JP2017173751A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】凹部を有する感光体と凹凸を有する帯電部材とを併用する構成において、帯電部材の局所的な汚染を防ぐことが可能な画像形成装置を提供する。【解決手段】感光ドラムの表面には、クリーニングブレードが当接する平坦部2fと、平坦部2fから互いに独立に凹んだ複数の凹部2vとが形成される。帯電ローラの表面には、凸部3pと凹部(3v)とによって凹凸が形成されている。ここで、凸部3pの頂点高さのばらつきが、凹部2vの平均深さZaよりも小さくなるように構成されることで、凸部3pの凹部2vに対する侵入量が制御される。【選択図】図12
Description
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置は、一般的に、感光層を有する感光体と、帯電部材と、露光装置と、現像装置等を備えている。感光体の表面は、帯電部材によって帯電させられ、露光装置から照射された光によって画像情報に応じた静電潜像が描き込まれる。そして、現像装置から供給されたトナーによって静電潜像が現像されることで、感光体の表面にトナー像が形成される。
このような感光体の耐久性向上を図るために、感光体の表面を硬度の高い材料によって構成し、耐摩耗性を高める技術が知られている。しかし、硬度が高くなるほど、感光体に当接して転写残トナーや放電生成物等の付着物を除去する清掃部材との摩擦が大きくなり、クリーニング不良に起因する像流れ等の画像不良が生じやすくなることが知られていた。
そこで、特許文献1は、感光ドラムの表面に複数の凹形状部を形成することで、クリーニングブレードのビビりやめくれの発生を防ぐ構成を提案している。この構成では、複数の凹形状部を互いに独立となるように配置すると共に、開口部の最大幅に比して深さが大きい凹形状とすることで、クリーニング性能の長期間に亘る安定化が図られている。
一方、感光体に接触する近接放電方式の帯電部材を用いる場合、感光体の表面に付着した付着物が帯電部材へと転移して、帯電部材が汚染される可能性がある。そこで、特許文献2は、帯電ローラの表面を適度に粗面化することで、トナーの外添剤によるフィルミング現象を低減する構成を開示している。この帯電ローラの表面には、感光ドラムへの当接圧が強い凸部と当接圧が弱い凹部とが隣接して形成されており、フィルミング物質が周方向に連続して付着することが抑制されている。また、帯電ローラの凸部に付着した付着物は、帯電ローラに当接するクリーニングローラの作用により除去される。
しかしながら、特許文献1のように表面に複数の凹部を形成した感光ドラムと、特許文献2のように表面に凹凸を形成した帯電ローラとを併用する場合、帯電ローラの汚染に起因する画像不良が生じる可能性があった。すなわち、感光ドラムに形成された複数の凹部には、クリーニングブレードをすり抜けた粒子(例えば、トナーの外添剤)が徐々に堆積する。そして、帯電ローラに形成された凸部が感光ドラムの凹部に侵入して、凹部に堆積した堆積物に接触すると、凸部の先端部に堆積物が多量に付着する場合があった。このようにして帯電ローラが局所的に汚染された状態では、画像不良の原因となる局所的な帯電不良が生じる可能性がある。
そこで、本発明は、凹部を有する感光体と凹凸を有する帯電部材とを併用する構成において、帯電部材の局所的な汚染を防ぐことが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明に係る画像形成装置は、回転する感光体と、前記感光体に当接し、前記感光体の表面に付着した付着物を前記感光体の回転に伴って除去する清掃部材と、前記感光体に当接した状態で回転し、前記感光体の表面を帯電させる帯電部材と、前記帯電部材によって帯電した前記感光体の表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、を備え、前記感光体の表面には、前記清掃部材が当接する平坦部と、前記平坦部から互いに独立に凹んだ複数の凹部とが形成され、前記帯電部材の表面には凹凸が形成され、凸部の高さのばらつきが前記複数の凹部の深さの平均値よりも小さい、ことを特徴とする。
本発明によれば、帯電部材の局所的な汚染を防ぐことが可能な画像形成装置を提供することができる。
<第1実施形態>
以下、図面を参照して本実施形態に係る画像形成装置について説明する。図1にその概略構成を示す画像形成装置100は、中間転写ベルト16に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部1Y,1M,1C,1Kが配列されたタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。画像形成装置100は、原稿読み取り装置、パーソナルコンピュータ等のホスト機器、或いはデジタルカメラ等の外部機器から入力された画像信号に応じて、記録用紙・プラスチックフィルム・布等の記録材Pにフルカラー画像又はモノクロ画像等を形成する。
以下、図面を参照して本実施形態に係る画像形成装置について説明する。図1にその概略構成を示す画像形成装置100は、中間転写ベルト16に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部1Y,1M,1C,1Kが配列されたタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。画像形成装置100は、原稿読み取り装置、パーソナルコンピュータ等のホスト機器、或いはデジタルカメラ等の外部機器から入力された画像信号に応じて、記録用紙・プラスチックフィルム・布等の記録材Pにフルカラー画像又はモノクロ画像等を形成する。
電子写真方式の画像形成ユニットである画像形成部1Y,1M,1C,1Kは、それぞれ交換可能なカートリッジとなっており、現像に用いるトナー色が異なる以外は、ほぼ同一に構成される。以下の説明において、ブラックの画像形成部1Kを例として画像形成部の構成及び動作を説明し、その他の画像形成部1Y,1M,1Cについては対応する要素の符号末尾にY,M,Cを付して説明を省略する。
画像形成部1Kは、感光ドラム2Kと、感光ドラム2Kを囲んで配置された、帯電ローラ3K、露光装置7K、現像装置4K、及びクリーニング装置6Kを有する。感光ドラム2Kは、外周側に感光層が形成されたドラム状の感光体であり、所定のプロセススピードで矢印R2方向に回転する。
