JP2017180715A - 転がり軸受 - Google Patents

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【課題】運転初期から保持器の振れ回りを安定して防止しつつ、保持器と軌道輪のロックがなく、さらに保持器と軌道輪との当接部における摩擦と摩耗を低減できる転がり軸受を提供する。【解決手段】転がり軸受1は、軌道輪である内輪2および外輪3と、この内・外輪間に介在する複数の転動体4と、この転動体4を保持する樹脂製の保持器5とを備えてなり、保持器5は、その外径面または内径面から突出して設けられたバネ状部材6を有し、各バネ状部材は、その断面がV字形状またはU字形状であり、保持器の周方向に等間隔で配置され、これらのバネ状部材6が軌道輪である外輪3における保持器案内面3aに当接する。【選択図】図1

Description

本発明は転がり軸受に関し、特に外輪案内形式または内輪案内形式の樹脂製保持器を有する転がり軸受に関する。
外輪案内形式または内輪案内形式の保持器を有する転がり軸受において、その保持器材質は、主に金属からなる。これは、保持器強度面からの材質選定もあるが、高温時の保持器膨張も考慮してのことである。外輪案内形式の保持器を用いる場合、高温時に保持器が膨張して案内隙間が減少し、最悪、外輪と保持器が接触してロックしないように、熱膨係数が小さい金属(主に黄銅や鉄)を使用している。また、内輪案内形式の保持器を用いる場合、高温時に保持器が膨張して案内隙間が増加し、保持器の振れ回りが大きくならないように熱膨張係数の小さい金属(主に黄銅や鉄)を使用している。
このような軌道輪案内形式の保持器を用いる場合、遠心力などによって保持器が軌道輪に強く押し付けられると、十分な油膜が形成されず、保持器と軌道輪の接触部が摩耗するなどのおそれがある。これに対して、特許文献1では、保持器の案内面当接部にかかる力と釣り合う最小油膜厚さを計算し、最小油膜厚さと保持器案内面−軌道輪案内面当接部の合成表面粗さの比を調整すること等で、上記当接部での潤滑状態を改善させ、保持器と軌道輪との間の摩擦と摩耗を低減させている。その他、案内面間の表面粗さの改善、保持器案内面への軟質金属被膜や樹脂被膜の形成によっても保持器と軌道輪との間の摩擦と摩耗を低減し得る。
特開2009−150434号公報
しかし、金属製保持器を用いる場合、以下の(1)〜(5)のような点が課題となる。すなわち、(1)金属製のため、軸受重量軽減が困難である。(2)揉みぬき保持器の場合は、切削加工により製作するためコスト高となる。(3)保持器が摩耗した場合、金属摩耗粉が軸受内部に侵入し、潤滑剤の汚染や摩耗粉による保持器ポケット部、転走面、転動体の損傷を引き起こす懸念がある。(4)高速回転時、案内スキマが小さい場合でも揉みぬき保持器は重量が大きいため、保持器の振れ周りが発生した場合に軸受の振動が大きくなる。(5)案内スキマ分だけ保持器が振れ回る可能性があり、回転数増加に伴い慣性モーメントが大きくなり、保持器原因の軸受振動増加に繋がるおそれがある。
これに対して、樹脂製保持器を採用することで、金属摩耗粉は発生せず、保持器自重が軽くなり、軸受重量の軽減化が図れ、上記の各問題は解消し得る。しかし、樹脂製保持器を用いる場合、重量は小さいものの、線膨張係数が大きいために、高温時には以下の(6)および(7)の課題が考えられるため、従来は、外輪案内形式または内輪案内形式の軸受保持器材質として好ましくなかった。すなわち(6)外輪案内時においては、保持器外径が膨張し、案内スキマが無くなり、外輪と保持器がロックするおそれがある。ロック防止のため、案内スキマを過大にとると、保持器の振れ回りが大きくなる。(7)内輪案内時においては、保持器内径が膨張し、案内スキマが大きくなり、保持器の暴れが大きくなる。保持器暴れを防止するために、案内スキマを過小にとると、案内面間での摩擦が多く発生し、発熱、保持器側の案内面の摩耗促進に繋がる。
