JP2017178983A - 防錆被膜、防錆被膜を備えた防錆部材および防錆部材の製造方法 - Google Patents

防錆被膜、防錆被膜を備えた防錆部材および防錆部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】防錆被膜上に別の着色塗料を用いて着色しなくても鮮やかな色に着色することができ、かつ未着色の防錆被膜と同程度の厚さにより、高い耐食性および耐白錆性を実現する、着色された防錆被膜、防錆被膜を備えた防錆部材および防錆部材の製造方法を提供すること。
【解決手段】防錆塗料は、着色顔料および着色アルミニウム粉末を含有している塗料組成物により形成されている。これらを含有することにより、防錆塗料により形成された被膜は、未着色のアルミニウム粉末による発色の低下を抑えて、鮮やかに発色する防錆被膜をとなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、たとえば精密機器や自動車のプレス成形用鋼板に適用可能なほどの薄膜であっても高い耐食性および耐白錆性を有する着色された防錆被膜、防錆被膜を備えた防錆部材および防錆部材の製造方法に関する。
鉄鋼の防錆を目的とする塗料の分野では、亜鉛系粉末とクロム酸とを主成分とする防錆塗料が多用されてきた。この防錆塗料は、6価クロムの持つ不動態化作用によって亜鉛系粉末を長期間安定に保つことができ、液の保存安定性に優れている。また、この亜鉛系粉末を含有する防錆塗料からなる被膜は、周知の亜鉛による犠牲防食作用が有効に働いて、下地の鉄鋼の腐食を防止するため、優れた防錆効果が得られる。
ところが、近年、6価クロムの有害性による環境汚染、人体への健康被害が懸念されるようになり、6価クロム等の有害金属を法的に使用規制する動きが加速している。こうした流れを受け、精密機器や自動車などのコンシューマ製品を製造する企業では6価クロム等の有害金属をまったく使用しない方向での検討が進んでいる。そのため、防錆塗料の分野でもクロム等の有害金属を全く含まない防錆塗料が強く望まれている。
このようなクロムを含まない防錆塗料の一例としては、亜鉛系粉末とバインダー成分とを有機溶剤に分散または溶解させた種類の防錆塗料、即ち、ジンクリッチペイントがある。このジンクリッチペイントには、有機系と無機系とがあり、耐久性の観点からは有機ケイ素化合物をビヒクルとする無機系のほうが優れており、たとえば船舶や橋梁の重防食塗装において下塗り剤として用いられている。
ところが、無機系ジンクリッチペイントは膜中に空隙部(ボイド)が発生しやすく、また被膜の厚さを制御しにくい。このような欠点を克服すべく、以下のような技術が開示されている。
特許文献1には、長径が20〜30μmのウイスカー状の炭酸カルシウムを追加含有させる技術が開示されている。この技術において、添加したウイスカーは被膜のクラック発生を防止する機能を有する。
また、特許文献2には、重量平均分子量/数平均分子量の比が40以下であるアルキルシリケート樹脂を用い、塗料のモルホリンゲルタイムが60秒以下であるジンクリッチペイントが開示されている。このような塗料は硬化時間が早く、それがゆえにクラックが進展して空隙とつながる現象が抑制されると説明されている。
こうした技術は、厚膜のジンクリッチペイントとしては確かに有効ではあるものの、10μm程度の薄膜を安定に形成可能であって、なおかつその被膜が高い防食性を有するような塗料を提供することはできていない。
このような薄膜で高い防食性を有する被膜の主たる用途は、事務機器、電気機器、自動車などであり、具体的には、ボルトやナットなどの締結部品、クランプ、クリップ等の留め具、プレート、ハウジング、ヒンジ、パネル等のプレス成形品などが挙げられる。これらの部材は、組み付け精度が厳しいにもかかわらず、加工時や組み付け時に強いせん断力を受ける場合が多く、被膜自体の強度や密着力に高いレベルが求められている。
かかる要求に応えるひとつの有効な手段が被膜の高温での焼き付けである。しかしながら、従来技術にかかるジンクリッチペイントを300℃程度の高温で焼き付けようとすると、バインダーとなる有機ケイ素化合物が急激に収縮し、上記のような特許文献にかかる技術を用いても被膜内のクラック進展を止めることができず、基板の鋼材内にも破断が発生する場合すらある。
したがって、クロム等の有害な金属化合物を全く使用せずに、高温で焼き付け処理を行ってもクラックが発生しにくい薄膜を形成可能な防錆塗料を提供することは重要な技術課題である。この点に関し、本出願人により、非水系のバインダーと金属粉末とを含み、非水系のバインダーとして有機ケイ素化合物と有機チタネート化合物とを含む溶液を使用する防錆塗料が提案されている(特許文献3参照。)。この防錆塗料は、高い耐食性を有するだけでなく、ポットライフが長いという有利な効果を有する。本出願人が提案する上記の防錆塗料を用いれば、高度な耐食性を付与することができる。
