JP2023086407A - 成形体の製造方法、構造物の処理方法、組成物の製造方法、及び組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形体の強度を向上させることができる成形体の製造方法、構造物の処理方法、組成物の製造方法、及び組成物を提供する。【解決手段】本開示に係る成形体の製造方法は、リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、塩基性材料とをそれぞれ用意することと、前記リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、前記無機固体材料と、前記塩基性材料との混合物を調製することと、前記混合物の加熱及び加圧を行うことと、を含む。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、成形体の製造方法、構造物の処理方法、組成物の製造方法、及び組成物に関する。
近年、建設用材料として様々な材料が開発されている(特許文献1参照)。一般に、このような材料から製造される成形体には、例えば建設材料として、所定の基準を満たす特性(例えば、強度や耐水性)を有することが要求される。
本発明は、成形体の特性を向上させることができる成形体の製造方法、構造物の処理方法、組成物の製造方法、及び組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決すべく、成形体の特性を向上させるために鋭意検討した。その結果、リグニン及び/又はセルロース及び無機固体材料から製造される成形体の製造において、原料に塩基性材料を混合することにより、成形体の特性が向上することを見出した。
本発明は、以下の態様を含む。
[1]成形体の製造方法であって、リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、塩基性材料とをそれぞれ用意することと、前記リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、前記無機固体材料と、前記塩基性材料との混合物を調製することと、前記混合物の加熱及び加圧を行うことと、を含む、方法。
[2]前記リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料は、植物由来である、[1]に記載の方法。
[3]前記無機固体材料は、1種以上の鉱物、1種以上の金属、1種以上のセラミックス、1種以上のガラス、1種以上のスラグ、及び1種以上の焼却灰、並びにこれらの複合材料からなる群より選択された1以上である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記無機固体材料の最大粒径は、50nm以上10cm以下である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の方法。
[5]前記リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と前記無機固体材料との合計が100質量部である場合において、前記リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料の添加量は、15質量部以上99質量部以下である、[1]~[4]のいずれか1つに記載の方法。
[6]前記塩基性材料は、塩基性溶液を含む、[1]~[5]のいずれか1つに記載の方法。
[7]前記塩基性溶液は、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化鉄、水酸化鉛、水酸化コバルト、水酸化クロム、水酸化ジルコニウム、水酸化ニッケル、及びアンモニアからなる群より選択された1以上の塩基の水溶液である、[6]に記載の方法。
[8]前記塩基性溶液における塩基の濃度は、1×10-4mol/L以上1mol/L以下である、[6]又は[7]に記載の方法。
[9]前記リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料の添加量が50質量部である場合において、前記塩基性材料の添加量は、1質量部以上50質量部以下である、[1]~[8]のいずれか1つに記載の方法。
[10]前記混合物は、160℃以上240℃以下の温度で加圧される、[1]~[9]のいずれか1つに記載の方法。
[11]前記成形体の3点曲げ強度は、5MPa以上である、[1]~[10]のいずれか1つに記載の方法。
[12]リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、を含む構造物の処理方法であって、前記構造物に対して塩基性材料を添加することを含む、方法。
[13]組成物の製造方法であって、リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、塩基性材料とをそれぞれ用意することと、前記リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、前記無機固体材料と、前記塩基性材料とを混合することと、を含む、方法。
[14]リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、塩基性材料とを含み、前記塩基性材料は、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化鉄、水酸化鉛、水酸化コバルト、水酸化クロム、水酸化ジルコニウム、水酸化ニッケル、及びアンモニアからなる群より選択された1以上の塩基を含む、組成物。
[1]成形体の製造方法であって、リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、塩基性材料とをそれぞれ用意することと、前記リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、前記無機固体材料と、前記塩基性材料との混合物を調製することと、前記混合物の加熱及び加圧を行うことと、を含む、方法。
[2]前記リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料は、植物由来である、[1]に記載の方法。
[3]前記無機固体材料は、1種以上の鉱物、1種以上の金属、1種以上のセラミックス、1種以上のガラス、1種以上のスラグ、及び1種以上の焼却灰、並びにこれらの複合材料からなる群より選択された1以上である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記無機固体材料の最大粒径は、50nm以上10cm以下である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の方法。
[5]前記リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と前記無機固体材料との合計が100質量部である場合において、前記リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料の添加量は、15質量部以上99質量部以下である、[1]~[4]のいずれか1つに記載の方法。
[6]前記塩基性材料は、塩基性溶液を含む、[1]~[5]のいずれか1つに記載の方法。
[7]前記塩基性溶液は、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化鉄、水酸化鉛、水酸化コバルト、水酸化クロム、水酸化ジルコニウム、水酸化ニッケル、及びアンモニアからなる群より選択された1以上の塩基の水溶液である、[6]に記載の方法。
[8]前記塩基性溶液における塩基の濃度は、1×10-4mol/L以上1mol/L以下である、[6]又は[7]に記載の方法。
