以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
まず、図1〜図4を参照して、本実施形態に係るショベルの構成について説明をする。
図1は、本実施形態に係るショベルを示す側面図である。
図1に示すように、走行油圧モータ1A,1B(図2及び図3参照)により油圧駆動される下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載される。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられる。ブーム4の先端には、アーム5が取り付けられ、アーム5の先端には、バケット6が取り付けられる。アタッチメントとしてのブーム4、アーム5、及びバケット6は、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。また、上部旋回体3には、オペレータが搭乗するキャビン10が設けられると共に、エンジン11(図2及び図3参照)等が搭載される。
図2は、本実施形態に係るショベルの一例である第1のショベルの駆動系の構成を示すブロック図である。第1のショベルは、旋回機構2が旋回油圧モータ40により油圧駆動されることにより、上部旋回体3を旋回させることができる。
尚、図中、機械的動力系は二重線、高圧油圧ラインは太い実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は細い実線でそれぞれ示される。
エンジン11は、第1のショベルの駆動力源であり、例えば、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。エンジン11の出力軸には、メインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続される。
メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、斜板の角度(傾転角)を制御することでピストンのストローク長を調整し、吐出流量(吐出圧)を制御することができる。メインポンプ14は、2つのメインポンプ14A、14B(図5参照)を含む。
パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプである。パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続される。
コントロールバルブ17は、オペレータによる操作装置26の操作に応じて、油圧系の制御を行う油圧制御装置である。走行油圧モータ1A(右用),1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、旋回油圧モータ40等(以下、包括的に或いは個別に「油圧アクチュエータ」と称する場合がある)は、高圧油圧ラインを介してコントロールバルブ17に接続される。コントロールバルブ17は、メインポンプ14と各油圧アクチュエータとの間に設けられ、各油圧アクチュエータの作動油の流れ(具体的には、作動油の流量及び流れる方向)を制御する複数の油圧制御弁171〜176を含む制御弁ユニットである。コントロールバルブ17を含む油圧回路の詳細は後述する。
尚、コントロールバルブ17に含まれる複数の油圧制御弁(油圧制御弁171〜176)には、油圧アクチュエータへの作動油の供給及び油圧アクチュエータからの作動油の排出のうちの双方を行う油圧制御弁もあれば、一方だけを行う油圧制御弁もある。即ち、油圧制御弁171〜176は、油圧アクチュエータに供給される作動油の流れ、及び油圧アクチュエータから排出される作動油の流れの少なくとも一方を制御する。
操作装置26は、レバー26A,26B、ペダル26Cを含み、下部走行体1(具体的には、走行油圧モータ1A,1B)、上部旋回体3(具体的には、旋回油圧モータ40)、ブーム4(具体的には、ブームシリンダ7)、アーム5(具体的には、アームシリンダ8)、及びバケット6(具体的には、バケットシリンダ9)等の操作を行うための操作手段である。レバー26A,26B、及びペダル26Cは、油圧ライン27及び油圧ライン28を介して、コントロールバルブ17及び圧力センサ29にそれぞれ接続される。これにより、コントロールバルブ17には、操作装置26における上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に応じたパイロット信号(パイロット圧)が入力される。圧力センサ29は、コントローラ30に接続される。これにより、コントローラ30には、操作装置26における上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に応じた圧力信号が入力される。
コントローラ30は、ショベルにおける駆動制御を行う主たる制御装置である。コントローラ30は、例えば、CPU、ROM等を含む演算処理装置で構成され、ROMに格納される各種駆動制御用のプログラムをCPU上で実行することにより各種駆動制御が実現される。
図3は、本実施形態に係るショベルの他の例である第2のショベルの駆動系の構成を示すブロック図である。以下、第1のショベルと同様の構成には、同一の符号を付し、第1のショベルと異なる部分を中心に説明を行う。
尚、図中、図2と同様、機械的動力系は二重線、高圧油圧ラインは太い実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は細い実線でそれぞれ示される。
第2のショベルにおけるメイン駆動部としてのエンジン11と、アシスト駆動部としての電動発電機12は、減速機13の2つの入力軸にそれぞれ接続される。減速機13の出力軸には、メインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続される。即ち、エンジン11は、減速機13を介してメインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動し、電動発電機12は、エンジン11をアシストしてメインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動することができる。メインポンプ14には、高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続される。
コントロールバルブ17は、第1のショベルと同様、オペレータによる操作装置26の操作に応じて、油圧系の制御を行う。コントロールバルブ17を含む油圧回路の詳細は後述する。
尚、後述の如く、第2のショベルでは、旋回機構2が電動化されるため、コントロールバルブ17は、旋回油圧モータ40に接続されない。
