JP2017178867A - 乳化組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含む乳化組成物で、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの安定性を向上させ、水相と油相とが分離を抑制させ、含有成分による凝集物を生じさせない乳化組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
(a)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、(b)リドカイン、(c)ジフェンヒドラミン及び/又はその塩酸塩、及び(d)カルメロースナトリウム、を含むことを特徴とする乳化組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、乳化組成物に関する。
従来、アトピー性皮膚炎、肌荒れ、湿疹等の皮膚疾患に対しては、副腎皮質ステロイド外用薬等の抗炎症剤を含む外用剤が用いられている。その外用剤に、更にリドカイン等の局所麻酔剤や塩酸ジフェンヒドラミン等の抗ヒスタミン剤を組み合わせることで、皮膚疾患の予防や治療をより効果的に行うことができる。
ここで、副腎皮質ステロイド外用薬の中でも、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル等のエステル系ステロイドは、貯蔵中に加水分解することから、非常に不安定な成分である。そのため、外用剤では、エステル系ステロイドを安定化させることが求められている。
例えば、特許文献1には、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(エステル系ステロイドの副腎皮質ステロイド外用薬)とリドカイン(局所麻酔剤)とを含む外用剤であって、この外用剤のpHを3〜7に調節することで、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを安定化する技術が開示されている。また、特許文献2には、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルと塩酸ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン剤)とを含む外用剤であって、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の安定化剤を加えることで、外用剤中の成分の分離安定性を改善する技術が開示されている。しかしながら、外用剤のpHを調節したり、外用剤にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の安定化剤を加えたりするだけでは、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの安定性に加えて、乳化組成物においての水相と油相との分離安定性を改善することや、含有成分の凝集物を生じさせないことについては、未だ改善の余地があった。
従って、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含む外用剤(特に乳化組成物)で、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの安定性に加えて、外用剤中の分離安定性を改善することや、含有成分の凝集物を生じさせないことは非常に重要である。
特開2001-72603号公報 特開2006-28123号公報
本発明は、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含む乳化組成物で、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの安定性を向上させた乳化組成物を提供することを目的とする。
本発明は、水相と油相の分離を抑制させた乳化組成物を提供することを目的とする。
本発明は、含有成分による凝集物を生じさせない乳化組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねていたところ、乳化組成物(乳化製剤)の分離安定性向上に特定の増粘剤(粘調剤)を配合することが、上記課題を解決する手段の一つとして見出した。
そして、本発明者は、乳化組成物に、増粘剤(粘調剤)の中でもカルメロースナトリウム(以下「CMC-Na」とも記す)を配合することで、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの安定性に加えて、乳化組成物中で水相と油相とが分離せず、更に含有成分による凝集物を生じさせないことを見出した。
本発明者は、更に、CMC-Naの中でも、特定の粘度を有するCMC-Naが、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの安定性をより向上させ、乳化組成物中で水相と油相との分離をより抑制させることも見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて完成したものであり、下記の実施形態を有するものである。
項1.
(a)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、(b)リドカイン、(c)ジフェンヒドラミン及び/又はその塩酸塩、及び(d)カルメロースナトリウム、を含むことを特徴とする乳化組成物。
項2.
前記(d)カルメロースナトリウムが、1重量%水溶液の粘度が500mPa・s以上を示すカルメロースナトリウムである、前記項1に記載の乳化組成物。
項3.
前記(d)カルメロースナトリウムの含有量が0.4重量%以上である、前記項1又は2に記載の乳化組成物。
項4.
(e) pH調節剤を含む、前記項1〜3のいずれかに記載の乳化組成物。
項5.
