JP2017175720A - 給電装置およびワイヤレス電力伝送装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】不要な電力消費を抑制するとともに、受電装置への電力伝送開始までの応答性が高く、受電装置への電力伝送が可能な配置範囲を拡大させ、受電装置の位置が常に変動するような状況に対しても電力伝送が可能な給電装置およびワイヤレス電力伝送装置を提供すること。【解決手段】給電装置S2は、受電コイル装置40を搭載した受電装置S3へワイヤレスにて電力を伝送する給電装置S2であって、2つの磁性体11を有する磁性構造体10と、電源からの電力を受けて交流磁界を発生させる給電コイル装置20と、を備え、2つの磁性体11は、互いの主面同士が対向し、かつ、所定距離離間して配置され、給電コイル装置20は、2つの磁性体11の間の任意の位置に配置され、電力伝送時に、交流磁界を受けて、2つの磁性体11の間に、受電コイル装置40への電力伝送が可能な給電領域が形成される。【選択図】図1
Description
本発明は、ワイヤレスにて電力伝送が可能な給電装置およびワイヤレス電力伝送装置に関するものである。
電源コードを用いずに電力を供給するワイヤレス電力伝送技術が注目されている。ワイヤレス電力伝送技術は、給電側から受電側にワイヤレスで電力を供給できることから、電車、電気自動車等の輸送機器、家電製品、電子機器、無線通信機器、玩具、といった様々な製品への応用が期待されている。
こうした背景から、受電装置へワイヤレス電力伝送する給電装置の開発が活発化してきている。この給電装置では、利用者の利便性を向上させるため、受電装置が受電できる範囲を広くすることが求められており、給電装置のどこに配置しても受電装置へ電力伝送できる給電装置の開発要求が高まってきている。
例えば、特許文献1には、電池と誘導コイルを内蔵する電池内蔵機器を充電する充電台であって、誘導コイルに起電力を誘導する電源コイルと、電源コイルを移動させる移動機構と、誘導コイルの位置を検出して移動機構を制御し、電源コイルを誘導コイルに接近させる位置検出制御器とを備えた充電台が提案されている。この充電台では、ケースの上面プレートに電池内蔵機器が載せられると、この電池内蔵機器の位置が位置検出制御器で検出され、電池内蔵機器の位置を検出した位置検出制御器は、移動機構を制御して、移動機構でもって電源コイルを上面プレートに沿って移動させて電池内蔵機器の誘導コイルに接近させることにより、電池内蔵機器をケース上面のどこに載せても内蔵電池を充電できる充電台を実現している。
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、電源コイルを移動させるための移動機構として、サーボモータなどのアクチュエータが必要となるため、本来のワイヤレス電力伝送以外の用途に電力が消費されてしまうという課題があった。また、特許文献1に開示される技術では、位置検出制御器によって電池内蔵機器の位置を検出したのち、移動機構を制御して電源コイルを誘導コイルに接近するように移動させているため、電池内蔵機器が充電台に載せられてから内蔵電池への充電が開始されるまでに電源コイルと誘導コイルの位置合わせを行う時間を要してしまうことから、充電開始までの応答速度が遅いという課題もあった。またさらには、特許文献1に開示される技術は、電池内蔵機器を充電台の任意の位置に載せて充電するものではあるものの、電池内蔵機器を動かしながら充電するということは想定しておらず、充電台に載せた電池内蔵機器を移動させると、電源コイルの移動が電池内蔵機器の動きに追従できず、充電不良となる虞があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、不要な電力消費を抑制するとともに、受電装置への電力伝送開始までの応答性が高く、受電装置への電力伝送が可能な配置範囲を拡大させ、受電装置の位置が常に変動するような状況に対しても電力伝送が可能な給電装置およびワイヤレス電力伝送装置を提供することを目的とする。
本発明に係る給電装置は、受電コイル装置を搭載した受電装置へワイヤレスにて電力を伝送する給電装置であって、2つの磁性体を有する磁性構造体と、電源からの電力を受けて交流磁界を発生させる給電コイル装置と、を備え、前記2つの磁性体は、互いの主面同士が対向し、かつ、所定距離離間して配置され、前記給電コイル装置は、前記2つの磁性体の間の任意の位置に配置され、電力伝送時に、前記交流磁界を受けて、前記2つの磁性体の間に、前記受電コイル装置への電力伝送が可能な給電領域が形成されることを特徴とする。
本発明によれば、磁性構造体の2つの磁性体の間に配置される給電コイル装置から発生する磁束は、磁性構造体の一方の磁性体に流れ込み、一方の磁性体表面全体から空気中に放射され、磁性構造体の他方の磁性体へ流れ込み周回する。このとき磁性構造体の2つの磁性体の間に給電領域が形成されることになる。そして、受電コイル装置を2つの磁性体の間に配置すると、磁性体から放射される磁束が受電コイル装置を鎖交し、受電コイル装置に誘導起電力が生じる。したがって、受電コイル装置を2つの磁性体の間に配置することで、アクチュエータにより給電コイルを移動することなく、瞬時に受電コイル装置への電力伝送が開始される。その結果、不要な電力消費が抑制できるとともに、受電装置への電力伝送開始までの応答性を高くすることができる。加えて、給電コイル装置から発生し、磁性構造体の一方の磁性体へ流れ込んだ磁束は、当該磁性体表面全体から空気中に放射されることから、2つの磁性体の間のあらゆる領域に給電領域が形成されている。そのため、2つの磁性体の間を受電コイル装置が移動したとしても、電力伝送が可能となる。したがって、受電装置への電力伝送が可能な配置範囲を拡大できるとともに、受電装置の位置が常に変動するような状況に対しても電力伝送が可能となる。
好ましくは、前記2つの磁性体は、それぞれ複数の磁性板から構成されているとよい。一般的に、磁性体は形状が大きくなると製造時に変形し易くなる傾向があることから、歩留りが低下し高価なものになってしまう。これに対して、磁性体を複数の磁性板から構成することで、歩留りの低下を抑制し、低コスト化を図ることが可能となる。
好ましくは、前記2つの磁性体の互いの主面同士が対向する側とは反対面側の少なくともいずれか一方に電磁気遮蔽材を有するとよい。この場合、電磁気遮断材を設置することにより外部へ漏れるノイズを低減できる。
好ましくは、前記給電コイル装置は、前記2つの磁性体のうちの少なくともいずれか一方と絶縁材を介して接触するように配置されるとよい。給電コイル装置は2つの磁性体との距離でインダクタンス値が変化する。したがって、給電コイル装置を2つの磁性体の一方に接触させ配置することにより、磁性体との距離のバラツキが減り、給電コイル装置の配置によるインダクタンス値のバラツキを小さくできる。インダクタンス値のバラツキを小さく抑えると、発生する磁束のバラツキも小さく抑えることができる。これにより、安定的な給電が可能となる。
好ましくは、前記給電コイル装置は、前記2つの磁性体の間を移動可能に構成されているとよい。給電コイル装置から大きく離れた給電領域では、磁性体表面から放出される磁束の量が減少する。したがって、給電コイル装置から大きく離れた給電領域では、受電できる電力量が低下してしまう。これに対して、給電コイル装置が移動可能に構成されていることにより、給電コイル装置の移動に連動して、給電領域も変化させることができる。つまり、ある一定以上の電力供給が可能な給電領域を2つの磁性体の間の任意の位置に形成することができる。
好ましくは、前記2つの磁性体は、当該2つの磁性体の間の距離が、前記給電コイル装置が配置される位置から離れるにしたがって狭くなるように配置されているとよい。給電コイル装置から離れた位置の給電領域では、磁性体表面から放出される磁束の量が減少する。一方、2つの磁性体の間の距離を狭くすると狭くした部分の磁性体表面から放出される磁束の量は増える。したがって、給電コイル装置が配置される位置から離れるにしたがって、2つの磁性体の間の距離を狭くなるように配置することで、給電コイル装置から離れた位置の給電領域の磁性体表面から放出される磁束の量の減少する量を小さくできる。その結果、給電領域内の位置による磁性体表面から放出される磁束の量のバラツキが抑制され、受電装置の位置が常に変動するような状況に対しても、ある一定以上の電力を安定して供給可能となる。
好ましくは、前記2つの磁性体は、当該2つの磁性体の間の距離が、前記給電コイル装置が移動する先に向かって広くなるように配置されているとよい。給電コイル装置が移動する先の領域は、給電コイル装置が移動する前に比べて、給電コイル装置が移動して近づくと、2つの磁性体の間の磁性体表面から放出される磁束の量は増加する。そのため、給電コイル装置が移動する先の領域においては、給電コイル装置が近づいたことにより、電力の伝送量が増加し過大に電力を伝送してしまう。一方、2つの磁性体の間の距離を広くすると広くした部分の磁性体表面から放出される磁束の量は減る。したがって、2つの磁性体を、当該2つの磁性体の間の距離が、給電コイル装置が移動する先に向かって広くなるように配置することで、給電コイル装置の移動する先の領域の磁性体表面から放出される磁束の量の増加する量を小さくできる。その結果、給電コイル装置が移動する先の領域において、給電コイル装置の移動前と移動後の2つの磁性体の間の磁性体表面から放出される磁束の量のバラツキが抑制され、過大な電力を供給することなく、電力を安定して供給可能となる。
好ましくは、前記給電コイル装置は、前記2つの磁性体の対向方向から見て、互いに重なり合わない複数のコイル装置を含むとよい。給電コイル装置が配置されているところから離れた場所の給電領域では、磁性体表面から放出される磁束の量が減少する。そこで給電コイル装置を、磁性体が対向する方向から見て互いに重なり合わない位置に複数配置することにより、ある一定量以上の磁束が磁性体表面から放出される給電領域の範囲を拡大することができる。
好ましくは、前記給電コイル装置に電力を供給する給電電源装置をさらに備え、前記給電電源装置は、前記複数のコイル装置のうち、給電したい領域に応じて、電力を供給するコイル装置を選択するとよい。複数のコイル装置のうち、給電したい領域に応じて、電力を供給する給電コイル装置を選択することで、無駄な電力消費を削減できる。
好ましくは、前記給電コイル装置は、磁性コアに導線が螺旋状に巻回されて構成される給電コイルを含むとよい。同じインダクタンス値のコイルを作製する際、磁性コアを有するとコイルの巻き数を低減できる。したがって、コイルの抵抗値も低減でき、抵抗による電力損失が低減できる。
好ましくは、前記2つの磁性体を介して前記給電コイル装置と磁気的に結合し、前記2つの磁性体の間の任意の位置に配置される少なくとも1つの中継コイル装置をさらに備えるとよい。給電コイル装置から離れた給電領域では、磁性体表面から放出される磁束量が低下する。中継コイル装置を配置すると、磁性体から表面から放出される磁束が中継コイル装置を鎖交し磁束が変化すると中継コイル装置のコイルに電圧が発生する。発生電圧により中継コイル装置に電流が流れ、中継コイル装置より磁束が発生される。したがって、中継コイル装置を配置することにより給電コイル装置から離れた給電領域でも、磁性体表面から放出される磁束量の減少する量を小さくできる。
好ましくは、前記中継コイル装置は、磁性コアに導線が螺旋状に巻回されて構成される中継コイルを含むとよい。同じインダクタンス値のコイルを作製する際、磁性コアを有するとコイルの巻き数を低減できる。したがって、コイルの抵抗値も低減でき、抵抗による電力損失が低減できる。
好ましくは、前記給電コイル装置は、前記2つの磁性体の対向方向から見て、重なり合う2つのコイル装置を含み、前記2つのコイル装置の一方は、前記2つの磁性体の一方と絶縁材を介して接触するように配置され、前記2つのコイル装置の他方は、前記2つの磁性体の他方と絶縁材を介して接触するように配置されるとよい。この場合、給電コイル装置の配置によるインダクタンス値のバラツキを小さくできる。インダクタンス値にバラツキを小さく抑えると、発生する磁束のバラツキも小さく抑えることができる。これにより、安定的な給電が可能となる。
好ましくは、前記給電コイル装置に電力を供給する給電電源装置をさらに備え、前記給電電源装置は、前記2つのコイル装置の一方に印加する交流電圧の位相と前記2つのコイル装置の他方に印加する交流電圧の位相との間の位相ずらし量を制御するとよい。この場合、位相ずらし量に応じて、給電領域で受電する電力を制御することができる。
本発明に係るワイヤレス電力伝送装置は、上記給電装置と、受電コイル装置が搭載される受電装置と、を備えることを特徴とする。本発明によれば、不要な電力消費を抑制するとともに、受電装置への電力伝送開始までの応答性が高く、受電装置への電力伝送が可能な配置範囲を拡大させ、受電装置の位置が常に変動するような状況に対しても電力伝送が可能なワイヤレス電力伝送装置を提供することができる。