電動発電機12には、インバータ18Aを介して、蓄電装置の一例としてのキャパシタ19(図4参照)を含む蓄電系120が接続される。
また、第2のショベルは、旋回機構2が電動化され、旋回機構2(上部旋回体3)を駆動する旋回用電動機21が設けられる。旋回用電動機21は、インバータ18Bを介して蓄電系120に接続される。旋回用電動機21は、上部旋回体3の旋回減速動作に応じて、回生発電を行う。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続される。
コントローラ30は、圧力センサ29から供給される圧力信号(操作装置26における上部旋回体3の操作状態を表す信号)を速度指令に変換し、旋回用電動機21の駆動制御を行う。
尚、圧力センサ29から供給される信号は、旋回機構2(即ち、上部旋回体3)を旋回させるための操作装置26における操作量を表す信号である。
また、コントローラ30は、電動発電機12の運転制御(電動(アシスト)運転又は発電運転の切り替え)を行うとともに、昇降圧コンバータ100(図3参照)を駆動制御することによるキャパシタ19(図3参照)の充放電制御を行う。コントローラ30は、キャパシタ19の充電状態、電動発電機12の運転状態(電動(アシスト)運転又は発電運転)、及び旋回用電動機21の運転状態(力行運転又は回生運転)に基づき、昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御を行い、これによりキャパシタ19の充放電制御を行う。
また、コントローラ30は、後述する油圧制御弁171等の制御を行う。詳細は、後述する。
図4は、蓄電系120の構成の一例を示す回路図である。
蓄電系120は、キャパシタ19、昇降圧コンバータ100、DCバス110等を含む。
DCバス110は、キャパシタ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21の間での電力の授受を制御する。キャパシタ19には、キャパシタ19の電圧値、及び電流値を検出するキャパシタ電圧検出部112、及びキャパシタ電流検出部113が設けられる。キャパシタ電圧検出部112、及びキャパシタ電流検出部113により検出されるキャパシタ電圧値、及びキャパシタ電流値は、コントローラ30に供給される。
昇降圧コンバータ100は、電動発電機12、及び旋回用電動機21の運転状態に応じて、DCバス電圧値を一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作を切り替える。DCバス110は、インバータ18A、18Bと昇降圧コンバータ100との間に配設され、キャパシタ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21は、DCバス110を介して、電力の授受を行う。
昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス電圧検出部111により検出されるDCバス電圧値、キャパシタ電圧検出部112により検出されるキャパシタ電圧値、及びキャパシタ電流検出部113により検出されるキャパシタ電流値に基づき、コントローラ30により実行される。
次に、図5〜図11を参照して、本実施形態に係るショベルにおける油圧アクチュエータを駆動する油圧回路の詳細について説明する。
尚、後述する第1のショベルの油圧回路(図5)では、油圧制御弁171が旋回油圧モータ40に接続される態様を例示するが、油圧制御弁171は、旋回油圧モータ40以外に接続されてもよい。例えば、第1のショベルの油圧制御弁171は、グラップル等を含む補助アタッチメントを駆動する油圧アクチュエータに接続される態様であってもよい。また、第1のショベルの油圧制御弁171は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9(以下、包括的に或いは個別に「基本アタッチメント」と称する)のうち、後述する第2のショベルの油圧制御弁171に接続される一の基本アタッチメントと異なる他の基本アタッチメント(後述する図6〜図11の例では、ブームシリンダ7、アームシリンダ8の何れか)に接続される態様であってもよい。また、後述する第2のショベルの油圧回路(図6)では、油圧制御弁171がバケットシリンダ9に接続されるが、バケットシリンダ9以外の基本アタッチメント(ブームシリンダ7、アームシリンダ8)に接続されてもよい。また、後述する第1のショベル及び第2のショベルの油圧回路(図5〜図11)では、油圧制御弁171が油圧アクチュエータから排出される作動油を作動油タンク250に排出する態様を例示するが、油圧制御弁171は、油圧アクチュエータから排出される作動油を回生する態様であってもよい。例えば、第1のショベルの油圧制御弁171の一方のポート(後述するポートP21,P22の何れか)は、ブームシリンダ7のボトム側油室に接続されてよい。また、例えば、第2のショベルの油圧制御弁171の一方のポート(ポートP21,P22の何れか)は、ブームシリンダ7のボトム側油室に接続されてよい。そして、当該油圧制御弁171は、ブーム下げ動作時にブームシリンダ7のボトム側油室から排出される作動油を他方のポートから他の油圧アクチュエータに供給したり、発電機と同軸で構成される油圧モータに出力して発電させたり、アキュムレータに供給したり等により、回生してよい。
[第1のショベルの油圧回路]
図5は、コントロールバルブ17を含む第1のショベルの油圧回路の構成の一例を示す図である。コントロールバルブ17は、油圧制御弁171〜176を含む。また、コントロールバルブ17は、センターバイパス油路201(201A,201B)、パラレル油路211(211A,211B)等を含む。
尚、図5では、油圧制御弁171〜176が中立状態である。また、図5では、走行油圧モータ1A,1Bを油圧駆動する油圧制御弁等は、省略される。
図5に示すように、当該油圧回路は、高圧油圧ライン16(16A,16B)を経て、2つのメインポンプ14A,14Bのそれぞれから吐出される作動油を、センターバイパス油路201(201A,201B)を通じて、作動油タンク250まで循環させる。また、当該油圧回路は、メインポンプ14A,14Bからの作動油を、センターバイパス油路201A,201Bのそれぞれから分岐するパラレル油路211(211A,211B)を通じて、油圧制御弁171〜173及び油圧制御弁174〜176に供給する。
尚、メインポンプ14A,14Bの制御方式としては、例えば、ネガティブコントロール絞り(以下、ネガコン絞りと称する)230(230A,230B)で発生する制御圧(ネガコン圧)に基づくネガティブコントロール制御(以下、「ネガコン制御」と称する)が採用される。また、メインポンプ14A,14Bは、吸収馬力がエンジン11による出力馬力を超えないように、レギュレータ(不図示)により吐出量の制御がなされる(全馬力制御)。