[9]前記リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料の添加量が50質量部である場合において、前記塩基性材料の添加量は、1質量部以上50質量部以下である、[1]~[8]のいずれか1つに記載の方法。
[10]前記混合物は、160℃以上240℃以下の温度で加圧される、[1]~[9]のいずれか1つに記載の方法。
[11]前記成形体の3点曲げ強度は、5MPa以上である、[1]~[10]のいずれか1つに記載の方法。
[12]リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、を含む構造物の処理方法であって、前記構造物に対して塩基性材料を添加することを含む、方法。
[13]組成物の製造方法であって、リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、塩基性材料とをそれぞれ用意することと、前記リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、前記無機固体材料と、前記塩基性材料とを混合することと、を含む、方法。
[14]リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、塩基性材料とを含み、前記塩基性材料は、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化鉄、水酸化鉛、水酸化コバルト、水酸化クロム、水酸化ジルコニウム、水酸化ニッケル、及びアンモニアからなる群より選択された1以上の塩基を含む、組成物。
本発明の実施形態によれば、成形体の特性を向上させることができる成形体の製造方法、構造物の処理方法、組成物の製造方法、及び組成物を提供することができる。
以下、実施形態の成形体の製造方法、構造物の処理方法、組成物の製造方法、及び組成物について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、本発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
<圧縮成形体の製造方法>
本発明の一実施形態によれば、成形体の製造方法であって、(1)リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料(以下、「第1材料」ともいう。)と、無機固体材料と、塩基性材料とをそれぞれ用意することと、(2)リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、塩基性材料との混合物を調製することと、(3)混合物の加熱及び加圧を行うことと、を含む、方法が提供される。
本発明の一実施形態によれば、成形体の製造方法であって、(1)リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料(以下、「第1材料」ともいう。)と、無機固体材料と、塩基性材料とをそれぞれ用意することと、(2)リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、塩基性材料との混合物を調製することと、(3)混合物の加熱及び加圧を行うことと、を含む、方法が提供される。
本発明者らは、上記製造方法によって、塩基性材料を使用しない場合と比較して、得られる成形体の特性(例えば、強度や耐水性)を向上させることができることを見出した。例えば、成形体の強度が向上するメカニズムとしては、以下が想定される。ただし、以下はあくまで推測であって、本発明を一切限定するものではない。
第1材料に含まれるリグニンは、塩基性材料と反応して接着性を呈し、成形体を構成する無機固体材料や第1材料のうちリグニン以外の成分を、互いに接着するものと推測される。このように、成形体の構造中のリグニン又はリグニン由来成分が接着剤として機能することにより、成形体の強度が向上するものと考えられる。
第1材料に含まれるセルロースも、接着作用を呈することから、成形体におけるバインダーとして機能すると推測される。あるいは、セルロースフィブリルが塩基性材料と反応して収縮することによる別のメカニズムも考えられる。すなわち、セルロースフィブリルの収縮の結果、熱圧縮による変形が促進され、成形体中の間隙が効率的に充填されることにより、成形体の強度が向上することが考えられる。
また、第1材料として木材を使用すると、木材は加圧されると圧力下で流動し得るので、加圧成形を行うことによって、内部の間隙が少ない成形体が形成され得る。このような成形体は、緻密な構造及び高い強度を有し得る。また、上記の流動性のため、複雑な形状の成形体を製造することができる。
さらに、リグニン及びセルロースは生分解性を有し、特定の微生物によって分解され得る。したがって、製造される成形体は、廃棄後に土壌中の微生物によって分解され得る。このため、上記方法は、廃棄コスト及び環境汚染を抑制することができる。
以下、上記製造方法のステップ(1)~(3)ごとに説明する。
(1)原料の用意
まず、リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する第1材料と、無機固体材料と、塩基性材料とをそれぞれ用意する。本明細書において、「それぞれ用意する」とは、各材料を互いに分離された状態で用意することを意味する。以下、各材料について詳細に説明する。
まず、リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する第1材料と、無機固体材料と、塩基性材料とをそれぞれ用意する。本明細書において、「それぞれ用意する」とは、各材料を互いに分離された状態で用意することを意味する。以下、各材料について詳細に説明する。
(1-a)リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する第1材料
第1材料は、上記のとおり、製造される成形体において強度を向上させる機能を有し得る。第1材料は、リグニン及び/又はセルロースを含有するものであれば特に限定されない。
第1材料は、上記のとおり、製造される成形体において強度を向上させる機能を有し得る。第1材料は、リグニン及び/又はセルロースを含有するものであれば特に限定されない。
本明細書において、「リグニン」とは、リグニンモノマーが重合した構造を基本構造とする高分子であって、部分的に置換基によって置換されていてもよく、他の化合物と結合又は複合体を形成していてもよい。リグニンの種類は、S型リグニン、G型リグニン、H型リグニンなど、特に限定されない。第1材料は、1種又は2種以上のリグニンモノマーが重合した構造のリグニンを含み得る。リグニンは、リグニンモノマー以外のモノマーを重合単位として含んでもよい。
本明細書において、「セルロース」とは、β-グルコースがグリコシド結合により直鎖状に重合した構造を基本構造とする高分子であって、部分的に置換基によって置換されていてもよく、他の化合物(例えばリグニン)と結合していてもよく、他の化合物と複合体を形成していてもよい。
(第1材料の種類)
第1材料は、例えば、植物由来の材料である。第1材料又はその原料としては、材料の観点では、スギ、ヒノキ、マツなどの針葉樹;ブナ、シイ、カエデなどの広葉樹;竹などのイネ科植物;その他の植物体(例えば、植物工場から排出される植物性廃棄物や残渣);リグノセルロース材料;人工的な材料(例えば、製紙工場から排出されるリグニン及び/又はセルロースを含有する廃棄物や残渣)などが挙げられる。
第1材料は、例えば、植物由来の材料である。第1材料又はその原料としては、材料の観点では、スギ、ヒノキ、マツなどの針葉樹;ブナ、シイ、カエデなどの広葉樹;竹などのイネ科植物;その他の植物体(例えば、植物工場から排出される植物性廃棄物や残渣);リグノセルロース材料;人工的な材料(例えば、製紙工場から排出されるリグニン及び/又はセルロースを含有する廃棄物や残渣)などが挙げられる。
