JP2017171699A - 波長変換材料及びその応用 - Google Patents

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直之 落
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Abstract

【課題】
本発明は、高い量子収率を有し、非常に低エネルギーの励起光でもアップコンバージョンが可能であり、十分な発光を取り出すことができる波長変換材料(アップコンバージョン材料)を提供することである。これにより、太陽電池、光造形システム、表示装置等の様々な応用分野におけるアップコンバージョンの利用が実現できる。
【解決手段】
(A)有機光増感化合物、(B)有機発光化合物及び(C)ブルックフィールド粘度計で測定した粘度が1mPa・s以上である化合物を含有する波長変換材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、長波長光を高効率で短波長光に変換する波長変換材料、及びその応用に関する。
地球温暖化対策、クリーンエネルギー等の代替エネルギーヘの強いニーズがある中、太陽光を高効率に二次エネルギー(電力、水素等)に変換する技術開発が急務となっている。高い光−二次エネルギー変換効率(光から二次エネルギーへの変換効率)を有する太陽
電池、水素発生光触媒等の光−二次エネルギー変換要素(光を二次エネルギーへ変換する要素)への期待が高まっている。一般的な太陽電池や水素発生光触媒等の光−二次エネル
ギー変換要素は、太陽光に含まれる広範な波長範囲の光のうち、その光−二次エネルギー変換要素に固有の、ある閾値波長より短い波長成分のみを変換に利用して、閾値波長より
長波長の成分は未利用となっている。そのため、太陽光に含まれる広範な波長範囲の光を有効に利用する技術の一つとして、光アップコンバージョン(すなわち、長い波長の光を
吸収して、より短い波長の光を発光することにより光の波長を変換すること)が検討されている。
光アップコンバージョンの手段として、高調波発生を利用した手法や有機色素による大きな多光子吸収特性を利用した方法などが存在する。しかし、これらの手法ではナノ秒やフェムト秒のパルス幅を有するレーザーからの光が必要となり、非コヒーレントの光照射では現象が生じない。また希土類元素を金属酸化物などにドープした材料において、希土類元素の多光子吸収を用いた光アップコンバージョンの研究は50年以上の歴史を有している。しかし、この手法においても一般的に非常に高い入射光強度が必要であり、太陽光等の弱い光を変換の対象とすることは困難であった。
近年、有機光増感化合物と有機発光化合物の両者を用いて、三重項三重項消滅(TTA)過程を利用した光アップコンバージョン特性を示す組成物が数多く報告されている。この組成物では、一般的に励起一重項状態(S1)と励起三重項状態(T1)のエネルギー差(ΔEST)が小さい有機光増感化合物、ΔESTが大きい有機発光性化合物やその組み合わせ(組成物)、及びこれらとその他の添加剤等との組み合わせ等を全て含むものとする。
非特許特許1には、有機光増感化合物として少なくともフタロシアニン、金属ポルフィリン、金属フタロシアニンが、有機発光性化合物としてジフェニルアントラセン、とをテトラヒドロフラン(THF)などの有機溶媒に溶解させた組成物が記載されている。これらの組成物では、20%を超える光アップコンバージョンの量子収率が5mW/cm以下の光強度で得られている。しかし、これらの組成物を大気中に出すと、酸素が溶媒中に浸透していき、光アップコンバージョン特性が著しく低下する。
非特許文献2には、有機光増感化合物と有機発光性化合物とを溶解させる媒体にイオン性液体を用いた例が報告されている。しかし、大気中では大きな量子収率を得るのに依然として数百mW/cm以上の光強度が必要となる。
非特許文献3には、有機光増感化合物を液体の有機発光性化合物に溶解させた材料を用いた例が報告されている。しかし大気中では大きな量子収率を得るのには依然として50mW/cm以上の光強度が必要となる。
上記の通り光アップコンバージョンは波長変換の方法として非常に有用であり、鋭意検討されているが、未だ実用化には至っていない。この原因の一つとして大気中などの酸素や水分などが存在する条件下では酸素や水分が組成物中に存在し、それらが原因となり著しく量子収率が低下するといった問題が挙げられる。
例えば非特許文献4には、有機光増感化合物と有機発光性化合物の超分子ナノファイバーを溶媒に加えた材料の例が報告されている。この材料では20mW/cm以下の光強度で20%を超えるアップコンバージョンの量子収率が報告されている。しかし、このような特異的な超分子構造は分子構造に制約があり、全ての有機発光性化合物に適用できない。
非特許文献5には、有機光増感化合物を有機発光性化合物の結晶の表面に化学的に結合させた材料の例が報告されている。この材料では低い光強度でアップコンバージョンの量子収率が低いという問題が挙げられる。
それゆえ有機増感化合物と有機発光性化合物の組み合わせで、大気中で脱酸素下同等の量子収率を示す光アップコンバージョン材料の開発が望まれている。
A.Monguzzi,et al.,Physical Chemical Chemical Physics,vol.14,p.4322〜4332,2012 Y.Murakami,et al.,Chemical Physics Letters,vol.516,p.56−61,2011 P.Duan,et al.,Journal of the American Chemcal Scioety,vol.135,p.19056−19059,2013 T.Ogawa,et al.,Scientific Reports,vol.5,p.10882−1〜10882−9,2015 P.Mahato,et al.,Nature Materials,vol.14,p.924−930,2015
上記事情に鑑み、本願では大気中で弱い光照射により高い量子収率を有する波長変換材料(アップコンバージョン材料)及びその応用(太陽電池、表示装置等)を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、(A)有機光増感化合物、(B)有機発光化合物及び(C)ブルックフィールド粘度計で測定した粘度が1mPa・s以上である化合物を含有する波長変換材料が上記課題を解決するものであることを見出し本発明に至ったものである。
すなわち本発明は、下記の1)〜16)に関するものである。
1)
(A)有機光増感化合物、(B)有機発光化合物及び(C)ブルックフィールド粘度計で測定した粘度が1mPa・s以上である化合物を含有する波長変換材料。
2)
上記成分(C)のブルックフィールド粘度計で測定した粘度が100mPa・s以上である上記1)に記載の波長変換材料。
3)
上記成分(C)のブルックフィールド粘度計で測定した粘度が200mPa・s以上である上記1)に記載の波長変換材料。
4)
上記成分(C)が、分子内に2つ以上の酸素原子(O)を有する化合物である上記1)乃至3)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
5)
上記成分(C)が、分子内に1つ以上の芳香環を有する化合物である上記1)乃至4)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
6)
上記成分(C)が、アルキレンオキサイド骨格を有する化合物である上記1)乃至5)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
