部110及び処理部130等への電力供給動作と、バッテリー150への電力供給動作の切り替え動作を行ってもよい。そして、電源回路170は、例えば電源300から電力の供給が停止した場合には、バッテリー150の放電動作を行い、バッテリー150から放電された電力を、センサー部110及び処理部130等へ供給する。なお、センサー部110及び処理部130等へ、電源300からの電力を直接供給しない場合には、電源回路170は、電源300からの電力を一度バッテリー150へ供給した後、バッテリー150に蓄えられた電力を放電させて、センサー部110および処理部130等へ電力を供給する。なお、電源300は例えばAC電源である。
3.処理の詳細
次に、本実施形態の処理の詳細について、図5のフローチャートを用いて説明する。
まず、処理部130は、タイマーを有しており、タイマーを用いて間欠動作を行っている(S101)。処理部130は、タイマーにより動作タイミングか否かを判定し(S101)、動作タイミングであると判定した場合には、主電源(電源300)から電力の供給が停止(電源断)しているか否かを判定する(S102)。処理部130は、主電源から電力供給が停止していないと判定した場合には、続けて、バッテリー150の電力残量が所与の設定値以下であるか否かを判定する(S103)。そして、処理部130は、バッテリー150の電力残量が所与の設定値よりも大きいと判定した場合には、センサー(センサー部110)から、センシングデータを取得する(S104)。なお、センサー部110は、電源300またはバッテリー150から電力が供給されている間は、常時、動作しているものとする。そして、処理部130は、取得したセンシングデータを本体メモリー(記憶部120)に記憶する処理を行い(S105)、ステップS101へ戻る。なお、記憶部120では、新しく取得されたデータを、最も過去に取得されたデータに上書きしていく。
一方、処理部130は、主電源からの電力の供給が停止していると判定した場合(S102)、または主電源からの電力の供給が停止していないが、バッテリー150の電力残量が所与の設定値以下であると判定した場合には、処理部130へ電力が供給されなくなり、取得したデータを退避用記憶部160や表示部140に転送できなくなる恐れがある。そのため、この場合、処理部130は、本体メモリー(記憶部120)に記憶されているセンシングデータに基づいて、モニタリング情報を生成し(S106)、生成したモニタリング情報を退避用記憶部160へ転送する処理を行う(S107)。さらに処理部130は、表示部140にも、表示情報としてモニタリング情報を転送し、表示部140が取得した表示情報を表示する(S107)。
このように、処理部130は、バッテリー150の電力残量が所与の設定値以下であると判定した場合に、モニタリング情報の表示部140への転送処理及びモニタリング情報の退避用記憶部160への転送処理の少なくとも一方の処理を行う。
これにより、バッテリー150の電力残量がなくなる前に、モニタリング情報を表示部140及び退避用記憶部160の少なくとも一方に転送すること等が可能になる。従って、バッテリー150の電力残量がなくなった後であっても、例えば作業員が携帯端末装置500を用いて、退避用記憶部160からモニタリング情報を読み出したり、電子ペーパーである表示部140の表示を確認して、構造物の損壊状況を把握すること等が可能になる。
また、図5のステップS106〜S107において、処理部130は、記憶部120に記憶されたセンシングデータの中から選択された選択センシングデータを、モニタリング情報として転送する転送処理を行う。
この場合の具体的な処理の流れについて、図6を用いて説明する。図6のステップS201〜S205の処理は、図5のステップS106〜S107の処理に相当する。
例えば、処理部130は、退避用記憶部160のメモリー残量を確認する(S201)。退避用記憶部160のメモリー残量とは、退避用記憶部160の使用可能記憶容量のことであり、例えば退避用記憶部160が新たに記憶可能なデータ量のことである。そして、処理部130は、本体メモリー(記憶部120)に記憶されたセンシングデータのデータ量が、退避用記憶部160のメモリー残量よりも大きいか否かを判定する(S202)。
次に、処理部130は、本体メモリー(記憶部120)に記憶されたセンシングデータのデータ量が、退避用記憶部160のメモリー残量よりも大きいと判定した場合には、退避用記憶部160に転送するセンシングデータの範囲(以下、選択範囲と呼ぶ)を特定する(S203)。そして、処理部130は、選択範囲に対応するセンシングデータ(以下、選択センシングデータと呼ぶ)を、モニタリング情報として生成し(S204)、生成したモニタリング情報を退避用記憶部160に転送する(S205)。
