JP2017173821A - 波長変換材料及びその応用 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明は、高い量子収率を有し、非常に低エネルギーの励起光でもアップコンバージョンが可能であり、十分な発光を取り出すことができる波長変換材料(アップコンバージョン材料)を提供することである。これにより、太陽電池、光造形システム、表示装置等の様々な応用分野におけるアップコンバージョンの利用が実現できる。
【解決手段】
(A)有機光増感化合物、(B)有機発光化合物及び(C)酸化防止剤を含有する波長変換材料。
【選択図】なし
本発明は、高い量子収率を有し、非常に低エネルギーの励起光でもアップコンバージョンが可能であり、十分な発光を取り出すことができる波長変換材料(アップコンバージョン材料)を提供することである。これにより、太陽電池、光造形システム、表示装置等の様々な応用分野におけるアップコンバージョンの利用が実現できる。
【解決手段】
(A)有機光増感化合物、(B)有機発光化合物及び(C)酸化防止剤を含有する波長変換材料。
【選択図】なし
Description
本発明は、長波長光を高効率で短波長光に変換する波長変換材料、及びその応用に関する。
地球温暖化対策、クリーンエネルギー等の代替エネルギーヘの強いニーズがある中、太陽光を高効率に二次エネルギー(電力、水素等)に変換する技術開発が急務となっている。高い光−二次エネルギー変換効率(光から二次エネルギーへの変換効率)を有する太陽電池、水素発生光触媒等の光−二次エネルギー変換要素(光を二次エネルギーへ変換する要素)への期待が高まっている。一般的な太陽電池や水素発生光触媒等の光−二次エネルギー変換要素は、太陽光に含まれる広範な波長範囲の光のうち、その光−二次エネルギー変換要素に固有の、ある閾値波長より短い波長成分のみを変換に利用して、閾値波長より長波長の成分は未利用となっている。そのため、太陽光に含まれる広範な波長範囲の光を有効に利用する技術の一つとして、光アップコンバージョン(すなわち、長い波長の光を吸収して、より短い波長の光を発光することにより光の波長を変換すること)が検討されている。
光アップコンバージョンの手段として、高調波発生を利用した手法や有機色素による大きな多光子吸収特性を利用した方法などが存在する。しかし、これらの手法ではナノ秒やフェムト秒のパルス幅を有するレーザーからの光が必要となり、非コヒーレントの光照射では現象が生じない。また希土類元素を金属酸化物などにドープした材料において、希土類元素の多光子吸収を用いた光アップコンバージョンの研究は50年以上の歴史を有している。しかし、この手法においても一般的に非常に高い入射光強度が必要であり、太陽光等の弱い光を変換の対象とすることは困難であった。
近年、有機光増感化合物と有機発光化合物の両者を用いて、三重項三重項消滅(TTA)過程を利用した光アップコンバージョン特性を示す組成物が数多く報告されている。この組成物では、一般的に励起一重項状態(S1)と励起三重項状態(T1)のエネルギー差(ΔEST)が小さい有機光増感化合物、ΔESTが大きい有機発光性化合物やその組み合わせ(組成物)、及びこれらとその他の添加剤等との組み合わせ等を全て含むものとする。
非特許特許1には、有機光増感化合物として少なくともフタロシアニン、金属ポルフィリン、金属フタロシアニンが、有機発光性化合物としてジフェニルアントラセン、とをテトラヒドロフラン(THF)などの有機溶媒に溶解させた組成物が記載されている。これらの組成物では、20%を超える光アップコンバージョンの量子収率が5mW/cm2以下の光強度で得られている。しかし、これらの組成物を大気中に出すと、酸素が溶媒中に浸透していき、光アップコンバージョン特性が著しく低下する。
非特許文献2には、有機光増感化合物と有機発光性化合物とを溶解させる媒体にイオン性液体を用いた例が報告されている。しかし、大気中では大きな量子収率を得るのに依然として数百mW/cm2以上の光強度が必要となる。
非特許文献3には、有機光増感化合物を液体の有機発光性化合物に溶解させた材料を用いた例が報告されている。しかし大気中では大きな量子収率を得るのには依然として50mW/cm2以上の光強度が必要となる。
上記の通り光アップコンバージョンは波長変換の方法として非常に有用であり、鋭意検討されているが、未だ実用化には至っていない。この原因の一つとして大気中などの酸素や水分などが存在する条件下では酸素や水分が組成物中に存在し、それらが原因となり著しく量子収率が低下するといった問題が挙げられる。