皮膚外用剤である、前記項1〜4のいずれかに記載の乳化組成物。
本発明の乳化組成物は、CMC-Naを含むことで、乳化組成物中のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの安定性がより優れている。
本発明の乳化組成物は、CMC-Naを含むことで、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、リドカイン、ジフェンヒドラミン及び/又はその塩酸塩等の成分による凝集物の発生を抑制することができる。
本発明の乳化組成物は、CMC-Naを含むことで、水相と油相との分離をより抑制させることができる。
本発明の乳化組成物は、CMC-Naを含むことで、乳化組成物にpH調節剤を用いる場合であっても、各成分の凝集物の発生を抑制することができる。
本発明の乳化組成物は、そのCMC-Naの中でも、特定の粘度(1重量%水溶液の粘度)を示すCMC-Naを含むことで、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの安定性がより優れており、水相と油相との分離をより抑制させることができる。
これらの効果は、乳化組成物(皮膚外用剤)の品質の向上に繋がる。
(1)乳化組成物
本発明の乳化組成物は、(a)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、(b)リドカイン、(c)ジフェンヒドラミン及び/又はその塩酸塩、及び(d)カルメロースナトリウムを含む。
以下、本発明の乳化組成物について説明する。
(a)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(11β, 17α, 21-Trihydroxy- 1,4-pregnadiene- 3,20-dione 21-acetate 17-valerate)(Prednisolone Valerate Acetate、別名:吉草酸酢酸プレドニゾロン)は、外用副腎皮質ホルモン剤であり、抗炎症作用、抗アレルギー作用、免疫抑制作用等、湿疹・皮膚炎群、痒疹群、虫さされ、乾癬、掌蹠膿疱症等に対する薬理作用を有する。
本発明の乳化組成物中のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの含有量は、適宜選定することができ、0.01〜2重量%程度が好ましく、0.1〜1重量%程度がより好ましい。
(b)リドカイン
リドカイン(Lidocaine)は、局所麻酔剤であり、第十六改正日本薬局方解説書(2011)に収載されているものを使用することができる。
本発明の乳化組成物中のリドカインの含有量は、適宜選定することができ、0.1〜5重量%程度が好ましく、1〜4重量%程度がより好ましい。
本発明の乳化組成物では、リドカインはリドカイン塩酸塩の形態で含まれていても良い。
(c)ジフェンヒドラミン及び/又はその塩酸塩
ジフェンヒドラミン(Diphenhydramine)及び/又はその塩酸塩(Diphenhydramine Hydrochloride)は、抗ヒスタミン剤(アレルギー性疾患外用治療剤)であり、第十六改正日本薬局方解説書(2011)に収載されているものを使用することができる。
本発明の乳化組成物中のジフェンヒドラミン及び/又はその塩酸塩の含有量は、適宜選定することができ、0.1〜5重量%程度が好ましく、0.5〜4重量%程度がより好ましい。
(d)カルメロースナトリウム
以下「CMC-Na」(Carmellose Sodium、Carboxymethyl cellulose Sodium)とも記す。
本発明の乳化組成物は、増粘剤(又は粘稠剤とも記す)の中でもCMC-Naを含むことで、皮膚外用剤としての品質を向上させることができる。
本発明の乳化組成物では、増粘剤として、CMC-Naを含む。CMC-Naは、冷水や熱水に溶解し、無色透明の粘稠な溶液となり、乳化組成物(クリーム等)の医薬品や化粧料では、通常、液体の粘性を高めるために添加される。CMC-Naは、第十六改正日本薬局方解説書(2011)に収載されているものを使用することができる。
CMC-Naとよく似た物質名として、「結晶セルロース・CMC-Na」が存在する。この成分は結晶セルロースが主体で水に溶解されず白濁し、これを用いても十分な粘性も得ることができない。よって、結晶セルロース・CMC-Naは、その機能・作用的に、CMC-Naとは異なる成分である。
本発明の乳化組成物は、CMC-Naを含むことで、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの安定性を向上させることができ(成分安定性)、更に、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、リドカイン、ジフェンヒドラミン及び/又はその塩酸塩、その他添加物による凝集物の発生を抑制することができる(均一分散性又は成分均一性)。本発明の乳化組成物は、CMC-Naを含むことで、更に水相と油相との分離を抑制することができる(製剤安定性又は分離抑制)。
