JP2017172463A - 回転機械翼、回転機械及びダンパ装置 - Google Patents

回転機械翼、回転機械及びダンパ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】振動時の振動数や摩擦減衰特性の安定化が図られた回転機械翼、該回転機械翼を備える回転機械、及び、該回転機械翼のためのダンパ装置を提供する。
【解決手段】回転機械翼は、第1壁部と、第1壁部と結合された第2壁部と、第1壁部と第2壁部との間に形成された空間に、第1壁部及び第2壁部の両方に接するように弾性変形状態で配置された、少なくとも1つの板ばねと、を備え、少なくとも1つの板ばねは、第1壁部に固定された固定部と、弾性変形状態に起因する付勢方向にて第2壁部と対向する少なくとも1つの板ばね側対向領域と、を有し、第2壁部は、少なくとも1つの板ばね側対向領域と対向する少なくとも1つの第2壁部側対向領域を有し、少なくとも1つの板ばね及び第2壁部のうち一方は、少なくとも1つの板ばね側対向領域又は少なくとも1つの第2壁部側対向領域に、他方に向けて突出し且つ接触する凸部を有する。
【選択図】 図4

Description

本開示は回転機械翼、回転機械及びダンパ装置に関する。
回転機械には中空の翼(回転機械翼)を有するものがある。そして、例えば特許文献1が開示する静翼は、翼内部の空洞部にダンパ装置として板ばねを有している。当該静翼では、静翼が振動したときに、板ばねと翼内面とが摺動することにより、摩擦減衰効果が得られる。
特開2013−72333号
静翼が振動したときの振動数や摩擦減衰特性は、板ばねと翼内面との間での接触面の大きさや位置で大きく異なるが、従来、板ばねと翼内面との間での接触面の大きさや位置のばらつきを小さくすることは困難であった。このため、ダンパ装置として板ばねを有する翼については、振動時の振動数や摩擦減衰特性を製造上管理することが難しかった。また、このようなばらつきの存在により、ダンパ装置として板ばねを有する翼については、設計時に、振動時の振動数や摩擦減衰特性を予測することも困難であった。
上記事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態の目的は、振動時の振動数や摩擦減衰特性の安定化が図られた回転機械翼、該回転機械翼を備える回転機械、及び、該回転機械翼のためのダンパ装置を提供することにある。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る回転機械翼は、
腹面及び背面のうち一方を構成する第1壁部と、
前記腹面及び前記背面のうち他方を構成し、前記第1壁部と結合された第2壁部と、
前記第1壁部と前記第2壁部との間に形成された空間に、前記第1壁部及び前記第2壁部の両方に接するように弾性変形状態で配置された、少なくとも1つの板ばねと、を備え、
前記少なくとも1つの板ばねは、
前記第1壁部に固定された固定部と、
前記弾性変形状態に起因する付勢方向にて前記第2壁部と対向する少なくとも1つの板ばね側対向領域と、を有し、
前記第2壁部は、前記少なくとも1つの板ばね側対向領域と対向する少なくとも1つの第2壁部側対向領域を有し、
前記少なくとも1つの板ばね及び前記第2壁部のうち一方は、前記少なくとも1つの板ばね側対向領域又は前記少なくとも1つの第2壁部側対向領域に、他方に向けて突出し且つ接触する凸部を有する。
上記構成(1)では、板ばねの板ばね側対向領域及び第2壁部の第2壁部側対向領域のうち一方に、他方に向けて突出し且つ接触する凸部が設けられており、凸部によって、板ばね側対向領域と第2壁部側対向領域との間の接触面の大きさ及び位置が決定される。この結果として、接触面の大きさ及び位置のばらつきが抑制され、回転機械翼の振動時の振動数や摩擦減衰特性の安定化が図られる。
(2)幾つかの実施形態では、上記構成(1)において、
前記少なくとも1つの板ばねは、前記回転機械翼の高さ方向に配列された複数の板ばねを含む。