第1材料又はその原料としては、形態の観点では、特に限定されないが、木粉、木材チップ、おがくず、植物の茎や葉、花、植物由来の廃棄物や残渣などが挙げられる。なお、第1材料として、単離されたリグニンやセルロース、高純度のリグニンやセルロース、又はこれらの混合物を使用してもよい。
第1材料又はその原料として、植物由来の廃棄物を使用することができる。これは、従来十分な再利用がされていなかった植物由来の資源を再利用でき、持続可能性に資する点で有利である。
(第1材料の最大粒径)
第1材料は、例えば原料を粉砕したり切り刻んだりふるいにかけたりすることにより、最大粒径が所望の範囲となるまで微細化及び/又は選別され得る。本明細書において、「最大粒径」とは、所定のサイズの正方形の細孔を有する網目状のふるいを用いて、ある粒子群から「ふるいを通過した粒子群」を選別した場合における、使用したふるいの細孔のサイズを意味する。すなわち、「ふるいを通過した粒子群」の最大粒径は、使用したふるいの細孔のサイズである。他の材料と混合される際の第1材料の最大粒径は、例えば50nm以上100mm以下である。第1材料の最大粒径が50nm未満である場合には、材料の粉砕の負担が過度に大きくなる可能性がある。第1材料の最大粒径が100mm超である場合には、製造される成形体の構成粒子間の隙間が大きくなり、成形体全体の強度が低下する可能性がある。第1材料の最大粒径は、好ましくは、100nm以上50mm以下、500nm以上10mm以下、1μm以上5mm以下、5μm以上4mm以下、10μm以上3mm以下、50μm以上2mm以下、100μm以上1mm以下、150μm以上500μm以下、又は200μm以上300μm以下である。なお、これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
第1材料は、例えば原料を粉砕したり切り刻んだりふるいにかけたりすることにより、最大粒径が所望の範囲となるまで微細化及び/又は選別され得る。本明細書において、「最大粒径」とは、所定のサイズの正方形の細孔を有する網目状のふるいを用いて、ある粒子群から「ふるいを通過した粒子群」を選別した場合における、使用したふるいの細孔のサイズを意味する。すなわち、「ふるいを通過した粒子群」の最大粒径は、使用したふるいの細孔のサイズである。他の材料と混合される際の第1材料の最大粒径は、例えば50nm以上100mm以下である。第1材料の最大粒径が50nm未満である場合には、材料の粉砕の負担が過度に大きくなる可能性がある。第1材料の最大粒径が100mm超である場合には、製造される成形体の構成粒子間の隙間が大きくなり、成形体全体の強度が低下する可能性がある。第1材料の最大粒径は、好ましくは、100nm以上50mm以下、500nm以上10mm以下、1μm以上5mm以下、5μm以上4mm以下、10μm以上3mm以下、50μm以上2mm以下、100μm以上1mm以下、150μm以上500μm以下、又は200μm以上300μm以下である。なお、これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
(第1材料の添加量)
混合する材料の全量を100質量部とした場合に、第1材料の添加量は、例えば10質量部以上99質量部以下である。第1材料の添加量が10質量部未満である場合には、製造される成形体に含まれるリグニン又はセルロースの量が不足し、十分な強度が得られない可能性がある。第1材料の添加量が99質量部超である場合には、成形体の可燃性成分が多くなり、十分な耐火性が得られない可能性がある。混合する材料の全量を100質量部とした場合に、第1材料の添加量は、好ましくは、20質量部以上90質量部以下、30質量部以上80質量部以下、35質量部以上70質量部以下、又は40質量部以上60質量部以下である。なお、これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
混合する材料の全量を100質量部とした場合に、第1材料の添加量は、例えば10質量部以上99質量部以下である。第1材料の添加量が10質量部未満である場合には、製造される成形体に含まれるリグニン又はセルロースの量が不足し、十分な強度が得られない可能性がある。第1材料の添加量が99質量部超である場合には、成形体の可燃性成分が多くなり、十分な耐火性が得られない可能性がある。混合する材料の全量を100質量部とした場合に、第1材料の添加量は、好ましくは、20質量部以上90質量部以下、30質量部以上80質量部以下、35質量部以上70質量部以下、又は40質量部以上60質量部以下である。なお、これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
(1-b)無機固体材料
無機固体材料は、製造される成形体において、耐久性(例えば、耐火性や防虫性)を向上させる機能を有し得る。無機固体材料は、常温常圧で固体である任意の無機材料であってよい。
無機固体材料は、製造される成形体において、耐久性(例えば、耐火性や防虫性)を向上させる機能を有し得る。無機固体材料は、常温常圧で固体である任意の無機材料であってよい。
(無機固体材料の種類)
無機固体材料は、特に限定されないが、例えば、1種以上の鉱物、1種以上の金属、1種以上のセラミックス、1種以上のガラス、1種以上のスラグ、及び1種以上の焼却灰、並びにこれらの複合材料からなる群より選択された1以上である。
無機固体材料は、特に限定されないが、例えば、1種以上の鉱物、1種以上の金属、1種以上のセラミックス、1種以上のガラス、1種以上のスラグ、及び1種以上の焼却灰、並びにこれらの複合材料からなる群より選択された1以上である。
本明細書において、「鉱物」は、天然鉱物であってもよく、人工物又は生物由来の材料であってもよい。鉱物、又は鉱物の混合物若しくは複合体の例として、砂、礫、シルト、粘土、砂利、石、珪藻土などが挙げられる。
本明細書において、「金属」とは、単体金属及び合金を含む。金属の例として、材料の観点では、鉄、鋼、アルミニウム、銅、真鍮などが挙げられる。形態の観点では、鉄鋼や非鉄金属の破片、切削くず、研磨くず、空き缶、金属スクラップなどが挙げられる。
本明細書において、「セラミックス」とは、熱処理された無機物を意味する。セラミックスの例として、材料の観点では、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、金属元素を含まない無機材料(例えば、ダイヤモンド、シリコン、炭素繊維、炭化ケイ素、フラーレン、炭化ホウ素)などが挙げられる。形態の観点では、陶磁器の破片、レンガくず、タイルくず、石膏くずなどが挙げられる。
本明細書において、「ガラス」とは、少なくとも部分的に非晶質のケイ素酸化物を含む固体材料を意味する。ガラスの例として、材料の観点では、ソーダ石灰ガラス、石英ガラス、ケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラスなどが挙げられる。形態の観点では、ガラス製の容器や器具の破片、板ガラスの破片、ガラス繊維、ガラス粉などが挙げられる。
本明細書において、「スラグ」とは、鉱石から金属を製錬する際に生成される副産物を意味する。スラグの例として、高炉スラグ、製鋼スラグ、非鉄スラグなどが挙げられる。
本明細書において、「焼却灰」とは、物質を燃焼させた後に残存する粉末を意味する。焼却灰の例として、フライアッシュなどが挙げられる。
好ましくは、無機固体材料は、砂、砂利、石、珪藻土、金属くず、陶磁器くず、レンガくず、及びガラスくずからなる群より選択された1以上を含む。これらの材料は、入手が容易である点、従来十分に活用されていない点で有利である。
無機固体材料又はその原料として、建設材料などの廃棄物を使用することができる。このように資源を再利用できるので、コスト面でも、持続可能性に資する点でも有利である。