センターバイパス油路201Aには、メインポンプ14A側から油圧制御弁171,172,173の順で、油圧制御弁171〜173が直列に配置される。また、パラレル油路211Aは、センターバイパス油路201Aのうちの油圧制御弁171の手前で分岐し、更に、油路212A〜214Aに分岐し、それぞれ、油圧制御弁171〜173に接続される。これにより、各油圧制御弁171〜173は、パラレル油路211Aを通じてメインポンプ14Aから供給される高圧の作動油を各油圧アクチュエータに供給することができる。
尚、油路212A〜214Aには、それぞれ、逆流防止のためのチェック弁C1A〜C3Aが設けられる。また、センターバイパス油路201Aのうちの油圧制御弁172と油圧制御弁173との間の油路203Aから分岐する油路205Aは、チェック弁C4Aを有し、油路214Aと合流する。即ち、油圧制御弁173よりも上流側(メインポンプ14A側)のセンターバイパス油路が連通している場合(即ち、上流側の油圧制御弁171,172が中立状態の場合)、センターバイパス油路201Aから油路205A及び油圧制御弁173を通じて、油圧アクチュエータに作動油が供給されうる。
センターバイパス油路201Bには、メインポンプ14B側から油圧制御弁174,175,176の順で、油圧制御弁174〜176が直列に配置される。また、パラレル油路211Bは、センターバイパス油路201Bのうちの油圧制御弁174の手前で分岐し、更に、油路212B〜214Bに分岐し、それぞれ、油圧制御弁174〜176に接続される。これにより、各油圧制御弁174〜176は、パラレル油路211Bを通じてメインポンプ14Bから供給される高圧の作動油を各油圧アクチュエータに供給することができる。
尚、油路212B〜214Bには、逆流防止用のチェック弁C1B〜C3Bが設けられる。また、センターバイパス油路201Bのうちの油圧制御弁175と油圧制御弁176との間の油路203Bから分岐する油路205Bは、チェック弁C4Bを有し、油路214Bと合流する。即ち、油圧制御弁176よりも上流側(メインポンプ14B側)のセンターバイパス油路201Bが連通している場合(即ち、上流側の油圧制御弁174,175が中立状態の場合)、センターバイパス油路201Bから油路205B及び油圧制御弁176を通じて、油圧アクチュエータに作動油が供給されうる。
油圧制御弁171は、メインポンプ14Aが吐出する作動油を旋回油圧モータ40で循環させるスプール弁である。油圧制御弁171は、ポートP2、具体的には、1対のポートP21,P22を有し、それぞれが旋回油圧モータ40の2つのポートに接続される。油圧制御弁171は、操作装置26(具体的には、旋回操作に対応するレバー)から2次側のパイロット圧が2つのパイロットポートに入力されることにより、スプールが中立位置(図5に示す状態)から図中左方向或いは右方向に移動する。油圧制御弁171は、中立位置に対するスプールの移動(図中左方向或いは右方向)に応じて、作動油の流れる方向を切り替えると共に、作動油の流量を調整する。
油圧制御弁172は、メインポンプ14Aが吐出する作動油をブームシリンダ7のボトム側油室に導入するスプール弁である。また、油圧制御弁172は、ブームシリンダ7のボトム側油室から排出される作動油をアームシリンダ8の駆動用に回生する。油圧制御弁172は、中立位置に対するスプールの移動(図中左方向或いは右方向)に応じて、作動油の流れる方向を切り替えると共に、作動油の流量を調整する。
油圧制御弁172は、操作装置26から2次側のパイロット圧(具体的には、操作装置26における所定量以上のブーム上げ操作に対応するパイロット圧)が供給されると、スプールが中立位置(図5に示す位置)から図中左方向に移動する。これにより、油圧制御弁172は、パラレル油路211A(油路213A)を通じてメインポンプ14Aから供給される作動油をブームシリンダ7のボトム側油室に導入し、後述する油圧制御弁175と共に、比較的操作量が大きいブーム上げ動作を実現する。
また、油圧制御弁172は、操作装置26において、ブーム4の下げ動作(ブーム下げ動作)とアーム5の開き動作(アーム開き動作)或いはアーム5の閉じ動作(アーム閉じ動作)に対応する複合操作が行われると、スプールが中立位置から図中右方向に移動する。具体的には、油圧制御弁172は、電磁比例弁261から供給されるパイロット圧に応じて、スプールが図中右方向に移動する。これにより、油圧制御弁172は、ブームシリンダ7のボトム側油室から排出される作動油をセンターバイパス油路201A(具体的には、油路203A)に導入し、油路205A及び油圧制御弁173を通じて、アームシリンダ8に供給することができる(ブーム回生)。
尚、電磁比例弁261は、例えば、操作装置26(アーム5の操作に対応するレバー)の二次側パイロット圧を元圧として、コントローラ30からの制御信号に応じて、油圧制御弁172のパイロットポート(図中左側)に作用するパイロット圧を制御する。電磁比例弁261は、例えば、減圧弁である。
油圧制御弁173は、メインポンプ14Aが吐出する作動油をアームシリンダ8に導入すると共に、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンク250に排出するスプール弁である。油圧制御弁173は、操作装置26(具体的には、アーム操作に対応するレバー)から2次側のパイロット圧が2つのパイロットポートに入力されることにより、スプールが図中左方向或いは右方向に移動する。油圧制御弁173は、中立位置に対するスプールの移動(図中左方向或いは右方向)に応じて、作動油の流れる方向を切り替えると共に、作動油の流量を調整する。
油圧制御弁173は、操作装置26からアーム開き操作に対応するパイロット圧が入力されると、スプールが中立位置から図中右方向に移動する。これにより、油圧制御弁173は、メインポンプ14Aから吐出される作動油をアームシリンダ8のロッド側油室に導入すると共に、アームシリンダ8のボトム側油室の作動油を作動油タンク250に排出し、アーム開き動作を実現することができる。また、油圧制御弁173は、操作装置26からアーム閉じ操作に対応するパイロット圧が入力されると、スプールが中立位置から図中左方向に移動する。これにより、油圧制御弁173は、メインポンプ14Aから吐出される作動油をアームシリンダ8のボトム側油室に導入すると共に、アームシリンダ8のロッド側油室の作動油を作動油タンク250に排出し、アーム閉じ動作を実現することができる。