凸部が回転機械翼の高さ方向に長い場合、高さ方向位置によって、板ばね側対向領域又は第2壁部側対向領域と凸部との間の接触状態にばらつきが生じる可能性がある。特に、第1壁部や第2壁部が3次元的な形状を有している場合、ばらつきが大きくなる可能性がある。この点、上記構成(2)では、複数の板ばねが、回転機械翼の高さ方向に配列されることで、各板ばねにおいて、板ばね側対向領域又は第2壁部側対向領域と凸部との間で、接触面の大きさ及び位置を、的確に決定することができる。この結果、回転機械翼の高さにかかわらずに、振動時の振動数や摩擦減衰特性の安定化を図ることができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記構成(1)又は(2)において、
前記少なくとも1つの板ばね及び前記第2壁部のうち他方は、前記少なくとも1つの板ばね側対向領域又は前記少なくとも1つの第2壁部側対向領域に、前記凸部を摺動可能に受け入れる凹部を有する。
上記構成(3)では、凸部が凹部に摺動可能に受け入れられることで、凸部及び凹部によって、板ばね側対向領域と第2壁部側対向領域との間の接触面の大きさ及び位置が決定される。この結果として、接触面の大きさ及び位置のばらつきがより一層抑制され、振動時の振動数や摩擦減衰特性の安定化がより一層図られる。
(4)幾つかの実施形態では、上記構成(1)乃至(3)の何れか1つにおいて、
前記凸部及び前記凹部は、曲面によって構成された表面をそれぞれ有する。
上記構成(4)によれば、凸部及び凹部の表面が曲面によって構成されているので、凸部と凹部の間の接触面の大きさを大きくすることができ、大きな摩擦減衰を得ることができる。
(5)幾つかの実施形態では、上記構成(4)において、
前記凹部の表面を構成する曲面の曲率は、前記凸部の表面を構成する曲面の曲率以下である。
上記構成(5)によれば、凹部の表面を構成する曲面の曲率半径は、前記凸部の表面を構成する曲面の曲率半径以上であるので、凸部と凹部の間の接触面の大きさを大きくしながら、凹部に対する凸部の摺動が確実に許容される。
(6)本発明の一実施形態に係る回転機械は、
上記構成(1)乃至(5)の何れか1つに記載の回転機械翼を備える。
上記構成(6)によれば、回転機械翼において、板ばねの板ばね側対向領域及び第2壁部の第2壁部側対向領域のうち一方に、他方に向けて突出し且つ接触する凸部が設けられており、凸部によって、板ばね側対向領域と第2壁部側対向領域との間の接触面の大きさ及び位置が決定される。これにより、接触面の大きさ及び位置のばらつきが抑制され、振動時の振動数や摩擦減衰特性の安定化が図られる。この結果として、上記構成(6)の回転機械では、回転機械翼の振動が抑制され、全体としても振動が抑制される。
(7)本発明の一実施形態に係るダンパ装置は、
上記構成(1)乃至(5)の何れか一つに記載の回転機械翼に用いられるダンパ装置であって、
前記板ばねを備え、
前記板ばねは、
前記第1壁部に固定される固定部と、
前記弾性変形状態に起因する付勢方向にて前記第2壁部と対向させられる少なくとも1つの板ばね側対向領域と、
前記少なくとも1つの板ばね側対向領域に形成され、前記第2壁部に向けて突出し且つ接触するように構成された凸部と、
を有する。
上記構成(7)では、ダンパ装置を構成する板ばねの板ばね側対向領域に、第2壁側対向領域に向けて突出し且つ接触するように構成された凸部が設けられており、凸部によって、板ばね側対向領域と第2壁部側対向領域との間の接触面の大きさ及び位置が決定される。これにより、接触面の大きさ及び位置のばらつきが抑制され、振動時の振動数や摩擦減衰特性の安定化が図られる。この結果として、上記構成(7)のダンパ装置を用いた回転機械翼を有する回転機械では、回転機械翼の振動が抑制され、全体としても振動が抑制される。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、振動時の振動数や摩擦減衰特性の安定化が図られた回転機械翼、該回転機械翼を備える回転機械、及び、該回転機械翼のためのダンパ装置が提供される。