無機固体材料は、コンクリート瓦礫やコンクリートを粉砕又は破砕した破片や粉末を含んでもよい。逆に、無機固体材料は、コンクリート材料を含まなくてもよい。
(無機固体材料の最大粒径)
無機固体材料は、第1材料と同様に、例えば原料を粉砕したりふるいにかけたりすることにより、最大粒径が所望の範囲となるまで微細化及び/又は選別され得る。無機固体材料の最大粒径は、例えば50nm以上100mm以下である。無機固体材料の最大粒径が50nm未満である場合には、材料の粉砕の負担が過度に大きくなる可能性がある。無機固体材料の最大粒径が100mm超である場合には、製造される成形体の構成粒子間の隙間が大きくなり、成形体全体の強度が低下する可能性がある。無機固体材料の最大粒径は、好ましくは、100nm以上50mm以下、500nm以上10mm以下、1μm以上5mm以下、5μm以上4mm以下、10μm以上3mm以下、50μm以上2mm以下、100μm以上1mm以下、又は200μm以上500μm以下である。なお、これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
無機固体材料は、第1材料と同様に、例えば原料を粉砕したりふるいにかけたりすることにより、最大粒径が所望の範囲となるまで微細化及び/又は選別され得る。無機固体材料の最大粒径は、例えば50nm以上100mm以下である。無機固体材料の最大粒径が50nm未満である場合には、材料の粉砕の負担が過度に大きくなる可能性がある。無機固体材料の最大粒径が100mm超である場合には、製造される成形体の構成粒子間の隙間が大きくなり、成形体全体の強度が低下する可能性がある。無機固体材料の最大粒径は、好ましくは、100nm以上50mm以下、500nm以上10mm以下、1μm以上5mm以下、5μm以上4mm以下、10μm以上3mm以下、50μm以上2mm以下、100μm以上1mm以下、又は200μm以上500μm以下である。なお、これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
(無機固体材料の添加量)
混合する材料の全量を100質量部とした場合に、無機固体材料の添加量は、例えば10質量部以上80質量部以下である。無機固体材料の添加量が10質量部未満である場合には、成形体の可燃性成分が多くなり、十分な耐火性が得られない可能性がある。無機固体材料の添加量が80質量部超である場合には、製造される成形体に含まれるリグニン又はセルロースの量が不足し、十分な強度が得られない可能性がある。混合する材料の全量を100質量部とした場合に、無機固体材料の添加量は、好ましくは、20質量部以上70質量部以下、30質量部以上65質量部以下、又は40質量部以上60質量部以下である。なお、これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
混合する材料の全量を100質量部とした場合に、無機固体材料の添加量は、例えば10質量部以上80質量部以下である。無機固体材料の添加量が10質量部未満である場合には、成形体の可燃性成分が多くなり、十分な耐火性が得られない可能性がある。無機固体材料の添加量が80質量部超である場合には、製造される成形体に含まれるリグニン又はセルロースの量が不足し、十分な強度が得られない可能性がある。混合する材料の全量を100質量部とした場合に、無機固体材料の添加量は、好ましくは、20質量部以上70質量部以下、30質量部以上65質量部以下、又は40質量部以上60質量部以下である。なお、これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する第1材料と無機固体材料との合計が100質量部である場合において、第1材料の添加量は、例えば15質量部以上99質量部以下である。すなわち、無機固体材料の添加量は、例えば1質量部以上85質量部以下であり、第1材料と無機固体材料との質量比は、例えば15:85~99:1である。第1材料の添加量が15質量部未満(すなわち、無機固体材料の添加量が85質量部超)である場合には、成形体に含まれるリグニン又はセルロースの量が不足し、十分な強度が得られない可能性がある。第1材料の添加量が99質量部超(すなわち、無機固体材料の添加量が1質量部未満)である場合には、成形体の可燃性成分が多くなり、十分な耐火性が得られない可能性がある。また、成形体において、虫害やカビの繁殖に対する十分な耐性が得られない可能性がある。リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と無機固体材料との合計が100質量部である場合において、第1材料の添加量は、好ましくは、20質量部以上90質量部以下、30質量部以上80質量部以下、35質量部以上70質量部以下、40質量部以上60質量部以下、又は45質量部以上55質量部以下である。なお、これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
(1-c)塩基性材料
塩基性材料は、リグニン及び/又はセルロースと反応することにより、成形体の特性(例えば、強度や耐水性)を向上させる機能を有し得る。塩基性材料としては、特に限定されず、塩基として働く任意の材料を使用できる。
塩基性材料は、リグニン及び/又はセルロースと反応することにより、成形体の特性(例えば、強度や耐水性)を向上させる機能を有し得る。塩基性材料としては、特に限定されず、塩基として働く任意の材料を使用できる。
(塩基性材料の種類)
塩基性材料としては、固体(例えば粉体状のもの)又は液体状態の塩基性化合物や、塩基性化合物が溶解した溶液が使用可能である。好ましくは、塩基性材料は、塩基性溶液を含む。塩基性溶液を使用すると、塩基性材料を添加しやすく、均一なアルカリ反応を起こしやすく、塩基性材料が第1材料や無機固体材料の粒子の微細構造の内部まで行き渡りやすい、といった利点があり得る。
塩基性材料としては、固体(例えば粉体状のもの)又は液体状態の塩基性化合物や、塩基性化合物が溶解した溶液が使用可能である。好ましくは、塩基性材料は、塩基性溶液を含む。塩基性溶液を使用すると、塩基性材料を添加しやすく、均一なアルカリ反応を起こしやすく、塩基性材料が第1材料や無機固体材料の粒子の微細構造の内部まで行き渡りやすい、といった利点があり得る。
塩基性溶液としては、特に限定されないが、例えば、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化鉄、水酸化鉛、水酸化コバルト、水酸化クロム、水酸化ジルコニウム、水酸化ニッケル、及びアンモニアからなる群より選択された1以上の塩基の水溶液である。
塩基性材料又はその原料として、産業廃液などの廃棄物を使用することもできる。このように資源を再利用できるので、コスト面でも、持続可能性に資する点でも有利である。上記のとおり、第1材料及び無機固体材料も同様に廃棄物を原料とすることができるので、上記製造方法は、全体として廃棄材料を再利用することができる。
(塩基性溶液の濃度)
塩基性溶液における塩基の濃度は、例えば、1×10-4mol/L以上1mol/L以下である。塩基性溶液の濃度が1×10-4mol/L未満である場合には、リグニン又はセルロースと塩基性材料との反応が十分に進行せず、リグニン又はセルロースの接着性が不足することにより、成形体において十分な強度が得られない可能性がある。塩基性溶液の濃度が1mol/L超である場合には、塩基材料が過剰となり、経済性に劣る可能性がある。好ましくは、塩基性溶液における塩基の濃度は、5×10-4mol/L以上0.5mol/L以下、1×10-3mol/L以上0.1mol/L以下、又は5×10-3mol/L以上5×10-2mol/L以下である。なお、これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