油圧制御弁174は、メインポンプ14Bが吐出する作動油をバケットシリンダ9に導入し、且つ、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンク250に排出するスプール弁である。油圧制御弁174は、ポートP1、具体的には、1対のポートP11,P12を有し、それぞれがバケットシリンダ9のロッド側油室及びボトム側油室に接続される。油圧制御弁174は、操作装置26(具体的には、バケット操作に対応するレバー)から2次側のパイロット圧が2つのパイロットポートに入力されることにより、スプールが図中左方向或いは右方向に移動する。油圧制御弁173は、中立位置に対するスプールの移動(図中左方向或いは右方向)に応じて、作動油の流れる方向を切り替えると共に、作動油の流量を調整する。
油圧制御弁174は、操作装置26からバケット6の開き操作(バケット開き操作)に対応するパイロット圧が入力されると、スプールが中立位置から図中右方向に移動する。これにより、油圧制御弁174は、メインポンプ14Bから吐出される作動油をバケットシリンダ9のロッド側油室に導入すると共に、バケットシリンダ9のボトム側油室の作動油を作動油タンク250に排出し、バケット6の開き動作(バケット開き動作)を実現することができる。また、油圧制御弁174は、操作装置26からバケット閉じ操作に対応するパイロット圧が入力されると、スプールが中立位置から図中左方向に移動する。これにより、油圧制御弁174は、メインポンプ14Bから吐出される作動油をバケットシリンダ9のボトム側油室に導入すると共に、バケットシリンダ9のロッド側油室の作動油を作動油タンク250に排出し、バケット閉じ動作を実現することができる。
油圧制御弁175は、メインポンプ14Bが吐出する作動油をブームシリンダ7に導入し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンク250に排出するスプール弁である。油圧制御弁175は、操作装置26(具体的には、ブーム操作に対応するレバー)から2次側のパイロット圧が2つのパイロットポートに入力されることにより、スプールが図中左方向或いは右方向に移動する。油圧制御弁175は、中立位置に対するスプールの移動(図中左方向或いは右方向)に応じて、作動油の流れる方向を切り替えると共に、作動油の流量を調整する。
油圧制御弁175は、操作装置26からブーム上げ操作に対応するパイロット圧が入力されると、スプールが中立位置から図中右方向に移動する。これにより、油圧制御弁175は、メインポンプ14Bから吐出される作動油をブームシリンダ7のボトム側油室に導入すると共に、ブームシリンダ7のロッド側油室の作動油を作動油タンク250に排出し、ブーム上げ動作を実現することができる。また、油圧制御弁175は、操作装置26からブーム下げ操作に対応するパイロット圧が入力されると、スプールが中立位置から図中左方向に移動する。これにより、油圧制御弁175は、メインポンプ14Bから吐出される作動油をブームシリンダ7のロッド側油室に導入すると共に、ブームシリンダ7のボトム側油室の作動油を作動油タンク250に排出し、ブーム下げ動作を実現することができる。
また、油圧制御弁175は、ブーム下げ側位置(図中右側のスプール位置)におけるCT油路(ブームシリンダ7のボトム側油室と作動油タンク250を繋ぐ油路)とPC油路(メインポンプ14Bとブームシリンダ7のロッド側油室とを繋ぐ油路)の間にチェック弁を含む再生油路175Aを備える。再生油路175Aは、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油をブームシリンダ7のロッド側油室に流入させるために設けられる(ブーム再生)。また、再生油路175Aの開口面積は、油圧制御弁175のスプールのブーム下げ方向(図中左方向)への変位量に比例する。
油圧制御弁176は、メインポンプ14Bが吐出する作動油をアームシリンダ8に導入し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンク250に排出するスプール弁である。油圧制御弁175は、操作装置26(具体的には、アーム5の操作に対応するレバー)から2次側のパイロット圧が2つのパイロットポートに入力されることにより、スプールが図中左方向或いは右方向に移動する。油圧制御弁176は、中立位置に対するスプールの移動(図中左方向或いは右方向)に応じて、作動油の流れる方向を切り替えると共に、作動油の流量を調整する。
油圧制御弁176は、操作装置26からアーム開き操作に対応するパイロット圧が入力されると、スプールが中立位置から図中右方向に移動する。これにより、油圧制御弁176は、メインポンプ14Bから吐出される作動油をアームシリンダ8のロッド側油室に導入すると共に、アームシリンダ8のボトム側油室の作動油を作動油タンク250に排出し、アーム開き動作を実現することができる。また、油圧制御弁176は、操作装置26からアーム閉じ操作に対応するパイロット圧が入力されると、スプールが中立位置から図中左方向に移動する。これにより、油圧制御弁176は、メインポンプ14Bから吐出される作動油をアームシリンダ8のボトム側油室に導入すると共に、アームシリンダ8のロッド側油室の作動油を作動油タンク250に排出し、アーム閉じ動作を実現することができる。
[第2のショベルの油圧回路の一例]
図6は、コントロールバルブ17を含む第2のショベルの油圧回路の構成の一例を示す図である。以下、第1のショベルの油圧回路と同様の構成には同一の符号を付し、異なる部分を中心に説明する。
油圧制御弁171は、第1のショベルにおける油圧制御弁171と同様の構成(後述する構造)を有するが、その作用(機能)が異なる。具体的には、図6に示すように、油圧制御弁171は、第1のショベル(図5)と異なり、メインポンプ14Aが吐出する作動油をバケットシリンダ9に供給し、且つ、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンク250に排出するスプール弁である。即ち、油圧制御弁171は、油圧制御弁174により駆動されるバケットシリンダ9のメータイン合流弁として機能する。第2のショベルは、旋回機構2が電動化され、旋回油圧モータ40を駆動する必要がないからである。
尚、第1のショベルと第2のショベルとの上述した作用(機能)の差異は、スプールの交換により実現することができる。即ち、第1のショベルと第2のショベルのそれぞれの要求する作用(機能)を実現しつつ、後述するスプールが組み込まれる筐体301(図12参照)等は、第1のショベルと第2のショベルとの間で共用化することができる。
