まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1は、パチンコ遊技機1を正面から見た正面図である。図2は、遊技盤を正面から見た正面図である。図3の(A)は普通入賞球装置の周辺の釘配列を示す図、(B)は(A)のA−A断面図である。尚、以下において、図1の手前側をパチンコ遊技機1の前方(前面、正面)側、奥側を背面(後方)側とし、パチンコ遊技機1を前面側から見たときの上下左右方向を基準として説明する。尚、本実施例におけるパチンコ遊技機1の前面とは、該パチンコ遊技機1にて遊技を行う遊技者と対向する対向面である。
図1は、本実施例におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(以下、遊技機と略記する場合がある)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤2(ゲージ盤ともいう)と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレール2bによって囲まれた正面視略円形状の遊技領域10が形成されている。この遊技領域10には、遊技媒体としての遊技球が打球発射装置(図示略)から発射されて打ち込まれる。また、遊技機用枠3には、ガラス窓50aを有するガラス扉枠50が左側辺を中心として回動可能に設けられ、該ガラス扉枠50により遊技領域10を開閉できるようになっており、ガラス扉枠50を閉鎖したときにガラス窓50aを通して遊技領域10を透視できるようになっている。
図1及び図2に示すように、遊技盤2は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂等の透明な合成樹脂板にて正面視略四角形状に形成され、前面である遊技盤面2aに障害釘200等が植設される盤面板2Aと、該盤面板2Aの背面側に一体的に取付けられるスペーサ部材2Bと、から構成されている。尚、本実施例では、遊技盤2は合成樹脂板から成る盤面板2Aにて構成されていたが、ベニヤ板等の非透光性部材にて構成され、前面である遊技盤面2aに複数の障害釘200やガイドレール2b等が設けられた盤面板にて構成されていてもよい。
図1に示すように、遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、遊技領域10の右側下部位置)には、第1特別図柄表示器4Aと、第2特別図柄表示器4Bとが設けられている。第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bはそれぞれ、変動表示ゲームの一例となる特図ゲームにおいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(特別識別情報)である特別図柄(「特図」ともいう)が、変動可能に表示(変動表示または可変表示ともいう)される。以下では、第1特別図柄表示器4Aにおいて変動表示される特別図柄を「第1特図」ともいい、第2特別図柄表示器4Bにおいて変動表示される特別図柄を「第2特図」ともいう。
遊技盤2における遊技領域10の中央付近には、演出表示装置5が設けられている。演出表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。演出表示装置5の表示領域では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示器4Aによる第1特図の変動表示や第2特別図柄表示器4Bによる第2特図の変動表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の変動表示部となる演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である演出図柄が変動表示される。この演出図柄の変動表示も、変動表示ゲームに含まれる。
このように、演出表示装置5の表示領域では、第1特別図柄表示器4Aにおける第1特図を用いた特図ゲーム、または、第2特別図柄表示器4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームと同期して、各々が識別可能な複数種類の演出図柄の変動表示を行い、変動表示結果となる確定演出図柄(最終停止図柄)を導出表示する。
演出表示装置5は、遊技盤2よりも背面側に配設され、該遊技盤2に形成された開口2cを通して視認できるようになっている。尚、遊技盤2における開口2cには枠状のセンター飾り枠51が設けられている。
演出表示装置5の表示領域の下部の左右2箇所には、第1保留記憶表示エリア5D、第2保留記憶表示エリア5Uが設定されている。第1保留記憶表示エリア5D、第2保留記憶表示エリア5Uでは、特図ゲームに対応した変動表示の保留記憶数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示が行われる。
ここで、特図ゲームに対応した変動表示の保留は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口や、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を、遊技球が通過(進入)することによる始動入賞にもとづいて発生する。すなわち、特図ゲームや演出図柄の変動表示といった変動表示ゲームを実行するための始動条件(「実行条件」ともいう)は成立したが、先に成立した開始条件にもとづく変動表示ゲームが実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されていることなどにより、変動表示ゲームの開始を許容する開始条件が成立していないときに、成立した始動条件に対応する変動表示の保留が行われる。
第1特別図柄表示器4A及び第2特別図柄表示器4Bの右方位置には、特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられている。第1保留表示器25Aは、第1特図保留記憶数を特定可能に表示し、第2保留表示器25Bは、第2特図保留記憶数を特定可能に表示する。
演出表示装置5の下方には、普通入賞球装置6Aと普通可変入賞球装置6Bとが設けられているとともに、下方及び右側方には一般入賞口60が設けられている。普通入賞球装置6Aは、例えば所定の球受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域(第1始動領域)としての第1始動入賞口を形成する。普通可変入賞球装置6Bは、ソレノイド(図示略)によって、垂直位置となる通常開放状態と傾動位置となる拡大開放状態とに変化する一対の可動翼片を有する電動チューリップ型役物(普通電動役物)を備え、始動領域(第2始動領域)としての第2始動入賞口を形成する。
第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球が第1始動口スイッチ(図示略)によって遊技球が検出されたことにもとづき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第1特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第1始動条件が成立する。また、第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球が第2始動口スイッチ(図示略)によって遊技球が検出されたことにもとづき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第2特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第2始動条件が成立する。
普通入賞球装置6Aと普通可変入賞球装置6Bの下方位置には、特別可変入賞球装置7が設けられている。特別可変入賞球装置7は、ソレノイド(図示略)によって開閉駆動される大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する特定領域としての大入賞口を形成する。このように、特定領域としての大入賞口は、遊技球が通過(進入)しやすく遊技者にとって有利な開放状態と、遊技球が通過(進入)できない(または通過(進入)しにくい)遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する。
大入賞口を通過(進入)した遊技球がカウントスイッチ(図示略)によって検出されたことにもとづき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。従って、特別可変入賞球装置7において大入賞口が開放状態となれば、その大入賞口に遊技球が進入可能となり、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置7において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることが不可能または困難になり、遊技者にとって不利な第2状態となる。
第2保留表示器25Bの右方位置には、普通図柄表示器20が設けられている。普通図柄表示器20の右方には、普図保留表示器25Cが設けられている。普図保留表示器25Cは、例えば4個のLEDを含んで構成され、通過ゲート41を通過した有効通過球数としての普図保留記憶数を表示する。
遊技盤2の遊技盤面2aにおける遊技領域10には、遊技球の流下方向や速度を変化させる多数の障害釘200や風車61やセンター飾り枠51等の装飾物が設けられている。例えば、図2及び図3(A)に示すように、普通入賞球装置6Aの左右側方には、複数の障害釘200が互いに近接して並設されてなる誘導釘201L,201Rがそれぞれ設けられている。
誘導釘201L,201Rは、左右側方から中央の普通入賞球装置6Aに向けてそれぞれ下方に傾斜するように並設され、普通入賞球装置6Aの第1始動入賞口に向けて遊技球を誘導する。尚、これら誘導釘201L,201Rのそれぞれの所定箇所には、遊技球が落下可能な渡り203が設けられているが、渡り203は設けられなくてもよい。
また、遊技領域10に設けられた複数の障害釘のうち、普通入賞球装置6Aの第1始動入賞口の近傍上方位置に設けられる複数の障害釘200は、第1始動入賞口に向けて遊技球を誘導する指定釘204を構成している。各一般入賞口60の近傍上方位置に設けられる複数の障害釘200は、各一般入賞口60に向けて遊技球を誘導する指定釘205を構成している。通過ゲート41の上方近傍位置に設けられる複数の障害釘200は、通過ゲート41に向けて遊技球を誘導する指定釘206を構成している。風車61の上方近傍位置に設けられる複数の障害釘200は、風車61に向けて遊技球を誘導する指定釘207を構成している。ワープ通路62の上方近傍位置に設けられる複数の障害釘200は、ワープ通路62に向けて遊技球を誘導する指定釘208を構成している。これら各指定釘204〜208は、後述するように、遊技盤面2aに設けられる複数の障害釘200のうちから予め指定される障害釘であり、これら指定釘以外の障害釘200とは内容が異なる整備が必要な障害釘とされている。
これら障害釘200は、例えば、真鍮材からなり、図3(B)に示すように、直径φ1が約1.85mm(φ1=約1.85mm)の円柱状の胴部200a(本体部とも言う)と、該胴部200aの一端側に形成される直径Sφ2が約4.2mm(Sφ2=約4.2mm)の球面状の頭部200b(釘笠とも言う)と、から構成される。障害釘200は、遊技盤面2aに予め形成される孔部2dに後述する釘打ち機16により打設されることにより遊技盤面2aに立設され、立設された状態において、遊技盤面2aから頭部200bまでの長さL1が約16.8mm(L1=約16.8mm)とされている。また、胴部200aの他端側にはネジ溝200cが形成されている。このネジ溝200cによって、孔部2d内に挿入された胴部200aと孔部2dの内周面との間に生じる摩擦力により障害釘200が遊技盤2から抜け落ちることが防止されている。
また、障害釘200を打設するための孔部2dは、図9(A)に示すように、遊技盤面2aに対して直交するZ軸(垂線)に対し上方に向けて所定角度θ1(θ1=約4度)傾斜して形成される。よって、障害釘200もZ軸(垂線)に対して頭部200b側が上方に向けて約4度傾斜して立設されるため、障害釘200に衝突した遊技球Pが極力遊技盤2側に跳ね返るようにしている。
図3(B)に示すように、例えば、指定釘204を構成する左右の障害釘200の胴部200aにおける基部側の離間寸法L2は約10.5mm(L2=約10.5mm)とされ、先端部側の離間寸法L3は約12mm(L3=約12mm)とされているため、遊技盤面2aから頭部200bに向けて左右の胴部200aの離間寸法が漸次広くなっている。また、遊技球Pの直径Sφは約11mmとされており(例えば、Sφ=約11mm)、遊技球Pが遊技盤面2aに接触した状態で左右の障害釘200の胴部200a間を通過することができるようになっている。
尚、本実施例では、離間寸法L2は約10.5mm、離間寸法L3は、指定釘204の約12mmとした例を示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの寸法は遊技盤2のゲージ構成(所謂、釘配列)等に応じて種々に変更可能である。また、他の指定釘205〜208における離間寸法も、指定釘204とは異なる値(例えば、後述するように11.5mm等)に、個別に設定できるようになっている。
図1に戻って、遊技領域10の最下方には、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球が取り込まれるアウト口11が設けられている。遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L,8Rが設けられており、さらに遊技領域10の周辺部には、演出用LED9が設けられている。遊技機用枠3の右下部位置には、遊技媒体としての遊技球を遊技領域10に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドル(操作ノブ)が設けられている。
遊技領域10の下方における遊技機用枠3の所定位置には、賞球として払い出された遊技球や所定の球貸機により貸し出された遊技球を、発射装置(図示略)へと供給可能に保持(貯留)する上皿90(打球供給皿)が設けられている。遊技機用枠3の下部には、上皿90から溢れた余剰球などを、パチンコ遊技機1の外部へと排出可能に保持(貯留)する下皿91が設けられている。下皿91を形成する部材に取付けられたスティックコントローラ31Aの傾倒操作はコントローラセンサユニット(図示略)にて検出され、上皿90を形成する部材に設けられたプッシュボタン31Bに対してなされた押下動作はプッシュセンサ(図示略)にて検出される。
次に、パチンコ遊技機1の回路構成について説明する。パチンコ遊技機1の背面には、例えば図示しない主基板、演出制御基板、音声制御基板、LED制御基板、主基板と演出制御基板との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板、払出制御基板、情報端子基板、発射制御基板、インタフェース基板などといった、各種の基板が配置されている。
主基板(図示略)は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための各種回路が搭載されている。主基板は、主として、特図ゲームにおいて用いる乱数の設定機能、所定位置に配設されたスイッチ等からの信号の入力を行う機能、演出制御基板(図示略)などからなるサブ側の制御基板に宛てて、指令情報の一例となる制御コマンドを制御信号として出力して送信する機能、ホールの管理コンピュータに対して各種情報を出力する機能などを備えている。また、主基板は、第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bを構成する各LED(例えばセグメントLED)などの点灯/消灯制御を行って第1特図や第2特図の変動表示を制御することや、普通図柄表示器20の点灯/消灯/発色制御などを行って普通図柄表示器20による普通図柄の変動表示を制御することといった、所定の表示図柄の変動表示を制御する機能も備えている。また、主基板には、例えば遊技制御用マイクロコンピュータ(図示略)や、スイッチ回路(図示略)、ソレノイド回路などの各種回路が搭載されている。
主基板には、通過ゲート41を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ、第1始動口スイッチ、第2始動口スイッチ、カウントスイッチからの検出信号を伝送する配線が接続されている。また、第1特別図柄表示器4A、第2特別図柄表示器4B、普通図柄表示器20、第1保留表示器25A、第2保留表示器25B、普図保留表示器25Cなどの表示制御を行うための指令信号を伝送する配線が接続されている。
主基板から中継基板を介して演出制御基板に対して伝送される制御コマンドは、例えば電気信号として送受信される演出制御コマンドである。演出制御コマンドには、例えば、演出図柄の変動時間及びリーチ演出の種類や擬似連の有無等の変動態様を示す変動パターンを示す変動パターン指定コマンド等が含まれている。