塩基性溶液における塩基の濃度は、例えば、1×10-4mol/L以上1mol/L以下である。塩基性溶液の濃度が1×10-4mol/L未満である場合には、リグニン又はセルロースと塩基性材料との反応が十分に進行せず、リグニン又はセルロースの接着性が不足することにより、成形体において十分な強度が得られない可能性がある。塩基性溶液の濃度が1mol/L超である場合には、塩基材料が過剰となり、経済性に劣る可能性がある。好ましくは、塩基性溶液における塩基の濃度は、5×10-4mol/L以上0.5mol/L以下、1×10-3mol/L以上0.1mol/L以下、又は5×10-3mol/L以上5×10-2mol/L以下である。なお、これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
塩基性溶液のpH値は、特に限定されないが、例えば、8以上、9以上、10以上、11以上、12以上、13以上、又は14以上である。好ましくは、塩基性溶液のpH値は、13超である。
(塩基性溶液の添加量)
リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する第1材料の添加量が50質量部である場合において、塩基性材料の添加量は、例えば、1質量部以上50質量部以下である。塩基性材料の添加量が1質量部未満である場合には、リグニン又はセルロースと塩基性材料との反応が十分に進行せず、リグニン又はセルロースの接着性が不足することにより、成形体において十分な強度が得られない可能性がある。塩基性材料の添加量が50質量部超である場合には、塩基材料が過剰となり、経済性に劣る可能性がある。好ましくは、第1材料の添加量が50質量部である場合において、塩基性材料の添加量は、3質量部以上40質量部以下、5質量部以上30質量部以下、又は8質量部以上20質量部以下である。なお、これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する第1材料の添加量が50質量部である場合において、塩基性材料の添加量は、例えば、1質量部以上50質量部以下である。塩基性材料の添加量が1質量部未満である場合には、リグニン又はセルロースと塩基性材料との反応が十分に進行せず、リグニン又はセルロースの接着性が不足することにより、成形体において十分な強度が得られない可能性がある。塩基性材料の添加量が50質量部超である場合には、塩基材料が過剰となり、経済性に劣る可能性がある。好ましくは、第1材料の添加量が50質量部である場合において、塩基性材料の添加量は、3質量部以上40質量部以下、5質量部以上30質量部以下、又は8質量部以上20質量部以下である。なお、これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
(1-d)その他の成分
第1材料、無機固体材料、及び塩基性材料に加えて、その他の材料を添加してもよい。例えば、水、補強材料、接着剤、その他の任意の添加剤などを添加することができる。水の添加は、リグニン及び/又はセルロースと塩基性材料との反応を十分に進行させる観点から好ましい。補強材料の添加は、成形体の強度を増加させる観点から好ましい。補強材料としては、特に限定されないが、例えば、繊維材料、ガラスファイバ、プラスチック、繊維強化プラスチックなどが挙げられる。接着剤の添加は、成形体を構成する粒子同士の結合を強める観点から好ましい。接着剤としては、特に限定されないが、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤などが挙げられる。
第1材料、無機固体材料、及び塩基性材料に加えて、その他の材料を添加してもよい。例えば、水、補強材料、接着剤、その他の任意の添加剤などを添加することができる。水の添加は、リグニン及び/又はセルロースと塩基性材料との反応を十分に進行させる観点から好ましい。補強材料の添加は、成形体の強度を増加させる観点から好ましい。補強材料としては、特に限定されないが、例えば、繊維材料、ガラスファイバ、プラスチック、繊維強化プラスチックなどが挙げられる。接着剤の添加は、成形体を構成する粒子同士の結合を強める観点から好ましい。接着剤としては、特に限定されないが、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤などが挙げられる。
(2)混合物の調製
次いで、用意した各材料を混合する。材料を添加する順序は特に限定されない。全材料をまとめて混合してもよく、複数段階に分けて混合を行ってもよい。
次いで、用意した各材料を混合する。材料を添加する順序は特に限定されない。全材料をまとめて混合してもよく、複数段階に分けて混合を行ってもよい。
材料を混合する方法は、特に限定されない。例えば、混合方法として、手動でのかき混ぜ、乳鉢(手動又は自動)、ボールミル、遊星ミル、振動ミル、ローターミル、ハンマーミル、ディスパーミル、ミキサー、ホモジナイザーなどが挙げられる。
混合を行う条件は、特に限定されない。例えば、常温常圧において大気下で材料を混合することができるが、温度、圧力、雰囲気などは適宜設定してよい。
材料を混合することにより、上記の第1材料、無機固体材料、及び塩基性材料を含む混合物(組成物)が得られる。なお、この時点でリグニン及び/又はセルロースと塩基性材料との化学反応が開始していてもよく、開始していなくてもよい。
(3)混合物の加熱及び加圧
次いで、得られた混合物の加熱及び加圧を行う。例えば、得られた混合物を加熱しながら加圧することにより、熱圧縮成形体を製造することができる。加熱及び加圧は、例えば、混合物を入れた型枠をホットプレートなどの加熱装置で加熱しながら、型枠内に圧力を加えることにより行うことができる。加熱及び加圧をいわゆるホットプレス装置によって行うこともでき、その他任意の手法が使用可能である。
次いで、得られた混合物の加熱及び加圧を行う。例えば、得られた混合物を加熱しながら加圧することにより、熱圧縮成形体を製造することができる。加熱及び加圧は、例えば、混合物を入れた型枠をホットプレートなどの加熱装置で加熱しながら、型枠内に圧力を加えることにより行うことができる。加熱及び加圧をいわゆるホットプレス装置によって行うこともでき、その他任意の手法が使用可能である。
(成形温度)
混合物は、例えば、160℃以上240℃以下の温度(成形温度)で加圧される。成形温度が160℃未満である場合には、リグニン又はセルロースの接着性が不足して、成形体において十分な強度が得られない可能性がある。成形温度が240℃超である場合には、リグニン又はセルロースを含む第1材料が炭化する可能性がある。好ましくは、加熱温度は、165℃以上220℃以下、170℃以上200℃以下、又は175℃以上190℃以下である。なお、これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
混合物は、例えば、160℃以上240℃以下の温度(成形温度)で加圧される。成形温度が160℃未満である場合には、リグニン又はセルロースの接着性が不足して、成形体において十分な強度が得られない可能性がある。成形温度が240℃超である場合には、リグニン又はセルロースを含む第1材料が炭化する可能性がある。好ましくは、加熱温度は、165℃以上220℃以下、170℃以上200℃以下、又は175℃以上190℃以下である。なお、これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
(成形圧力)
混合物は、例えば、0.1MPa以上の圧力(成形圧力)で加圧される。成形圧力が0.1MPa未満である場合には、得られる成形体において十分な強度が得られない可能性がある。好ましくは、成形圧力は、1MPa以上100MPa以下、5MPa以上90MPa以下、10MPa以上80MPa以下、20MPa以上70MPa以下、又は30MPa以上60MPa以下である。なお、これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。圧力は、任意の方法で印加されてよい。例えば、上記圧力は、反応容器内の雰囲気圧であってもよく、外部からプレス圧を加えること又は同じもしくは異なる大きさの雰囲気圧及びプレス圧の両方を同時に用いることにより印加されてもよい。
