JP2017178973A - 樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

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義博 津田
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Ikuko Shoji
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Abstract

【課題】高植物由来度を有し、作業性が良く、耐熱性、曲げ強度及び引張強度、及び金属との接着性に優れた樹脂組成物及び成形体を提供すること。
【解決手段】リグニン、フェノールノボラック樹脂、繊維状充填材及び硬化剤を含む樹脂組成物であって、該リグニンと該フェノールノボラック樹脂の質量比が、20:80〜52:48である樹脂組成物及び該樹脂組成物を成形してなる成形体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及びこれを用いた成形体に関し、詳しくは、リグニンを必須成分として含有する樹脂組成物及びこれを用いた成形体に関する。
従来、化学製品は石油などの化石資源を原料としていたが、近年、カーボンニュートラルの概念の導入によりバイオマスプラスチックの需要が高まっている。そこで、包装資材、家電製品の部材、自動車用部材など、身の回りのプラスチック製品を植物由来樹脂(バイオプラスチック)に置き換える動きが活発化している。
植物由来の耐熱性樹脂材料の原料としてリグニンが注目されている。リグニンは、ヒドロキシフェニルプロパン単位の基本骨格を持つ架橋構造の高分子である。樹木は親水性の線状高分子の多糖類(セルロースとヘミセルロース)と疎水性の架橋構造リグニンの相互侵入網目(IPN;Interpenetrating Polymer Network)構造を形成している。リグニンは樹木の約25質量%を占め、不規則かつ極めて複雑なポリフェノールの化学構造をしている。このようなリグニンは、ポリ乳酸に代表される他のバイオプラスチックに比べて、極めて優れた耐熱性を有するという特徴を有しており、自動車部品やOA関連用部品など、今まで耐熱性が足りないために応用できなかった用途への応用が期待される。
リグニンは、一般的なフェノール樹脂と異なり、フェノール性水酸基に加え、アルコール性水酸基を多く有しているため、フェノール樹脂の代替品として用いた場合、金属等との接着性に優れていることが予想される。
しかしながら、一方で、リグニンは分子中に剛直なピラノース環、フラノース環及び芳香環を有するために、リグニン単独で硬化させようとした場合、非常に硬い組成物となる。そのため、混練時の作業性が悪くなり、また成形物が硬く脆くなり耐衝撃性が低下してしまう問題があった。
また、リグニンの融点は約140℃と高温であるため、リグニン単独で樹脂組成物を作製しようとする場合、混練装置を高温にする必要があり、樹脂組成物を作製することが困難である。
そこで、リグニンのみを用いた組成物の硬さ及び混練作業性を改善するために、柔軟な骨格を持った石油由来フェノール樹脂を併用するといった手法が考えられる(特許文献1、実施例参照)。
特開2009−227890号公報
特許文献1には、実施例において、一般的な石油由来フェノール樹脂を併用する方法の開示があるが、リグニンの分子量が大きい場合、より具体的には、分子量が2000より大きい場合、軟化点が高くなりすぎて成形しにくくなるという問題があった(特許文献1、段落0016参照)。
そこで、本発明は、環境負荷低減化の観点から、植物由来の木質系材料を利用した、高植物由来度の樹脂組成物を提供することを目的とする。詳細には、植物由来であるリグニンを主原料とし、高植物由来度を有し、かつ作業性が良く、さらに耐熱性、曲げ強度、及び金属接着性に優れた樹脂組成物及び成形体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、植物由来であるリグニンを主原料とし、これにフェノールノボラック樹脂を特定の割合で併用し、さらに繊維状充填材及び硬化剤を用いることによって、上記課題を解決できることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)リグニン、フェノールノボラック樹脂、繊維状充填材及び硬化剤を含む樹脂組成物であって、該リグニンと該フェノールノボラック樹脂の質量比が、20:80〜52:48である樹脂組成物、
(2)前記リグニンの重量平均分子量が100〜7000である上記(1)に記載の樹脂組成物、
(3)リグニン中の硫黄原子の含有量が2質量%以下である上記(1)又は(2)に記載の樹脂組成物、
(4)前記繊維状充填材を構成する繊維が無機繊維である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物、
