JP2017177605A - 筆記具 - Google Patents

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和広 村上
Kazuhiro Murakami
和広 村上
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Abstract

【課題】筆記時における筆圧の力を減少させ、ペン先に掛かる負担と手に掛かる負担とを軽減させると共に、使用者が視覚的にもその機能が働いた状況を認識することが可能であると共に、弾性体の弾性変形による筆記感の変化が使用者にダイレクトに伝わることのない筆記具を得る。【解決手段】軸筒2の内部に、前方にペン先31を有した筆記体3が配設され、軸筒2と筆記体3との間にゲル状弾性体9が配設され、軸筒2にゲル状弾性体9を視認する透明部22dが形成され、筆記時における筆記体3の後退により圧縮されたゲル状弾性体9を軸筒2の内面22aに密着させ、透明部22dより、ゲル状弾性体9が軸筒2に密着した状態を視認することができる構造の筆記具1とする。【選択図】図5

Description

本発明は、軸筒の内部に、前方にペン先を有した筆記体が配設された筆記具に関する。
従来より、筆記具では、書き心地の良さが重要視されており、書き心地の一つとして、筆圧による疲労の軽減が考えられている。
例えば、特許文献1及び特許文献2には、インキタンクと軸筒との間に弾性体を配設して、使用者の手に伝わる力を軽減させる構造が提案されている。前記両文献に記載されたボールペンによれば、使用者が強い力でペン先を紙面に接触させた場合でも、弾性体がその力を軽減させることが可能となる。
尚、前記特許文献1に記載のボールペンでは、インキタンク(芯)と軸筒後部に装着されたキャップとの間にコイルスプリング(バネ)を配設してある。このコイルスプリングを弾性体として用いた場合には、筆記時における筆圧の変化が、ペン先の前後動や手に伝わる感触につながっていた。
また、前記特許文献2に記載のボールペンでは、インキタンク(芯部)と軸筒後部に装着されたキャップとの間にゴムを配設してある。このゴムを弾性体として用いた場合には、筆記時における筆圧の変化が、前記特許文献1のボールペンと同様、ペン先の前後動や手に伝わる感触につながっていた。
ところで、前記特許文献1及び前記特許文献2に記載されているように、インキタンクと軸筒との間に弾性体を配設したボールペン構造では、書き味を変化させると共に、ペン先に掛かる筆圧の反力を、弾性体へ逃がすことができることから、ペン先の摩耗が軽減できるという効果を得ることも可能であった。
しかしながら、前記両文献に記載されたボールペンでは、弾性体の変形により得られる効果が、書き味やペン先の耐久性の向上といった機能的なことだけであり、手に伝わる感触だけで弾性体の反応を認識するだけの構造であり、使用者がその反応を見ることはできなかった。
尚、軸筒を透明にして、弾性体であるコイルスプリングを見せることにより、コイルスプリングの弾性変形を視覚的に使用者へ伝えようとする場合には、弾発力を弱くしてコイルスプリングのピッチの変化を生じさせる必要があり、結果的に、筆記感を悪くしてしまう虞があった。また、弾性体をゴムとした場合には、コイルスプリングほどには見えやすい変化が生じないことから、使用者がそれを視認することは困難であった。
また、前記両文献に記載されたボールペンでは、弾性体としてコイルスプリングあるいはゴムを採用することから、筆記時における筆圧の変化が、瞬時にペン先の前後動や手に伝わる感触につながってしまい、そのダイレクトな反応が好まれない場合もあった。
実開昭49−46827号公報 実開昭48−11931号公報
本発明はこうした事実に鑑み、筆記時における筆圧の力を減少させ、ペン先に掛かる負担と手に掛かる負担とを軽減させると共に、使用者が視覚的にもその機能が働いた状況を認識することが可能であり、弾性体の弾性変形による筆記感の変化が使用者にダイレクトに伝わることのない筆記具を得ることを目的とした。
本発明は、
「軸筒の内部に、前方にペン先を有した筆記体が配設され、前記軸筒と前記筆記体との間にゲル状弾性体が配設され、前記軸筒に前記ゲル状弾性体を視認する透明部が形成され、筆記時における前記筆記体の後退により圧縮された前記ゲル状弾性体を前記軸筒の内面に密着させ、前記透明部より、該ゲル状弾性体が該軸筒に密着した状態を視認することができる構造の筆記具。」である。
筆記時に使用者が受ける筆圧の反力は、軸筒と筆記体との間に配設されたゲル状弾性体によって軽減され、その際の筆圧の変化による反応は、ゲルの特性により緩やかなものとなる。