油圧制御弁171は、電磁比例弁262,263から図中左側及び右側のパイロットポートに供給されるパイロット圧が入力されることにより、スプールが図中左方向或いは右方向に移動する。油圧制御弁171は、中立位置に対するスプールの移動(図中左方向或いは右方向)に応じて、作動油の流れる方向を切り替えると共に、作動油の流量を調整する。具体的には、油圧制御弁171は、操作装置26における所定の操作状態(詳細は後述)に応じた電磁比例弁262からのパイロット圧に応じて、スプールが中立位置から図中右方向に移動する。これにより、油圧制御弁171は、メインポンプ14Aから吐出される作動油をバケットシリンダ9のロッド側油室に導入し、且つ、バケットシリンダ9のボトム側油室の作動油を作動油タンク250に排出する。また、油圧制御弁171は、操作装置26における所定の操作状態(詳細は後述)に応じた電磁比例弁263からのパイロット圧に応じて、スプールが中立位置から図中左方向に移動する。これにより、油圧制御弁171は、メインポンプ14Aから吐出される作動油をバケットシリンダ9のボトム側油室に導入し、且つ、バケットシリンダ9のロッド側油室の作動油を作動油タンク250に排出する。
尚、電磁比例弁262,263は、それぞれ、例えば、操作装置26(バケット6の操作に対応するレバー)の二次側のパイロット圧を元圧とし、コントローラ30からの制御信号に応じて、油圧制御弁171の図中左側及び右側のパイロットポートに作用するパイロット圧を制御する。電磁比例弁262,263は、例えば、減圧弁である。
油圧制御弁174は、第1のショベルと同様、メインポンプ14Bが吐出する作動油をバケットシリンダ9に導入し、且つ、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンク250に排出するスプール弁である。油圧制御弁174は、第1のショベルと異なり、操作装置26の2次側のパイロット圧の代わりに、電磁比例弁264,264から図中左側及び右側のパイロットポートに作用するパイロット圧で作動する。
電磁比例弁264,265は、それぞれ、例えば、操作装置26(バケット6の操作に対応するレバー)の二次側のパイロット圧を元圧とし、コントローラ30からの制御信号に応じて、油圧制御弁174の図中左側及び右側のパイロットポートに作用するパイロット圧を制御する。電磁比例弁264,265は、例えば、減圧弁である。電磁比例弁264,265は、基本的に、バケット6の操作に対応するレバーの二次側のパイロット圧を油圧制御弁174の図中左側及び右側のパイロットポートに供給する。即ち、油圧制御弁174は、基本的に、バケット6のレバー操作に応じた動作を行う。但し、操作装置26において、後述する特定の操作が行われた場合(図8参照)、例外的に、電磁比例弁264,265は、コントローラ30からの制御信号に応じて、バケット6のレバー操作に対応するパイロット圧(操作装置26の2次側のパイロット圧)が油圧制御弁174のパイロットポートに作用しないように、操作装置26の2次側のパイロット圧を減圧する。これにより、油圧制御弁174は、操作装置26におけるバケット6のレバー操作に依らず、中立状態を維持することができる。
図7は、図6に示す油圧回路の動作の一例を示す。具体的には、バケット6単独での開き動作(具体的には、バケット6の位置決め動作等)に対応するレバー操作が操作装置26において行われている場合の動作状態を示す。
尚、図7において、油圧制御弁171〜176は、実現されている作動油の流れの状態のみを示し、スプールの移動により実現可能な他の状態の図示を省略している。
操作装置26において、バケット6の単独動作(バケット開き動作)に対応するレバー操作が行われているため、図7に示すように、油圧制御弁174は、スプールが中立位置から右方向に移動する。これにより、油圧制御弁174は、メインポンプ14Bから吐出される作動油をバケットシリンダ9のロッド側油室に導入すると共に、バケットシリンダ9のボトム側油室の作動油を作動油タンク250に排出する。
また、油圧制御弁171は、操作装置26におけるレバー操作(バケット開き動作に対応するレバー操作)に応じて、中立位置から図中右方向に移動する。具体的には、コントローラ30は、圧力センサ29の圧力信号に基づき、バケット6の単独動作(バケット開き動作)に対応するレバー操作を検出すると、電磁比例弁262に対して、油圧制御弁171のスプールを右方向に移動させるパイロット圧を生成する制御信号を送信する。そして、電磁比例弁262は、当該制御信号に応じたパイロット圧を生成し、油圧制御弁171の左側のパイロットポートに作用させ、油圧制御弁171のスプールは、中立位置から右方向に移動する。これにより、油圧制御弁171は、バケットシリンダ9のロッド側油室に作動油を導入し、且つ、ボトム側油室の作動油を作動油タンク250に排出する。
通常、バケット6の駆動負荷は、ブーム4、アーム5等に比して、低い。そのため、複合操作時に、メインポンプ14Bから吐出される作動油が油圧制御弁174〜176を通じて、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9に万遍なく供給される必要があることから、通常、油圧制御弁174のポートP1(ポートP11,P12)の開口が比較的狭くなっている。従って、バケット6に単独動作を行わせる際、油圧制御弁174のポートP11,P12の開口の狭さに起因して、油圧制御弁174における圧力損失が比較的高くなる傾向になる。これに対して、本例に係る油圧回路の動作によれば、バケット6の単独動作時に、油圧制御弁174に加えて、油圧制御弁171がバケットシリンダ9を駆動する構成を採用する。これにより、油圧制御弁171、174の双方から供給される作動油でバケットシリンダ9を駆動できるため、メインポンプ14A,14Bのそれぞれから油圧制御弁171,174に供給される作動油の流量(吐出圧力)は、油圧制御弁174がメインポンプ14Bからの作動油だけでバケット6を駆動する場合より小さくすることができる。換言すれば、同じ流量(圧力)の作動油を油圧制御弁171、174の2つのポートP1,P2の開口でバケットシリンダ9に導入できるため、油圧制御弁174だけでバケットシリンダ9を駆動する場合よりもメータイン側の圧力損失を低減することができる。また、バケットシリンダ9から排出される作動油も油圧制御弁171,174の2つのポートP1,P2の開口で作動油タンク250に排出できるため、メータアウト側の圧力損失を低減することができる。そのため、バケット6の単独動作時のエネルギ効率を高めることができる。