また、案内面での潤滑状態を流体潤滑状態にした場合、案内面間での接触は起きず、ダンパー効果による保持器振動抑制も期待できるが、運転開始からある一定の速度に達するまでは、金属接触が支配的であるため、摩耗する期間は存在する。さらに、軸受温度の変化により、油膜厚さも変化するために部分的な接触、摩耗が発生し、合成表面粗さが変化して所定の効果(案内面を流体潤滑状態とすることにより得られる摩耗抑制とダンパー効果)が得られなくなる可能性がある。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、運転初期から保持器の振れ回りを安定して防止しつつ、保持器と軌道輪のロックがなく、さらに保持器と軌道輪との当接部における摩擦と摩耗を低減できる転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明の転がり軸受は、軌道輪である内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体を保持する樹脂製の保持器とを備えてなる転がり軸受であって、上記保持器は、該保持器の外径面または内径面から突出して設けられたバネ状部材を有し、該バネ状部材が上記軌道輪における上記保持器の案内面に当接することを特徴とする。
上記保持器は、上記バネ状部材を複数有し、各バネ状部材は、その断面がV字形状またはU字形状であり、上記保持器の周方向に等間隔で配置されていることを特徴とする。また、上記バネ状部材が金属製であり、上記保持器に埋め込まれて固定されていることを特徴とする。また、上記複数のバネ状部材が連結されていることを特徴とする。
上記バネ状部材における上記案内面との当接部表面に、自己潤滑性樹脂で封孔されたマイクロポーラス部またはマイクロクラック部を有するクロムめっき被膜を有することを特徴とする。また、上記マイクロポーラス部または上記マイクロクラック部を封孔している上記自己潤滑性樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂であり、この自己潤滑性樹脂内に、二硫化タングステン(WS)、二硫化モリブデン(MoS)、およびグラファイトから選ばれる少なくとも1つの固体潤滑剤の粒子が含まれることを特徴とする。
上記バネ状部材が樹脂製であり、上記保持器と一体に形成されていることを特徴とする。また、上記バネ状部材における上記案内面との当接部表面に、油溜まりを有することを特徴とする。
本発明の転がり軸受は、軌道輪である内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体を保持する樹脂製の保持器とを備えてなり、上記保持器は、該保持器の外径面または内径面から突出して設けられたバネ状部材を有し、該バネ状部材が軌道輪における保持器の案内面に当接するので、保持器におけるバネ状部材が、軌道輪の案内面に常に当接し、そのバネ力で保持器を一定の箇所に保持する作用が働く。すなわち、保持器の振れ回りが発生しようとすると、バネ状部材がダンパーとしての役割を果たすため、保持器の振れ回りによる振動を吸収できる。また、保持器が樹脂製であるので、金属摩耗粉は発生せず、保持器自重が軽くなり、軸受重量の軽減化が図れる。これらの結果、保持器と軌道輪のロックがなく、運転初期から保持器の振れ回りを安定して防止できる。
保持器は、バネ状部材を複数有し、各バネ状部材は、その断面がV字形状またはU字形状であり、保持器の周方向に等間隔で配置されているので、保持器を一定の箇所に安定して保持できるとともに、バネ状部材と軌道輪案内面の接触面圧を軽減できる。また、面圧の軽減により、バネ状部材と軌道輪案内面との当接部における摩耗を低減できる。
バネ状部材が金属製であり、保持器に埋め込まれて固定されているので、バネ力を樹脂製の場合と比較して向上でき、保持器を一定の箇所に留めるより強い力が得られる。また、弾性変形限度内で使用すれば、ほぼ永久的にバネ力が得られる。また、保持器に埋め込まれた(インサートされた)複数のバネ状部材が相互に連結されているので、保持器の強度向上が図れる。
