JP2017179438A - 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】めっき性に優れた合金化溶融亜鉛めっき原板を製造する方法を提供する。
【解決手段】所定の成分組成を満足する鋼を熱間圧延し、650℃以上で巻き取って素地鋼板を得る工程と、得られた素地鋼板を無酸化炉で、前記無酸化炉の入口を含む領域の酸素濃度が0〜100ppmに抑制されており、且つ前記無酸化炉全体の酸素濃度が0〜10000ppmに制御された雰囲気で加熱する加熱工程と、還元炉で還元する工程と、をこの順で含む合金化溶融亜鉛めっき原板の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する。
自動車、家電、建材等の分野では、素地鋼板の表面に溶融亜鉛めっきを施した溶融亜鉛めっき鋼板[以下、GI(Galvanized Steel Sheet)鋼板と呼ぶことがある。]に、合金化処理を施した合金化溶融亜鉛めっき鋼板[以下、GA(Galvannealed Steel Sheet)鋼板と呼ぶことがある。]が用いられている。GA鋼板は、強度、溶接性、塗装後の耐食性などに優れるため、例えば、自動車の分野では、骨格部材など(例えば、衝突時のエネルギーを吸収する役割を担うメンバーなど)に用いられている。
GA鋼板は、一般的には、連続亜鉛めっきライン(Continuous Galvanizing Line;CGL)で製造される。CGLでは、例えば、予め準備した素地鋼板を、無酸化炉で加熱して酸化し、次いで還元炉で還元した後、溶融亜鉛めっきおよび合金化処理を施すことによってGA鋼板を製造できる。GA鋼板の製造方法として、特許文献1〜3の技術が知られている。
特許文献1には、鋼板をO2≧0.1%、H2O≧1%を含有する雰囲気中で、400〜750℃の温度で加熱(A帯加熱)し、次いで、O2<0.1%、H2O≧1%を含有する雰囲気中で、600〜850℃の温度で加熱(B帯加熱)し、次いで、H2=1〜50%を含み露点が0℃以下の雰囲気中で、加熱(C帯加熱)した後、溶融亜鉛めっき処理および合金化処理を施す製造方法が記載されている。また、A帯加熱とB帯加熱は、無酸化炉で行うことが記載されている。
特許文献2には、第1加熱工程では、0.10≦O2≦20vol%、1≦H2O≦50vol%を含有する雰囲気中で400〜750℃の温度で加熱し、次いで、第2加熱工程では、0.01≦O2<0.10vol%、1≦H2O≦20vol%を含有する雰囲気中で600〜850℃の温度で加熱し、次いで、均熱工程では、0.05≦H2≦3.0vol%を含み露点が0℃以下の雰囲気中で750〜900℃の温度域で15〜600秒保持した後、溶融亜鉛めっきおよび合金化処理する製造方法が記載されている。また、第1加熱工程と第2加熱工程は、無酸化炉で行うことが記載されている。
特許文献3には、前段においてO2:0.1〜20vol%、H2O:1〜50vol%を含有する雰囲気中で400〜750℃の範囲内の温度になるように加熱し、後段においてO2:0.01〜0.1vol%未満、H2O:1〜20vol%を含有する雰囲気中で600〜850℃の範囲内の温度になるように加熱する第1加熱工程を施し、次いで、H2:1〜50vol%を含み露点が0℃以下の雰囲気中で750〜900℃の温度域で15〜600s保持し、450〜550℃の温度域に冷却した後、該450〜550℃の温度域で10〜200s保持する第2加熱工程を施した後、溶融亜鉛めっき処理および合金化処理を施す製造方法が記載されている。また、第1加熱工程の前段および後段は、無酸化炉で行うことが記載されている。
特開2007−291498号公報 特開2014−19935号公報 特開2012−251192号公報
ところで、鋼板を高強度化するには、SiやMn等の固溶強化元素を添加する方法が考えられる。特にSiは、鋼板の延性を損なわずに高強度化するのに寄与するため、Siを0.8〜2.5%含有するSi含有鋼板は高強度鋼板として有用である。