7)
上記成分(C)が、下記式(1)で表される化合物である上記1)乃至6)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
Figure 2017171699
(前記式(1)において、Rは、水素原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシ基を表し、nは5〜15の整数を表す。)
8)
上記式(1)において、Rが炭素数7以上の分岐を有するアルキル基である上記7)に記載の波長変換材料。
9)
上記(A)有機光増感化合物が、500〜800nmに吸収極大波長を有する化合物である上記1)乃至8)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
10)
上記(A)有機光増感化合物が、ポルフィリン化合物である上記1)乃至9)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
11)
上記(B)有機発光化合物が、分子内にベンゼン環を3以上有する化合物である上記1)乃至10)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
12)
上記(B)有機発光化合物が、アントラセン化合物である上記1)乃至11)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
13)
上記1)乃至12)のいずれか一項に記載の波長変換材料を有する太陽電池。
14)
上記1)乃至12)のいずれか一項に記載の波長変換材料を有する光造形システム。
15)
上記1)乃至12)のいずれか一項に記載の波長変換材料を有する表示装置。
16)
上記1)乃至12)のいずれか一項に記載の波長変換材料を有する立体映像表示装置。
本発明は、高い量子収率を有する波長変換材料である為、非常に低エネルギーの励起光でもアップコンバージョンが可能であり、十分な発光を取り出すことができる。従って、太陽電池、表示装置等の様々な応用展開を可能とするものである。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の波長変換材料は、(A)有機光増感化合物と(B)有機発光化合物とを含有する。当該(A)と(B)としては、その組み合わせがTTA過程を示す(TTA過程に基づいて発光する)ものであれば、制限なく用いることができる。前記有機光増感分子(A)の吸光波長、および前記有機発光分子(B)の発光波長は、太陽光の波長範囲内から、制限なく選択することができる。例を挙げると、可視〜近赤外域の光をアップコンバージョンする態様の光波長変換要素においては、前記有機光増感分子(A)として可視〜近赤外域に光吸収帯を有するπ共役分子を用いることができ、前記有機発光分子(B)として可視〜近赤外域に発光帯を有するπ共役分子を用いることができる。前記有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)としては、芳香族π電子共役系化合物、特に多環芳香族π電子共役系化合物など、および、例えば非特許文献1に記載されている化合物などを含め、低分子や高分子を広く用いることができる。
[(A)有機光増感化合物]
本発明で用いられる(A)有機光増感化合物としては、太陽光の波長範囲内に吸収極大ピーク波長を有するものであれば制限されなく使用できるが、通常は200〜1000nmの範囲内に吸収極大ピーク波長を有するものが使用され、好ましくは500〜800nmの範囲内に吸収極大ピーク波長を有するものが使用される。これにより、一般的な太陽電池や水素発生光触媒等の光−二次エネルギー変換要素では利用されない比較的長い波長の光を、一般的な光−二次エネルギー変換要素に利用される比較的短い波長の光に変換できるので、太陽光に含まれる広範な波長範囲の光を光−二次エネルギー変換要素で有効に利用することが可能となる。
また、前記有機光増感分子(A)として、250〜499nmの範囲内に吸収極大波長を有するものを使用してもよい。これにより、青色領域、紫色領域、および紫外線領域の波長の光を有効に利用することが可能となる。
前記有機光増感分子(A)としては、紫外領域から赤外領域までの範囲に光吸収を有するものであれば、これまでに色素と呼ばれていない分子種でも使用できる。前記有機光増感分子(A)としては、例えば、アセナフテン誘導体、アセトフェノン誘導体、アントラセン誘導体、ジフェニルアセチレン誘導体、アクリダン誘導体、アクリジン誘導体、アクリドン誘導体、チオアクリドン誘導体、アンゲリシン誘導体、アントラセン誘導体、アントラキノン誘導体、アザフルオレン誘導体、アズレン誘導体、ベンジル誘導体、カルバゾール誘導体、コロネン誘導体、スマネン誘導体、ビフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、ペリレン誘導体、フェナントレン誘導体、フェナントロリン誘導体、フェナジン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ピレン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ビアセチル誘導体、ビアントラニル誘導体、フラーレン誘導体、グラフェン誘導体、カロテン誘導体、クロロフィル誘導体、クリセン誘導体、シンノリン誘導体、クマリン誘導体、クルクミン誘導体、ダンシルアミド誘導体、フラボン誘導体、フルオレノン誘導体、フルオレセイン誘導体、ヘリセン誘導体、インデン誘導体、ルミクロム誘導体、ルミフラビン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ペリフランテン誘導体、ペリレン誘導体、フェナントレン誘導体、フェナントロリン誘導体、フェナジン誘導体、フェノール誘導体、フェノチアジン誘導体、フェノキサジン誘導体、フタラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、ピセン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポルフィセン誘導体、ヘミポルフィセン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、プソラレン誘導体、アンゲリシン誘導体、プリン誘導体、ピレン誘導体、ピロメテン誘導体、ピリジルケトン誘導体、フェニルケトン誘導体、ピリジルケトン誘導体、チエニルケトン誘導体、フラニルケトン誘導体、キナゾリン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、レチナール誘導体、レチノール誘導体、ローダミン誘導体、リボフラビン誘導体、ルブレン誘導体、スクアリン誘導体、スチルベン誘導体、テトラセン誘導体、ペンタセン誘導体、アントラキノン誘導体、テトラセンキノン誘導体、ペンタセンキノン誘導体、チオホスゲン誘導体、インジゴ誘導体、チオインゾゴ誘導体、チオキサンテン誘導体、チミン誘導体、トリフェニレン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、トリアリール誘導体、トリプトファン誘導体、ウラシル誘導体、キサンテン誘導体、フェロセン誘導体、アズレン誘導体、ビアセチル誘導体、ターフェニル誘導体、ターフラン誘導体、ターチオフェン誘導体、オリゴアリール誘導体、フラーレン誘導体、共役ポリエン誘導体、含14族元素縮合多環芳香族化合物誘導体、縮合多環複素芳香族化合物誘導体等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