バネ状部材における軌道輪案内面との当接部表面に、自己潤滑性樹脂で封孔されたマイクロポーラス部またはマイクロクラック部を有するクロムめっき被膜を有するので、運転初期や希薄潤滑条件下においても、この当接部での摩擦と摩耗を軽減できる。また、マイクロポーラス部またはマイクロクラック部を封孔している自己潤滑性樹脂が、PTFE樹脂であり、この自己潤滑性樹脂内に、WS、MoS、およびグラファイトから選ばれる少なくとも1つの固体潤滑剤の粒子が含まれるので、上記効果をより向上できる。
本発明の転がり軸受の一例を示す断面図と側面図である。 樹脂タイプのバネ状部材を示す図である。 周方向タイプのバネ状部材を示す図である。 金属タイプのバネ状部材を示す図である。 両端一体タイプのバネ状部材(両端V字)を示す図である。 両端一体タイプのバネ状部材(両端U字)を示す図である。 連結タイプのバネ状部材を示す図である。 案内面に対するバネ状部材の当接部の表面形状を示す図である。 当接部におけるCrめっき被膜の封孔状態を示す図である。 図9の一部拡大図などである。
本発明の転がり軸受を図1に基づいて説明する。図1(a)は本発明の転がり軸受の一例を示す断面図であり、図1(b)はその側面図である。図1(a)および図1(b)に示すように、転がり軸受1は、外周に内輪軌道面を有する内輪2と、内周に外輪軌道面を有する外輪3と、内輪軌道面と外輪軌道面との間を転動する複数の転動体4と、転動体4を一定間隔で保持する保持器5とを備えている。ここで、保持器5は、その外径面から突出して設けられたバネ状部材6を有し、バネ状部材6が外輪3における保持器5の案内面3aに当接している。また、バネ状部材6は、周方向に等間隔で複数配置されている。
図1に示す形態の転がり軸受1では、保持器5は外輪3に案内されている。保持器5の振れ回りが発生しようとすると、バネ状部材6がダンパーとしての役割を果たし、振れ回りによる振動を吸収できる。バネ状部材6の個数は、特に限定されないが、2箇所以上かつ等配で設けることが好ましい。バネ状部材の個数が多いほど、バネ力は増加し、保持器5を内外輪間の一定箇所により安定して保持できる。なお、図1(b)に示す形態では、バネ状部材6は、保持器5のポケット(転動体4の保持箇所)と周方向で同位相であるが、これに限定されず、例えばポケット間の柱部と同位相としてもよい。
バネ状部材の構成の一例を図2に基づいて説明する。図2は樹脂タイプのバネ状部材を示す図(保持器周囲の軸方向断面図)である。図2(a)〜図2(c)のバネ状部材6は、いずれも樹脂製である。図2(a)のバネ状部材6は、径方向にみて断面がV字状であり、保持器5の外径面5aから外輪3に向けて傾斜して突出した形状を有している。図2(b)のバネ状部材6は、図2(a)と同様に、径方向にみて断面がV字状であり、保持器5の外径面5aから外輪3に向けて傾斜して突出した形状を有している。ここで、図2(b)では、バネ状部材6の外輪3との当接部として、外輪3の内径面(案内面)との接触面積を増やした部分を設けている。図3(c)のバネ状部材6は、径方向にみて断面がU字状であり、保持器5の外径面5aから外輪3に向けて湾曲しながら突出した形状を有している。このような形状のバネ状部材6の弾性変形に伴う弾性力がバネ力となり、保持器5の振れ回りを防止できる。
図2に示す樹脂製のバネ状部材6は、保持器5と一体に形成されている。一体形成の方法は、射出成形などの成形時に同時に一体形成するか、保持器全体を成形後に、機械加工などにより該バネ状部材に相当する部位を形成してもよい。
保持器およびバネ状部材の樹脂材として用いるベース樹脂は、保持器材料として十分な耐熱性や機械的強度を有するものであれば、任意のものを使用できる。この樹脂材のベース樹脂となる合成樹脂としては、例えば、ポリアミド6(PA6)樹脂、ポリアミド6−6(PA66)樹脂、ポリアミド6−10(PA610)樹脂、ポリアミド6−12(PA612)樹脂、ポリアミド4−6(PA46)樹脂、ポリアミド9−T(PA9T)樹脂、ポリアミド6−T(PA6T)樹脂、ポリメタキシレンアジパミド(ポリアミドMXD−6)樹脂などのポリアミド(PA)樹脂、射出成形可能なフッ素樹脂、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレン(PE)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、射出成形可能なポリイミド(PI)樹脂などが挙げられる。これらの合成樹脂の中でも、耐熱性や射出成形性に優れることから、PA樹脂、PPS樹脂、PEEK樹脂を用いることが好ましい。また、これらの各合成樹脂は単独で使用してもよく、2種類以上混合したポリマーアロイであってもよい。