しかしSiを0.8〜2.5%の範囲で含有すると、熱延鋼板の強度が非常に上昇するため、冷間連続圧延機(Tandem Cold Strip Mill;TCM)における冷間圧延が困難になる。
そこで熱間圧延の巻取り温度を650℃以上に高めることが有効である。
ところが、巻取り温度を650℃以上に高めると、素地鋼板の表面に粒界酸化が生成し、特にSiは易酸化性元素であるため、表面近傍におけるSiが酸化物として析出し、固溶Si量が減少する。固溶Si量が減少すると、連続亜鉛めっきライン(CGL)の無酸化炉で素地鋼板表面の酸化が過剰に進行し、めっき性が悪化する。ちなみに、上記特許文献2には、巻取り温度は記載されていないが、上記特許文献1では540℃で巻き取っており、上記特許文献3では、400〜650℃で鋼帯に巻き取ることが記載されている。
また、上記無酸化炉では、板形状を確保するために、通常、850℃以上に加熱する。しかし無酸化炉での加熱温度を高くすると、素地鋼板表面の酸化が進行し、めっき性が劣化する。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、めっき性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法とは、質量%で、C:0.05〜0.3%、Si:0.8〜2.5%、Mn:1.6〜4%、Al:0%超、0.5%以下、およびCr:0.1〜0.3%を含有し、残部:鉄および不可避不純物からなる鋼を熱間圧延し、650℃以上で巻き取って素地鋼板を得る工程と、得られた素地鋼板を無酸化炉で、前記無酸化炉の入口を含む領域の酸素濃度が0〜100ppmに抑制されており、且つ前記無酸化炉全体の酸素濃度が0〜10000ppmに制御された雰囲気で加熱する加熱工程と、還元炉で還元する工程と、をこの順で含む点に要旨を有する。
前記加熱工程では、加熱温度を850℃以上とすることが好ましい。
本発明によれば、素地鋼板の成分組成を適切に制御し、且つ該素地鋼板を無酸化炉で加熱する雰囲気を適切に制御しているため、めっき性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造できる。
図1は、本発明の製造方法を実施できる合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造設備の一例を示した概略図である。 図2のaは、図1に示した無酸化炉2の縦断面図であり、図2のbは、図2のaにおけるX−X矢視断面図である。
本発明者らは、鋼板の強度を高めるために、Siを0.8〜2.5%含有する鋼を熱間圧延し、650℃以上で巻き取って得られた素地鋼板を用い、CGLで、めっき性に優れたGA鋼板を製造する方法について鋭意検討を重ねてきた。その結果、上記素地鋼板にCrを0.1〜0.3%含有させれば、熱間圧延後の巻取り温度を650℃以上に高めても、素地鋼板の表面酸化が抑制されること、また、無酸化炉の入口を含む領域の酸素濃度を0〜100ppmに抑制し、且つ前記無酸化炉全体の酸素濃度を0〜10000ppmに制御すれば、素地鋼板の表面酸化が抑制されるため、めっき性を改善できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、素地鋼板の表面に粒界酸化が生成したり、無酸化炉で高温で酸化すると、素地鋼板表面の酸化が進みすぎて、酸化の制御が困難となり、めっきを安定して実施できない。そこで無酸化炉内での素地鋼板の酸化を適切に制御するために、本発明では素地鋼板にCrを0.1〜0.3%の範囲で含有させる必要がある。