主基板に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータは、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM(ReadOnlyMemory)と、遊技制御用のワークエリアを提供するRAM(RandomAccessMemory102)と、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU(CentralProcessingUnit)と、CPUとは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路と、I/O(Input/Outputport)と、を備えて構成される。一例として、遊技制御用マイクロコンピュータでは、CPUがROMから読み出したプログラムを実行することにより、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための処理が実行される。
演出制御基板(図示略)は、主基板とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板を介して主基板から伝送された制御信号を受信して、演出表示装置5、スピーカ8L,8R及び演出用LED9、その他の演出ユニット等に設けられる各種モータ、ソレノイド、センサ、発光ダイオード(LED)といった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されている。
演出制御基板(図示略)には、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPUと、演出制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROMと、演出制御用CPUのワークエリアを提供するRAMと、演出表示装置5における表示動作の制御内容を決定するための処理などを実行する表示制御部と、演出制御用CPUとは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路と、I/Oとが搭載されている。一例として、演出制御基板では、演出制御用CPUがROMから読み出した演出制御用のプログラムを実行することにより、演出用の電気部品による演出動作を制御するための処理が実行される。また、ROMには、演出制御用のプログラムの他にも、演出動作を制御するために用いられる各種のデータテーブルなどが格納されている。
次に、パチンコ遊技機1における遊技の進行を概略的に説明する。パチンコ遊技機1では、遊技領域10に設けられた通過ゲート41を遊技球が通過したことにもとづいて、普通図柄表示器20による普図ゲームが開始される。普通図柄の変動を開始させた後、普図変動時間となる所定時間が経過し、普図当り図柄以外の普通図柄が停止表示されれば、普通図柄の変動表示結果が「普図はずれ」となる。特定の普通図柄(普図当り図柄)が停止表示されれば、普通図柄の変動表示結果が「普図当り」となり、普通可変入賞球装置6Bの拡大開放制御(傾動制御)が行われ、所定時間が経過すると垂直位置に戻る通常開放制御が行われる。
遊技球が第1始動入賞口に入賞したことなどにより第1始動条件が成立した後に、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第1開始条件が成立したことにもとづいて、第1特別図柄表示器4Aによる特図ゲームが開始される。また、遊技球が第2始動入賞口に入賞したことなどにより第2始動条件が成立した後に、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第2開始条件が成立したことにもとづいて、第2特別図柄表示器4Bによる特図ゲームが開始される。
特図ゲームでは、特別図柄の変動表示を開始させた後、変動表示時間が経過すると確定特別図柄(特図表示結果)を導出表示する。このとき、特定の特別図柄(大当り図柄)が停止表示されれば、特定表示結果としての「大当り」となり、大当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「はずれ」となる。特図ゲームでの変動表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。
大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置7の大入賞口扉が、所定の上限時間(例えば29秒間や0.1秒間)が経過するまでの期間あるいは所定個数(例えば9個)の入賞球が発生するまでの期間にて、大入賞口を開放状態とする。これにより、特別可変入賞球装置7を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)とするラウンドが実行される。
ラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤2の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置7を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。大入賞口の開放サイクルであるラウンドは、その実行回数が所定の上限回数(例えば「16」など)に達するまで、繰り返し実行可能となっている。
演出表示装置5の演出図柄表示エリア5L,5C,5Rでは、特図ゲームが開始されることに対応して、演出図柄の変動表示が開始される。そして、演出図柄の変動表示が開始されてから変動表示が終了するまでの期間では、演出図柄の変動表示状態が所定のリーチ状態となることがある。リーチ状態とは、演出表示装置5の表示領域にて停止表示された演出図柄が大当り組合せの一部を構成しているときに未だ停止表示されていない演出図柄については変動が継続している表示状態、あるいは、全部または一部の演出図柄が大当り組合せの全部または一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。
特図ゲームにおける確定特別図柄として、複数種類の大当り組合せのうち、所定の通常大当り組合せ(「非確変大当り組合せ」ともいう)となる確定演出図柄が停止表示され、変動表示結果が「非確変大当り」となった場合は大当り状態に制御され、その終了後には、時間短縮制御(時短制御)が行われる。時短制御が行われることにより、特図ゲームにおける特別図柄の変動表示時間(特図変動時間)は、通常状態に比べて短縮される。尚、時短制御では、普通図柄の当選頻度が高められて、普通可変入賞球装置6Bへの入賞頻度が高められる、いわゆる電チューサポートが実施される。時短制御は、大当り遊技状態の終了後に所定回数(例えば100回)の特図ゲームが実行されることと、変動表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに、終了すればよい。
特図ゲームにおける確定特別図柄として、複数種類の大当り組合せのうち、所定の確変大当り組合せ(「確変大当り組合せ」ともいう)となる確定演出図柄が停止表示され、変動表示結果が「確変大当り」となった場合は大当り状態に制御され、その終了後には、時短制御とともに確率変動制御(確変制御)が行われる。この確変制御が行われることにより、各回の特図ゲームにおいて変動表示結果が「大当り」となる確率は、通常状態に比べて高くなるように向上する。確変制御は、大当り遊技状態の終了後に変動表示結果が「大当り」となって再び大当り遊技状態に制御されるという条件が成立したとき、大当り遊技状態の終了後に所定回数(例えば時短回数と同じ100回)の特図ゲームが実行されたとき、大当り遊技状態の終了後に特図ゲームが開始されるごとに実行される確変転落抽選にて確変制御を終了させる「確変転落あり」の決定がなされたとき、などに終了すればよい。
時短制御が行われるときには、普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の変動表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、変動表示結果が「普図当り」となったことにもとづく普通可変入賞球装置6Bにおける可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御(電チューサポート制御、高開放制御)が行われる。これにより、第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立しやすくなり、特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に変動表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。
次に、本実施例におけるパチンコ遊技機1の動作(作用)を説明する。主基板(図示略)では、所定の電源基板からの電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ(図示略)が起動し、CPU(図示略)によって遊技制御メイン処理となる所定の処理が実行される。遊技制御メイン処理において遊技制御用タイマ割込み処理を開始すると、スイッチ処理、メイン側エラー処理、情報出力処理、遊技用乱数更新処理、特別図柄プロセス処理、普通図柄プロセス処理、コマンド制御処理を実行する。
特別図柄プロセス処理では、遊技制御フラグ設定部(図示略)に設けられた特図プロセスフラグの値をパチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて更新し、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bにおける表示動作の制御や、特別可変入賞球装置7における大入賞口の開閉動作設定などを、所定の手順で行うために各種の処理が選択されて実行される。
特別図柄プロセス処理において、CPUは、まず、第1始動入賞や第2始動入賞があったか否かを判定し、入賞があった場合には、特図表示結果判定用、大当り種別判定用、変動パターン判定用などの乱数値をそれぞれ抽出して、第1特図保留記憶装置や第2特図保留記憶装置における空きエントリの最上位に格納(記憶)する始動入賞処理を実行する。
また、CPUは、第1特図保留記憶装置や第2特図保留記憶装置に記憶されている保留データの有無などにもとづいて特図ゲームを開始するか否かの判定や、特図表示結果判定用の乱数値を示す数値データにもとづき、特別図柄や演出図柄の変動表示結果を「大当り」とするか否かを、その変動表示結果が導出表示される前に決定(事前決定)する特別図柄通常処理を実行する。つまり、CPUは、特図ゲームの変動表示を開始するときに、始動入賞が発生したときに記憶した乱数値にもとづいて、当該変動表示の表示結果として大当り表示結果を導出表示するか否かを決定(抽選)する処理を実行する。
次いで、変動パターンを複数種類のいずれかに決定する変動パターン設定処理、特別図柄を変動させるための設定や特別図柄が変動を開始してからの経過時間を計測する処理を行う特別図柄変動処理、特別図柄の変動を停止させて確定特別図柄を停止表示(導出)させるための設定を行う特別図柄停止処理を行う。また、変動表示結果が「大当り」となった場合は、大当り遊技状態において大入賞口を開閉させる処理を行う大当り開放前処理、大当り開放中処理、大当り開放後処理、大当り終了処理を行う。
次に、演出制御基板(図示略)の動作を説明する。先ず、演出制御用CPUは、電源が投入されると、メイン処理の実行を開始する。メイン処理においてタイマ割込が発生すると、コマンド解析処理、演出制御プロセス処理、演出用乱数更新処理を実行する。
演出制御プロセス処理では、演出表示装置5の第1保留記憶表示エリア5D及び第2保留記憶表示エリア5Uでの保留記憶表示を、保留記憶バッファの記憶内容に応じた表示に更新する保留表示更新処理を実行する。次いで、演出制御プロセスフラグの値に応じて、遊技制御用マイクロコンピュータから変動パターン指定コマンドを受信しているか否か確認する変動パターン指定コマンド受信待ち処理、演出図柄の変動が開始されるように制御する演出図柄変動開始処理、演出図柄変動開始処理にてセットされたプロセスデータに応じて変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切替タイミング等の制御や変動時間の終了を監視するとともに、演出表示装置5の表示制御、スピーカ8L,8Rからの音出力、演出用LED9の発光及び演出ユニット(図示略)の駆動制御等を行う演出図柄変動中処理、演出図柄の変動を停止し表示結果(停止図柄)を導出表示する制御を行う演出図柄変動停止処理を行う。
大当り表示処理においては、変動時間の終了後、演出表示装置5に大当りの発生を報知するための画面を表示する制御を行う。大当り遊技中処理においては、大当り遊技中の制御を行う。大当り終了演出処理においては、演出表示装置5において、大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を行う。
次に、各パチンコ遊技機1に装着される遊技盤2の製造方法について、図面にもとづいて説明する。図4は、遊技盤の製造ラインの一部を示す平面図である。図5は、遊技盤の製造システムの構成を示すブロック図である。尚、本実施例では、製造ライン12にて製造可能な遊技盤2は、種別{例えば、材質(ベニヤはたはアクリル板)、搭載するパチンコ遊技機1の機種、バージョン(例えば、大当り確率などのスペック等)等}が異なる複数種類の遊技盤2を含む。
図4に示す製造ライン12は、主に釘打ちと後述する釘整備の工程を行う部分であり、遊技盤2を投入する投入口として、ベニヤ板を投入するための投入口A、合成樹脂板を投入するための投入口B、の2つの投入口が設けられている。
製造ライン12の投入口Aの上流側(図4中左側)には、ベニヤ板を切削や穴あけ加工を施して所定の形状とするための図示しないリュータ加工装置や、遊技盤2に下穴を加工する作業を行うための図示しない下穴加工装置等が配置されている。
また、投入口Bからは、遊技盤2の厚みがベニヤ板と同じとするためのスペーサ部材が背面に組付けられた合成樹脂板が投入される。
投入口Aには、第1二次元コードマーキング装置14aが設けられており、後述する二次元コード15aが印刷されたシールが、投入されるベニヤ板に貼着される。
また、投入口Bにも、第2二次元コードマーキング装置14bが設けられており、後述する二次元コード15aが印刷されたシールが、投入される合成樹脂板に貼着される。
尚、本実施例では、これら二次元コード15aが印刷されたシールを貼着する第1二次元コードマーキング装置14aや第2二次元コードマーキング装置14bを設けた形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの二次元コード15aが印刷されたシールを、作業員が貼着するようにしてもよい。また、既に、管理用の二次元コード15aが印刷されたシールが貼着されたベニヤ板や合成樹脂板を使用する場合には、これら第1二次元コードマーキング装置14aや第2二次元コードマーキング装置14bを省いた構成としてもよい。
尚、投入口Bには、や第2二次元コードマーキング装置14bとともに、合成樹脂板の表面に貼着されている保護フィルムを剥離する際に生じる静電気を除去するためのイオナイザー装置18が設けられている。
各製造ラインには、複数台の釘打ち機16、釘供給機19、第1釘検査装置17A、複数台の障害釘整備装置300、第2釘検査装置17Bが下流側に向けて順にそれぞれ配置されている。また、第2釘検査装置17Bの下流には、ガイドレール2bや風車の取付けや、パチンコ遊技機1の遊技機用枠3への組付けを行う図示しない作業場が配置されている。尚、各種装置には、後述する二次元コード15aを読み取る図示しない読み取り用カメラが設けられている。
第1二次元コードマーキング装置14aに搬送される遊技盤2は、第1二次元コードマーキング装置14aにて二次元コード15aが印刷されたシール15が貼付される前に、図示しないセンサにより遊技盤2に所定以上の粉塵が付着しているか否かを判断される。所定以上の粉塵が付着していないと判断された遊技盤2は、そのまま第1二次元コードマーキング装置14aにてシール15が貼付され、所定以上の粉塵が付着していると判断された遊技盤2は、図示しない粉塵除去装置によって粉塵が除去された後、第2二次元コードマーキング装置14bにてシール15が貼付される。
図5に示すように、製造ライン12を構成する上記各種装置は、製造ライン12を制御する管理コンピュータ500とデータ通信可能に接続されている(図5参照)。
管理コンピュータ500は、図5に示すように、データバス501に、制御プログラムにもとづいて各種の処理を行うCPU(中央演算処理回路)502、RAM503、時間情報等を出力可能なリアルタイムクロック(RTC)504、各遊技盤2毎に付与されたシリアル番号に対応付けて各遊技盤2の種別(ベニア板、合成樹脂板)、障害釘整備装置300により障害釘200を整備するための整備データ、整備履歴情報(遊技盤2が関わった釘打ち機16や障害釘整備装置300を特定可能な情報や整備内容を示す情報など)、標準整備による補正データ(図23参照)等が記憶される記憶装置505、キーボードやマウス等の入力装置506、ディスプレイ等の表示装置507、図27に示す釘間測定書等の各種印刷物を出力可能なプリンタ508、各種装置とのデータ通信を行うための通信部509と、が接続されたコンピュータであり、接続される各種装置の動作制御を行うとともに、各遊技盤2に対応する整備データを各種装置へ送信する処理や、各遊技盤2毎の整備関連情報として図22に示す釘間測定書を出力可能とされている。
