JP5010405B2 - パッシブ型rfidセンサ - Google Patents
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Description
また「RFIDタグ」とは、RFIDに使用するICタグを意味し、パッシブタグとアクティブタグの2種類に大別できる。「パッシブタグ」は、センサリーダ装置からの電波をエネルギー源として動作するタグであり、通信距離は短いが、電池を内蔵する必要がない特徴を有する。「アクティブタグ」は、電池を内蔵したタグであり、通信距離が長い特徴がある。
非特許文献2では、強アルカリ環境下のコンクリート内においても利用可能なRFIDタグデバイスを開発し、RFIDタグの設置利用範囲を広げており、さらには、ビルやマンションの利用者が建設年月日、耐震強度などといった建築物の情報を知ることができる「建築物トレーサビリティシステム」の実現を目指している。
非特許文献3では、2007年、国土交通省が「国土交通イノベーション推進大綱」の中間報告の中で、RFIDを積極的に建造物の維持管理に利用する方向性を示しており、今後建造物の維持管理にRFIDタグを活用する流れはますます加速するものと予想される。
このため、この発明では、図6に示すように、構造物60の柱64、梁65、杭66上あるいは制震装置67や免震装置などに最大値記憶型センサ61がそれぞれ設置されるとともに、最大値記憶型センサ61は、センサケーブル61aを介して無線タグに接続されている。無線タグには、RF通信を利用したRFセンサタグ62を利用する。RFセンサタグ62は、人が携帯する読取装置であるセンサリーダ装置63によって読み取りが可能なように、構造物60の壁面や天井面などに設置されるものである。
しかし、ビルやマンションといった建造物には内装材として化粧板などが貼られる場合が多く、通常は直接構造部材にアクセスすることができない。そのため、力学的な計測が必要な場合は、特許文献1のように、建設時に建造物にセンサおよびRFセンサタグ(以下、RFIDタグ)を取付けておき、その後、化粧板等を施工し、人が携帯する読取装置であるセンサリーダ装置によって読み取りすることが提案されている。
また、RFIDタグが電池を内蔵しないパッシブタグである場合、センサリーダ装置63から供給できる電力は微弱(例えば約4mW程度)なため、電力消費量が非常に小さくかつ安定電圧を必要としない温度センサなどに制限される問題点があった。
すなわち、構造部材の力学的なモニタリングには、例えばひずみゲージを用いたブリッジ回路を含むセンサ(以下、「ひずみセンサ」という)の使用が望まれるが、ブリッジ回路は安定した電力供給を必要とするため、このセンサを駆動させ、かつ同時にセンシングデータを送信するということを1枚のRFセンサタグで行うことは困難であった。
さらにひずみセンサを構成するひずみゲージは、構造部材に直接取付ける必要があるが、構造部材は通常金属製であり、タグを用いた通信が、金属表面などではうまく作動しない問題点があった。
該センサの安定作動に必要な電力を供給する1又は複数の電力供給タグと、
前記センサの検出データを無線通信するデータ取得タグとを備え、
前記電力供給タグとデータ取得タグは別個のパッシブ型RFIDタグであり、各タグは、前記構造部材から離れた位置に設置される、ことを特徴とするパッシブ型RFIDセンサが提供される。
前記電力供給タグは、センサリーダ装置からの電波をエネルギー源として動作し、前記ブリッジ回路および増幅回路の安定作動に必要な電力を供給するように構成され、
さらに前記増幅回路の出力電圧を所望の検出データに分圧する分圧回路を備え、
前記データ取得タグは、センサリーダ装置からの電波をエネルギー源として動作し、前記分圧回路の安定作動に必要な電力を供給し、かつ前記検出データをA/D変換して前記センサリーダ装置に送信する。
また、各タグ(データ取得タグと電力供給タグ)は、構造部材から離れた位置に設置されるので、金属表面にこのセンサを取付けた場合でも安定して作動し、信頼性の高いデータを検出することができる。
この図に示すようにこのパッシブ型RFIDタグ10は、内蔵アンテナ1、電源回路2、ADC3、メモリ4、CPU5、およびRF回路6を有する。
内蔵アンテナ1は、図示しないセンサリーダ装置と無線通信し、これから誘導電波により電力を発生する。
電源回路2は、受信した電力を安定した直流電圧に変換する。
ADC3は、アナログ信号をデジタル信号にA/D変換するアナログデジタルコンバータである。
メモリ4は、データおよびプログラムを記憶する。
CPU5は、プログラムを実行する。