感光体表面を帯電させる帯電部材としての帯電ローラ3Kは、感光ドラム2Kに当接した状態で従動回転可能なローラ部材である。帯電ローラ3Kは、後述する電源回路から所定のバイアス電圧を印加されることで、感光ドラム2Kをトナーの帯電極性と同極性の一様な暗部電位に帯電させる。露光装置7Kは、対応する分解色の(すなわち黒色の)画像に基づいてON−OFF変調したレーザービームをレーザー発光素子から発生し、これを回転ミラーで走査して感光ドラム2Kの表面に画像データに基づく静電潜像を描き込む。そして、露光装置7Kと共に感光体にトナー像を形成するトナー像形成手段を構成する現像装置4Kによって、静電潜像が黒色のトナー像に現像される。
現像装置4Kは、図2に示すように、隔壁41dによって現像室41aと撹拌室41bとに区画された現像容器41の内部に、トナー及びキャリアを含む二成分現像剤を収容している。現像室41a及び撹拌室41bの現像剤は、ギヤ列44aを介して駆動モータ44に駆動されるスクリュ43a,43bによって撹拌されながら、隔壁41dの連通口を介して循環搬送されている。
上記トナーは、結着樹脂、着色剤(及び必要に応じて添加剤)を含む着色樹脂粒子に、コロイダルシリカ微粉末のような外添剤が外添された着色粒子を有している。トナーは、例えば重合法等により製造可能な負帯電性のポリエステル系樹脂であり、体積平均粒径は5μm以上8μm以下が好ましい。本実施形態の実施例では、トナーの体積平均粒径は6.2μmとした。一方、キャリアは表面酸化或いは未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属、及びそれらの合金、並びに酸化物フェライトなどが好適に使用可能である。これらの磁性粒子の製造法は特に制限されない。キャリアは、重量平均粒径が20〜50μm、好ましくは30〜40μmであり、体積抵抗率が107Ω・cm以上、好ましくは108Ω・cm以上である。上記実施例のキャリアは体積抵抗率108Ω・cmのものを用いた。この実施例では、低比重磁性キャリアとして、フェノール系のバインダー樹脂に磁性金属酸化物及び非磁性金属酸化物を所定の比で混合し、重合法により製造した樹脂磁性キャリアを使用した。このキャリアの体積平均粒径は35μm、真密度は3.6〜3.7g/cm3、磁化量は53A・m2/kgである。
現像剤担持体である現像スリーブ42は、不図示のマグネットロールの外周に配置され、駆動モータ42aによって回転駆動される。また、現像スリーブ42には、不図示の高圧電源から、トナーの帯電極性とは逆極性の現像バイアス電圧が印加される。撹拌によって摩擦帯電した現像剤は、マグネットロールの磁力によって現像スリーブ42に担持されて移動し、不図示の規制ブレードによって層厚を規制される。そして、現像スリーブ42と感光ドラム2Kとが対向する現像領域において、トナー粒子が現像バイアス電圧によって感光ドラム2Kへと転移することで、感光ドラム2Kの静電潜像がトナー像に現像される。
なお、現像容器41には、容器内部のトナー濃度(現像剤全体に対するトナーの重量比)を検知可能なトナー濃度センサ45が設けられている。画像形成装置100の動作を制御するエンジン制御部50は、トナー濃度センサ45からの検知信号に基づいて、補給装置49のトナー補給動作を制御する。補給装置49は、トナー(補給用現像剤)を収容する収容部46と、収容部46のトナーを排出口48へ向けて搬送する補給スクリュ47とを有する。エンジン制御部50のCPU120は、ROM122に格納されたテーブル等に基づいて、必要なトナー補給量に対応する回転時間で補給モータ47aを駆動する。すると、補給スクリュ47によって搬送されたトナーが排出口48から排出され、現像容器41の補給口41cを介して容器内部に補給される。これにより、現像装置4Kの内部のトナー濃度が略一定に維持される。
感光ドラム2Kの表面に形成されたトナー像は、図1に示す一次転写ローラ5Kによって中間転写ベルト16へと一次転写される。一次転写ローラ5Kは、中間転写ベルト16を挟んで感光ドラム2Kに対向配置され、感光ドラム2Kと中間転写ベルト16との間に一次転写部T1Kを形成させている。そして、一次転写ローラ5Kにトナーの帯電極性とは逆極性の一次転写バイアス電圧が印加されることで、感光ドラム2Kに担持されたトナー像が静電気力によって中間転写ベルト16へと転移する。
一次転写部T1Kにおいて中間転写ベルト16へと転写されずに感光ドラム2Kの表面に残留した転写残トナーや、帯電ローラ3Kによる近接放電によって生成された放電生成物を含む付着物は、クリーニング装置6Kによって感光ドラム2Kから除去される。クリーニング装置6Kは、感光ドラム2Kに摺接するクリーニングブレード61を有し、感光ドラム2Kの回転に伴って、感光ドラム2Kの表面に付着した転写残トナー等の付着物を掻き取って除去する。
画像形成部から一次転写されたトナー像を担持する中間転写体である中間転写ベルト16は、駆動ローラ9、二次転写内ローラ10、従動ローラ12、及び一次転写ローラ5Y,5M,5C,5K等に張架されている。駆動ローラ9は、不図示のモータに駆動されて回転し、中間転写ベルト16を矢印R1方向に回転(移動)させる。上述のトナー像形成プロセス(作像動作)は各画像形成部1Y,1M,1C,1Kにおいて並行して進められ、一次転写部T1Y,T1M,T1C,T1Kにおいてトナー像が互いに重ね合わせて転写されることで、フルカラーのトナー像が形成される。
中間転写体に担持されたトナー像を記録材Pに転写する転写手段である二次転写ローラ15は、二次転写内ローラ10に対向して配置されている。二次転写ローラ15は、中間転写ベルト16の外周面に当接し、中間転写ベルト16との間のニップ部として二次転写部T2を形成している。二次転写部T2では、二次転写ローラ15にトナーの帯電極性とは逆極性の二次転写バイアス電圧が印加されることで、中間転写ベルト16に担持されたトナー像が記録材Pへと一括して二次転写される。二次転写部T2において中間転写ベルト16に付着したまま残った転写残トナーは、中間転写ベルト16に摺接するブレード部材を有するベルトクリーナー18によって回収される。
フルカラーのトナー像を転写された記録材Pは、定着装置13へ搬送される。そして、定着ローラ及び対向ローラによって挟持され、加熱及び加圧されることで、トナー像が溶融して記録材Pに固着する。定着装置13を通過してトナー像が定着した記録材Pは、不図示の排出機構によって機体外へ排出される。なお、上述の動作は画像形成装置100がフルカラー画像を形成する場合について説明したが、一部の画像形成部(例えば、画像形成部1Kのみ)を動作させて単色画像を形成することも可能である。