管理コンピュータ500は、製造ラインに設置されている第1二次元コードマーキング装置14a、第2二次元コードマーキング装置14b、各釘打ち機16、各釘供給機19、各第1釘検査装置17A、各障害釘整備装置300、各第2釘検査装置17B等の各種装置がデータ通信可能に有線接続されている。
釘打ち機16には、遊技盤2に実際に障害釘200を打設する打設装置だけではなく、図5に示すように、搬送装置13から遊技盤2を取り出すためのロボットアーム装置、二次元コード15aを読み取るための読み取り用カメラ、雰囲気の温湿度と遊技盤2の温度を測定可能な温湿度センサ、釘打ち機16の動作を、管理コンピュータ500からの指示(動作データ)によりコントロールする制御ユニット16’等が設けられており、ロボットアーム装置にて搬送装置13から取り出した遊技盤2に貼着されている二次元コード15aから読み取った読み取りデータを、当該装置を識別可能な装置識別情報である装置番号とともに管理コンピュータ500に送信可能とされているとともに、打設時において温湿度センサにて測定した雰囲気の温湿度と遊技盤2の温度等のデータを、装置番号とともに管理コンピュータ500に送信できる。
また、同様に、整備装置300にも、遊技盤2に打設された障害釘200を整備する釘矯正装置だけではなく、図5に示すように、搬送装置13から遊技盤2を取り出すためのロボットアーム装置、二次元コード15aを読み取るための読み取り用カメラ、雰囲気の温湿度と遊技盤2の温度を測定可能な温湿度センサ、整備装置300の動作を、管理コンピュータ500からの指示(整備データ)によりコントロール(制御)する制御ユニット300’等が設けられており、ロボットアーム装置にて搬送装置13から取り出した遊技盤2に貼着されている二次元コード15aから読み取った読み取りデータを、当該装置の装置番号とともに管理コンピュータ500に送信可能とされているとともに、整備時において温湿度センサにて測定した雰囲気の温湿度と遊技盤2の温度等のデータを、装置番号とともに管理コンピュータ500に送信できるようになっている。
尚、図5には示していないが、ベニヤ板や合成樹脂板は、温度や湿度により伸縮するので、各第1釘検査装置17A並びに各第2釘検査装置17Bにも、雰囲気の温湿度と遊技盤2の温度を測定可能な温湿度センサや二次元コード15aを読み取るための読み取り用カメラが設けられていて、測定対象の遊技盤2の二次元コード15aの読み取りデータや温湿度センサにて測定した検査時のデータを、装置番号とともに管理コンピュータ500に送信できるようになっている。
次に、パチンコ遊技機1における遊技盤2の製造工程の大まかな流れについて説明する。図6は、遊技盤の製造工程の大まかな流れを示すフローチャートである。尚、以下の製造工程において、所定の工程を終了した遊技盤2は、次の工程を行うための装置まで搬送装置13にて搬送されるようになっている(図4参照)。
まず、遊技盤2を構成する所定の大きさの合成樹脂板(例えば、アクリル板等)やベニヤ板に、リュータ加工装置などにより切削や穴あけ加工を施して所定の形状とした後、遊技盤面2aにセルシートを貼付する。次いで、釘や風車などの打ち込み作業時の位置ずれを減らすために、遊技盤2の種別に対応するゲージデータ(釘配列データ)に応じて成形された金属製のゲージ板(図示略)により、遊技盤面2aに下穴を加工する作業を行う(工程S1)。尚、本実施例では、投入口Bから投入される合成樹脂板(例えば、アクリル板等)は、予め合成樹脂板のメーカー側において切削や穴あけ加工並びに下穴加工が施されたものとされている。
遊技盤面2aに下穴が形成された遊技盤2は、第1二次元コードマーキング装置14aまたは第2二次元コードマーキング装置14bにて、図17に示すように、ゲージデータ(釘配列データ)や整備動作(後述する整備データ)等を特定可能なゲージ番号15d、遊技盤2の材質を示す材質コード、遊技盤2の機種を示す機種コード15b、同一機種のバリエーション等の機種補助情報を示すサブコード、遊技盤2の製造番号(固有のID)を示すシリアル番号15c、生産会社区分コード、従来から使用されているバーコードとのデータを利用可能とするためのバーコード情報15f、遊技盤2の背面に貼着されるセルシートの種別を特定可能なセル番号15e、後述するシール15に印刷された日時を示す印刷日付コード等をシンボル化した個別の二次元コード15aを含む各種コードを印刷してシール15を貼付する作業を行う(工程S2)。尚、本実施例では、二次元コード15aにシンボル化される情報に、該シール15が貼付される遊技盤2に障害釘200を打設する釘打ち機16を示す釘打ち機コードを含めていないが、予め遊技盤2に障害釘200をラインに投入する前に事前に決定する場合には、これら釘打ち機コードを含む二次元コード15aとしても良く、これら二次元コード15aにシンボル化される情報の種類は、適宜に決定すればよい。
尚、本実施例の製造ライン12では、種別が異なる遊技盤2を製造できるようになっており、遊技盤2の種別によって釘配列や障害釘200の整備内容が異なっている。よって、製造ライン12に設けられた各種装置は、シール15に印刷された二次元コード15aを読み取り用カメラ(図示略)により読み取り、この読み取ったシリアル番号と装置番号とを管理コンピュータ500に送信する。シリアル番号を受信した管理コンピュータ500では、該シリアル番号に対応する整備データ、つまり、シリアル番号から特定される遊技盤2に対応する整備データを記憶装置505から抽出し、受信した装置番号から特定される送信元の装置に対して該抽出した整備データを送信する。そして各種装置では、管理コンピュータ500から受信した整備データにもとづいて釘打ちや整備が行なわれる。尚、製造ライン12では、後述する釘打ち(工程S3)、第1整備(工程S5)、第2整備(工程S7)等において、釘打ち機16による釘打ちや障害釘整備装置300による整備に不良が生じることがある。
製造ライン12では、供給側の搬送装置13と、排出側の搬送装置13とが並行して配置されており、各釘打ち機16や各障害釘整備装置300は、前述したロボットアーム装置によって供給側の搬送装置13から遊技盤2を任意に取り出して打設または整備し、その後、打設または整備済みの遊技盤2を排出側の搬送装置13に戻す仕様とされており、複数のうちいずれの装置で釘整備や釘打ちが行われるかを予め決定していないため、記憶装置505に各遊技盤2の整備履歴を記憶することで、各遊技盤2の製造に関わった装置を特定できるようにしている。この整備履歴情報が蓄積されていくと、各種装置のうちいずれで整備不備が多く発生しているかを特定することができるようになるため、製造ライン12に設置された複数の装置のメンテナンス作業を簡便に行うことが可能とされている。
また、記憶装置505に各遊技盤2の整備履歴を記憶することで、製造工程の最終段階や納品後に障害釘の不具合が見つかった場合、当該遊技盤2の整備履歴を参照し、当該遊技盤2の製造に関わった装置、つまり、不具合の可能性がある装置を特定することができるため、この不具合の可能性がある装置により新たな遊技盤2の整備等が行われてしまうことがないように、装置の駆動を直ちに停止してメンテナンス作業を行うなど、早期のうちに対処することが可能となる。
また、工程S2では、二次元コード15aが印刷されたシール15を盤面板2Aの下部(例えば、パチンコ遊技機1に装着されたときに外部から露見しない位置。本実施例では、右側下部位置)に貼付する作業が行われる(図2参照)。また、シール15には、製造ライン12の所定位置(例えば、各釘打ち機16、各障害釘整備装置300、第1釘検査装置17A、第2釘検査装置17B)に設けられた読み取り用カメラにより読み取られる二次元コード15aの他に、作業者が目視にて確認できるように、印刷日付15g、機種コード15b、シリアル番号15c、ゲージ番号15d、セル番号15e、バーコード情報15f等がアルファベットや数字、記号等にて表記されている(図17参照)。
尚、本実施例では、工程S1を経て第1二次元コードマーキング装置14aへ遊技盤2を搬送する順序が、該搬送において変更されることがないため、第1二次元コードマーキング装置14aにおいて遊技盤2の種別を特定する必要がない形態としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、予め、工程S1において、遊技盤2にシリアル番号を特定可能な1次元コード等を貼付しておき、第1二次元コードマーキング装置14aにて1次元コードから特定されるシリアル番号にもとづいて遊技盤2の種別を特定できるようにしてもよい。
また、本実施例では、二次元コード15aが印刷されたシール15が盤面板2Aに貼付され、二次元コード15aを読み取り用カメラ(読取装置)により読み取ることができるようになっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記した各種情報が記憶されたICチップを含むシールを貼付し、ICチップに記憶された情報を所定の読取装置にて読取可能とてもよい。
盤面板2Aに二次元コード15aのマーキング作業が終了したら、釘打ち機16にて下穴に複数の障害釘200を工程S1にて加工された各下穴に打ち込む作業を行う(工程S3)。尚、釘打ち機16は、障害釘200の打ち込み作業が終了したら、当該釘打ち機16の装置番号とともに、読み取り用カメラにより読み取った二次元コード15aの読み取りデータと当該作業時の温湿度等の情報を釘打ち作業完了データとして管理コンピュータ500に送信する。そして、第1釘検査装置17Aにて遊技盤面2aに打ち込まれた障害釘200を後述する複数のカメラ44により撮影し(図16参照)、該撮影した画像データにもとづいて、各障害釘200が遊技盤面2aに対し直交するZ軸方向に対する傾き(頭部200bの配置位置座標など)、障害釘200の有無、釘曲り、錆、変色などを検査する釘画像検査を行う(工程S4)。第1釘検査装置17Aは、検査が終了したら、一次検査結果データを、第1釘検査装置17Aの装置番号と、該遊技盤2の二次元コード15aの読み取りデータとともに管理コンピュータ500へ送信する。
一次検査結果データを受信した管理コンピュータ500(CPU502)は、受信した一次検査結果データにもとづいて、各障害釘200が遊技盤面2aに対し直交するZ軸方向に対し上方に約4度傾斜しているか否かを、遊技盤2に対応するゲージデータから特定される各障害釘200の頭部200bの設定位置に対するXY軸方向への位置ずれ方向及び位置ずれ量から判定する。各障害釘200の頭部200bの設定位置(座標位置)は、障害釘200が下穴に正確に打ち込まれたときに頭部200bが配置される位置であり、遊技盤2の種別に応じたゲージデータとして管理コンピュータ500の記憶装置505に記憶されている。
また、各設定位置に対しては、XY軸方向の誤差を考慮した許容範囲(精度)が設定されており、頭部200bがこの許容範囲外に配置されている場合に異常(不良)と判定するとともに、設定位置からのずれ方向やずれ量が特定されるようになっている。尚、この許容範囲は、後述するように各障害釘200毎に所望の値に設定できるようになっている(図18,図19参照)。
一次検査結果データを受信した管理コンピュータ500(CPU502)は、工程S3にて打ち込まれた障害釘200のうち、工程S4の検査により頭部200bの設定位置に対するXY軸方向へずれが許容範囲外にあると判定された障害釘200を対象として、該障害釘200の頭部200bを設定位置の許容範囲内に配置するための第1整備データを作成し、該第1整備データを、受信した一次検査結果データに含まれる二次元コード15aの読み取りデータ中のシリアル番号15cに対応付けて記憶する。尚、該第1整備データは、当該シリアル番号15cの二次元コード15aのシールが貼着された遊技盤2を搬送装置13から取り出した障害釘整備装置300から、当該シリアル番号15cを含む読み取りデータが送信されてきたときに、該障害釘整備装置300へ送信(返信)されて、該第1整備データにもとづいた整備が指示される。
障害釘整備装置300では、管理コンピュータ500から受信した第1整備データにもとづき、工程S4で異常が検知された障害釘200を対象とした第1整備を行う(工程S5)。該第1整備が完了したときには、該障害釘整備装置300の装置番号とともに、二次元コード15aの読み取りデータと第1整備の実行時の温湿度情報等を含む第1整備完了データが管理コンピュータ500に送信されることで、管理コンピュータ500に第1整備が完了したこと、並びに該第1整備を実行した障害釘整備装置300の装置番号や温湿度情報等の第1整備に関する情報が送信される。
そして、これら第1整備後の障害釘200について、各障害釘200が遊技盤面2aに対し直交するZ軸方向に対し上方に約4度傾斜しているか否かを、頭部200bの設定位置に対するXY軸方向への位置ずれ方向及び位置ずれ量などにもとづいて判定する第1検査を行い、該第1検査の検査結果が、該障害釘整備装置300の装置番号と、二次元コード15aの読み取りデータとともに第1検査完了データとして管理コンピュータ500に送信される。尚、これら第1検査は、本実施例においては、後述する第2検査と同様に、検査用工具600を用いて障害釘整備装置300にて行われるが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら第1検査を第2釘検査装置17Bにて行うようにしてもよい。
尚、本実施例では、第1整備完了データと第1検査完了データとを個別にて管理コンピュータ500に送信しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらを第1検査の完了時にまとめて送信するようにしてもよい。
この第1整備(S5)と第1検査(S6)とは、第1整備後の障害釘200の頭部200bが全て設定位置の許容範囲内に配置されるまで繰返し行われる(S6+)。但し、再度の第1整備によって許容範囲内に配置された障害釘200は、再度の第1整備の対象から除外されていくため、第1整備が繰返し実行されていくに従って、整備対象の障害釘200の数は徐々に減少していくことになる。
これら繰返しの再整備の際には、第1検査の検査結果にもとづいて、再度、第1整備データが管理コンピュータ500において作成され、該作成された第1整備データにもとづいて釘整備が実行される。尚、第1整備完了データも、第1整備が繰り返し行われる毎に管理コンピュータ500に送信される。
尚、これら管理コンピュータ500において作成される第1整備データによる整備内容は、第1検査において許容範囲内にないと判定された回数(検査NG回数)に応じて、順次異なる整備内容となるように設定されている。具体的には、図6に示すように、検査NG回数が1回目の場合には、原則として、検査NGと判定された障害釘200の整備量(変形量)を、該検査NGと判定される前の第1整備における整備量(変形量)とは異なる整備量(変形量)に変更した整備内容とされる。また、検査NG回数が2回目の場合には、原則として、検査NGと判定された障害釘200の整備に使用した工具とは異なる工具に変更した整備内容とされる。また、検査NG回数が3回目の場合には、原則として、検査NGと判定された障害釘200の整備に使用した障害釘整備装置300とは異なる障害釘整備装置300に変更した整備内容とされる。つまり、検査NG回数が2回目に対応する工具を変更した第1整備が実行された場合には、該第1整備を実行した障害釘整備装置300は、該第1整備を実行した障害釘200を有する遊技盤2をロボットアーム装置にて搬送装置13に投入し、該投入された遊技盤2をロボットアーム装置にて搬送装置13にから取り出した他の障害釘整備装置300によって第1整備が実行される。そして、このように他の障害釘整備装置300によって第1整備が実行された後の第1検査において検査NGと判定された場合には、該遊技盤2は製造ラインからの排出対象に設定される。具体的には、該検査NGと判定した障害釘整備装置300においてロボットアーム装置にて製造ライン外に排出される。
つまり、本実施例の管理コンピュータ500は、第1検査で検査NGの障害釘200があった場合には、図6に示すように、1回目から3回目までの、最初の整備とは整備内容が異なる再整備を行うための第1整備データを送信する。
尚、本実施例では、第1整備においては、工程S4の釘画像検査において異常が検知された障害釘200のみを対象として整備を行うようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、異常の有無に関係なく、全ての障害釘200を対象として第1整備を行うようにしてもよい。
第1検査において検査NGの障害釘200が無い(S6+でN)と判定された場合には、該遊技盤2は、ロボットアーム装置によって搬送装置13に戻される。そして、搬送装置13に戻された該遊技盤2は、他の障害釘整備装置300のロボットアーム装置によって搬送装置13から取り出され、複数の障害釘のうち遊技盤2の種別に応じて予め指定した障害釘200(例えば、指定釘204〜208など)を対象として該障害釘200の頭部200bを指定位置の許容範囲内に配置するための第2整備が実施される。つまり、第1検査を終了した遊技盤2を搬送装置13から取り出した障害釘整備装置300に対して管理コンピュータ500は、複数の障害釘のうち遊技盤2の種別に応じて予め指定した障害釘200(例えば、指定釘204〜208など)を対象として、該障害釘200の頭部200bを指定位置の許容範囲内に配置するための第2整備データを送信して第2整備の実行を指示する。該第2整備データを受信した障害釘整備装置300は、受信した第2整備データにもとづいて指定釘204〜208を対象とした第2整備を行う(工程S7)。