前記(A)有機光増感分子としては、具体的には、金属ポルフィリン類(ポルフィリン類の金属錯体);金属テトラアザポルフィリン類;金属フタロシアニン類;3,5−ジメチル−ボロンジピロメテンのヨウ素誘導体;3,5−ジメチル−8−フェニルボロンジピロメテンのヨウ素誘導体等のようなボロンジピロメテン類;サレン金属錯体等のようなシッフ塩基金属錯体類;ルビジウム−ビピリジン錯体、ルテニウム−ビピリジン錯体、イリジウム−フェナントロリン錯体等の金属ビピリジン錯体;イリジウム−フェニルピリジン錯体等の金属フェニルピリジン錯体;金属フェナントロリン錯体;N−アルキルナフタレンジイミド等のナフタレンジイミド類;N−メチルアクリドン等のようなアクリドン類等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。前記金属ポルフィリン類および金属フタロシアニン類に含まれる金属原子としては、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Zn、Cu等を用いることができる。前記金属テトラアザポルフィリン類としては、後述の一般式(2)における5,10,15,20位の炭素原子及びそれに結合したRを窒素原子に置き換えた構造の金属テトラアザポルフィリン類が挙げられる。
前記(A)有機光増感分子として好ましい化合物の例として、500〜800nmの範
囲内に吸収極大波長を有する化合物としては、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。ここで、「水素原子を含む任意の置換基」とは、水素原子、又は水素原子を除く任意の置換基を意味する。
Figure 2017171699
(式中、Rはそれぞれ、水素原子を含む任意の置換基を表し、Rは同じでも異なっていてもよく、互いに隣接する2つのRが互いに連結して水素原子を含む任意の置換基を有する5員環または6員環を形成してもよく、Rはそれぞれ、水素原子又は、水素原子を含む任意の置換基を有するアリール基を表し、Rは同じでも異なっていてもよく、MはH又は金属原子を表す。またメソ位(Rが置換している位置)やピロール環のβ位(Rが置換している位置)を介して2以上のポルフィリンが結合していてもよい。)
前記一般式(2)中のRの例としては、水素原子、アルキル基(例えば炭素数1〜12のアルキル基)、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基(水酸基)、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルボン酸塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシル基、リン酸塩基、ホスホン酸塩基、ホスフィン酸塩基、シアノ基、アミノ基(アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、およびアルキルアリールアミノ基を含む)、アシルアミノ基(アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、カルバモイル基、およびウレイド基が含まれる)、アミジノ基、イミノ基、スルフヒドリル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオカルボン酸塩基、硫酸塩基、アルキルスルフィニル基、スルホン酸塩基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、アジド基、複素環、アルキルアリール基、またはアリール基、もしくはヘテロアリール基が挙げられるが、これらに限定されない。うえ上記一般式(2)中に含まれうる、互いに隣接する2つのRが互いに連結して形成された5員環または6員環が有する置換基の例としては、Rの例として挙げた置換基が挙げられるが、これらに限定されない。前記5員環または6員環は、置換基を有していてもよい他のポルフィリン環と連結していてもよい。前記一般式(2)中のRの例としては、Rの例として挙げた置換基が挙げられるが、これらに限定されない。前記一般式(2)中のMが金属原子の場合、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Zn、Cu等が挙げられる。
前記一般式(2)で表される金属ポルフィリン類としては、例えば、メソ−テトラフェニル−テトラベンゾポルフィリンパラジウム(CAS番号:119654−64−7)等のメソ−テトラフェニル−テトラベンゾポルフィリン金属錯体、オクタエチルポルフィリンパラジウム(CAS番号:24804−00−0)等のオクタエチルポルフィリン金属錯体、非特許文献2に記載されているメソ−テトラフェニル−オクタメトキシ−テトラナフト[2,3]ポルフィリンパラジウム等のオクタエチルポルフィリン金属錯体等が挙げられる。
前記(A)有機光増感分子は、その構造中に金属を含まない構造の有機光増感分子であ
ってもよい。その構造中に金属を含まない構造の有機光増感分子としては、具体的には、
下記一般式(3)で表される化合物(ボロンジピロメテン類)やC70が挙げられる。
Figure 2017171699
(前記式(3)中、R〜R12はそれぞれ独立に水素原子を含む任意の置換基を表し、互いに隣接する置換基(RとRとの対、RとR11との対、RとR10との対、R10とR11との対)はそれぞれ互いに連結して水素原子を含む任意の置換基を有する5員環または6員環を形成してもよく、R13はハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、または置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルコキシル基を表す)
前記一般式(1)中のR〜R12の例としては、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基(水酸基)、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルボン酸塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシル基、リン酸塩基、ホスホン酸塩基、ホスフィン酸塩基、シアノ基、アミノ基(アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、およびアルキルアリールアミノ基を含む)、アシルアミノ基(アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、カルバモイル基、およびウレイド基が含まれる)、アミジノ基、イミノ基、スルフヒドリル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオカルボン酸塩基、硫酸塩基、アルキルスルフィニル基、スルホン酸塩基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、アジド基、複素環、アルキルアリール基、またはアリール基、もしくはヘテロアリール基が挙げられるが、これらに限定されない。上記一般式(3)中に含まれうる、互いに隣接する置換基(RとRとの対、RとR11との対、RとR10との対、R10とR11との対)が互いに連結して形成された5員環または6員環が有する置換基の例としては、R〜R12の例として挙げた置換基が挙げられるが、これらに限定されない。