具体的には、処理部130は、記憶部120に記憶したセンシングデータのデータ量が、退避用記憶部160の使用可能記憶容量よりも大きい場合には、記憶部120に記憶されたセンシングデータの中から、使用可能記憶容量以下である所与のデータ量の選択センシングデータを特定し、特定した選択センシングデータの転送処理を行う。
例えばこの際には、処理部130は、例えば構造物が異常状態になったタイミングの前後の所定期間において取得されたセンシングデータを、選択センシングデータとして特定して、転送する。これにより、例えば構造物が異常状態になったタイミング等の作業者が最も確認したい期間におけるセンシングデータそのものを、作業者が携帯端末装置500等を用いて読み取ることが可能になる。
一方、処理部130は、本体メモリーに記憶されたセンシングデータのデータ量が、退避用記憶部160のメモリー残量以下であると判定した場合には、退避用記憶部160に記憶されている全センシングデータをモニタリング情報として、退避用記憶部160に転送する(S205)。この場合には、作業者は、例えば構造物が異常状態になったタイミングだけでなく、それ以外のタイミングにおけるセンシングデータも確認することが可能となる。
つまり、処理部130は、モニタリング情報である選択センシングデータの選択範囲を、退避用記憶部160の使用可能記憶容量に基づいて決定し、選択した選択センシングデータを、退避用記憶部160に転送する転送処理を行う。具体的には、前述したように、退避用記憶部160の記憶容量の都合で、本体メモリーに記憶されているセンシングデータの全てを退避用記憶部160に記憶可能である場合には、全てのセンシングデータを本体メモリーから退避用記憶部160に転送し、そうでない場合には、本体メモリーに記憶されているセンシングデータの一部だけを退避用記憶部160に転送する。
これにより、退避用記憶部160が記憶可能なデータ量のセンシングデータを、記憶部120から退避用記憶部160に転送すること等が可能になる。その結果、構造物の損壊状況を解析するために、十分な量のセンシングデータを作業者が確認することが可能になる。
また、前述した図6の例の他にも、処理部130は、バッテリー150の電力に基づく処理部130の動作可能時間、及びセンシングデータの表示部140又は退避用記憶部160への転送所要時間の少なくとも一方に基づいて、選択センシングデータの選択範囲を決定してもよい。
この場合には、処理部130は、転送所要時間が動作可能時間よりも短くなるデータ量に対応する選択範囲を特定し、特定した選択範囲に対応する選択センシングデータの転送処理を行う。
この場合の具体的な処理の流れを図7に示す。図7の例において、ステップS301〜S304は、前述した図5のステップS101〜S105と同様であるため、説明を省略する。
処理部130は、主電源からの電力供給の停止を検出した場合、または電力供給が停止されていなくても、バッテリー150の電力残量が所与の設定値以下であると判定した場合には、図6のステップS201と同様に、退避用記憶部160のメモリー残量を確認する(S306)。そして、処理部130は、図6のステップS202〜S204と同様に、選択範囲を決定して、選択センシングデータを特定する(S307)。すなわち、処理部130は、退避用記憶部160の使用可能記憶容量に基づいて、記憶部120に記憶されたセンシングデータの中から選択センシングデータを特定する。
次に、処理部130は、バッテリー150の電力残量に基づいて、処理部130の動作可能時間を特定し(S308)、ステップS307で特定した選択センシングデータに基づいて、センシングデータの表示部140又は退避用記憶部160への転送所要時間を特定する(S308)。
そして、処理部130は、転送所要時間が動作可能時間よりも長いか否かを判定し(S310)、転送所要時間が動作可能時間よりも長いと判定した場合には、センシングデータの選択範囲を縮小し(S311)、縮小した選択範囲に対応する選択センシングデータを特定する(S312)。例えば、バッテリー150の電力残量から計算した処理部130の動作可能時間が2分であり、ステップS307で特定した選択センシングデータの転送所要時間が4分であると判断した場合には、選択センシングデータを2分以内に送信可能なサイズに縮小する処理を行う。次に、処理部130は、本体メモリー(記憶部120)から、退避用記憶部160に、ステップS312で特定した縮小後の選択センシングデータをモニタリング情報として転送する(S313)。さらに、処理部130は、表示部140にも、表示情報としてモニタリング情報を転送して、表示部140が表示情報を表示する(S314)。