(5)前記無機繊維がガラス繊維である上記(4)に記載の樹脂組成物、
(6)前記ガラス繊維の長さが1〜20mmである上記(5)に記載の樹脂組成物、
(7)前記硬化剤がアルデヒド化合物又はホルムアルデヒドを生成する化合物である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の樹脂組成物、
(8)前記フェノールノボラック樹脂の軟化点が100℃以下である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の樹脂組成物、及び
(9)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の樹脂組成物を用いてなる成形体、
を提供するものである。
本発明によれば、高い植物由来度を有し、作業性が良く、耐熱性、曲げ強度、引張強度、及び金属との接着性に優れた樹脂組成物及び成形体を提供することができ、ひいては、化石資源使用量の削減、及び二酸化炭素の排出量の低減効果が得られ、地球環境保護に適した樹脂材料を提供することができる。
本発明の樹脂組成物は、リグニン、フェノールノボラック樹脂、繊維状充填材及び硬化剤を含むことを特徴とする。以下、詳細に説明する。
<リグニン>
本発明はリグニンを主原料とし、リグニンが有する複雑な化学構造を活かすことに、本発明の特徴がある。より具体的には、リグニンが有するフェノール性水酸基及びアルコール性水酸基を利用し、硬化剤を用いて3次元架橋構造を形成することにある。これにより、高いガラス転移温度を有する樹脂材料及び成形体を得ることが可能となる。
入手可能なリグニンとしては、硫酸法により副生するリグニンスルホン酸塩、アルカリリグニン、オルガノソルブリグニン、ソルボリシスリグニン、糸状菌処理リグニン、ジオキサンリグニン、ミルドウッドリグニン、爆砕リグニンなどが挙げられる。
中でも、本発明に用いるリグニンとしては、水を用いた方法によって、植物からセルロース、及びヘミセルロース成分を除去したものであることが好ましい。具体的には、セルロース、及びヘミセルロース成分から分離する方法として、高温の水又は水蒸気、圧力を用いて処理し、分離する方法(例えば、蒸煮法、クラフト法、爆砕法等)を用いたものが好ましい。
本発明で用いるリグニンとしては、その重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)法に基づく、ポリスチレン換算値において、100〜7000が好ましい。リグニンの重量平均分子量が7000以下であると、有機溶媒への溶解性が確保され、100以上であると、上述のリグニンの構造を活かした本発明の効果、すなわち高い耐熱性などの効果を奏する樹脂組成物を得ることができる。有機溶媒への溶解性、及び本発明の効果の観点から、リグニンの重量平均分子量は、200〜5000がさらに好ましく、500〜4000であることが特に好ましい。
なお、GPC測定の条件は実施例に記載の方法による。
本発明の樹脂組成物中のリグニンの含有量は、有機溶媒に可溶なリグニン量として3〜60質量%が好ましい。該リグニン量が3質量%以上であると、本願発明の効果、すなわち化石資源及び二酸化炭素の低減効果が得られる。一方、60質量%以下であると成形加工性に優れる。以上の観点から、樹脂組成物中の、有機溶媒に可溶なリグニンの含有量は、より好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは8〜30質量%、特に好ましくは10〜20質量%の範囲である。
リグニンの原料に特に制限はない。スギ、マツ、ヒノキ等の針葉樹、ブナ等の広葉樹、タケ、イネワラ、バガス、カシューナッツ等の殻など(以下「バイオマス」と表現することがある。)が使用される。
樹木からリグニンを分離し取り出す方法としては、バイオマスを、溶媒存在下、触媒の存在下、及び/又は、高温高圧の条件下で処理することにより分解する方法が一般的である。具体的には、バイオマスを一定の大きさに調整し、溶媒、任意に触媒と共に、撹拌機及び加熱装置付の耐圧容器に入れて、加熱及び加圧をしながら、撹拌して、バイオマスの分解処理を行う。次いで、耐圧容器の内容物をろ過して、ろ液を除去し、水不溶分を水で洗浄し、分離する。次いで、前記水不溶分を、リグニン化合物が可溶な溶媒に浸漬して、リグニン化合物を抽出し、該溶媒を留去することにより、リグニンを得ることができる。
バイオマスの大きさとしては、100μm〜1cm程度が好ましく、200μm〜500μmがより好ましい。バイオマスの形状としては、特に制限はなく、ブロック状、チップ状、粉末状等のいずれであってよい。
樹木からリグニンを分離し取り出す具体的な方法としては、クラフト法、硫酸法、爆砕法などが挙げられる。現在多量に製造されているリグニンの多くは、紙やバイオエタノールの原料であるセルロース製造時に残渣として得られる。