前記一般式(1)中のRおよびR11は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいチエニル基、置換基を有してもよいチエノキシ基、下記式(4)で表される2−カルボキシルエテニル基、または下記式(5)で表される2−カルボキシル−2−シアノエテニル基であることが好ましく、置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましく、無置換の炭素数1〜3のアルキル基であることがさらに好ましく、無置換のメチル基であることが最も好ましい。
Figure 2017171699
Figure 2017171699
前記一般式(1)中のRおよびR10は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいチエニル基、置換基を有してもよいチエノキシ基、前記式(4)で表される2−カルボキシルエテニル基、または前記式(5)で表される2−カルボキシル−2−シアノエテニル基であることが好ましく、水素原子、臭素原子、またはヨウ素原子であることがより好ましく、水素原子またはヨウ素原子であることがさらに好ましい。
前記一般式(1)中のR12は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいチエニル基、置換基を有してもよいチエノキシ基、前記式(4)で表される2−カルボキシルエテニル基、または前記式(5)で表される2−カルボキシル−2−シアノエテニル基であることが好ましく、置換基を有してもよいフェニル基であることがより好ましく、無置換またはアルキル置換のフェニル基であることがさらに好ましい。
前記一般式(1)中のR13は、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、または置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルコキシル基であるが、フッ素原子であることが好ましい。
前記(A)有機光増感分子は、前記一般式(2)で表される金属ポルフィリン類、または前記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。
金属ポルフィリンを用いる場合、例えば下記表1に記載する化合物が好適に用いられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお表中、中心金属Mはパラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)、コバルト(Co)、鉄(Fe)等を表す。
Figure 2017171699
前記一般式(3)で表される化合物を用いる場合、式(3)中、R〜R12がそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいチエニル基、置換基を有してもよいチエノキシ基、前記式(2)で表される2−カルボキシルエテニル基、または前記式(3)で表される2−カルボキシル−2−シアノエテニル基である化合物であることがさらに好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物としては、具体的には、下記表1に記載する化合物が好適に用いられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2017171699
また、(A)有機光増感分子として、ボロンジピロメテン類、ポルフィリン類以外には、例えば、フルオレン骨格を有する化合物(好ましくはポリフルオレン化合物)、ポリフェニレン化合物、テトラセン骨格を有する化合物、熱活性型遅延蛍光(TADF)を示す化合物、フォトダイナミックセラピー(PDT)に使用される化合物、下記表3に記載の化合物等を好適に用いることができる。
Figure 2017171699
(A)有機光増感分子は、単独で用いても、2種以上を併用しても良いが、後記する映像装置用途の場合、3種以上を併用する場合が特に好ましい。
[(B)有機発光分子]
前記(B)有機発光分子としては、前記(A)有機光増感分子と共に使用することでTTA過程により光アップコンバージョンされた光を発することのできる有機化合物であれば、特に限定されることなく使用することができる。前記(B)有機発光分子としては、例えば、アセナフテン誘導体、アセトフェノン誘導体、アントラセン誘導体、ジフェニルアセチレン誘導体、アクリダン誘導体、アクリジン誘導体、アクリドン誘導体、チオアクリドン誘導体、アンゲリシン誘導体、アントラセン誘導体、アントラキノン誘導体、アザフルオレン誘導体、アズレン誘導体、ベンジル誘導体、カルバゾール誘導体、コロネン誘
導体、スマネン誘導体、ビフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、ペリレン誘導体、フェナントレン誘導体、フェナントロリン誘導体、フェナジン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ピレン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ビアセチル誘導体、ビアントラニル誘導体、フラーレン誘導体、グラフェン誘導体、カロテン誘導体、クロロフィル誘導体、クリセン誘導体、シンノリン誘導体、クマリン誘導体、クルクミン誘導体、ダンシルアミド誘導体、フラボン誘導体、フルオレノン誘導体、フルオレセイン誘導体、ヘリセン誘導体、インデン誘導体、ルミクロム誘導体、ルミフラビン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ペリフランテン誘導体、ペリレン誘導体、フェナントレン誘導体、フェナントロリン誘導体、フェナジン誘導体、フェノール誘導体、フェノチアジン誘導体、フェノキサジン誘導体、フタラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、ピセン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポルフィセン誘導体、ヘミポルフィセン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、プソラレン誘導体、アンゲリシン誘導体、プリン誘導体、ピレン誘導体、ピロメテン誘導体、ピリジルケトン誘導体、フェニルケトン誘導体、ピリジルケトン誘導体、チエニルケトン誘導体、フラニルケトン誘導体、キナゾリン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、レチナール誘導体、レチノール誘導体、ローダミン誘導体、リボフラビン誘導体、ルブレン誘導体、スクアリン誘導体、スチルベン誘導体、テトラセン誘導体、ペンタセン誘導体、アントラキノン誘導体、テトラセンキノン誘導体、ペンタセンキノン誘導体、チオホスゲン誘導体、インジゴ誘導体、チオインゾゴ誘導体、チオキサンテン誘導体、チミン誘導体、トリフェニレン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、トリアリール誘導体、トリプトファン誘導体、ウラシル誘導体、キサンテン誘導体、フェロセン誘導体、アズレン誘導体、ビアセチル誘導体、ターフェニル誘導体、ターフラン誘導体、ターチオフェン誘導体、オリゴアリール誘導体、フラーレン誘導体、共役ポリエン誘導体、含14族元素縮合多環芳香族化合物誘導体、縮合多環複素芳香族化合物誘導体等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