[帯電ローラ]
次に、帯電ローラ3について詳しく説明する。以下の説明において、帯電ローラ3及び感光ドラム2は、上記画像形成部1Y,1M,1C,1Kの帯電ローラ3Y,3M,3C,3K及び感光ドラム2Y,2M,2C,2Kとして使用可能なものとする。
次に、帯電ローラ3について詳しく説明する。以下の説明において、帯電ローラ3及び感光ドラム2は、上記画像形成部1Y,1M,1C,1Kの帯電ローラ3Y,3M,3C,3K及び感光ドラム2Y,2M,2C,2Kとして使用可能なものとする。
図3に示すように、帯電ローラ3はゴム材料によって形成された弾性層(3b,3c)を有するゴムローラである。具体的には、軸芯である芯金3aに、下層3b、中間層3c、及び表層3dが径方向外方へ向かって順に積層されている。このうち下層3bは、帯電音を低減させるように、例えば発泡スポンジによって構成される。ただし、帯電音とは、帯電バイアス電圧の交流成分によって帯電部材と感光体との間に生じる振動に起因するノイズを指す。表層3dは、感光ドラム2の表面にピンホール等があったとしても、リーク電流の発生を防ぐことで一様な暗部電位を形成可能とする保護機能を有する。
帯電ローラ3は、芯金3aと画像形成装置本体との間に縮設された付勢部材であるバネ31によって付勢されて感光ドラム2に圧接され、感光ドラム2との当接部である帯電ニップNcを形成している。また、帯電ローラ3には、帯電部材を清掃する帯電清掃部材としてのクリーニングローラ30が当接している。クリーニングローラ30は、軸芯30aの外周に発泡構造を有する弾性層30b(スポンジ層)が形成されたローラ部材であり、帯電ローラ3に従動回転する。そして、例えば帯電ローラ3との当接部における発泡セルの伸縮運動により、帯電ローラに付着した付着物を凝集させる等の過程により、帯電ローラ3への付着物の固着(フィルミング)を防ぐ。
図4のブロック図に示すように、帯電ローラ3の芯金3aは、画像形成装置本体の高圧電源基板に形成された電源(電源回路)である帯電電源S1に接続されている。帯電電源S1は、交流電圧を出力するAC電源S1aと、直流電圧を生成するDC電源S1dとを有し、直流電圧に交流電圧を重畳した帯電バイアス電圧を芯金3aに印加する。AC電源S1a及びDC電源S1dは、それぞれ画像形成装置本体の制御部50によって出力を制御されている。制御部50は、画像形成装置100が出力した画像の枚数(作像回数)を計測する枚数カウンタ27及び画像形成装置100のおかれた環境条件(温湿度等)を検知する環境センサ26に接続されている。そして、制御部50は作像回数及び環境条件に応じて帯電バイアス電圧のパラメータ(例えば、直流電圧の絶対値及び交流電圧のピーク間電圧値)を調整する。
ここで、帯電ローラ3の表層3dには、所定の直径D(粒径)を有するアクリル樹脂の微粒子3eが添加されている(図5参照)。このため、帯電ローラ3の表面(外周面)は、微粒子3eに沿って凸部3pと凹部3vとが形成された、微小な凹凸形状となっている。これにより、感光ドラム2に対する接触圧が不均一となり、感光ドラム2に付着した付着物が帯電ローラ3の凹部3vに転移することが防がれる。また、凸部3pに付着した付着物は、クリーニングローラ30によって除去される。従って、ローラ表面に凹凸形状を設けることにより、帯電ローラ3の汚染の低減が図られている。なお、帯電ローラ3の表面に凹凸を形成する方法としては、表層又は表層付近に微粒子を含有させる方法以外の方法(例えば、機械的研磨やサンドブラスト処理)を用いてもよい。
帯電ローラ3の各層は、例えば、次のように構成すると好適である。
(a)芯金3a・・・直径6mmのステンレス丸棒。
(b)下層3b・・・カーボンブラックを分散させた発泡EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)。比重0.5g/cm3、体積抵抗値102〜109Ω・cm、層厚3.0mm。
(c)中間層3c・・・カーボンブラックを分散させたNBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)系ゴム。体積抵抗値102〜105Ω・cm、層厚700μm。
(d)表層3d・・・フッ素化合物(PTFE等)を含有するN−メトキシメチル化ポリアミドに、アクリル微粒子、酸化錫、及びカーボンブラックを分散させたもの。体積抵抗値107〜1010Ω・cm、層厚10μm、表面ヤング率2GPa、表面硬度0.05〜2GPa。
(e)表面形状・・・平均粒径8μmのアクリル微粒子により、最大高さ粗さRz=15[μm](JISB0601:2013)の凹凸が形成されている。
(a)芯金3a・・・直径6mmのステンレス丸棒。
(b)下層3b・・・カーボンブラックを分散させた発泡EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)。比重0.5g/cm3、体積抵抗値102〜109Ω・cm、層厚3.0mm。
(c)中間層3c・・・カーボンブラックを分散させたNBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)系ゴム。体積抵抗値102〜105Ω・cm、層厚700μm。
(d)表層3d・・・フッ素化合物(PTFE等)を含有するN−メトキシメチル化ポリアミドに、アクリル微粒子、酸化錫、及びカーボンブラックを分散させたもの。体積抵抗値107〜1010Ω・cm、層厚10μm、表面ヤング率2GPa、表面硬度0.05〜2GPa。
(e)表面形状・・・平均粒径8μmのアクリル微粒子により、最大高さ粗さRz=15[μm](JISB0601:2013)の凹凸が形成されている。
帯電ローラ表面の凹凸形状は、レーザー顕微鏡、光学顕微鏡、電子顕微鏡、及び原子力間顕微鏡などの顕微鏡や、あるいは触針を有する接触式の測定機器を用いて観察することができる。上記最大高さ粗さRzは、株式会社キーエンス製の形状測定レーザマイクロスコープVK−8700による計測結果である。
帯電ローラ3の凸部3p及び凹部3v、並びに最大高さ粗さRz等の表面形状パラメータは、次のように求めることができる。ただし、以下の説明において、線粗さに関するパラメータはJISB0601:2013に準拠するものとし、面粗さに関するパラメータはISO25178−2:2012に準拠するものとする。