一方、処理部130は、転送所要時間が動作可能時間以上であると判定した場合には、ステップS307で決定した選択範囲に対応する選択センシングデータを、本体メモリーから退避用記憶部160及び表示部140に転送し(S313)、表示部140に表示する(S314)。
これにより、処理部130の動作可能時間またはデータの転送所要時間に適したデータ量の選択センシングデータを特定すること等が可能になる。
これにより、バッテリー150の電力残量がなくなる前に、モニタリング情報である選択センシングデータの全てを、記憶部120から、退避用記憶部160及び表示部140の少なくとも一方に転送すること等が可能になる。そのため、センサー部110が、構造物が異常状態になっている時のセンシングデータを検出しているにも関わらず、退避用記憶部160等にその時のセンシングデータが記憶されていないというケースを防ぐことができる。よって、作業者がより確実に、構造物が異常状態になっている時のモニタリング情報を確認することができる。
また、モニタリング情報は、前述した選択センシングデータだけに限定されず、例えばセンシングデータの取得状況情報と、センシングデータに基づいて得られた構造物の状態判定情報と、センシングデータに基づいて得られた災害状況情報と、センシングデータの転送状態情報の少なくとも1つを含んでいてもよい。
センシングデータの取得状況情報とは、センシングデータの取得状況を示す情報である。例えば、取得状況情報は、構造物が異常状態になったタイミングの前後の所与の期間においてセンシングデータが取得されているか否かを示す情報や、電源300からの電力供給が停止したタイミングの前後の所与の期間においてセンシングデータが取得されているか否かを示す情報である。そして、例えば処理部130は、センシングデータの取得の成否を表す画像や文字、画面カラー(色)、発光パターン、音出力パターンなどの情報を取得状況情報として特定する。例えば図8に示す表示部140の表示例DI1を例においては、取得状況情報が文字情報である場合に、処理部130は、センシングデータの取得日時(図8のD1では、「2015/1/1 0:00」)や、センシングデータの記録期間(図8のD1では、「5分」)を取得状況情報として特定して、表示部140に表示する。また、前述した図2の例においては、処理部130は、取得状況情報として、「保存データ:あり」という文字情報と、「データ保存期間:2015/01/01 0:00〜2015/01/02 1:00」という文字情報を特定して、表示部140に表示する。
また、他にも観測システム100が不図示の発光部を有する場合には、所与の期間におけるセンシングデータを正常に取得できた場合には、例えば発光部を緑色で発光させ、所与の期間におけるセンシングデータを正常に取得できなかった場合には、例えば発光部を赤色で発光させてもよい。この場合、取得状況情報は、発光部に緑色で発光させるか、赤色で発光させるかの指示情報(発光パターン情報)である。また他にも、表示例DI2に示すように、センサー部110が設置された場所を示す情報(表示例DI2では、「建物階数 20階部分」を、センシングデータの取得状況情報として特定して、表示してもよい。
次に、構造物の状態判定情報とは、例えばセンシングデータに基づいて特定された構造物の状態を表す情報のことである。例えば状態判定情報は、構造物が異常状態になった結果、構造物がどの程度、損壊したかを示す情報や、損壊する危険性があるかを示す情報である。例えば図8の表示例DI3では、表示部140に状態判定情報として、建物危険度が高いことを示す文字情報を表示している。
また、図8の表示例DI4及びDI5では、構造物の倒壊危険度を画面の色で表している。例えば表示例DI4では、表示部140の表示画面を黄色(図8では斜線で表している)に発光させて、中程度の危険を作業者に報知している。さらに、表示例DI5では、表示部140の表示画面を赤色(図8では灰色で表している)に発光させて、危険度が高いことを作業者に報知している。この場合、状態判定情報は、表示画面の色情報であり、処理部130が表示部140に表示画面の色情報を送信し、表示部140が取得した色情報に従って、表示画面の色を変更する。