従来、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含む乳化組成物で、pH調節にクエン酸、リン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸等の酸を用いると、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルは安定化する発明があったが、それだけでは、乳化組成物内では安定に残存できず、更に水相と油相とが分離する傾向があった。
本発明の乳化組成物は、CMC-Naを含むことで、乳化組成物のpH調節にクエン酸、リン酸等の酸(pH調節剤)を用いる場合であっても、乳化組成物中で各成分による凝集物の発生が抑制されると共に、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルは安定に残存し、水相と油相とは分離せず、乳化状態(エマルジョン)を長期に亘って安定に維持することが可能となる。
CMC-Naの粘度
CMC-Naとして、その1重量%水溶液の粘度が500mPa・s程度以上を示すCMC-Naを用いることが好ましい。
CMC-Naの1重量%水溶液の粘度は、水中にCMC-Naを均一に分散・溶解させた後、30分間25℃±0.2℃の恒温槽に入れ、BM型粘度計の適当なローターにて測定する。回転数は、トルクを確認し、装置の適切な条件となる30rpm〜60rpmに調節する。
ローターを回転させ、3分後の粘度の数値を読み取り、これをCMC-Naの1重量%水溶液の粘度として採用する。
本発明の乳化組成物は、そのCMC-Naの中でも、特定の粘度を示すCMC-Naを含むことで、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルをより安定化することができ、乳化組成物の水相と油相との分離をより抑制することができる。
CMC-Naのエーテル化度(置換度)
CMC(又はそのナトリウム塩であるCMC-Na)では、それを構成するセルロースの無水グルコース単位1個当たり、第一級又は第二級アルコール性の水酸基(OH基)が3個存在する。CMC(CMC-Na)中のカルボキシメチル基は、その水酸基に分布しており、1グルコース単位当たりのこの基でエーテル化されている水酸基の数をエーテル化度(又は置換度)という。CMC-Na(CMC)において、そのエーテル化度(置換度)は、理論的に3まで可能である。
CMC-Naのエーテル化度は、通常0.6〜1.5程度である。CMC-Naのエーテル化度は、乳化組成物中への溶解性が優れること、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの安定性を向上させること、含有成分による凝集物の発生を抑制すること、乳化組成物の水相と油相との分離を抑制すること等の理由から、0.6〜1が好ましい。
CMC-Naの含有量
本発明の乳化組成物中のCMC-Naの含有量(下限値)は、適宜選定することができ、上記理由から、0.1重量%程度以上が好ましく、0.4重量%程度以上がより好ましく、0.6重量%程度以上が更に好ましい。本発明の乳化組成物中のCMC-Naの含有量(上限値)は、3重量%程度以下が好ましく、1.5重量%程度以下がより好ましい。
(e) pH調節剤
本発明の乳化組成物では、pH調節剤を含むことが好ましい。
pH調節剤は、例えば医薬品添加物事典(2016)(薬事日報社)に収載されているものを使用することができ、通常医薬品に添加することができる有機酸及び/又は無機酸を含むことが好ましい。
無機酸として、リン酸、塩酸(希塩酸)等を含むことが好ましい。有機酸として、クエン酸(又はクエン酸水和物)、コハク酸、DL-リンゴ酸、酒石酸、乳酸、マレイン酸(フマル酸)等を含むことが好ましい。pH調節剤として、前記有機酸又は無機酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等の塩化合物を用いることも可能である。
pH調節剤として、前記有機酸及び無機酸、並びにそれらの塩化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の成分を含むことが好ましい。
本発明の乳化組成物中のpH調節剤の含有量は、乳化組成物のpHを調節するために、適宜選定することができ、適量添加すれば良い。
本発明の乳化組成物は、また、乳化組成物のpH調節に、例えばクエン酸、リン酸等の酸を用いる場合であっても、上記の通りCMC-Naを含むことで、乳化組成物中でプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルは安定に残存し、各成分による凝集物の発生を抑制することができる。
乳化組成物のpH
本発明の乳化組成物のpHは、特に限定されず、使用目的に応じて適宜設定すれば良い。乳化組成物を外用剤として皮膚に適用する場合には、弱酸性〜中性の範囲内のpHが好ましい。皮膚に対する低刺激性等の観点から、乳化組成物をpH4〜7に調節することが好ましく、pH4〜6.5に調節することがより好ましい。
また、乳化組成物中のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの安定性の観点から、乳化組成物をpH4〜6に調節することが好ましい。