また、無酸化炉での酸化が不足すると不めっきが発生するが、逆に酸化しすぎると、還元により還元鉄が多量に生成し、溶融亜鉛めっき浴中での合金化が促進され、めっき付着量過多またはめっき中のFe%が過剰になる。めっき付着量とめっき中のFe%は相反するパラメーターであり、めっき付着量を範囲内に抑制すれば、めっき中のFe%は増加し、逆にめっき中のFe%を範囲内に抑制するには、めっき付着量を増加する必要がある。従ってめっき付着量とFe%を両立させるには無酸化炉における過剰酸化を抑制する必要がある。
以下、本発明の製造方法について、順を追って説明する。
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、質量%で、C:0.05〜0.3%、Si:0.8〜2.5%、Mn:1.6〜4%、Al:0%超、0.5%以下、およびCr:0.1〜0.3%を含有し、残部:鉄および不可避不純物からなる鋼を熱間圧延し、650℃以上で巻き取って素地鋼板を得る工程と、得られた素地鋼板を無酸化炉で、前記無酸化炉の入口を含む領域の酸素濃度が0〜100ppmに抑制されており、且つ前記無酸化炉全体の酸素濃度が0〜10000ppmに制御された雰囲気で加熱する加熱工程と、還元炉で還元する工程と、この順で含んでいる。還元して得られた素地鋼板は、常法に従って溶融亜鉛めっきを施し、合金化処理を行えばよい。以下、本発明の製造方法を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の製造方法を実施できる合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造設備の一例を示した概略図である。図1中、Pは素地鋼板を示しており、予熱装置1、無酸化炉2、還元炉3、冷却装置4、溶融亜鉛めっき装置5、および合金化炉6をこの順で通過することによって、素地鋼板Pの表面に合金化溶融亜鉛めっき層を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA鋼板)Qが得られる。なお、図1において、22は支持ローラ、矢印23は鋼板の移動方向を示している。
また、図1に示した無酸化炉2の縦断面図を図2のaに示し、図2のaにおけるX−X矢視断面図を図2のbに示す。図2のaにおいて、21は直火バーナ、Z1〜Z5は第1ゾーンから第5ゾーンをそれぞれ示している。
なお、本発明の製造方法は、図1、図2に示した設備に限定されるものではない。
[素地鋼板を得る工程]
本発明では、質量%で、C:0.05〜0.3%、Si:0.8〜2.5%、Mn:1.6〜4%、Al:0%超、0.5%以下、およびCr:0.1〜0.3%を含有し、残部:鉄および不可避不純物からなる鋼を熱間圧延し、650℃以上で巻き取って素地鋼板Pを準備する。上記鋼の成分組成を規定した理由は次の通りである。以下、%は、質量%を意味する。
Cは、鋼板の強度を確保するために必要な元素である。こうした効果を発揮させるために、C量は、0.05%以上とする。C量は、好ましくは0.06%以上、より好ましくは0.07%以上である。しかし、C量が過剰になると溶接性が低下する。従って本発明では、C量は、0.3%以下とする。C量は、好ましくは0.25%以下、より好ましくは0.20%以下である。
Siは、固溶強化能が大きく、また延性を低下させずに強度を高めるのに作用する元素である。こうした効果を発揮させるために、Si量は0.8%以上とする。Si量は、好ましくは0.9%以上、より好ましくは1.0%以上である。しかし、Si量が過剰になると、強度が高くなりすぎて冷間圧延機への負荷が増大する。また、熱間圧延の際にSiスケールを発生して鋼板の表面性状を悪化し、めっき性が劣化する。従って本発明では、Si量は2.5%以下とする。Si量は、好ましくは2.3%以下、より好ましくは2.0%以下である。