また、災害状況情報とは、構造物が異常状態になった時に発生したと推定される災害の状況を示す情報である。例えば、構造物が通常よりも大きく揺れて異常状態になった場合には、地震が発生していると推定される。この場合、処理部130は、例えば図8の表示例DI2、DI3に示すように、その地震の震度(表示例DI2では、「震度5弱」)や最大振幅(表示例DI2では、「1m」)、最大加速度(表示例DI3では、「xxx(cm/s^2)」)、最大速度(表示例DI3では、「xxx(cm/s)」)、長周期地震動の有無等を特定し、これらの情報を表示部140に表示する。
さらに、転送状態情報は、例えば観測システム100から作業者が持っている携帯端末装置500に、モニタリング情報が転送済みであることを示す文字や画像、画面カラー(色)、発光パターン、音出力パターン、振動パターン等の情報である。例えば、図8の表示例DI6では、転送状態情報は「保存データ送信済」という文字情報である。他にも、転送状態情報が画面カラーに関する情報である場合に、モニタリング情報が未転送である場合には、処理部130が、表示部140の表示画面を緑色の画面に変化させ、モニタリング情報を転送し終わった場合には、表示部140の表示画面をモノクロの画面に変化させてもよい。この場合、処理部130は、モニタリング情報の転送後に、未転送状態を示す情報から転送済み状態を示す情報に、転送状態情報を変更する。例えば前述した例においては、未転送状態を示す情報が、表示部140の表示画面を緑色の画面にすることを指示する情報であり、転送済み状態を示す情報をモノクロの画面に変化させることを指示する情報である。言い換えれば、処理部130は、モニタリング情報の転送後に、表示部140の表示画面の表示態様を変更すると言うこともできる。
これにより、センシングデータの取得状況情報及び構造物の状態判定情報、災害状況情報、転送状態情報のうちの少なくとも一つの情報を、処理部130が退避用記憶部160に転送したり、表示部140に表示したりすること等が可能になる。そして、作業者が携帯端末装置500を用いて、退避用記憶部160からこれらの情報を読み取ったり、作業者が、表示部140に表示されたこれらの情報を確認したりすることができる。また、これらの情報を表示部140に表示しておけば、データ読み取りが可能な携帯端末装置500を作業者が携帯していない場合であっても、作業者に構造物の損壊状況の概要を伝えることができる。
また、上記の情報の中でも、モニタリング情報の転送状態情報を表示部140に表示させておけば、作業者がどの観測システム100から、携帯端末装置500を用いてモニタリング情報を読み取ったかを素早く判断すること等が可能になる。そのため、作業者がどの観測システム100からモニタリング情報を読み取ったか分からなくなることを防ぎ、モニタリング情報を読み取った後の観測システム100から、再度、モニタリング情報を読み取るといった二度手間を減らすことができる。その結果、複数の観測システム100からモニタリング情報を収集する効率を向上させること等が可能になる。
また、上記の情報のうち、取得状況情報と状態判定情報と災害状況情報は、観測システム100の表示部140に表示しなくても、作業者の携帯端末装置500や、携帯端末装置500からデータを移行したPCなどにより、確認して解析することができる。これらの情報は、必ずしも現場で確認する必要はない。むしろ、観測システム100の表示部140にあまり沢山の情報を表示すると、画面が見辛くなってしまうという問題もある。一方、上記の情報のうち、モニタリング情報の転送状態情報は、前述した理由で、作業者が現場で確認することに意義がある。
そこで、処理部130は、表示部140において、取得状況情報と、状態判定情報と、災害状況情報と、転送状態情報とを非表示とし、モニタリング情報の転送状態情報を表示させてもよい。
これにより、表示部140の表示画面にモニタリング情報の転送状態情報を見やすく表示すること等が可能になる。
4.変形例
次に、本実施形態の第1変形例について説明する。第1変形例においては、図9に示すように、観測システム100は、センサー部110と、記憶部120(不揮発性メモリー)と、処理部130(プロセッサー)と、表示部140(電子ペーパー)と、バッテリー150(二次電池)と、電源回路170と、IF部90を含む。前述した図4の例とは、ICタグチップ190を含まず、IF部90を含んでいる点が異なる。
さらに、図9の例における記憶部120は、図4の例とは異なり、電気的にデータの書き込みが可能な不揮発性メモリーである。この場合には、記憶部120が図4の退避用記憶部160の役割を担うことになり、別途、退避用記憶部160を設ける必要がなくなる。すなわち、記憶部120が、センサー部110から取得されるセンシングデータや、処理部130から取得されるモニタリング情報を記憶しておく。