部材を着色するためには、防錆塗料に着色成分を加えたり、防錆塗料の表面に着色塗料を塗布したりすることが必要となる。しかし、防錆塗料に着色成分を加えると濁った色調になってしまうから、部材の外観を鮮やかな色に着色することができないという問題がある。ま防錆塗料の表面に着色塗料を塗布すれば、鮮やかな色に着色できるが、着色塗料は耐食性向上効果を奏さないから、防錆被膜の厚さが大きくなるという問題がある。
特開平11−293200号公報 特開2004−359800号公報 特許4111531号公報
本発明は、防錆塗料の防錆被膜に別の着色塗料を用いて着色しなくても鮮やかな色に着色することができ、かつ未着色の防錆被膜と同程度の厚さにより、高い耐食性および耐白錆性を実現する、着色された防錆被膜、防錆被膜を備えた防錆部材および防錆部材の製造方法の提供を目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明者は、防錆被膜に着色顔料を配合するとともに、着色アルミニウム粉末を配合することにより、良好な防錆性を維持したまま、鮮やかに発色する被膜を形成できるという知見を得た。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、以下の事項を備えている。
(1)着色顔料および着色アルミニウム粉末を含有している防錆被膜。
(2)前記防錆被膜は、互いに接する二層の被膜からなる積層構造であり、二層の前記被膜のうち、内層側の第一の被膜の形成に用いられる第一の塗料組成物における亜鉛系粉末含有量が、外層側の第二の被膜の形成に用いられる第二の塗料組成物における亜鉛系粉末含有量よりも大きく、前記第二の塗料組成物が、着色顔料および着色アルミニウム粉末を含有している(1)に記載の防錆被膜。
(3)前記第一の塗料組成物における前記亜鉛系粉末の含有量と、前記第二の塗料組成物における前記亜鉛系粉末の含有量との合計が20質量%以上60質量%以下である(2)に記載の防錆被膜。
(4)前記第一の塗料組成物は、未着色アルミニウム粉末を含有しており、着色顔料および着色アルミニウム粉末を含有していない(2)または(3)に記載の防錆被膜。
(5)前記第二の塗料組成物における前記亜鉛系粉末の含有量が20質量%以下である(2)、(3)または(4)に記載の防錆被膜。
(6)前記第一の塗料組成物および第二の塗料組成物は、炭素数が3以下のアルキル基を有するテトラアルキルシリケート化合物およびそのオリゴマーからなる群から選ばれた1種以上の化合物である有機チタネート化合物を含有している(2)〜(5)のいずれか1項に記載の防錆被膜。
(7)前記有機チタネート化合物は、一般式Ti(X)で表される有機化合物およびそのオリゴマーであって、Xは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、およびtert−ブトキシの炭素数4以下のアルコキシ基、ラクテート、トリエタノールアミネート、アセチルアセトネート、アセトアセテート、およびエチルアセトアセテートを含むキレート性置換基、ならびに水酸基からなる群から選ばれた1種以上の官能基である、(6)に記載の防錆被膜。
(8)前記亜鉛系粉末、前記着色アルミニウム粉末および前記未着色アルミニウム粉末は、鱗片形状である(1)〜(7)のいずれか1項に記載の防錆被膜。
(9)(1)〜(8)のいずれか1項に記載される防錆被膜を基材上に備える防錆部材。
(10)(1)〜(8)のいずれか1項に記載される防錆被膜を基材上に形成する工程を備える防錆部材の製造方法。
本発明の防錆被膜は、着色顔料および着色アルミニウム粉末を含有する塗料組成物により形成されているから、防錆性とともに鮮やかな着色外観を付与することができる。このため、防錆被膜のみで塗布対象を鮮やかに着色できるから、さらに着色塗料を塗布したものよりも着色された防錆被膜の厚みを薄くすることが可能である。例えば、表面性状が良好な10〜20μm程度の薄膜を形成することが可能であり、この薄膜に対して高温で焼き付け処理を行っても膜中にクラックが発生しない。したがって、薄膜でありながら耐食性に優れた着色された防錆被膜を形成することができる。
防錆被膜を二層とし、内層側を外層側よりもよりも亜鉛含有量の大きな防錆塗料組成物で形成された防錆被膜とすれば、耐食性および耐白錆性をさらに高くすることができる。
本発明の着色された防錆被膜の形成に用いられる、着色顔料および着色アルミニウム粉末を含有する塗料組成物(以下、「塗料」ともいう。)について説明する。
(塗料組成物)
本発明に係る防錆被膜を形成する塗料組成物は、有機ケイ素化合物と、有機チタネート化合物と、亜鉛系粉末および着色アルミニウム粉末からなる金属粉末と、着色顔料と有機溶剤とを含み、必要に応じて少量の添加剤を含む。