また、仮に、油圧制御弁171をバケットシリンダ9の駆動に利用しない場合、メインポンプ14Aから吐出される作動油は、ネガコン制御により流量が絞られるとは言え、無駄にセンターバイパス油路201Aを通って作動油タンク250に排出される。これに対して、本例に係る油圧回路の動作によれば、バケット6の単独動作時に、メインポンプ14Aから吐出される作動油が有効にバケットシリンダ9の駆動に利用されるため、エネルギ効率を高めることができる。
尚、図7に示す一例では、バケット開き動作が行われている場合を例示したが、バケット6の閉じ動作が行われる場合についても、油圧制御弁171,174の双方でバケットシリンダ9を駆動する構成は同様である。具体的には、油圧制御弁171、174は、共に、スプールが図中左方向に移動することにより、それぞれ、メインポンプ14A,14Bから吐出される作動油をバケットシリンダ9のボトム側油室に導入すると共に、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンク250に排出する。この際、油圧制御弁171は、コントローラ30からの制御信号に応じて作動する電磁比例弁263の作用により、スプールが図中左方向に移動する。これにより、同様の作用・効果を奏する。
続いて、図8は、図6に示す油圧回路の動作の他の例を示す。具体的には、ブーム下げ動作とバケット開き動作との複合動作(具体的には、払い作業等を行う動作)に対応するレバー操作が操作装置26において行われている場合の動作状態を表す。
尚、図8において、油圧制御弁171〜176は、実現されている作動油の流れの状態のみを示し、スプールの移動により実現可能な他の状態の図示を省略している。
操作装置26において、ブーム下げ動作とバケット開き動作に対応するレバー操作が行われると、図8に示すように、油圧制御弁175は、スプールが中立位置から図中左方向に移動する。これにより、油圧制御弁175は、メインポンプ14Bから吐出された作動油をブームシリンダ7のロッド側油室に導入する。また、油圧制御弁175は、ブームシリンダ7のボトム側油室の作動油を作動油タンク250に排出しつつ、一部の作動油を、再生油路175Aを介して、ブームシリンダ7のロッド側油室に導入(再生)する。一方、油圧制御弁174は、スプールが中立位置のままで移動しない。即ち、油圧制御弁174は、操作装置26におけるバケット開き動作に対応するレバー操作に対して、バケットシリンダ9の駆動を行わない。
尚、コントローラ30は、圧力センサ29の圧力信号に基づき、ブーム下げ動作とバケット開き動作との複合動作に対応するレバー操作を検出すると、電磁比例弁264に対して、操作装置26の2次側のパイロット圧を減圧させる制御信号を送信する。そして、電磁比例弁264は、操作装置26の2次側のパイロット圧が油圧制御弁174の左側のパイロットポートに作用しないようにし、油圧制御弁174の中立状態を維持する。これにより、油圧制御弁174がバケットシリンダ9の駆動を行わないようにすることができる。
また、油圧制御弁171は、操作装置26において、ブーム下げ動作とバケット開き動作に対応するレバー操作が行われると、スプールが右方向に移動する。具体的には、コントローラ30は、圧力センサ29の圧力信号に基づき、ブーム下げ動作とバケット動作(バケット開き動作)の複合動作に対応するレバー操作を検出すると、電磁比例弁262に対して、油圧制御弁171のスプールを右方向に移動させるパイロット圧を生成する制御信号を送信する。そして、電磁比例弁262は、当該制御信号に応じたパイロット圧を生成し、油圧制御弁171の左側のパイロットポートに作用させ、油圧制御弁171のスプールは、中立位置から右方向に移動する。これにより、油圧制御弁171は、バケットシリンダ9のロッド側油室に作動油を導入し、且つ、ボトム側油室の作動油を作動油タンク250に排出する。
ブーム下げ動作とバケット動作の複合動作時に、通常通り、油圧制御弁174でバケットシリンダ9を駆動すると、メインポンプ14Bの吐出圧力は、バケット6を駆動するために必要な負荷圧にまで上昇する。そのため、油圧制御弁175を通じて、同じメインポンプ14Bから吐出される作動油が導入されるブームシリンダ7のロッド側油室の圧力は、比較的高くなってしまう。すると、ブームシリンダ7のボトム側油室とロッド側油室との差圧が小さくなってしまい、再生油路175Aを通じて、ブームシリンダ7のロッド側油室に導入される作動油の流量が比較的少なくなる可能性がある。
これに対して、本例に係る油圧回路の動作によれば、ブーム下げ動作とバケット動作の複合動作時に、油圧制御弁174の代わりに、油圧制御弁171がバケットシリンダ9の駆動を行う。従って、油圧制御弁171は、メインポンプ14Aからの作動油をバケットシリンダ9に導入するため、メインポンプ14Bから吐出される作動油の吐出圧力を高める必要がなく、ブームシリンダ7のロッド側油室の圧力は、比較的低くすることができる。そのため、バケット6のボトム側油室とロッド側油室の差圧を比較的大きく保持することが可能となり、再生油路175Aを通じた再生流量の低下によるエネルギ効率の低下を抑制することができる。
尚、図8に示す一例では、バケット開き動作が行われている場合を例示したが、バケット6の閉じ動作が行われる場合についても、油圧制御弁174の代わりに油圧制御弁171でバケットシリンダ9を駆動する構成は同様である。具体的には、油圧制御弁174は、中立状態を維持する。この際、油圧制御弁174は、コントローラ30からの制御信号に応じて作動する電磁比例弁265の作用により、操作装置26の2次側のパイロット圧が右側のパイロットポートに作用せず、中立状態を維持することができる。また、油圧制御弁171は、スプールが図中左方向に移動することにより、メインポンプ14Aから吐出される作動油をバケットシリンダ9のボトム側油室に導入すると共に、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンク250に排出する。この際、油圧制御弁171は、コントローラ30からの制御信号に応じて作動する電磁比例弁263の作用により、スプールが図中左方向に移動する。これにより、同様の作用・効果を奏する。
続いて、図9は、図6に示す油圧回路の動作の更に他の例を示す図である。具体的には、ブーム下げ動作と、アーム開き動作と、バケット開き動作の複合動作(具体的には、ダンプ積み込み作業時の動作等)に対応するレバー操作が操作装置26において行われている場合の動作状態を表す。