(2)乳化組成物に配合するその他の成分
本発明の乳化組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、上記薬効成分に加えて、更に別の目的とする薬効成分を配合することも可能である。薬効成分としては、特に制限されないが、例えば、ステロイド剤、上記リドカイン以外の局所麻酔剤、上記プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル以外の抗炎症剤、殺菌剤、鎮痒剤、皮膚保護剤、血行促進成分、ビタミン類等を用いることが好ましい。
本発明の外用組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、更に必要に応じて界面活性剤(モノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等)、上記CMC-Na以外の増粘剤、安定剤(エデト酸ナトリウム等)、吸収促進剤、吸着剤、充填剤、酸化防止剤、防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル等)、乳化剤、可溶化剤、殺菌剤、保湿剤、香料、防臭剤、分散剤、顔料等を含有させても良い。
本発明の乳化組成物に含まれるCMC-Naには属しない成分として、増粘剤(粘稠剤)として、結晶セルロース・CMC-Na、HPMC、CVP、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム等がある。本発明の乳化組成物には、これらCMC-Na以外の増粘剤を、本発明の効果を妨げない範囲で、更に必要に応じて含有させても良い。
(3)外用組成物の調製方法
本発明の乳化組成物は、前記(a)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、(b)リドカイン、(c)ジフェンヒドラミン及び/又はその塩酸塩、及び(d)CMC-Na、を含み、好ましくはpH調節にクエン酸、リン酸等の酸を用いるものであれば、当業界の通常の方法に従って製造することができる。
乳化組成物の調製方法で使用される前記成分の種類、含有量、配合比等については前述と同様に説明される。
乳化組成物の調製では、まず、水相に配合することができる成分を混合し、70〜90℃程度の温度になるように加熱した後、ホモジナイザー、ホモミキサー、攪拌機等の混合機を用いて所定条件で混合することが好ましい。これにより、水性組成物を調製することができる。
また、別途、油相に配合することができる成分を混合し、70〜90℃程度の温度になるように加熱した後、ホモジナイザー、ホモミキサー、攪拌機等の混合機を用いて所定条件で混合することが好ましい。これにより、油性組成物を調製することができる。
次いで、それら水性組成物(水相)と油性組成物(油相)とを混合して、乳化することで乳化組成物を調製することができる。
(4)乳化組成物中のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル安定化方法
本発明の乳化組成物中のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの安定化方法は、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含む乳化組成物中に、CMC-Naを併存させることを特徴とする。
乳化組成物中の成分の種類、含有量、配合比等については前述と同様に説明される。
乳化組成物中のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの安定化方法は、前述の乳化組成物の調製方法に沿って、行うことができる。
本発明の安定化方法によれば、後述する実施例に示すように、乳化組成物に、増粘剤(粘稠剤)として、CMC-Naを添加することで、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの安定性を向上できる、つまりその残存率を高めることができる。
これは、上記説明の通り、乳化組成物のpH調節に、例えばクエン酸、リン酸等の酸(pH調節剤)を用いる場合であっても、CMC-Naを含むことで、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの安定性を向上させることに繋がる。
本発明の分散安定化方法によれば、更に、乳化組成物で水相と油相とが分離しないこと、水相でプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、リドカイン、ジフェンヒドラミン塩酸塩等の含有成分による凝集物の発生を抑えることが可能となる。
従って、本発明によれば、乳化組成物における含有成分の偏りを低減でき、効果のばらつき等を効果的に解消することができる。その結果、乳化組成物の外観も良好となる。本発明の乳化組成物は、乳化状態(エマルジョン)を長期に亘って安定に維持することが可能である。