このように、本実施例では、第1整備を行った障害釘整備装置300とは異なる障害釘整備装置300において第2整備を行うことで、障害釘整備装置300の違いよる整備精度の偏りを防ぐことができるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら第1整備と第2整備とを同一の障害釘整備装置300が行うようにしてもよい。
詳しくは、第2整備は、例えば、指定釘204〜208それぞれにおける一対の障害釘200の間隔が所望の寸法となるように基部側から頭部200b側に向けて漸次広げ(図3(B)及び図9(B)参照)、頭部200bを設定位置とは異なる指定位置に配置する整備とされている。また、その他、各障害釘200の傾斜角度、傾斜方向、他の障害釘200との配置態様などを変えるための整備等も含み、工程S5の第1整備にて整備されたか否かに関わらず行われる。
また、各指定位置に対しては、XY軸方向の誤差を考慮した許容範囲(精度)が設定されており、頭部200bが許容範囲外に配置されている場合に異常と判定するとともに、指定位置からのずれ方向やずれ量が特定されるようになっている。尚、この許容範囲は、後述するように、各障害釘200毎に所望の値に設定できるようになっている(図18,図19参照)。
これら指定釘204〜208は、遊技盤面2aに打ち込まれる複数の障害釘200のうち、特に、遊技価値の付与に関連する各入賞口や通過ゲート41への遊技球の進入確率に関わるものであり、僅かな誤差やずれなどによってパチンコ遊技機1のベース値などにも影響を及ぼす可能性が高い障害釘である。また、遊技盤2の種別に応じて各障害釘200の傾斜角度、傾斜方向、他の障害釘200との配置態様が変わるものである。尚、この指定釘は、後述するように、各遊技盤2毎に所望の障害釘200を指定できるようになっている(図20参照)。
このように、第1整備は、工程S3において遊技盤面2aに打ち込まれた複数の障害釘200のうち、工程S4で異常が検知された障害釘200を対象とし、該異常があった障害釘200の頭部200bを設定位置の許容範囲内に配置する作業を含むのに対し、第2整備は、予め定められた指定された障害釘(例えば、指定釘204〜208)を対象とし、該指定された障害釘200の頭部200bを指定位置の許容範囲内に配置する作業を含む。つまり、第2整備及び該第2整備を行う工程S7では、第1整備及び該第1整備を行う工程S5とは内容が異なる整備を行う。
また、第2整備は、釘打ち機16による釘打ち工程において一様にはできないまたは困難な整備であって、第1整備よりも精度が高い繊細な作業を必要とするため、他の障害釘200を対象とする第1整備とは別個に行うことで、障害釘200の整備作業を効率よく行える。また、指定釘204〜208を対象とする第2整備が必要のない種類の遊技盤2にあっては、工程S7の第2整備を省略してもよい。
そして、これら指定釘204〜208の障害釘200を対象とした第2整備を行った後に、後述する検査用工具600を用いて、第2釘検査装置17Bによる最終検査(工程S9)とは異なる方法で、指定釘204〜208の障害釘200が指定位置の許容範囲内に配置されたか否かを判定する第2検査を行う。この第2検査と第2整備とは、第2整備後の障害釘200の頭部200bが指定位置の許容範囲内に配置されるまで繰返し行われる(S8+)。但し、再度の第2整備によって許容範囲内に配置された障害釘200は、再度の第2整備の対象から除外されていくため、第2整備が繰返し実行されていくに従って、整備対象の障害釘200の数は徐々に減少していくことになる。
尚、これら第2検査は、本実施例においては、第1検査と同様に、検査用工具600を用いて障害釘整備装置300にて行われるが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら第2検査を第2釘検査装置17Bにて行うようにしてもよい。
これら繰返しの整備の際には、第2検査の検査結果にもとづいて、再度、第2整備データが管理コンピュータ500において作成され、該作成された第2整備データにもとづいて釘整備が実行される。尚、第2整備完了データも、第2整備が繰り返し行われる毎に管理コンピュータ500に送信される。
尚、これら管理コンピュータ500において作成される第2整備データによる整備内容は、第2検査において許容範囲内にないと判定された回数(検査NG回数)に応じて、順次異なる整備内容となるように設定されている。つまり、前述した第1整備と同様の規則に従って異なる内容の整備が実行される。具体的には、図6に示すように、検査NG回数が1回目の場合には、原則として、整備量(変形量)を変更した整備内容とされ、検査NG回数が2回目の場合には、原則として、異なる工具に変更した整備内容とされ、検査NG回数が3回目の場合には、原則として、異なる障害釘整備装置300に変更した整備内容とされ、検査NG回数が4回目の場合には、排出対象に設定されて製造ライン外に排出される。
つまり、本実施例の管理コンピュータ500は、第2検査で検査NGの障害釘200があった場合には、図6に示すように、1回目から3回目までの、最初の整備とは整備内容が異なる再整備を行うための第2整備データを送信する。
上記のように、指定釘204〜208を対象とした第2整備及び第2検査が完了した場合には、該第2整備を行った障害釘整備装置300は、装置番号とともに、読み取り用カメラにて読み取った二次元コード15aの読み取りデータと第2整備及び第2検査の実行時の温湿度情報と第2検査の検査結果情報(第2検査結果情報)とを含む第2整備完了データを管理コンピュータ500に送信することで、管理コンピュータ500に第2整備及び第2検査が完了したこと、並びに該第2整備を実行した障害釘整備装置300の装置番号や温湿度情報や第2検査の検査結果情報等の第2整備に関する情報を送信する。
第2検査において検査NGの障害釘200が無い(S8+でN)と判定された場合には、該第2検査が行われた遊技盤2は、ロボットアーム装置によって、排出側の搬送装置13に投入されて第2釘検査装置17Bに搬送され、該第2釘検査装置17Bにおいて全ての障害釘200を対象として、各障害釘200の頭部200bが設定位置にあるか否かの最終検査を行う(工程S9)。尚、本実施例では、工程S9において、遊技盤2の全ての障害釘200の位置を検査するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、指定釘204〜208のみを検査するようにしてもよい。また、工程S9にて異常が検知された遊技盤2は、製造ライン12から取り出され、製造ライン12とは別の障害釘整備装置300等により再度整備され、該再整備が完了した場合にも、該再整備を行った障害釘整備装置300から第2整備完了データが管理コンピュータ500に送信される。
第2釘検査装置17Bにおける最終検査において異常がなければ、ガイドレール2bや風車61を遊技盤面2aに形成された下穴を利用して取付ける作業を行う(工程S10)。そして、センター飾り枠51、各種入賞装置など他の遊技用部材を取付けた後、パチンコ遊技機1の遊技機用枠3に組付けられる(工程S11)。最後に、完成したパチンコ遊技機1は梱包されて出荷される(工程S12)。
次に、本実施例の障害釘整備装置300について、図7〜図15にもとづいて説明する。図7は、障害釘整備装置を示す右側面図である。図8は、障害釘整備装置を示す平面図である。図9は、(A)は、挟持部が釘の基端部側に配置された状態を示す右側面、(B)は、(A)の状態から釘整備を行った状態を示す縦断面図である。図10は、遊技盤2を保持、固定する昇降クランプ320のクランプ制御パターンを示す図である。図11は、整備内容とクランプパターンとの関係を示す図である。図12は、整備に用いられる各種工具の一例を示す図である。図13の(A)は、指定釘の検査用工具を示す右側面図、(B)は、検査用工具を示す正面図、(C)は、検査用工具を示す底面図である。図14は、検査用工具による指定釘の植設状態の検査を示す概要図である。図15は、(A)は、検査用工具の基点を検査開始位置に配置した状態を示す横断面図、(B)は、第2当接辺が障害釘に当接した状態を示す横断面図、(C)は、障害釘に当接する位置に検査用工具の基点を配置した状態を示す横断面図である。
尚、以下においては、障害釘整備装置300について、説明の便宜上、パチンコ遊技機1の上下左右方向を基準とせず、図7及び図8の上下左右方向を基準として説明する。また、遊技盤2は、パチンコ遊技機1に組付けた状態における上側を、図7及び図8において前側に向けた状態で水平に載置したものとする。
図7及び図8に示すように、本実施例における障害釘整備装置300は、障害釘200を整備する整備用アーム301と、整備の対象となる障害釘200が打設された遊技盤2を水平に載置するテーブル302と、から主に構成される。尚、障害釘整備装置300は、前述したように、搬送装置13からの遊技盤2の取り出しおよび投入を行うためのロボットアーム装置等を含むが、以下の説明においては、これらロボットアーム装置等を省いた釘矯正装置を障害釘整備装置300として説明する。
整備用アーム301は、床面上に載置される基台310と、基台310に対し垂直方向を向く回動軸T1を中心として回動可能に設けられた回転台312と、回転台312に対し水平方向を向く回動軸T2を中心として回動可能に設けられた第1アーム313と、第1アーム313の先端に水平方向を向く回動軸T3を中心として回動可能に設けられた第2アーム314と、第2アーム314の前端に水平方向を向く回動軸T4を介して回動可能に設けられた第3アーム315と、第3アーム315の先端に水平方向を向く回動軸T5を中心として回動可能に設けられた第4アーム316と、第4アーム316の先端に設けられ後述する整備用工具400を取付け可能なヘッド317と、ヘッド317に取付けられる整備用工具400と、を主に有する。
このように、多関節アームにて構成される整備用アーム301は、前述した管理コンピュータ500に接続され、該管理コンピュータ500(CPU502)からの指令にもとづいて、基台310及び各アームに内蔵されたモータ等の駆動源(図示略)が駆動することにより、整備用工具400を遊技盤面2aに沿う水平方向(前後左右方向、XY軸方向)や、遊技盤面2aに対し直交する垂直方向(上下方向、Z軸方向)に移動させたり、Z軸に対し傾倒させたりすることができるようになっている。
尚、本実施例では、整備用工具400を動作させる動作手段の一例である整備用アーム301は、多関節アームにて構成されるが、本発明はこれに限定されるものではなく、整備用工具400をXY軸方向やZ軸方向へ移動させたり、Z軸に対し傾倒させたりすることができるものであれば、多関節アーム以外のマニピュレータにて構成されていてもよい。
テーブル302の上面には、遊技盤2の所定箇所(本実施例では、遊技盤2の周囲の4カ所)に形成されている各ガイド孔に挿通可能なガイドピンが立設されており、該ガイド孔にガイドピンが挿通するように図示しないロボットアーム装置によって遊技盤2がテーブル302上に載置される。そして、テーブル302の一方の側方縁部には、テーブル302の左右方向に移動可能とされ、テーブル302に載置された遊技盤2を左方向に押すことが可能なスライドクランプ330が設けられており、図8に示すように、スライドクランプ330がテーブル302に載置された遊技盤2を左方向に押すことにより、ガイド孔に挿通されたガイドピンが、ガイド孔の右側の側面に当接するようになることで、ガイド孔とガイドピンとの間隙(あそび)による位置ずれの発生を抑えることができるようになっている。
また、テーブル302の上面には、図8に示すように、前方右隅部位置に、位置ズレ検出用の検出用ピンGを装着する装着部が設けられている。該装着部に装着される検出用ピンGは、中央にくびれ部を有しており、上部を前後左右に移動させると容易に折れる構造とされており、該検出用ピンGよりも少し大径な挿通孔を有する位置ズレ確認工具400’に整備用工具400を交換して、整備用アーム301により検出用ピンGが装着されている装着部の位置に合わせて位置ズレ確認工具400’を垂直に降下させていくことにより、位置ズレが生じていない場合には、検出用ピンGは折れないが、位置ズレが生じている場合には、検出用ピンGが折れて、位置ずれが生じていることを容易に認識できるようになっている。尚、位置ずれが生じている場合には、所定の修正処理を行って位置ずれを修正する。
また、テーブル302の上部両側縁部には、図8に示すように、スライド機構340によって前後方向に移動可能に設けられた1対の昇降クランプ320が設けられており、テーブル302の上面において、障害釘200が上方を向くように遊技盤面2aを上向きにした状態で、障害釘200の上方から遊技盤2を押さえることによりテーブル302との間に挟持して、テーブル302に遊技盤2を保持、固定できるようになっている。
尚、本実施例の昇降クランプ320は、図8に示すように、中央部に間隙が形成された略コ字状とされた透明樹脂板により形成されており、整備対象の障害釘200が該間隙の直下に位置するように昇降クランプ320が逐次移動し、整備対象の障害釘200に近い釘を昇降クランプ320にて押さえて遊技盤2を固定することで、整備における位置ずれが生じることを防ぐとともに、これら整備対象の障害釘200の近くを押さえても、整備対象の障害釘200の整備状況を、透明な昇降クランプ320を通して視認できるようになっている。
図7に示すように、整備用工具400は、直径φ10が約6mm(φ10=約6mm)の金属製の棒状部材からなる棒状部401と、該棒状部401の下端側に取付けられ金属材からなる挟持部403と、から主に構成され、棒状部401の上端をヘッド317に交換可能に取付けることができるようになっており、挟持部403の形状が異なる複数種類のものがあり(図12参照)、図8に示すように、基台310の周囲に、所定数が交換可能に予め用意されている。
本実施例の障害釘整備装置300において昇降クランプ320によって遊技盤2を保持、固定する形態としては、図10(A)に示すクランプ制御パターンAと、図10(B)に示すクランプ制御パターンBとが設定されており、制御ユニット300’が設定されたクランプ制御パターンにもとづいて昇降クランプ320の位置や押さえ圧力を制御する。
クランプ制御パターンAは、図10(A)に示すように、整備する障害釘200を、一方の昇降クランプ320の略コ字状の間隙に位置させるとともに、他方の昇降クランプ320の位置を、前後方向の中心位置に対して対称位置に配置し、遊技盤2を、クランプ制御パターンBに比較して低い圧力(小さい力)にて押さえて保持、固定するように制御するクランプ制御パターンである。
クランプ制御パターンBは、図10(B)に示すように、双方の昇降クランプ320を前後方向の中心位置に配置した状態で、遊技盤2を、クランプ制御パターンAに比較して高い圧力(大きい力)にて押さえて保持、固定するように制御するクランプ制御パターンである。尚、クランプ制御パターンBにおいて、前後方向の中心位置に昇降クランプ320を配置したときに、整備対象の障害釘200が、昇降クランプ320に覆われてしまう場合には、該整備対象の障害釘200が昇降クランプ320に覆われてしまわない位置まで昇降クランプ320の位置を移動させて、遊技盤2を保持、固定する。
本実施例においては、これら各クランプ制御パターンは、図11に示すように、整備内容に応じて選択されるようになっている。
具体的には、整備対象の障害釘200が指定釘204〜208である場合には、クランプ制御パターンBが選択され(図10(B)参照)、整備対象の障害釘200が指定釘204〜208以外の障害釘200である場合には、クランプ制御パターンAが選択される(図10(A)参照)。
また、整備において工具種別が、筒状形状で1本の障害釘200のみを整備するために使用される工具種別Aの整備用工具400である場合には、クランプ制御パターンAが選択され、複数の障害釘200を同時に整備するために使用される工具種別B、Cの整備用工具400である場合には、クランプ制御パターンBが選択される。
また、整備における変動量(整備量)が予め設定された所定の閾値以上である場合には、クランプ制御パターンBが選択され、変動量(整備量)が閾値未満である場合には、クランプ制御パターンAが選択される。
尚、これら整備内容とクランプ制御パターンとの関係は、原則であり、クランプ制御パターンBが優先される。つまり、整備内容に、クランプ制御パターンBに該当する整備内容が含まれている場合、例えば、整備内容が、指定釘204〜208以外であって、工具種別Aによる整備であっても、変動量(整備量)が閾値以上である場合には、クランプ制御パターンBが選択される。
このように、本実施例では、整備内容である、整備対象の障害釘200の種類の違いや、整備に使用する整備用工具400の種類の違いや、整備における変動量(整備量)の違いに応じて異なるクランプ制御を行うので、遊技盤2を好適に保持することができるようになり、これら整備内容が異なる複数種類の整備を適切に行うことができる。
次に、障害釘整備装置300における整備に使用される整備用工具400について説明すると、図12に示すように、整備用工具400は、挟持部403の形状が異なる複数種類がある。
具体的には、整備用工具400は、同時に整備する障害釘200の数に応じて、3つの種別に大別される。工具種別Aは、1本の障害釘200のみを整備するために使用される整備用工具400であり、工具種別Bは、2本の障害釘200を同時に整備するために使用される整備用工具400であり、工具種別Cは、3本の障害釘200を同時に整備するために使用される整備用工具400である。