クラフト法は、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムの混液を用いて、160〜170℃で、5〜12時間蒸煮して、木材中のリグニンをアルカリチオリグニンとして、廃液中に溶出させる方法である。また、硫酸法は、木材チップを酸性亜硫酸塩と亜硫酸の混液で130〜145℃、6〜8kg/cm2、10〜12時間蒸煮し、木材中のリグニンをリグニンスルホン酸塩として、廃液中に溶出させる方法である。
爆砕法としては、例えば水蒸気爆砕法がある。水蒸気爆砕法は高温高圧の水蒸気による加水分解と、圧力を瞬時に開放することによる物理的破砕効果により、植物を短時間に破砕するものである。この方法では、リグニン中に硫黄原子を含まないリグニン、又は、硫黄原子の含有率が少ないリグニンが得られる。
次に、上述の方法により得られたリグニンを含む溶液から、リグニンを抽出する。抽出には有機溶媒を用いることが好ましく、アルコール溶媒、アルコールと水を混合した含水アルコール溶媒が挙げられる。また、その他の有機溶媒としては、フェノール、クレゾール等のフェノール類、アセトン等のケトン類、エーテル類、これらの有機溶媒と水との混合溶媒などが挙げられる。
特にアルコール溶媒が好ましく、アルコール溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、n−ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等のモノオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリエタノールアミン等のポリオールが挙げられる。
また、天然物質から得られるアルコールであることが、環境負荷低減化の観点で好ましい。具体的には、天然物質から得たメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、グリセリン、ヒドロキシメチルフルフラール等が挙げられる。
上述の有機溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、又は2種以上複数の有機溶媒を混合して用いてもよい。有機溶媒と水とを混合した含水有機溶媒を使用する場合の水にはイオン交換水を使用することが好ましい。また、含水有機溶媒中の含水率は0超〜70質量%が好ましい。
なお、リグニンは水への溶解度が低いため、水のみを溶媒とするとリグニンを抽出することが困難である。また、用いる溶媒を選択することにより、得られるリグニンの重量平均分子量を制御することが可能である。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、樹木からリグニンを分離し、取りだした際に得られる、リグニン以外の成分、例えばセルロースやヘミセルロースなどが含まれていてもよい。また、本発明におけるリグニンには、リグニンをアセチル化、メチル化、ハロゲン化、ニトロ化、スルホン化等の変性をしたリグニン誘導体、リグニンと硫化ナトリウムや硫化水素とを反応させて得られるリグニン誘導体なども含む。
また、リグニン中の硫黄原子の含有率は、2質量%以下が好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。硫黄原子の含有量が増大すると親水性のスルホン酸基が増加するため、有機溶剤への溶解性が低下する。
<フェノールノボラック樹脂>
本発明の樹脂組成物では、フェノールノボラック樹脂を用いるが、低軟化点のものが好ましく、中でも軟化点100℃以下のフェノールノボラック樹脂を架橋剤として用いることが特に好ましい。このような低い軟化点を有し、かつ特定の構造を有する樹脂を架橋剤として用いることで、高い植物由来度を維持しつつ、作業性、耐熱性、曲げ強度、引張強度、及び金属との接着性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
軟化点100℃以下のフェノールノボラック樹脂の市販品としては、HP−850N(日立化成(株)製、軟化点83℃)、TD−2131(DIC(株)製、軟化点78〜82℃)、TD−2106(DIC(株)製、軟化点88〜95℃)等が挙げられる。
なお、軟化点は、JIS K7234に記載されるグリセリン浴での環球法によって測定することができる。
本発明においては、リグニンに対して、フェノールノボラック樹脂を、該リグニンと該フェノールノボラック樹脂の質量比が、20:80〜52:48となるように含有させることが肝要である。該フェノールノボラック樹脂の含有量が上記範囲よりも少ない場合には、樹脂組成物が硬すぎて作業性が悪く、成形体を製造することが困難な場合があり、また成形体を得ることができても、成形体が硬く脆くなり耐衝撃性が低いものとなる。一方、フェノールノボラック樹脂の含有量が上記範囲よりも多い場合には、植物由来度が低下し、バイオマスプラスチックを利用するという本願発明の目的を失することになる。