まず、帯電ローラ3の表面を顕微鏡等を用いて拡大観察して生の表面形状データを得た後、測定機器の測定限界に近い高周波成分を取り除き、さらに帯電ローラ3の幾何的な形状による表面の傾斜を補正した断面曲線を得る。すなわち、帯電ローラ3は円柱状であるため、周方向に沿った断面曲線を得る場合には、円弧を基準線とし、径方向を高さ方向として、基準線が直線となるように補正した断面曲線を得る。さらに、低周波成分を除去するフィルタを適用することで、粗さを算出するための輪郭曲線(粗さ曲線)を得る。
図5に模式的に示すように、粗さ曲線の平均線X0に対して凹んだ谷部分を凹部3vとし、凹部3vの底部から平均線X0までの距離を谷深さZvとする。同様に、平均線X0よりも突出した山部分を凸部3pとし、凸部3pの頂点から平均線X0までの距離を山高さZpとする。そして、例えば最大高さ粗さRzを求める場合には、所定の基準長さの粗さ曲線について山高さZpの最大値と谷深さZvの最大値との和をRzとする。
面粗さの表面形状についても同様であり、生の表面形状データから高周波成分及び幾何形状による傾斜を補正した曲面(S−F表面)を得た後、低周波成分を除去するフィルタを適用することで、粗さを算出するための曲面(S−L表面)を得る。S−L表面の平均高さに位置する基準面に対して凹んだ谷部分が粗さ曲線の凹部3vに相当し、基準面よりも突出する山部分が粗さ曲線の凸部3pに相当する。ただし、以下の説明では、粗さ曲線における凸部及び凹部を、S−L表面における凸部及び凹部と同一視して説明する。
一方、表層3dの極表層の硬度及びヤング率である表面硬度及び表面ヤング率は、ナノインデンテーション法を用いて測定した結果である。ただし、極表層とは、帯電ローラ3又は画像形成部全体の寿命として想定される動作時間(例えば、10万枚の作像動作)の間に摩耗しうる程度の層厚を指す。上記の実施例では、帯電ローラ3の表面から300nmまでの範囲を極表層とした。なお、このような表面形状及び表面硬さ(硬度・ヤング率)の測定方法は、後述の感光ドラム2に対しても適用される。
[クリーニングローラ]
次に、帯電ローラ3を清掃するクリーニングローラ30について詳しく説明する。図6に示すクリーニングローラ30の弾性層30bは、ゴム等の弾性材料に発泡構造を形成した発泡材料によって、例えば4〜10mmの厚さで形成される。弾性層30bの性状は、例えば、平均セル径100〜1000μm、1平方インチ当たりのセル数100〜200個、通気度0.5L〜10.0L/min、密度0.08〜0.20g/cm3の範囲に設定される。また、バネ等の付勢部材により、被清掃部材である帯電ローラ3に対して、総圧400g重の荷重で、侵入量0.4mmとなるように圧接される。
次に、帯電ローラ3を清掃するクリーニングローラ30について詳しく説明する。図6に示すクリーニングローラ30の弾性層30bは、ゴム等の弾性材料に発泡構造を形成した発泡材料によって、例えば4〜10mmの厚さで形成される。弾性層30bの性状は、例えば、平均セル径100〜1000μm、1平方インチ当たりのセル数100〜200個、通気度0.5L〜10.0L/min、密度0.08〜0.20g/cm3の範囲に設定される。また、バネ等の付勢部材により、被清掃部材である帯電ローラ3に対して、総圧400g重の荷重で、侵入量0.4mmとなるように圧接される。
上記平均セル径は、弾性層30bの表面の適当な領域(例えば20mm四方)を電子顕微鏡等で観察し、各セルの最大幅を、視野内に存在する全セルについて算術平均したものである。平均セル径は、弾性層30bを構成する材料に含ませる発泡剤及び反応制御剤の種類及び含有量、並びに、弾性層30bの硬化条件等により調整可能である。
弾性層30bを構成する弾性材料としては、例えば、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等の汎用ゴムやアクリロニトリル、シリコーンゴム、ポリウレタンゴム等のゴムを、単独で、又は2種以上を併用して使用可能である。ポリウレタンゴムの原料であるポリオールに特に制限は無く、ポリウレタンフォームの原料として従来公知の各種ポリオールの中から適宜選択して使用することができる。例えば、一般に軟質ポリウレタンフォームの製造に用いられているポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール等の、公知のポリオール類の中から適宜選択して、単独で、又は2種以上を組合せて用いることができる。
上記ポリオールのうち、ポリエーテルポリオールを用いると、耐湿熱耐久性に優れた軟質高弾性ポリウレタンフォームを製造するに好適である。また、あらかじめポリイソシアネートと重合させたプレポリマーをポリオールとして用いても差し支えない。また、ポリイソシアネートに特に制限は無く、ポリウレタンフォームの原料として従来公知の各種ポリイソシアネートの中から、適宜選択して使用することが出来る。例えば、2、4−及び2、6−トリレンジイソシアネート(TDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及びカーボジイミド変成MDI、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ポリメリックポリイソシアネート等を、単独で、又は二種以上を組み合せて用いることができる。なお、ポリイソシアネートを公知の活性水素化合物の1種又は2種以上と反応させることにより得られるイソシアネート基末端プレポリマーも、ポリイソシアネートとして使用することができる。
[感光ドラム]
次に、感光ドラム2について詳しく説明する。図3に示すように、感光ドラム2は、支持体2aの外周に機能の異なる複数の有機材料を積層した有機感光体(OPC感光体)である。すなわち、支持体2aから径方向外側に向かって、電荷発生層2b、電荷輸送層2c、及び保護層2dが順に積層されている。電荷発生層2bは、露光装置から照射されたレーザ光に反応して電荷を発生する電荷発生物質を含有する。電荷輸送層2cは、電荷発生層2bにおいて発生した電荷を保護層2dへ向けて輸送し、帯電ローラ3によって供給された表面電荷を中和する。感光ドラム2の表面を保護する保護層2dは、熱硬化性の樹脂材料等、硬度の高い材料からなる。