また、ゲル状弾性体は、軸筒の内面に密着するよう圧縮されることで、その前後に設けられた部材と軸筒の内面との隙間に入り込むように伸び広がり、さらには軸筒の透明部で生じた光の屈折作用によって、ゲル状弾性体が密着した状態を、より顕著に認識することも可能となる。
本発明によれば、筆記時に使用者が受ける筆圧の反力は、筆記体の後方に配設されたゲル状弾性体によって軽減され、その際の筆圧の変化による反応は、ゲルの特性により緩やかなものとなり、また筆記時における筆記体の後退によりゲル状弾性体が圧縮されて軸筒の内面に当接することで、透明部よりその変化を視覚的に認識することができる筆記具を得ることができた。
本実施例のボールペンの縦断面図である。 本実施例のボールペンを分解した状態を示す図である。 本実施例のボールペンにおけるカム動作を模式的に示した図であり、図3Aはペン先が没入した状態で、図3Bはペン先が突出した状態である。 本実施例のボールペンにおけるペン先を突出させた状態を示す縦断面図である。 本実施例のボールペンの筆記状態における縦断面図である。
以下、図面を参照して本実施例のボールペンについて説明をする。本実施例では、ノック式のボールペンについて説明を行うが、本発明は以下のボールペンに限定されるものではなく、万年筆やマーキングペンあるいはシャープペンシルに採用することもできる。
本施例では、ペン先がある方を前方と表現し、その反対側を後方と表現する。尚、説明を分かりやすくするために、図面中の同様の部材、同様の部分については同じ符号を付してある。
図1は本実施例のボールペンの縦断面図である。図2は本実施例のボールペンを分解した状態を示す図である。ボールペン1は、前軸21と後軸22とを螺合した軸筒2の内部に、前方にペン先31を有した筆記体3を配設し、軸筒2の前方に配したコイルスプリング4により筆記体3を後方へ向かって弾発してある。コイルスプリング4は、筆記体3のインキ(不図示)を収容したインキタンク32の前端部32aと、前軸21の内面に形成した内段21aとに係止されており、後述する回転カム機構部5を作動させ、筆記体3がコイルスプリング4を圧縮しながら前進することで、前軸21の前端に形成した先端開口部21bからペン先31を突出させることができる。
筆記体3のインキタンク32の後端には、尾栓33の前方小径部33aを挿着してあり、前方小径部33aに形成したスリット33bとインキタンク32の側面に設けた孔部32bとの位置を合わせ、筆記によるインキ(不図示)の減少に伴い、インキタンク32の内部に空気が入るようにしてある。
また、尾栓33の後方には、後軸22の内径より若干小径の鍔部33cを形成してあり、インキタンク32の後端から突出させている。
本実施例のボールペン1は、軸筒2の後方に、ノック操作により作動する従来の前記回転カム機構部5が設けられている。回転カム機構部5は、後軸22の内面22aの円周上に等間隔で形成したカム溝22bと、後軸22の後端に形成した後端開口部22cから突出した筒状の固定カム6と、固定カム6の前方に配した筒状の回転カム7とで構成してある。
固定カム6は、先端に山形状の凹凸部6aを有し、外面には、カム溝22bに係合する複数の突起6bを、凹凸部6aの頂部6cに位置するよう円周上に等間隔で設けてある。
回転カム7の外周面には、カム溝22bに係合する複数のカム突起7aを有し、カム突起7aの後端に前記凹凸部6aに噛み合う傾斜面7bで構成した噛合部7cを設けてある。
尚、回転カム7の前方には、後軸22の内径より若干小径に形成した円板部材8を配設しており、該円板部材8と、尾栓33の後方に形成した後軸22の内径より若干小径の鍔部33cとの間に、円柱状のゲル状弾性体9を配設してある。
次に、図1〜図4を用いて、本実施例のボールペンのノック操作について説明を行う。 図3は、本実施例のボールペンにおけるカム動作を模式的に示した図であり、図3Aはペン先が没入した状態で、図3Bはペン先が突出した状態である。図4は、本実施例のボールペンにおけるペン先を突出させた状態を示す縦断面図である。
図3Aに示すように、本実施例のカム機構部5は、固定カム6の突起6b及び回転カム7のカム突起7aをカム溝22bに係合させた際、固定カム6の凹凸部6aの頂部6cが、噛合部7cの傾斜面7bの中間点に位置するようにしてある。
後軸22の後端開口部22cから突出した固定カム6のノック部6dを軸筒2の前方へ押動すると、固定カム6は、後軸22の内面22aに形成した深いカム溝221bと浅いカム溝222bに係合した突起6bに導かれて前進し、固定カム6に連接した回転カム7は、深いカム溝221bに係合したカム突起7aに導かれて前進する。