<繊維状充填材>
本発明で用いる繊維状充填材としては、天然充填材及び化学充填材がある。
天然充填材には、植物系、動物系、及び鉱物系充填材がある。
植物系充填材としては、綿、竹、苧麻(ラミー)、亜麻(リネン)、マニラ麻(アバカ)、サイザル麻、黄麻(ジュート)、ケナフ、バナナ、ココナッツ、わら、サトウキビ、スギ、ヒノキ、トウヒ、松、モミ、カラマツ等の繊維や当該繊維の粉砕粉などが挙げられる。
動物系充填材としては、獣毛繊維、絹繊維、当該繊維の粉砕粉等が挙げられる。
鉱物系としては、石綿、バサルト(玄武岩)繊維、当該繊維の粉砕粉等が挙げられる。
化学充填材としては、無機充填材及び有機充填材がある。
無機充填材としては、炭素繊維、ガラス繊維等が挙げられる。有機充填材としては、ポリエステル系、ポリアミド系、アクリル系、ウレタン系、アラミド系、ナイロン系等の繊維状充填材が挙げられる、
これらの充填材は、単独または2種類以上組み合わせて使用することもできる。なお、繊維状充填材を用いることで、成形体の強度を上げることができる。
<その他充填材>
本発明では、上述の繊維状充填材を必須の構成要件として含有するが、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の充填材を含有していてもよい。
具体的には、種々の鉱物粉砕物、紙粉、キチン粉末、キトサン粉末、タンパク質、澱粉等の天然物由来の粉末、黒鉛、活性炭、グラファイト等の炭素系充填材、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム等の金属系充填材、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化アンチモン、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の酸化物系充填材、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物系充填材、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩系充填材、タルク、クレー、マイカ、ケイ酸カルシウム、ガラス、ガラス中空球等のケイ酸塩系充填材、チタン酸カルシウム、窒化アルミニウム、炭化ケイ素等のその他無機充填材などが挙げられる。
<硬化剤>
本発明で用いる硬化剤としては、アルデヒドが好適である。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、クロラール、フルフラール、グリオキサゾール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。
また、本発明で用いる硬化剤として、ホルムアルデヒドを生成する化合物が挙げられる。ホルムアルデヒドを生成する化合物としては、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。
上記硬化剤のうち、硬化性、耐熱性の面からヘキサメチレンテトラミンが好ましい。
なお、上記硬化剤は、1種を単独で、又は2種類以上組み合わせて使用することもできる。
<硬化促進剤>
本発明の樹脂組成物は、硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤としては特に限定されず、シクロアミジン化合物、キノン化合物、三級アミン類、有機ホスフィン類、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール類、水酸化カルシウム(消石灰等)、芳香環若しくは脂環を有する有機酸などが挙げられる。これらの中で、低温硬化可能で高強度の成形体が得られることから、水酸化カルシウム(消石灰等)、及び、芳香環若しくは脂環を有する有機酸が好ましい。
芳香環若しくは脂環を有する有機酸としては、安息香酸、サリチル酸、(o-、m-又はp-)トルイル酸、(o-、m-又はp-)クレソチン酸、没食子酸、1−ナフトエ酸、2-ナフトエ酸等の芳香族モノカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、ピロメリト酸、メリト酸等の芳香族多価カルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、5-ノルボルネン-2-カルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式モノ又は多価カルボン酸などが挙げられる。
硬化促進剤の含有量は、樹脂組成物中のリグニン及び融点100℃以下のフェノールノボラック樹脂の合計量100質量部に対して、成形性の点で、0.1〜20質量部用いることが好ましく、0.5〜15質量部用いることがより好ましく、1〜10質量部用いることが特に好ましい。