以下、これらの成分について詳しく説明する。なお、以下の説明において、%は特に指定しない限り全塗料に基づく質量%である。
(有機ケイ素化合物)
本発明の防錆塗料におけるバインダー成分としては、高温での焼付け処理でもクラックが発生しないように、有機ケイ素化合物および有機チタネート化合物を使用する。
このうち、有機ケイ素化合物は、アルコキシシランおよびその加水分解物から選んだ1種または2種以上とする。アルコキシシランは、(X’)Si(X”)なる一般式で表される化合物であることが好ましい。
ここで、X’は、ヒドロキシ基、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、等の低級アルコキシ基、メチル、エチル、等の低級アルキル基、ビニル基、等の低級アルケニル基、さらにはγ−グリシドキシプロピル、γ−メタクリロキシプロピル、γ−メルカプトプロピル、等の官能基含有低級アルキル基から選ばれる。X”は、ヒドロキシ基ならびにメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、等のアルコキシ基から選ばれ、3個のX”は同一でも異なっていてもよい。
アルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、等が挙げられるが、それに限られるものではない。シランカップリング剤として市販されている各種のアルコキシシランを使用してもよい。
これらのアルコキシシランの中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランなどのテトラアルコキシシランまたはこれらのオリゴマーが好ましく、特に好ましいのは炭素数が3以下のテトラアルコキシシランまたはこれらのオリゴマーである。焼き付け処理によって縮合反応を起こした際に、三次元架橋構造の被膜を形成することができ、被膜強度が向上しやすい。また、縮合する際の体積収縮が比較的少ないため、クラックが成長しにくい。
上記の有機ケイ素化合物の量は、全塗料の5〜40%とすることが望ましい。5%未満の場合には被膜強度が低くなる傾向が見られ、さらに少ない添加量になると金属粉末同士の間に明らかな空隙部(ボイド)が発生するようになって防錆機能も低下するようになる。一方、40%よりも過剰に添加すると、相対的に被膜中の金属粉末の分散濃度が低下するため、防錆機能が低下する傾向が見られるようになる。また、積層される金属粉末の重なり面積が少なくなることから、クラック進展の抑制機能が低下する可能性を生ずる。より好ましい範囲は10〜35%であり、特に好ましい範囲は15〜35%である。
(有機チタネート化合物)
本発明では、被膜特性の向上を実現すべく、炭素数が3以下のアルキル基を有するテトラアルキルシリケート化合物およびそのオリゴマーからなる群から選ばれた1種以上の化合物である有機チタネート化合物を媒質である有機溶剤に添加する。有機チタネート化合物は一般式Ti(X)で表される有機化合物およびそのオリゴマーを意味する。ここで、Xは、水酸基、低級アルコキシ基、およびキレート性置換基から選ばれ、4個のXは同一であってもよいし異なっていてもよい。
低級アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、等の炭素数6以下、好ましくは炭素数4以下のアルコキシ基を意味する。
キレート性置換基とは、キレート形成能を持つ有機化合物から誘導された基を意味する。そのような有機化合物としては、アセチルアセトン等のβ−ジケトン、アセト酢酸等のアルキルカルボニルカルボン酸およびそのエステル、乳酸等のヒドロキシ酸、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、等が例示される。キレート性置換基の具体例としては、ラクテート、アンモニウムラクテート、トリエタノールアミネート、アセチルアセトネート、アセトアセテート、エチルアセトアセテート、等がある。
この有機チタネート化合物は、後述するような微量の添加で高い機能を発揮する。すなわち、高温での焼付け処理を受けたときに、添加された有機チタネート化合物が硬化剤あるいは触媒として機能し、有機ケイ素化合物の三次元的な架橋反応を促進する。このため、バインダー成分の硬化速度が速まり、クラックの進展が抑制される。
また、有機ケイ素化合物と金属粉末との化学的な結合、および有機ケイ素化合物と基材である鋼材との化学的な結合もこの有機チタネート化合物の存在によって促進され、結合強度が高まる。このため、金属粉末とバインダーとの界面剥離や、鋼材とバインダーとの界面剥離が抑制され、クラックの進展が抑制される。