次に、感光ドラム2について詳しく説明する。図3に示すように、感光ドラム2は、支持体2aの外周に機能の異なる複数の有機材料を積層した有機感光体(OPC感光体)である。すなわち、支持体2aから径方向外側に向かって、電荷発生層2b、電荷輸送層2c、及び保護層2dが順に積層されている。電荷発生層2bは、露光装置から照射されたレーザ光に反応して電荷を発生する電荷発生物質を含有する。電荷輸送層2cは、電荷発生層2bにおいて発生した電荷を保護層2dへ向けて輸送し、帯電ローラ3によって供給された表面電荷を中和する。感光ドラム2の表面を保護する保護層2dは、熱硬化性の樹脂材料等、硬度の高い材料からなる。
ここで、感光ドラム2(感光体)を清掃する清掃部材であるクリーニングブレード61(図1参照)は、ウレタンゴム等のゴム材料からなるゴムブレードである。このようなゴムブレードを高硬度の保護層2dに当接させる構成では、像流れ等の画像不良が生じやすくなる場合がある。すなわち、保護層の硬度が大きいとゴムブレードと保護層2dとの摩擦係数が大きくなる傾向があり、特に湿度が高い場合に、ゴムブレードのビビりやめくれによってクリーニング不良が生じ易くなることが知られていた。また、硬度が小さい保護層を用いる場合に比してゴムブレードの摩耗速度が速くなることで、クリーニング不良が生じる懸念もあった。このような場合、感光ドラム2に付着した付着物の除去が不十分になって、像流れにつながる原因物質が徐々に蓄積してしまうことが懸念される。
そこで、感光ドラムの表面に、複数の凹形状(ディンプル)を互いに独立となるように配置する構成が従来から知られている。本実施形態に係る感光ドラム2には、図7の模式図に示すように、クリーニングブレード61が当接する平坦部2fと、平坦部2fから互いに独立に凹んで形成された複数の凹部2vとが形成されている。そして、これら凹部2vの作用により、クリーニングブレード61と感光ドラム2との間の摩擦抵抗を低減させて、クリーニング不良の防止を図っている。
特に、本実施形態においては、複数の凹部2vが比較的疎らに配置され、かつ、保護層直下の層(電荷輸送層2c)には凹部2vに対応する凹部(以下、下層凹部2wとする)が形成されている。凹部2vが疎らに配置されることで、平坦部2fの面積に対する凹部2vの面積の割合(面積率)が小さくなるため、クリーニングブレード61に摺擦される平坦部2fの面積率が高まる。これにより、クリーニングブレード61による清掃効果を確保しつつ、凹部2vによってクリーニングブレード61の当接状態を安定させる効果を得ることができる。また、下層凹部2wを形成したことで、例えば下層凹部2wを設けずに保護層2dと電荷輸送層2cとの界面を平滑に形成する構成に比して保護層2dの厚さが均一に近くなる。このため、保護層2dの変形によってブレードの一部が凹部2vの底部に接触する事態を回避することができ、クリーニングブレード61の当接状態を一層安定させることができる。
感光ドラム2の表面形状は、帯電ローラ3について述べたものと同様の観察方法によって観察することができる。まず、感光ドラム2の表面を顕微鏡等を用いて拡大観察して、500μm四方の領域の生の表面形状データを得た後、感光体の幾何的な形状による表面の傾斜を補正した断面曲線を得る。例えば、感光ドラム2の周方向に沿った断面の場合には、円弧を基準線とし、径方向を高さ方向として、基準線が直線となるように補正した断面曲線を得る。補正後の表面データの内、基準線に対して適当な高さ範囲(例えば±0.2μm)の範囲にある部分を平坦部2fとする。また、平坦部2fよりも下方に凹んだ部分のうち、凹部2vの設計上の範囲内にあるものを凹部2vとし、それ以外の凹形状(表面の傷等が考えられる)は非凹部として除外する。ただし、感光ドラム2が新品の状態ではない場合には、摩耗によって凹部2vの深さが小さくなるため、新品の感光ドラム2における凹部2vとの比較により、凹部2vと判定する閾値を適宜変更する。
また、面粗さについても帯電ローラ3の観察方法と同様であり、S−L表面の基準面に対して適当な高さ範囲にある領域を平坦部2fとし、平坦部2fから凹んだ領域を凹部2vとすればよい。このようにして求めた凹部2vについて、各凹部2vの最深部から平坦部2fまでの高さ方向の距離をその凹部2vの深さとする。
凹部2vは、具体的には深さ0.5μm以上6μm以下、かつ、長軸径20μm以上80μm以下となるように形成される。長軸径とは、平坦部2fに対する凹部2vの開口部を横切る直線を引いた場合に、開口部によって切り取られる線分の最大長さである。例えば、図8(a)〜(g)及び図9(a)〜(f)に示す凹形状における長軸径Xは、それぞれ図中に示す幅である。また、図9(a)〜(f)に示すように、凹部2vの深さZは、凹部2vの断面形状によらず、最深部を通る断面位置における深さを指している。
凹部2vは、例えば、モールドを用いた形状転写によって形成される。すなわち、感光ドラム2の各層を積層した後に、凹部2vに対応する凸形状が配置されたモールドに感光ドラム2を圧接させることにより、互いに独立な複数の凹部2vを形成することができる。ただし、独立した複数の凹部を形成可能な方法であれば、例えば、レーザ光を照射して保護層を切削する方法や、感光層の表面を結露させた状態で保護層を形成する方法を用いてもよい。
凹部2vの開口部の形状としては、図8(a)〜(g)に示す円、楕円、正方形、長方形、三角形、四角形、六角形などが挙げられる。また、凹部2vの断面形状は、図9(a)〜(f)に示す三角形、四角形、その他の多角形などエッジを有するものや、連続した曲線からなる波型や、多角形のエッジの一部または全部を曲線に変形したものなどが挙げられる。ただし、凹部2vの種類(開口形状、断面形状、長軸径、深さ等)は1種類に限らず、複数種類の凹部を配置してもよい。
また、凹部2vは、保護層2dの表面から一辺500μmの正方形領域を抽出した場合に、占有面積が7500μm2以上88000μm2以下となるように配置すると好適である。一方、正方形領域から凹部2v及び非凹部の凹形状等を取り除いた平坦部2fの面積は、81000μm2以上240000μm2以下とすると好適である。
[凹部の堆積物]
ここで、凹凸のある帯電部材と凹部を有する感光体とを併用する場合に生じうる現象について説明する。図10に示すように、弾性材料からなるクリーニングブレード61は、凹部2vの底部に接触しない程度の当接圧で感光ドラム2に当接している。すなわち、クリーニングブレード61は、平坦部2fを基準とした凹部2vに対する侵入量hcが、凹部2vの深さの平均値(以下、平均深さZaとする)よりも小さな値となるように、硬さ(ヤング率)や当接荷重、当接角度等を設定されている。このため、現像剤に含まれるトナーの外添剤等、粒子径の小さい粒子の一部が凹部2vに入り込んで、クリーニングブレード61に除去されずに徐々に堆積する。