RF回路6は、所定の周波数帯の電波を発振する。
この図において、Rはプルアップ抵抗、Rxはセンサ(可変抵抗素子)の抵抗である。
プルアップ抵抗Rを18k〜630kΩ、センサ抵抗RxをkΩオーダのセンサとすることにより、電力供給端子8の電圧が一定であれば、信号入力端子9に入力される電圧(分圧)は、抵抗Rxと一定の関係を有する。またこの回路構成では、電力消費量は抵抗R,Rxの大きさで所定の許容範囲に制限することができる。
従って、図5(A)の回路により、1つのパッシブ型RFIDタグ10でセンサ回路に必要な電力を供給し、かつ計測データをそのパッシブ型RFIDタグ10でA/D変換し、外部の図示しないセンサリーダ装置に送信することができる。
この図において、Rx1,Rx2はひずみゲージであり、これを用いたブリッジ回路51、増幅回路52、および分圧回路53で構成される。
この場合、ブリッジ回路51と増幅回路52を作動させるためには、図5(A)の回路と比較してより大きな電力を必要とする。そのため、1つのパッシブ型RFIDタグ10でブリッジ回路51と増幅回路52を作動させると、それらの作動状態により直流電源端子8の電圧変動が大きくなり、結果としてセンサの駆動と同時にセンシングデータの送信ができないか、仮にできても検出されるデータが不正確であり、信頼性が低いことになる。
これに対し、パッシブ型RFIDタグ10からの供給可能電力は2.2Vで4.4Wであり、ブリッジ回路51で供給可能な電力のほとんどを消費してしまうので、増幅回路、分圧回路を駆動するための電力を考慮すると、2.2Vの供給の安定性が確保できなくなる。
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、パッシブ型RFIDタグを用いたセンシングデバイスとして、温度センサなどのものが従来からいくつか開発されているが、それらは微小電力を消費する素子を用いるものに限定されている点で、本発明のパッシブ型RFIDセンサとは相違する。
そこで本発明の発明者らは、1個のセンサモジュール(パッシブ型RFIDセンサ)の中でセンシングデータ通信用のタグと電力供給用のタグを別々に駆動させることで、大量生産可能なパッシブ型RFIDタグのみで安定した回路の駆動、および通信距離の維持を可能とする電池レスのひずみゲージ力センサモジュール(上述したパッシブ型RFIDセンサ)を開発した。このモジュールを「パッシブ型RFIDセンサ」又は単に、「RFIDセンサ」と呼ぶ。
2.1 パッシブ型RFIDタグ及びリーダライタ
上述した図1は、本発明で使用するパッシブ型RFIDタグの模式図である。本タグ(パッシブ型RFIDタグ10)は、通信周波数が13.56MHz帯のもので、アンテナ1からの電磁誘導供給方式によって電池レスで動作するパッシブ型RFIDタグ(吉川アールエフシステム、H56[mm]、W84[mm])である。
センサとして、一般に建造物のひずみや荷重を測定する際に広く利用されているひずみゲージ(共立電子、KFG5−350−C1−11−L1M2R)を用いる。
ひずみゲージは、貼り付ける部材と連動して変形し、その変形に応じて抵抗変化を生じるが、通常この抵抗変化を正確に測定するためにはブリッジ回路を構成して抵抗の変化を電圧変化に置き換え、さらにその差圧を計装用のアンプ回路で増幅してメータやデジタル値での計測が可能になる。
パッシブ型RFIDセンサにひずみゲージを用いるためには、これらの回路をタグからの誘導起電力で安定して駆動する必要がある。
ひずみゲージを駆動するには、誘導起電力による微小な電力(例えば最大4.4mW)によってブリッジ回路、および増幅回路を安定して駆動させる必要がある。しかしながらタグ10を構成するADC3やタグ−リーダライタ間の通信にも一定以上の電力を必要とし、さらにはタグ−リーダライタ間の距離に応じてタグに供給される電力量は減少するため、ブリッジ回路、および増幅回路に安定した電圧を印加して駆動させつつ、ADC3やタグ‐リーダライタ間通信を安定して行うことは電力供給の面から非常に困難である。そのため、このようにある程度の電力を必要とするセンサを利用するためには安定した電力を供給するための何らかの手段が必要となる。
この図において、ブリッジ回路12、および増幅回路14は、右側の1枚の電力供給タグ10Aからの電力供給によって駆動している。なお、電力供給タグ10Aは1枚に限定されず、必要な供給電力に応じて、2枚以上を並列に配置してもよい。
増幅回路14を構成する計装アンプ15には、消費電力の少ない新日本無線社のNUJ7016Dオペアンプを利用した。
