JP2017172669A - 水素漏洩防止構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴミ等の付着による水素検知性能の低下を抑止するとともに、漏洩した水素ガスの拡散を抑止する水素漏洩防止構造体を提供する。【解決手段】水素漏洩防止構造体10は、水素タンク2と燃料電池スタック3との間の少なくとも一部を気密状態で接続する気密管状構造部20と、気密管状構造部20内に配置され、前記水素タンク2から前記燃料電池スタック3に水素を供給する水素供給系30と、気密管状構造部20内に配置され、水素を検知する光ファイバ水素センサ40と、気密管状構造部20内に配置され、水素を吸蔵する水素吸蔵合金50と、を備える。【選択図】図2
Description
本発明は、水素漏洩防止構造体に関する。
燃料電池自動車(FCV)は、燃料電池で水素と酸素の化学反応により発電し、得られた電気エネルギーでモーターを回転させることにより走行する自動車である。燃料電池は、水素を燃料とし、発電の際に、大気汚染の原因となる窒素酸化物、炭化水素や、地球温暖化の原因と考えられる二酸化炭素を排出しない。このため、燃料電池自動車は、いわゆる環境に優しい自動車であり、今後普及すると考えられている。
しかし、燃料電池の燃料である水素は、爆発限界が低く、空気中に4体積%程度含まれると爆発する。このため、燃料電池自動車には、ppmオーダーから爆発下限濃度の4体積%までの水素を応答性よく計測することができる水素ガス漏れ検知技術が求められている。
これに対し、特許文献1には、水素感応膜への水素の吸脱着を利用した光ファイバセンサが開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載された光ファイバセンサは、水素感応膜からなるセンサ部が露出しているため、水素感応膜が衝撃を受けたり、水素感応膜にゴミが付着して水素の検知感度が低下したりしやすい。また、特許文献1に記載された光ファイバセンサは、水素ガスの漏洩を検知することが可能であるものの、漏洩した水素ガスの拡散を抑止することはできない。
このように、従来、ゴミ等の付着による水素検知性能の低下を抑止するとともに、漏洩した水素ガスの拡散を抑止する水素漏洩防止構造体は知られていなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ゴミ等の付着による水素検知性能の低下を抑止するとともに、漏洩した水素ガスの拡散を抑止する水素漏洩防止構造体を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に係る水素漏洩防止構造体は、水素タンクと燃料電池スタックとの間の少なくとも一部を気密状態で接続する気密管状構造部と、前記気密管状構造部内に配置され、前記水素タンクから前記燃料電池スタックに水素を供給する水素供給系と、前記気密管状構造部内に配置され、水素を検知する光ファイバ水素センサと、前記気密管状構造部内に配置され、水素を吸蔵する水素吸蔵合金と、を備えることを特徴とする。
本発明の第2の態様に係る水素漏洩防止構造体は、前記水素供給系が、前記水素タンクから前記燃料電池スタックに水素を供給する水素供給配管を有することを特徴とする。
本発明の第3の態様に係る水素漏洩防止構造体は、前記水素供給系は、複数本の前記水素供給配管と、隣接する前記水素供給配管の端部同士を接続する配管接続部材とを有し、前記気密管状構造部は、前記水素供給配管を収容する配管収容部と、前記配管接続部材を収容する配管接続部材収容部とを有することを特徴とする。
本発明の第4の態様に係る水素漏洩防止構造体は、前記配管接続部材は、レギュレータ及び継手からなる群より選択される1種以上であることを特徴とする。
本発明の第5の態様に係る水素漏洩防止構造体は、前記水素吸蔵合金は、配管収容部及び配管接続部材収容部内の少なくとも一方に配置されることを特徴とする。
本発明に係る水素漏洩防止構造体は、ゴミ等の付着による水素検知性能の低下を抑止するとともに、漏洩した水素ガスの拡散を抑止することができる。
[水素漏洩防止構造体]
(第1の実施形態)
以下、本実施形態の水素漏洩防止構造体について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
以下、本実施形態の水素漏洩防止構造体について、図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体を含む燃料電池システムを示す斜視図である。燃料電池システム1は、水素タンク2と、水素タンク2中の水素を用いて発電する燃料電池スタック3と、第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10とを有する。第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10は、水素タンク2と燃料電池スタック3との間の少なくとも一部に設けられ、水素漏洩防止構造を備える構造体である。