また、バネ状部材や保持器の弾性率などの機械的強度を向上させるため、これらの合成樹脂に、射出成形性などを阻害しない範囲で、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、各種鉱物性繊維(ウィスカー)などの繊維状補強材を配合してもよい。繊維状補強材としては、補強効果や入手性に優れることから、ガラス繊維(GF)または炭素繊維(CF)を配合することが好ましい。繊維状補強材の配合範囲としては、例えば、合成樹脂全体に対して10〜50重量%程度である。その他、繊維状充填材以外の添加剤などを配合してもよい。
保持器およびバネ状部材の樹脂材として、本発明において好ましい具体的な組み合わせは、例えば、PA66樹脂+GF(0〜40重量%)、PA46樹脂+GF(0〜40重量%)、PA6樹脂+GF(0〜40重量%)、PPS樹脂+GF(0〜40重量%)、およびPEEK樹脂+CF(0〜40重量%)である。
樹脂製のバネ状部材の場合、自己潤滑性が期待できる。バネ状部材の耐摩耗性の向上と、低摩擦化を図るため、バネ状部材における軌道輪の案内面との当接部表面に、潤滑油溜まりとなる表面形状を設けてもよい。この表面形状の一例を図8に示す。図8(a)は、バネ状部材の当接部6cに複数の直線形状の溝6fを設けている。この溝6fは、綾目形状としてもよい。図8(b)は、バネ状部材の当接部6cに微小凹部であるディンプル6eを設けている。これらの表面形状は、バネ状部材の射出成形時において、金型転写により容易に形成できる。軸受使用時においては、この溝や凹部に潤滑油やグリースの基油が保持され、該当接部における摩擦と摩耗を低減できる。
バネ状部材の構成の他の例を図3に基づいて説明する。図3は、周方向タイプのバネ状部材の例を示す図である。図3のバネ状部材6は、その先端部である外輪3の案内面との当接部6cが、周方向に広がった形状を有している。保持器5との結合部分の形状は、図2に示す場合と同様に、断面V字状や断面U字状である。樹脂製のバネ状部材の場合、バネのへたりが懸念される。すなわち、バネ状部材に応力が加えられた状態が続くと、応力緩和を起こしてバネ力が低下するおそれがある。これに対して、図3に示すような周方向タイプのバネ状部材を採用することで、バネと案内面との面圧を軽減でき、上記バネ力の低下を抑制できる。バネ状部材にかかる応力が大きく、上記形状などを採用してもバネ破損などが懸念される場合には、同形状の金属バネを採用する。
バネ状部材の構成の他の例を図4に基づいて説明する。図4は金属タイプのバネ状部材を示す図(保持器周囲の軸方向断面図)である。図4(a)と図4(b)のバネ状部材6は、いずれも金属製である。保持器5自体は上述の樹脂製である。図4(a)のバネ状部材6は、保持器5の外径面5aから外輪3に向けて傾斜して突出した形状を有している。保持器5の外径面とバネ状部材6とを組み合わせることで、径方向にみて断面がV字状となる。図4(b)のバネ状部材6は、保持器5の外径面5aから外輪3に向けて湾曲しながら突出した形状を有している。保持器5の外径面とバネ状部材6とを組み合わせることで、径方向にみて断面がU字状となる。図2の場合と同様に、このような形状のバネ状部材6の弾性変形に伴う弾性力がバネ力となり、保持器5の振れ回りを防止できる。