Mnは、鋼板の強度を確保するために必要な元素である。また、Mnは、残留オーステナイトの生成を促進して加工性を高めるのに作用する元素である。こうした効果を発揮させるために、Mn量は1.6%以上とする。Mn量は、好ましくは1.8%以上、より好ましくは2.0%以上である。しかし、Mn量が過剰になると、延性や溶接性が劣化する。従って本発明では、Mn量は4%以下とする。Mn量は、好ましくは3.5%以下、より好ましくは3.0%以下である。
Alは、脱酸剤として作用する元素である。こうした効果を有効に発揮させるには、Al量は、0.01%以上とすることが好ましい。しかし、Alを過剰に含有すると、鋼板中にアルミナなどの介在物が多く生成し、加工性を劣化させることがある。従って本発明では、Alは0.5%以下とする。
Crは、酸化を抑制する元素であり、Crを含有することによって、粒界に生成するSi酸化物量が低減し、固溶Si量が増加する。固溶SiとCrはともに酸化抑制元素として作用し、無酸化炉において急速な酸化の進行を防止できる。こうした効果を発揮させるために、Cr量は0.1%以上とする。Cr量は、好ましくは0.13%以上、より好ましくは0.15%以上である。しかしCrを過剰に含有すると酸化の進行が大幅に抑制され、酸化不足になるため、Cr量は0.3%以下とする。Cr量は、好ましくは0.28%以下、より好ましくは0.25%以下である。
上記素地鋼板の残部は、鉄および不可避不純物である。不可避不純物としては、PやSが挙げられる。Pは、例えば、0%超、0.03%以下であることが好ましく、Sは、例えば、0%超、0.01%以下であることが好ましい。
Pは、不可避不純物であり、粒界に偏析して粒界脆化を助長し、穴広げ性を劣化させる。従って本発明では、P量は、0.03%以下とすることが好ましい。P量はできるだけ低減することが推奨されるが、0%にすることは工業生産上不可能である。
SもPと同様、不可避不純物である。Sは、鋼板中に介在物を生成し、加工性を劣化させる。従って本発明では、S量は、0.01%以下とすることが好ましい。S量はできるだけ低減することが推奨されるが、0%にすることは工業生産上不可能である。
上記素地鋼板Pは、更に他の元素として、Ti:0%超、0.2%以下、Nb:0%超、0.1%以下、V:0%超、0.3%以下、B:0%超、0.01%以下、Mo:0%超、0.5%以下、Cu:0%超、1.0%以下、Ni:0%超、1.0%以下、およびCa:0%超、0.005%以下よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有してもよい。
Tiは、炭化物や窒化物を形成して強度を向上させる元素である。また、Tiは、Bの焼入れ性を有効に活用するための元素でもある。詳細には、Ti窒化物形成により鋼中のNが低減されるためB窒化物の形成が抑制され、Bが固溶状態となる結果、焼入れ性が有効に発揮される。このように、Tiは焼入れ性を向上させることにより、鋼板の高強度化に寄与する。このような効果を有効に発揮させるには、Ti量は0.005%以上が好ましい。しかし、Ti量が過剰になると、Ti炭化物やTi窒化物が過剰に生成し、延性、伸びフランジ性、および曲げ加工性が劣化する。従って本発明では、Ti量は0.2%以下が好ましい。
Nbは、組織を微細化して強度と靭性を向上させる元素である。こうした効果を有効に発揮させるには、Nb量は0.005%以上が好ましい。しかし、Nb量が過剰になると、加工性が劣化する。従って本発明では、Nb量は0.1%以下が好ましい。
Vは、組織を微細化して強度と靭性を向上させる元素である。こうした効果を有効に発揮させるには、V量は0.005%以上が好ましい。しかし、Vを過剰に含有してもその効果は飽和し、コスト高となる。従って本発明では、V量は0.3%以下が好ましい。
Bは、焼入れ性を向上させて鋼板の高強度化に寄与する元素である。こうした効果を有効に発揮させるには、B量は0.0005%以上が好ましい。しかし、Bを過剰に含有してもその効果は飽和し、コスト高となる。従って本発明では、B量は0.01%以下が好ましい。