更に、工具種別Aの整備用工具400には、図12のA−1〜A−4に例示するように、先端部の形状や開口の大きさ等により、複数種類のものがある。これら工具種別Aは、主に、連釘と称される誘導釘201L,201Rの整備に使用される。
また、工具種別Bの整備用工具400にも、図12のB−1〜B−4に例示するように、
挟持部403に形成された障害釘200が挿通される溝の幅や形状、挟持部403の厚み等により複数種類のものがある。これら工具種別Bは、主に、指定釘204〜208等の命釘と称される入賞口に臨む障害釘200等の整備に使用される。
工具種別Cの整備用工具400は、主に、指定釘205の整備に使用される整備用工具400である。尚、本実施例では、工具種別Cを2種類とした形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、該工具種別Cについても、挟持部403に形成された障害釘200が挿通される溝の幅や形状、挟持部403の厚み等により、多種類のものを設けるようにしてもよい。
尚、本実施例に用いた各整備用工具400のうち、代表的な整備用工具400については、図28〜図30に詳細な形状を示す。図28〜図30は、整備用工具の六面図、断面図、参考斜視図、使用状態参考斜視図等を含む。
これらの整備用工具400の一例について説明すると、例えば、工具種別B−1の整備用工具400は、図9に示すように、胴部200aを挟持する挟持部403は、正面視略横長長方形状をなす直方体形状に形成され、正面左右側には、胴部200aの直径φ1(外径)より広い間隔である左右寸法を有する凹溝411L,411Rが、上下方向に向けて形成されている。挟持部403の上面左右方向の中央部には棒状部401が接続されており、挟持部403は棒状部401に対し略直交するように設けられている。
また、挟持部403における背面側の左右側辺角部、凹溝411L,411Rの上下開口における内側辺角部、凹溝411L,411Rの下開口における外側辺角部、及び挟持部403における下面の左右側辺角部は、それぞれ面取り加工が施されている。
このように、各辺の角部に面取り加工が施されることにより、胴部200aを挟持部403により挟持して整備作業を行う際に、障害釘200や遊技盤面2aに傷をつけたりすることが防止されている。
このように構成された障害釘整備装置300は、前述した遊技盤2の製造工程における工程S5において、整備用工具400を用いて遊技盤面2aに打設された複数の障害釘200のうち工程S4において異常が検知された障害釘200を第1整備データにもとづいて整備する第1整備と、工程S7において予め指定した指定釘204〜208を第2整備データにもとづいて整備する第2整備とを行う。
次に、工程S7における障害釘整備装置300が行う指定釘204〜208の第2整備の内容について、図9、図13〜図15にもとづいて説明する。尚、以下においては、指定釘204の第2整備内容を一例として説明し、他の指定釘205〜208の第2整備内容も同様のため、説明は省略するものとする。
図9に示すように、指定釘204である左右の障害釘200は、釘打ち機16により打設された状態において、左右の障害釘200は、遊技盤面2aに対し直交するZ軸方向に対し上方に約4度傾斜している。また、設定位置において、左右の障害釘200それぞれの胴部200aにおける基端部側の離間寸法L2及び頭部200b側の離間寸法L3はそれぞれ同じ約10.5mm(L2=約10.5mm、L3=約10.5mm)とされている。つまり、左右の障害釘200は、互いの胴部200aは略平行をなすように打設されている。第2整備では、指定釘204の左右の障害釘200の間隔を基部側から頭部200b側に向けて漸次広げ、頭部200bを離間寸法L3が約12mmとなる指定位置へ配置する第2整備データにもとづいて行われる。
障害釘整備装置300は、管理コンピュータ500から受信した第2整備データにもとづいて、図示しない駆動源により整備用アーム301の挟持部403を動作させて指定釘204の整備を行う。
尚、第2整備データは、遊技盤2の指定釘204を整備する際に、管理コンピュータ500が前述した湿度計・温度計から得られた湿度・温度のデータにもとづき、例えば、遊技盤2の材質がベニヤ板である場合であれば、ベニヤ板の含水率を算出し、該含水率にもとづいて整備用アーム301の挟持部403を動作させるベニヤ板用動作パターンデータ等を含む。このように、工場内の室内環境(湿度・温度)の変化に合わせてベニヤ板の遊技盤2の指定釘204を整備できるため、指定釘204の整備作業時におけるベニヤ板の破損を防ぐことができるとともに、整備精度が高まる。
また、整備用工具400は、遊技盤2の種別や対象となる障害釘200に応じた寸法や形状を有する複数種類の整備用工具400が用意されており、整備の対象となる障害釘200に応じて交換可能とされている。尚、このような整備用工具400の選択及び交換動作は第2整備データに含まれており、整備対象となる障害釘200に応じて整備用アーム301が自動で行うようにしているが、作業者が手作業で交換するようにしてもよい。
障害釘整備装置300は、受信した第2整備データにもとづいて整備用アーム301を所定の動作パターンで駆動し、駆動初期位置から挟持部403を整備の対象となる指定釘204の配置位置まで、挟持部403が障害釘200に接触しないように遊技盤2の上方にて移動させる。
次いで、図9(A)に示すように、凹溝411L,411Rの開口が指定釘204側を向くように挟持部403を指定釘204の前側に下降させる。そして、図9(A)中の白矢印方向で示すように挟持部403を後方に向けて移動させ、凹溝411L,411R内に左右の障害釘200の各胴部200aがそれぞれ嵌合する第1位置に配置する。これにより、左右の障害釘200の胴部200aが、凹溝411L,411Rにより挟持される。尚、挟持部403は、この所定位置において、図9(A)に示すように、棒状部401がZ軸(垂線)に対し上方に向けて所定角度(約4度)傾く。
第1位置では、図9(A)に示すように、挟持部403の下面が遊技盤面2aから離間され、その離間寸法L4は約2.5mm(L10=2.5mm)とされる。つまり、挟持部403は、胴部200aにおける頭部200bよりも遊技盤面2aに近い基部側の位置に配置される。また、棒状部401は、障害釘200の胴部200aと平行をなすように、Z軸(垂線)に対し上方に向けて所定角度θ1(θ1=4度)傾けた状態で配置される。また、挟持部403の上下寸法L5は、障害釘200における遊技盤面2aから頭部200bまでの長さL1よりも短寸とされ(L5<L1)、挟持部403と各障害釘200の頭部200bとの間は離間しているため、挟持部403を頭部200b側に向けてスライド移動させることができるようになっている。
次に、図9(B)に示すように、挟持部403を、挟持部403の下面における左右方向の中央位置CPを基準として、棒状部401を左右に所定角度振りながら複数回に分けて上方へ移動させる。
具体的には、挟持部403を、挟持部403の下面における左右方向の中央位置CPを基準として、棒状部401を右側に向けて所定角度θ2(θ2=約13.15度)傾け、傾けた状態で所定期間(例えば、約0.6秒間)動作を停止する。次いで、挟持部403を第1位置からZ軸方向に対し上方に約4度傾斜する方向に向けて第1移動量(例えば、約0.35mm)移動させて第2位置に配置するとともに、図9(B)に示すように、挟持部403を、中央位置CPを基準として棒状部401を左側に向けて所定角度θ2(θ2=約13.15度)傾けてZ軸まで戻した後、さらに左側に向けて所定角度θ3(θ3=約12.25度)傾け、傾けた状態で所定期間(例えば、約0.6秒間)動作を停止する。
このように、挟持部403が中央位置CPを基準として左右方向に傾くことで棒状部401を振る方向側の障害釘200の方が他方側の障害釘200に比べ折れ曲がり角度が大きくなり、これを複数回繰り返すことにより、指定釘204の障害釘200の間隔が基部側から頭部200b側に向けて漸次広がるように整備される。このような第2整備により、指定釘204各々の頭部200bが指定位置の許容範囲内に配置される。
次いで、障害釘整備装置300は、第2整備が行われた指定釘204の頭部200bが指定位置の許容範囲内に配置されているか否かを判定する第2検査を行う。この第2検査は、第2整備済みの障害釘200の頭部200bが指定位置の許容範囲内に配置されているか否かに加え、該障害釘200の胴部200aの曲がり具合が正常であるか否かを判定する。
この第2検査において障害釘整備装置300は、先ず、整備用工具400を図13に示す検査用工具600に交換する。検査用工具600は、直径φ10が約6mm(φ10=約6mm)の金属製の棒状部材からなる棒状部601と、該棒状部601の下端側に取付けられ金属材からなる測定部602と、から主に構成されている。測定部602は、棒状部601の下端側に固定的に設置される基部602aと、基部602aに対して相対移動可能に設けられた移動部602bと、を有する。移動部602bは、図15に示すように、棒状部601の下端から前方へ延設される板状片を有し、該板状片の先端には、第1接触辺602Lと、該第1接触辺602Lに対し交差するように配置される第2接触辺602Rと、を有する平面視略V字状の切欠部603が形成されている。
このように構成される測定部602は、基部602aに対し移動部602bがXYZ軸方向に移動することで、基部602aに対するせん断力や該せん断力がかかる方向を計測可能であるいわゆる力覚センサ(ひずみゲージ式センサともいう)を構成している。尚、略V字状の切欠部603の谷部は基点RPとなっている。
次に、図14に示すように、検査用工具600を用いて障害釘200における胴部200aのZ軸方向の複数箇所(本実施例では、検査点P1,P2の2箇所)におけるXY軸方向の位置(座標)を計測する。そして、基部602aに設けられた演算部(図示略)が位置データ(座標データ)にもとづき障害釘200の曲がり具合を検出する。
詳しくは、図15(A)に示すように、検査点P1,P2それぞれに対応する検査開始位置に検査用工具600の基点RPを配置する。続いて、図15(B)に示すように、検査用工具600を、基点RPが指定位置に配置されるようにXY軸方向(水平方向)に移動させる。つまり、第2整備により指定釘204〜208が指定位置の許容範囲内に配置されていれば、第1接触辺602Lや第2接触辺602Rが胴部200aに接触せずに基点RPを検査開始位置から指定位置へ移動させることができる。
しかし、障害釘200が指定位置の許容範囲内に配置されていない場合に、第1接触辺602Lと第2接触辺602Rのうちいずれか一方(例えば、第2接触辺602R)に障害釘200が当接すると、図15(B)中の点線矢印方向に圧力が働き、これにより基部602aに対し移動部602bが移動するため、基部602aに対するせん断力や該せん断力がかかる方向が計測される。障害釘整備装置300は、前記せん断力やその方向が減少する方向に(最小値となる方向)へ検査用工具600を誘導する。上記のような動作を繰り返し、図15(C)に示すように、障害釘200に当接する位置に検査用工具600の基点RPを配置する。障害釘整備装置300は、基点RPが障害釘200に当接する位置までに検査用工具600の基点RPが移動した移動量及び移動方向等を含む前述した第2検査結果情報を含む第2整備完了データを管理コンピュータ500へ送信する。
第2検査結果情報(第2整備完了データ)を受信した管理コンピュータ500(CPU502)は、該第2検査結果情報にもとづいて、指定位置に対する検査点P1,P2それぞれの位置のXY軸方向へのずれ量を特定する。つまり、管理コンピュータ500(CPU502)は、第1接触辺602Lと第2接触辺602Rとの基点RPを指定位置に向けて移動する途中で第1接触辺602Lまたは第2接触辺602Rに接触したときにかかる負荷により、各検査点P1,P2における指定位置からのずれ量にもとづいて胴部200aの曲がり具合を特定する。
上記のように、管理コンピュータ500(CPU502)は、障害釘200の頭部200bの指定位置に対するXY軸方向のずれ量を判定するだけでなく、Z軸方向において頭部200bとは異なる位置である各検査点P1,P2における胴部200aの指定位置に対するXY軸方向のずれ量を判定することで、障害釘200の胴部200aの曲がり具合を特定する。
また、各検査点P1,P2における胴部200aの指定位置に対するXY軸方向のずれ量から障害釘200の曲がり具合を特定することで、障害釘200の頭部200bの遊技盤面2aからの長さ寸法を特定できる。つまり、頭部200bは設定位置からXY軸方向へずれていなくても、胴部200aが曲がっていたりする不具合を把握できるため、障害釘200の植設状態を高精度で検査することができる。
尚、工程S7の第2整備の終了後に行う第2検査で異常が検知された障害釘200については、管理コンピュータ500(CPU502)が第2整備データに対応する修正整備データ(再第2整備データ)を作成し、該修正整備データにもとづいて整備用アーム301の挟持部403を動作させる。この第2整備と第2検査とは、第2整備後の障害釘200の頭部200bが指定位置の許容範囲内に配置されるまでまたは第2整備の回数が所定回数となるまで繰返し行われ、これら第2整備と第2検査とが行われる毎に第2整備完了データが管理コンピュータ500に送信される。
また、本実施例では、第2検査において、管理コンピュータ500(CPU502)は、第1接触辺602Lと第2接触辺602Rとの基点RPを指定位置に向けて移動する途中で第1接触辺602Lまたは第2接触辺602Rに接触したときにかかる負荷により、各検査点P1,P2における指定位置からのずれ量にもとづいて胴部200aの曲がり具合を特定する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、基点RPが検査開始位置から障害釘200に当接する位置までに移動した移動量及び移動方向(移動軌跡)にもとづいて各検査点P1,P2における指定位置からのずれ量を計測し、胴部200aの曲がり具合を特定するようにしてもよい。
また、本実施例では、検査用工具600を用いて第2検査を行う形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、障害釘整備装置300においてカメラによって第2検査を行うようにしてもよい。
次いで、工程S4及びS9における第1釘検査装置17A及び第2釘検査装置17Bが行う障害釘200の検査について図16にもとづいて説明する。図15は、(A)は図4における第1釘検査装置及び第2釘検査装置の内部構造を示す平面図、(B)は(A)のB−B断面図である。尚、本実施例における第1釘検査装置17A及び第2釘検査装置17Bは同一構成であるため、第1釘検査装置17Aの構成のみ説明し、第2釘検査装置17Bの構成の説明を省略する。
図13に示すように、第1釘検査装置17Aの内部には、立設する複数の脚部42により所定の高さに配置される平面視矩形状のフレーム43と、フレーム43の中心下方側、すなわち、斜め下方側を向いた状態でフレーム43に沿って複数固定されるカメラ44(本実施例では6個)と、が配設されており、フレーム43の下方を前述した搬送装置13により遊技盤2が通過するようになっている。遊技盤2がフレーム43の下方に搬送されると、第1釘検査装置17Aは搬送装置13を停止させ、複数のカメラ44により遊技盤2全体を撮影する。そして、複数のカメラ44による画像データを、装置番号や二次元コード15aの読み取りデータ等とともに管理コンピュータ500に送信する。
管理コンピュータ500(CPU502)は、受信した画像データを統合処理して各障害釘200の頭部200bの位置(座標)を特定するとともに、記憶装置505に記憶されている各障害釘200の頭部200bの設定位置(指定位置)と照合し、設定位置からのずれがないか否かを検査する。
このように、第1釘検査装置17Aでは、斜め下方側を向く複数のカメラ44により遊技盤2の周囲からその全体を撮影し、その画像データを管理コンピュータ500にて統合処理して各障害釘200の位置を特定するため、各障害釘200の前後左右方向の位置(X軸、Y軸方向の位置)だけでなく、各障害釘200の高さ方向の位置(Z軸方向の位置)も把握することができ、各障害釘200の植設状態を高い精度で検査することができる。
尚、本実施例では、各障害釘200の位置を把握するものの一例として、複数のカメラ44により各障害釘200を撮影する態様について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各障害釘200の位置を把握できるものであれば、例えば、音波センサや光学センサ等であってもよい。
このように、CPU502は、第1検査では、第2釘検査装置17Bのカメラ44により撮影した撮影画像にもとづいて、各障害釘200の頭部200bが設定位置の許容範囲内に配置されているか否かを判定するのに対し、第2検査では、検査用工具600に設けられた測定部602(力覚センサ)により各障害釘200の頭部200bが指定位置の許容範囲内に配置されているか否かを判定することで、第1整備よりも障害釘200の状態を詳細に判定できるため、精度が高い整備を行うことが可能となる。