バネ状部材の構成の他の例を図5および図6に基づいて説明する。図5は両端一体タイプの金属製バネ状部材(両端V字)を示す図(保持器の軸方向断面図)であり、図6は両端一体タイプの金属製バネ状部材(両端U字)を示す図(保持器の軸方向断面図)である。図5の保持器5は、冠形の樹脂製保持器であり、軸方向一方側に開口したポケット7を有する。図5のバネ状部材6は、保持器5のポケット間の柱部に軸方向に沿って本体部6bが配置(インサート成形)され、その軸方向の両端部6aが保持器5の外径面から外輪に向けて傾斜して突出した形状を有している。軸方向両端において、図2(a)と同様に径方向にみて断面がV字状となる。図6の保持器5は、図5と同様の冠形の樹脂製保持器である。図6のバネ状部材6は、保持器5のポケット間に柱部に軸方向に沿って本体部6bが配置(インサート成形)され、その軸方向の両端部6aが保持器5の外径面から外輪に向けて湾曲しながら突出した形状を有している。軸方向両端において、図2(c)と同様に径方向にみて断面がU字状となる。
バネ状部材の構成の他の例を図7に基づいて説明する。図7は、バネ状部材が相互に連結された構成を示す図である。図7のバネ状部材6は、周方向に配置されたそれぞれのバネ部分は、図5や図6に示すバネ状部材と同様の金属製両端一体タイプである。図7のバネ状部材6では、周方向に配置された複数のバネ部分が、相互に連結されている。具体的には、周方向の各バネ部分の本体部6bが、連結部6dを介して相互に連結している。バネ状部材6としては、この連結部6dを含めて一部材とされている結合バネ状部材を用いることが好ましい。このような結合バネ状部材は、例えば、所定間隔で各バネ部分を設けた長尺部材を丸め加工すること等で製造できる。
図4〜図7の金属製バネ状部材と保持器との一体化方法としては、保持器成形時にバネ状部材を金型内に配置してインサート成形する、または、保持器に嵌合溝を形成しておき、保持器成形後にバネ状部材を嵌合固定する、などの方法がある。図5〜図7の場合は、その構造からインサート成形することが好ましい。図5および図6に示す形態では、保持器のポケット間の柱部に、金属製バネ状部材をインサート成形するため、保持器の柱部の強度向上が図れる。また、図7に示すような結合バネ状部材とすることで、保持器の更なる強度向上が図れる。
バネ状部材の金属材質としては、特に限定されず、バネ鋼(Si−Mn、Mn−Cr、Cr−V、Mn−Cr−B、Si−Cr、Cr−Mo鋼)、ステンレス鋼(SUS301、SUS304)などが挙げられる。また、樹脂製の場合と同様に、金属製の場合においても、バネ状部材の耐摩耗性の向上と低摩擦化を図るため、バネ状部材における軌道輪の案内面との当接部表面に、潤滑油溜まりとなる表面形状を設けてもよい(図8参照)。
さらに、金属製バネ状部材の当接部表面に潤滑性被膜処理を施して被膜を形成してもよい。この被膜としては、(1)PTFE樹脂、グラファイト、二硫化タングステン、二硫化モリブデンなどの固体潤滑被膜、(2)Ni−PTFE複合めっき、マイクロポーラス部またはマイクロクラック部を有するCrめっき被膜、(3)自己潤滑性樹脂で封孔されたマイクロポーラス部またはマイクロクラック部を有するCrめっき被膜、などが挙げられる。これらを形成することで、当接部の摩擦と摩耗を軽減できる。なお、めっき被膜については、その硬度向上のため、めっき処理後に熱処理を行なってもよい。希薄潤滑下における潤滑特性に優れることから、上記の中でも(3)を採用することが好ましい。
自己潤滑性樹脂で封孔されたマイクロポーラス部またはマイクロクラック部を有するCrめっき被膜(以下、「樹脂封孔Crめっき被膜」ともいう)について以下に説明する。樹脂封孔Crめっき被膜は、まず、マイクロポーラス部またはマイクロクラック部を有するCrめっき被膜を、バネ状部材における軌道輪の案内面との当接部表面に形成し、その後、マイクロポーラス部、マイクロクラック部を自己潤滑性樹脂で封孔して得られる。なお、必要に応じて、Crめっき被膜の下地としてNiめっき層などを形成してもよい。
マイクロポーラス部またはマイクロクラック部を有するCrめっき被膜は、公知の方法で形成できる。マイクロポーラス部を有するCrめっき被膜は、マイクロポーラスめっき法により、最表面のCrめっき層に微細な孔(マイクロポーラス)を形成することで得られる。例えば、下地として、当接部の表面に非金属不活性微粒子をNiめっき層中に析出させた複合ニッケルめっき層を形成した後、その上にCrめっきを施して多数のマイクロポーラスを形成させる。一方、マイクロクラック部を有するCrめっき被膜は、マイクロクラックめっき法により、最表面のCrめっき層に微細なクラック(マイクロクラック)を形成することで得られる。例えば、当接部の表面にCrめっき被膜を形成した後、これに冷熱処理や超音波処理を施して多数のマイクロクラックを形成させる。