第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10は、水素タンク2と燃料電池スタック3との間の少なくとも一部を気密状態で接続する気密管状構造部20と、気密管状構造部20内に配置される水素供給系30と、気密管状構造部20内に配置される光ファイバ水素センサ40と、気密管状構造部20内に配置される水素吸蔵合金50と、を備える。
<気密管状構造部>
気密管状構造部20は、水素タンク2と燃料電池スタック3との間の少なくとも一部気密状態で接続する。この気密管状構造部20は、後述の水素供給系30、光ファイバ水素センサ40及び水素吸蔵合金50を気密状態で収容する部材である。気密管状構造部20は、水素供給系30、光ファイバ水素センサ40及び水素吸蔵合金50を気密状態で収容することにより、水素供給系30から水素が漏洩したときに、水素が気密管状構造部20の外部に漏洩することを防止する構造部である。気密管状構造部20の形状は、水素供給系30、光ファイバ水素センサ40、及び水素吸蔵合金50を気密状態で収容可能な形状であればよく、特に限定されない。
気密管状構造部20は、水素タンク2と燃料電池スタック3との間の少なくとも一部気密状態で接続する。この気密管状構造部20は、後述の水素供給系30、光ファイバ水素センサ40及び水素吸蔵合金50を気密状態で収容する部材である。気密管状構造部20は、水素供給系30、光ファイバ水素センサ40及び水素吸蔵合金50を気密状態で収容することにより、水素供給系30から水素が漏洩したときに、水素が気密管状構造部20の外部に漏洩することを防止する構造部である。気密管状構造部20の形状は、水素供給系30、光ファイバ水素センサ40、及び水素吸蔵合金50を気密状態で収容可能な形状であればよく、特に限定されない。
なお、図1に第1の実施形態として示す水素漏洩防止構造体10では、気密管状構造部20が、水素タンク2と燃料電池スタック3との間の全体にわたって設けられる。具体的には、水素漏洩防止構造体10では、水素タンク2と燃料電池スタック3との間の全体にわたって、筒状の配管収容部21と箱状の配管接続部材収容部25とからなる気密管状構造部20が設けられており、配管収容部21と配管接続部材収容部25とは、形状が異なっているが気密状態を保って接続されている。このため、気密管状構造部20は、水素タンク2と燃料電池スタック3との間の全体にわたって、気密状態を保つ構造部になっている。
気密管状構造部20の一部を構成する配管収容部21は、水素供給系30としての水素供給配管31を収容する。また、気密管状構造部20の一部を構成する配管接続部材収容部25は、水素供給系30としての、水素供給配管31及び配管接続部材35を収容する。このため、気密管状構造部20は、水素供給配管31を収容する配管収容部21と、配管接続部材35を収容する配管接続部材収容部25とを有する。
なお、水素漏洩防止構造体は、第1の実施形態と異なる実施形態として、気密管状構造部20が、水素タンク2と燃料電池スタック3との間の一部のみに設けられる構造体とすることができる。この気密管状構造部20が、水素タンク2と燃料電池スタック3との間の一部のみに形成される構造体を、第3の実施形態として後述する。第3の実施形態は、水素タンク2と燃料電池スタック3との間の部分のうち、水素が漏洩しやすい部分にのみ、気密管状構造部20を設けた例である。
図2は、図1の水素漏洩防止構造体10を構成する気密管状構造部20の一部である配管収容部21を拡大するとともにその横断面を示した斜視図である。図3は、図1のA−A線に沿った断面を模式的に示す断面図である。具体的には、図3は、図1に示す気密管状構造部20を構成する、筒状の配管収容部21及び箱状の配管接続部材収容部25を拡大して示す断面図である。
図2及び3に示すように、気密管状構造部20の一部である配管収容部21では、その内部の空間23に、水素供給系30としての水素供給配管31と、光ファイバ水素センサ40と、水素吸蔵合金50と、が収容される。
また、図3に示すように、気密管状構造部20の他の一部である配管接続部材収容部25では、配管接続部材収容部25内の空間27に、水素供給系30としての水素供給配管31及び配管接続部材35と、光ファイバ水素センサ40と、水素吸蔵合金50と、が収容される。図3に示す配管接続部材35は、具体的にはレギュレータ35Aである。
このように、配管収容部21と配管接続部材収容部25とは、共に、外部に対する気密状態を保ちつつ、内部に水素供給系30と、光ファイバ水素センサ40と、水素吸蔵合金50とを収容する。このため、配管収容部21と配管接続部材収容部25とからなる気密管状構造部20が形成された部分の全体が水素漏洩防止構造体10になっている。
次に、気密管状構造部20内に配置される、水素供給系30、光ファイバ水素センサ40、及び水素吸蔵合金50について説明する。
<水素供給系>
水素供給系30は、気密管状構造部20内に配置され、水素タンク2から燃料電池スタック3に水素を供給する系である。図3に示すように、第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10は、水素供給系30として、水素タンク2から燃料電池スタック3に水素を供給する複数本の水素供給配管31と、隣接する水素供給配管31の端部同士を接続する配管接続部材35とを有する。図3に第1の実施形態として示す水素漏洩防止構造体10では、配管接続部材35としてレギュレータ35Aが用いられる。レギュレータ35Aは、水素タンク2から燃料電池スタック3に供給される水素の圧力を調整する装置である。
