JP2017177220A - 荒地の製造方法 - Google Patents
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【解決手段】 体積が下型と上型の接触で形成されるキャビティの容積よりも3〜10%小さく、且つ、直径が、前記挿入口の直径よりも1〜10%小さい鍛造素材を準備し、鍛造素材の側面を下型により拘束し、鍛造素材の拘束されていない部分の素材高さを前記鍛造素材の直径の3.5倍以下とし、鍛造素材の拘束していない部分を上型により押圧することで、キャビティ内の、肉厚部分の直径が最大となる部分の周囲には、鍛造によって変形した鍛造素材が充満しない空隙部分が形成される熱間鍛造用金型を用いる荒地の製造方法。
【選択図】 図1
Description
このタービンブレードを製造するには、素材から鍛造用の荒地を製造し、その荒地を所定の形状に熱間鍛造する必要がある。例えば、特開2013−18018号公報(特許文献1)や特開2013−19294(特許文献2)には、丸棒状の素材の端面に肉厚部を成形した荒地を製造し、タービンブレードの形状とする発明が開示されている。
このプレス荷重が増加する傾向は、タービンブレード用の荒地に肉厚部を熱間鍛造により形成する場合にもあてはまるが、荒地を製造する場合に好適な熱間鍛造方法については、十分な検討がなされていないのが現状である。
本発明の目的は、長尺のタービンブレードを製造する場合に用いられる荒地の好適な製造方法であって、鍛造荷重を低減すると共に、予肉部分として除去される部分も低減可能な半密閉鍛造による荒地の製造方法を提供する。
すなわち本発明は、熱間鍛造温度に加熱した円柱状の鍛造素材を下型に設けられた挿入口内に挿入し、上型により押圧して次工程の荒地を成形する半密閉鍛造による荒地の製造方法において、前記鍛造素材として、体積が前記下型と上型の接触で形成されるキャビティの容積よりも3〜10%小さく、且つ、直径が、前記挿入口の直径よりも1〜10%小さい鍛造素材を準備する鍛造素材準備工程と、前記下型に設けられた挿入口内に前記鍛造素材を挿入することにより、前記鍛造素材の側面を下型により拘束し、前記鍛造素材の拘束されていない部分の素材高さを前記鍛造素材の直径の3.5倍以下とする鍛造準備工程と、前記鍛造素材の拘束していない部分を上型により押圧することで、一端側に肉厚部分を有する棒状成形体の荒地とする熱間鍛造工程を含み、前記キャビティ内の、肉厚部分の直径が最大となる部分の周囲には、鍛造によって変形した鍛造素材が充満しない空隙部分が形成される熱間鍛造用金型を用いる荒地の製造方法である。
また本発明は、前記荒地としてNi基超耐熱合金またはTi合金を用いることができる。
さらに本発明は、前記荒地をタービンブレード用の荒地とするのが好適である。
また本発明においては、前記鍛造素材は、上型と下型とにより変形する部分が部分的に鍛造温度に加熱された鍛造素材を用いても良い。
<半密閉鍛造>
本発明の荒地の製造方法は、図1に示すように、熱間鍛造温度に加熱した円柱状の鍛造素材11を下型1に設けられた挿入口3内に挿入し、上型2により押圧して次工程の荒地を成形する半密閉鍛造によるものである。本発明で言う、半密閉鍛造とは、型彫り面を有する上型と下型とで所定の形状に成形する鍛造方法であるが、図1で示すように、金型の組合わせ自体は密閉(閉塞)鍛造と同じである。そして、上下の金型が密着したときにキャビティ内に鍛造素素材が充満されない部分を有するものであり、詳しくは後述する。
なお、半密閉鍛造の中には、図4に示すように、上型2と下型1とが接触する部分に、所謂“ばり道”21を設けておき、鍛造後の鍛造材にばりだまりが形成されるものがあるが、本発明の半密閉鍛造は、ばり道を設けて、“ばりだまり”を形成するものは本発明の対象外である。これは、上述したように、本発明においては、除去されるばりを発生させないようにするためのものだからである。更には、ばりを発生させようとすると、鍛造荷重が大きくなる。また、図5に示すように、上型2と下型1とが密着しないようなものも本発明の対象外である。これは、上型と下型とが密着しない鍛造方法では、肉厚部分の形状が不安定になるためである。また、本発明で得られる荒地を予備成形体として、更に所望の形状に熱間鍛造を施しても差し支えない。
本発明では、ばりの発生を防止すると共に、半密閉鍛造後の荒地の形状をほぼ均一とするために、鍛造素材の体積と、上型と下型とが接触したときの金型内部の体積(キャビティ容積)との関係を厳密に管理する。具体的には、予め、キャビティ容積と、鍛造素材の体積とを計算により求め、キャビティ容積よりも3〜10%小さい体積であり、且つ、前記挿入口の直径よりも1〜10%小さい直径とした鍛造素材を準備する。