本発明によれば、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル等の成分を含有する乳化組成物の品質を向上させることができる。
(5)乳化組成物の適用対象
本発明の外用組成物の適用対象は制限されないが、外用副腎皮質ホルモン剤であるプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルにより、抗炎症作用、抗アレルギー作用、免疫抑制作用等の薬理作用を示す態様であれば良い。
適用対象は、例えば皮膚(頭皮を含む)が好ましい。乳化組成物が皮膚に塗布等して適用されることを目的とする場合には、例えば化粧品、皮膚外用医薬部外品、皮膚外用医薬品等の皮膚に塗布等して適用される形態である限り制限されない。例えば軟膏状、クリーム状、ペースト状、ムース状、ゲル状、ゼリー状、懸濁液状、乳液状、液状等の各種所望の外用剤に適する形態とすることが好ましい。乳化組成物として、クリーム状外用剤が適している。
本発明の乳化組成物が、例えばヒトの皮膚に適用することによって使用される場合、外用組成物を皮膚に適用する量、回数は特に制限されない。例えば含有されるプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル等の生理活性物質の種類や濃度、使用者の年齢、性別、症状の程度、適用形態、期待される程度等に応じて、一日に一回〜数回の頻度で適当量を皮膚(特に症状が生じている部位)に適用することが好ましい。
本発明の乳化組成物は、CMC-Naを含むことで、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルがより安定して残存し、含有成分による凝集物の発生をより抑制することができる。本発明の乳化組成物は、CMC-Naを含むことで、水相と油相との分離をより抑制させることができる。これらの効果は、乳化組成物(皮膚外用剤)の品質の向上に繋がる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
(1)CMC-Naの詳細
第一工業製薬社製のセロゲンを使用した。
CMC-Na(1):粘度は1000 mPa・s以上であり、カルボキシメチル基のエーテル化度は0.6〜0.8である。
CMC-Na(2):粘度は500〜800 mPa・sであり、カルボキシメチル基のエーテル化度は0.6〜0.8である。
CMC-Na(3):粘度は350〜500 mPa・sであり、カルボキシメチル基のエーテル化度は0.6〜0.7である。
<CMC-Naの粘度(mPa・s)の説明>
水中にカルメロースナトリウム(CMC-Na)を均一に分散・溶解させた1重量%濃度の水溶液を、30分間25℃±0.2℃の恒温槽に入れ、BM型粘度計の適当なローターにて測定した。回転数は、トルクを確認し、装置の適切な条件となる30rpm〜60rpmに調節した。ローターを回転させ、3分後の粘度の数値を読み取り、これをCMC-Naの粘度(mPa・s)として採用した。
尚、表1では、比較例1に結晶セルロース・CMC-Naを使用している。この結晶セルロース・CMC-Naは、結晶セルロースが主体で水に溶解されず白濁し、十分な粘性も得ることができない成分である。結晶セルロース・CMC-Naは、本発明の乳化組成物で使用するCMC-Naとは異なる成分である。
(2)乳化組成物の調製
表1に記載する処方に従って、乳化組成物を調製した。
<表1の語句の説明>
1,3-BG:1,3-ブチレングリコール
結晶セルロース・CMC-Na:結晶セルロース・カルメロースナトリウム
HPMC:ヒドロキシプロピルメチルセルロース
CVP:カルボキシビニルポリマー
ニコチン酸アミド:ビタミンB3
酢酸トコフェロール:ビタミンE
IPMP:イソプロピルメチルフェノール(殺菌・抗菌成分)
POE硬化ヒマシ油:ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
<調製>
水相:まず、表に記載する各配合成分(1,3-BG、CMC-Na等)を夫々秤量し、水中で80℃にて加熱して混合し、均一に溶解し、水性組成物を調製した。
油相:次に、表に記載する各配合成分(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、リドカイン等)を夫々秤量し、80℃にて加熱して混合し、均一に溶解し、油性組成物を調製した。
水性組成物と油性組成物とを混合し、撹拌冷却中にジフェンヒドラミン塩酸塩、クエン酸、リン酸又はリンゴ酸を投入し、乳化組成物のpHを4〜6に調節した。
最終40℃以下に冷却して、乳化組成物を調製した。
乳化組成物はクリーム状であった。
(3)製剤安定性の評価
乳化組成物において製剤の分離の有無(分離安定性)を確認した。
評価基準は、次の通りである。
評価3:乳化組成物は、50℃加速条件下にて2ヶ月以上安定であった。
評価2:乳化組成物は、50℃加速条件下にて1ヶ月以上安定であった。
評価1:乳化組成物は、50℃加速条件下にて2週間以上安定であった。
評価0:乳化組成物は、50℃加速条件下にて2週間以内に、分離した。
評価1以上は許容範囲の態様であり、評価2以上は好ましい態様である。