この回路により、出力電圧Voutは、入力電圧V1,V2から以下の式(1)で求めることができる。
Vout=(R6/R4)(1+(R2+R3)/R1)(V1−V2)・・・(1)
ここで、計装アンプ15が1〜5.5Vの直流電源で駆動できることから、電力供給タグ10Aにより2.2Vの電源で駆動した場合、電源電圧範囲までフルスイング出力が得られる。
VADC=(Y1×Vout+Y2×2.2)/(Y1+Y2+Y3)・・・(2)
ここで、Y1≫Y2と設定すれば、Voutの出力をほぼフルスイングで信号入力端子9に入力することができる。
3.1 パッシブ型RFIDセンサの試作
図2に示した回路構成のパッシブ型RFIDセンサを試作した。試作したRFIDセンサ20は、タグ2枚(10Aと10B)とひずみゲージ用ブリッジ回路12、増幅回路(増幅回路14)、およびタグADC入力用の分圧回路部16からなる。それらをアクリルの容器内に収納して一体にした。
試作したRFIDセンサ20によるセンシングデータの通信は、データ取得タグ10Bからアクリル容器を通して30mmの通信が可能である。
また、電力供給タグ10Aにより、その供給電圧を監視し、供給電圧がブリッジ回路12および増幅回路14の安定作動に不十分な場合に、異常信号をセンサリーダ装置に送信するように構成してもよい。
試作したRFIDセンサ20の動作確認を行うため、データ取得タグ10Bの信号入力端子9への入力電圧VADCをオシロスコープで観察し、RFIDセンサ20の応答性を確認した。
図4は、試作したRFIDセンサ20を駆動させた際にひずみゲージの変形に対してオシロスコープで観測されたVADCの電圧応答変化を示す。この例では、ひずみゲージを一度、出力が飽和するまで変形させ、徐々に変形を戻していった際の入力電圧VADCの電圧値を観測している。
図4(A)は段階的に変形を戻した際のもので、図4(B)は連続的に変形を戻した際の入力電圧VADCを観測した波形である。
従って本発明のRFIDセンサ20を、ひずみゲージを用いたブリッジ回路を含むセンサ(ひずみゲージ)のように、安定した電力供給を必要とするセンサを用いることができることが確認された。
また、各タグ(データ取得タグと電力供給タグ)は、構造部材から離れた位置に設置されるので、金属表面にこのセンサを取付けた場合でも安定して作動し、信頼性の高いデータを検出することができる。
4 メモリ、5 CPU、6RF回路、
7 接地端子(GND)、8 電力供給端子、9 信号入力端子、
10 パッシブ型RFIDタグ、
10A 電力供給タグ、10B データ取得タグ、
12 ブリッジ回路、14 増幅回路、
15 計装アンプ、16 分圧回路、
20 パッシブ型RFIDセンサ
Claims (4)
- 構造部材の力学的なモニタリングを行うためのセンサと、
該センサの安定作動に必要な電力を供給する1又は複数の電力供給タグと、
前記センサの検出データを無線通信するデータ取得タグとを備え、
前記電力供給タグとデータ取得タグは別個のパッシブ型RFIDタグであり、各タグは、前記構造部材から離れた位置に設置される、ことを特徴とするパッシブ型RFIDセンサ。 - 前記センサは、構造部材に貼り付けられその歪みを計測するためのひずみゲージと、該ひずみゲージの抵抗変化を計測するためのブリッジ回路と、該ブリッジ回路の出力を増幅するための増幅回路とを有し、
前記電力供給タグは、センサリーダ装置からの電波をエネルギー源として動作し、前記ブリッジ回路および増幅回路の安定作動に必要な電力を供給するように構成され、
さらに前記増幅回路の出力電圧を所望の検出データに分圧する分圧回路を備え、
前記データ取得タグは、センサリーダ装置からの電波をエネルギー源として動作し、前記分圧回路の安定作動に必要な電力を供給し、かつ前記検出データをA/D変換して前記センサリーダ装置に送信する、ことを特徴とする請求項1に記載のパッシブ型RFIDセンサ。 - 前記電力供給タグは、その供給電圧を監視し、該供給電圧が前記ブリッジ回路および増幅回路の安定作動に不十分な場合に、異常信号を前記センサリーダ装置に送信する、ことを特徴とする請求項1に記載のパッシブ型RFIDセンサ。
- 前記パッシブ型RFIDタグは、センサリーダ装置と無線通信しかつこれから電力を発生する内蔵アンテナと、受信した電力を直流電圧に変換する電源回路と、検出データをA/D変換するADCと、データおよびプログラムを記憶するメモリと、プログラムを実行するCPUと、RF回路とを有する、ことを特徴とする請求項1に記載のパッシブ型RFIDセンサ。
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