混合物は、例えば、0.1MPa以上の圧力(成形圧力)で加圧される。成形圧力が0.1MPa未満である場合には、得られる成形体において十分な強度が得られない可能性がある。好ましくは、成形圧力は、1MPa以上100MPa以下、5MPa以上90MPa以下、10MPa以上80MPa以下、20MPa以上70MPa以下、又は30MPa以上60MPa以下である。なお、これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。圧力は、任意の方法で印加されてよい。例えば、上記圧力は、反応容器内の雰囲気圧であってもよく、外部からプレス圧を加えること又は同じもしくは異なる大きさの雰囲気圧及びプレス圧の両方を同時に用いることにより印加されてもよい。
(成形時間)
混合物は、例えば、上記の成形温度において10秒以上の時間(成形時間)だけ加圧される。成形時間が10秒未満である場合には、得られる成形体において十分な強度が得られない可能性がある。好ましくは、成形時間は、30秒以上1時間以下、1分以上30分以下、又は5分以上10分以下である。なお、これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
混合物は、例えば、上記の成形温度において10秒以上の時間(成形時間)だけ加圧される。成形時間が10秒未満である場合には、得られる成形体において十分な強度が得られない可能性がある。好ましくは、成形時間は、30秒以上1時間以下、1分以上30分以下、又は5分以上10分以下である。なお、これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
(成形体への追加処理)
得られた成形体は、任意の方法により強度を向上させてもよい。例えば、上記の製造方法は、成形体をプレスするステップ、成形体に対してさらに加熱処理を行うステップ、成形体に対して二酸化炭素ガスを吹き付けるステップなどを含んでもよい。
得られた成形体は、任意の方法により強度を向上させてもよい。例えば、上記の製造方法は、成形体をプレスするステップ、成形体に対してさらに加熱処理を行うステップ、成形体に対して二酸化炭素ガスを吹き付けるステップなどを含んでもよい。
<成形体>
本発明の一実施形態によれば、上記製造方法によって製造された成形体が提供される。
本発明の一実施形態によれば、上記製造方法によって製造された成形体が提供される。
成形体は、例えば、リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、塩基性材料とを含む硬化体である。例えば、成形体に含まれるリグニン及び/又はセルロースの少なくとも一部は、塩基性材料との化学反応により変性されている。成形体は、部分的にコンクリート由来の材料を含んでもよいが、好ましくはコンクリート材料を含まない。
成形体に含まれる、リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と無機固体材料との合計が100質量部である場合において、成形体に含まれるリグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料の量は、例えば15質量部以上99質量部以下であり、好ましくは、20質量部以上90質量部以下、30質量部以上80質量部以下、35質量部以上70質量部以下、40質量部以上60質量部以下、又は45質量部以上55質量部以下である。なお、これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
成形体は、使用する原料、加圧時の成形温度、成形圧力、成形時間、加圧時に使用する型枠の大きさや形状などを適宜変更することにより、用途に応じて、任意の大きさ、形状、構造、密度、質量、強度、剛性、硬度、耐水性、耐熱性などを有するように成形される。
成形体は、任意の用途に使用可能であり、例えば、建設材料、建築物、家具、敷物、容器、インテリア雑貨、食器、又は装飾品の材料として使用可能である。建設材料として一般に使用されているコンクリートやモルタルの原料であるセメントの製造時には大量のCO2が発生するところ、本実施形態の成形体をコンクリート代替材料として使用すれば、セメントが不要となるので、CO2の排出を削減することができる。また、セメントの主原料である石灰石の可採年数は、我が国では数十年~百数十年程度と見積もられており、資源の枯渇が懸念されている。本実施形態の成形体をコンクリート代替材料として使用すれば、廃棄物の再利用の点から見ても、資源の持続可能な活用に資することができる。
一般に、コンクリートを使用しない又はコンクリートの含有量が少ない代替建設材料には、強度に劣るものが多い。このようなコンクリート代替建設材料の強度向上が求められている。本実施形態の成形体は、塩基性材料を使用せずに製造した場合に比べて、より大きい3点曲げ強度を示し得る。これは、後述の実施例において実証される。
成形体は、例えば、5MPa以上の3点曲げ強度を有する。この3点曲げ強度の値は、JIS A 5371:2016に規定されるインターロッキングブロックの車道用舗装の曲げ強度の基準である。本明細書において、3点曲げ強度は、JIS A 1509-4:2014に準拠して実施された3点曲げ強度試験により測定される。好ましくは、成形体の3点曲げ強度は、6MPa以上、7MPa以上、8MPa以上、9MPa以上、又は10MPa以上であり、50MPa以下、30MPa以下、又は20MPa以下である。
本実施形態の成形体は、塩基性材料を使用せずに製造した場合に比べて、より高い耐水性を示し得る。例えば、塩基性材料を使用せずに製造した成形体は、水に浸漬すると崩壊し得るのに対し、塩基性材料を使用して製造した本実施形態の成形体では、そのような崩壊が抑制され得る。また、第1材料、無機固体材料、及び塩基性材料を使用して製造した成形体は、無機固体材料としてコンクリートを添加し、別途の塩基性材料を使用しなかった成形体(コンクリートは無機固体材料であると同時に塩基性材料でもあり得るので、この成形体は、第1材料及び無機固体材料から製造した成形体とも言えるし、第1材料及び塩基性材料から製造した成形体とも言える。)に比べて、水に曝された場合の吸水量及び/又は吸水による体積膨張が抑制され得る。これは、後述の実施例において実証される。
<構造物の処理方法>
本発明の一実施形態によれば、リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、を含む構造物の処理方法であって、構造物に対して塩基性材料を添加することを含む方法が提供される。
本発明の一実施形態によれば、リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、を含む構造物の処理方法であって、構造物に対して塩基性材料を添加することを含む方法が提供される。
上記方法は、例えば、構造物を塩基性材料で処理することにより、構造物の特性を向上させる方法である。上記方法は、リグニン及び/又はセルロースと塩基性材料との反応によって成形体の特性が向上するという上記メカニズムに基づく。すなわち、リグニン及び/又はセルロースを含む構造物に対して、上記の塩基性材料を添加することにより、構造物の強度や耐水性などの特性を向上させることができる。上記方法は、構造物の強度や耐水性を向上させることにより、構造物を補強することができる。本明細書において、「補強」とは、対象物の物理的強度、経年劣化などの内的要因に対する耐性、及び/又は、他の物質や物理的条件などの外的要因に対する耐性を向上させることを意味する。