本発明によれば、不要な電力消費を抑制するとともに、受電装置への電力伝送開始までの応答性が高く、受電装置への電力伝送が可能な配置範囲を拡大させ、受電装置の位置が常に変動するような状況に対しても電力伝送が可能な給電装置およびワイヤレス電力伝送装置を提供することができる。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。
ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また以下に記載した構成要素は、適宜組み合わせることができる。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また以下に記載した構成要素は、適宜組み合わせることができる。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
まず、図1〜6を参照して、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1の全体構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置を示す概略斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置を示す概略斜視図である。図3は、図2における切断線I−Iに沿う給電装置の断面図である。図4は、図2における切断線II−IIに沿う磁性構造体の断面図である。図5は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の受電装置を示す概略斜視図である。図6は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置における給電電源装置を示す模式機能ブロック図である。なお、図3および図4においては、給電コイル装置20から発生する磁束として、代表的なものを矢印で示している。
まず、図1〜6を参照して、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1の全体構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置を示す概略斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置を示す概略斜視図である。図3は、図2における切断線I−Iに沿う給電装置の断面図である。図4は、図2における切断線II−IIに沿う磁性構造体の断面図である。図5は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の受電装置を示す概略斜視図である。図6は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置における給電電源装置を示す模式機能ブロック図である。なお、図3および図4においては、給電コイル装置20から発生する磁束として、代表的なものを矢印で示している。
ワイヤレス電力伝送装置S1は、図1、図2、図5に示されるように、給電装置S2と、受電装置S3と、を備える。給電装置S2は、磁性構造体10と、給電コイル装置20と、給電電源装置30と、を有する。受電装置S3は、受電コイル装置40と、出力回路部50と、を有する。なお、ワイヤレス電力伝送装置S1は、携帯機器などの小型電子機器への給電設備、電気自動車や工場用の搬送装置ならびにエレベータなどの移動体への給電設備など様々な機器の給電設備に適用できる。
まず、給電電源装置30について、図6を参照して説明する。給電電源装置30は、電源31と、電力変換回路32と、を有する。
電源31は、直流電力を電力変換回路32に供給する。電源31としては、直流電力を出力するものであれば特に制限されず、商用交流電源を整流・平滑した直流電源、二次電池、太陽光発電した直流電源、AC−DCコンバータ電源出力などが挙げられる。
電力変換回路32は、電源31に接続され、電源31から入力される直流電力を交流電力に変換する機能を有する。すなわち、電力変換回路32は、インバータとして機能することとなる。電力変換回路32は、複数のスイッチング素子(図示しない)がブリッジ接続されたスイッチング回路から構成される。このような電力変換回路32としては、フルブリッジ回路やハーフブリッジ回路などが挙げられる。この電力変換回路32から出力される交流電力は、給電コイル装置20に供給される。
続いて、磁性構造体10と、給電コイル装置20について、図1〜図4を参照して説明する。
磁性構造体10は、平板状の2つの磁性体11を有する。2つの磁性体11は、それぞれ外形形状が略直方体形状を呈しており、その外表面として、対向する略長方形状の第1および第2の主面11a,11bと、第1および第2の主面11a,11b間を連結するように第1および第2の主面11a,11bの長辺方向に伸びる第1および第2の側面と、第1および第2の主面11a,11b間を連結するように第1および第2の主面11a,11bの短辺方向に伸びる第1および第2の端面と、を有する。この2つの磁性体11は、互いの主面同士(第1の主面11a同士)が対向し、かつ、所定距離離間して配置されている。本実施形態では、2つの磁性体11の互いの主面が略平行となっている。つまり、2つの磁性体11の間の距離は常に一定となるように配置されている。なお、本実施形態では、2つの磁性体11は、略直方体形状を呈しているがこれに限られることなく、給電装置S2により電力伝送を行う受電装置S3の形状や形態に応じて、適宜任意の形状に設定することができる。また、2つの磁性体11の間の距離は、給電装置S2により電力伝送を行う受電装置S3の形状や形態、ならびに受電装置S3へ供給する電力量に応じて適宜設定される。さらに、2つの磁性体11は、当該2つの磁性体11の互いの主面同士の対向方向が、水平方向となるように配置されていてもよく、鉛直方向となるように配置されていてもよい。このように構成される2つの磁性体11としては、フェライト、パーマロイ、珪素鋼板などの磁性材料が挙げられ、比透磁率は高ければ高いほど好ましく、比透磁率1000以上の磁性材料を用いると好ましい。その理由としては、空気に対する比透磁率が高ければ高いほど、給電コイル装置20が発生する磁束が2つの磁性体11内を効率良く通過して電力伝送効率を向上できるためである。また、磁性材料は、電力変換回路32から給電コイル装置20に供給される交流電流の周波数に応じてコア損失が小さい磁性材料を選択するとよい。理由としては、コア損失が小さいほど、2つの磁性体11の発熱を抑制できるからである。例えば、電力変換回路32から給電コイル装置20に供給される交流電流の周波数が数kHz〜数百kHzの場合、磁性材料はフェライトから構成されていると好ましく、電力変換回路32から給電コイル装置20に供給される交流電流の周波数が商用周波数の場合、磁性材料は珪素鋼板から構成されていると好ましい。
給電コイル装置20は、電力変換回路32に接続され、電力変換回路32から供給される交流電力を受電コイル装置40にワイヤレスにて伝送する給電部として機能する。具体的には、給電コイル装置20は、導線を巻回して構成される給電コイルと、この給電コイルを収納する絶縁性を有する筐体を含み、この給電コイルに電力変換回路32から交流電圧が印加されると、交流電流が流れて交流磁界を発生させる。つまり、給電コイル装置20は、電源31からの電力を受けて交流磁界を発生させることとなる。ここで、図7および図8を参照して、給電コイル装置20の具体的な構成について詳述する。図7aは、給電コイル装置における給電コイルの導線を螺旋状に巻回した構造の一例を示す模式斜視図である。図7bは、給電コイル装置における給電コイルの導線を螺旋状に巻回した構造の他の例を示す模式斜視図である。図8aは、給電コイル装置の回路構成の一例を示す模式回路構成図である。図8bは、給電コイル装置の回路構成の第1変形例を示す模式回路構成図である。図8cは、給電コイル装置の回路構成の第2変形例を示す模式回路構成図である。図8dは、給電コイル装置の回路構成の第3変形例を示す模式回路構成図である。図8eは、給電コイル装置の回路構成の第4変形例を示す模式回路構成図である。給電コイル装置20の給電コイルは、導線を平面状に巻回したスパイラル構造のコイルであってもよく、導線を螺旋状に巻回したソレノイド構造のコイルであってもよい。構成する導線としては、銅、銀、金、アルミニウムなどの金属ワイヤが挙げられ、導線は単線の金属ワイヤから構成されていてもよく、金属ワイヤを多数本撚り合わせたリッツ線から構成されていても構わない。また、給電コイルの導線の巻数は、所望の電力伝送効率などに基づいて適宜設定される。ところで、ワイヤレス電力伝送の効率は、コイルのQ値が高いほど良好になる傾向がある。給電コイルをソレノイド構造のコイルから構成する場合は、図7aに示すように、磁性コア13に導線80を螺旋状に巻回して構成するとよい。このように、給電コイルに磁性コア13を用いることにより給電コイルのQ値を高くすることができる。具体的には、給電コイルが磁性コア13を有する場合と有さない場合とで比較すると、同じインダクタンス値の給電コイルを作製するには、磁性コア13を有する場合の方が給電コイルの導線80の巻数を低減できる。したがって、給電コイルの抵抗値も低減でき、抵抗による電力損失を低減できる。つまり、給電コイルの抵抗値を小さくすることで、給電コイルのQ値が上がり、電力伝送効率を高めることができる。なお、給電コイルが磁性コア13を有する場合、この磁性コア13が非絶縁材料から構成されると、給電コイルの導線80と磁性コア13との絶縁を確保する必要がある。例えば、磁性コア13を絶縁テープ(カプトンテープなど)で被覆し、その上に導線80を巻回して構成することで絶縁を確保してもよく、給電コイルの導線80自体が絶縁体に被覆されたポリエチレン絶縁電線やビニル絶縁電線などの絶縁被覆導体から構成することで絶縁を確保するようにしても構わない。あるいは、図7bに示すように、磁性コア13を中空筒状の絶縁材料から構成されるボビン90の内部に挿入し、ボビン90の外周面に導線80を巻回して構成することで、給電コイルの導線80と磁性コア13を簡単な構造で絶縁することができる。このとき、図7bに示すように、ボビン90の給電コイルの軸方向両端部に鍔部を設けてもよい。これにより、ボビン90の外周面に巻回した導線80がボビン90から脱落することを防ぐことができる。
また、給電コイル装置20は、コイルL1を含む様々な回路素子から構成される。例えば、給電コイル装置20は、図8aに示すように、コイルL1のみから構成されていても構わない。あるいは、給電コイル装置20は、コイルL1に接続され、コイルL1とともに共振回路を形成するキャパシタC1を備えていてもよく、例えば、図8bに示すように、コイルL1にキャパシタC1を直列接続して共振回路を形成するように構成されていてもよく、図8cに示すように、コイルL1にキャパシタC1を並列接続して共振回路を形成するように構成されていても構わない。さらに、給電コイル装置20は、図8dに示すように、コイルL1の両端にそれぞれキャパシタC1を直列接続して共振回路を形成し、これらキャパシタC1にそれぞれインダクタL2を直列接続して構成されていても構わない。共振回路の共振周波数は、インダクタンス値とキャパシタンス値で決定される。インダクタL2が直列接続されていない場合、共振周波数のインダクタンス値は、コイルL1のリーケージインダクタンス値である。リーケージインダクタンス値は、給電コイル装置20のコイルL1と受電コイル装置40のコイルとの結合度合いを示す結合係数Kで決定され、(1−K)×L1で表される。この式からもわかるように、結合係数Kが大きく変化するとリーケージインダクタンス値も大きく変化することとなる。したがって、共振周波数も大きく変化することになる。一方、共振回路のキャパシタC1にインダクタL2を直列接続すると、共振周波数のインダクタンス値は、((1−K)×L1)+L2となる。この場合、インダクタL2のインダクタンス値がある程度大きいと、結合係数Kが大きく変化しても共振周波数のインダクタンス値の変化をある程度抑えることができる。つまり、インダクタL2を備えることで、共振周波数の変化を小さくすることが可能となる。またさらには、給電コイル装置20は、図8eに示すように、給電コイルにキャパシタC1を直列接続して共振回路を形成し、この共振回路にノイズを低減することを目的としたコモンモードチョークコイルなどのノイズフィルターNを接続して構成されていても構わない。
この給電コイル装置20は、2つの磁性体11の間の任意の位置に配置される。これにより、電力伝送時に、給電コイル装置20が発生する磁束は、2つの磁性体11を通過して帰還する周回を描くこととなる。このとき、給電コイル装置20から発生し、2つの磁性体11の一方の磁性体11へ流れ込んだ磁束は、当該磁性体11表面全体から空気中に放射されることになる。つまり、電力伝送時に、給電コイル装置20が発生する交流磁界を受けて、2つの磁性体11の間に、後述する受電コイル装置40への電力伝送が可能な給電領域が形成される。なお、給電コイル装置20から効率的に2つの磁性体11に磁束を流れ込ませるという観点から、給電コイル装置20の給電コイルのコイル軸の軸方向が2つの磁性体11の互いの主面同士の対向方向と略平行となるように配置されると好ましい。