ここで、凹凸のある帯電部材と凹部を有する感光体とを併用する場合に生じうる現象について説明する。図10に示すように、弾性材料からなるクリーニングブレード61は、凹部2vの底部に接触しない程度の当接圧で感光ドラム2に当接している。すなわち、クリーニングブレード61は、平坦部2fを基準とした凹部2vに対する侵入量hcが、凹部2vの深さの平均値(以下、平均深さZaとする)よりも小さな値となるように、硬さ(ヤング率)や当接荷重、当接角度等を設定されている。このため、現像剤に含まれるトナーの外添剤等、粒子径の小さい粒子の一部が凹部2vに入り込んで、クリーニングブレード61に除去されずに徐々に堆積する。
仮に、帯電ローラ3の凸部3pが感光ドラム2の凹部2vに深く侵入した場合には、図11に示すように、凹部2vに堆積した堆積物が凸部3pに付着する可能性がある。このような堆積物は、平坦部2fにおいて凸部3pに付着しうる付着物に比して量が多いと考えられる。従って、少なくともクリーニングローラ30によって十分に除去されるまで期間は、帯電ローラ3が局所的に汚染された状態となる。このような汚染は、感光ドラム2の表面に局所的な帯電不良を引き起こし、画像不良の原因となり得る。
[初期状態での詳細構成]
そこで、本実施形態においては、少なくとも初期状態において、帯電ローラ3の凸部3pが感光ドラム2の凹部2vの底部に接触しないように構成されている。ただし、初期状態とは、出荷時や、カートリッジ式の画像形成部が交換された場合など、感光ドラム2及び帯電ローラ3がいずれも新品とみなせる状態を指す。
そこで、本実施形態においては、少なくとも初期状態において、帯電ローラ3の凸部3pが感光ドラム2の凹部2vの底部に接触しないように構成されている。ただし、初期状態とは、出荷時や、カートリッジ式の画像形成部が交換された場合など、感光ドラム2及び帯電ローラ3がいずれも新品とみなせる状態を指す。
図12に示すように、凸部3pの凹部2vに対する侵入量は、凸部3pの頂点高さ(凸部の最高点を通る断面における山高さ)のばらつきに依存する。すなわち、凹部2vに対向する凸部3pの頂点高さが大きく、かつ、凹部2vの周囲の平坦部2fに当接する凸部3pの頂点高さが小さいほど、凹部2vへの侵入量が大きくなる。このような場合、凸部同士の頂点高さの差(h0)の分、凹部2vに対向する凸部3pが周囲の凸部3pに比して突出して、凹部2vへの侵入量が大きくなる。
従って、凸部3pが凹部2vの底部に接触しないようにするには、凸部3pの頂点高さのばらつきが、凹部2vの平均深さZaよりも小さくなる(Za>h0)ように構成すればよい。ただし、h0の値は各凸部3pによって異なるため、ばらつきの具体値として標準偏差を採用し、凹部2vの平均深さZaが凸部3pの頂点高さの標準偏差よりも大きくなるように構成すればよい。このような構成は、例えば帯電ローラ3の表層3dに分散する微粒子3eの直径によって調整することができる。また、研磨等によって帯電ローラ3の凹凸を形成する場合にも、表面高さ粗さRzを適当な範囲に収めることで、結果的に頂点高さのばらつきを調整できる。
また、平坦部2fに当接した凸部3pは、帯電ローラ3の感光ドラム2に対する当接圧により弾性変形して、高さ方向に圧縮される。この変形量h1が大きいほど、凹部2vに対向する凸部3pは凹部2vの底部へ向かってシフトすることになり、凹部2vに対する侵入量が大きくなる。従って、凹部2vの平均深さZaは、凸部3pの頂点高さのばらつきによる侵入量h0と、平坦部2fに当接した凸部3pの変形量h1との和よりも大きい(Za>h0+h1)と好適である。これにより、帯電ローラ3に付与される荷重が比較的大きい場合であっても、凸部3pが凹部2vの底部に接触することを防ぐことができる。
具体的に、感光ドラム2の凹部2vの平均深さZaが2μmであり、凹部2vの長軸径Xが50μmである場合には、次の表1に示す場合に凸部3pが凹部2vの底部に非接触となることが分かっている。ただし、当然のことながら、凹部2vの平均深さZaが2μm以上であったとしても、表1に示す場合には非接触となる。
表1に示すように、本実施形態では、帯電ローラ3の表層3dに分散された微粒子3eによって、凹部2vの平均深さZaよりも十点平均粗さRjisが大きな値となる凹凸が形成されている。しかし、凸部3pの頂点高さのばらつきが制御されることで、凸部3pが凹部2vに接触することが防がれる。
なお、凹部2vが深さの異なる複数種類の凹形状を含む場合には、それらのうち最も深さが小さい凹形状の平均深さZaが、凸部3pの頂点高さのばらつきよりも大きくなるように構成すればよい。また、凹部2vの深さにばらつきがある場合には、平均深さZaから深さのばらつき(例えば標準偏差)を差引いた値が、凸部3pの頂点高さのばらつきよりも大きくなるように構成すると好適である。
また、凸部3pが凹部2vの底部に接触することをより確実に防ぐためには、凹部2vの平均深さZaが、凸部3pの頂点高さ標準偏差の2倍(あるいは3倍以上)よりも大きくなるように構成するとよい。このような設定により、平均から大きく外れた頂点高さを有する凸部3pが凹部2vの底部に接触する可能性を低減することができる。また、頂点高さの確率分布が既知である場合には、ばらつきとして標準偏差以外の値を採用してもよい。
[感光ドラム及び帯電ローラの摩耗による影響]
次に、画像形成装置100を長期間に亘って使用する場合の影響について説明する。一般的に、感光ドラム(感光体)、帯電ローラ(帯電部材)、及びカートリッジとしての画像形成部全体には、画像の品質を確保するために、交換が推奨される寿命(例えば一定の作像回数)が設定されている。このような寿命が決まる要因としては、感光ドラム及び帯電ローラの表面の摩耗や、帯電ニップNcにおける放電生成物によるドラム表面及びローラ表面の劣化が挙げられる。
次に、画像形成装置100を長期間に亘って使用する場合の影響について説明する。一般的に、感光ドラム(感光体)、帯電ローラ(帯電部材)、及びカートリッジとしての画像形成部全体には、画像の品質を確保するために、交換が推奨される寿命(例えば一定の作像回数)が設定されている。このような寿命が決まる要因としては、感光ドラム及び帯電ローラの表面の摩耗や、帯電ニップNcにおける放電生成物によるドラム表面及びローラ表面の劣化が挙げられる。