Moは、高温域からの冷却中にフェライトが生成するのを抑制する元素である。こうした効果を有効に発揮させるには、Mo量は0.01%以上が好ましい。しかし、Moを過剰に含有してもその効果は飽和し、コスト高となる。従って本発明では、Mo量は0.5%以下が好ましい。
Cuは、鋼板の耐食性向上に作用する元素である。こうした効果を有効に発揮させるには、Cu量は0.01%以上が好ましい。しかし、Cuを過剰に含有してもその効果は飽和し、コスト高となる。従って本発明では、Cu量は1.0%以下が好ましい。
Niは、鋼板の耐食性向上に作用する元素である。こうした効果を有効に発揮させるには、Ni量は0.01%以上が好ましい。しかし、Niを過剰に含有してもその効果は飽和し、コスト高となる。従って本発明では、Ni量は1.0%以下が好ましい。
Caは、鋼板中の硫化物系介在物を球状化し、伸びフランジ性を良好にする元素である。こうした効果を有効に発揮させるために、Ca量は0.0005%以上が好ましい。しかし、Caを過剰に含有してもその効果は飽和し、コスト高となる。従って本発明では、Ca量は0.005%以下が好ましい。
上記成分組成を満足する鋼を、常法に従って熱間圧延する。熱間圧延後の巻取り温度は、650℃以上とする。650℃以上で巻き取ることによって、冷間圧延設備への負荷を低減できる。上記巻取り温度の上限は特に限定されないが、例えば、750℃以下が好ましい。
650℃以上で巻き取った後は、常法に従って、酸洗すればよい。このようにして得られた熱延鋼板を、上記素地鋼板Pとして用いてもよいし、酸洗を行った後の熱延鋼板に対し、更に冷間圧延を行って得られた冷延鋼板を、上記素地鋼板Pとして用いてもよい。冷間圧延の条件は特に限定されず、公知の条件を採用できる。
[加熱工程]
得られた素地鋼板Pは、必要に応じて予熱装置1で予熱した後、無酸化炉2で加熱する。
上記予熱装置1では、上記素地鋼板Pを、例えば、250〜350℃に加熱することが好ましい。上記予熱装置1内の雰囲気は、例えば、後述する無酸化炉2からの対流雰囲気とすることが好ましい。
上記無酸化炉2での加熱は、前記無酸化炉の入口を含む領域の酸素濃度が0〜100ppmに抑制されており、且つ前記無酸化炉全体の酸素濃度が0〜10000ppmに制御された雰囲気で行う必要がある。
上記無酸化炉2の入口を含む領域とは、少なくとも入口を含む領域であればよく、無酸化炉2の一部でも全部でもよい。
上記無酸化炉2の入口を含む領域の酸素濃度を100ppm以下に抑えることによって、素地鋼板Pの表面が急速に酸化されるのを抑制でき、めっき性を向上できる。上記酸素濃度は、好ましくは80ppm以下、より好ましくは60ppm以下であり、最も好ましくは0ppmである。
上記無酸化炉2の全体の酸素濃度を10000ppm以下に制御することによって、無酸化炉2内で素地鋼板Pの表面が急速に酸化されるのを抑制でき、めっき性を向上できる。上記酸素濃度は、好ましくは9500ppm以下、より好ましくは8000ppm以下であり、最も好ましくは0ppmである。
なお、通常、無酸化炉内の空気比を一定に制御すると、無酸化炉の入口側ほど酸素濃度が高くなる傾向が知られている。そのため、無酸化炉に送給された素地鋼板は、無酸化炉の入口付近で急速に酸化されるため、酸化度合いを適切に制御できず、めっき性が劣化する。一方、無酸化炉内での酸化を緩やかに進行させると、酸化度合いを制御しやすくなるため、めっき性を改善できる。
上記無酸化炉2内における雰囲気の残部は、CO、CO2、H2O、N2などであればよい。
上記無酸化炉2の入口を含む領域の酸素濃度と、該無酸化炉2全体(即ち、無酸化炉2の入口を含む領域より下流側の領域)の酸素濃度は、同じでもよいし、異なっていてもよい。また、上記無酸化炉2の入口を含む領域の酸素濃度は、該無酸化炉2全体(即ち、無酸化炉2の入口を含む領域より下流側の領域)の酸素濃度よりも高くてもよいし、低くてもよい。