受電コイル装置40は、給電コイル装置20からの交流電力をワイヤレスで受電する受電部として機能する。具体的には、受電コイル装置40は、導線を巻回して構成される受電コイルと、この受電コイルを収納する絶縁性を有する筐体を含んでいる。構成する導線としては、銅、銀、金、アルミニウムなどの金属ワイヤが挙げられ、導線は単線の金属ワイヤから構成されていてもよく、金属ワイヤを多数本撚り合わせたリッツ線から構成されていても構わない。また、受電コイルの導線の巻数は、所望の電力伝送効率などに基づいて適宜設定される。この受電コイル装置40の受電コイルは、給電コイル装置20の給電コイルと同様、導線を平面状に巻回したスパイラル構造のコイルであってもよく、導線を螺旋状に巻回したソレノイド構造のコイルであってもよく、受電コイルがソレノイド構造のコイルの場合は、受電コイルが磁性コアを有していても構わない。また、受電コイル装置40は、給電コイル装置20と同様、コイルを含む様々な回路素子から構成され、コイルのみから構成されていてもよく、コイルに直列あるいは並列に接続され、コイルとともに共振回路を形成するキャパシタを備えていてもよく、コイル以外のインダクタやノイズフィルターを備えていても構わない。この受電コイル装置40は、磁性体11の表面から空気中に放射された磁束が受電コイル装置40の受電コイルに鎖交すると、受電コイルに起電力が発生し、交流電流が流れる。受電コイル装置40の受電コイルに流れた交流電流は後述する整流回路51に供給される。なお、効率的に磁束を鎖交させるという観点から、受電コイル装置40の受電コイルのコイル軸の軸方向が2つの磁性体11の互いの主面同士の対向方向と略平行となるように配置されると好ましい。
続いて、出力回路部50について、図9を参照して説明する。図9は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の受電装置を示す模式機能ブロック図である。出力回路部50は、図9に示すように、整流回路51と、負荷52と、を有する。
整流回路51は、受電コイル装置40に接続され、受電コイル装置40が受電した交流電力を整流して負荷52に出力する。整流回路51は、例えば図示しないブリッジダイオードと平滑用キャパシタから構成される。具体的には、ブリッジダイオードにより、受電コイル装置40から出力される交流電圧は全波整流され、さらに、平滑用キャパシタにより、全波整流された電圧が平滑される。ただし、負荷52が交流電力を要求する場合は、整流回路51は必ずしも必須構成ではない。この場合、受電コイル装置40に負荷52が直接接続され、受電コイル装置40が受電した交流電力は、整流平滑せず、直接負荷52に供給される。また、負荷52が受電コイル装置40で受電した交流電力の整流は必要ではあるものの、平滑する必要がない場合は、整流回路51の平滑用キャパシタは必ずしも必須構成ではない。この場合、整流回路51のブリッジダイオードの出力端に負荷52が直接接続され、受電コイル装置40が受電した交流電力は、整流されたのち負荷52に供給される。なお、本実施形態では、整流回路51が受電コイル装置40に接続されているがこれに限られることなく、整流回路51は、トランスを介して受電コイル装置40に接続されていても構わない。
負荷52は、整流回路51に接続され、整流回路51から出力される直流電力により動作するものである。具体的には、モーターなどが挙げられる。また、負荷20としては、エネルギーを蓄える電池なども挙げられる。負荷52としての電池には、再充電可能な二次電池(リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケル水素電池)などが挙げられる。
このような構成を備えることにより、給電装置S2から受電装置S3にワイヤレスにて電力が伝送されるワイヤレス電力伝送装置S1が実現される。
次に、図3および図4を参照して、本実施形態における給電コイル装置20が発生する磁束について、詳細に説明する。
給電コイル装置20に給電電源装置30から交流電圧が印加されると、交流電圧に基づく交流電流が流れ、交流磁界が発生する。そして、給電コイル装置20から発生する磁束は、図3に示されるように、給電コイル装置20から一方の磁性体11内に流れ込み、磁性体11の第1の主面11aのあらゆる部分から空気中に放射され、他方の磁性体11の第1の主面11aへ流れ込み、給電コイル装置20に至るように周回する。このとき、2つの磁性体11で形成される磁性構造体10は空気よりも格段に比透磁率が高い材質から構成されているため、給電コイル装置20から発生した磁束は、2つの磁性体11に沿って遠方にまで広がることとなる。これにより、2つの磁性体11の第1の主面11a上に広範囲の電力伝送が行われる給電領域が形成されることとなる。つまり、この給電領域が受電コイル装置40への電力伝送が可能な範囲となる。本実施形態では、2つの磁性体11の互いの主面同士(第1の主面11a同士)の間の空間において、電力伝送が可能となっている。電力伝送時、すなわち給電装置S2からの電力を受電するとき、この空間(2つの磁性体11の間に形成される給電領域)に受電コイル装置40が配置されると受電コイル装置40に電力が伝送される。また、受電コイル装置40は、この電力伝送が可能な空間内を動いていても電力が伝送される。
ここで、上述したように、給電コイル装置20から発生した磁束は、一方の磁性体11内に流れ込み、磁性体11の第1の主面11aから空気中に放射され、他方の磁性体11の第1の主面11aへ流れ込み、給電コイル装置20に至るように周回する。このとき、図4に示されるように、2つの磁性体11の第1の主面11aの端部(図示上部あるいは下部)から放射される磁束は、少し外側にカーブしながら他方の磁性体11に流れ込む。したがって、受電コイル装置40は、電力伝送時、2つの磁性体11の互いの主面同士(第1の主面11a同士)の間の空間内に完全に入らなくても磁束を鎖交することができ、電力を受電することが可能である。つまり、受電コイル装置40は、磁性体11の表面から空気中に放射される磁束に鎖交する領域であれば、当該コイル装置の一部あるいは全部が2つの磁性体11の互いの主面同士(第1の主面11a同士)の間の空間外に配置されていても構わない。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1の給電装置S2は、受電コイル装置40を搭載した受電装置S3へワイヤレスにて電力を伝送する給電装置S2であって、2つの磁性体11を有する磁性構造体10と、電源31からの電力を受けて交流磁界を発生させる給電コイル装置20と、を備え、2つの磁性体11は、互いの主面11a同士が対向し、かつ、所定距離離間して配置され、給電コイル装置20は、2つの磁性体11の間の任意の位置に配置され、電力伝送時に、交流磁界を受けて、2つの磁性体11の間に、受電コイル装置40への電力伝送が可能な給電領域が形成されている。そのため、磁性構造体10の2つの磁性体11の間に配置される給電コイル装置20から発生する磁束は、磁性構造体10の一方の磁性体11に流れ込み、一方の磁性体11表面全体から空気中に放射され、磁性構造体10の他方の磁性体11へ流れ込み周回する。このとき磁性構造体10の2つの磁性体11の間に給電領域が形成されることになる。そして、受電コイル装置40を2つの磁性体11の間に配置すると、磁性体11から放射される磁束が受電コイル装置40を鎖交し、受電コイル装置40に誘導起電力が生じる。したがって、受電コイル装置40を2つの磁性体11の間に配置することで、アクチュエータにより給電コイルを移動することなく、瞬時に受電コイル装置40への電力伝送が開始される。その結果、不要な電力消費が抑制できるとともに、受電装置S3への電力伝送開始までの応答性を高くすることができる。加えて、給電コイル装置20から発生し、磁性構造体10の一方の磁性体11へ流れ込んだ磁束は、当該磁性体11表面全体から空気中に放射されることから、2つの磁性体11の間のあらゆる領域に給電領域が形成されている。そのため、2つの磁性体11の間を受電コイル装置40が移動したとしても、電力伝送が可能となる。したがって、受電装置S3への電力伝送が可能な配置範囲を拡大できるとともに、受電装置S3の位置が常に変動するような状況に対しても電力伝送が可能となる。
(第2実施形態)
次に、図10および図11を参照して、本発明の第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の構成について説明する。図10は、本発明の第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置を示す概略斜視図である。図11は、図10における切断線III−IIIに沿う給電装置の断面図である。
次に、図10および図11を参照して、本発明の第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の構成について説明する。図10は、本発明の第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置を示す概略斜視図である。図11は、図10における切断線III−IIIに沿う給電装置の断面図である。
第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1同様、給電装置S2と、受電装置S3と、を備える。給電装置S2は、磁性構造体14と、給電コイル装置20と、給電電源装置30と、を有する。受電装置S3は、受電コイル装置40と、出力回路部50と、を有する。給電コイル装置20、給電電源装置30、受電コイル装置40、出力回路部50の構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1と同様である。本実施形態では、磁性構造体10に代えて、磁性構造体14を備える点において、第1実施形態と相違する。
磁性構造体14は、2つの磁性体15を有する。2つの磁性体15は、図10および図11に示すように、それぞれ複数の磁性板12が連結されて構成されている。具体的には、2つの磁性体15のそれぞれは、主面が略正方形状を呈している直方体形状の磁性板12を、隣り合う磁性板12の側面同士を連結するように並べて磁性板列を形成し、この磁性板列を各磁性板12の主面同士が対向するように複数(本実施形態では2つ)重ねて配置することにより、全体として略直方体形状を呈するように構成されている。2つの磁性体15の主面は、最も外側に配置される複数の磁性板12の主面によって形成されることとなる。ここで、図11に示すように、重ねて配置される複数の磁性板列のうち、一方の磁性板列を構成する磁性板12と他方の磁性板列を構成する12とは、互いの中心部同士が重なり合わないように配置されている。これにより、磁性体15の磁路抵抗を低くすることができる。磁路抵抗を低くすることにより、給電コイル装置20から発生した磁束が2つの磁性体15内を効率良く通過して電力伝送効率を向上する。したがって、互いの中心部同士を重ねても構成が可能だが、互いの中心部同士が重なり合わないように配置するとさらによい。この2つの磁性体15は、それぞれの磁性体を構成する複数の磁性板12の主面同士が対向する、すなわち2つの磁性体15の主面同士が対向し、かつ、所定距離離間して配置されている。本実施形態では、2つの磁性体15は互いの主面が略平行となっている。なお、本実施形態では、2つの磁性体15は、略直方体形状を呈しているがこれに限られることなく、給電装置S2により電力伝送を行う受電装置S3の形状や形態に応じて、適宜任意の形状に設定することができる。また、2つの磁性体15の間の距離は、給電装置S2により電力伝送を行う受電装置S3の形状や形態、ならびに受電装置S3へ供給する電力量に応じて適宜設定される。さらに、2つの磁性体15は、当該2つの磁性体15の互いの主面同士の対向方向が、水平方向となるように配置されていてもよく、鉛直方向となるように配置されていてもよい。2つの磁性体15を構成する複数の磁性板12としては、フェライト、パーマロイ、珪素鋼板などの磁性材料が挙げられ、比透磁率は高ければ高いほど好ましく、比透磁率1000以上の磁性材料を用いると好ましい。また、複数の磁性板12は、単一の磁性材料から構成されていてもよく、それぞれ異なる磁性材料から構成されていても構わない。ところで、本実施形態では、2つの磁性体15が複数の磁性板12により構成されていることから、2つの磁性体15の主面形状を任意に変更することが可能である。ここで、図12を参照して、2つの磁性体15の主面を変更した応用例について説明する。図12は、本発明の第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置における磁性構造体の応用例を示す概略斜視図である。図12に示すように、2つの磁性体15を構成する磁性板列において、隣り合う磁性板12の側面同士を一部傾斜させた状態で連結することにより、2つの磁性体15の主面を平面状から折れ曲がり面状に変更することができる。また、図示しないが、2つの磁性体15を構成する複数の磁性板12の主面自体を折れ曲がり面あるいは曲面とすることにより、2つの磁性体15の主面形状を変更することも可能である。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置は、2つの磁性体15は、それぞれ複数の磁性板12から構成されている。一般的に、磁性体は形状が大きくなると製造時に変形し易くなる傾向があることから、歩留りが低下し高価なものになってしまう。これに対して、磁性体15を複数の磁性板12から構成することで、歩留りの低下を抑制し、低コスト化を図ることが可能となる。