本発明の一実施形態に係る回転機械として、蒸気タービンの概略的な構成を示す図である。 図1の蒸気タービンに用いられている複数の静翼を、シュラウド及び翼根リングとともに概略的に示す斜視図である。 図2中の静翼を概略的に示す斜視図である。 図3の静翼を概略的に示す横断面図である。 図4の静翼に用いられているダンパ装置としての板ばねを概略的に示す断面図である。 他の一実施形態に係る静翼を概略的に示す斜視図である。 他の一実施形態に係る静翼を概略的に示す横断面図である。 他の一実施形態に係る静翼を概略的に示す横断面図である。 他の一実施形態に係る静翼を概略的に示す横断面図である。 他の一実施形態に係る静翼を概略的に示す横断面図である。 図10の静翼に用いられているダンパ装置としての板ばねを概略的に示す断面図である。 他の一実施形態に係る静翼を概略的に示す横断面図である。 図12の静翼に用いられているダンパ装置としての板ばねを概略的に示す断面図である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹突起や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る回転機械として、蒸気タービン1の概略的な構成を示す図である。図2は、図1の蒸気タービン1に用いられている複数の静翼3を、シュラウド及び翼根リングとともに概略的に示す斜視図である。図3は、図2中の静翼3(3a)を概略的に示す斜視図である。図4は、図3の静翼3(3a)を概略的に示す、静翼3(3a)の高さ方向と直交する断面図(横断面図)である。図5は、図4の静翼3(3a)に用いられているダンパ装置としての板ばねを概略的に示す、静翼3(3a)の高さ方向と直交する断面図である。図6は、他の一実施形態に係る静翼3(3b)を概略的に示す斜視図である。図7は、他の一実施形態に係る静翼3(3c)を概略的に示す横断面図である。図8は、他の一実施形態に係る静翼3(3d)を概略的に示す横断面図である。図9は、他の一実施形態に係る静翼3(3e)を概略的に示す横断面図である。図10は、他の一実施形態に係る静翼3(3f)を概略的に示す横断面図である。図11は、図10の静翼3(3f)に用いられているダンパ装置としての板ばねを概略的に示す、静翼3(3f)の高さ方向と直交する断面図である。図12は、他の一実施形態に係る静翼3(3g)を概略的に示す横断面図である。図13は、図12の静翼3(3g)に用いられているダンパ装置としての板ばねを概略的に示す、静翼3(3g)の高さ方向と直交する断面図である。図4、図7〜図10及び図12においては、円内に、凸部を含む領域を拡大して示している。
なお、以下の説明では、静翼3a〜3gを一括して静翼3とも称する。
図1に示したように、本発明の一実施形態に係る回転機械としての蒸気タービン1は、ハウジング10と、ロータ(回転軸)12と、複数の動翼列14と、複数の静翼列16と、を備えている。
ハウジング10は、例えば中央上部に、蒸気のための入口18を有し、下部に蒸気のための出口20を有している。入口18には、例えば湿分分離加熱器(不図示)によって水滴が除去された、蒸気が供給される。出口20から流出した蒸気は、例えば復水器(不図示)に送られ、復水器によって冷却されて凝縮させられる。ハウジング10内には、ロータ12の周りに円筒形状の内部流路22が区画され、内部流路22を通じて、入口18と出口20とが連通している。
ロータ12は、ハウジング10の端壁を貫通して回転可能に延在している。ロータ12の端部には、例えば図示しない発電機が連結される。
複数の動翼列14は、ハウジング10内に位置するロータ12の中間部分に取り付けられ、ロータ12とともに回転可能である。複数の動翼列14は、内部流路22に位置しており、ロータ12の軸線方向にて相互に離間している。各動翼列14は、ロータ12の周方向に配列された複数の動翼24によって構成されている。
複数の静翼列16は、ハウジング10に取り付けられ、内部流路22に位置している。複数の静翼列16はロータ12の軸線方向にて相互に離間し、複数の静翼列16と複数の動翼列14は、ロータ12の軸線方向にて交互に配置されている。各静翼列16は、ロータ12の周方向に配列された複数の静翼3によって構成されている。
なお、蒸気の流れ方向にて入口18から出口20に近づくにつれて、ロータ12の径方向での、動翼列14を構成する動翼24の高さ、及び、静翼列16を構成する静翼3の高さが徐々に大きくなる。