次いで、管理コンピュータ500の記憶装置505に記憶される種々のデータ及びデータの設定方法等について、図17〜図27を用いて説明する。図17は、シールに印刷される二次元コード及びその他の情報を示す図である。図18は、記憶装置に記憶されている機種登録情報一覧を参照するときに表示装置507に表示されるインタフェースを示す図である。図19は、記憶装置に機種登録情報を新規登録する際に表示装置507に表示されるインタフェースを示す図である。図20は、特定の各障害釘の整備データを設定する際に表示装置507に表示されるインタフェースを示す図である。図21は、ヘソ釘の整備データを設定する際に表示装置507に表示されるインタフェースを示す図である。図22は、任意釘の整備データを設定する際に表示装置507に表示されるインタフェースを示す図である。図23は、標準整備の位置と測定結果との関係並びに測定結果にもとづく補正データの一例を示す図である。図24は、表示装置507に表示される釘整備方式設定画面を示す図である。図25は、本実施例の釘打ちデータテーブルを示す図である。図26は、本実施例の第2画像検査テーブルを示す図である。図27は、本実施例においてプリンタ508により出力される釘間測定書を示す図である。
図18に示すように、記憶装置505には、複数の機種登録情報が予め記憶されている。この機種登録情報は、遊技盤2の種別である品目コード、材質(ベニヤ板か合成樹脂板か)、釘位置精度、釘高さ精度、風車釘位置精度、風車釘高さ精度、整備釘位置精度(指定釘位置精度)、整備釘高さ精度(指定釘高さ精度)、カメラ設定ファイル…等が登録されている。ここで言う、釘位置精度、釘高さ精度、風車釘位置精度、風車釘高さ精度、整備釘位置精度、整備釘高さ精度は、許容される誤差の範囲(許容範囲)である。また、遊技盤2の種別は、例えば遊技盤面2aが平坦である、または起伏がある(3D仕様)等、多種多様であり、カメラ設定ファイルは、遊技盤2の機種に合わせて前述したカメラ44の撮影角度を設定するためのデータである。
この各品目コードには、各遊技盤2に貼付された二次元コード15aに付与されたシリアル番号(固有のID)、整備データ、後述するゲージデータ等が関連付けて記憶されている。したがって、前述した読み取り用カメラにより二次元コード15aが読み取られると、管理コンピュータ500は、読み取ったシリアル番号に対応する品目コードを抽出し、品目コードに関連付けて記憶された各種装置の動作パターンデータやゲージデータ等を抽出し、その情報にもとづいて各種装置が前述した工程S3〜S9の作業を行うようになっている。
また、機種登録情報一覧参照用のインタフェースには、記憶装置505に機種登録情報を新規登録する際の新規追加ボタンが設けられている。この新規追加ボタンを選択すると、図19に示すような記憶装置505に機種登録情報を新規登録するためのインタフェースが表示装置507に表示される。記憶装置505に機種登録情報を新規登録する際には、該インタフェースにて、先ず、品目コードを図示しないキーボードで入力するか、自動入力ボタンを押して図示しない品目コード一覧から該当する品目コードから選択して入力する。次いで、遊技盤2の機種に応じて割り当てられる固有の釘配列であるゲージデータを入力する。このゲージデータは、参照ボタンを押して図示しないゲージデータ一覧から該当するゲージデータを選択して入力する。その後、前述したカメラ設定ファイル、各種釘精度を入力する。また、新規登録用のインタフェースには、各種の整備用工具400(正確ドライバーともいう)による整備データと、任意釘の整備方向と角度と、を設定するボタンがある。
正確ドライバーの整備データの設定ボタンを選択すると、図20に示すように、正確ドライバーの整備データを設定するためのインタフェースが出現する。このインタフェースには、整備箇所(指定釘の種類)、釘番号、中心位置X,Y(頭部200bの座標データ)、整備用工具400の進入方向、整備データ(動作パターンデータ)…等の正確ドライバー一覧と、ゲージデータ画像(図20の下段参照)と、が表示されている。このインタフェースに表示される整備箇所(指定釘の種類)に、前述した指定釘204〜208等を入力することで、指定釘を設定できるようになっている。
この正確ドライバー一覧における整備データの欄においては、プルダウン方式で複数の動作パターンデータの内から1つの動作パターンデータを選択できるようになっているとともに、釘番号、中心位置X,Y(頭部200bの座標データ)、整備用工具400の進入方向、を設定できるようになっている。
また、正確ドライバー一覧の下段には、ヘソ設定、チャッカー設定、通過ゲート設定、三角設定等のボタンが配置されており、任意のボタンを選択することにより、該ボタンと関連付けられた整備箇所が正確ドライバー一覧にて選択される。この正確ドライバー一覧から任意の整備箇所を選択(本実施例では、ヘソ釘を選択)すると、ゲージデータ画像にて選択した障害釘200の周囲が色づけされ、作業者がどの整備箇所を選択したか把握し易くなっている。尚、本実施例では、正確ドライバー一覧から任意の整備箇所を選択した際に、ゲージデータ画像にて選択した障害釘200の周囲が色づけされたが、これに限られず、作業者がどの整備箇所を選択したか把握し易くなっていれば、ゲージデータ画像にて選択した障害釘200の周囲または障害釘200自体が点灯または点滅するようにしてもよい。
正確ドライバー一覧にて任意の整備箇所を選択した状態で例えばダブルクリック等の動作を行うと、図21に示すように、任意の整備箇所(本実施例では、ヘソ釘)の整備データ設定用のインタフェースが出現する。このインタフェースでは、各整備データ(動作パターンデータ)毎に釘振り角度、釘振り移動量、Z軸方向移動量、停止時間、釘振り速度をそれぞれ設定できるようになっている。このように、整備箇所(指定釘の種類)毎に、様々な整備データ(動作パターンデータ)の設定を行うことができるため、特定の障害釘200を所望の植設状態にするための設定が簡便である。
また、前述した新規登録用のインタフェースにて、任意釘の整備方向と角度を設定するボタンを選択すると、図22に示すように、任意釘の整備方向と角度を設定するためのインタフェースが出現する。このインタフェースには、釘番号、中心位置X,Y(頭部200bの座標データ)、高さ、方向、角度、ドライバーの種類(整備用工具の種類)…等の登録リスト一覧と、ゲージデータ画像(図22の下段参照)と、が表示されている。このインタフェースにおけるゲージデータ画像には、特定の障害釘200が色づけされており、且つ登録リスト一覧にて選択された釘番号の障害釘200が区別され(本実施例では、丸で囲っている)、作業者が選択中の障害釘200を把握し易くなっている。これによれば、特定の障害釘200の種類に関わらず、1本の障害釘200毎に整備できるようになるため、より細やかに特定の障害釘200を所望の植設状態に整備することができるようになっている。
次に、記憶装置505に記憶されている本実施例の補正データについて、図23を用いて説明する。補正データは、障害釘200の整備精度を高めるためのものであり、実際に、障害釘整備装置300において、同一の整備を行ったとしても、整備する位置が異なると、異なる整備結果となる場合があるとともに、例えば、回転台312に近い位置では障害釘200の間隔が狭く、回転台312から遠い位置では障害釘200の間隔が広くなるように、整備結果に偏りを生じる場合がある。更に、このような整備位置による整備結果の違いや偏りは、障害釘整備装置300によって、その傾向等がそれぞれ異なり、いわゆる個体差がある。よって、これら整備位置や個体差による整備結果の不均一を、補正データ等によって解消することで障害釘200の整備精度を高めることができる。
よって、補正データは、障害釘200、特には、指定釘204〜208の障害釘200の間隔を所望の寸法とするときに、当該所望の寸法を補正することで、実際の第2整備において所望の寸法に整備されるようにするためのデータであって、遊技盤2を載置するテーブル302の各位置における標準整備の測定値によって設定されるようになっている。
具体的には、本発明の整備可能位置である遊技盤2を載置するテーブル302上の領域は、図23に示すように、前後方向に10段、左右方向にA〜Eの5列から成る50分割(10×5)された領域が設定されており、該分割された各領域において、材質、工具、板温度、湿度等の各条件を変更して、障害釘200の間隔を12.00ミリに整備する標準整備を、当該障害釘整備装置300において実行し、各領域の障害釘200の間隔を実測して、その実測データから補正値を算出する。尚、補正値は、同一の整備条件(材質、工具、板温度、湿度等)において、複数回数(例えば10)の標準整備を行い、その平均値から算出すればよい。
これら各領域において標準整備された障害釘200の間隔は、例えば、図23に示すように、12.00ミリと同一の間隔の領域もあれば、12.00ミリよりも狭い領域や、12.00ミリよりも広い領域があり、これらの障害釘200の実際の間隔と標準整備の設定値である12.00ミリとから、補正データが算出される。
つまり、これらの補正データの一例としては、例えば、標準整備の設定値である12.00ミリを、実際の測定値にて除した値を使用することができる。具体的には、測定値が12.05ミリであれば、該12.05ミリで12.00ミリを除した値である0.9959が補正値データとなり、実際に整備したい間隔が11.50ミリであれば、該11.50ミリに補正データを乗算した値を整備において指示する間隔とすればよいことになる。
これら補正データは、上述したように、遊技盤2の材質、板温度、湿度等の各種の条件の組み合わせ毎に作成されて記憶装置505に記憶されている。
よって、管理コンピュータ500は、第2整備を実行する際には、該補正データのうち、障害釘整備装置300から送信される板温度や湿度等の条件に合致する補正データであって、整備対象の障害釘200が打設されている位置が該当する領域の補正データを特定し、該特定した補正データにより指示する間隔を補正して第2整備データを作成する。
尚、本実施例においては、上述したような補正データを使用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、実際の寸法との差がどの程度の割合(%)であるかを算出し、該割合(%)を補正値とする等のように、実際においては、作成する第2整備データの算出が容易となるような補正データを使用すればよい。
尚、本実施例では、管理コンピュータ500においては、これら第2整備の整備方式を、上記した補正データを使用する整備方式と、補正データを使用しない整備方式とのいずれの整備方式にて整備するかを、所定の設定操作を実行することによって表示装置507に表示される釘整備方式設定画面において設定できるようになっている。
本実施例の釘整備方式設定画面には、図24に示すように、釘整備方式である「1装置完結方式」と「複数装置分担方式」とに対応してチェックボックスが設けられており、該チェックボックスを排他選択できるようになっている。
「1装置完結方式」は、上記した補正データを用いて各障害釘整備装置300において、1の遊技盤2の整備を全て実行する整備方式である。つまり、各障害釘整備装置300では、図23に例示するように、良好な整備ができる領域が異なっており、障害釘整備装置300毎にクセが生じる。よって、これら良好な整備ができる領域以外の領域については、補正データを活用して、良好な整備となるように、指示する第2整備データを補正して1の障害釘整備装置300にて全ての領域の障害釘200について第2整備を完了する整備方式である。
一方、「複数装置分担方式」とは、複数の障害釘整備装置300で、第2整備する範囲を分担して整備することで、個々の障害釘整備装置300に整備のくせ(誤差)があっても、各遊技盤2の同一の範囲の障害釘200に関しては、同一のくせ(誤差)によって整備されているため、遊技盤2毎の品質にバラツキを押さえことができる整備方式である。
よって、釘整備方式設定画面には、図24に示すように、「複数装置分担方式」の項目内には、製造ライン12に配置されている障害釘整備装置300の装置番号と、当該装置番号の障害釘整備装置300が第2整備する範囲を、6つの範囲R1〜R6から選択して設定できるようになっている。尚、範囲R1〜R6は、遊技盤2の範囲を6つに分割した範囲であり、該範囲を選択する場合には、対応する障害釘整備装置300の標準整備の測定データ(図23参照)において、測定した間隔が12.00ミリから所定の基準値内、例えば、±0.02ミリにある領域を選択するようにすることが好ましい。但し、これら範囲内に該当する領域全てが所定の基準値内であることを満たす必要はなく、領域全てが所定の基準値内である範囲がない場合にあっては、所定の基準値内であることを満たす領域が多い範囲を選択するようにしてもよい。尚、これらの選択は、操作者が操作によって入力するのではなく、管理コンピュータ500が、自動的に選択するようにしてもよい。
また、基準値は、上記したものに限定されるものではなく、製品の性質や障害釘200の種別等に応じて適宜に決定されればよい。
このように、釘整備方式設定画面において整備方式として「複数装置分担方式」が設定された場合には、管理コンピュータ500からは、各障害釘整備装置300に対して、該釘整備方式設定画面において各障害釘整備装置300に設定された、範囲R1〜R6のいずれかの範囲、つまり、所定の基準値内であることを満たす領域を有する範囲の障害釘200を第2整備し、他の範囲の障害釘200については第2整備を行わないことを指示する第2整備データが送信されることで、各障害釘整備装置300において、それぞれ別の範囲の第2整備が実行される。尚、これら「複数装置分担方式」における第2整備データは、「1装置完結方式」の第2整備データとは異なり、補正データにより補正しないので、管理コンピュータ500において、これら第2整備データを作成する処理の処理負荷を低減することができ、迅速に第2整備データを障害釘整備装置300に送信することができる。
尚、「複数装置分担方式」は、上記したように、整備にくせ(誤差)があったとしても、全ての遊技盤2が同様の誤差を含むようになり、遊技盤2の間ではバラツキを生じないことになるので、整備不良となる領域を含まない範囲であれば、所定の基準値内である領域が多い範囲ではない範囲を指定してもよい。
図24に示す例では、製造ライン12に設置された01番の障害釘整備装置300が範囲R1を第2整備し、02番の障害釘整備装置300が範囲R3を第2整備し、03番の障害釘整備装置300が範囲R4を第2整備し、05番の障害釘整備装置300が範囲R6を第2整備し、06番の障害釘整備装置300が範囲R5を第2整備する設定例が示されており、01番〜06番の6台の障害釘整備装置300が分担して第2整備を行う形態が例示されている。
尚、これら障害釘整備装置300に整備のくせ(誤差)は、通常において、整備を実行する回数等応じて変化することが多いことから、これら整備のくせ(誤差)を再度測定して、分担する範囲の変更(ローテーション)を検討するタイミングを特定するためのローテーション検討整備カウンタ設定の項目が設けられており、該項目に次回、分担する範囲の変更(ローテーション)を検討するまでの整備数を入力することで、各障害釘整備装置300にて第2整備を実行する毎にローテーション検討整備カウンタの値が1減算されていき、第2整備を分担するいずれかの障害釘整備装置300のローテーション検討整備カウンタが「0」になったときには、再度、標準整備を実行して、分担する範囲の再設定が行われる。つまり、本実施例では、標準整備による測定(検出)が、再測定(再検出)を実行する実行条件である、ローテーション検討整備カウンタが「0」になった毎に実行する。
尚、本実施例では、再測定(再検出)を実行する実行条件を、第2整備の実行回数とした形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら実行条件を、所定期間が経過する毎に一定周期にて実行するようにしてもよい。
次に、記憶装置505に記憶される本実施例の釘打ちデータテーブルについて説明する。本実施例の釘打ちデータテーブルには、図25に示すように、各釘打ち機16の装置番号に対応付けて、当該番号の釘打ち機16において釘打ちが行われた遊技盤2のシリアル番号や釘打ち時の日付や温度や湿度等の情報(データ)が記憶、管理されている。
よって、管理コンピュータ500は、遊技盤2のシリアル番号から、該遊技盤2の障害釘200を打設した釘打ち機16を、該釘打ちデータテーブルによって特定できるとともに、該釘打ち機16において障害釘200が打設された日付やそのときの温度や湿度等の製造条件も特定できるようになっている。
尚、これらのデータは、釘打ち機16において障害釘200の打設が完了したときに、装置番号や二次元コード15aの読み取りデータとともに送信される釘打ち作業完了データに含まれる温湿度データが格納されるが、本発明はこれに限定されるものではなく、釘打ち機16において打設を開始するときに送信されるデータ送信要求時のデータに温湿度データを含めるようにし、該データ送信要求時のデータに含まれる温湿度データを格納するようにしてもよい。
また、図25には示していないが、管理コンピュータ500の記憶装置505には、釘打ちデータテーブルと同様に、各障害釘整備装置300の装置番号に対応付けて、当該番号の障害釘整備装置300において最終の第2整備が行われた遊技盤2のシリアル番号や整備時の日付や温度や湿度等の情報(データ)が記憶、管理されている障害釘整備データテーブルも記憶されており、遊技盤2のシリアル番号から、該遊技盤2の障害釘200の第2整備した障害釘整備装置300を、該障害釘整備データテーブルによって特定できるとともに、該障害釘整備装置300において障害釘200が第2整備された日付やそのときの温度や湿度等の製造条件も特定できるようになっている。