例えば非特許文献4には、有機光増感化合物と有機発光性化合物の超分子ナノファイバーを溶媒に加えた材料の例が報告されている。この材料では20mW/cm2以下の光強度で20%を超えるアップコンバージョンの量子収率が報告されている。しかし、このような特異的な超分子構造は分子構造に制約があり、全ての有機発光性化合物に適用できない。
非特許文献5には、有機光増感化合物を有機発光性化合物の結晶の表面に化学的に結合させた材料の例が報告されている。この材料では低い光強度でアップコンバージョンの量子収率が低いという問題が挙げられる。
それゆえ有機増感化合物と有機発光性化合物の組み合わせで、大気中で脱酸素下同等の量子収率を示す光アップコンバージョン材料の開発が望まれている。
A.Monguzzi,et al.,Physical Chemical Chemical Physics,vol.14,p.4322〜4332,2012
Y.Murakami,et al.,Chemical Physics Letters,vol.516,p.56−61,2011
P.Duan,et al.,Journal of the American Chemcal Scioety,vol.135,p.19056−19059,2013
T.Ogawa,et al.,Scientific Reports,vol.5,p.10882−1〜10882−9,2015
P.Mahato,et al.,Nature Materials,vol.14,p.924−930,2015
上記事情に鑑み、本願では大気中で弱い光照射により高い量子収率を有する波長変換材料(アップコンバージョン材料)及びその応用(太陽電池、表示装置等)を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、(A)有機光増感化合物、(B)有機発光化合物及び(C)酸化防止剤を含有する波長変換材料が上記課題を解決するものであることを見出し本発明に至ったものである。
すなわち本発明は、下記の1)〜17)に関するものである。
1)(A)有機光増感化合物、(B)有機発光化合物及び(C)酸化防止剤を含有する波長変換材料。
2)上記(C)酸化防止剤が、分子内に硫黄又は窒素を有する化合物である上記1)に記載の波長変換材料。
3)上記(C)酸化防止剤が、分子内に少なくとも一つの環構造を有する化合物である上記1)又は2)に記載の波長変換材料。
4)上記(C)酸化防止剤が、下記式(1)又は下記式(2)で表される骨格を有する化合物である上記1)乃至3)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
5)上記(C)酸化防止剤が、下記式(3)で表される化合物及び/又は下記式(4)で表される化合物である上記1)乃至4)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
(上記式(3)において、R1〜R5はそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有しても良いアルキル基又は置換基を有しても良いアルコキシ基を表す。)
(上記式(4)において、X1〜X4はそれぞれ独立して、水素原子、ホルミル基、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシ基、置換基を有しても良いアルキルカルボニル基、置換基を有しても良いアルコキシカルボニル基、置換基を有しても良いアシルオキシ基又は置換基を有しても良いアルキルチオ基を表す。また、X1とX2、X3とX4はそれぞれ互い結合して環構造を形成していても良い。)
6)前記(C)酸化防止剤が、下記式(16)で表されるアルキルチオエーテル化合物及び/又は下記式(17)で表されるアルキルチオエーテル化合物である上記1)に記載の波長変換材料。
(前記式(16)において、R16及びR18はそれぞれ独立して、置換基を有しても良いアルキル基又は置換基を有しても良いアリール基を表す。R17は、置換基を有しても良いアルケニル基又は置換基を有しても良いアリーレン基を表す。nは0から12の整数を表す。)
(前記式(17)において、R19及びR20はそれぞれ独立して、置換基を有しても良いアルケニル基又は置換基を有しても良いアリーレン基を表す。mは0から12の整数を表す。)
7)上記(C)酸化防止剤が、0.01体積%以上95体積%以下を占める上記1)乃至6)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
8)上記(A)有機光増感化合物が、500〜800nmに吸収極大波長を有する化合物である上記1)乃至7)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