<カップリング剤>
本発明の樹脂組成物には、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、アルミニウム/ジルコニウムカップリング剤などのカップリング剤を含有させてもよい。これらのうちシランカップリング剤が好ましい。
カップリング剤を用いることで金属等との接着性が向上する。カップリング剤の含有量としては、樹脂組成物中のリグニン及びフェノールノボラック樹脂の合計量100質量部に対して、0.1〜10質量部用いることが好ましく、1〜5質量部用いることがより好ましい。
<離型剤>
本発明の樹脂組成物には、離型剤を含有させてもよい。本発明の樹脂組成物を成形する際に金型からの離型を容易に行うためである。離型剤としては、ポリエチレンワックス、高級脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、ケトン−アミン類、水素硬化油等の合成ワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス等の天然ワックス、ステアリン酸やステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸及びその金属塩類などが挙げられる。
<その他添加剤>
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて添加剤を含有させることができる。例えば、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力化成分、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、フォスファゼン等の難燃剤、酸化ビスマス水和物等の無機イオン交換体などである。
<成形体>
本発明の樹脂組成物から成形体を得る方法としては特に限定されず、トランスファー成形、インジェクション成形、圧縮成形等の成形方法を用いることができる。成形条件については、目的に応じて適宜設定されるものであり、例えば、150〜220℃程度の温度で、1〜5分間程度の時間で、加熱成形して成形品とすることができる。
本発明の樹脂組成物は、各種コート材として使用することができ、耐熱用、積層含浸用、金属コーティング用等の用途が好適である。また、本発明の成形体は、自動車用、OA機器筺体用、建材用等の用途として好適である。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
(1)作業性
各実施例及び比較例において、混練ロール作業時の作業性を以下の評価基準にて評価した。
A;混練物に適度な粘度があり、ロールへの巻きつきが良好。
B;混練物が硬すぎてロールへの巻きつきが悪い、又は軟らかすぎてまとまらない。
(2)耐熱性
各実施例及び比較例で作製した成形体の耐熱性を、粘弾性スペクトロメーター XSTAR DMS600(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製)を用い、引張モードにより測定した。
(3)曲げ強度
各実施例及び比較例で作製した成形体の曲げ強度を、オートグラフAG−50kNXPlus((株)島津製作所製)を用い、3点曲げ試験により評価した。130mm×13mm×3mmの試験片を用い、支点間距離48mm、試験速度1mm/分で測定した。
(4)引張強度
各実施例及び比較例で作製した成形体の引張強度を、オートグラフAG−50kNXPlus((株)島津製作所製)を用い、ダンベル型試験片の引張試験により評価した。170mm×16mm×3mmの試験片を用い、つかみ具間距離115mm、試験速度5mm/分で測定した。
(5)Al及びCuとの接着性
各実施例及び比較例で作製した成形体の表面に対して、Al箔及びCu箔を用いてピール試験を行った。試験条件は以下の通りである。
(試験条件)
Al箔及びCu箔上で成形したサンプルについて,幅5mm、試験速度50mm/minとした以外は,JIS Z0237:2009 10.4.6と同様の方法で90°でのピール強度を測定した。
実施例1
(リグニンの抽出)
リグニンの原料として、竹を用いた。適当な大きさにカットした竹材を水蒸気爆砕装置の5Lの耐圧容器に入れ、3.5MPaの水蒸気を圧入し、5分間放置した。その後、容器を開放し、開放時に爆砕されて生じる爆砕処理物を得た。得られた爆砕処理物を水により洗浄し、水溶性成分を除去後、真空乾燥機で残存水分を除去した。
得られた乾燥体100gにリグニン抽出溶媒としてアセトン1000mlを加え、3時間攪拌した後、ろ過により繊維物質を取り除いた。得られたろ液より抽出溶媒を除去し、水蒸気爆砕リグニンを得た。
(リグニンの物性評価)