カム突起7aが、深いカム溝221bの先端に達して該カム溝から離脱すると、固定カム6の凹凸部6aの頂部6cは、回転カム7の噛合部7cの傾斜面7bの中間に位置する。この時、回転カム7は、筆記体3とゲル状弾性体9を介してコイルスプリング4で後方へ弾発された円板部材8に当接しているので、後方へ後退しようとして右側から左側に回転し(図において、噛合部7cの傾斜面7bが右下がりのため)、回転カム7の噛合部7cは固定カム6の凹凸部6aを滑って、カム突起7aの噛合部7cが浅いカム溝222bの先端の係止斜面223bに係止され、図4に示したように、先端開口部21bからペン先31を突出させた状態で維持することができる。
また再度、ノック部6dを軸筒2の前方へ押動することにより、カム突起7aの噛合部7cと浅いカム溝222bの係止斜面223bとの係止状態が解かれ、コイルスプリング4に弾発された回転カム7が後退しようとして右側から左側に回転し(図において、噛合部7cの傾斜面7bが右下がりのため)、回転カム7のカム突起7aが深いカム溝221bを後退して図3Aの状態となり、図1に示したように、先端開口部21bにペン先31が没入した状態となる。
尚、本実施例のゲル状弾性体9は、株式会社コスモ計器製コスモスーパーゲル(アスカー硬度:15度)にて成形してあり、回転カム7と該ゲル状弾性体9との間に配設した円板部材8は滑り性のよいフッ素樹脂で成形してある。したがって、コイルスプリング4の弾発力によりゲル状弾性体9が円板部材8に密着していても、回転カム7と円板部材8との摺動性はよく、回転カム7の回転動作は滑らかである。
また、本実施例の後軸22は、透明なポリカーボネートにて成形したことから、後軸22の全体が透明部22dであり、緑色に着色されたゲル状弾性体9を視認することができる。
次に、図1及び図4、図5を用いて、本実施例のボールペンを使用した状態について説明を行う。図5は、本実施例のボールペンの筆記状態における縦断面図である。
図1及び図4に示すように、ゲル状弾性体9は、筆記体3を介してコイルスプリング4で後方へ弾発された力では、後軸22の内面22aに密着するように圧縮されることはなく、図5に示すように、筆記時に紙面100にペン先31を押し当てて筆圧が掛かることで、筆記体3がゲル状弾性体9を圧縮し後軸22の内面22aに密着するようにしてある。
この時、使用者が受ける筆圧の反力は、筆記体3の後方に配設されたゲル状弾性体9によって軽減され、その際の筆圧の変化による反応は、ゲルの特性により緩やかなものとなった。また筆記時における筆記体3の後退によりゲル状弾性体9が圧縮されて後軸22の内面22aに当接することで、透明部22dよりその変化を視覚的に認識することができ、さらに本実施例では、図5に示すように、ゲル状弾性体9の前縁部9aは、尾栓33の鍔部33cと後軸22の内面22aとの隙間に入り込むように伸び広がり、ゲル状弾性体9の後縁部9bは、円板部材8と後軸22の内面22aとの隙間に入り込むように伸び広がるため、ゲル状弾性体9の前後方向の巾が広くなって、より見やすくなっている。さらに曲面で形成した後軸22の内面22aは、ゲル状弾性体9が密着することで、光の屈折作用によって、ゲル状弾性体9が後軸22の肉厚内部22cに存在するかのように見ることができた。
1…ボールペン、
2…軸筒、
21…前軸、21a…内段、21b…先端開口部、
22…後軸、22a…内面、22b…カム溝、22c…肉厚内部、
221b…深いカム溝、222b…浅いカム溝、223b…係止斜面、
22c…後端開口部、22d…透明部、
3…筆記体、
31…ペン先、
32…インキタンク、32a…前端部、32b…孔部、
33…尾栓、33a…前方小径部、33b…スリット、33c…鍔部、
4…コイルスプリング、
5…回転カム機構部、
6…固定カム、
6a…凹凸部、6b…突起、6c…頂部、6d…ノック部、
7…回転カム、
7a…カム突起、7b…傾斜面、7c…噛合部、
8…円板部材、
9…ゲル状弾性体、
9a…前縁部、9b…後縁部、
100…紙面。

Claims (1)

  1. 軸筒の内部に、前方にペン先を有した筆記体が配設され、前記軸筒と前記筆記体との間にゲル状弾性体が配設され、前記軸筒に前記ゲル状弾性体を視認する透明部が形成され、筆記時における前記筆記体の後退により圧縮された前記ゲル状弾性体を前記軸筒の内面に密着させ、前記透明部より、該ゲル状弾性体が該軸筒に密着した状態を視認することができる構造の筆記具。
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