蒸気タービン1では、入口18から流入した蒸気のエネルギが、複数の動翼列14及び複数の静翼列16を通過する際に機械的なエネルギに変換され、得られた機械的なエネルギをロータ12が回転トルクとして出力可能である。蒸気タービン1から出力された回転トルクは、例えば発電機によって電力に変換される。
図2は、複数の静翼列16のうち、蒸気の流れ方向にて最も下流に位置する静翼列16の一部を、シュラウド26、及び、翼根リング28とともに概略的に示している。図2に示したように、複数の静翼3は、ロータ12の周方向に間隔を存して配列されている。ロータ12の径方向にて内側に位置する静翼3の内端に、シュラウド26が取り付けられ、ロータ12の径方向にて外側に位置する静翼3の外端に、翼根リング28が取り付けられている。静翼3は、翼根リング28を介してハウジング10に取り付けられている。
図3、図4、図6〜図10及び図12に示したように、静翼3は、2つの壁部30,32と、少なくとも1つの板ばね34とを有している。
2つの壁部30,32のうち一方の壁部30は、静翼3の腹面(凹面)を構成しており、他方の壁部32は、静翼3の背面(凸面)を構成している。2つの壁部30,32は、静翼3の前縁側及び後縁側にて、例えば溶接により結合され、この場合、溶接部36,38によって結合されている。壁部30と壁部32との間には空間33が形成され、空間33は、静翼3の高さ方向に延びている。
板ばね34は、空間33内に配置されている。板ばね34は、壁部30,32の両方に接するように弾性変形させられた状態で配置されている。
板ばね34は、壁部30,32のうち一方に固定された固定部40を有している。固定部40は、例えば溶接により、壁部30,32のうち一方に固定される。
また、板ばね34は、弾性変形状態に起因する付勢方向にて、壁部30,32のうち他方に対向する板ばね側対向領域42を有する。図5、図11及び図13は、板ばね34の付勢方向を説明するための図であり、付勢方向は、2点鎖線で示した弾性変形させられる前の状態へ復元しようとする方向である。
なお、以下では、壁部30,32のうち、固定部40によって板ばね34が固定されている方を第1壁部44とも称し、他方を第2壁部46とも称する。このような定義によれば、図3、図4、図6〜図9及び図12に示した静翼3a〜3e,3gでは、腹面を構成する壁部30が第1壁部44であり、背面を構成する壁部32が第2壁部46である。これとは逆に、図10に示した静翼3fでは、腹面を構成する壁部30が第2壁部46であり、背面を構成する壁部32が第1壁部44である。
第2壁部46は、少なくとも1つの板ばね側対向領域42と対向する少なくとも1つの第2壁部側対向領域48を有する。
そして、板ばね34及び第2壁部46のうち一方は、板ばね側対向領域42又は第2壁部側対向領域48に、他方に向けて突出し且つ接触する凸部50を有する。
上記構成では、板ばね34の板ばね側対向領域42及び第2壁部46の第2壁部側対向領域48のうち一方に、他方に向けて突出し且つ接触する凸部50が設けられており、板ばね側対向領域42と第2壁部側対向領域48は、凸部50のみを介して相互に接触する。このため、凸部50によって、板ばね側対向領域42と第2壁部側対向領域48との間の接触面の大きさ及び位置が決定される。この結果として、接触面の大きさ及び位置のばらつきが抑制され、振動時の振動数や摩擦減衰特性の安定化が図られる。
そして、静翼3において、振動時の振動数や摩擦減衰特性の安定化が図られる結果として、上記構成の蒸気タービン1では、静翼3の振動が抑制され、全体としても振動が抑制される。
なお、接触面の大きさ(面積)のばらつきの抑制は、摩擦減衰特性の安定化に寄与し、接触面の位置のばらつきの抑制は、振動数の安定化及び摩擦減衰特性の安定化に寄与する。
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの板ばね34は、図6に示した静翼3bのように、静翼3の高さ方向に配列された複数の板ばね34を含む。