本発明では、無酸化炉2の入口を含む領域の酸素濃度を低減することが重要であり、この領域の範囲は特に限定されないが、例えば、無酸化炉2の全長に対して入口から40%までの範囲とすればよい。
上記無酸化炉2内には、例えば、CO、CO2、H2O、N2などのガスを、例えば、300〜600Nm3/時間で流通させることが好ましい。
上記無酸化炉2内の酸素濃度は、無酸化炉2内を加熱するために設けた直火バーナ21の燃焼条件を制御することによって調整できる。
上記無酸化炉2では、上記素地鋼板Pを850℃以上に加熱することが好ましい。加熱温度が850℃を下回ると、鋼板の形状を確保できないことがある。上記加熱温度は、好ましくは860℃以上、より好ましくは870℃以上である。上記加熱温度の上限は特に限定されないが、極端に高くしすぎると、鋼板表面の酸化が進行するため、めっき付着量が増大し、めっき性を改善できないことがある。従って本発明では、上記加熱温度は、950℃以下とすることが好ましい。
上記加熱温度は、無酸化炉2の出口で熱電対を用いて測定すればよい。
[還元工程]
加熱工程で加熱して得られた素地鋼板Pは、還元炉3で還元する。
上記還元炉3内の雰囲気は、H2ガスを15〜25体積%含み、残部は不活性ガスとすることが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、N2ガスを用いることが好ましい。
上記還元炉3内の雰囲気の露点は、例えば、−50〜0℃に制御することが好ましい。
上記還元炉3では、板温を、例えば、850〜970℃とし、30〜70秒保持して還元することが好ましい。
還元炉で還元した素地鋼板Pは、必要に応じて設けられた冷却装置4へ送給し、冷却することが好ましい。
上記冷却装置4では、上記素地鋼板Pを少なくとも二段階で冷却することが好ましく、一段階目の急冷帯では、板温を、例えば、550〜650℃まで冷却し、次いで二段階目の急冷帯では、板温を、例えば、440〜560℃まで冷却することが好ましい。
440〜560℃まで冷却した後は、低温保持帯で、例えば、20〜40秒保持することが好ましい。
上記冷却装置4で冷却した素地鋼板Pは、溶融亜鉛めっき装置5へ送給し、常法に従って溶融亜鉛めっきを施せばよい。
溶融亜鉛めっき装置5に備えられた溶融亜鉛めっき浴は、例えば、Alを0.08〜0.12質量%含有し、浴温は、例えば、460〜480℃に調整することが好ましい。
溶融亜鉛めっきの付着量は、例えば、ガスワイピングで管理できる。
溶融亜鉛めっきを施した素地鋼板Pは、板温が440〜480℃となるように予め設定した合金化炉6へ送給し、合金化処理を施すことによって、合金化溶融亜鉛めっき鋼板Qを製造できる。
こうして得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、めっき性に優れているため、自動車、家電、建材等の分野で用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限を受けるものではなく、前記および後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実機の合金化溶融亜鉛めっき鋼板製造設備(連続亜鉛めっきライン)を用いて合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造し、めっき性を評価した。
下記表1に示した成分組成を満足し、残部が鉄および不可避不純物からなる鋼を溶製し、スラブを製造した。なお、下記表1において、「−」は検出限界以下を意味する。鋼種aは、Cr非添加鋼であり、鋼種bは、Cr添加鋼である。
得られたスラブを1200℃に加熱し、仕上げ圧延温度を900℃として熱間圧延を行い、650〜750℃で巻き取って熱延鋼板を製造した。