得られた水蒸気爆砕リグニンは常温(25℃)で粉末であり、有機溶媒に可溶であった。水蒸気爆砕リグニン中の硫黄原子の含有率は0.5質量%以下であった。また、示差屈折計を備えた東ソー(株)製ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)(示差熱屈折形:RI−8020,ポンプ:DP−8020,脱気装置:SD−8022)にて水蒸気爆砕リグニンの分子量を測定した。多分散度の小さいポリスチレンを標準試料として用い、移動相をテトラヒドロフランとして使用し、カラムとして日立ハイテク(株)製ゲルパックGL−A120SとGL−A170Sとを直列に接続して分子量測定を行った。流量は1ml/分、測定温度は25℃とした。水蒸気爆砕リグニンの重量平均分子量は2400であった。
(リグニンの溶媒溶解性)
前記リグニン1gを、下記溶媒群10mlに加えて評価した。
A;常温(25℃)で容易に溶解した。
B;常温では全部溶解しなかったが50〜70℃で溶解した。
C;加熱しても溶解しなかった。
溶媒群1;アセトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン
溶媒群2;メタノール、エタノール、メチルエチルケトン
上記リグニンの溶媒溶解性は、溶媒群1ではA、溶媒群2ではBであった。
(成形体の作製)
第1表に示す組成からなる混合物を、混練ロール装置(東洋精機工業(株)製「TC−1」)で均一になるまで混練した。得られた半硬化物を粉砕機により平均粒径1mmに粉砕した。該粉砕物を180℃、2分間圧縮成形し、成形体を得た。該成形体について、上記(1)〜(4)の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
実施例2
実施例1において、各原材料の含有量を変えたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を得、該樹脂組成物を用いて成形体を得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1において、各原材料の含有量を変えたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を得、該樹脂組成物を用いて成形体を得た。実施例1と同様に作業性を評価した。樹脂組成物が硬すぎて、作業性が悪く、評価可能な成形体を得ることが出来なかった。したがって、以後の評価は行っていない。
Figure 2017178973
フェノールノボラック樹脂;日立化成(株)製「HP-850N」、軟化点83℃ 環球法
ガラス繊維(充填材);セントラルグラスファイバー(株)製、繊維長3mm
カップリング剤(シランカップリング剤);東レ・ダウコーニング(株)製「Z-6040」
実施例3、4及び比較例1
実施例1において、各原材料の含有量を変えたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を得、該樹脂組成物を用いて成形体を得た。該成形体について、上記(5)の評価を行った。評価結果を第2表に示す。
Figure 2017178973
本発明の樹脂組成物及び該樹脂組成物により得られる成形体は、高植物由来度を有し、作業性が良く、耐熱性、曲げ強度及び引張強度、及び金属との接着性に優れる。したがって、化石資源の使用量を削減し、かつ二酸化炭素の排出量の低減効果が得られ、地球環境保護に適した樹脂材料及び成形体である。

Claims (9)

  1. リグニン、フェノールノボラック樹脂、繊維状充填材及び硬化剤を含む樹脂組成物であって、該リグニンと該フェノールノボラック樹脂の質量比が、20:80〜52:48である樹脂組成物。
  2. 前記リグニンの重量平均分子量が100〜7000である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. リグニン中の硫黄原子の含有量が2質量%以下である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記繊維状充填材を構成する繊維が無機繊維である請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記無機繊維がガラス繊維である請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. 前記ガラス繊維の長さが1〜20mmである請求項5に記載の樹脂組成物。
  7. 前記硬化剤がアルデヒド化合物又はホルムアルデヒドを生成する化合物である請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. 前記フェノールノボラック樹脂の軟化点が100℃以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いてなる成形体。
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