(4)均一分散性の評価
乳化組成物が均一に分散されているか否か(凝集物の有無)を確認した。
評価基準は、次の通りである。
評価3:均一に溶解し、凝集物が全く確認されなかった。最終乳化組成物は均一である。
評価2:調製時に凝集物が存在するが、均一に溶解し、最終的に凝集物が確認されなかった。最終乳化組成物は均一である。
評価1:顕微鏡で凝集物が確認された。
評価0:目視で凝集物が確認された、もしくは均一に溶解しなかった。
評価1以上は許容範囲の態様であり、評価2以上は好ましい態様である。
(5)成分安定性の評価
乳化組成物においてプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの安定性を確認した。
評価基準は、次の通りである。
評価3:乳化組成物では、50℃加速条件化1ヶ月で、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの残存率が95%以上であった。
評価2:乳化組成物では、50℃加速条件化1ヶ月で、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの残存率が90%以上であった。
評価1:乳化組成物では、50℃加速条件化1ヶ月で、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの残存率が85%以上であった。
評価0:乳化組成物では、50℃加速条件化1ヶ月で、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの残存率が85%以下であった。
評価1以上は許容範囲の態様であり、評価2以上は好ましい態様である。
(6)乳化組成物の総合評価
上記乳化組成物の製剤安定性、均一分散性及び成分安定性を考慮した総合評価を示す。
◎:乳化組成物において、全てのスコアが3の場合である。
○:乳化組成物において、全てのスコアが1以上の場合である。
×:乳化組成物において、一つでもスコア0がある場合である。
Figure 2017178867
実施例と比較例とを対比する。
比較例で表される通り、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、リドカイン及びジフェンヒドラミン塩酸塩を含む乳化組成物に、増粘剤(粘稠剤)を添加しないことや、増粘剤(粘稠剤)として、結晶セルロース・CMC-Na、HPMC、CVP、キサンタンガム又はアルギン酸ナトリウムを添加することでは、水相と油相とが分離したり、乳化組成物中に含有成分による凝集物が生じたり、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルが不安定であったり等の結果であった。
一方、本発明の実施例で表される通り、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、リドカイン及びジフェンヒドラミン塩酸塩を含む乳化組成物に、増粘剤(粘稠剤)として、CMC-Naを添加することで、水相と油相とは分離せず(製剤安定性)、乳化組成物中に含有成分の凝集物は確認されず(均一分散性)、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルは安定に残存した(成分安定性)。
実施例で表される通り、乳化組成物のpH調節にクエン酸やリン酸の酸を用いても、増粘剤としてCMC-Naを含むことで、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルは安定に残存し、各成分の凝集物は確認されず、水相と油相とは分離しなかった。
実施例2〜9で表される通り、乳化組成物中に、特にCMC-Naが0.4重量%以上含有されることで、製剤安定性及び成分安定性がより向上した。
実施例3、4、6〜9で表される通り、乳化組成物に添加するCMC-Naとして、特に1重量%水溶液の粘度が500mPa・s程度以上を示すCMC-Naを使用することで、製剤安定性及び成分安定性がより向上した。
これらの本発明の乳化組成物により奏される効果は、皮膚外用剤としての品質の向上に繋がる。

Claims (5)

  1. (a)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、(b)リドカイン、(c)ジフェンヒドラミン及び/又はその塩酸塩、及び(d)カルメロースナトリウム、を含むことを特徴とする乳化組成物。
  2. 前記(d)カルメロースナトリウムが、1重量%水溶液の粘度が500mPa・s以上を示すカルメロースナトリウムである、請求項1に記載の乳化組成物。
  3. 前記(d)カルメロースナトリウムの含有量が0.4重量%以上である、請求項1又は2に記載の乳化組成物。
  4. (e) pH調節剤を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の乳化組成物。
  5. 皮膚外用剤である、請求項1〜4のいずれかに記載の乳化組成物。
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