前記(B)有機発光分子としては、具体的には、例えば、9,10−ジフェニルアントラセン(CAS番号:1499−10−1)およびその誘導体、9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン(CAS番号:10075−85−1)およびその誘導体(例えば1−クロロ−9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン)、ペリレン(CAS番号:198−55−0)およびその誘導体(例えばペリレンジイミド)、ピレンおよびその誘導体、ルブレンおよびその誘導体、ナフタレンおよびその誘導体(例えばナフタレンジイミド、パーフルオロナフタレン、1−シアノナフタレン、1−メトキシナフタレン)、9,10−ビス(フェニルエチニル)ナフタセン、4,4’−ビス(5−テトラアセニル)−1,1’−ビフェニレン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ビフェニル、ビフラン、ビチオフェン、4,4−ジフルオロ−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(ボロンジピロメテン)等が挙げられるが、これらに限定されない。また、ペリレンやピレンのような縮合多環芳香族化合物も好適に用いられる。これら有機発光分子(B)は、1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記(B)有機発光分子としては、下記表4乃至6に示す化合物を好適に用いることができる。ただし、本発明に用いる(B)有機発光分子はこれらに限定されるものではない。
Figure 2017171699
Figure 2017171699
Figure 2017171699
[(C)ブルックフィールド粘度計で測定した粘度が1mPa・s以上である化合物]
本発明の波長変換材料は、(C)ブルックフィールド粘度計で測定した粘度が1mPa・s以上である化合物を含有する。
ブルックフィールド粘度計は例えば東機産業製BII型粘度計等を用いて測定することができる。
成分(C)の好ましい粘度範囲は1〜100,000mPa・sであり、更に好ましくは100〜1,000mPa・sであり、特に好ましくは200〜500mPa・sである。
上記成分(C)としては、分子内に1つ以上の芳香環を有する化合物である場合が好ましい。芳香環としては、ベンゼン環やベンゼン環が複数縮環したナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等や、複素原子を含むピロール環、チオフェン環、フラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、ピリダジン環、チアジアゾール環、チアントレン環、イソベンゾフラン環、イソクメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、インドール環、イソインドール環、インダゾール環、プリン環、キノリジン環、イソキノリン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、プテリジン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、アクリジン環、ペリミジン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサジン環等を挙げることができる。ただし、これらに限定されるものではない。
上記成分(C)としては、更に分子内にアルキレンオキサイド骨格を有する化合物であるである場合が好ましい。アルキレンオキサイド骨格とは−O−X−O−の骨格を意味する。ここでXはアルキレン基を表し、例えばエチレン、プロピレン、n−ブチレン等である。このうち好ましくは、エチレンオキサイド骨格又はプロピレンオキサイド骨格である。
上記成分(C)として、特に好ましいものは、上記式(1)で表される化合物である。
上記式(1)中、Rは、水素原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシ基を表し、nは5〜15の整数を表す。
上記式(1)におけるRとしての、置換基を有しても良いアルキル基としては、C1−C20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、好ましくはC1−C10の直鎖又は分岐アルキル基である。
また置換基としては、ハロゲン原子;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;アミノ基;ニトロ基;C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C20アルキル基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C20アルコキシ基;C1―C20アルキルチオ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C20アルキルチオ基;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記式(1)におけるRとしての、置換基を有しても良いアルコキシ基としては、C1−C20の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、好ましくはC1−C10の直鎖又は分岐アルコキシ基である。
また置換基としては、ハロゲン原子;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;アミノ基;ニトロ基;C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C20アルキル基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C20アルコキシ基;C1―C20アルキルチオ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C20アルキルチオ基;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記式(1)におけるRとしては、炭素数7以上の分岐を有するアルキル基、または炭素数7以上の分岐を有するアルコキシ基である場合が好ましい。
例えば、1,1,3,3−テトラメチルブチル基等である。
上記式(1)におけるnは5〜15の整数であり、好ましくは6〜12の整数であり、さらに好ましくは7〜10の整数である。
本発明の光波長変換要素中における(A)有機光増感分子と(B)有機発光分子の含有割合は、物質量(mol)基準におけるA:Bで、0.1:99.9〜10:90が好ましく、0.5:99.5〜5:95がさらに好ましい。
また、本発明の光波長変換要素中における有機光増感分子(A)の含有量は、1.0×10−6〜1.0×10−3mol/Lが好ましく、1.0×10−5〜5.0×10−4mol/Lがさらに好ましく、3.0×10−5〜3.0×10−4mol/Lが特に好ましい。
本発明の光波長変換要素中における(B)有機光増感分子の含有量は、1.0×10−4〜1.0×10−1mol/Lが好ましく、1.0×10−3〜5.0×10−1mol/Lがさらに好ましく、3.0×10−3〜3.0×10−2mol/Lが特に好ましい。
本発明の光波長変換要素は、(C)ブルックフィールド粘度計で測定した粘度が1mPa・s以上である化合物が、50体積%以上99.9体積%以下を占める場合が好ましく、さらに好ましくは、80体積%以上99体積%以下である。
[(D)有機溶剤]