この鍛造素材の体積を、キャビティ容積よりも3〜10%小さい体積とすることで、金型内に加工後の肉厚部が充満するのを防止する。前記の鍛造素材の体積がキャビティ容積よりも3%未満の小さなものとすると、熱間鍛造時の荷重が高くなるおそれがある。一方、鍛造素材の体積がキャビティ容積よりも10%を超えて小さなものとすると、長尺のタービンブレードとするときに、荒地の体積が不足して欠肉を生じるおそれがある。好ましくは、鍛造素材の体積を金型内部の体積よりも4〜7%小さくすると良い。この範囲内であれば、鍛造荷重の低減効果を維持しつつ、長尺のタービンブレードとするときの欠肉もより確実に防止できる。
そして、本発明においては、鍛造素材の直径が、前記挿入口3の直径よりも1〜10%小さい直径とした円柱状の鍛造素材とする。なお、挿入口3が上側に緩やかに拡径する円錐台状の空間で形成されている場合は、その挿入口3の最小径の直径と比較すればよい。これは、鍛造素材の直径が下型に設けられた挿入口の直径よりも過度に小さくなると、挿入口に挿入した鍛造素材が斜めになったり、熱間鍛造中に挿入口内の鍛造素材が押圧よって変形したりして、所望の形状が得られないおそれがある。また、過度に鍛造素材の直径と下型に設けられた挿入口の直径とが近過ぎると、加熱した鍛造素材を挿入口に挿入する時間がかかり過ぎる場合がある。特に、難加工性材の熱間鍛造においては、熱間加工ができる温度範囲が狭いものもあり、適当な間隔が維持できるように、鍛造素材の直径を調整する必要がある。
なお、鍛造素材直径とは、下型の挿入口に挿入する時の直径を言う。そのため、鍛造素材ごと加熱する場合は、鍛造素材の熱膨張を考慮して所定の直径とするように機械加工により、丸棒に仕上げておくのが良い。
なお、座屈をより確実に防止するには、鍛造素材の拘束されていない部分の素材高さ(H)を鍛造素材の直径(D)の3.0倍以下とすることがよい。もし、3.0〜3.5倍の間の高さとなる鍛造素材を用いる場合には、最初の熱間鍛造により素材高さ(H)を鍛造素材の直径(D)のおおよそ3.0倍以下とする最初の熱間鍛造を行い、再度加熱を行って最終の熱間鍛造を行うと良い。
また、上型と下型とで前記キャビティを構成する部分は予熱しておいても良い。予熱の方法としては、ヒータ等の加熱手段で加熱する方法や、金型全体を加熱すると言った方法で良い。予熱する温度としては、上型や下型の材質にもよるが200〜500℃で十分である。
前述したように、鍛造素材の一部は下型によって側面が拘束されている。これを座屈しないように押圧する。具体的には、上記の鍛造素材の拘束していない部分を上型により押圧する。これにより、一端側に肉厚部分を有する棒状成形体の荒地12とする。荒地の形状は図3に示すものであり、上型の下方向に拡径する内側面の末端と、下型の上方向に拡径する内側面の末端とが一致する熱間鍛造によって、二つの円錐台の底面同士を接合したように膨らんだ部分を肉厚部分13と言う。
なお、Ni基超耐熱合金またはTi合金は難加工性材として知られるものである。これらを素材とする熱間鍛造は、上記のように3.0〜3.5倍のときには、3.0倍以下とするように、例えば、鍛造素材の拘束されていない部分の素材高さ(H)が3.0〜3.5倍の間の高さとなる鍛造素材を用いる場合に、1回目の熱間鍛造により、素材高さ(H)を鍛造素材の直径(D)の3.0倍以下とする熱間鍛造を行うこともできる。
そして、本発明の場合、図2(b)で示すように、空隙部分4がばり道とならない形状となっている。つまり、ばり道が図4に示すように、上型及び/または下型の外周側に突出するように形成されているのに対し、本発明の場合では、上型と下型とが接触する接触面の延長上に、キャビティの一部として空隙が残るようにして、上型と下型とで密閉されたプレス荷重低減領域とする。
また、本発明の製造法によれば、ばりの発生を防止するだけなく、予肉部分として除去される部分も低減することができる。これにより、高価な希少元素を多量に含む、Ni基超耐熱合金やTi合金などの素材の投入重量も抑制でき、経済的に有利とすることが可能となるだけでなく、特別な機械加工を行うことなく、次工程の素材として使用することができる。