水素供給系30は、気密管状構造部20内に配置され、水素タンク2から燃料電池スタック3に水素を供給する系である。図3に示すように、第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10は、水素供給系30として、水素タンク2から燃料電池スタック3に水素を供給する複数本の水素供給配管31と、隣接する水素供給配管31の端部同士を接続する配管接続部材35とを有する。図3に第1の実施形態として示す水素漏洩防止構造体10では、配管接続部材35としてレギュレータ35Aが用いられる。レギュレータ35Aは、水素タンク2から燃料電池スタック3に供給される水素の圧力を調整する装置である。
なお、水素漏洩防止構造体10では、配管接続部材35として、レギュレータ35Aに代えて又はレギュレータ35Aに加えて継手を用いることができる。すなわち、配管接続部材35は、レギュレータ35A及び継手からなる群より選択される1種以上とすることができる。たとえば、水素漏洩防止構造体10に、配管接続部材35が複数個含まれるときに、配管接続部材35の一部をレギュレータ35Aとし、配管接続部材35の残部を継手とすることができる。
<光ファイバ水素センサ>
光ファイバ水素センサ40は、気密管状構造部20内に配置され、水素を検知するセンサである。水素漏洩防止構造体10は、気密管状構造部20内が気密状態であるため、光ファイバ水素センサ40は、気密管状構造部20内の空気中の水素を検知するセンサとして機能する。光ファイバ水素センサ40としては、特に限定されず、公知のものを用いることができるが、例えば、白金担持酸化タングステン(Pt/WO3)を含む水素感応クラッドを有する光ファイバ水素センサが用いられる。なお、光ファイバ水素センサ40は、水素を検知するセンサとしての機能に加えて他の機能を有するものとしてもよい。他の機能としては、例えば、通信機能及び給電機能の1種以上の機能が挙げられる。光ファイバ水素センサ40が、水素を検知するセンサとしての機能に加えて通信機能及び給電機能の1種以上の機能を有すると、水素漏洩防止構造体10の構造を複雑化せずに水素漏洩防止構造体10に通信機能及び給電機能の1種以上の機能を付与することができる。
光ファイバ水素センサ40は、気密管状構造部20内に配置され、水素を検知するセンサである。水素漏洩防止構造体10は、気密管状構造部20内が気密状態であるため、光ファイバ水素センサ40は、気密管状構造部20内の空気中の水素を検知するセンサとして機能する。光ファイバ水素センサ40としては、特に限定されず、公知のものを用いることができるが、例えば、白金担持酸化タングステン(Pt/WO3)を含む水素感応クラッドを有する光ファイバ水素センサが用いられる。なお、光ファイバ水素センサ40は、水素を検知するセンサとしての機能に加えて他の機能を有するものとしてもよい。他の機能としては、例えば、通信機能及び給電機能の1種以上の機能が挙げられる。光ファイバ水素センサ40が、水素を検知するセンサとしての機能に加えて通信機能及び給電機能の1種以上の機能を有すると、水素漏洩防止構造体10の構造を複雑化せずに水素漏洩防止構造体10に通信機能及び給電機能の1種以上の機能を付与することができる。
なお、白金担持酸化タングステン(Pt/WO3)を含む水素感応クラッドを有する光ファイバ水素センサでは、水素感応クラッドへの水素の吸着、脱着に基づき雰囲気中の水素濃度を検知する。このため、上記水素感応クラッドを有する光ファイバ水素センサで水素濃度を正確に検知するためには、水素感応クラッドの表面が清浄に保たれていることが必要である。これに対し、第1の実施形態として示す水素漏洩防止構造体10では、光ファイバ水素センサ40が気密状態の気密管状構造部20内に収容されており、光ファイバ水素センサ40の表面が清浄に保たれる。このため、第1の実施形態として示す水素漏洩防止構造体10では、水素感応クラッドを有する光ファイバ水素センサを用いた場合でも、水素濃度を正確に検知することができる。
<水素吸蔵合金>
水素吸蔵合金50は、気密管状構造部20内に配置され、水素を吸蔵する金属である。水素吸蔵合金50の材質としては、水素を吸蔵可能な合金である限り特に限定されないが、例えば、Mg2Ni等が用いられる。Mg2Niからなる水素吸蔵合金50は、例えば、水酸化マグネシウムをボールミリング処理し、さらに触媒を高い濃度で添加して活性かさせることにより得られる。Mg2Niからなる水素吸蔵合金50は、4質量%以上の濃度の水素ガスを室温において10秒程度の高速で吸蔵可能である。なお、水素を吸蔵した水素吸蔵合金50は、例えば、気密管状構造部20外に取り出し、温度、圧力等を適切な条件にすることにより、安全に水素を放出することができる。水素を放出した後の水素吸蔵合金50は、水素吸蔵能力が元に戻るため、繰り返し用いることができる。
