JP2017176927A - 表面処理装置 - Google Patents
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Abstract
Description
図3に示す従来の表面処理装置は、設置された処理ローラ1の外周に沿って設けた処理チャンバ2とからなる。そして、上記処理ローラ1には処理対象となるフィルムFを接触させ、処理ローラ1の回転にともなってフィルムFが移動するようにしている。
また、上記処理チャンバ2は、金属製の一対の支持部3に樹脂製のカバー部4を連結して構成され、上記カバー部4の開口に処理ローラ1を臨ませている。このようなカバー部4を設けているのは、処理チャンバ2内で生成されるオゾンなどのガスを処理チャンバ2の外部に流出させないようにするためである。
また、処理チャンバ2の上記支持部3には、角管からなる排気管8が挟持されている。この排気管8は、処理チャンバ2と連通する図示しない排気孔を備えるとともに、吸気手段に接続され、上記処理チャンバ2内に生成したオゾンや反応ガスなどを破線の矢印のように排気するようにしている。
各放電電極5には、それぞれ同じ高電圧が印加されるので、放電電極5は全て同電位である。このような同電位の放電電極5が近接して設けられているため、放電は、隣接する放電電極5に向かって広がり難くなっている。そのため、上記放電エリアAの放電エネルギーの内、処理ローラ1に向かう以外の放電エネルギーは、上記放電エリアAの両端からのみ外側に広がって、ヒゲ部a1,a2が形成される。
このよう高温のヒゲ部a1,a2が形成されると、そこを通過する上記フィルムFが熱によって変質してしまうことがある。
例えば、フィルムFが、上記ヒゲ部a1,a2の温度よりも低いガラス転移点を有する材質の場合には、熱収縮して硬化してしまうし、融点が低い材質の場合には、溶けてしまうこともあった。
だからといって、高温になる上記ヒゲ部の生成を抑えるために、放電電極5への印加電圧を低めに設定した場合には、放電度が不足して、目的の処理ができないこともあった。
この発明の目的は、放電エネルギーによって処理対象であるフィルムや処理ローラが高温になりすぎることがなく、安定して目的の表面処理が実現できる表面処理装置を提供することである。
なお、この装置の処理対象であるフィルムは、上記処理ローラに接触し、その回転によって移動可能なものであれば、材質や厚みは限定されない。例えば、JIS規格で規定されている250〔μm〕以上の厚みのものも処理対象となる。
また、処理ローラや放電電極の熱膨張によって、放電条件が狂ってしまうことを防止でき、安定して目的の表面処理を実現できる。
この実施形態では、図1に示すように処理チャンバ2内に8本の棒状の放電電極5が設けられているが、これら8本の放電電極5が4本ずつ、第1,2の電極グループG1,G2に区分されている。
また、上記第1の電極グループG1と第2の電極グループG2との間には、一点鎖線で囲んだ空間Sが設けられている(図1,2参照)。つまり、電極ホルダー6は、その中央部に上記空間Sを保持して、この空間Sを挟んだ両側に上記第1,2の電極グループG1,G2を保持している。
なお、上記処理チャンバ2は、処理ローラ1にフィルムFを架け回す際に、処理ローラ1から退避可能に設けられている。
処理ローラ1に接触させたフィルムFを矢印方向に移動させながら、全ての放電電極5に高電圧を印加すると、放電電極5から処理ローラ1へ向かう電界によって放電が起こる。上記フィルムFの表面には、図2に示すように第1の電極グループG1による放電エリアBと第2の電極グループG2による放電エリアCとが形成される。
このようなヒゲ部b1,b2、c1,c2は、処理ローラ1へ向かう以外の放電エネルギーによるものであるが、第1電極グループG1と第2電極グループG2との間には、放電電極5が配置されていない空間Sが設けられているので、この空間Sに放電エネルギーが放出され、上記ヒゲ部b2及びc2が形成されることになる。
同様に、上記放電エリアCの両脇にも、ヒゲ部c1,c2が形成されるが、これらのヒゲ部c1,c2も第2の電極グループG2の4本の放電電極5によるもので、上記従来のヒゲ部a1,a2ほど高温にはならない。
また、処理ローラ1や放電電極5が熱膨張によって変形してしまったり、両者の間隔が狂ってしまったりすることもない。
放電電極5に高電圧を印加して、所定時間放電状態を維持した後に処理ローラ1の温度を測定したところ、従来装置では上記処理ローラ1が160〔℃〕になっていたのに対し、この実施形態の装置では130〔℃〕であった。
このように、この実施形態の装置によれば、処理ローラ1の温度上昇が抑えられることが分かった。このことから、上記ヒゲ部を含めた放電エリアB,Cの温度が従来よりも低くなっていることが想定できる。
なお、いずれの確認実験もフィルムFを設けず、処理ローラ1を回転させた状態で行なった。
さらに、処理ローラ1の温度上昇を抑えるために、処理ローラ1の直径を大きくすることも考えられるが、処理ローラ1の直径が大きくなれば、装置全体が大型化して、装置の設置個所の自由度がなくなるという問題も発生するが、この実施形態によれば、そのような問題もない。
また、処理ローラ1の周に沿って配置される放電電極の数は、フィルムFの材質や移動速度、目的の表面処理に応じた放電度などに基づいて設定すればよいし、電極グループの数も限定されない。
さらに、空間Sは、当該空間Sの両側に位置する電極グループからの放電エネルギーの放出が可能な大きさであればよい。
ただし、上記排気管8を、処理チャンバ2に対して重力方向下方に設ければ、空気よりも重いオゾンガスをより効率的に排気することができるというメリットはある。
また、この実施形態の表面処理装置の処理対象であるフィルムFは、上記処理ローラに接触し、その回転によって移動可能なものであれば、材質や厚みは限定されない。例えば、樹脂のほか、金属や紙なども処理可能である。
2 処理チャンバ
5 放電電極
B,C 放電エリア
F フィルム
G1 電極グループ
G2 電極グループ
S 空間
Claims (1)
- 接地された処理ローラに放電電極を対向させ、
上記処理ローラに接触して移動するフィルムの表面を上記放電電極による放電エネルギーによって処理する表面処理装置において、
上記フィルムの幅方向に長さを有する放電電極が処理ローラの周方向に複数配置され、
これら複数の放電電極のうち、上記周方向に隣り合う特定の複数の放電電極を一つの電極グループとした複数の電極グループが設けられるとともに、
上記電極グループ間に間隔が設けられ、
上記各電極グループの放電エネルギーであって、上記処理ローラに向かう放電エネルギー以外の放電エネルギーが上記間隔に放出される構成にした表面処理装置。
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