本発明の波長変換材料は、さらに(D)有機溶剤を含有してもよい。
有機溶剤としては、(A)有機光増感化合物、(B)有機発光化合物及び(C)ブルックフィールド粘度計で測定した粘度が1mPa・s以上である化合物を溶解するものである場合が好ましいが、成分(A)、(B)を分散して用いてもよい為、水溶性有機溶剤であっても非水溶性有機溶剤であっても良い。
水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1−C4アルコール;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン又は1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の複素環式ケトン;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール等のC2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコール又はチオグリコール;トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(好ましくはトリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1−C4モノアルキルエーテル;γ−ブチロラクトン;ジメチルスルホキシド;等が挙げられる。なお、上記の水溶性有機溶剤には、例えばトリメチロールプロパン等のように、常温で固体の物質も含まれている。しかし、該物質等は固体であっても水溶性を示し、さらに該物質等を含有する水溶液は水溶性有機溶剤と同様の性質を示し、同じ効果を期待して使用することができる。このため本明細書においては、便宜上、このような固体の物質であっても上記と同じ効果を期待して使用できる限り、水溶性有機溶剤の範疇に含むこととする。
非水溶性有機溶剤としては、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2,3−トリクロロプロパン、2−ヘプタノン、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、o−キシレン、o−クロロトルエン、o− ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−1,5− ペンタンジオール、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、トリプロピオニン、トリブチリン、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。また、乳酸エチル、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3-メトキシブタノール、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール等が挙げられる。
上記成分(D)有機溶剤を含有する場合、(C)ブルックフィールド粘度計で測定した粘度が1mPa・s以上である化合物と(D)有機溶剤の体積比率(体積%:体積%)が5:5〜9:1である場合が好ましく、6:4〜9:1である場合がさらに好ましく、7:3〜9:1が特に好ましい。
[(E)その他]
本発明の波長変換材料は、上記成分(C)中に(A)及び(B)を溶解及び/又は分散させたものであるが、ポリマー中に取り込ませたものであっても良い。これは、重合性化合物中に上記(A)〜(C)を溶解させ、光及び/又は熱で重合させたものである。
上記重合性化合物としては、透明なポリマーを形成しうる化合物である場合が好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ( メタ) アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。光重合性化合物は、単独または2種以上を混合して用いることができる。
上記重合性化合物を重合する為には、光ラジカル重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤が用いられる。
光ラジカル重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、または2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、またはベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、または3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、または2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s− トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、または2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン−1−〔4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、またはO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。光重合開始剤は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
上記熱ラジカル重合開始剤は加熱によりラジカルを生じ、連鎖重合反応を開始させる化合物であれば特に限定されないが、有機過酸化物、アゾ化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾインエーテル化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾピナコール等が挙げられ、ベンゾピナコールが好適に用いられる。例えば、有機過酸化物としては、カヤメックRTMA、M、R、L、LH、SP-30C、パーカドックスCH−50L、BC−FF、カドックスB−40ES、パーカドックス14、トリゴノックスRTM22−70E、23−C70、121、121−50E、121−LS50E、21−LS50E、42、42LS、カヤエステルRTMP−70、TMPO−70、CND−C70、OO−50E、AN、カヤブチルRTMB、パーカドックス16、カヤカルボンRTMBIC−75、AIC−75(化薬アクゾ株式会社製)、パーメックRTMN、H、S、F、D、G、パーヘキサRTMH、HC、パTMH、C、V、22、MC、パーキュアーRTMAH、AL、HB、パーブチルRTMH、C、ND、L、パークミルRTMH、D、パーロイルRTMIB、IPP、パーオクタRTMND、(日油株式会社製)などが市販品として入手可能である。また、アゾ化合物としては、VA−044、V−070、VPE−0201、VSP−1001(和光純薬工業株式会社製)等が市販品として入手可能である。上記熱ラジカル重合開始剤として特に好適なものは分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)又は窒素−窒素結合(−N=N−)を有さない熱ラジカル重合開始剤である。分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)や窒素−窒素結合(−N=N−)を有する熱ラジカル重合開始剤は、ラジカル発生時に多量の酸素や窒素を発するため、本発明の波長変換材料中に気泡を残した状態で重合し、特性を低下させる虞がある。