水素吸蔵合金50は、気密管状構造部20内に配置され、水素を吸蔵する金属である。水素吸蔵合金50の材質としては、水素を吸蔵可能な合金である限り特に限定されないが、例えば、Mg2Ni等が用いられる。Mg2Niからなる水素吸蔵合金50は、例えば、水酸化マグネシウムをボールミリング処理し、さらに触媒を高い濃度で添加して活性かさせることにより得られる。Mg2Niからなる水素吸蔵合金50は、4質量%以上の濃度の水素ガスを室温において10秒程度の高速で吸蔵可能である。なお、水素を吸蔵した水素吸蔵合金50は、例えば、気密管状構造部20外に取り出し、温度、圧力等を適切な条件にすることにより、安全に水素を放出することができる。水素を放出した後の水素吸蔵合金50は、水素吸蔵能力が元に戻るため、繰り返し用いることができる。
水素吸蔵合金50の形状は特に限定されないが、例えば、紐状、棒状、板状、箔状、粒状等とすることができる。ここで、紐状とは、変形が容易な棒状を意味する。水素吸蔵合金50が紐状であると、ハンドリング及び管理が容易であるため好ましい。なお、水素吸蔵合金50は、その表面粗さを大きくすることにより、水素吸蔵合金50の表面積を大きくし、水素吸蔵量を増加させてもよい。
第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10では、図2及び図3に示すように、水素吸蔵合金50が、配管収容部21及び配管接続部材収容部25の内部にそれぞれ収容される。
なお、水素吸蔵合金50は、気密管状構造部20の一部、例えば、配管収容部21又は配管接続部材収容部25内のみに配置される態様を採用することができる。すなわち、水素吸蔵合金50は、配管収容部21及び配管接続部材収容部25内の少なくとも一方に配置される態様を採用することができる。水素吸蔵合金50が配管収容部21内に配置されず配管接続部材収容部25内のみに配置される態様を、第3の実施形態として後述する。
<作用>
第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10の作用を説明する。図1に示す燃料電池システム1は、水素タンク2から水素漏洩防止構造体10内の水素供給系30を介して供給された水素を用いて燃料電池スタック3で発電するものである。燃料電池システム1は、例えば、燃料電池車等に搭載される。
第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10の作用を説明する。図1に示す燃料電池システム1は、水素タンク2から水素漏洩防止構造体10内の水素供給系30を介して供給された水素を用いて燃料電池スタック3で発電するものである。燃料電池システム1は、例えば、燃料電池車等に搭載される。
水素タンク2から取り出された水素ガスは、水素漏洩防止構造体10内の水素供給系30、すなわち、水素供給配管31及び配管接続部材35を流通して燃料電池スタック3に供給される。具体的には、通常時において、水素タンク2から取り出された水素は、その全量が水素供給系30を介して燃料電池スタック3に供給される。
なお、水素供給系30から水素ガスが漏洩する異常事態が生じた場合、例えば水素供給配管31に形成された孔から水素ガスが漏洩したり、水素供給配管31と配管接続部材35との接続部から水素ガスが漏洩したりした場合には、この水素ガスは気密状態に保たれた気密管状構造部20内の空間23や27に貯留される。このため、水素漏洩防止構造体10では、水素供給系30から漏洩した水素ガスが水素漏洩防止構造体10外に放出されることはなく、漏洩した水素ガスの拡散が抑止される。
また、気密管状構造部20内の空間23や27に水素ガスが貯留した場合は、光ファイバ水素センサ40により水素ガスの漏洩が検知されるとともに、水素吸蔵合金50に水素が吸蔵されることにより気密管状構造部20内の気体中の水素ガスの濃度が下げられる。このため、水素ガスの漏洩量が水素吸蔵合金50の水素吸蔵能力未満であれば、気密管状構造部20内の雰囲気を水素の爆発限界以下になるように制御することができる。
なお、光ファイバ水素センサ40が白金担持酸化タングステン(Pt/WO3)を含む水素感応クラッドを有するものである場合、水素感応クラッドに対する水素の吸着や脱着に基づいて水素が検知される。また、一般的に、水素感応クラッドによる水素の吸着速度は、水素吸蔵合金50による水素吸蔵速度に比較して十分に速い。このため、白金担持酸化タングステン(Pt/WO3)を含む水素感応クラッドを有する光ファイバ水素センサ40を用いて水素の検知を行う場合において、水素感応クラッドへの水素の吸着反応を用いた光ファイバ水素センサ40での水素濃度の検知と、水素吸蔵合金50による水素の吸蔵反応とが共に生じるときでも、水素感応クラッドへの水素の吸着速度が十分に速いことから、水素濃度の適切な検知が可能である。
また、水素漏洩防止構造体10では、光ファイバ水素センサ40が気密状態の気密管状構造部20内に配置される。このため、水素漏洩防止構造体10では、光ファイバ水素センサ40の表面にゴミ等が付着して水素検知能力が低下することを抑制することができる。例えば、光ファイバ水素センサ40が、白金担持酸化タングステン(Pt/WO3)を含む水素感応クラッドを有する場合、水素感応クラッドは水素の吸着、脱着により、水素を検知するため、水素感応クラッドの表面が清浄であることが好ましい。水素漏洩防止構造体10では、光ファイバ水素センサ40が気密管状構造部20内に収容されるため、光ファイバ水素センサ40の表面へのゴミの付着が実質的に生じず、正確な水素の検知が可能となる。