操作装置26において、ブーム下げ動作、アーム開き動作、及びバケット開き動作の複合動作に対応するレバー操作が行われると、図9に示すように、油圧制御弁173,176は、それぞれ、スプールが中立位置から図中右方向に移動する。これにより、油圧制御弁173,176は、それぞれ、メインポンプ14A,14Bから吐出される作動油をアームシリンダ8のロッド側油室に導入すると共に、アームシリンダ8のボトム側油室の作動油を作動油タンク250に排出する。また、油圧制御弁175は、スプールが中立位置から図中左方向に移動する。これにより、油圧制御弁175は、メインポンプ14Bから吐出された作動油をブームシリンダ7のロッド側油室に導入する。また、油圧制御弁175は、ブームシリンダ7のロッド側油室の作動油を作動油タンク250に排出しつつ、一部の作動油を、再生油路175Aを介して、ブームシリンダ7のロッド側油室に導入(再生)する。また、油圧制御弁174は、スプールが中立位置から図中右方向に移動する。これにより、油圧制御弁174は、メインポンプ14Bから吐出された作動油をバケットシリンダ9のロッド側油室に導入すると共に、バケットシリンダ9のボトム側油室の作動油を作動油タンク250に排出する。
また、油圧制御弁172は、操作装置26において、少なくともブーム下げ動作とアーム開き動作を含む複合動作に対応するレバー操作が行われると、スプールが中立位置から図中左方向に移動する。具体的には、コントローラ30は、圧力センサ29の圧力信号に基づき、ブーム下げ動作とアーム開き動作を含む複合動作に対応するレバー操作を検出すると、電磁比例弁261に対して、油圧制御弁172のスプールを右方向に移動させるパイロット圧を生成する制御信号を送信する。そして、電磁比例弁261は、当該制御信号に応じたパイロット圧を生成し、油圧制御弁172の左側のパイロットポートに作用させ、油圧制御弁172のスプールは、中立位置から右方向に移動する。これにより、油圧制御弁172は、ブームシリンダ7のボトム側油室の作動油をセンターバイパス油路201A(具体的には、油路203A)に導入し、油路205A及び油圧制御弁173を通じて、アームシリンダ8のロッド側油室に導入することができる。そのため、アーム5の操作速度を上昇させることができる。
また、油圧制御弁171は、操作装置26において、ブーム下げ動作、アーム開き動作、及びバケット開き動作に対応するレバー操作が行われると、スプールが中立位置から図中右方向に移動する。具体的には、コントローラ30は、圧力センサ29の圧力信号に基づき、ブーム下げ動作、アーム開き動作、及びバケット開き動作の複合動作に対応するレバー操作を検出すると、電磁比例弁262に対して、油圧制御弁171のスプールを右方向に移動させるパイロット圧を生成する制御信号を送信する。そして、電磁比例弁262は、当該制御信号に応じたパイロット圧を生成し、油圧制御弁171の左側のパイロットポートに作用させ、油圧制御弁171のスプールは、中立位置から右方向に移動する。これにより、油圧制御弁171は、バケットシリンダ9のロッド側油室に作動油を導入し、且つ、ボトム側油室の作動油を作動油タンク250に排出する。これにより、油圧制御弁174に加えて、油圧制御弁171でバケットシリンダ9を駆動するため、バケット6の操作速度を上昇させることができる。また、上述したアーム5の操作速度の上昇に合わせて、バケット6の操作速度も上昇させることができるため、操作性を向上させることができる。
尚、図9に示す一例では、バケット開き動作が行われている場合を例示したが、バケット6の閉じ動作が行われる場合についても、油圧制御弁171,174の双方でバケットシリンダ9を駆動する構成は同様である。具体的には、油圧制御弁171、174は、共に、スプールが図中左方向に移動することにより、それぞれ、メインポンプ14A,14Bから吐出される作動油をバケットシリンダ9のボトム側油室に導入すると共に、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンク250に排出する。この際、油圧制御弁171は、コントローラ30からの制御信号に応じて作動する電磁比例弁263の作用により、スプールが図中左方向に移動する。これにより、同様の作用・効果を奏する。
[第2のショベルの油圧回路の他の例]
図10は、第2のショベルの油圧回路の構成の他の例を示す図である。以下、上述した第1のショベルの油圧回路の一例及び第2のショベルの油圧回路の一例と同様の構成には同一の符号を付し、異なる部分を中心に説明する。
油圧制御弁171は、第1のショベルにおける油圧制御弁171と同様の構成(後述する構造)を有するが、上述した第2のショベルの油圧回路の一例(図6)と同様、その作用(機能)が異なる。具体的には、図10に示すように、油圧制御弁171は、第1のショベル(図5)と異なり、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンク250に排出するスプール弁である。即ち、上述した第2のショベルの油圧回路の一例と同様、油圧制御弁171のポートP1がバケットシリンダ9と接続されるが、接続されるポートP1は、ポートP11,P12のうちの一方であり、油圧制御弁171は、油圧制御弁174により駆動されるバケットシリンダ9のメータアウト開放弁として機能する。
図11は、図10に示す油圧回路の動作の一例を示す図である。
具体的には、バケット6単独での開き動作(具体的には、バケット6の位置決め動作等)に対応するレバー操作が操作装置26において行われている場合の動作状態を示す。
尚、図11において、油圧制御弁171〜176は、実現されている作動油の流れの状態のみを示し、スプールの移動により実現可能な他の状態の図示を省略している。
操作装置26において、バケット6の単独動作(バケット開き動作)に対応するレバー操作が行われているため、図11に示すように、油圧制御弁174は、スプールが中立位置から右方向に移動する。これにより、油圧制御弁174は、メインポンプ14Bから吐出される作動油をバケットシリンダ9のロッド側油室に導入すると共に、バケットシリンダ9のボトム側油室の作動油を作動油タンク250に排出する。
また、油圧制御弁171は、操作装置26におけるレバー操作(バケット開き動作に対応するレバー操作)に応じて、中立位置から図中右方向に移動する。具体的には、コントローラ30は、圧力センサ29の圧力信号に基づき、バケット6の単独動作(バケット開き動作)に対応するレバー操作を検出すると、電磁比例弁262に対して、油圧制御弁171のスプールを右方向に移動させるパイロット圧を生成する制御信号を送信する。そして、電磁比例弁262は、当該制御信号に応じたパイロット圧を生成し、油圧制御弁171の左側のパイロットポートに作用させ、油圧制御弁171のスプールは、中立位置から右方向に移動する。これにより、油圧制御弁171は、バケットシリンダ9のボトム側油室の作動油を作動油タンク250に排出する。