ここで、保持器基材に達するピンホール防止のため、Crめっき被膜の厚さは10μm以上であることが好ましい。ピンホールがある場合、鋼−Cr間で、局部電池反応により腐食が活性化される。被膜厚さは厚いほど有利であるが、製造面での限界などを鑑み100μm以下が好ましい。また、Crめっき被膜の厚さが10〜100μmであると、封孔処理により埋没させる樹脂中の固体潤滑剤の粒子(数十ナノ〜数μmの大きさ)の分散性に優れる。また、マイクロクラック部に保持される自己潤滑性樹脂の潤滑効果を発揮するためには、被膜表面のクラック数が250個/cm以上であることが好ましい。また、この個数範囲とすることで、防錆性能にも優れる。なお、マイクロポーラス部については、400個/cm以上であることが好ましい。
樹脂封孔Crめっき被膜の硬度は、ビッカース硬度でHV800以上(800〜1000)であり、一般的な硬質Crめっきと同様に硬度が高いため、耐摩耗性に優れる。通常、鋼(軌道輪)−硬質Cr(バネ状部材の当接部)の摩擦係数は、ドライ条件下では0.5程度と非常に高い。これに対して、図9に示すように、樹脂封孔Crめっき被膜8は、Crめっき被膜9の表面に無数のマイクロクラック部やマイクロポーラス部が存在し、これらを自己潤滑性樹脂10で封孔処理している。このため、樹脂封孔Crめっき被膜8の摩擦係数は、Crめっき被膜9ではなく、自己潤滑性樹脂10の摩擦係数に支配される。よって、封孔する自己潤滑性樹脂の種類を適宜選択することで、被膜表面の摩擦係数を制御することが可能となり、潤滑状態を良好に維持することが可能となる。
自己潤滑性樹脂としては、潤滑特性に優れる樹脂であれば使用できる。摩擦係数に優れることから、PAI樹脂、PTFE樹脂、PFA共重合体樹脂、超高分子量PE樹脂、PA樹脂、およびPOM樹脂から選ばれる少なくとも1つを用いることが好ましい。これらを使用することで、摩擦係数を鋼−硬質Crの場合(0.5程度)よりも大幅に低減できる。軸受使用温度が100℃以下の場合は、上記いずれの樹脂も好適に使用できる。一方、高温での使用の際しては、PAI樹脂、PTFE樹脂、またはPFA樹脂を使用することが好ましい。これらの中でも優れた摺動特性を有することから、PTFE樹脂を使用することが好ましい。
また、図10に示すように樹脂封孔Crめっき被膜8において、Crめっき被膜9の表面のマイクロポーラス部またはマイクロクラック部を封孔している自己潤滑性樹脂10に固体潤滑剤粒子11が含まれる形態が好ましい。自己潤滑性樹脂に固体潤滑剤を組み合わせることで、さらなる摩擦軽減効果が期待できる。さらに、図10下図に示すように、表面に存在する固体潤滑剤粒子11が脱落した箇所はミクロポーラス12になるため、油溜まり効果も期待できる。ミクロポーラス12は、固体潤滑剤粒子のサイズである。
固体潤滑剤は特に限定されないが、高い低摩擦化が期待できることから、WS、MoS、およびグラファイトから選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。これらは微細粒子状のものを使用できる。粒子のサイズは、マイクロポーラス部またはマイクロクラック部に埋没した自己潤滑性樹脂内に入り込める大きさであればよく、例えば、粒子径10μm以下、好ましくは5μm以下である。なお、これら固体潤滑剤の純度や製造方法などは特に限定されるものではなく、工業的に市販されているものであれば採用できる。
固体潤滑剤を含む場合、該固体潤滑剤は、自己潤滑性樹脂と固体潤滑剤との合計体積に対して、0体積%をこえて、90体積%以下とすることが好ましい。90体積%をこえると、相対的にバインダとなる自己潤滑性樹脂が少なくなりすぎ、マイクロポーラス部またはマイクロクラック部に該固形潤滑剤を保持することが困難になるおそれがある。