<効果>
本実施形態に係る水素漏洩防止構造体10は、ゴミ等の付着による水素検知性能の低下を抑止するとともに、漏洩した水素ガスの拡散を抑止することができる。
本実施形態に係る水素漏洩防止構造体10は、ゴミ等の付着による水素検知性能の低下を抑止するとともに、漏洩した水素ガスの拡散を抑止することができる。
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係る水素漏洩防止構造体を示す斜視図である。図4に示す第2の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Aは、図2に示す第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10に比較して、筒状の配管収容部21内に収容する光ファイバ水素センサ40を1本から2本にしたものである。
図4は、第2の実施形態に係る水素漏洩防止構造体を示す斜視図である。図4に示す第2の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Aは、図2に示す第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10に比較して、筒状の配管収容部21内に収容する光ファイバ水素センサ40を1本から2本にしたものである。
図4に示す第2の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Aと、図2に示す第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10との相違点は、配管収容部21内に収容する光ファイバ水素センサ40の本数のみであり、その他の構成は、両者で同一であるため、構成を示す符号についての説明を省略する。
また、図4に示す第2の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Aの作用・効果は、図2に示す第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10の作用・効果に比較して、配管収容部21内に収容する光ファイバ水素センサ40が1本増えた分だけ、光ファイバ水素センサの冗長系とすることができ、その他の作用・効果は同一である。このため、第2の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Aの作用・効果についての説明を省略する。
(第3の実施形態)
図5は、第3の実施形態に係る水素漏洩防止構造体を含む燃料電池システムを示す斜視図である。図5に示す第3の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Bを含む燃料電池システム1Bは、図1及び2に示す第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10を含む燃料電池システム1に比較して、水素漏洩防止構造体10を水素漏洩防止構造体10Bに代えた以外は同じである。このため、第3の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Bと第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10とで同一の構成に同一の符号を付し、構成及び作用の説明を省略又は簡略化する。
図5は、第3の実施形態に係る水素漏洩防止構造体を含む燃料電池システムを示す斜視図である。図5に示す第3の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Bを含む燃料電池システム1Bは、図1及び2に示す第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10を含む燃料電池システム1に比較して、水素漏洩防止構造体10を水素漏洩防止構造体10Bに代えた以外は同じである。このため、第3の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Bと第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10とで同一の構成に同一の符号を付し、構成及び作用の説明を省略又は簡略化する。
第3の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Bは、第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10と同様に、水素タンク2から燃料電池スタック3に水素を供給する経路の少なくとも一部に設けられ水素漏洩防止構造を備えるものである。