(第3実施形態)
次に、図13を参照して、本発明の第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の構成について説明する。図13は、本発明の第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置を示す概略斜視図である。
次に、図13を参照して、本発明の第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の構成について説明する。図13は、本発明の第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置を示す概略斜視図である。
第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1同様、給電装置S2と、受電装置S3と、を備える。給電装置S2は、磁性構造体10と、給電コイル装置20と、給電電源装置30と、電磁気遮蔽材60と、を有する。受電装置S3は、受電コイル装置40と、出力回路部50と、を有する。磁性構造体10、給電コイル装置20、給電電源装置30、受電コイル装置40、出力回路部50の構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1と同様である。本実施形態では、電磁気遮蔽材60を備える点において、第1実施形態と相違する。
電磁気遮蔽材60は、外部へ漏れるノイズを低減する機能を有する。本実施形態では、電磁気遮蔽材60は、2つの電磁気遮蔽材60を有する。2つの電磁気遮蔽材60は、2つの磁性体11の互いの主面同士が対向する側とは反対面側(第2の主面11b側)にそれぞれ配置されている。具体的には、2つの電磁気遮蔽材60は、一方の磁性体11の他方の磁性体11と対向する側とは反対面側と、他方の磁性体11の一方の磁性体11と対向する側とは反対面側にそれぞれ配置されている。つまり、2つの電磁気遮蔽材60は、2つの磁性体11を外側から挟み込むように配置されていることとなる。この2つの電磁気遮蔽材60のそれぞれは、平板状であって外形形状が略直方体形状を呈している。本実施形態では、2つの電磁気遮蔽材60のそれぞれは、2つの磁性体11のそれぞれと略同一形状を呈しているがこれに限られることなく、2つの磁性体11のそれぞれの第2の主面11bを覆う形状であれば特に制限されない。また、2つの電磁気遮蔽材60のそれぞれの大きさは、2つの磁性体11のそれぞれの大きさよりも大きくてもよく、逆に小さくても構わない。さらに、2つの電磁気遮蔽材60は、2つの磁性体11に接するように配置されていてもよく、間に所定距離離間して配置されていてもよく、間に絶縁部材を介して配置されていても構わない。このように構成される2つの電磁気遮蔽材60は、ノイズの外部への漏洩を低減できる材料であれば特に制限されず、例えば、アルミニウム、チタン、鉄、銅などの導電性の材料から構成されていてもよく、ノイズを抑制するフェライトなどの磁性シートから構成されていてもよい。なお、電磁気遮蔽材60は、本実施形態のように、2つの磁性体11の互いの主面同士が対向する側とは反対面側にそれぞれ配置した方が望ましいが、ノイズの漏洩を抑制したい磁性体11の反対面側(第2主面11b側)のみに配置しても構わない。
ここで、電磁気遮蔽材60を導電性の材料から構成した場合における漏洩ノイズの低減効果について詳細に説明する。給電コイル装置20から発生した磁束は、一方の磁性体11内に流れ込み、磁性体11の第1の主面11aのあらゆる部分から空気中に放射され、他方の磁性体11の第1の主面11aへ流れ込み、給電コイル装置20に至るように周回する。このとき、磁性体11の比透磁率が空気に比べ高いので、多くの磁束は磁性体11内を通る。しかし、一部の磁束は、2つの磁性体11の対向面である第1の主面11aとは反対面側の第2の主面11bから漏れ出る。この漏れ出る磁束はノイズとなる場合がある。本実施形態では、2つの磁性体11の対向面である第1の主面11aとは反対面側の第2主面11b側に、導電性の電磁気遮断材60を設置している。そのため、磁性体11から漏れ出る磁束は、導電性の電磁気遮断材60を通過することとなる。このとき、導電性の電磁気遮断材60に渦電流が流れ、通過した磁束を打ち消される。したがって、導電性の電磁気遮断材60の外側には、磁束が漏れなくなり、ノイズを小さくすることができる。
続いて、電磁気遮蔽材60を磁性シートから構成した場合における漏洩ノイズの低減効果について説明する。2つの磁性体11の対向面である第1の主面11aとは反対側の第2の主面11bから漏れ出る一部の磁束は、磁性シートから構成される電磁気遮蔽材60に流れ込む。磁性シートの磁路抵抗が低いので磁性シート内を流れ、再び磁性体11の第2の主面11bに流れ込む。したがって、電磁気遮断材60の外側には、磁束が漏れなくなり、ノイズを小さくすることができる。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置は、2つの磁性体11の互いの主面同士が対向する側とは反対面側にそれぞれ導電性の電磁気遮蔽材60を有する。そのため、電磁気遮断材60を設置することにより外部へ漏れるノイズを低減できる。
(第4実施形態)
次に、図14を参照して、本発明の第4実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の構成について説明する。図14は、図3に示した本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置の断面図に相当する、本発明の第4実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置の断面図である。
次に、図14を参照して、本発明の第4実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の構成について説明する。図14は、図3に示した本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置の断面図に相当する、本発明の第4実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置の断面図である。
第4実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1同様、給電装置S2と、受電装置S3と、を備える。給電装置S2は、磁性構造体10と、給電コイル装置20と、給電電源装置30と、を有する。受電装置S3は、受電コイル装置40と、出力回路部50と、を有する。磁性構造体10、給電コイル装置20、給電電源装置30、受電コイル装置40、出力回路部50の構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1と同様である。本実施形態では、給電コイル装置20の配置の点において、第1実施形態と相違する。
本実施形態では、給電コイル装置20は、2つの磁性体11の間の任意の位置であって、2つの磁性体11の一方の磁性体11と絶縁材を介して接触するように配置されている。具体的には、給電コイル装置20の給電コイルのコイル軸方向の一方の端面が、2つの磁性体の11の一方の磁性体11の第1の主面11aに、絶縁材を介して接触するように配置されている。給電コイル装置20と磁性体11との間に介在する絶縁材は、給電コイル装置20の給電コイルを収納する絶縁性を有する筐体を絶縁材として代用してもよく、給電コイル装置20と磁性体11との間に別途設ける絶縁性の樹脂を絶縁材としてもよい。また、給電コイル装置20の給電コイルを磁性体11に直接設置する場合、給電コイルを構成する導線を絶縁被覆導体から構成し、この絶縁被覆を絶縁材として代用してもよい。
続いて、本実施形態による作用効果について詳述する。給電コイル装置20の給電コイルのインダクタンス値は、磁性体11の影響を受ける。つまり、給電コイルのインダクタンス値は、給電コイル装置20と磁性体11との距離によって変わってくる。したがって、2つの磁性体11の間に接触しないように給電コイル装置20を配置すると、給電コイル装置20の配置位置が少し変化すると給電コイルのインダクタンス値も変化してしまう。給電コイルのインダクタンス値が変化すると給電できる電力が異なってしまう。本実施形態では、給電コイル装置20を2つの磁性体11の一方の磁性体11に絶縁材を介して接触するように配置していることから、給電コイル装置20の配置位置が2つの磁性体11の対向方向と直交する方向に変化したとしても、給電コイル装置20の給電コイルと磁性体11との間の距離は変化しないため、給電コイルのインダクタンス値が変化しないようにできる。つまり、給電コイル装置20の配置による給電コイルのインダクタンス値のバラツキを小さく抑えることができる。なお、給電コイル装置20が給電コイルとともに共振回路を形成するキャパシタを備えている場合、本実施形態のように、給電コイルのインダクタンス値のバラツキを小さく抑えると、給電コイルとキャパシタにより形成される共振回路の共振周波数のバラツキも小さく抑えることが可能となる。
ここで、図15を参照して、2つの磁性体11の間の給電コイル装置20の配置例の変形例について説明する。図15は、図3に示した本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置の断面図に相当する、本発明の第4実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置の変形例の断面図である。本変形例では、図15に示すように、給電コイル装置20は、2つの磁性体11の間の任意の位置であって、2つの磁性体11の双方の磁性体11と絶縁材を介して接触するように配置されている。具体的には、給電コイル装置20の給電コイルのコイル軸方向の一方の端面が、2つの磁性体11の一方の磁性体11の第1の主面11aに、絶縁材を介して接触し、給電コイル装置20の給電コイルのコイル軸方向の他方の端面が、2つの磁性体11の他方の磁性体11の第1の主面11aに、絶縁材を介して接触するように配置されている。本変形例においても、給電コイルのインダクタンス値が変化しないようにできる。なお、本変形例の構造は、給電コイル装置20の2つの磁性体11の対向方向の長さが長い場合に特に有効に適用することができる。このような給電コイル装置20としては、導線を平面状に巻回したスパイラル構造の給電コイルを複数重ね合わせて筐体に収納したもの、導線を螺旋状に巻回したソレノイド構造の給電コイルを筐体に収納したもの、導線を平面状に巻回し、更に多層に巻回したコイルを筐体に収納したものが挙げられる。この他にも、導線を平面状に巻回したスパイラル構造の給電コイルを、2つの磁性体11の対向方向が長手方向となる直方体状の筐体に収納したものであっても構わない。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置は、給電コイル装置20は、2つの磁性体11のうちの少なくともいずれか一方と絶縁材を介して接触するように配置されている。給電コイル装置20は2つの磁性体11との距離でインダクタンス値が変化する。したがって、給電コイル装置20を2つの磁性体11の少なくともいずれか一方に接触させ配置することにより、磁性体11との距離のバラツキが減り、給電コイル装置20の配置によるインダクタンス値のバラツキを小さくできる。インダクタンス値のバラツキを小さく抑えると、発生する磁束のバラツキも小さく抑えることができる。これにより、安定的な給電が可能となる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の構成について説明する。第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置が備える構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置と同様である。第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置においては、給電コイル装置20が移動可能に構成されている。
次に、本発明の第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の構成について説明する。第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置が備える構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置と同様である。第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置においては、給電コイル装置20が移動可能に構成されている。