有機チタネート化合物の添加量は、0.05〜5.0%とすることが好ましい。有機チタネート化合物が少なすぎるとその効果が得られなくなってクラックが入りやすくなり、被膜の防錆特性が低下する可能性を生ずる。一方、過剰になると、大気中の湿度を吸収して加水分解しやすくなり、ポットライフが短くなる傾向がある。より好ましい範囲は0.05〜2%であり、特に好ましい範囲は0.1〜2%である。
(金属粉末)
金属粉末は、従来からジンクリッチ防錆塗料に使用されている、亜鉛系粉末およびアルミニウム粉末を使用する。本発明において、亜鉛系粉末は、亜鉛を成分として含む金属の粉末を意義しており、亜鉛合金粉末をも含んでいる。着色アルミニウム粉末は、アルミニウムを成分として含む金属の粉末の表面に着色顔料が付されたものを意義している。ここで、アルミニウムを成分として含む金属の粉末は、亜鉛系粉末同様に、アルミニウム粉末およびアルミニウム合金粉末を含んでいる。したがって、着色アルミニウム粉末には、着色アルミニウム合金粉末が含まれる。亜鉛合金の例としては、Zn−Ni、Zn−Sn、Zn−Fe、Zn−Al、Zn−Al−Mg、等が挙げられる。
着色顔料を添加すれば着色防錆塗料となり、当該着色防錆塗料の被膜により着色することができる。しかし、単に着色顔料を添加しても鮮やかに発色する防錆被膜を形成する着色防錆塗料にはならない。本発明者らは、防錆塗料中に配合されている金属粉末が、被膜の発色の鮮やかさを低下させる一因であること、および、鮮やかさ低下は特にアルミニウム粉末の影響が大きいことを見出した。そして、予め着色顔料により着色された着色アルミニウム粉末を用いることにより、未着色のアルミニウム粉末による被膜の発色への影響を抑えることができる。上述したように、アルミニウム粉末を着色アルミニウム粉末に置き換えるとともに着色顔料を配合することにより、着色防錆塗料は鮮やかに発色する着色防錆被膜を形成可能になる。
金属粉末中の亜鉛系粉末は、アルミニウム粉末とは異なり、被膜の発色の鮮やかさに与える影響が小さい。したがって、亜鉛系粉末は着色されていないまま配合しても鮮やかに発色する着色防錆被膜を形成できる。亜鉛系粉末を配合することにより、防錆塗料により形成された被膜は、鮮やかに発色するとともに亜鉛の犠牲防食作用による十分な防錆効果を有するものとなる。
塗料原料としての金属粉末の形状は、被膜の厚さを薄くしても高い耐食性を有するように、鱗片形状であることが好ましい。鱗片形状であることによって、被膜中で金属粉末が厚み方向に積層する構造をとることが実現される。この積層構造は、バインダー成分の重合に起因する収縮によって被膜中にクラックが発生しても、その進展を抑制し、基材が露出するような大きなクラックの発生を防止する。
鱗片形状の金属粉末の平均厚さが被膜の平均厚さの1/200〜1/2であって、かつ金属粉末の長径(鱗片形状の最長部分の長さ)の平均値が、被膜の平均厚さに対して1/20〜10倍であることが好ましい。たとえば、被膜が10μm程度の場合には、鱗片形状の金属粉末の平均厚さは0.05〜5μmであって、長径の平均値は0.5〜100μmであることが好ましい。
また、塗料の塗布条件によって被膜の厚さにばらつきが発生するような条件であっても、金属粉末の長径の平均値が1.0〜50μm、特に好ましくは4.0〜20μmの範囲にあり、その鱗片形状の平均厚さが0.05〜1.0μm、特に好ましくは0.05〜0.5μmの範囲にある場合には、焼付け処理によってもクラックが発生しにくく、優れた防錆特性を有する被膜が得られる。
なお、長径の平均値が上記の範囲よりも小さい場合には、被膜内で鱗片形状金属粉末が積層された構造を得にくくなって、クラック進展の抑制効果が小さくなる傾向を示すようになる。一方、上記の範囲よりも大きい場合には金属粉末の分布が疎となって、防錆特性に悪影響を及ぼす可能性が生ずる。
また、鱗片形状の平均厚さが上記の範囲よりも小さい場合には塗料の攪拌・混練作業の際に破壊されやくすくなり、鱗片形状が形成されにくくなり、積層構造が得られにくくなる。一方、上記範囲よりも大きい場合には被膜の厚み方向に複数の金属粉末が積層される構造が得られにくくなり、クラックの進展を抑制する効果が減少する恐れがある。
塗料における金属粉末の組成比率は、全塗料に対する質量%で、5〜60%の範囲内の量とすることが好ましく、より好ましく5〜40%である。量が多すぎると塗料の薄膜状での塗布が難しくなると共に、被膜の強度が低下する。逆に、少なすぎるとクラックが進展しやすくなったり、被膜の防錆機能が低下したりする。
(有機溶剤)
本発明の防錆塗料は、塗布作業にあたって有機溶剤を含有させると被塗部材への液なじみがよく、密着性が高い被膜を得ることが実現される。また、塗料化に際して添加される各種の添加剤に関して、有機溶剤を含有させることにより、幅広い添加剤の利用が可能となる。