具体的には、第3の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Bは、水素タンク2と燃料電池スタック3との間の少なくとも一部を気密状態で接続する気密管状構造部20Bと、気密管状構造部20B内に配置される水素供給系30Bと、気密管状構造部20B内に配置される光ファイバ水素センサ40と、気密管状構造部20B内に配置される水素吸蔵合金50と、を備える。なお、水素供給系30Bの水素供給配管31は、気密管状構造部20Bの内外に存在する。しかし、気密管状構造部20B内には、水素供給配管31の一部と配管接続部材35とが存在しており、これらの水素供給配管31の一部と配管接続部材35Bとで水素供給系30Bを構成している。
第3の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Bは、第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10と異なり、水素タンク2と燃料電池スタック3との間の一部のみに設けられる。具体的には、水素漏洩防止構造体10Bでは、気密管状構造部20Bは箱状の配管接続部材収容部25Bのみからなり、この配管接続部材収容部25Bと、配管接続部材収容部25Bの内部に設けられた水素供給系30B、光ファイバ水素センサ40及び水素吸蔵合金50が、水素漏洩防止構造体10Bを構成している。すなわち、配管接続部材収容部25B外に存在する、水素供給配管31や光ファイバ水素センサ40が露出した部分は、水素漏洩防止構造体10Bを構成するものではない。
図5に示すように、気密管状構造部20Bを構成する配管接続部材収容部25Bでは、配管接続部材収容部25B内の空間に、水素供給系30Bとしての配管接続部材35、及び水素供給配管31の一部と、光ファイバ水素センサ40と、水素吸蔵合金50と、が収容される。図5に示す配管接続部材35は、具体的には継手35Bである。
このように、配管接続部材収容部25Bは、外部に対する気密状態を保ちつつ、内部に水素供給系30Bと、光ファイバ水素センサ40と、水素吸蔵合金50とを収容する。このため、配管接続部材収容部25Bのみからなる気密管状構造部20Bで区画された部分のみが水素漏洩防止構造体10Bになっている。
次に、気密管状構造部20B内に配置される、水素供給系30B及び水素吸蔵合金50について説明する。なお、光ファイバ水素センサ40は、第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10で用いられるものと同様であるため、説明を省略する。
<水素供給系>
水素供給系30Bは、第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10で用いられる水素供給系30に比較して、気密管状構造部20Bとしての配管接続部材収容部25B外に配置される水素供給配管31と、気密管状構造部20Bとしての配管接続部材収容部25B内に配置される配管接続部材35としての継手35Bとを有する。継手35Bとしては公知のものを用いることができる。水素供給系30Bのうち、水素漏洩防止構造体10Bを構成する部材は、気密管状構造部20Bとしての配管接続部材収容部25B内に配置される水素供給系30Bのみであり、具体的には、継手35B及び水素供給配管31の一部である。なお、図5には、配管接続部材収容部25Bが3個記載されているが、同じものになっている。また、配管接続部材収容部25B中の配管接続部材35は、3個の配管接続部材収容部25B中の1個以上の配管接続部材収容部25Bにおいて、継手35Bに代えてレギュレータ35Aとしてもよい。
水素供給系30Bは、第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10で用いられる水素供給系30に比較して、気密管状構造部20Bとしての配管接続部材収容部25B外に配置される水素供給配管31と、気密管状構造部20Bとしての配管接続部材収容部25B内に配置される配管接続部材35としての継手35Bとを有する。継手35Bとしては公知のものを用いることができる。水素供給系30Bのうち、水素漏洩防止構造体10Bを構成する部材は、気密管状構造部20Bとしての配管接続部材収容部25B内に配置される水素供給系30Bのみであり、具体的には、継手35B及び水素供給配管31の一部である。なお、図5には、配管接続部材収容部25Bが3個記載されているが、同じものになっている。また、配管接続部材収容部25B中の配管接続部材35は、3個の配管接続部材収容部25B中の1個以上の配管接続部材収容部25Bにおいて、継手35Bに代えてレギュレータ35Aとしてもよい。
<水素吸蔵合金>
水素吸蔵合金50としては、第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10で用いられる水素吸蔵合金50と同様のものが用いられる。なお、第3の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Bでは、第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10と異なり、水素吸蔵合金50が配管接続部材収容部25B内の空間中のみに配置される。