尚、これらのデータは、障害釘整備装置300において前述した第2整備が完了したときに、装置番号や二次元コード15aの読み取りデータとともに送信される第2整備完了データに含まれる温湿度データ等が格納される。このように、本実施例では、第2整備を行った障害釘整備装置300の装置番号である装置番号に対応付けて、二次元コード15aに含まれるシリアル番号や温湿度データ等が障害釘整備データテーブルに記憶されるようになっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら第2整備についての障害釘整備データテーブルと同様に、第1整備を行った障害釘整備装置300から、該第1整備が完了したときに、該障害釘整備装置300の装置番号とともに送信される第1整備を行った遊技盤2の二次元コード15aの読み取りデータと温湿度データ等を含む第1整備完了データにもとづいて、第1整備を行った障害釘整備装置300の装置番号に対応付けて、該完了時データに含まれるシリアル番号や温湿度データ等を、第1整備の障害釘整備データテーブルに記憶することで、第1整備に関する情報も第2整備と同様に特定して、後述する釘間測定書に印刷出力されるようにしてもよい。
また、本実施例では、繰り返し第2整備(第1整備)が実行された場合には、最終の第2整備(第1整備)についてのデータを障害釘整備データテーブルに記憶するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら繰り返し第2整備(第1整備)が実行された場合には、各第2整備(第1整備)についてのデータも障害釘整備データテーブルに記憶するようにしてもよい。
また、障害釘整備データテーブルには、障害釘整備装置300における整備方式を記憶するようにしてもよい。更には、第2整備の方式として補正データを使用した「1装置完結方式」が実行された場合には、該第2整備の対象とした障害釘200について、該障害釘200の整備に用いた補正データ(補正値)も記憶して、後に確認できるようにしてもよいし、「複数装置分担方式」が実行された場合には、各範囲R1〜R6の第2整備を行った障害釘整備装置300の当該範囲の誤差(個体差)や補正データ(補正値)等の個体差情報も記憶して、後に確認できるようにしてもよい。さらには、これら整備方式や個体差情報を、図27に示す釘間測定書に記載するようにしてもよい。このようにすることで、障害釘整備データテーブルにおいては、遊技盤2を個々に識別可能な識別情報となるシリアル番号に対応付けて、該遊技盤2の障害釘200の第2整備についての本発明の個体差情報である補正データが記憶、管理されることになる。
また、本実施例の第2画像検査テーブルには、図26に示すように、各第2釘検査装置17Bの装置番号に対応付けて、当該番号の第2釘検査装置17Bにおいて第1検査が行われた遊技盤2のシリアル番号や検査時の日付や該検査時の温度や湿度等の情報(データ)が記憶、管理されている。
よって、管理コンピュータ500は、遊技盤2のシリアル番号から、該遊技盤2を第1検査した第2釘検査装置17Bを、該第2画像検査テーブルによって特定できるとともに、該第2釘検査装置17Bにおいて検査された日付や温度や湿度等の製造条件も特定できるようになっている。
尚、図26には、第2画像検査テーブルを例示しているが、管理コンピュータ500の記憶装置505には、第2画像検査テーブルと同様の第1画像検査テーブルも記憶されており、該第1画像検査テーブルには、各第1釘検査装置17Aの装置番号に対応付けて、当該番号の第1釘検査装置17Aにおいて検査が行われた遊技盤2のシリアル番号や検査時の日付や該検査時の温度や湿度等の情報(データ)が記憶、管理されていて、遊技盤2のシリアル番号から、該遊技盤2を1次検査した第1釘検査装置17Aを、該第1画像検査テーブルによって特定できるとともに、該第1釘検査装置17Aにおいて1次検査された日付や温度や湿度等の製造条件も特定できるようになっている。
これら管理コンピュータ500の記憶装置505に記憶されている各種のデータにもとづいて、本実施例では、図27に示す釘間測定書がプリンタ508により印刷出力され、遊技盤2の購入者であるパチンコ遊技機1の購入者に提供される。
本実施例の釘間測定書は、図27に示すように、紙面左半分に、遊技盤2の正面図が印刷され、紙面左半分に、製造や整備を行った装置や条件、指定釘の釘間の情報や、予め定められた重要性の高い障害釘200に関する情報が印刷されている。
具体的には、図27に示すように、遊技盤2の正面図には、A〜Fの記号が印字され、該A〜Fが遊技盤2のどの部分を指しているかが解るように表記されているとともに、紙面下方には、A〜Fの部分の入賞口の大きさの規定値が印刷されている。
また、遊技盤2の正面図には、遊技盤に打設される全ての障害釘200が丸の表示で印刷されているとともに、該障害釘200のうち、角度や方向等のデータが必要となる重要性の高い障害釘200については、黒丸の表示とされ、近傍に番号[1]〜[22]が印刷されている。
また、入賞口の大きさの規定値表示の右側には、障害釘200におけるどの位置の間隔がいずれの名称であるのかを説明する説明図が印刷されている。
釘間測定書の上部には、「釘間測定書」の表題と印刷された日付、機種名が印刷されている。また、紙面右上部には、シリアルナンバー、開発番号、釘打ちデータ名の各項目データが印刷されている。
また、紙面右部には、図27に示すように、「釘打ち日」、「釘打ち機番号」、「板厚」の釘打ちに関する情報が印刷されている。その下方には、「画像検査日」、「釘位置測定機」、「釘高さ精度 MAX」、「釘高さ精度 MIN」、「温度」、「湿度」、「板温度」の釘位置後の最初の画像検査に関する情報が印刷されている。
その更に下方には、「釘整備日」、「釘整備機」、「温度」、「湿度」、「板温度」の釘整備に関する情報が印刷され、その更に下方には、「画像検査日」、「釘位置確認機」、「温度」、「湿度」、「板温度」の最終確認の画像検査に関する情報が印刷されている。
また、更に下方には、紙面左の正面図において示されたA〜Fの入賞口の間隔に関する情報が印刷されている。
また、紙面右端には、紙面左の正面図において示された[1]〜[22]の障害釘200の「角度」、「方向」に関する情報が、各障害釘200の番号に対応付けて印刷されている。
尚、「角度」は、遊技盤面2aに垂直な角度が「0度」であり、遊技盤面2aの上方に向けて障害釘200の先端が傾斜している程、角度が大きくなるように表記されていることが図示にて示されているとともに、「方向」に関しては、障害釘200の上面視において、時計の針が示す時刻が該当する方向によって示されていることが図示にて示されている。
このように、本実施例の釘間測定書には、図27に示すように、障害釘200の整備に関する多くの情報が印刷されるようになっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら印刷される整備に関する情報の種類や内容や表示の方法は、適宜に変更可能である。つまり、整備に関する情報としては、障害釘200の整備に関する情報として、どの装置で釘打ちや整備がなされたかや、釘打ちや整備がなされたときの温度や湿度等の条件や、整備後の障害釘200の角度や向きや各入賞口の間隔等の情報のいずれかのみであってもよい。
また、本実施例では、図27に示すように、パチンコ遊技機1の購入者等の関係者が、直接読み取ることのできる釘間測定書を出力する形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、これら釘間測定書のページデータを、該釘間測定書が該当する遊技盤2のシリアル番号等のページ特定情報に対応付けて管理コンピュータ500に記憶しておき、該ページ特定情報を符号化したバーコードやシンボル化した2次元コード等のように、関係者が、直接読み取ることのできない暗号化した情報のみを出力して、該暗号化した情報を、所定の端末で読み取ることにより、ページ特定情報を抽出して、該抽出したページ特定情報に対応付けて管理コンピュータ500に記憶されている釘間測定書のページデータを入手して表示するようにしてもよい。また、管理コンピュータ500ではなく、特定の管理サーバコンピュータに、これら釘間測定書のページデータを遊技盤2のシリアル番号等のページ特定情報に対応付けて記憶しておき、該特定の管理サーバコンピュータにアクセスして、ページ特定情報を専用ページにおいて入力することで、釘間測定書のページデータが配信されて、関係者の利用可能な端末(例えば、スマートホンやタブレット)等に表示されるようにしてもよい。このように、関係者が、直接読み取ることのできない暗号化した情報のみを出力するようにすることで、出力される整備に関する情報が改竄され難くなるので、整備に関する情報のセキュリティ性を高めることができる。
尚、これらページ特定情報を符号化したバーコードやシンボル化した2次元コードを出力する場合には、これらバーコードや2次元コードのみを出力するのではなく、図17に示した二次元コード15aのように、該バーコードや2次元コードとともに、これらバーコードや2次元コードから特定される釘間測定書に記載されている整備に関する情報のうちの一部の情報、例えば、釘打ち日や釘整備日や入賞口等の測定値のデータを印刷出力することで、これらバーコードや2次元コードとともに印刷出力される整備に関する情報については、所定の端末等を使用しなくても、直接、読み取ることができるようにしてもよい。このようにすることで、所定の端末を使用できないときでも、整備に関する情報を確認できるようになる。
以上説明したように、本実施例によれば、図11に示すように、障害釘整備装置300において、第2整備の種類(釘種別、整備工具種別、整備変形量(整備動作))に応じて異なるクランプ制御パターンが決定されることにより、異なる保持制御が行われるため、遊技盤を好適に保持することができるので、異なる種類の整備を適切に行うことができる。尚、整備の種類は本実施例に例示したものに限らす、本実施例に例示した種類とは異なる種類であってもよい。具体的には、整備変形量(整備工具の移動量)ではなく、整備工具の移動速度が異なる整備や、整備工具の移動の経路や障害釘200に当接する位置の違い等であってもよい。
また、本実施例によれば、障害釘整備装置300のテーブル302において、遊技盤2は、遊技盤2に形成されたガイド孔に、該ガイド孔の内径よりも小径のガイドピンが挿通された状態で、該ガイドピンと交差する左右水平方向に付勢されているので、保持されている遊技盤の位置精度を高めることができる。
また、本実施例によれば、第1整備並びに第2整備において、最初の整備(一次整備)を実施した後に、整備した障害釘200の状態を検出して、該検出した状態が所定の適正状態になっているか否かを判定し、所定の適正状態になっていない場合には、検出した状態にもとづいて、最初の整備とは異なる再整備、具体的には、図6に示すように、再整備1回目では、整備動作の一例である変形例(整備量)を変更した整備、再整備2回目では、使用する整備用工具400を変更した整備、再整備3回目では、障害釘整備装置300を変更した整備を行うため、整備不良の障害釘の発生を防ぐことができる。
尚、前記実施例では、検出した状態が所定の適正状態になっているか否かの判定を、管理コンピュータ500において実施する形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの判定を各障害釘整備装置300側において行ったり、或いは、整備後の障害釘200の状態の検出を、第1釘検査装置17A及び第2釘検査装置17B等において行う形態の場合においては、これらの判定を各第1釘検査装置17A及び第2釘検査装置17Bで行う、つまり、障害釘200の状態の検出を行う装置側において行うようにしてもよい。
また、本実施例によれば、再整備を所定回数(本実施例では3回)おこなっても、障害釘200の状態が所定の適正状態になっていない場合には、第1整備や第2整備を終了して、製造ライン12からの排出対象に設定されるので、必要以上に再整備(第2次整備)が繰り返し行われて、製造効率が低下してしまう等の不都合の発生を防ぐことができる。
また、本実施例によれば、図23に示すように、遊技盤面2a上の異なる領域(位置)の各障害釘200の間隔を標準状態である12.00ミリとする標準整備を行って(標準整備工程)、該標準整備がなされた各障害釘200の間隔と標準状態である12.00ミリとの誤差である個体差を検出するために標準整備後の障害釘200の間隔を検出し(釘状態検出工程)、該検出によって得られた個体差から各領域毎の補正データが作成され、管理コンピュータ500において、整備方式として「1装置完結方式」が設定されている場合には、整備対象の障害釘200が設けられている領域(位置)に対応する補正データにより補正された第2整備データにもとづいて第2整備が行われるので、位置の違いによる整備不良の障害釘200の発生を防ぐことができる。
また、本実施例によれば、上記したように、標準整備(標準整備工程)、該標準整備がなされた各障害釘200の間隔と標準状態である12.00ミリとの誤差である個体差を検出し(釘状態検出工程)、管理コンピュータ500において、整備方式として「複数装置分担方式」が設定されている場合には、個体差が良好な整備を行うための予め定められた基準値内である領域(位置)が属する範囲(範囲R1〜R6のいずれか)について障害釘200の第2整備を行い、該基準値内にない領域(位置)、つまり釘整備方式設定画面において当該障害釘整備装置300に対して設定されていない範囲の障害釘200の整備は行わない(良好部分整備工程)ことで、位置の違いによる整備不良の障害釘200の発生を防ぐことができる。
尚、前記実施例では、管理コンピュータ500において、整備方式を「1装置完結方式」と「複数装置分担方式」から選択して設定できる形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの一方の整備方式のみを行うものであってもよい。
また、本実施例によれば、障害釘整備装置300において、検出用ピンGと位置ズレ確認工具400’とによる位置ズレ確認ができるので、位置ズレによる整備精度の低下を防ぐことができる。尚、前記実施例では、位置ズレ確認手段として、検出用ピンGと位置ズレ確認工具400’とを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら検出用ピンGと位置ズレ確認工具400’を用いる方式以外の方式によって、位置ズレを確認するようにしてもよい。
また、本実施例によれば、標準整備による個体差の再測定(再検出)を実行する実行条件(再検出実行条件)が成立する毎に、標準整備による再測定(再検出)が実行されるので、整備によって誤差(個体差)が変化しても、該変化に対応した整備を行うことができる。
また、本実施例によれば、障害釘整備データテーブルにおいて遊技盤2のシリアル番号に対応付けて、該遊技盤2の障害釘200の第2整備についての補正データ等の個体差情報が記憶、管理されるので、各遊技盤2について個体差情報を管理できる。
また、本実施例では、パチンコ遊技機1の遊技盤面2aに設けられた複数の障害釘200の整備を行うものであって、複数の障害釘200のうち予め定められた設定位置からのずれが許容範囲外である障害釘200に対して工程S5にて行う第1整備と、複数の障害釘200のうち予め指定された障害釘(例えば、指定釘204〜208)に対して工程S7にて行う第2整備と、を実行可能であり、第2整備では、第1整備とは内容が異なる整備を行う。このようにすることで、第1整備では、複数の障害釘200について設定位置からのずれを一様に整備することができるとともに、第2整備では、予め指定された障害釘についてずれの整備とは内容が異なる整備を行うことができるため、障害釘200の釘配列(ゲージ)等に応じた細かい整備が可能となる。
本発明の障害釘整備システムは、パチンコ遊技機1の遊技盤面2aに複数の障害釘200を打ち込むための釘打ち機16と、複数の障害釘200各々について予め定められた設定位置からのずれが許容範囲内にあるか否かを判定する第1釘検査装置17Aや第2釘検査装置17Bと、複数の障害釘200の整備を行う障害釘整備装置300と、釘打ち機16、第1釘検査装置17Aや第2釘検査装置17B、障害釘整備装置300の制御を行う管理コンピュータ500と、からなり、管理コンピュータ500は、遊技盤面2aに設けられた複数の障害釘200のうち特定の障害釘を指定する障害釘指定手段(例えば、正確ドライバーの整備データを設定するためのインタフェースに表示される整備箇所(指定釘の種類))と、障害釘整備装置300に対し、第1釘検査装置17Aや第2釘検査装置17Bにより設定位置からのずれが許容範囲外であると判定された障害釘に対する第1整備の実行を指示する第1整備指示手段(例えば、検査結果データを受信したCPU502が、工程S3にて打ち込まれた障害釘200のうち、工程S4の検査により頭部200bの設定位置に対するXY軸方向へずれが許容範囲外にあると判定された障害釘200を対象として、該障害釘200の頭部200bを設定位置の許容範囲内に配置するための第1整備データを作成し、該第1整備データを遊技盤2の搬送先の障害釘整備装置300へ送信して第1整備の実行を指示する部分)と、障害釘整備装置300に対し、前記障害釘指定手段にて指定した障害釘に対する第2整備の実行を指示する第2整備指示手段(例えば、CPU502が、複数の障害釘のうち、遊技盤2の種別に応じて予め指定した障害釘200(例えば、指定釘204〜208など)を対象として、該障害釘200の頭部200bを指定位置の許容範囲内に配置するための第2整備データを障害釘整備装置300へ送信して第2整備の実行を指示する部分)と、を有し、第2整備では、第1整備とは内容が異なる整備を行う。このようにすることで、第1整備では、複数の障害釘200について設定位置からのずれを一様に整備することができるとともに、第2整備では、予め指定された障害釘200についてずれの整備とは内容が異なる整備を行うことができるため、障害釘200の釘配列(ゲージ)等に応じた細かい整備が可能となる。