そして、IF部90(インターフェース部)は、例えばUSBポートやUSB端子などである。
本変形例においては、作業者が有する携帯端末装置500が、IF90を介して観測システム100に通信接続し、処理部130が、記憶部120に記憶しているモニタリング情報等を携帯端末装置500に送信する。
これにより、観測システム100がICタグチップ190を有していなくても、作業者が携帯端末装置500を用いてモニタリング情報を読み取ること等が可能になる。なお、その他の点においては、図4の例と同様であるため、説明を省略する。
次に、本実施形態の第2変形例について説明する。第2変形例においては、図10に示すように、観測システム100は、センサー部110と、記憶部120(揮発性メモリー)と、処理部130(プロセッサー)と、表示部140(電子ペーパー)と、バッテリー150(二次電池)と、電源回路170と、ICタグチップ190と、ワイヤレス受電部210とを含む。前述した図4の例とは、ワイヤレス受電部210を含んでいる点が異なる。その他の点においては、図4の例と同様であるため、説明を省略する。
前述した図4の例においては、AC電源300から伝送された電力が、電源回路170を介して、処理部130等に供給され、処理部130がAC電源300からの電力に基づいて動作していた。
一方、本変形例においては、ワイヤレス受電部210が外部のワイヤレス送電部220から、無接点電力伝送により伝送された電力を受電する。そして、ワイヤレス受電部210は、受電した電力を電源回路170に供給し、電源回路170がセンサー部110や処理部130等に電力を供給する。処理部130は、無接点電力伝送による電力で動作し、センシングデータに基づき得られた構造物の状態のモニタリング情報を転送する転送処理を行う。
ワイヤレス送電部220からワイヤレス受電部210への電力伝送は、ワイヤレス送電部220が有する1次コイル(送電コイル)L1と、ワイヤレス受電部210が有する2次コイル(受電コイル)L2を電磁的に結合させて電力伝送トランスを形成することなどで実現される。
ワイヤレス送電部220は、不図示の1次コイルL1と、1次コイルの一端を駆動する第1の送電ドライバーDR1と、1次コイルL1の他端を駆動する第2の送電ドライバーDR2と、送電ドライバーDR1、DR2の電源電圧VDRVを制御する電源電圧制御部と、ドライバー制御回路とを含む。送電ドライバーDR1、DR2の各々は、例えばパワーMOSトランジスターにより構成されるインバーター回路(バッファー回路)などにより実現される。そして、例えばドライバー制御回路は、送電ドライバーDR1、DR2を構成するトランジスターのゲートに対して制御信号(駆動信号)を出力し、送電ドライバーDR1、DR2により1次コイルL1を駆動させる。
ワイヤレス受電部210は、例えば不図示の2次コイルL2と、整流回路とを含む。整流回路は、複数のトランジスターやダイオードなどにより構成され、2次コイルL2の交流の誘起電圧を直流の整流電圧VCCに変換して、電源回路170に出力する。
これにより非接触での電力伝送が可能になる。なお無接点電力伝送の方式としては、電磁誘導方式又は磁界共鳴方式等の種々の方式を採用できる。
また、前述した図4の例においては、AC電源300と電源回路170を繋ぐ電源ケーブル等が災害の発生等により、断線してしまう可能性があったが、本変形例のように、無接点電力伝送により電力を受電する場合には、電源ケーブルの断線により電力の供給が停止することがない。
これにより、災害等が発生した場合であっても、観測システム100に電力供給が停止される可能性を低下させること等が可能になる。すなわち、災害等が発生した場合であっても、より安定して電力供給を受けること等が可能になる。その結果、災害等が発生して、構造物が異常状態になった時のセンシングデータを長期間、取得すること等が可能になり、構造物の損壊状況の解析精度をより向上すること等も可能になる。
また、ワイヤレス受電部210は、負荷変調によりワイヤレス送電部220と通信を行う負荷変調部(不図示)を含むことができる。この場合には、負荷変調部が、負荷変調を行って、モニタリング情報をワイヤレス送電部220に送信することが可能となる。この場合には、必ずしもICタグチップ190を設けなくてもよく、例えば前述した図9の例のように、記憶部120に不揮発性メモリーを用いればよい。