直径が130mm、長さが1000mmのTi合金製の鍛造素材(本発明例)と、直径が130mm、長さが1080mmのTi合金製の鍛造素材(比較例)とを複数本用意した。このTi合金製の鍛造素材を950℃に加熱した。準備した熱間鍛造用の金型は、図1、2に示すようなものであり、そのうち本発明例は熱間鍛造による押圧終了時点で空隙が存在するようにし、比較例は満肉するようにした。
キャビティ容積は14335cm3であり、本発明例の鍛造素材は13273cm3とし、比較例は金型内体積と同じ体積のものである。また、下型に設けた挿入口の直径は133mmとした。キャビティ内を350℃に予熱した。
次に、下型に設けられた挿入口内に鍛造素材を挿入することにより、前記鍛造素材の側面を下型により拘束した。この時の鍛造素材の拘束されていない部分の素材高さ(H)と鍛造素材の直径(D)との関係は、本発明例がH/D=2.0、比較例がH/D=2.6であった。
そして、1500tonプレス機を用いて、鍛造素材の拘束されていない部分を上型により押圧することで、一端側に肉厚部分を有する棒状成形体の荒地とする熱間鍛造を行った。なお、本発明例については、前記肉厚部分の直径が最大となる部分で前記上型と下型とが接触する領域には、鍛造によって変形した鍛造素材が充満しない空隙部分が形成される熱間鍛造用金型とするものである。
その結果、本発明の熱間鍛造によれば最大鍛造荷重が900tonであるのに対し、比較例は金型内に鍛造素材が充満したことから1400tonとなった。得られた荒地は何れも図3に示すようなものであったが、鍛造荷重に大きな差が現れた。
また、本発明で規定する製造方法で得られた荒地は、ばりの発生もなく、予肉部分として除去する部分もほとんどなかった。そのため、特別な機械加工を行うことなく、次工程の素材として使用することができる形状であった。
以上のことから、高価な希少元素を多量に含む、難加工性材素材の投入重量も抑制でき、経済的に有利とすることが可能となるだけでなく、特別な機械加工を行うことなく、次工程の素材として使用することができることから、経済的に非常に有利であることが分かる。しかも、鍛造荷重も大きく低減でき、より大型のタービンブレード用の荒地作製に有効であることが確認された。
次に、本発明例として、部分加熱した鍛造素材にて荒地の成形を行った。部分加熱した以外は、上記実施例1の条件と同じとした。部分加熱は、上型と下型とにより変形する部分が鍛造温度に加熱されるように、鍛造素材のおおよそ半分程度を加熱炉に入材した。この部分加熱した鍛造素材を前記実施例1と同じ条件で熱間鍛造を行ったところ、鍛造時の最大鍛造荷重は900tonであった。これにより、部分加熱であっても低い鍛造荷重で成形することができることが明らかとなった。なお、得られた荒地は、ばりの発生もなく、予肉部分として除去する部分もほとんどなかった。そのため、特別な機械加工を行うことなく、次工程の素材として使用することができる形状であった。
2 上型
3 挿入口
4 空隙部分
11 鍛造素材
12 荒地
13 肉厚部分
21 ばり道
Claims (4)
- 熱間鍛造温度に加熱した円柱状の鍛造素材を下型に設けられた挿入口内に挿入し、上型により押圧して次工程の荒地を成形する半密閉鍛造による荒地の製造方法において、
前記鍛造素材として、体積が前記下型と上型の接触で形成されるキャビティの容積よりも3〜10%小さく、且つ、直径が、前記挿入口の直径よりも1〜10%小さい鍛造素材を準備する鍛造素材準備工程と、
前記下型に設けられた挿入口内に前記鍛造素材を挿入することにより、前記鍛造素材の側面を下型により拘束し、前記鍛造素材の拘束されていない部分の素材高さを前記鍛造素材の直径の3.5倍以下とする鍛造準備工程と、
前記鍛造素材の拘束していない部分を上型により押圧することで、一端側に肉厚部分を有する棒状成形体の荒地とする熱間鍛造工程を含み、
前記キャビティ内の、肉厚部分の直径が最大となる部分の周囲には、鍛造によって変形した鍛造素材が充満しない空隙部分が形成される熱間鍛造用金型を用いることを特徴とする荒地の製造方法。 - 前記荒地がNi基超耐熱合金またはTi合金であることを特徴とする請求項1に記載の荒地の製造方法。
- 前記荒地がタービンブレード用であることを特徴とする請求項1または2に記載の荒地の製造方法。
- 前記鍛造素材は、上型と下型とにより変形する部分が部分的に鍛造温度に加熱された鍛造素材を用いることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の荒地の製造方法。
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