本発明の実施例としての管理装置は、パチンコ遊技機1の遊技盤面2aに設けられた複数の障害釘200の整備を行う障害釘整備装置300の制御を行う管理コンピュータ500であって、遊技盤面2aに設けられた複数の障害釘200のうち特定の障害釘を指定する障害釘指定手段(例えば、正確ドライバーの整備データを設定するためのインタフェースに表示される整備箇所(指定釘の種類))と、障害釘整備装置300に対し、第1釘検査装置17Aや第2釘検査装置17Bにより設定位置からのずれが許容範囲外であると判定された障害釘に対する第1整備の実行を指示する第1整備指示手段(例えば、検査結果データを受信したCPU502が、工程S3にて打ち込まれた障害釘200のうち、工程S4の検査により頭部200bの設定位置に対するXY軸方向へずれが許容範囲外にあると判定された障害釘200を対象として、該障害釘200の頭部200bを設定位置の許容範囲内に配置するための第1整備データを作成し、該第1整備データを遊技盤2の搬送先の障害釘整備装置300へ送信して第1整備の実行を指示する部分)と、障害釘整備装置300に対し、前記障害釘指定手段にて指定した障害釘に対する第2整備の実行を指示する第2整備指示手段(例えば、CPU502が、複数の障害釘のうち、遊技盤2の種別に応じて予め指定した障害釘200(例えば、指定釘204〜208など)を対象として、該障害釘200の頭部200bを指定位置の許容範囲内に配置するための第2整備データを障害釘整備装置300へ送信して第2整備の実行を指示する部分)と、少なくとも前記障害釘整備装置300から送信される前記整備に関する情報を含む障害釘に関する情報を、各遊技機毎に出力可能な出力手段(例えば、図27に示す釘間測定書を印刷出力するプリンタ508)と、を備え、前記第2整備では、前記第1整備とは内容が異なる整備を行う。このようにすることで、第1整備では、複数の障害釘200について設定位置からのずれを一様に整備することができるとともに、第2整備では、予め指定された障害釘200についてずれの整備とは内容が異なる整備を行うことができるため、障害釘200の釘配列(ゲージ)等に応じた細かい整備が可能となる。
また、障害釘整備装置300が複数である場合には、出力される釘間測定書には、複数の障害釘整備装置300のうち、該釘間測定書に記載された整備を行った障害釘整備装置300を特定可能な装置番号等の整備装置特定情報を含めることで、不良等が発生したときに、該不良のある整備を行った障害釘整備装置を容易に特定できる。
また、第1整備を行った後、第2整備を行うことで、第1整備でずれが整備された状態で第2整備を行うことができるため、第2整備を正確に行うことができる。
また、第1整備を行った障害釘200について設定位置からのずれが許容範囲内にあるか否かを判定する第1判定手段(例えば、管理コンピュータ500のCPU502は、第1整備を行った整備後の障害釘200について、各障害釘200が遊技盤面2aに対し直交するZ軸方向に対し上方に約4度傾斜しているか否かを、遊技盤2に対応するゲージデータから特定される各障害釘200の頭部200bの設定位置に対するXY軸方向への位置ずれ方向及び位置ずれ量などにもとづいて判定する部分)と、第2整備を行った障害釘200について予め定められた指定位置からのずれが許容範囲内にあるか否かを判定する第2判定手段(例えば、管理コンピュータ500のCPU502が、第2整備が行われた指定釘204の頭部200bが指定位置の許容範囲内に配置されているか否かを判定する部分)と、を備え、第1判定手段による判定方法と第2判定手段による判定方法とは異なることで、整備内容に応じた方法で効率よく判定することができる。
また、第2判定手段は、力覚センサを用いた測定結果にもとづいて、指定位置からのずれが許容範囲内にあるか否かを判定するので、整備された障害釘200の状態を詳細に把握することができる。
また、力覚センサは、第1接触辺602Lと、該第1接触辺602Lに対し交差するように配置される第2接触辺602Rと、を有し、第1接触辺602Lと第2接触辺602Rとの基点RPを指定位置に向けて移動する途中で第1接触辺602Lまたは第2接触辺602Rに接触したときにかかる負荷により、前記予め定められた指定位置からのずれが許容範囲内にあるか否かを判定するので、整備された障害釘200の状態を詳細に把握することができる。
また、管理コンピュータ500(CPU502)は、第1検査では、第2釘検査装置17Bのカメラ44により撮影した撮影画像にもとづいて、各障害釘200の頭部200bが設定位置の許容範囲内に配置されているか否かを判定し、カメラ44は所定のフレーム43に複数固定されているので、障害釘の状態を詳細に把握することができる。
また、外気の状態を測定可能な測定手段(例えば、湿度計や温度計)を有し、測定手段の測定結果にもとづいて第1整備と第2整備を行うことで、第1整備や第2整備の精度を高めることができる。
また、管理コンピュータ500(CPU502)は、第2検査では、検査用工具600に設けられた測定部602(力覚センサ)により各障害釘200の頭部200bが指定位置の許容範囲内に配置されているか否かを判定し、各検査点P1,P2における胴部200aの指定位置に対するXY軸方向のずれ量から障害釘200の曲がり具合を特定することで、障害釘200の頭部200bの遊技盤面2aからの長さ寸法を特定することができるため、障害釘200の状態を詳細に把握することができる。
また、障害釘200の胴部200aを挟むように配置可能な挟持部403と、挟持部403を動作させる動作手段(例えば、管理コンピュータ500のCPU502、障害釘整備装置300の整備用アーム301、整備用アーム301の駆動源など)と、を備え、動作手段により挟持部403を動作させることで該挟持部403により胴部200aが挟まれた障害釘を整備するものであって、動作手段は、挟持部403を遊技盤面2aに沿う方向であるXY軸方向と該遊技盤面2aに対し直交する方向であるZ軸方向とに移動させることが可能であり、挟持部403を移動させて胴部200aにおける第1位置に配置する第1ステップと、挟持部403を第1位置においてXY軸方向の一方向に傾ける第2ステップと、挟持部403を第1位置からZ軸方向へ移動させて該第1位置よりも遊技盤面2aから離れた第2位置に配置するとともにXY軸方向の他方向に傾ける第3ステップと、を実行可能である。このようにすることで、挟持部403をXY軸方向の一方向に傾けるだけでなく他方向に戻す動作を行うことで、胴部200aに対しバランスよく力を与えることができる。また、第1位置に配置した挟持部403をXY軸方向の一方向に傾けた後、他方向に戻すだけでなく第2位置へ移動させることで、胴部200aの一部のみに曲げ力が集中して作用することを回避できるので、胴部200aを途中で曲げることなく安定して整備することができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、新規に製造される遊技盤2について例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、工場から一度出荷されて使用済みの遊技盤2や、工場から一度出荷されて未使用の遊技盤2であってもよい。尚、これら使用済みの遊技盤2の整備を行う場合にあっては、出荷時の遊技盤2の障害釘200のデータ(例えば、釘間測定書のデータ)と、現状の障害釘200のデータとを比較して、これら比較したデータを、遊技場への取り扱いに関するアドバイス、遊技盤2の改良や開発、障害釘200の配置変更、劣化(変形)を見越した状態に整備内容を変更する等に活用するようにしてもよい。
また、前記実施例では、障害釘整備装置300において、風車61やセンター飾り枠51等の装飾物が装着されていない遊技盤2の障害釘200を整備する形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図31の変形例に示すように、釘打ち機16と第1釘検査装置17Aとの間に、風車等搭載装置Fや枠等搭載装置Wを配置し、図32に示すように、これら風車等搭載装置Fや枠等搭載装置Wによって風車61やセンター飾り枠51等の装飾物が装着された遊技盤2について障害釘整備装置300において整備を行うようにしてもよい。
また、これら風車等搭載装置Fや枠等搭載装置Wを配置する位置に、搬送装置13に投入するための投入口を設けて、上記した使用済みの遊技盤2や工場から一度出荷されて未使用の遊技盤2等を搬送装置13に投入して、第1釘検査装置17Aによる検査や障害釘整備装置300による整備を行うようにしてもよく、このように使用済みの遊技盤2等を整備する場合にあっては、図32に示すように、風車61やセンター飾り枠51等の装飾物が装着された遊技盤2と同様に、遊技盤2を水平にテーブル302に載置して整備するのではなく、図33に示すように、遊技盤2を垂直に立てた状態でテーブル302に載置し、固定して整備するようにしてもよい。また、使用済みの遊技盤2等の装飾物が装着されている遊技盤2の場合には図33のように立てた状態で整備し、装飾物が装着されていない遊技盤2の場合には、図8に示すように、水平の状態で整備するように、遊技盤2の種類や状態に応じて遊技盤2を整備する態様(載置方法)を異なる態様とするようにしてもよい。尚、図33のように、遊技盤2を垂直に立てた状態で整備する場合には、遊技盤2を遊技機用枠(台枠)3に取付けた状態で整備することもできる。
また、前記実施例では、第1整備や第2整備の実行指示や実行内容、第1検査や第2検査により頭部200bの設定位置や指定位置からのずれ方向やずれ量の判定を管理コンピュータ500のCPU502が実行するようにしていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、各障害釘整備装置300にて第1整備や第2整備の実行指示や実行内容、第1検査や第2検査により頭部200bの設定位置や指定位置からのずれ方向やずれ量の判定を実行するようにしてもよい。
また、前記実施例では、製造ライン12では、釘打ちから最終検査までの工程(工程S3〜工程S9)において、各遊技盤2は各工程で空いている装置が任意に搬送装置13から取り出していく形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、管理コンピュータ500が、整備する障害釘整備装置300に遊技盤2を振り分けるようにしてもよいし、各遊技盤2の整備履歴情報にもとづいて整備不備が多く発生している装置の装置番号を特定できるようにした場合、該整備不備が多く発生している装置を特定したときに、該装置には新たな整備データを送信しない、或いは、新たな遊技盤2を搬送しない、つまり、該装置を使用しないようにしてもよい。このようにすることで、整備不備の頻発を防ぐことができる。
また、前記実施例では、製造ライン12では、釘打ちから最終検査までの工程(工程S3〜工程S9)において、各遊技盤2は各工程で空いている装置に振り分けられていく仕様とされ、複数のうちいずれの装置で釘整備や釘打ちが行われるかが予め決定されていない形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、釘打ちから最終検査までの工程(工程S3〜工程S9)において、各遊技盤2がいずれの装置により整備されるかを予め決定していてもよい。
また、前記実施例では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機1を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、予め定められた球数の遊技球が遊技機内部に循環可能に内封され、遊技者による貸出要求に応じて貸し出された貸出球や、入賞に応じて付与された賞球数が加算される一方、遊技に使用された遊技球数が減算されて記憶される、所謂、封入式遊技機にも本発明を適用可能である。
また、前記実施例では、遊技媒体の一例として、球状の遊技球(パチンコ球)が適用されていたが、球状の遊技媒体に限定されるものではなく、例えば、メダル等の非球状の遊技媒体であってもよい。
また、前記実施例では、整備に関する情報である釘間測定書を印刷にて出力する形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの出力形態としては、釘間測定書を表示にて出力するものであってもよいし、釘間測定書のデータや釘間測定書に含まれるデータを、記録媒体に記録して出力する形態や、データとして外部に出力(送信)する出力形態としてもよい。
また、前記実施例では、図27に示す釘間測定書に、第2整備を行った指定釘204〜208等の番号が付された障害釘200のデータ全てを、直接読み取り可能に表記するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第1整備に関する情報については直接読み取り可能に表記するが、第2整備に関する情報については、直接読み取り不能に表記(例えば、符号化したデータにて表記)する等のように、第1整備と第2整備のいずれか一方に関する情報を直接読み取り可能に表記し、他方に関する情報を直接読み取り不能に表記するようにしてもよい。
また、釘間測定書には、第1整備と第2整備のいずれか一方に関する情報のみを表記するようにしてもよい。
また、前記実施例においては、第2整備を行った指定釘204〜208等の番号が付された障害釘200のそれぞれについて、角度や方向等の、他の障害釘200よりも詳細な情報を表記することで、重要性が高い障害釘200の詳細な情報を釘間測定書において確認できるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら指定釘204〜208等の番号が付された障害釘200についての情報を、他の障害釘200と同じ情報のみとしてもよいし、逆に、これら指定釘204〜208等についての詳細な情報を、指定釘204〜208以外の障害釘200の情報として表記するようにしてもよい。
また、前記実施例においては、釘間測定書に記載していないが、例えば、第1整備や第2整備において、再整備の有無や再整備を行った回数等のデータを記載するようにしてもよいし、これら第1整備や第2整備や再整備に使用された整備用工具400の種別等の情報を記載するようにしてもよい。
また、前記実施例においては、第1整備と第2整備とで、再整備を3回実行した場合に、製造ライン12から排出するようにして、再整備を行わない形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら再整備の上限回数は、3以外の回数であってもよいとともに、第1整備の上限回数と第2整備の上限回数とを異なる回数としてもよい。
また、前記実施例においては、補正データ(補正値)を、50に分割した各領域において標準整備を実施し、該標準整備後の障害釘200の間隔を測定して、設定値との誤差を特定し、該誤差により補正データ(補正値)を作成する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の方法によって補正データ(補正値)を作成するようにしてもよい。
また、前記実施例では、遊技盤の種別(ベニアか樹脂か)や、整備用工具、板温度、湿度毎に補正データを作成し、第2整備を行う際の整備条件に合致する補正データを読み出して、該補正データのうち、整備する障害釘200の位置に該当する補正値を使用して第2整備データを補正する形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら整備条件の項目(要素)等については、これらの項目(要素)が多いと、補正データの容量が膨大となって、補正に要する時間が長くなることから、これらの項目(要素)については、十分な整備精度が得られる範囲で、できるだけ少ない数とするようにすればよい。
また、前記実施例では、整備用工具400を検査用工具600に交換し、該交換した検査用工具600を用いて障害釘200の位置等の検出(検査)を行う形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、検査用工具600に交換することなく、整備用工具400を用いて障害釘200の位置等の検出(検査)を行うようにしてもよい。
また、前記実施例では、図23に示すように、予め定められた標準整備を整備可能範囲の各領域において予め実施し、該標準整備後の整備結果である障害釘200の実際の間隔と設定間隔との差に基づいて、障害釘200の整備方式として複数装置分担方式を設定した場合における、各障害釘整備装置300が整備を行う分担領域を決定する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、各障害釘整備装置300が行った整備によって管理コンピュータ500が蓄積している整備データを解析する等によって、各障害釘整備装置300が整備を行う分担領域を決定するようにしてもよい。