上述の如く、バケット6に単独動作を行わせる際、油圧制御弁174のポートP11,P12の開口の狭さに起因して、油圧制御弁174における圧力損失が比較的高くなる傾向になる。これに対して、本例に係る油圧回路の動作によれば、バケット6の単独動作時に、バケットシリンダ9から排出される作動油を油圧制御弁171,174の2つのポートP1,P2の開口で作動油タンク250に排出できるため、メータアウト側の圧力損失(背圧損失)を低減することができる。そのため、バケット6の単独動作時のエネルギ効率を高めることができる。
尚、図11に示す一例では、バケット開き動作が行われている場合を例示したが、バケット6の閉じ動作が行われる場合についても、油圧制御弁171でバケットシリンダ9の作動油を作動油タンク250に排出する構成は同様である。具体的には、油圧制御弁171は、スプールが図中左方向に移動することにより、バケットシリンダ9のロッド側油室の作動油を作動油タンク250に排出する。この際、油圧制御弁171は、コントローラ30からの制御信号に応じて作動する電磁比例弁263の作用により、スプールが図中左方向に移動する。これにより、同様の作用・効果を奏する。
[コントロールバルブ17の共用化]
上述の如く、本実施形態に係る第1のショベルと第2のショベルを有するショベルのシリーズ(以下、ショベルシリーズと称する)は、油圧制御弁172〜176の構成及び作用(機能)を共通とし、油圧制御弁171の構成及び作用(機能)を異にする。具体的には、コントロールバルブ17は、第1のショベルと第2のショベルに共通して、バケットシリンダ9(第1油圧アクチュエータの一例)に供給される作動油の流れを制御する油圧制御弁174(第1制御弁の一例)と、第1のショベルでは、上部旋回体3(第2の動作要素の一例)を駆動する旋回油圧モータ40(第2油圧アクチュエータの一例)に供給される作動油の流れを制御し、第2のショベルでは、バケットシリンダ9に供給される作動油の流れを制御する油圧制御弁171(第2制御弁の一例)と、を備える。これにより、ショベルシリーズにおいて、コントロールバルブ17を含む油圧回路の油圧制御弁171で異なる作用を実現しつつ、コントロールバルブ17のショベルシリーズ間での共用化を図ることができる。
図12は、コントロールバルブ17の構造の一例を示す断面図である。具体的には、コントロールバルブ17のうちの油圧制御弁171,174に対応する部分の断面図である。
図12に示すように、コントロールバルブ17は、油圧制御弁171〜173(具体的には、スプールとスプールが軸方向に移動可能な内部空間)、センターバイパス油路201A及びパラレル油路211A等が組み込まれる筐体301と、油圧制御弁174〜176(具体的には、スプールとスプールが軸方向に移動可能な内部空間)、センターバイパス油路201B、及びパラレル油路211B等が組み込まれる筐体311を含む。筐体301と筐体311は、図示しない締結部により締結される。
尚、油圧制御弁172、173は、筐体301以外の筐体に内蔵される態様であってもよい。また、油圧制御弁175、176は、筐体311以外の筐体に内蔵される態様であってもよい。
筐体301(第2筐体の一例)は、油圧制御弁171のスプールが軸方向に移動する内部空間302を内蔵する。
内部空間302のスプールが移動する方向の両端には、パイロットポート303,304が設けられる。
また、内部空間302から外部に連通する態様で(具体的には、内部空間302から筐体311側と反対方向に延出し、外部に連通する)ポートP21,P22が設けられる。
筐体311(第1筐体の一例)は、油圧制御弁174のスプールが軸方向に移動する内部空間312を内蔵する。
内部空間312のスプールが移動する方向の両端には、パイロットポート313,314が設けられる。
また、内部空間312から外部に連通する態様で(具体的には、内部空間312から筐体301側と反対方向に延出し、外部に連通する)ポートP11,P12が設けられる。
筐体301と筐体311は、図12に示すように、内部空間302と内部空間312が隣接する態様で、結合(締結)される。そして、筐体301,311のそれぞれには、結合された状態で、ポートP2(P21,P22)とポートP1(P11,P12)との間を接続する油路を構成する油路305,306(第2油路の一例)及び油路315,316(第1油路の一例)が設けられる。これにより、上述した第2のショベルの油圧回路(図6、図10参照)の如く、油圧制御弁171のポートP2(P21,P22)を油圧制御弁174と同じ油圧アクチュエータ(バケットシリンダ9)に接続する構成を実現することができる。即ち、油圧制御弁171,174のポートP2,P1を同じ油圧アクチュエータ(バケットシリンダ9)に接続することができる。
また、油路305,306及び油路315,316は、ポートP1とポートP2とが連通しないように、筐体301,311が締結される前の状態で、塞ぐことが可能な構造を有する。例えば、油路305,306及び油路315,316の少なくとも一方に栓として機能する部材を挿入することにより、油路305,306と油路315,316の間が非連通になるようにしてよい。また、油路305,306と油路315,316の間(即ち、筐体301と筐体311との間)に所定のシール材を設けることにより、油路305,306と油路315,316の間が非連通になるようにしてよい。これにより、上述した第1のショベルの油圧回路(図5参照)の如く、油圧制御弁171,174の各ポートP2,P1を異なる油圧アクチュエータに接続することができる。具体的には、油圧制御弁171のポートP2(P21,P22)を旋回油圧モータ40に接続し、油圧制御弁174のポートP1(P11,P12)をバケットシリンダ9に接続することができる。
このように、図12に示す一例によれば、油圧制御弁171に異なる作用を要求する本実施形態に係るショベルシリーズ(第1のショベルと第2のショベル)の間で、コントロールバルブ17を共用することができる。
尚、図12に示す一例では、ポートP1,P2をコントロールバルブ17の内部(筐体301,311の内部)で接続するが、外部で合流させる態様であってもよい。例えば、ポートP1,P2に接続された油圧ホースを外部で合流させて、共通の油圧アクチュエータ(バケットシリンダ9)に接続する態様であってもよい。
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、上述した第2ショベルの油圧回路の一例に対する動作の一例(図7)、更に他の例(図9)、及び第2のショベルの油圧回路の一例に対する動作の一例(図11)において、油圧制御弁171は、センターバイパス油路201A、パラレル油路211Aに接続されるが、センターバイパス油路201B,パラレル油路211Bに接続される態様であってもよい。即ち、油圧制御弁171は、油圧制御弁174と同じ、メインポンプ14Bから作動油の供給を受ける構成であってもよい。