好適な有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、メトキシブタノール、メトキシメチルブタノール等のアルコール類、これらのアルコール類の酢酸エステル、プロピオン酸エステル等のエステル類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどのグリコール類、及びこれらのグリコールのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノブチルエーテルなどのエーテル類が例示される。また、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、ソルベントナフサなどの炭化水素類を使用してもよい。これらは、単独でも数種類の混合物として用いてもよい。
有機溶剤の量は、作業環境によっても変動するものであるが、全塗料の10〜60%とすることが好ましく、より好ましくは15%〜45%、特に好ましいのは20〜30%である。この範囲を超えると、薄膜化しにくくなったり、被膜中で金属粉末が積層構造を作りにくくなったりして、他の成分の含有量との関係もあるが所望の被膜を得にくくなる場合もありうる。
(着色顔料)
着色顔料としては、一般的に用いられている有機顔料や無機顔料を用いることができるが、色調の鮮やかさから、有機顔料が好ましい。有機顔料としては、パーマネントレッド、ファーストイエロー、フタロシアニングリーンなどが例示され、無機顔料としては、二酸化チタン、べんがら、紺青、酸化鉄、カーボンブラックなどが例示される。これらは、単独で用いても数種類の混合物として用いてもよい。塗料組成物中の分散性を良好にする観点から、着色顔料は、分散剤中に予め着色顔料が分散された顔料分散体として配合されることが好ましい。顔料分散体としての配合量は、防錆塗料の5〜60質量%とすることが好ましく、10〜40質量%とすることがより好ましい。
(その他の添加剤)
本発明の防錆塗料には、必要に応じて、塗料に一般に使用されている各種の添加剤を含有させることができる。そのような添加剤としては、増粘剤、防錆顔料、コロイド状シリカ微粒子、等が挙げられる。
増粘剤としては、脂肪酸アミド、ポリアマイド、酸化ポリエチレン、ヒドロキシプルピルセルロース、さらにはケイ酸塩系の無機増粘剤、等が例示される。
防錆顔料の例としては、リン酸亜鉛、リン酸マグネシウム、モリブデン酸亜鉛、リンモリブデン酸アルミニウム、等がある。
コロイド状シリカ微粒子とは、粒径が1μmより微細なゾル状のシリカ粒子であり、上述したケイ素化合物と同様に、被膜の耐食性と被膜強度を改善する効果がある。コロイド状シリカ微粒子の例としては、コロイダルシリカを有機溶剤に分散させたオルガノシリカゾル(たとえば日産化学工業株式会社製スノーテックス)、フュームドシリカ(気相シリカ)、等が挙げられる。
その他、湿潤剤、消泡剤、等の慣用の塗料用添加剤も本発明の塗料に含有させることができる。
これらの他の添加剤は、合計で、全塗料の0.1〜10%の範囲の量で添加することが好ましい。0.1%未満の場合には添加剤の効果が得られない恐れがあり、10%を超えると主剤である金属粉末やバインダー成分の組成比率が相対的に低下し、基本特性である防錆特性が低下する恐れがある。
以上に述べた、防錆塗料を構成する各成分は、いずれも1種または2種以上を使用することができる。防錆塗料は、上述した各成分を十分に攪拌・混合して、金属粉末を液中に均一に分散させることにより調製される。
この防錆塗料を適用することができる基材である鉄鋼部材は、鋼板、棒材、鋼管、型鋼から、成形品、さらにはボルト、等の小物部材まで、あらゆる鉄鋼部材を包含する。鉄鋼部材は、ショットブラスト処理、リン酸塩被膜処理、等の塗装の密着性向上や耐食性向上のための塗装前処理として広く使われる処理を施したものでもよい。鉄鋼部材の表面に防錆塗料を用いて防錆被膜を形成することによって防錆部材となる。
防錆被膜を基材上に形成する工程は、一般的な方法を用いて行うことができる。例えば、ロール塗布、スプレー、刷毛塗り、浸漬等の常法により行うことができ、その部材の形態に応じて適当な塗布方法を選択すればよい。塗布は、加熱処理後に形成される被膜厚みが2〜30μmの範囲となるように行うことが好ましい。
塗布後の加熱処理(焼付け)は、150〜400℃で10〜120分間行う。加熱処理により、有機ケイ素化合物が有機チタネート化合物を硬化剤または触媒として縮合反応を受け、多量の金属粉末を含む被膜が鉄鋼部材の表面に形成される。加熱処理に先立って、乾燥のために予備加熱を行ってもよい。
こうして本発明の塗料が塗布された鉄鋼部材は、そのまま使用しても長期的に防錆効果を発揮するが、所望によっては、さらに塗装を施すことも可能である。
(積層構造を備えた防錆被膜)
本発明の防錆被膜は、互いに接する二層の被膜からなる積層構造を備えた防錆被膜として実施することもできる。