本実施形態では、感光ドラム2の保護層2dを硬度の高い材料によって構成することで、クリーニングブレード61の摺擦による摩耗が低減されている。これにより感光ドラム2の長寿命化が図られているものの、保護層2dは、略一定の摩耗速度で徐々に摩耗する。同様に、帯電ローラ3は、主にクリーニングローラ30との摩擦により、略一定の摩耗速度で摩耗する。
摩耗速度(摩耗レート)とは、作像枚数当たりの表面層(2d,3d)の層厚の変化量を指す。本実施形態では、トナー被覆率5%のハーフトーン画像をA4用紙の印刷領域全体に形成する作像動作を、用紙100,000枚分繰り返すことで摩耗速度を算出している。層厚の変化量は、帯電ローラ3の場合には、例えば最大高さ粗さRzの変化量や、断面の観察(例えば、研磨作用によって形成された面の高さ)によって求めることができる。また、感光ドラム2の場合には、例えば初期状態での凹部2vの平均深さZaと、作像動作後の凹部2vの平均深さとを比較することで求めることができる。
感光ドラム2の摩耗速度は、感光ドラム2の表面硬度、クリーニングブレード61の当接角、当接圧、及び硬度、並びにクリーニングブレード61との摩擦係数等に依存する。また、帯電ローラ3の摩耗速度は、帯電ローラ3の表面硬度、表面のクリーニングローラ30の当接圧及び硬度、並びにクリーニングローラ30との摩擦係数等に依存する。
ここで、仮に感光ドラム2の摩耗速度が帯電ローラ3の摩耗速度に比して大きい場合、凹部2vが形成された保護層2dが、帯電ローラ3の凸部3pに比して早く摩耗することになる。すると、凹部2vが浅くなる一方で、凸部3pの凹部2vに対する侵入量が初期状態に比してあまり減少せずに推移することになり、凸部3pが凹部2vの底部に堆積した堆積物に接触して汚染される可能性が生じる。
そこで、本実施形態では、継続使用中の帯電ローラ3の汚染を防ぐために、帯電ローラ3の摩耗速度が感光ドラム2の摩耗速度に比して大きくなるように構成されている。以下、感光ドラム2及び帯電ローラ3の摩耗速度が、表2に示す水準となるように構成したものを組み合わせて、帯電ローラ3の汚染防止効果について検証した結果を説明する。摩耗速度が比較的小さい水準1の帯電ローラ3の表面硬度は0.4GPaであり、摩耗速度が比較的大きい水準2の帯電ローラ3の表面硬度は0.1GPaである。また、摩耗速度が比較的小さい水準1の感光ドラム2の表面硬度は0.5GPaであり、摩耗速度が比較的大きい水準2の感光ドラム2の表面硬度は0.2GPaである。
その他の構成は共通であり、次のようにした。感光ドラム2は、平均深さZa=2[μm]、長軸径X=50[μm]の凹部2vが形成されたものを使用した。帯電ローラ3は、表面の最大高さ粗さRz=15[μm]であるものを使用し、初期状態で凸部3pが凹部2vの底部に接触しないものとした。クリーニングブレード61の線圧は22gf/cmとし、ヤング率100MPa、感光ドラム2との摩擦係数1.5のものを使用した。クリーニングローラ30は、帯電ローラ3との摩擦係数0.4のものを使用し、線圧10gf/cmで帯電ローラ3に当接させた。
このような設定の下で、20℃、5RH%の条件下で、トナー被覆率20%のハーフトーン画像をA4用紙100,000に対して連続印刷させた。そして、印刷後に帯電ローラ3の汚染による画像不良の有無を判定したところ、表3に示す結果が得られた。ただし、表中の丸は画像不良が発生しなかったことを表し、バツは画像不良が発生したことを表す。
この結果を、図13及び図14を用いて説明する。図13(a)に示すように、初期状態で平均深さZaの深さを有する感光ドラム2の凹部2vは、保護層2dが摩耗して平坦部2fのレベルが低下することで徐々に浅くなる。保護層2dの摩耗速度をm[μm/枚]とすると、t枚の画像を形成した後の凹部2vの平均深さZ(t)は、
(1) Z(t)=Za−m×t ただし、0≦t≦Za/m
となる。
(1) Z(t)=Za−m×t ただし、0≦t≦Za/m
となる。
一方、図13(b)に示すように、t枚の画像を形成した後の帯電ローラ3の凸部3pの侵入量h(t)は、頂点高さのばらつきによる侵入量h0と、凸部3pの変形量h1とに依存する。頂点高さのばらつきによる侵入量h0は、摩耗によって頂点高さが減少することにより、作像枚数の増加に伴って減少する。凸部3pの摩耗速度をn(μm/枚)とすると、t枚の画像を形成した後の侵入量h0(t)は、
(2) h0(t)=h0(0)−n×t ただし、0≦t≦h0(0)/n
となる。
(2) h0(t)=h0(0)−n×t ただし、0≦t≦h0(0)/n
となる。
また、凸部3pの変形量h1(t)は、作像枚数の増加に伴って徐々に減少する。これは、凸部3pの摩耗に伴って平坦部2fとの接触面積が増大するため、接触面積に反比例して平坦部2fから凸部3pが受ける単位面積当たりの力が減少し、凸部3pの応力が小さくなるためである。
以上のことから、初期状態で凹部2vの平均深さZaが凸部3pの侵入量hよりも大きい非接触状態となっている場合に、継続使用中も非接触状態を維持するためには、次の式が満たされていればよい。
(3) Za−m×t > h0(0)−n×t+h1(t)
ここでh1(t)が単調減少することを考慮すると、式(3)の関係を満たすためには、
(4) n>m
であればよいことが分かる。
ここでh1(t)が単調減少することを考慮すると、式(3)の関係を満たすためには、
(4) n>m
であればよいことが分かる。
式(4)の関係が満たされている場合、図14(a)に示すように、凸部3p及び凹部2vの非接触状態が維持される。一方、式(4)の不等号が逆転している場合には、図14(b)に示すように、凸部3pの侵入量h(t)が凹部2vの平均深さZ(t)を上回るケースがある。この場合、少なくとも、感光ドラム2がさらに摩耗してクリーニングブレード61が凹部2vの底部に接触するまで(t0)の期間で、帯電ローラ3の汚染が発生し得る状態となる。
なお、式(4)の不等号が成立しない場合であっても、帯電ローラ3及び感光ドラム2の寿命が設定されている場合には、寿命よりも長い期間で式(3)の関係が満たされるように構成してもよい。また、式(4)の関係を満たす場合であっても、帯電ローラ3の摩耗速度が過度に大きい場合には、表層3dが摩耗しきって中間層3cが露出してしまい、帯電不良を引き起こす可能性がある。このため、帯電ローラ3の摩耗速度は、表層3dの層厚を考慮して適度な上限以下(例えば、画像10万枚当たり20μm以下)に設定すると好ましい。