水素吸蔵合金50としては、第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10で用いられる水素吸蔵合金50と同様のものが用いられる。なお、第3の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Bでは、第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10と異なり、水素吸蔵合金50が配管接続部材収容部25B内の空間中のみに配置される。
<作用>
第3の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Bの作用を説明する。第3の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Bは、第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10に比較して、水素漏洩防止構造体10Bが配管接続部材収容部25B及びその内部に配置された構成部材のみで形成される点で異なる。第3の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Bは、第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10と同様に、図示しない水素タンクから水素漏洩防止構造体10B内の水素供給系30Bを介して供給された水素を用いて図示しない燃料電池スタックで発電する燃料電池システム1Bで用いられる。
第3の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Bの作用を説明する。第3の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Bは、第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10に比較して、水素漏洩防止構造体10Bが配管接続部材収容部25B及びその内部に配置された構成部材のみで形成される点で異なる。第3の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Bは、第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10と同様に、図示しない水素タンクから水素漏洩防止構造体10B内の水素供給系30Bを介して供給された水素を用いて図示しない燃料電池スタックで発電する燃料電池システム1Bで用いられる。
燃料電池システム1Bでは、燃料電池システム1と同様に、水素タンクから取り出された水素ガスは、水素漏洩防止構造体10B内外に存在する水素供給系30B、すなわち、水素供給配管31及び配管接続部材35を流通して燃料電池スタックに供給される。通常時において、水素タンクから取り出された水素は、その全量が水素供給系30Bを介して燃料電池スタックに供給される。
なお、水素供給系30Bのうちの配管接続部材35から水素ガスが漏洩する異常事態が生じた場合は、この水素ガスは気密状態に保たれた気密管状構造部20Bとしての配管接続部材収容部25B内の空間に貯留される。このため、水素漏洩防止構造体10Bでは、水素供給系30Bの配管接続部材35から漏洩した水素ガスが水素漏洩防止構造体10B外に放出されることはなく、漏洩した水素ガスの拡散が抑止される。
また、気密管状構造部20Bとしての配管接続部材収容部25B内の空間に水素ガスが貯留した場合は、配管接続部材収容部25B内を貫通する光ファイバ水素センサ40により水素ガスの漏洩が検知されるとともに、配管接続部材収容部25B内に配置された水素吸蔵合金50に水素が吸蔵されることにより配管接続部材収容部25B内の気体中の水素ガスの濃度が下げられる。このため、水素ガスの漏洩量が水素吸蔵合金50の水素吸蔵能力未満であれば、気密管状構造部20Bとしての配管接続部材収容部25B内の雰囲気を水素の爆発限界以下になるように制御することができる。
なお、第3の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Bでは、光ファイバ水素センサ40のうち配管接続部材収容部25B内に存在する部分が、気密状態であるため、第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10と同様に、光ファイバ水素センサ40の表面にゴミ等が付着して水素検知能力が低下することを抑制することができる。
その他の作用は、第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10と同様であるため、説明を省略する。
<効果>
本実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Bは、第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10と同様に、ゴミ等の付着による水素検知性能の低下を抑止するとともに、漏洩した水素ガスの拡散を抑止することができる。