次に、本実施形態の第3変形例について説明する。第3変形例においては、図11に示すように、観測システム100(制御装置)は、記憶部120(揮発性メモリー)と、処理部130(プロセッサー)と、表示部140(モニター)と、バッテリー150(二次電池)と、退避用記憶部160(不揮発性メモリー)と、電源回路170と、を含む。また、本変形例においては、n個のセンサー部(110−1〜110−n)(nは2以上の整数)が、処理部130に接続されており、電源回路170がn個のセンサー部(110−1〜110−n)のそれぞれに電力を供給している。
そして、処理部130は、構造物の状態を検出して、センシングデータを取得するセンサー部(110−1〜110−n)から、センシングデータを受け付ける処理を行う。
すなわち、第3変形例においては、図12に示す例のように、観測システム100である制御装置MSが、複数のセンサー部(SE1〜SE5)と接続されており、複数のセンサー部(SE1〜SE5)において取得されるセンシングデータを、制御装置MSが一括して管理している。例えば図12の例においては、前述した図3の例と同様に、5階建てのビルの各フロアーに、センサー部が一つずつ設置されており、一つの制御装置MSが建物の外に設置されている。そして、複数のセンサー部(SE1〜SE5)と制御装置MSがネットワークにより接続されている。また、電源回路170と、複数のセンサー部(SE1〜SE5)の各センサー部は、電源コードなどにより接続されている。
この場合、表示部140は、電子ペーパーではなく、例えば液晶ディスプレイ等により実現されており、退避用記憶部160は、ハードディスクドライブなどにより実現されている。
このようにすれば、作業者が各センサー部の設置場所を巡回して、モニタリング情報を取得しなくても済む。すなわち、本変形例によれば、退避用記憶部を有する制御装置と接続され、正常に検出され、正常に転送された全てのモニタリング情報を、制御装置から取得することができる。その結果、モニタリング情報の収集効率を向上させることができる。
なお、本実施形態の観測システム等は、その処理の一部または大部分をプログラムにより実現してもよい。この場合には、CPU等のプロセッサーがプログラムを実行することで、本実施形態の観測システム等が実現される。具体的には、非一時的な情報記憶装置に記憶されたプログラムが読み出され、読み出されたプログラムをCPU等のプロセッサーが実行する。ここで、情報記憶装置(コンピューターにより読み取り可能な装置)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(DVD、CD等)、HDD(ハードディスクドライブ)、或いはメモリー(カード型メモリー、ROM等)などにより実現できる。そして、CPU等のプロセッサーは、情報記憶装置に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。即ち、情報記憶装置には、本実施形態の各部としてコンピューター(操作部、処理部、記憶部、出力部を備える装置)を機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピューターに実行させるためのプログラム)が記憶される。
また、本実施形態の観測システム等は、プロセッサーとメモリーを含んでも良い。ここでのプロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)であってもよい。ただし、プロセッサーはCPUに限定されるものではなく、GPU(Graphics Processing Unit)、或いはDSP(Digital Signal Processor)等、各種プロセッサーを用いることが可能である。また、プロセッサーはASIC(Application Specific Integrated Circuit)によるハードウェア回路でもよい。また、メモリーはコンピューターにより読み取り可能な命令を格納するものであり、当該命令がプロセッサーにより実行されることで、本実施形態に係る観測システム等の各部が実現されることになる。ここでのメモリーは、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリーであってもよいし、レジスターやハードディスク等でもよい。また、ここでの命令は、プログラムを構成する命令セットの命令でもよいし、プロセッサーのハードウェア回路に対して操作を指示する命令であってもよい。
以上のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、観測システムの構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。