内層側の第一の被膜を形成する第一の塗料組成物100質量%中に含まれる亜鉛系粉末の含有量(Zn1)は、防錆被膜の耐食性を良好にする観点から、20〜60質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましく、35〜45質量%がさらに好ましい。また、同様の観点から、表面を着色したアルミニウム粉末(着色アルミニウム粉末)および未着色のアルミニウム粉末(未着色アルミニウム粉末)を合計したアルミニウム粉末の含有量(Al1)は、1〜40質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましく、3〜10質量%がさらに好ましい。第一の塗料組成物は未着色アルミニウム粉末のみを含有し、着色アルミニウム粉末を含有しないものであってもよい。外層側の第二の被膜を形成する第二の塗料組成物が着色アルミニウム粉末を含有していれば、積層体である防錆被膜の発色が良好になるからである。同様の理由により、着色アルミニウム粉末を含有しない第一の塗料組成物は、着色顔料も含有しなくても良い。
上述した好ましい含有量は、アルミニウム粉末としての含有量を意味している。例えば、アルミニウム粉末が溶剤に分散されたスラリー状のアルミニウム粉末(以下、「アルミニウムスラリー」ともいう)を用いる場合、アルミニウムスラリーとしてではなく、アルミニウムスラリーに含まれているアルミニウム粉末としての含有量を意味する。着色アルミニウム粉末は、アルミニウム粉末の表面が着色顔料で覆われているものである。このため、着色アルミニウム粉末の含有量は、アルミニウム粉末、着色顔料、および両者を結合させるために用いられている不揮発性樹脂を合わせたものの含有量を意味する。
外層側の第二の被膜を形成する第二の塗料組成物100質量%中に含まれる亜鉛系粉末の含有量(Zn2)は、防錆被膜の耐食性を良好にする観点から、1〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、1〜15質量%がさらに好ましい。また、同様の観点から、着色アルミニウム粉末および未着色アルミニウム粉末を合計したアルミニウム粉末含有量(Al2)は、1〜50質量%が好ましく、2〜40質量%がより好ましく、3〜30質量%がさらに好ましい。第二の塗料組成物中のアルミニウム粉末は、くすみのない発色とする観点から、全てが着色アルミニウム粉末であって、未着色アルミニウム粉末を含有しないことが好ましい。第二の塗料組成物は、積層体である防錆被膜の発色が良好になるという理由により、着色アルミニウム粉末に加えて着色顔料を含有することが好ましい。
第一および第二の塗料組成物を合わせた塗料組成物中に含まれる亜鉛系粉末の含有量は、防錆被膜の耐食性を良好にする観点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、15〜40質量%がより好ましく、15〜30質量%がさらに好ましい。
なお、塗料組成物中に含まれる亜鉛系粉末の含有量とは、第一および第二の塗料組成物の全量を基準とした亜鉛系粉末の含有量をいう。例えば、亜鉛系粉末の含有量が38質量%である第一の塗料組成物(Zn1が38質量%)と、亜鉛系粉末の含有量が8質量%である第二の塗料組成物(Zn2が8質量%)とを等量用いて、第一および第二の被膜からなる防錆被膜を形成した場合、塗料組成物中に含まれる亜鉛系粉末の含有量は23質量%(=(38質量%+8質量%)÷2)となる。
防錆被膜の耐食性を良好にする観点から、第一および第二の各塗料組成物における、亜鉛系粉末含有量(Zn1およびZn2)は、Zn1がZn2よりも大きいことが好ましい。Zn1/Zn2は、2〜60が好ましく、3〜40がより好ましく、3〜25がさらに好ましい。
防錆被膜の外観を良好にする観点から、第一の塗料組成物中の金属粉末の含有量の合計(Zn1+Al1)は、第2の塗料組成物中の金属粉末の含有量の合計(Zn2+Al2)よりも大きいこと、すなわち(Zn1+Al1)>(Zn2+Al2)であることが好ましく、(Zn1+Al1)>1.5×(Zn2+Al2)であることがより好ましく、(Zn1+Al1)>1.8×(Zn2+Al2)であることがさらに好ましい。
以下、実施例を用いてさらに本発明を説明するが、実施例の態様に本発明は限定されない。
1.試験片の調製
表1に示した配合(質量部)に従って、塗料用高速攪拌機を用いて各成分を一緒に3時間攪拌することにより十分に混合して、塗料組成物(以下の各表には「組成物」と記す)1〜8を作製した。
Figure 2017178983
鱗片形状の亜鉛系粉末は、以下のようにして作製した。
平均粒径5μmの金属亜鉛系粉末100重量部をミネラルスピリット200重量部中に分散させ、さらに少量の脂肪酸を加えて、金属亜鉛系粉末の分散濃度が約30重量%のスラリーとした。このスラリーをビーズミル(アシザワ・ファインテック株式会社製スターミルZRS)で粉砕処理し、処理後のスラリーを減圧下で蒸発乾燥させて、径の分布の中心値が10μm、厚さの分布の中心値が0.3μmの鱗片形状亜鉛系粉末を得た。