得られた熱延鋼板を酸洗し、冷間圧延を行って板厚が1.8mmの冷延鋼板を製造した。なお、下記表1に示した鋼種aを用いて得られた冷延鋼板を冷延鋼板a、鋼種bを用いて得られた冷延鋼板を冷延鋼板bと呼ぶことがある。
次に、得られた冷延鋼板を素地鋼板とし、図1に示した設備で、酸化還元法により合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。
予熱装置1では、温度を300℃とし、雰囲気は無酸化炉2からの対流雰囲気とした。
無酸化炉2の炉長は17mで、無酸化炉2内は、図2のaに示すように、5つの領域(第1ゾーン〜第5ゾーン)に均等分割されている。図2のaでは、第1ゾーン〜第5ゾーンを、Z1〜Z5と表記した。無酸化炉2の壁面には、無酸化炉2内を加熱するために、直火バーナ21が設けられている。直火バーナ21は、図2のaに示すように、素地鋼板Pを挟むように上下に配置されている。この直火バーナ21は、素地鋼板Pの移動方向に対して、上流側または下流側にずれて配置されており、図2のbに示すように、素地鋼板Pに対して右側からと左側から直火がでるように配置されている。無酸化炉2内に設けられた5つの領域(第1ゾーンZ1〜第5ゾーンZ5)は、領域ごとに独立して直火バーナ21の燃焼をオン、オフできるように構成されており、各領域の雰囲気を制御できる。
無酸化炉2内には、CO、CO2、O2、H2O、N2からなる燃焼ガスを約500Nm3/時間で流通させ、直火加熱方式で、素地鋼板Pに酸化処理を施した。本実施例では、第1ゾーンおよび第2ゾーンが、無酸化炉2の入口を含む領域である。なお、第1ゾーンおよび第2ゾーンを前段領域、第3ゾーン〜第5ゾーンを後段領域と呼ぶことがある。
前段領域と後段領域における酸素濃度をそれぞれ制御した。各領域の酸素濃度を下記表2に示す。
無酸化炉2の出口で、熱電対を用いて素地鋼板Pの加熱温度(鋼板到達温度)を測定し、結果を下記表2に示す。
無酸化炉2で酸化処理した素地鋼板Pは、還元炉3で還元処理した。
還元炉3内の雰囲気は、H2を19〜21体積%含み、残部はN2ガスとした。露点は−10℃〜−30℃に設定した。還元炉2での板温は850〜970℃とし、50〜60秒間還元処理した。
還元炉3で還元処理した後、冷却装置4で冷却した。冷却装置4では、一段階目の急冷帯で板温を600℃まで冷却し、次いで二段階目の急冷帯で板温を450℃まで冷却した後、低温保持帯で、450℃で、30〜36秒保持した。
冷却装置4で冷却した素地鋼板Pは、溶融亜鉛めっき装置5へ送給し、溶融亜鉛めっきを施した。溶融亜鉛めっき装置5に備えられた溶融亜鉛めっき浴は、Alを0.08〜0.12質量%含有し、浴温は460〜480℃である。めっき付着量は、ガスワイピングで管理した。
溶融亜鉛めっきを施した素地鋼板Pは、板温が440〜480℃となるように予め設定した合金化炉6へ送給し、合金化処理を施し、合金化溶融亜鉛めっき鋼板Qを製造した。合金化溶融亜鉛めっき鋼板Qの金属組織は、フェライトおよびマルテンサイトからなるデュアルフェイズであり、引張強度は980MPa以上、1180MPa未満(980MPa級)であった。
得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき性を次の手順で評価した。
めっき性は、不めっきの有無、合金化溶融亜鉛めっきの付着量、合金化溶融亜鉛めっきに含まれるFe量に基づいて評価した。
(1)不めっきの有無
得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面を目視で観察し、不めっきが無い場合を合格、不めっきが有る場合を不合格と評価した。評価結果を下記表2に示す。
(2)合金化溶融亜鉛めっきの付着量
得られた溶融亜鉛めっき鋼板のめっき部分を酸で溶解し、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma;ICP)分析によりめっき付着量を測定した。めっき付着量に基づいて、次の基準でめっき性を評価し、評価結果を下記表2に示す。