9)上記(A)有機光増感化合物が、ポルフィリン化合物である上記1)乃至8)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
10)上記(B)有機発光化合物が、分子内にベンゼン環を3以上有する化合物である上記1)乃至9)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
11)上記(B)有機発光化合物が、アントラセン化合物である上記1)乃至10)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
12)更に、(D)有機溶剤を含有する上記1)乃至11)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
13)上記(C)酸化防止剤と(D)有機溶剤の体積比率(体積%:体積%)が2:8〜1:9である上記12)に記載の波長変換材料。
14)上記1)乃至13)のいずれか一項に記載の波長変換材料を有する太陽電池。
15)上記1)乃至13)のいずれか一項に記載の波長変換材料を有する光造形システム。
16)上記1)乃至13)のいずれか一項に記載の波長変換材料を有する表示装置。
17)上記1)乃至13)のいずれか一項に記載の波長変換材料を有する立体映像表示装置。
1)(A)有機光増感化合物、(B)有機発光化合物及び(C)酸化防止剤を含有する波長変換材料。
2)上記(C)酸化防止剤が、分子内に硫黄又は窒素を有する化合物である上記1)に記載の波長変換材料。
3)上記(C)酸化防止剤が、分子内に少なくとも一つの環構造を有する化合物である上記1)又は2)に記載の波長変換材料。
4)上記(C)酸化防止剤が、下記式(1)又は下記式(2)で表される骨格を有する化合物である上記1)乃至3)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
6)前記(C)酸化防止剤が、下記式(16)で表されるアルキルチオエーテル化合物及び/又は下記式(17)で表されるアルキルチオエーテル化合物である上記1)に記載の波長変換材料。
7)上記(C)酸化防止剤が、0.01体積%以上95体積%以下を占める上記1)乃至6)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
8)上記(A)有機光増感化合物が、500〜800nmに吸収極大波長を有する化合物である上記1)乃至7)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
9)上記(A)有機光増感化合物が、ポルフィリン化合物である上記1)乃至8)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
10)上記(B)有機発光化合物が、分子内にベンゼン環を3以上有する化合物である上記1)乃至9)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
11)上記(B)有機発光化合物が、アントラセン化合物である上記1)乃至10)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
12)更に、(D)有機溶剤を含有する上記1)乃至11)のいずれか一項に記載の波長変換材料。
13)上記(C)酸化防止剤と(D)有機溶剤の体積比率(体積%:体積%)が2:8〜1:9である上記12)に記載の波長変換材料。
14)上記1)乃至13)のいずれか一項に記載の波長変換材料を有する太陽電池。
15)上記1)乃至13)のいずれか一項に記載の波長変換材料を有する光造形システム。
16)上記1)乃至13)のいずれか一項に記載の波長変換材料を有する表示装置。
17)上記1)乃至13)のいずれか一項に記載の波長変換材料を有する立体映像表示装置。
本発明は、高い量子収率を有する波長変換材料である為、非常に低エネルギーの励起光でもアップコンバージョンが可能であり、十分な発光を取り出すことができる。従って、太陽電池、表示装置等の様々な応用展開を可能とするものである。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の波長変換材料は、(A)有機光増感化合物と(B)有機発光化合物とを含有する。当該(A)と(B)としては、その組み合わせがTTA過程を示す(TTA過程に基づいて発光する)ものであれば、制限なく用いることができる。前記有機光増感分子(A)の吸光波長、および前記有機発光分子(B)の発光波長は、太陽光の波長範囲内から、制限なく選択することができる。例を挙げると、可視〜近赤外域の光をアップコンバージョンする態様の光波長変換要素においては、前記有機光増感分子(A)として可視〜近赤外域に光吸収帯を有するπ共役分子を用いることができ、前記有機発光分子(B)として可視〜近赤外域に発光帯を有するπ共役分子を用いることができる。前記有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)としては、芳香族π電子共役系化合物、特に多環芳香族π電子共役系化合物など、および、例えば非特許文献1に記載されている化合物などを含め、低分子や高分子を広く用いることができる。