凸部50が静翼3の高さ方向に長い場合、高さ方向位置によって、板ばね側対向領域42又は第2壁部側対向領域48と凸部50との間の接触状態にばらつきが生じる可能性がある。特に、第1壁部44や第2壁部46が3次元的な形状を有している場合、ばらつきが大きくなる可能性がある。この点、上記構成では、複数の板ばね34が、静翼3の高さ方向に配列されることで、各板ばね34において、板ばね側対向領域42又は第2壁部側対向領域48と凸部50との間で、接触面の大きさ及び位置を、的確に決定することができる。この結果、静翼3の高さにかかわらずに、振動時の振動数や摩擦減衰特性の安定化を図ることができる。
幾つかの実施形態では、図8及び図9に示した静翼3d,3eのように、板ばね34及び第2壁部46のうち他方は、板ばね側対向領域42又は第2壁部側対向領域48に、凸部50を摺動可能に受け入れる凹部52を有する。
上記構成では、凸部50が凹部52に摺動可能に受け入れられることで、凸部50及び凹部52によって、板ばね側対向領域42と第2壁部側対向領域48との間の接触面の大きさ及び位置が決定される。この結果として、接触面の大きさ及び位置のばらつきがより一層抑制され、振動時の振動数や摩擦減衰特性の安定化がより一層図られる。
なお、第2壁部側対向領域48に凹部52を設ける場合には、例えば、図4に示した静翼3aの第2壁部側対向領域48に、凹部52を設ければよい。
幾つかの実施形態では、図8及び図9に示した静翼3d,3eのように、凸部50及び凹部52は、曲面によって構成された表面をそれぞれ有する。
上記構成によれば、凸部50及び凹部52の表面が曲面によって構成されているので、凸部50と凹部52の間の接触面の大きさを大きくすることができ、大きな摩擦減衰を得ることができる。
幾つかの実施形態では、図8及び図9に示した静翼3d,3eのように、静翼3d,3eの高さ方向と直交する断面(横断面)でみて、凹部52の表面を構成する曲面の曲率は、凸部50の表面を構成する曲面の曲率以下である。
上記構成によれば、凹部52の表面を構成する曲面の曲率半径は、凸部50の表面を構成する曲面の曲率半径以上であるので、凸部50と凹部52の間の接触面の大きさを大きくしながら、凹部52に対する凸部50の摺動が確実に許容される。
幾つかの実施形態では、図8に示した静翼3dのように、静翼3d,3eの高さ方向と直交する断面(横断面)でみて、凹部52の表面を構成する曲面の曲率半径は、凸部50の表面を構成する曲面の曲率半径に等しく、凹部52の深さは、凸部50の突出高さよりも小さい。
上述した構成によれば、凹部52の表面を構成する曲面の曲率半径が、凸部50の表面を構成する曲面の曲率半径に等しいので、凸部50と凹部52の間の接触面の大きさを大きくすることができる。一方、凹部52の深さが凸部50の突出高さよりも小さいので、凹部52に対する凸部50の摺動が確実に許容される。
幾つかの実施形態では、図3、図4、図6〜図9及び図12に示したように、板ばね34の固定部40は、第1壁部44として腹面を構成する壁部30に固定されており、板ばね34の板ばね側対向領域42は、付勢方向にて、第2壁部46として背面を構成する壁部32と対向している。
幾つかの実施形態では、図10に示したように、板ばね34の固定部40は、第1壁部44として背面を構成する壁部32に固定されており、板ばね34の板ばね側対向領域42は、付勢方向にて、第2壁部46として腹面を構成する壁部30と対向している。
幾つかの実施形態では、図12に示したように、板ばね34は、固定部40の両側に2つの板ばね側対向領域42を有しており、板ばね側対向領域42毎に1つの凸部50を有している。
幾つかの実施形態では、図3、図4、図6〜図10及び図12に示したように、静翼3の高さ方向と直交する断面でみて、板ばね側対向領域42は、第2壁部側対向領域48に沿って延在するように、第2壁部側対向領域48に対応する形状又は相似形状を有している。
幾つかの実施形態では、図3〜図13に示したように、静翼3の高さ方向と直交する断面でみて、板ばね34は、固定部40と、固定部40に連なる湾曲部(第1湾曲部)53と、湾曲部53に連なる直線部54とを有する。湾曲部53とは反対側の直線部54の端部は自由端(第1自由端)55である。直線部54は板ばね側対向領域42を構成しており、直線部54に凸部50が設けられている。そして、静翼3の前縁と後縁とを結ぶ翼弦線56に沿う方向にて、直線部54に設けられた凸部50は、翼弦線56の中央よりも後縁側に位置し、固定部40は、翼弦線56の中央よりも前縁側に位置している。
幾つかの実施形態では、図12及び図13に示したように、静翼3の高さ方向と直交する断面でみて、板ばね34は、固定部40と、固定部40の一方の側に連なる湾曲部(第1湾曲部)53と、湾曲部53に連なる直線部54と、固定部40の他方の側に連なる湾曲部(第2湾曲部)57とを有する。湾曲部53とは反対側の直線部54の端部は自由端(第1自由端)55である。直線部54は板ばね側対向領域42を構成しており、直線部54に凸部50が設けられている。固定部40とは反対側の湾曲部57の端部は自由端(第2自由端)58である。湾曲部57は、板ばね側対向領域42を構成しており、湾曲部57に凸部50が設けられている。そして、静翼3の前縁と後縁とを結ぶ翼弦線56に沿う方向にて、直線部54に設けられた凸部50は、翼弦線56の中央よりも後縁側に位置し、固定部40は、翼弦線56の中央よりも前縁側に位置し、湾曲部57に設けられた凸部50は、固定部40よりも更に前縁側に位置している。
なお、直線部54は、第1壁部44又は第2壁部46の形状に応じて多少湾曲していてもよく、直線部54の直線とは、直線部54の曲率が、湾曲部53の曲率よりも小さいことを意味する。
幾つかの実施形態では、図3及び図6に示したように、各板ばね34は、静翼3の高さ方向に延在しており、静翼3の高さ方向と直交する各板ばね34の断面形状は、静翼3の高さ方向位置によらずに同一である。
幾つかの実施形態では、図5、図11及び図13に示したように、板ばね34は、少なくとも1つの板ばね側対向領域42を有し、板ばね側対向領域42毎に1つの凸部50を有している。図5、図11及び図13に示した板ばね34は、板ばね側対向領域42毎に凸部50を有しており、壁部30と壁部32との間の空間33に配置するのみで、ダンパ装置を構成可能である。
幾つかの実施形態では、図3、図4、図6〜図10及び図12に示すように、腹面を構成する壁部30には、複数のスリット60,62が形成されている。腹面に沿って流れる蒸気に含まれる水滴は、複数のスリット60,62を通じて静翼3内の空間33に流入可能である。空間33に流入した水滴は、壁部30の内面に沿って流下し、例えば、シュラウド26に形成された排水孔64(図2参照)を通じて排出される。
なお、複数のスリット60,62が形成される場合、板ばね34によってスリット60,62が閉塞されないように、板ばね34又はスリット60,62の配置が決定される。
上述した静翼3は、壁部30又は壁部32に、板ばね34の固定部40を固定した後、板ばね34を弾性変形させながら、壁部30と壁部32とを接合することによって製造可能である。
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変更を加えた形態や、これらの形態を組み合わせた形態も含む。
例えば、上述した実施形態では、回転機械として蒸気タービンについて説明したが、回転機械は蒸気タービンに限定されることはなく、ガスタービン等であってもよい。また例えば、上記した蒸気タービン1は、低圧タービンであったが、中圧タービンや高圧タービンであってもよい。ただし、静翼3の振動は、静翼3の高さが高くなるほど問題になるので、上述した実施形態の静翼3は、低圧タービンに適しており、特に低圧タービンの最終段に適している。
例えば、上述した実施形態では、板ばね34を有する回転機械翼として、静翼3について説明したが、動翼が中空であれば、板ばね34を有する回転機械翼は動翼であってもよい。
例えば、上述した実施形態では、静翼3の高さ方向の開口端がシュラウド26及び翼根リング28によって覆われていたが、シュラウド26や翼根リング28とは別体の蓋体によって覆われていてもよい。
例えば、上述した実施形態では、静翼3の高さ方向と直交する断面での、壁部30,32及び板ばね34の断面形状が、高さ方向位置にかかわらずに同一であったが、高さ方向位置に応じて変化していてもよい。