過剰:めっき付着量が65g/m2
合格:めっき付着量が45〜65g/m2
不足:めっき付着量が45g/m2未満
(3)合金化溶融亜鉛めっきに含まれるFe量
上記ICP分析によりFe量(質量%)を測定した。Fe量に基づいて、次の基準でめっき性を評価し、評価結果を下記表2に示す。
過剰:Fe量が15質量%超
合格:Fe量が7〜15質量%
不足:Fe量が7質量%未満
上記(1)〜(3)の評価項目の全てが合格と評価された鋼板を本発明例とし、上記(1)〜(3)のうち一つでも合格と評価されなかった鋼板を比較例とした。
下記表2から次のように考察できる。
No.6〜11は、いずれも所定の成分組成を満足する素地鋼板を用い、本発明で規定する要件を満足する条件で製造した例であり、めっき性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られた。
一方、No.1〜5、12、13は、本発明で規定するいずれかの要件を満足しない条件で製造した例であり、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき性を改善できなかった。
これらのうち、No.1〜5は、Crを含有しない素地鋼板を用いた例である。
詳細には、No.1、4は、無酸化炉2の入口を含む領域(前段領域)の酸素濃度が本発明で規定する範囲よりも高すぎた例であり、No.5は、無酸化炉2の入口を含む領域(前段領域)の酸素濃度および無酸化炉全体(特に、後段領域)の酸素濃度が本発明で規定する範囲よりも高すぎた例であり、いずれも無酸化炉2で過剰酸化が起こったため、めっき付着量が増大し、めっき性を改善できなかった。
また、No.2、3は、無酸化炉2における酸素濃度を本発明で規定する範囲に適切に制御した例であるが、Crを含有しない素地鋼板を用いたため、無酸化炉2で過剰酸化が起こり、めっき付着量が増大し、めっき性を改善できなかった。
これに対し、No.12、13は、本発明で規定する成分組成を満足する素地鋼板を用いた例である。しかし、No.12は、無酸化炉2の入口を含む領域(前段領域)の酸素濃度が本発明で規定する範囲よりも高すぎ、No.13は、無酸化炉全体(特に、後段領域)の酸素濃度が本発明で規定する範囲よりも高すぎたため、いずれも無酸化炉2で過剰酸化が起こり、めっきに含まれるFe量が増大し、めっき性を改善できなかった。
Figure 2017179438
Figure 2017179438
1 予熱装置
2 無酸化炉
3 還元炉
4 冷却装置
5 溶融亜鉛めっき装置
6 合金化炉
21 直火バーナ
22 支持ローラ
23 移動方向
P 素地鋼板
Q 合金化溶融亜鉛めっき鋼板
1 第1ゾーン
2 第2ゾーン
3 第3ゾーン
4 第4ゾーン
5 第5ゾーン

Claims (2)

  1. 質量%で、
    C :0.05〜0.3%、
    Si:0.8〜2.5%、
    Mn:1.6〜4%、
    Al:0%超、0.5%以下、および
    Cr:0.1〜0.3%を含有し、
    残部:鉄および不可避不純物からなる鋼を熱間圧延し、650℃以上で巻き取って素地鋼板を得る工程と、
    得られた素地鋼板を無酸化炉で、前記無酸化炉の入口を含む領域の酸素濃度が0〜100ppmに抑制されており、且つ前記無酸化炉全体の酸素濃度が0〜10000ppmに制御された雰囲気で加熱する加熱工程と、
    還元炉で還元する工程と、
    をこの順で含むことを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 前記加熱工程では、加熱温度を850℃以上とする請求項1に記載の製造方法。
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