上記方法の対象である構造物は、上記の材料を含む点を除き、大きさ、形状、構造、特性などは特に限定されない。上記方法で使用される塩基性材料としては、上記の塩基性材料が使用可能である。構造物に含まれる、リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料の量が50質量部である場合において、塩基性材料の添加量は、例えば、1質量部以上50質量部以下である。好ましくは、塩基性材料の添加量は、3質量部以上40質量部以下、5質量部以上30質量部以下、又は8質量部以上20質量部以下である。なお、これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
上記方法は、構造物全体を処理するため、又は構造物の一部のみを処理するために使用可能である。上記方法により、例えば、構造物の3点曲げ強度が増加し得る。
<組成物の製造方法>
本発明の一実施形態によれば、組成物の製造方法であって、(1)リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、塩基性材料とをそれぞれ用意することと、(2)リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、塩基性材料とを混合することと、を含む方法が提供される。この方法により、成形体の材料として使用される組成物が製造され得る。
本発明の一実施形態によれば、組成物の製造方法であって、(1)リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、塩基性材料とをそれぞれ用意することと、(2)リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、塩基性材料とを混合することと、を含む方法が提供される。この方法により、成形体の材料として使用される組成物が製造され得る。
この組成物の製造方法は、上記の成形体の製造方法の一部(すなわち、ステップ(1)及び(2))を取り出したものと考えることができる。すなわち、組成物の製造方法におけるステップ(1)及び(2)は、上記の成形体の製造方法におけるステップ(1)及び(2)と同様である。
<組成物>
本発明の一実施形態によれば、上記方法により製造された組成物が提供される。組成物は、例えば、リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、塩基性材料とを含み、塩基性材料は、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化鉄、水酸化鉛、水酸化コバルト、水酸化クロム、水酸化ジルコニウム、水酸化ニッケル、及びアンモニアからなる群より選択された1以上の塩基を含む。
本発明の一実施形態によれば、上記方法により製造された組成物が提供される。組成物は、例えば、リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、塩基性材料とを含み、塩基性材料は、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化鉄、水酸化鉛、水酸化コバルト、水酸化クロム、水酸化ジルコニウム、水酸化ニッケル、及びアンモニアからなる群より選択された1以上の塩基を含む。
組成物は、加熱及び加圧を行うことにより、成形体に成形することができる。組成物の形態は特に限定されないが、例えば、加圧成形が容易である点で粉末状の混合物が有利である。
以下、本発明に係る実施例について説明する。これらの例は、本発明を限定するものではない。
[実施例1-1]
(原料組成物の製造)
第1材料の原料としてスギの木材チップを用意し、粉砕し、細孔のサイズが0.3mmのふるいにかけて、最大粒径0.3mmの第1材料を得た。無機固体材料の原料として砂を用意し、粉砕し、細孔のサイズが0.3mmのふるいにかけて、最大粒径0.3mmの無機固体材料を得た。得られた第1材料及び無機固体材料を、質量比1:1となるように混合した。塩基性化合物として水酸化カルシウムCa(OH)2を濃度5.0×10-4mol/Lとなるように水に溶解させ、塩基性溶液を用意した。第1材料及び無機固体材料の混合物100質量部(すなわち、50質量部の第1材料と50質量部の無機固体材料との混合物)に対して10質量部の塩基性溶液を添加し、混合した。これにより、粉末状の原料組成物を得た。
(原料組成物の製造)
第1材料の原料としてスギの木材チップを用意し、粉砕し、細孔のサイズが0.3mmのふるいにかけて、最大粒径0.3mmの第1材料を得た。無機固体材料の原料として砂を用意し、粉砕し、細孔のサイズが0.3mmのふるいにかけて、最大粒径0.3mmの無機固体材料を得た。得られた第1材料及び無機固体材料を、質量比1:1となるように混合した。塩基性化合物として水酸化カルシウムCa(OH)2を濃度5.0×10-4mol/Lとなるように水に溶解させ、塩基性溶液を用意した。第1材料及び無機固体材料の混合物100質量部(すなわち、50質量部の第1材料と50質量部の無機固体材料との混合物)に対して10質量部の塩基性溶液を添加し、混合した。これにより、粉末状の原料組成物を得た。
(成形体の製造)
熱圧縮成形機(小型熱プレス機H300-15、アズワン株式会社製)を用いて、原料組成物の熱圧縮を行った。ホットプレート上に成形用型枠を載置して180℃まで加熱した後、型枠内に原料組成物の粉末を投入した。熱圧縮成形機により、50MPaの圧力を乾燥粉末に印加した。5分間の圧力印加後、圧力を解放し、熱圧縮された原料組成物を脱型することにより、熱圧縮成形体を得た。得られた成形体の写真を図1に示す。
熱圧縮成形機(小型熱プレス機H300-15、アズワン株式会社製)を用いて、原料組成物の熱圧縮を行った。ホットプレート上に成形用型枠を載置して180℃まで加熱した後、型枠内に原料組成物の粉末を投入した。熱圧縮成形機により、50MPaの圧力を乾燥粉末に印加した。5分間の圧力印加後、圧力を解放し、熱圧縮された原料組成物を脱型することにより、熱圧縮成形体を得た。得られた成形体の写真を図1に示す。
[実施例1-2~実施例4-2]
(塩基の種類及び濃度の変更)
実施例1-2~実施例4-2では、下記の表1~表3に示すように、使用する塩基性化合物の種類及び濃度を実施例1-1から様々に変更した。具体的には、水酸化カルシウムに代えて水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸ナトリウムのいずれかを使用し、濃度を5.0×10-4mol/L~0.1mol/Lのいずれかとした。
(塩基の種類及び濃度の変更)
実施例1-2~実施例4-2では、下記の表1~表3に示すように、使用する塩基性化合物の種類及び濃度を実施例1-1から様々に変更した。具体的には、水酸化カルシウムに代えて水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸ナトリウムのいずれかを使用し、濃度を5.0×10-4mol/L~0.1mol/Lのいずれかとした。
[比較例1]
(塩基の不使用)
比較例1では、塩基性溶液を添加せず、木粉と砂との混合物を熱圧縮することによって成形体を得た。
(塩基の不使用)
比較例1では、塩基性溶液を添加せず、木粉と砂との混合物を熱圧縮することによって成形体を得た。
[比較例2]
(無機固体材料としてコンクリートを使用)
比較例2では、無機固体材料として砂の代わりに粉砕したコンクリート(最大粒径0.3mm)を使用し、塩基性溶液の代わりに10質量部の水を添加した点を除き、実施例1-1と同様にして成形体を得た。
(無機固体材料としてコンクリートを使用)
比較例2では、無機固体材料として砂の代わりに粉砕したコンクリート(最大粒径0.3mm)を使用し、塩基性溶液の代わりに10質量部の水を添加した点を除き、実施例1-1と同様にして成形体を得た。
[成形体の評価(1):曲げ強度]
得られた熱圧縮成形体に対して、3点曲げ試験を行い、曲げ強度を測定した。3点曲げ試験は、JIS A 1509-4:2014に準拠して実施した。下記の表1~表3に、測定された曲げ強度を示す。