鱗片形状のアルミニウム粉末および着色アルミニウム粉末は、以下のものを用いた。
・未着色アルミニウム粉末(鱗片形状):65質量%の未着色アルミニウム粉末(鱗片形状)と35質量%のミネラルスピリットとからなるアルミニウムスラリー、東洋アルミニウム株式会社製 アルペースト0200M(製品名、平均径10μm、平均厚み0.2μm)
・赤色アルミニウム粉末(鱗片形状):50質量%の赤色アルミニウム粉末(鱗片形状)と50質量%のミネラルスピリットとからなるアルミニウムスラリー、東洋アルミニウム株式会社製 着色アルペーストD451RE(製品名、平均径11μm)
・黄色アルミニウム粉末(鱗片形状):55質量%の黄色アルミニウム粉末(鱗片形状)と、45質量%のミネラルスピリットとからなるアルミニウムスラリー、東洋アルミニウム株式会社製 着色アルペーストD452YE(製品名、平均径11μm)
・青色アルミニウム粉末(鱗片形状):55質量%の青色アルミニウム粉末(鱗片形状)と、45質量%のミネラルスピリットとからなるアルミニウムスラリー、東洋アルミニウム株式会社製 着色アルペーストD452BL(製品名、平均径11μm)
表1に示した他の成分としては、下記のものを用いた。
・エチルポリシリケート:コルコート(株)製 エチルシリケート40(製品名)
・テトラブトキシチタンポリマー:日本曹達(株)製 TBTポリマーB−10(製品名)
・赤色顔料分散体:大日精化工業(株)製 NX−032レッド(製品名)
・黄色顔料分散体:大日精化工業(株)製 NX−011イエロー(製品名)
・青色顔料分散体:トーヨーカラー(株)製 EMUブルー870AF−1(製品名)
・分散剤(酸化ポリエチレン):楠本化成(株)製
・増粘剤(有機ベントナイト):日本有機粘土(株)製
(単層)
[実施例1]
予め脱脂・洗浄した軟鋼板に、バーコーターにより、塗料組成物1を塗布し、280℃×30分の加熱処理を行って、膜厚20μmの被膜を作製した。
[実施例2]
実施例1の塗料組成物1に代えて塗料組成物2を用い、同様にして膜厚20μmの被膜を作製した。
[実施例3]
実施例1の塗料組成物1に代えて塗料組成物3を用い、同様にして膜厚20μmの被膜を作製した。
[比較例1]
実施例1の塗料組成物1に代えて塗料組成物7を用い、同様にして膜厚20μmの被膜を作製した。
[比較例2]
実施例1の塗料組成物1に代えて塗料組成物8を用い、同様にして膜厚20μmの被膜を作製した。
(二層)
[実施例4]
予め脱脂・洗浄した軟鋼板に、バーコーターにより、塗料組成物1を塗布し、280℃×30分の加熱処理を行って、膜厚10μmの被膜を作製した。作製された被膜の表面に、さらにバーコーターにより塗料組成物1を塗布し、280℃×30分の加熱処理を行って、膜厚10μmの被膜を作製した。このようにして被膜全体としての膜厚が20μmの積層被膜を作製した。
[実施例5]
実施例4の塗料組成物1に代えて塗料組成物2を用い、同様にして被膜全体としての膜厚が20μmの積層被膜を作製した。
[実施例6]
実施例4の塗料組成物1に代えて塗料組成物3を用い、同様にして被膜全体としての膜厚が20μmの積層被膜を作製した。
[実施例7]
予め脱脂・洗浄した軟鋼板に、バーコーターにより、塗料組成物6を塗布し、280℃×30分の加熱処理を行って、膜厚10μmの被膜を作製した。作製した被膜の表面にさらにバーコーターにより、塗料組成物1を塗布し、280℃×30分の加熱処理を行って、膜厚10μmの被膜を作製した。このようにして二層の被膜全体としての膜厚が20μmの積層被膜を作製した。
[実施例8]
実施例7の塗料組成物1に代えて塗料組成物2を用い、同様にして被膜全体としての膜厚が20μmの積層被膜を作製した。
[実施例9]
実施例7の塗料組成物1に代えて塗料組成物3を用い、同様にして被膜全体としての膜厚が20μmの積層被膜を作製した。
[実施例10]
実施例7の塗料組成物1に代えて塗料組成物4を用い、同様にして被膜全体としての膜厚が20μmの積層被膜を作製した。
[実施例11]
実施例7の塗料組成物1に代えて塗料組成物5を用い、同様にして被膜全体としての膜厚が20μmの積層被膜を作製した。
[比較例3]
実施例4の塗料組成物1に代えて塗料組成物6を用い、同様にして膜厚20μmの積層被膜を作製した。
[比較例4]
実施例4の塗料組成物1に代えて塗料組成物7を用い、同様にして膜厚20μmの積層被膜を作製した。
[比較例5]
実施例4の塗料組成物1に代えて塗料組成物8を用い、同様にして膜厚20μmの積層被膜を作製した。
2.評価方法
(1)色調
上述した方法により、その表面に被膜が形成された軟鋼板が濁りなく着色できているか否かについて、以下の基準を用いて、目視により判定した。
○:濁りがなくきれいに着色できている。
×:濁りがありきれいに着色できていない。