本実施形態に係る水素漏洩防止構造体10Bは、第1の実施形態に係る水素漏洩防止構造体10と同様に、ゴミ等の付着による水素検知性能の低下を抑止するとともに、漏洩した水素ガスの拡散を抑止することができる。
(その他の実施形態)
図1に第1の実施形態として示される水素漏洩防止構造体10では、水素タンク2と燃料電池スタック3との間の全体にわたって設けられる気密管状構造部20が、筒状の配管収容部21と箱状の配管接続部材収容部25とからなる。しかし、本発明の水素漏洩防止構造体では、第1の実施形態の水素漏洩防止構造体10の変形例として、気密管状構造部20が、筒状の配管収容部21のみからなり箱状の配管接続部材収容部25を含まないものとすることができる。例えば、水素供給系30が水素供給配管31のみからなり、レギュレータ、継手等の配管接続部材35を含まない場合に、このような筒状の配管収容部21のみからなる気密管状構造部20を有する水素漏洩防止構造体とすることができる。
図1に第1の実施形態として示される水素漏洩防止構造体10では、水素タンク2と燃料電池スタック3との間の全体にわたって設けられる気密管状構造部20が、筒状の配管収容部21と箱状の配管接続部材収容部25とからなる。しかし、本発明の水素漏洩防止構造体では、第1の実施形態の水素漏洩防止構造体10の変形例として、気密管状構造部20が、筒状の配管収容部21のみからなり箱状の配管接続部材収容部25を含まないものとすることができる。例えば、水素供給系30が水素供給配管31のみからなり、レギュレータ、継手等の配管接続部材35を含まない場合に、このような筒状の配管収容部21のみからなる気密管状構造部20を有する水素漏洩防止構造体とすることができる。
この変形例の作用・効果は第1の実施形態の水素漏洩防止構造体10の作用・効果に比較して、配管接続部材35に起因して水素ガスが漏洩することを考慮しない以外は、同一である。このため、この変形例の作用・効果の説明を省略する。
以上、本発明を実施形態によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
本実施形態に係るカーボンナノチューブ複合材料は、例えば、自動車用ハーネスの線材として使用することができる。
1、1B 燃料電池システム
2 水素タンク
3 燃料電池スタック
10、10A、10B 水素漏洩防止構造体
20 気密管状構造部
21 配管収容部
23 空間
25 配管接続部材収容部
27 空間
30 水素供給系
31 水素供給配管
35 配管接続部材
35A レギュレータ(配管接続部材)
35B 継手(配管接続部材)
40 光ファイバ水素センサ
50 水素吸蔵合金
2 水素タンク
3 燃料電池スタック
10、10A、10B 水素漏洩防止構造体
20 気密管状構造部
21 配管収容部
23 空間
25 配管接続部材収容部
27 空間
30 水素供給系
31 水素供給配管
35 配管接続部材
35A レギュレータ(配管接続部材)
35B 継手(配管接続部材)
40 光ファイバ水素センサ
50 水素吸蔵合金
Claims (5)
- 水素タンクと燃料電池スタックとの間の少なくとも一部を気密状態で接続する気密管状構造部と、
前記気密管状構造部内に配置され、前記水素タンクから前記燃料電池スタックに水素を供給する水素供給系と、
前記気密管状構造部内に配置され、水素を検知する光ファイバ水素センサと、
前記気密管状構造部内に配置され、水素を吸蔵する水素吸蔵合金と、
を備えることを特徴とする水素漏洩防止構造体。 - 前記水素供給系は、前記水素タンクから前記燃料電池スタックに水素を供給する水素供給配管を有することを特徴とする請求項1に記載の水素漏洩防止構造体。
- 前記水素供給系は、複数本の前記水素供給配管と、隣接する前記水素供給配管の端部同士を接続する配管接続部材とを有し、
前記気密管状構造部は、前記水素供給配管を収容する配管収容部と、前記配管接続部材を収容する配管接続部材収容部とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の水素漏洩防止構造体。 - 前記配管接続部材は、レギュレータ及び継手からなる群より選択される1種以上であることを特徴とする請求項3に記載の水素漏洩防止構造体。
- 前記水素吸蔵合金は、配管収容部及び配管接続部材収容部内の少なくとも一方に配置されることを特徴とする請求項3又は4に記載の水素漏洩防止構造体。
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KR20220128494A (ko) * | 2021-03-10 | 2022-09-21 | 한국자동차연구원 | 수소 충전소용 고압 호스 장치 |
WO2023027526A1 (ko) * | 2021-08-25 | 2023-03-02 | 엘에스전선 주식회사 | 수소누출 검출시스템, 수소누출 검출방법 및 수소 누출 검출이 가능한 수소이송배관 |
-
2016
- 2016-03-23 JP JP2016058446A patent/JP2017172669A/ja active Pending
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