上述したように、本実施形態では、給電コイル装置20が移動可能に構成されている。具体的には、給電コイル装置20は、2つの磁性体11の間を移動可能に構成されている。より具体的には、給電コイル装置20は、2つの磁性体11の対向方向と直交する方向に移動可能に構成されている。すなわち、給電コイル装置20は、磁性体11の長辺方向、短辺方向、対角線方向など磁性体11の第1の主面11aの面内方向と平行な方向であればあらゆる方向に移動可能となっている。なお、給電コイル装置20は、2つの磁性体11の対向方向に移動可能に構成されていてもよい。この場合、給電コイル装置20と2つの磁性体11との間の距離を変化させることが可能となるため、給電コイル装置20の給電コイルのインダクタンス値を変化させることが可能となる。この給電コイル装置20の移動は、手動によって移動させてもよく、給電コイル装置20自体が自走可能に構成されていてもよく、給電コイル装置20を搭載する給電装置S2が移動体から構成され、この移動体の移動に連動して移動する構成としても構わない。
ここで、給電コイル装置20と受電コイル装置40との間の距離が離れると、受電コイル装置40によって給電コイル装置20から受電できる電力は低下する。本実施形態では、給電コイル装置20が移動可能に構成されているため、受電コイル装置40に対して、給電コイル装置20を近づけるように移動させることができる。これにより、受電コイル装置40が2つの磁性体11の間のどこに配置されたとしてもある一定以上の電力を受電することができる。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置は、給電コイル装置20は、2つの磁性体11の間を移動可能に構成されている。給電コイル装置20から大きく離れた給電領域では、磁性体11表面から放出される磁束の量が減少する。したがって、給電コイル装置20から大きく離れた給電領域では、受電できる電力量が低下してしまう。これに対して、給電コイル装置20が移動可能に構成されていることにより、給電コイル装置20の移動に連動して、給電領域も変化させることができる。つまり、ある一定以上の電力供給が可能な給電領域を2つの磁性体の間の任意の位置に形成することができる。
(第6実施形態)
次に、図16を参照して、本発明の第6実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の構成について説明する。図16は、図3に示した本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置の断面図に相当する、本発明の第6実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置を受電コイル装置とともに示す断面図である。
次に、図16を参照して、本発明の第6実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の構成について説明する。図16は、図3に示した本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置の断面図に相当する、本発明の第6実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置を受電コイル装置とともに示す断面図である。
第6実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1同様、給電装置S2と、受電装置S3と、を備える。給電装置S2は、磁性構造体10と、給電コイル装置20と、給電電源装置30と、を有する。受電装置S3は、受電コイル装置40と、出力回路部50と、を有する。磁性構造体10、給電コイル装置20、給電電源装置30、受電コイル装置40、出力回路部50の構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1と同様である。本実施形態では、磁性構造体10の配置の点において、第1実施形態と相違する。
磁性構造体10は、平板状の2つの磁性体11を有する。この2つの磁性体11は、互いの主面同士(第1の主面11a同士)が対向し、かつ、所定距離離間して配置されている。本実施形態では、図16に示すように、2つの磁性体11は、当該2つの磁性体11の間の距離が、給電コイル装置20が配置される位置から離れるにしたがって狭くなるように配置されている。したがって、2つの磁性体11は、一方の磁性体11の第1の主面11aと他方の磁性体11の第1の主面11aが非平行となるように配置されている。すなわち、一方の磁性体11の第1の主面11aの長辺方向に沿って伸ばした仮想線と、他方の磁性体11の第1の主面11aの長辺方向に沿って伸ばした仮想線との成す角は鋭角となる。なお、本実施形態のように、2つの磁性体11を単板の磁性体から構成した場合、2つの磁性体11の間の距離は、給電コイル装置20が配置される位置から離れるにしたがって連続的に狭くなっているが、第2実施形態のように、2つの磁性体15を複数の磁性板12から構成した場合、2つの磁性体15の間の距離は、給電コイル装置20が配置される位置から離れるにしたがって段階的に狭くなるように構成しても構わない。
ところで、給電コイル装置20から離れた位置だと、給電コイル装置20から発生した磁束が届く量が減少する。一方、2つの磁性体11の間の距離を狭くすると磁束が流れやすくなる。本実施形態では、2つの磁性体11は、当該2つの磁性体11の間の距離が、給電コイル装置20が配置される位置から離れるにしたがって狭くなるように配置されていることから、給電コイル装置20から離れた位置においても2つの磁性体11の間の距離が狭いため、給電コイル装置20から発生した磁束が届く量の減少を抑えることができる。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置は、2つの磁性体11は、当該2つの磁性体11の間の距離が、給電コイル装置20が配置される位置から離れるにしたがって狭くなるように配置されている。給電コイル装置20から離れた位置の給電領域では、磁性体11表面から放出される磁束の量が減少する。一方、2つの磁性体11の間の距離を狭くすると狭くした部分の磁性体11表面から放出される磁束の量は増える。したがって、給電コイル装置20が配置される位置から離れるにしたがって、2つの磁性体11の間の距離を狭くなるように配置することで、給電コイル装置20から離れた位置の給電領域の磁性体11表面から放出される磁束の量の減少する量を小さくできる。その結果、給電領域内の位置による磁性体11表面から放出される磁束の量のバラツキが抑制され、受電装置S3の位置が常に変動するような状況に対しても、ある一定以上の電力を安定して供給可能となる。
(第7実施形態)
次に、図17を参照して、本発明の第7実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の構成について説明する。図17は、図3に示した本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置の断面図に相当する、本発明の第7実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置を受電コイル装置とともに示す断面図である。第7実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置が備える構成は、第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置と同様である。第7実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置においては、磁性構造体10の配置の点において、第5実施形態と相違する。
次に、図17を参照して、本発明の第7実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の構成について説明する。図17は、図3に示した本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置の断面図に相当する、本発明の第7実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置を受電コイル装置とともに示す断面図である。第7実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置が備える構成は、第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置と同様である。第7実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置においては、磁性構造体10の配置の点において、第5実施形態と相違する。
磁性構造体10は、平板状の2つの磁性体11を有する。この2つの磁性体11は、互いの主面同士(第1の主面11a同士)が対向し、かつ、所定距離離間して配置されている。ここで、給電コイル装置20は、第5実施形態と同様、移動可能に構成されており、図17に示す例は、給電コイル装置20が移動する前の状態であって、給電コイル装置20は、受電コイル装置40に近づくように移動することが可能となっている。つまり、本実施形態では、図17に示すように、2つの磁性体11は、当該2つの磁性体11の間の距離が、給電コイル装置20の移動する先に向かって広くなるように配置されている。したがって、2つの磁性体11は、一方の磁性体11の第1の主面11aと他方の磁性体11の第1の主面11aが非平行となるように配置されている。なお、本実施形態のように、2つの磁性体11を単板の磁性体から構成した場合、2つの磁性体11の間の距離は、給電コイル装置20の移動する前の位置から給電コイル装置20の移動する先に向かって連続的に広がっているが、第2実施形態のように、2つの磁性体15を複数の磁性板12から構成した場合、2つの磁性体15の間の距離は、給電コイル装置20の移動する前の位置から給電コイル装置20の移動する先に向かって段階的に広がるように構成しても構わない。
本実施形態のように、給電コイル装置20が移動する場合、給電コイル装置20が受電コイル装置40に近づくと、給電コイル装置20から発生した磁束が届く量が増加する。つまり、電力の伝送量が増加し過大に電力を伝送してしまうこととなる。一方、2つの磁性体11の間の距離を広くすると磁束が流れにくくなる。本実施形態では、2つの磁性体11は、当該2つの磁性体11の間の距離が、給電コイル装置20の移動する先に向かって広くなるように配置されていることから、給電コイル装置20が移動することにより、給電コイル装置20が受電コイル装置40に近づいた状態で配置されたとしても2つの磁性体11の間の距離が広いため、給電コイル装置20から発生した磁束が届く量の増加を抑えることができる。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置は、2つの磁性体11は、当該2つの磁性体11の間の距離が、給電コイル装置20が移動する先に向かって広くなるように配置されている。給電コイル装置20が移動する先の領域は、給電コイル装置20が移動する前に比べて、給電コイル装置20が移動して近づくと、2つの磁性体11の間の磁性体11表面から放出される磁束の量は増加する。そのため、給電コイル装置20が移動する先の領域においては、給電コイル装置20が近づいたことにより、電力の伝送量が増加し過大に電力を伝送してしまう。一方、2つの磁性体11の間の距離を広くすると広くした部分の磁性体11表面から放出される磁束の量は減る。したがって、2つの磁性体11を、当該2つの磁性体11の間の距離が、給電コイル装置20が移動する先に向かって広くなるように配置することで、給電コイル装置20の移動する先の領域の磁性体11表面から放出される磁束の量の増加する量を小さくできる。その結果、給電コイル装置20が移動する先の領域において、給電コイル装置20の移動前と移動後の2つの磁性体11の間の磁性体11表面から放出される磁束の量のバラツキが抑制され、過大な電力を供給することなく、電力を安定して供給可能となる。
(第8実施形態)
次に、図18を参照して、本発明の第8実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の構成について説明する。図18は、本発明の第8実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置を受電コイル装置とともに示す概略斜視図である。なお、図18において、説明の便宜上、給電電源装置の図示は省略している。
次に、図18を参照して、本発明の第8実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の構成について説明する。図18は、本発明の第8実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置を受電コイル装置とともに示す概略斜視図である。なお、図18において、説明の便宜上、給電電源装置の図示は省略している。