例えば、上述した実施形態では、静翼3の腹面は凹面によって構成され、背面は凸面によって構成されていたが、回転機械翼の腹面及び背面の両方が凸面によって構成されていてもよい。
例えば、上述した実施形態では、静翼3の高さ方向と直交する断面でみて、凸部50は半円筒形状を有し、凸部50の表面は湾曲面によって構成されていたが、静翼3の高さ方向と直交する断面でみて、凸部50は、台形状や四角形状を有していてもよい。同様に、上述した実施形態では、静翼3の高さ方向と直交する断面でみて、凹部52は半円筒形状を有し、凹部52の表面は湾曲面によって構成されていたが、静翼3の高さ方向と直交する断面でみて、凹部52は、台形状や四角形状を有していてもよい。
1 蒸気タービン(回転機械)
3,3a〜3g 静翼(回転機械翼)
10 ハウジング
12 ロータ
14 動翼列
16 静翼列
18 入口
20 出口
22 内部流路
24 動翼
26 シュラウド
28 翼根リング
30 壁部
32 壁部
33 空間
34 板ばね
36 溶接部
38 溶接部
40 固定部
42 板ばね側対向領域
44 第1壁部
46 第2壁部
48 第2壁部側対向領域
50 凸部
52 凹部
53 湾曲部(第1湾曲部)
54 直線部
55 自由端(第1自由端)
56 翼弦線
57 湾曲部(第2湾曲部)
58 自由端(第2自由端)
60 スリット
62 スリット
64 排水孔

Claims (7)

  1. 腹面及び背面のうち一方を構成する第1壁部と、
    前記腹面及び前記背面のうち他方を構成し、前記第1壁部と結合された第2壁部と、
    前記第1壁部と前記第2壁部との間に形成された空間に、前記第1壁部及び前記第2壁部の両方に接するように弾性変形状態で配置された、少なくとも1つの板ばねと、を備え、
    前記少なくとも1つの板ばねは、
    前記第1壁部に固定された固定部と、
    前記弾性変形状態に起因する付勢方向にて前記第2壁部と対向する少なくとも1つの板ばね側対向領域と、を有し、
    前記第2壁部は、前記少なくとも1つの板ばね側対向領域と対向する少なくとも1つの第2壁部側対向領域を有し、
    前記少なくとも1つの板ばね及び前記第2壁部のうち一方は、前記少なくとも1つの板ばね側対向領域又は前記少なくとも1つの第2壁部側対向領域に、他方に向けて突出し且つ接触する凸部を有する
    ことを特徴とする回転機械翼。
  2. 前記少なくとも1つの板ばねは、前記回転機械翼の高さ方向に配列された複数の板ばねを含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の回転機械翼。
  3. 前記少なくとも1つの板ばね及び前記第2壁部のうち他方は、前記少なくとも1つの板ばね側対向領域又は前記少なくとも1つの第2壁部側対向領域に、前記凸部を摺動可能に受け入れる凹部を有する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転機械翼。
  4. 前記凸部及び前記凹部は、曲面によって構成された表面をそれぞれ有する
    ことを特徴とする請求項3に記載の回転機械翼。
  5. 前記凹部の表面を構成する曲面の曲率は、前記凸部の表面を構成する曲面の曲率以下である
    ことを特徴とする請求項4に記載の回転機械翼。
  6. 請求項1乃至5の何れか一項に記載の回転機械翼を備えることを特徴とする回転機械。
  7. 請求項1乃至5の何れか一項に記載の回転機械翼に用いられるダンパ装置であって、
    前記板ばねを備え、
    前記板ばねは、
    前記第1壁部に固定される固定部と、
    前記弾性変形状態に起因する付勢方向にて前記第2壁部と対向させられる少なくとも1つの板ばね側対向領域と、
    前記少なくとも1つの板ばね側対向領域に形成され、前記第2壁部に向けて突出し且つ接触するように構成された凸部と、
    を有する
    ことを特徴とするダンパ装置。
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