ベンゾピナコール系の熱ラジカル重合開始剤(ベンゾピナコールを化学的に修飾したものを含む)が特に好適である。具体的には、ベンゾピナコール、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラ(4−メチルフェニル)エタン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラ(4−メトキシフェニル)エタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリエチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン等、が挙げられ、好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンであり、さらに好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンであり、特に好ましくは1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンである。
本発明の波長変換材料は、更に増感剤を含有しても良い。上記増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ− ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体またはミヒラーケトン誘導体、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’または4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。増感剤は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
本発明の光波長変換要素は、その水分量が、1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることがさらに好ましく、0.001質量%以下であることが最も好ましい。これにより、より高い光波長変換効率を有する光波長変換要素を実現できる。
また、本発明の光波長変換材料は、その酸素濃度が、100質量ppm以下であることが好ましく、10質量ppm以下であることがより好ましく、1質量ppm以下であることがさらに好ましく、0.1質量ppm以下であることが最も好ましい。これにより、より高い光波長変換効率を有する光波長変換要素を実現できる。
本発明の光波長変換材料は、表示装置、光造形システム、太陽電池、光触媒、光触媒型水素・酸素発生装置、光アップコンバージョンフィルター等に用いることができる。
例えば、表示装置の場合、(I)上記(A)、(B)及び(C)を保持する領域、(II)上記保持領域を走査する光を発する光源を備えたものである。
[(I)上記(A)、(B)及び(C)を保持する領域]
この領域は液体であっても、固体であっても良い。
この領域が液体の場合、上記成分(C)中に上記成分(A)及び(B)を溶解または分散したものである。
また、例えば水、アルコール、テトラヒドロフラン(THF)、その他の有機溶剤や樹脂等を媒体として用いても良い。この場合、媒体中に、上記(A)有機光増感分子、(B)有機発光分子及び(C)ブルックフィールド粘度計で測定した粘度が1mPa・s以上である化合物を溶解および/または分散させて溶液または分散液を得る方法によって製造することができる。必要に応じて、超音波分散機、ビーズミル、ホモジナイザー、湿式ジェットミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、ロールミル、マイクロ波分散機等の公知の分散機を単独または組み合わせて使用し、有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を微粉砕、微分散して、溶液または分散液を得てもよい。
この領域が固体の場合、硬化性樹脂等を硬化させたものが好ましい。この場合には、硬化性樹脂中に上記(A)有機光増感分子、(B)有機発光分子及び(C)ブルックフィールド粘度計で測定した粘度が1mPa・s以上である化合物を溶解させ、又は分散させ、その後熱又は光によって硬化性樹脂を硬化して製造される。硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂組成物、アクリル樹脂組成物、メタクリル樹脂組成物やそれらの混合物があげられる。
上記のうち、(I)としては、液体である場合が更に好ましい。
[(II)上記保持領域を走査する光を発する光源]
本発明の映像装置は、(II)上記保持領域を走査する光を発する光源を備える。この光源としては、以下の2つの方式が可能である。なお、高い空間コヒーレンス性をもつことから、この光源としてはレーザーを使用するのが好ましい。
[1.1つの光源からの光で1つの点を発光させる方式]
光源から発した光を集光レンズで集光することによって、任意の空間にエネルギーを集中させることができる。この方式では1つの光源から発した光によって1つの点を発光させ、走査によって数万〜数千万の画素を形成することができる。
[2.2つの光源からの光で1つの点を発光させる方式]
2つの光源から発した2種類の光を1点で交差させることによって、任意の空間に発光点を形成することができる。
本発明において上記1.又は2の方式はいずれであっても良いが、1.1つの光源からの光で1つの点を発光させる方式である場合が好ましい。
本発明の映像装置をフルカラー立体映像装置として使用する為に、少なくとも3種類の光源を用いる方式が好ましい。
本発明の、映像装置は、立体画像を簡便に得ることができる。特に左右の目に視差を考慮した別々の平面画像を提示する方式等に比べ自然な立体感を再現することができる。また、二光子吸収材料と光源を複数使用することにより、フルカラー化も可能である。従って、臨場感のある3Dテレビのみならず、医師の問診や遠方で暮らす家族の対話の場になりうるテレビ電話にも有用である。また、インターネットショッピング用等に用いられるモニターや立体構造体の設計に用いるモニター等パーソナルコンピューター用モニターとしても非常に有用である。また、スクリーンを必要としないプロジェクタとしても使用できる。
(実施例1)
有機光増感化合物としてPt(II)Octaethylporphine(PtOEP:東京化成工業株式会社製)を0.727mgと、有機発光化合物として9,10-diphenylanthracene(DPA:東京化成工業株式会社製)を33.0mgとを、下記式(6)で表される化合物の10mlに溶解させ溶液Aとした。
Figure 2017171699
また、上記式(6)で表される化合物のみの溶液を溶液Bとして用意した。溶液Bを厚み10mmの石英セルに入れ、絶対発光量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製、C9920-02G)中に置いた。次に直径2.0mmの532nmの固体レーザーからの光を2.0W/cmの強度で溶液Bが満たされた厚み1.0mmの石英セルに照射し、その際に検出される放射スペクトルおよび強度を測定した。次に石英セルの中身を溶液Bから溶液Aに入れ替え、その石英セルを絶対発光量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製、C9920-02G)中に置いた。次に532 nmの固体レーザーからの2mmの直径を有する光を1.0W/cmの強度で石英セルに照射し、その際に検出される放射スペクトルと強度を測定した。溶液Bを用いた際に放射されるスペクトルおよび溶液Aを用いた際に放射されるスペクトルを用いて、532nm以上の波長域に放射されるアップコンバージョンの発光量子収率(Φ)を算出したところ1.7%であった。同様にして532nmのパワーをさまざまに変化させた際のΦを同様に測定した。図1はΦと532nmの光強度(I)の関係である。Iが小さい領域でΦのIに関する傾きが1.0となる接線と、Iが無限大に近づく際のΦの値の交点におけるパワーをアップコンバージョンの閾値(Ith)と定義すると、Ithの値は60mW/cmであった。