第8実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1同様、給電装置S2と、受電装置S3と、を備える。給電装置S2は、磁性構造体16と、給電コイル装置21と、給電電源装置30と、を有する。受電装置S3は、受電コイル装置40と、出力回路部50と、を有する。給電電源装置30、受電コイル装置40、出力回路部50の構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1と同様である。本実施形態では、磁性構造体10に代えて磁性構造体16を備える点、給電コイル装置20に代えて給電コイル装置21を備える点において、第1実施形態と相違する。
磁性構造体16は、平板状の2つの磁性体17を有する。2つの磁性体17は、それぞれ水平方向に直線状に伸びる直線部分と、この直線部分の中央下部、両端下部から鉛直方向に伸びる突出部分を有する略E型形状を呈している。つまり、本実施形態では、2つの磁性体17の主面は、略E型形状を呈していることとなる。この2つの磁性体17は、互いの主面同士が対向し、かつ、所定距離離間して配置されている。本実施形態では、2つの磁性体17の互いの主面が略平行となっている。つまり、2つの磁性体17の間の距離は常に一定となるように配置されている。なお、本実施形態では、2つの磁性体17は、略E型形状を呈しているがこれに限られることなく、給電装置により電力伝送を行う受電装置S3の形状や形態に応じて、適宜任意の形状に設定することができる。また、2つの磁性体17の間の距離は、給電装置S2により電力伝送を行う受電装置S3の形状や形態、ならびに受電装置S3へ供給する電力量に応じて適宜設定される。さらに、2つの磁性体17は、当該2つの磁性体17の互いの主面同士の対向方向が、水平方向となるように配置されているが、鉛直方向となるように配置されていてもよい。このように構成される2つの磁性体17としては、フェライト、パーマロイ、珪素鋼板などの磁性材料が挙げられ、比透磁率は高ければ高いほど好ましく、比透磁率1000以上の磁性材料を用いると好ましい。
給電コイル装置21は、電力変換回路32に接続され、電力変換回路32から供給される交流電力を受電コイル装置40にワイヤレスにて伝送する給電部として機能する。給電コイル装置21は、複数のコイル装置を含み、本実施形態では、2つのコイル装置22a,22bから構成されている。各コイル装置22a,22bは、給電コイル装置20と同様、導線を巻回して構成される給電コイルと、この給電コイルを収納する絶縁性を有する筐体を含み、この給電コイルに電力変換回路32から交流電圧が印加されると、交流電流が流れて交流磁界を発生させるように構成されている。この給電コイルとしては、導線を平面状に巻回したスパイラル構造のコイルであってもよく、導線を螺旋状に巻回したソレノイド構造のコイルであってもよく、給電コイルがソレノイド構造のコイルの場合は、給電コイルが磁性コアを有していても構わない。構成する導線としては、銅、銀、金、アルミニウムなどの金属ワイヤが挙げられ、導線は単線の金属ワイヤから構成されてもよく、金属ワイヤを多数本撚り合わせたリッツ線から構成されていても構わない。また、給電コイルの導線の巻数は、所望の電力伝送効率などに基づいて適宜設定される。また、各コイル装置22a,22bは、給電コイル装置20と同様、コイルを含む様々な回路素子から構成され、コイルのみから構成されていてもよく、コイルに直列あるいは並列に接続され、コイルとともに共振回路を形成するキャパシタを備えていてもよく、コイル以外のインダクタやノイズフィルターを備えていても構わない。これら2つのコイル装置22a,22bは、それぞれ2つの磁性体17の間の任意の位置に配置される。本実施形態では、コイル装置22aは、2つの磁性体17における直線部分の一方の端部下部から伸びる突出部の主面同士が対向する間の位置に配置され、コイル装置22bは、2つの磁性体17の他方の端部下部から伸びる突出部の主面同士が対向する間の位置に配置されている。つまり、2つのコイル装置22a,22bは、2つの磁性体17の対向方向から見て、互いに重なり合わないように配置されている。これにより、電力伝送時に、2つのコイル装置22a,22bが発生する磁束は、2つの磁性体17を通過して帰還する周回を描くこととなる。このとき、コイル装置22aから発生し、2つの磁性体17の一方の磁性体17へ流れ込んだ磁束は、磁性体17における直線部分の一方の端部から他方の端部に向かって磁性体17内を通過し、当該磁性体17表面から空気中に放射される。一方、コイル装置22bから発生し、2つの磁性体17の一方の磁性体17へ流れ込んだ磁束は、磁性体17における直線部分の他方の端部から一方の端部に向かって磁性体17内を通過し、当該磁性体17表面から空気中に放射されることになる。つまり、電力伝送時に、コイル装置22aが発生する交流磁界を受けて2つの磁性体17の間の領域に、受電コイル装置40への電力伝送が可能な給電領域が形成されるとともに、コイル装置22bが発生する交流磁界を受けて2つの磁性体17の間の領域に、受電コイル装置40への電力伝送が可能な給電領域が形成される。したがって、磁性体表面から放出される磁束の量が、コイル装置22aから発生し、磁性体に流れ込んだ磁束と、コイル装置22bから発生し、磁性体に流れ込んだ磁束が合わさった量となることから、ある一定量以上の磁束が磁性体表面から放出される給電領域の範囲が拡大する。
ところで、給電コイル装置21から離れた位置に受電コイル装置40を配置すると、給電コイル装置21から発生した磁束のうち、受電コイル装置40に鎖交する磁束の量は減少する。本実施形態では、給電コイル装置21は、2つの磁性体17の対向方向から見て、互いに重なり合わない複数のコイル装置を含んでいることから、受電コイル装置40は、これら複数のコイル装置それぞれから電力伝送されるため、受電コイル装置40にある一定以上の磁束を鎖交させることができ、ある一定以上の電力を受電させることができる。本実施形態では、給電コイル装置21は、2つのコイル装置22a,22bで構成されているが、3つ以上のコイル装置から構成してもよい。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置は、給電コイル装置21は、2つの磁性体17の対向方向から見て、互いに重なり合わない複数のコイル装置を含んでいる。給電コイル装置21が配置されているところから離れた場所の給電領域では、磁性体17表面から放出される磁束の量が減少する。そこで、給電コイル装置21を、磁性体17が対向する方向から見て互いに重なり合わない位置に複数配置することにより、ある一定量以上の磁束が磁性体17表面から放出される給電領域の範囲を拡大することができる。
(第9実施形態)
次に、本発明の第9実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の構成について説明する。第9実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置が備える構成は、第8実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置と同様である。第9実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置においては、給電電源装置30が電力を供給するコイル装置22a,22bを選択可能に構成されている。
次に、本発明の第9実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の構成について説明する。第9実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置が備える構成は、第8実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置と同様である。第9実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置においては、給電電源装置30が電力を供給するコイル装置22a,22bを選択可能に構成されている。
上述したように、本実施形態では、給電電源装置30が電力を供給するコイル装置22a,22bを選択可能に構成されている。ここで、図19aおよび図19bを参照して、給電電源装置30が電力を供給するコイル装置22a,22bを選択可能とする構成について詳述する。図19aは、給電電源装置と給電コイル装置との間にスイッチを設けた例を示す模式機能ブロック図である。図19bは、給電電源装置の電力変換回路を複数設けた例を示す模式機能ブロック図である。例えば、給電電源装置30の電力変換回路32と、2つのコイル装置22a,22bとの間の接続を切り替えるスイッチSWを設けて、給電電源装置30が電力を供給するコイル装置22a,22bを選択するように構成してもよい。具体的には、図19aに示すように、電力変換回路32の出力の一端が、スイッチSW1を介してコイル装置22aの一端に接続されるとともに、スイッチSW2を介してコイル装置22bの一端に接続され、電力変換回路32の出力の他端が、コイル装置22aの他端とコイル装置22bの他端に接続されるように構成される。すなわち、給電電源装置30がコイル装置22aを選択して電力を供給する場合は、電力変換回路32とコイル装置22aの給電コイルを接続するようにスイッチSW1をON、スイッチSW2をOFFに制御し、給電電源装置30がコイル装置22bを選択して電力を供給する場合は、電力変換回路32とコイル装置22bの給電コイルを接続するようにスイッチSW1をOFF、SW2をONに制御することとなる。あるいは、図19bに示すように、給電電源装置30がコイル装置22aに接続される電力変換回路32aとコイル装置22bに接続される電力変換回路32bを備え、これらの電力変換回路32a,32bの動作を制御することにより、給電電源装置30が電力を供給するコイル装置22a,22bを選択するように構成しても構わない。すなわち、給電電源装置30がコイル装置22aを選択して電力を供給する場合は、電力変換回路32aを動作させるとともに電力変換回路32bは動作を停止するように制御し、給電電源装置30がコイル装置22bを選択して電力を供給する場合は、電力変換回路32bを動作させるとともに電力変換回路32aは動作を停止するように制御することとなる。このように構成される給電電源装置30は、複数のコイル装置のうち、給電したい領域に応じて、電力を供給するコイル装置22a,22bを選択する。具体的には、給電電源装置30は、2つの磁性体17の間に配置される受電コイル装置40と2つのコイル装置22a,22bとの距離に応じて、電力を供給するコイル装置22a,22bを選択する。より具体的には、給電電源装置30は、複数のコイル装置のうち、受電コイル装置40に近い位置に配置されるコイル装置を選択して、電力を供給する。例えば、上述の図18に示す例においては、コイル装置22aよりもコイル装置22bが受電コイル装置40に近い位置に配置されていることから、給電電源装置30は、コイル装置22bを選択して、電力を供給することとなる。このように、受電コイル装置40に近い位置に配置されているコイル装置のみから給電を行ったとしても、受電コイル装置40はある一定以上の電力を受電することが可能となる。したがって、受電コイル装置40から遠い位置に配置されているコイル装置からの給電を停止することで効率の良い電力伝送が可能となる。なお、本実施形態では、給電コイル装置21が2つのコイル装置22a,22bから構成されている場合について説明したが、給電コイル装置21が3つ以上のコイル装置から構成されている場合も同様である。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置は、給電コイル装置21に電力を供給する給電電源装置30をさらに備え、給電電源装置30は、複数のコイル装置のうち、給電したい領域に応じて、電力を供給するコイル装置22a,22bを選択する。このように、複数のコイル装置のうち、給電したい領域に応じて、電力を供給する給電コイル装置21を選択することで、無駄な電力消費を削減できる。
(第10実施形態)
次に、図20を参照して、本発明の第10実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の構成について説明する。図20は、本発明の第10実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置を受電コイル装置とともに示す概略斜視図である。なお、図20において、説明の便宜上、給電電源装置の図示は省略している。
次に、図20を参照して、本発明の第10実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の構成について説明する。図20は、本発明の第10実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置を受電コイル装置とともに示す概略斜視図である。なお、図20において、説明の便宜上、給電電源装置の図示は省略している。