得られた熱圧縮成形体に対して、3点曲げ試験を行い、曲げ強度を測定した。3点曲げ試験は、JIS A 1509-4:2014に準拠して実施した。下記の表1~表3に、測定された曲げ強度を示す。
表1~表3に示すように、すべての実施例の曲げ強度が、塩基性溶液を添加しなかった比較例1の曲げ強度を上回った。このように、木粉と砂との混合物の塩基処理によって、熱圧縮成形体の曲げ強度が向上することが確認された。
[成形体の評価(2):耐水性]
実施例1-2、実施例2-2、実施例2-8、並びに、比較例1及び比較例2で得られた熱圧縮成形体を、24時間水に浸した後、引き揚げた。比較例1を除き、浸漬実験の前後で成形体の厚さ及び質量の増加が確認された。「浸漬による厚さ増加率」として、浸漬前後の厚さの増分を浸漬前の厚さで割った値として算出した。「浸漬による質量増加率」として、浸漬前後の質量の増分を浸漬前の質量で割った値として算出した。比較例1は、水に浸漬すると成形体が崩壊してしまった。下記の表4に、結果を示す。
実施例1-2、実施例2-2、実施例2-8、並びに、比較例1及び比較例2で得られた熱圧縮成形体を、24時間水に浸した後、引き揚げた。比較例1を除き、浸漬実験の前後で成形体の厚さ及び質量の増加が確認された。「浸漬による厚さ増加率」として、浸漬前後の厚さの増分を浸漬前の厚さで割った値として算出した。「浸漬による質量増加率」として、浸漬前後の質量の増分を浸漬前の質量で割った値として算出した。比較例1は、水に浸漬すると成形体が崩壊してしまった。下記の表4に、結果を示す。
塩基性材料を使用しなかった比較例1では、水に浸漬した成形体が崩壊してしまった。これに対し、塩基性材料を使用した実施例1-2、実施例2-2、及び実施例2-8の成形体では、そのような崩壊が起こらず、比較例1より高い耐水性を有することが確認された。また、表4に示すように、無機固体材料として砂を使用した実施例1-2、実施例2-2、及び実施例2-8の浸漬による厚さ増加率及び質量増加率は、無機固体材料としてコンクリートを使用した比較例2と比較して小さかった。すなわち、実施例1-2、実施例2-2、及び実施例2-8は、比較例2に比べて水の吸収量が少なく、高い耐水性を有することが確認された。
[実施例5-1~実施例6-3]
(砂の最大粒径の変更)
実施例5-1~実施例6-3では、下記の表5に示すように、使用するふるいを変更することにより、無機固体材料(砂)の最大粒径を様々に変更した。実施例5-1~実施例5-3では、塩基性溶液として濃度1.0×10-3mol/Lの水酸化カルシウム水溶液を使用した。実施例6-1~実施例6-3では、塩基性溶液として濃度0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を使用した。
(砂の最大粒径の変更)
実施例5-1~実施例6-3では、下記の表5に示すように、使用するふるいを変更することにより、無機固体材料(砂)の最大粒径を様々に変更した。実施例5-1~実施例5-3では、塩基性溶液として濃度1.0×10-3mol/Lの水酸化カルシウム水溶液を使用した。実施例6-1~実施例6-3では、塩基性溶液として濃度0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を使用した。
表4に示すように、砂の最大粒径にかかわらず、実施例5-1~実施例6-3の曲げ強度は、JIS A 5371:2016に規定されるインターロッキングブロックの車道用舗装の曲げ強度の基準である5MPaを上回った。このように、様々な大きさの砂に対して十分な曲げ強度が得られることが確認された。
Claims (14)
- 成形体の製造方法であって、
リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、塩基性材料とをそれぞれ用意することと、
前記リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、前記無機固体材料と、前記塩基性材料との混合物を調製することと、
前記混合物の加熱及び加圧を行うことと、
を含む、方法。 - 前記リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料は、植物由来である、
請求項1に記載の方法。 - 前記無機固体材料は、1種以上の鉱物、1種以上の金属、1種以上のセラミックス、1種以上のガラス、1種以上のスラグ、及び1種以上の焼却灰、並びにこれらの複合材料からなる群より選択された1以上である、
請求項1又は2に記載の方法。 - 前記無機固体材料の最大粒径は、50nm以上10cm以下である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。 - 前記リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と前記無機固体材料との合計が100質量部である場合において、前記リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料の添加量は、15質量部以上99質量部以下である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。 - 前記塩基性材料は、塩基性溶液を含む、
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。 - 前記塩基性溶液は、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化鉄、水酸化鉛、水酸化コバルト、水酸化クロム、水酸化ジルコニウム、水酸化ニッケル、及びアンモニアからなる群より選択された1以上の塩基の水溶液である、
請求項6に記載の方法。 - 前記塩基性溶液における塩基の濃度は、1×10-4mol/L以上1mol/L以下である、
請求項6又は7に記載の方法。 - 前記リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料の添加量が50質量部である場合において、前記塩基性材料の添加量は、1質量部以上50質量部以下である、
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。 - 前記混合物は、160℃以上240℃以下の温度で加圧される、
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。 - 前記成形体の3点曲げ強度は、5MPa以上である、
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。 - リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、を含む構造物の処理方法であって、
前記構造物に対して塩基性材料を添加することを含む、方法。 - 組成物の製造方法であって、
リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、塩基性材料とをそれぞれ用意することと、
前記リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、前記無機固体材料と、前記塩基性材料とを混合することと、
を含む、方法。 - リグニン及びセルロースの少なくとも一方を含有する材料と、無機固体材料と、塩基性材料とを含み、
前記塩基性材料は、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化鉄、水酸化鉛、水酸化コバルト、水酸化クロム、水酸化ジルコニウム、水酸化ニッケル、及びアンモニアからなる群より選択された1以上の塩基を含む、
組成物。
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