なお上記式(6)で表される化合物は、Triton X−100(ダウケミカル社製)として市場から入手することができる。また、この化合物のブルックフィールド粘度計で測定した粘度は243−291mPa・sである。
(実施例2)
実施例1で上記式(6)で表される化合物の代わりにジメチルスルホキシド(DMSO)を用いる以外は実施例1と同様に実験を行いΦとIthを測定した。1.0W/cmの532nmの光強度の時のΦは1.6%であった。またIthは100mW/cmであった。
なおDMSOのブルックフィールド粘度計で測定した粘度は約2mPa・sである。
(実施例3)
実施例1で、溶液Bが入った厚み10mmの石英セルを積分球に置いて、532nmの固体レーザーからの2.0mmの直径を有する光を1.0W/cmの強度で溶液Bが満たされた石英セルに照射し、その際に検出される放射スペクトルおよび強度を測定した。次に、溶液Aをツンベルク管付の厚み10mmの石英セルに入れ、液体窒素と真空ポンプを用いて5回凍結脱気を繰り返すことで溶液Aから酸素を取り除いた。その後ツンベルク管付石英セルを絶対発光量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製、C9920-02G)中に置いた。次に532nmの固体レーザーからの2.0mmの直径を有する光を1.0W/cmの強度で石英セルに照射し、その際に検出される放射スペクトルと強度を測定した。溶液Bの時の放射スペクトルおよび溶液Aを用いた際の放射スペクトルを用いて、Φを算出したところ1.9%であった。同様にして532nmのパワーをさまざまに変化させた際のΦを同様に測定した結果Ithの値は60mW/cmであった。
(実施例4)
実施例3で上記式(6)で表される化合物の代わりにDMSOを用いる以外は実施例3と同様に実験を行いΦとIthを測定した。1.0W/cmの532nmの光強度の時のΦは1.5%であった。またIthは170mW/cmであった。
(比較例1)
実施例1で上記式(6)で表される化合物の代わりにテトラヒドロフラン(THF)を用いる以外は実施例1と同様に実験を行いΦとIthを測定した。1.0W/cmの532nmの光強度の時のΦは0.9%であった。またIthは2800mW/cmであった。
なおTHFのブルックフィールド粘度計で測定した粘度は約0.5mPa・sである。
(比較例2)
実施例3で上記式(6)で表される化合物の代わりにTHF10mlを用いる以外は実施例3と同様に実験を行いΦとIthを測定した。1.0W/cmの532nmの光強度の時のΦは2.0%であった。またIthは140mW/cmであった。
上記の結果を表7にまとめる。
Figure 2017171699
ここで実施例1〜4と比較例1、2とを比較した場合、ブルックフィールド粘度計で測定した粘度が1mPa・s以上である化合物を用いることで、大気中でもΦの向上とIthの大幅な低下が理解されよう。
また、実施例1〜4と比較例2とを比較した場合、ブルックフィールド粘度計で測定した粘度が1mPa・s以上である化合物(特に上記式(6)で表される化合物)を添加することで、従来の溶媒の脱酸素処理をした場合よりも大幅なIthの低下が確認されよう。ここで、比較例2の材料の条件は非特許文献1のものに相当する。非特許文献1では0.4mW/cm のIthと1.0W/cmの532nmの光照射時に26%以上のΦが得られている。今回の測定系では、Ithが32mW/cmおよび1.0W/cmの532nmの光照射時のΦの値は6.7%であるが、ブルックフィールド粘度計で測定した粘度が1mPa・s以上である化合物(特に上記式(6)で表される化合物)を添加することでその材料に対しても大幅なIthの低下が確認されよう。
本発明の波長変換材料は、非常に高いアップコンバージョン量子収率を示す。従って、従来は困難とされていた弱いエネルギーの光でも励起が可能であり、十分な発光を得ることができる。
また、上記波長変換材料を用いた映像装置、特に立体映像装置は見る方向に制限が無い為、多人数が同時に、様々な角度から見ることができる立体映像装置が提供される。これによって、3Dプリンターを始めとする立体造形技術等の更なる発展に寄与するものと考えられる。

Claims (16)

  1. (A)有機光増感化合物、(B)有機発光化合物及び(C)ブルックフィールド粘度計で測定した粘度が1mPa・s以上である化合物を含有する波長変換材料。
  2. 前記成分(C)のブルックフィールド粘度計で測定した粘度が100mPa・s以上である請求項1に記載の波長変換材料。
  3. 前記成分(C)のブルックフィールド粘度計で測定した粘度が200mPa・s以上である請求項1に記載の波長変換材料。
  4. 前記成分(C)が、分子内に2つ以上の酸素原子(O)を有する化合物である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の波長変換材料。
  5. 前記成分(C)が、分子内に1つ以上の芳香環を有する化合物である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の波長変換材料。
  6. 前記成分(C)が、アルキレンオキサイド骨格を有する化合物である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の波長変換材料。
  7. 前記成分(C)が、下記式(1)で表される化合物である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の波長変換材料。
    Figure 2017171699
    (前記式(1)において、Rは、水素原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシ基を表し、nは5〜15の整数を表す。)
  8. 前記式(1)において、Rが炭素数7以上の分岐を有するアルキル基である請求項7に記載の波長変換材料。
  9. 前記(A)有機光増感化合物が、500〜800nmに吸収極大波長を有する化合物である請求項1乃至8のいずれか一項に記載の波長変換材料。
  10. 前記(A)有機光増感化合物が、ポルフィリン化合物である請求項1乃至9のいずれか一項に記載の波長変換材料。
  11. 前記(B)有機発光化合物が、分子内にベンゼン環を3以上有する化合物である請求項1乃至10のいずれか一項に記載の波長変換材料。
  12. 前記(B)有機発光化合物が、アントラセン化合物である請求項1乃至11のいずれか一項に記載の波長変換材料。
  13. 請求項1乃至12のいずれか一項に記載の波長変換材料を有する太陽電池。
  14. 請求項1乃至12のいずれか一項に記載の波長変換材料を有する光造形システム。
  15. 請求項1乃至12のいずれか一項に記載の波長変換材料を有する表示装置。
  16. 請求項1乃至12のいずれか一項に記載の波長変換材料を有する立体映像表示装置。
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