第10実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1同様、給電装置S2と、受電装置S3と、を備える。給電装置S2は、磁性構造体16と、給電コイル装置20と、給電電源装置30と、中継コイル装置70と、を有する。受電装置S3は、受電コイル装置40と、出力回路部50と、を有する。給電コイル装置20、給電電源装置30、受電コイル装置40、出力回路部50の構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1と同様であり、磁性構造体16の構成は、第8実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置と同様である。本実施形態では、中継コイル装置70を備える点において、第1および第8実施形態と相違する。
中継コイル装置70は、導線を巻回して構成される中継コイルを有し、この中継コイルを収納する絶縁性の筐体を含んで構成されていると好ましい。この中継コイルとしては、給電コイル装置20の給電コイルと同様、導線を平面状に巻回したスパイラル構造のコイルであってもよく、導線を螺旋状に巻回したソレノイド構造のコイルであってもよく、中継コイルがソレノイド構造のコイルの場合は、図7aおよび図7bに示す給電コイルと同様に、中継コイルが磁性コアを有すると好ましい。同じインダクタンス値の中継コイルを作製する際、磁性コアを有すると中継コイルの巻き数を低減できる。したがって、中継コイルの抵抗値も低減でき、抵抗による電力損失が低減できる。また、中継コイル装置70は、コイルを含む様々な回路素子から構成される。具体的には、中継コイル装置70は、コイルのみから構成されていてもよいが、中継コイル装置70の役割を考慮すると、コイルに直列あるいは並列に接続され、コイルとともに共振回路を形成するキャパシタを備えると好ましい。この中継コイル装置70は、2つの磁性体17の間の任意の位置に配置される。本実施形態では、中継コイル装置70は、2つの磁性体17における直線部分の中央下部から伸びる突出部の主面同士が対向する間の位置に配置され、給電コイル装置20は、2つの磁性体17における直線部分の一方の端部下部から伸びる突出部の主面同士が対向する間の位置に配置されている。これにより、中継コイル装置70は、電力供給源である給電電源装置30には電気的に接続されていないが、給電コイル装置20が発生する磁束が鎖交すると、中継コイル装置70の中継コイルに電圧が発生し、この電圧に基づく電流が中継コイルに流れて磁束を発生することとなる。すなわち、中継コイル装置70は、2つの磁性体17を介して給電コイル装置20の給電コイルと磁気的に結合することとなる。具体的には、電力伝送時に、給電コイル装置20から発生し、2つの磁性体17の一方の磁性体17へ流れ込んだ磁束は、磁性体17における直線部分の一方の端部から中央部に向かって磁性体17内を通過し、当該磁性体17表面から空気中に放射され、中継コイル装置70の中継コイルに鎖交し、中継コイル装置70の中継コイルに電圧が発生し、この電圧に基づく電流が中継コイルに流れて磁束が発生する。そして、中継コイル装置70から発生し、2つの磁性体17の一方の磁性体17へ流れ込んだ磁束は、磁性体17における直線部分の中央部から他方の端部に向かって磁性体17内を通過し、当該磁性体17表面から空気中に放射されることとなる。つまり、中継コイル装置70は、給電コイル装置20が発生する磁束を受けてより遠方にまで拡がる磁束を発生することから、給電コイル装置20と受電コイル装置40との間のワイヤレス電力伝送を伝達する中継部として機能する。
ところで、給電コイル装置20から離れた位置に受電コイル装置40を配置すると、給電コイル装置20から発生した磁束のうち、受電コイル装置40に鎖交する磁束の量は減少する。つまり、受電コイル装置40により受電できる電力が小さくなる。本実施形態では、2つの磁性体17を介して給電コイル装置20と磁気的に結合する中継コイル装置70を備えていることから、給電コイル装置20から発生した磁束を受けて中継コイル装置70からより遠方にまで拡がる磁束が発生し、受電コイル装置40にある一定以上の磁束を鎖交させることができ、ある一定以上の電力を受電させることができる。言い換えれば、中継コイル装置70により、受電コイル装置40で受電できる電力の低下を抑制することができる。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置は、2つの磁性体17を介して給電コイル装置20と磁気的に結合し、2つの磁性体17の間の任意の位置に配置される中継コイル装置70を備えている。給電コイル装置20から離れた給電領域では、磁性体17表面から放出される磁束量が低下する。中継コイル装置70を配置すると、磁性体17から表面から放出される磁束が中継コイル装置70を鎖交し磁束が変化すると中継コイル装置70のコイルに電圧が発生する。発生電圧により中継コイル装置70に電流が流れ、中継コイル装置70より磁束が発生される。したがって、中継コイル装置70を配置することにより給電コイル装置20から離れた給電領域でも、磁性体17表面から放出される磁束量の減少する量を小さくできる。
(第11実施形態)
次に、図21を参照して、本発明の第11実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の構成について説明する。図21は、本発明の第11実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置を受電コイル装置とともに示す概略斜視図である。なお、図21において、説明の便宜上、給電電源装置の図示は省略している。
次に、図21を参照して、本発明の第11実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の構成について説明する。図21は、本発明の第11実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置を受電コイル装置とともに示す概略斜視図である。なお、図21において、説明の便宜上、給電電源装置の図示は省略している。
第11実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置は、第10実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置同様、給電装置S2と、受電装置S3と、を備える。給電装置S2は、磁性構造体18と、給電コイル装置20と、給電電源装置30と、中継コイル装置71と、を有する。受電装置S3は、受電コイル装置40と、出力回路部50と、を有する。給電コイル装置20、給電電源装置30、受電コイル装置40、出力回路部50の構成は、第10実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置と同様である。本実施形態では、磁性構造体16に代えて磁性構造体18を備えている点、中継コイル装置71が複数のコイル装置71a,71bを備える点において、第10実施形態と相違する。
磁性構造体18は、平板状の2つの磁性体19を有する。2つの磁性体19は、それぞれ水平方向に直線状に伸びる直線部分と、この直線部分の一方の端部寄りの中央下部、他方の端部寄りの中央下部、両端下部から鉛直方向に伸びる突出部分を有する略櫛歯型形状を呈している。つまり、本実施形態では、2つの磁性体19の主面は、略櫛歯型形状を呈していることとなる。この2つの磁性体19は、互いの主面同士が対向し、かつ、所定距離離間して配置されている。本実施形態では、2つの磁性体19の互いの主面が略平行となっている。つまり、2つの磁性体19の間の距離は常に一定となるように配置されている。なお、本実施形態では、2つの磁性体19は、略櫛歯型形状を呈しているがこれに限られることなく、給電装置S2により電力伝送を行う受電装置S3の形状や形態に応じて、適宜任意の形状に設定することができる。また、2つの磁性体19の間の距離は、給電装置S2により電力伝送を行う受電装置S3の形状や形態、ならびに受電装置S3へ供給する電力量に応じて適宜設定される。さらに、2つの磁性体19は、当該2つの磁性体19の互いの主面同士の対向方向が、水平方向となるように配置されているが、鉛直方向となるように配置されていてもよい。このように構成される2つの磁性体19としては、フェライト、パーマロイ、珪素鋼板などの磁性材料が挙げられ、比透磁率は高ければ高いほど好ましく、比透磁率1000以上の磁性材料を用いると好ましい。
中継コイル装置71は、複数のコイル装置を含み、本実施形態では2つのコイル装置71a,71bから構成されている。各コイル装置71a,71bは、中継コイル装置70と同様、導線を巻回して構成される中継コイルを有し、この中継コイルを収納する絶縁性の筐体を含んで構成されていると好ましい。この中継コイルとしては、給電コイル装置20の給電コイルと同様、導線を平面状に巻回したスパイラル構造のコイルであってもよく、導線を螺旋状に巻回したソレノイド構造のコイルであってもよく、中継コイルがソレノイド構造のコイルの場合は、中継コイルが磁性コアを備えていても構わない。また、各コイル装置71a,71bは、コイルを含む様々な回路素子から構成され、コイルのみから構成されていてもよく、コイルに直列あるいは並列に接続され、コイルとともに共振回路を形成するキャパシタを備えていても構わない。これら各コイル装置71a,71bは、2つの磁性体19の間の任意の位置に配置される。本実施形態では、給電コイル装置20は、2つの磁性体19における直線部分の一方の端部下部から伸びる突出部の主面同士が対向する間の位置に配置され、コイル装置71aは、2つの磁性体19における直線部分の一方の端部寄りの中央下部から伸びる突出部の主面同士が対向する間の位置に配置され、コイル装置71bは、2つの磁性体19における直線部分の他方の端部寄りの中央下部から伸びる突出部の主面同士が対向する間の位置に配置されている。これにより、電力伝送時に、給電コイル装置20から発生し、2つの磁性体19の一方の磁性体19へ流れ込んだ磁束は、磁性体19における直線部分の一方の端部から一方の端部寄りの中央部に向かって磁性体19内を通過し、当該磁性体19表面から空気中に放射され、コイル装置71aの中継コイルに鎖交し、コイル装置71aの中継コイルに電圧が発生し、この電圧に基づく電流が中継コイルに流れて磁束を発生する。続いて、コイル装置71aから発生し、2つの磁性体19の一方の磁性体19へ流れ込んだ磁束は、磁性体19における直線部分の一方の端部寄りの中央部から他方の端部寄りの中央部に向かって磁性体19内を通過し、当該磁性体19表面から空気中に放射され、コイル装置71bの中継コイルに鎖交し、コイル装置71bの中継コイルに電圧が発生し、この電圧に基づく電流が中継コイルに流れて磁束を発生する。そして、コイル装置71bから発生し、2つの磁性体19の一方の磁性体19へ流れ込んだ磁束は、磁性体19における直線部分の他方の端部寄りの中央部からさらに他方の端部に向かって磁性体19内を通過し、当該磁性体19表面から空気中に放射されることとなる。つまり、本実施形態では、給電コイル装置20から発生した磁束は、コイル装置71aにより中継され、さらにコイル装置71aからコイル装置71bに中継されて、受電コイル装置40に鎖交することとなる。したがって、給電コイル装置20からより離れた位置に受電コイル装置40を配置されたとしても、受電コイル装置40で受電できる電力の低下を抑制する。なお、本実施形態では、中継コイル装置71が2つのコイル装置71a,71bを備えている例を用いて説明したが、中継コイル装置71が備えるコイル装置の数は3つ以上でもよい。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置は、2つの磁性体19を介して給電コイル装置20と磁気的に結合し、2つの磁性体19の間の任意の位置に配置される複数の中継コイル装置71を備えている。給電コイル装置20から離れた給電領域では、磁性体19表面から放出される磁束量が低下する。中継コイル装置71を配置すると、磁性体19から表面から放出される磁束が中継コイル装置71を鎖交し磁束が変化すると中継コイル装置71のコイルに電圧が発生する。発生電圧により中継コイル装置71に電流が流れ、中継コイル装置71より磁束が発生される。したがって、中継コイル装置71を配置することにより給電コイル装置20から離れた給電領域でも、磁性体19表面から放出される磁束量の減少する量を小さくできる。
(第12実施形態)
次に、図22を参照して、本発明の第12実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の構成について説明する。図22は、図3に示した本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置の断面図に相当する、本発明の第12実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置を示す断面図である。なお、図22において、説明の便宜上、給電電源装置の図示は省略している。