(2)白錆耐食性
塩水噴霧試験JIS Z 2371に準じて経過を観察し、試験開始から白錆発生面積率が10%以上になるまでの時間により評価した。
(3)傷つき耐食性
防錆塗料の被膜が表面に形成された軟鋼板を試験片として用いた。試験片に素地(軟鋼板)まで達するように、カッターナイフでクロスカットを入れて評価用試験片とした。
耐食性は、塩水噴霧試験JIS Z 2371に準じて経過を観察し、試験開始から評価用試験片のクロスカット部に赤錆が発生するまでの時間により評価した。
3.試験結果
上述した評価方法を用いて、(1)色調、(2)白錆耐食性および(3)傷つき耐食性を評価した結果を表2および表3に示す。
Figure 2017178983

上記の表に示すとおり、着色顔料としての顔料分散体と着色アルミニウム粉末とを併用することにより、実施例1〜3の防錆塗料により濁りのない着色を実現することができた。すなわち鮮やかに発色する被膜を形成することができた。また、防錆塗料の被膜は、傷つき耐食性も良好であった。
Figure 2017178983

上記の表に示すとおり、同じ組成物を用いた場合、膜厚が同じであれば、防錆被膜を単層(20μm)とするか二層(10μm+10μm)とするかによって、傷つき耐食性は変わらなかった(実施例1〜3と4〜6とを対比)。
異なる組成物を用いて防錆被膜を作製した実施例7〜12はいずれも、極めて高い白錆耐食性および傷付耐食性を示した。これら実施例7〜12はいずれも、塗料組成物6を用いた第一層の上に、さらに塗料組成物6を用いて第二層を作製した比較例3の防錆被膜よりも高い白錆耐食性および傷付耐食性を示した。このことから、第二の被膜に用いられる第二の塗料組成物の亜鉛系粉末の含有量は、第一の被膜に用いられる第一の塗料組成物の亜鉛系粉末の含有量よりも小さいことが好ましいことが分かった。
また、外側の被膜のみを着色アルミ及び着色顔料で着色した実施例7〜12の防錆被膜は、二層とも着色アルミ及び着色顔料で着色した実施例4〜6の防錆被膜同様、濁りがないきれいな色に着色することができた。
本発明は、薄膜であっても高い防錆機能を付与するとともに鮮やかな色を付することができるから、精密機器や自動車のプレス成形用鋼板に適用される防錆塗料として有用である。

Claims (10)

  1. 着色顔料および着色アルミニウム粉末を含有している防錆被膜。
  2. 前記防錆被膜は、互いに接する二層の被膜からなる積層構造であり、二層の前記被膜のうち、内層側の第一の被膜の形成に用いられる第一の塗料組成物における亜鉛系粉末含有量が、外層側の第二の被膜の形成に用いられる第二の塗料組成物における亜鉛系粉末含有量よりも大きく、前記第二の塗料組成物が、着色顔料および着色アルミニウム粉末を含有している請求項1に記載の防錆被膜。
  3. 前記第一の塗料組成物における前記亜鉛系粉末の含有量と、前記第二の塗料組成物における前記亜鉛系粉末の含有量との合計が20質量%以上60質量%以下である請求項2に記載の防錆被膜。
  4. 前記第一の塗料組成物は、未着色アルミニウム粉末を含有しており、着色顔料および着色アルミニウム粉末を含有していない請求項2または3に記載の防錆被膜。
  5. 前記第二の塗料組成物における前記亜鉛系粉末の含有量が20質量%以下である請求項2、3または4に記載の防錆被膜。
  6. 前記第一の塗料組成物および第二の塗料組成物は、炭素数が3以下のアルキル基を有するテトラアルキルシリケート化合物およびそのオリゴマーからなる群から選ばれた1種以上の化合物である有機チタネート化合物を含有している請求項2〜5のいずれか1項に記載の防錆被膜。
  7. 前記有機チタネート化合物は、一般式Ti(X)で表される有機化合物およびそのオリゴマーであって、Xは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、およびtert−ブトキシの炭素数4以下のアルコキシ基、ラクテート、トリエタノールアミネート、アセチルアセトネート、アセトアセテート、およびエチルアセトアセテートを含むキレート性置換基、ならびに水酸基からなる群から選ばれた1種以上の官能基である、請求項6に記載の防錆被膜。
  8. 前記亜鉛系粉末、前記着色アルミニウム粉末および前記未着色アルミニウム粉末は、鱗片形状である請求項1〜7のいずれか1項に記載の防錆被膜。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載される防錆被膜を基材上に備える防錆部材。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載される防錆被膜を基材上に形成する工程を備える防錆部材の製造方法。
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