[本実施形態の効果]
以上のように、本実施形態では、少なくとも初期状態において、帯電ローラ3が有する凸部3pの高さ(頂点高さ)のばらつきが、感光ドラム2に形成される複数の凹部2vの平均深さZaよりも大きくなるように構成されている。これにより、凹部2vに堆積した堆積物が凸部3pに付着することを防いで、帯電ローラ3の汚染による画像不良の発生を抑制することができる。
以上のように、本実施形態では、少なくとも初期状態において、帯電ローラ3が有する凸部3pの高さ(頂点高さ)のばらつきが、感光ドラム2に形成される複数の凹部2vの平均深さZaよりも大きくなるように構成されている。これにより、凹部2vに堆積した堆積物が凸部3pに付着することを防いで、帯電ローラ3の汚染による画像不良の発生を抑制することができる。
また、上記平均深さZaは、凸部3pの頂点高さのばらつきに、感光ドラム2との当接による凸部3pの変形量(h1)を加算したものよりも、なお大きくなるように構成されている。このため、凸部3pが凹部2vの底部に接触することをより確実に回避することができる。
また、クリーニングローラ30による帯電ローラ3の摩耗速度が、クリーニングブレード61による感光ドラム2の摩耗速度に比して大きくなるように構成している。これにより、作像動作を繰り返した場合も、凸部3pが凹部2vの底部に接触することを継続的に防ぐことが可能となり、長期間に亘って帯電ローラ3の汚染を防ぐことができる。
[他の実施形態]
本実施形態においては、電子写真感光体として円柱状の感光ドラムを使用したが、円筒状の感光体又は無端状のベルト部材(感光ベルト)を用いてもよい。また、有機感光体の積層構造は上述したものに限らず、例えば、電荷発生層及び電荷輸送層の機能を兼ね備えた感光層を支持体2aの外周に形成したものや、保護層2dが電荷輸送機能を有するものであってもよい。これらの場合であっても、感光ドラム2の表面に互いに独立な複数の凹部が形成される構成であれば、本技術を適用可能である。
本実施形態においては、電子写真感光体として円柱状の感光ドラムを使用したが、円筒状の感光体又は無端状のベルト部材(感光ベルト)を用いてもよい。また、有機感光体の積層構造は上述したものに限らず、例えば、電荷発生層及び電荷輸送層の機能を兼ね備えた感光層を支持体2aの外周に形成したものや、保護層2dが電荷輸送機能を有するものであってもよい。これらの場合であっても、感光ドラム2の表面に互いに独立な複数の凹部が形成される構成であれば、本技術を適用可能である。
なお、感光体を清掃する清掃部材及び帯電部材を清掃する帯電清掃部材は上述のクリーニングブレード61及びクリーニングローラ30に限らない。清掃部材としては、例えば、比較的硬度の高い樹脂材料によって構成されたブレード部材や、静電気力によって感光体表面の付着物(転写残トナー)を除去するローラ部材が考えられる。また、帯電清掃部材としては、このようなブレード部材やローラ部材に加えて、例えば帯電部材に摺擦するブラシを有するブラシ式のクリーニング装置を適用可能である。
2…感光体(感光ドラム)/2f…平坦部/2v…凹部/3…帯電部材(帯電ローラ)/3a…軸芯/3b,3c…弾性層(下層、中間層)/3d…表層/3e…粒子(微粒子)/3p…凸部/3v…凹部/100…画像形成装置/Za…凹部の深さの平均値(凹部の平均深さ)
Claims (10)
- 回転する感光体と、
前記感光体に当接し、前記感光体の表面に付着した付着物を前記感光体の回転に伴って除去する清掃部材と、
前記感光体に当接した状態で回転し、前記感光体の表面を帯電させる帯電部材と、
前記帯電部材によって帯電した前記感光体の表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、を備え、
前記感光体の表面には、前記清掃部材が当接する平坦部と、前記平坦部から互いに独立に凹んだ複数の凹部とが形成され、
前記帯電部材の表面には凹凸が形成され、凸部の高さのばらつきが前記複数の凹部の深さの平均値よりも小さい、
ことを特徴とする画像形成装置。 - 前記帯電部材を付勢して前記感光体に圧接させる付勢部材を備え、
前記感光体との当接部における前記凸部の高さ方向の変形量の平均値と、前記凸部の高さのばらつきとの和が、前記複数の凹部の深さの平均値よりも小さい、
請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記帯電部材の表面の十点平均粗さが、前記複数の凹部の深さの平均値よりも大きい、
請求項1又は2に記載の画像形成装置。 - 前記帯電部材に接触し、前記帯電部材の表面に付着した付着物を除去する帯電清掃部材を備え、
前記帯電清掃部材による前記帯電部材の摩耗速度が、前記清掃部材による前記感光体の摩耗速度に比して大きい、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記帯電清掃部材は、発泡材料によって構成された弾性層を有するローラ部材であり、前記帯電部材に当接した状態で回転する、
請求項4に記載の画像形成装置。 - 前記清掃部材は、前記感光体に圧接されており、
前記清掃部材の前記複数の凹部に対する侵入量が、前記複数の凹部の深さの平均値よりも小さい、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記帯電部材は、電源に接続された軸芯と、前記軸芯の外周側に形成された弾性を有する弾性層と、前記弾性層の外周側に形成され、前記凹凸を設けられた表層とを含むローラ部材である、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記表層には粒子が分散され、前記粒子に沿って前記帯電部材の前記凹凸が形成されている、
請求項7に記載の画像形成装置。 - 前記複数の凹部の深さの平均値が2μm以上であり、
前記帯電部材の前記表層に含まれる粒子は、直径の平均値が9μm以上30μm以下であり、前記帯電部材の表面ヤング率が2GPa以上5GPa以下である、
請求項8に記載の画像形成装置。 - 前記複数の凹部の深さの平均値が2μm以上であり、
前記帯電部材の十点平均粗さが11μm以上22μm以下であり、前記帯電部材の表面ヤング率が2GPa以上5GPa以下である、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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