自己潤滑性樹脂によるCrめっき被膜の封孔処理方法は、該樹脂を上記マイクロクラック部、マイクロポーラス部に埋没可能な方法であればよく、スプレーコーティング法、ディップ(浸漬)コーティング法、静電塗装法、電着塗装法などが採用できる。例えば、樹脂原料と固体潤滑剤粒子を溶媒に溶解あるいは分散させてディスパージョン液とし、このディスパージョン液などを撹拌することによりペースト状にした後、マイクロクラック部やマイクロポーラス部に含浸させ、その後溶媒を除去することにより形成する。また、Crめっき被膜の形成時に、めっき液中に樹脂粒子と固体潤滑剤粒子を分散させ、これらをマイクロポーラス部などに共析させてもよい。
樹脂封孔Crめっき被膜は、マイクロクラック部およびマイクロポーラス部を封孔した形態のみでなく、Crめっき被膜上に薄く封孔樹脂の被膜が形成された態様であってもよい。また、塗装による被膜完成後に機械加工やタンブラー処理によりこの被膜を取り除くこともできる。
以上、各図などに基づき転がり軸受の構成を説明したが、本発明の転がり軸受はこれに限定されるものではない。各図では、保持器の案内形式として外輪案内としたが、内輪案内とすることもできる。この場合、バネ状部材は保持器の内径面から突出して設けられる。また、各図では玉軸受を用いて説明したが、本発明の転がり軸受は玉軸受に限らず、種々のころ軸受など、軌道輪案内形式の保持器を備える転がり軸受全般に適用できる。
本発明の転がり軸受は、運転初期から保持器の振れ回りを安定して防止しつつ、保持器と軌道輪のロックがなく、さらに保持器と軌道輪との当接部における摩擦と摩耗を低減できるので、外輪案内形式または内輪案内形式の樹脂製保持器を有する種々の転がり軸受に好適に利用できる。
1 転がり軸受
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 バネ状部材
7 ポケット
8 樹脂封孔Crめっき被膜
9 Crめっき被膜
10 自己潤滑性樹脂
11 固体潤滑剤粒子
12 ミクロポーラス

Claims (8)

  1. 軌道輪である内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体を保持する樹脂製の保持器とを備えてなる転がり軸受であって、
    前記保持器は、該保持器の外径面または内径面から突出して設けられたバネ状部材を有し、該バネ状部材が前記軌道輪における前記保持器の案内面に当接することを特徴とする転がり軸受。
  2. 前記保持器は、前記バネ状部材を複数有し、
    各バネ状部材は、その断面がV字形状またはU字形状であり、前記保持器の周方向に等間隔で配置されていることを特徴とする請求項1記載の転がり軸受。
  3. 前記バネ状部材が金属製であり、前記保持器に埋め込まれて固定されていることを特徴とする請求項2記載の転がり軸受。
  4. 前記複数のバネ状部材が連結されていることを特徴とする請求項3記載の転がり軸受。
  5. 前記バネ状部材が樹脂製であり、前記保持器と一体に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の転がり軸受。
  6. 前記バネ状部材における前記案内面との当接部表面に、油溜まりを有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項記載の転がり軸受。
  7. 前記バネ状部材における前記案内面との当接部表面に、自己潤滑性樹脂で封孔されたマイクロポーラス部またはマイクロクラック部を有するクロムめっき被膜を有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の転がり軸受。
  8. 前記マイクロポーラス部または前記マイクロクラック部を封孔している前記自己潤滑性樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン樹脂であり、この自己潤滑性樹脂内に、二硫化タングステン、二硫化モリブデン、およびグラファイトから選ばれる少なくとも1つの固体潤滑剤の粒子が含まれることを特徴とする請求項7記載の転がり軸受。
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