次に、図22を参照して、本発明の第12実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の構成について説明する。図22は、図3に示した本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置の断面図に相当する、本発明の第12実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の給電装置を示す断面図である。なお、図22において、説明の便宜上、給電電源装置の図示は省略している。
第12実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1同様、給電装置S2と、受電装置S3と、を備える。給電装置S2は、磁性構造体10と、給電コイル装置23と、給電電源装置30と、を有する。受電装置S3は、受電コイル装置40と、出力回路部50と、を有する。給電コイル装置20、給電電源装置30、受電コイル装置40、出力回路部50の構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置と同様である。本実施形態では、給電コイル装置20に代えて給電コイル装置23を備える点、給電電源装置30の電力変換回路32が給電コイル装置23に印加する交流電圧の位相を制御できる点において、第1実施形態と相違する。
給電コイル装置23は、電力変換回路32に接続され、電力変換回路32から供給される交流電力を受電コイル装置40にワイヤレスにて伝送する給電部として機能する。給電コイル装置23は、複数のコイル装置を含み、本実施形態では、2つのコイル装置24a,24bから構成されている。各コイル装置24a,24bは、給電コイル装置20と同様、導線を巻回して構成される給電コイルと、この給電コイルを収納する絶縁性を有する筐体を含み、この給電コイルに電力変換回路32から交流電圧が印加されると、交流電流が流れて交流磁界を発生させるように構成されている。この給電コイルとしては、導線を平面状に巻回したスパイラル構造のコイルであってもよく、導線を螺旋状に巻回したソレノイド構造のコイルであってもよく、給電コイルがソレノイド構造のコイルの場合は、給電コイルが磁性コアを有していても構わない。構成する導線としては、銅、銀、金、アルミニウムなどの金属ワイヤが挙げられ、導線は単線の金属ワイヤから構成されてもよく、金属ワイヤを多数本撚り合わせたリッツ線から構成されていても構わない。また、給電コイルの導線の巻数は、所望の電力伝送効率などに基づいて適宜設定される。また、各コイル装置24a,24bは、給電コイル装置20と同様、コイルを含む様々な回路素子から構成され、コイルのみから構成されていてもよく、コイルに直列あるいは並列に接続され、コイルとともに共振回路を形成するキャパシタを備えていてもよく、コイル以外のインダクタやノイズフィルターを備えていても構わない。
本実施形態では、各コイル装置24a,24bは、2つの磁性体11の対向方向から見て、重なり合うように配置されている。具体的には、各コイル装置24a,24bのそれぞれの給電コイルのコイル軸の軸方向は2つの磁性体11の互いの主面同士の対向方向と略平行となるように配置されており、コイル装置24aの給電コイルのコイル軸の軸方向とコイル装置24bの給電コイルのコイル軸の軸方向が一致するように配置されている。このように、給電コイル装置23が2つのコイル装置24a,24bを備えていることから、給電できる電力を大きくすることができる。また、コイル装置24aは、2つの磁性体11の一方の磁性体11と絶縁材を介して接触するように配置され、コイル装置24bは、2つの磁性体11の他方の磁性体11と絶縁材を介して接触するように配置されている。より具体的には、コイル装置24aの給電コイルのコイル軸方向の一方の端面が、2つの磁性体11の一方の磁性体11の第1主面11aに絶縁材を介して接触するように配置され、コイル装置24bの給電コイルのコイル軸方向の一方の端面が、2つの磁性体の11の他方の磁性体11の第1主面11aに絶縁材を介して接触するように配置されている。各コイル装置24a,24bと磁性体11との間に介在する絶縁材は、各コイル装置24a,24bの給電コイルを収納する絶縁性を有する筐体を絶縁材として代用してもよく、各コイル装置24a,24bと磁性体11との間に別途設ける絶縁性の樹脂を絶縁材としてもよい。また、各コイル装置24a,24bのそれぞれの給電コイルを磁性体11に直接設置する場合、それぞれの給電コイルを構成する導線を絶縁被覆導体から構成し、この絶縁被覆を絶縁材として代用してもよい。このように、コイル装置24aを2つの磁性体11の一方の磁性体11に絶縁材を介して接触するように配置し、コイル装置24bを2つの磁性体11の他方の磁性体11に絶縁材を介して接触するように配置していることから、各コイル装置24a,24bのそれぞれの給電コイルと磁性体11との間の距離は変化しないため、それぞれの給電コイルのインダクタンス値が変化しないようにできる。つまり、各コイル装置24a,24bの配置によるそれぞれの給電コイルのインダクタンス値のバラツキを小さく抑えることができる。なお、各コイル装置24a,24bがそれぞれ給電コイルとともに共振回路を形成するキャパシタを備えている場合、本実施形態のように、給電コイルのインダクタンス値のバラツキを小さく抑えると、給電コイルとキャパシタにより形成される共振回路の共振周波数のバラツキも小さく抑えることが可能となる。
また、本実施形態では、給電電源装置30の電力変換回路32は、給電コイル装置23の各コイル装置24a,24bに印加する交流電圧の位相が制御できるように構成されている。各コイル装置24a,24bに給電電源装置30の電力変換回路32から交流電圧が印加されると、交流電圧に基づく交流電流が流れ、交流磁界が発生し磁束が発生する。ここで、各コイル装置24a,24bに同位相の交流電流が流れると、各コイル装置24a,24bから発生する磁束が加算されるため、給電できる電力は大きくなる。一方、各コイル装置24a,24bに位相が180度異なる逆位相の交流電流が流れると、各コイル装置24a,24bから発生する磁束に打ち消し合いが生じ、給電できる電力は小さくなる。したがって、各コイル装置24a,24bに流れる交流電流の位相を変化させることで、給電できる電力を制御することが可能となる。本実施形態では、給電電源装置30の電力変換回路32は、コイル装置24aに印加する交流電圧の位相とコイル装置24bに印加する交流電圧の位相との間の位相ずらし量を制御できるように構成されている。具体的には、給電電源装置30がコイル装置24aに接続される電力変換回路32とコイル装置24bに接続される電力変換回路32を備えることにより実現できる。すなわち、コイル装置24aに接続される電力変換回路32が印加する交流電圧の位相とコイル装置24bに接続される電力変換回路32が印加する交流電圧の位相の位相ずらし量を制御することで、各コイル装置24a,24bに流れる交流電流の位相を変化させることが可能となる。なお、コイル装置24aに印加する交流電圧の位相とコイル装置24bに印加する交流電圧の位相との間の位相ずらし量は、受電装置S3の要求する電力量に応じて適宜調整される。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置は、給電コイル装置23は、2つの磁性体11の対向方向から見て、重なり合う2つのコイル装置24a,24bを含み、2つのコイル装置24a,24bの一方は、2つの磁性体11の一方と絶縁材を介して接触するように配置され、2つのコイル装置24a,24bの他方は、2つの磁性体11の他方と絶縁材を介して接触するように配置されている。そのため、給電コイル装置23の配置によるインダクタンス値のバラツキを小さくできる。インダクタンス値にバラツキを小さく抑えると、発生する磁束のバラツキも小さく抑えることができる。これにより、安定的な給電が可能となる。
また、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置においては、給電コイル装置23に電力を供給する給電電源装置30をさらに備え、給電電源装置30は、2つのコイル装置24a,24bの一方に印加する交流電圧の位相と2つのコイル装置24a,24bの他方に印加する交流電圧の位相との間の位相ずらし量を制御している。そのため、位相ずらし量に応じて、給電領域で受電する電力を制御することができる。
10,14,16,18…磁性構造体、11,15,17,19…磁性体、11a…第1の主面、11b…第2の主面、12…磁性板、13…磁性コア、20,21,23…給電コイル装置、30…給電電源装置、31…電源、32,32a,32b…電力変換回路、40…受電コイル装置、50…出力回路部、51…整流回路、52…負荷、60…電磁気遮断材、70,71…中継コイル装置、80…導線、90…ボビン、L1…コイル、L2…インダクタ、N…ノイズフィルター、S1…ワイヤレス電力伝送装置、S2…給電装置、S3…受電装置。
Claims (15)
- 受電コイル装置を搭載した受電装置へワイヤレスにて電力を伝送する給電装置であって、
2つの磁性体を有する磁性構造体と、
電源からの電力を受けて交流磁界を発生させる給電コイル装置と、を備え、
前記2つの磁性体は、互いの主面同士が対向し、かつ、所定距離離間して配置され、
前記給電コイル装置は、前記2つの磁性体の間の任意の位置に配置され、
電力伝送時に、前記交流磁界を受けて、前記2つの磁性体の間に、前記受電コイル装置への電力伝送が可能な給電領域が形成されることを特徴とする給電装置。 - 前記2つの磁性体は、それぞれ複数の磁性板から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の給電装置。
- 前記2つの磁性体の互いの主面同士が対向する側とは反対面側の少なくともいずれか一方に電磁気遮蔽材を有することを特徴とする請求項1または2に記載の給電装置。
- 前記給電コイル装置は、前記2つの磁性体のうちの少なくともいずれか一方と絶縁材を介して接触するように配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の給電装置。
- 前記給電コイル装置は、前記2つの磁性体の間を移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の給電装置。
- 前記2つの磁性体は、当該2つの磁性体の間の距離が、前記給電コイル装置が配置される位置から離れるにしたがって狭くなるように配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の給電装置。
- 前記2つの磁性体は、当該2つの磁性体の間の距離が、前記給電コイル装置の移動する先に向かって広くなるように配置されていることを特徴とする請求項5に記載の給電装置。
- 前記給電コイル装置は、前記2つの磁性体の対向方向から見て、互いに重なり合わない複数のコイル装置を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の給電装置。
- 前記給電コイル装置に電力を供給する給電電源装置をさらに備え、
前記給電電源装置は、前記複数のコイル装置のうち、給電したい領域に応じて、電力を供給するコイル装置を選択することを特徴とする請求項8に記載の給電装置。 - 前記給電コイル装置は、磁性コアに導線が螺旋状に巻回されて構成される給電コイルを含むことを特徴とする請求項1〜9に記載の給電装置。
- 前記2つ磁性体を介して前記給電コイル装置と磁気的に結合し、前記2つの磁性体の間の任意の位置に配置される少なくとも1つの中継コイル装置をさらに備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の給電装置。
- 前記中継コイル装置は、磁性コアに導線が螺旋状に巻回されて構成される中継コイルを含むことを特徴とする請求項11に記載の給電装置。
- 前記給電コイル装置は、前記2つの磁性体の対向方向から見て、重なり合う2つのコイル装置を含み、
前記2つのコイル装置の一方は、前記2つの磁性体の一方と絶縁材を介して接触するように配置され、
前記2つのコイル装置の他方は、前記2つの磁性体の他方と絶縁材を介して接触するように配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の給電装置。 - 前記給電コイル装置に電力を供給する給電電源装置をさらに備え、
前記給電電源装置は、前記2つのコイル装置の一方に印加する交流電圧の位相と前記2つのコイル装置の他方に印加する交流電圧の位相との間の位相ずらし量を制御することを特徴とする請求項13に記載の給電装置。 - 請求項1〜14のいずれか一項に記載の給電装置と、
受電コイル装置が搭載される受電装置と、を備えることを特徴とするワイヤレス電力伝送装置。
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