[(A)有機光増感化合物]
本発明で用いられる(A)有機光増感化合物としては、太陽光の波長範囲内に吸収極大ピーク波長を有するものであれば制限されなく使用できるが、通常は200〜1000nmの範囲内に吸収極大ピーク波長を有するものが使用され、好ましくは500〜800nmの範囲内に吸収極大ピーク波長を有するものが使用される。これにより、一般的な太陽電池や水素発生光触媒等の光−二次エネルギー変換要素では利用されない比較的長い波長の光を、一般的な光−二次エネルギー変換要素に利用される比較的短い波長の光に変換できるので、太陽光に含まれる広範な波長範囲の光を光−二次エネルギー変換要素で有効に利用することが可能となる。
また、前記有機光増感分子(A)として、250〜499nmの範囲内に吸収極大波長を有するものを使用してもよい。これにより、青色領域、紫色領域、および紫外線領域の波長の光を有効に利用することが可能となる。
本発明で用いられる(A)有機光増感化合物としては、太陽光の波長範囲内に吸収極大ピーク波長を有するものであれば制限されなく使用できるが、通常は200〜1000nmの範囲内に吸収極大ピーク波長を有するものが使用され、好ましくは500〜800nmの範囲内に吸収極大ピーク波長を有するものが使用される。これにより、一般的な太陽電池や水素発生光触媒等の光−二次エネルギー変換要素では利用されない比較的長い波長の光を、一般的な光−二次エネルギー変換要素に利用される比較的短い波長の光に変換できるので、太陽光に含まれる広範な波長範囲の光を光−二次エネルギー変換要素で有効に利用することが可能となる。
また、前記有機光増感分子(A)として、250〜499nmの範囲内に吸収極大波長を有するものを使用してもよい。これにより、青色領域、紫色領域、および紫外線領域の波長の光を有効に利用することが可能となる。
前記有機光増感分子(A)としては、紫外領域から赤外領域までの範囲に光吸収を有するものであれば、これまでに色素と呼ばれていない分子種でも使用できる。前記有機光増感分子(A)としては、例えば、アセナフテン誘導体、アセトフェノン誘導体、アントラセン誘導体、ジフェニルアセチレン誘導体、アクリダン誘導体、アクリジン誘導体、アクリドン誘導体、チオアクリドン誘導体、アンゲリシン誘導体、アントラセン誘導体、アントラキノン誘導体、アザフルオレン誘導体、アズレン誘導体、ベンジル誘導体、カルバゾール誘導体、コロネン誘導体、スマネン誘導体、ビフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、ペリレン誘導体、フェナントレン誘導体、フェナントロリン誘導体、フェナジン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ピレン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ビアセチル誘導体、ビアントラニル誘導体、フラーレン誘導体、グラフェン誘導体、カロテン誘導体、クロロフィル誘導体、クリセン誘導体、シンノリン誘導体、クマリン誘導体、クルクミン誘導体、ダンシルアミド誘導体、フラボン誘導体、フルオレノン誘導体、フルオレセイン誘導体、ヘリセン誘導体、インデン誘導体、ルミクロム誘導体、ルミフラビン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ペリフランテン誘導体、ペリレン誘導体、フェナントレン誘導体、フェナントロリン誘導体、フェナジン誘導体、フェノール誘導体、フェノチアジン誘導体、フェノキサジン誘導体、フタラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、ピセン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポルフィセン誘導体、ヘミポルフィセン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、プソラレン誘導体、アンゲリシン誘導体、プリン誘導体、ピレン誘導体、ピロメテン誘導体、ピリジルケトン誘導体、フェニルケトン誘導体、ピリジルケトン誘導体、チエニルケトン誘導体、フラニルケトン誘導体、キナゾリン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、レチナール誘導体、レチノール誘導体、ローダミン誘導体、リボフラビン誘導体、ルブレン誘導体、スクアリン誘導体、スチルベン誘導体、テトラセン誘導体、ペンタセン誘導体、アントラキノン誘導体、テトラセンキノン誘導体、ペンタセンキノン誘導体、チオホスゲン誘導体、インジゴ誘導体、チオインゾゴ誘導体、チオキサンテン誘導体、チミン誘導体、トリフェニレン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、トリアリール誘導体、トリプトファン誘導体、ウラシル誘導体、キサンテン誘導体、フェロセン誘導体、アズレン誘導体、ビアセチル誘導体、ターフェニル誘導体、ターフラン誘導体、ターチオフェン誘導体、オリゴアリール誘導体、フラーレン誘導体、共役ポリエン誘導体、含14族元素縮合多環芳香族化合物誘導体、縮合多環複素芳香族化合物誘導体等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
前記(A)有機光増感分子としては、具体的には、金属ポルフィリン類(ポルフィリン類の金属錯体);金属テトラアザポルフィリン類;金属フタロシアニン類;3,5−ジメチル−ボロンジピロメテンのヨウ素誘導体;3,5−ジメチル−8−フェニルボロンジピロメテンのヨウ素誘導体等のようなボロンジピロメテン類;サレン金属錯体等のようなシッフ塩基金属錯体類;ルビジウム−ビピリジン錯体やイリジウム−フェナントロリン錯体等の金属ビピリジン錯体;金属フェナントロリン錯体;N−アルキルナフタレンジイミド等のナフタレンジイミド類;N−メチルアクリドン等のようなアクリドン類等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。前記金属ポルフィリン類および金属フタロシアニン類に含まれる金属原子としては、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Zn、Cu等を用いることができる。前記金属テトラアザポルフィリン類としては、後述の一般式(2)における5,10,15,20位の炭素原子及びそれに結合したR7を窒素原子に置き換えた構造の金属テトラアザポルフィリン類が挙げられる。
前記(A)有機光増感分子として好ましい化合物の例として、500〜800nmの範囲内に吸収極大波長を有する化合物としては、下記一般式(5)で表される化合物が挙げられる。ここで、「水素原子を含む任意の置換基」とは、水素原子、又は水素原子を除く任意の置換基を意味する。
(式中、R6はそれぞれ、水素原子を含む任意の置換基を表し、R6は同じでも異なっていてもよく、隣接する2つのR6が互いに連結して水素原子を含む任意の置換基を有する5員環または6員環を形成してもよく、R7はそれぞれ、水素原子又は、水素原子を含む任意の置換基を有するアリール基を表し、R7は同じでも異なっていてもよく、MはH2又は金属原子を表す。またメソ位(R7が置換している位置)やピロール環のβ位(R6が置換している位置)を介して2以上のポルフィリンが結合していてもよい。)
前記一般式(5)中のR6の例としては、水素原子、アルキル基(例えば炭素数1〜12のアルキル基)、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基(水酸基)、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルボン酸塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシル基、リン酸塩基、ホスホン酸塩基、ホスフィン酸塩基、シアノ基、アミノ基(アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、およびアルキルアリールアミノ基を含む)、アシルアミノ基(アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、カルバモイル基、およびウレイド基が含まれる)、アミジノ基、イミノ基、スルフヒドリル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオカルボン酸塩基、硫酸塩基、アルキルスルフィニル基、スルホン酸塩基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、アジド基、複素環、アルキルアリール基、またはアリール基、もしくはヘテロアリール基が挙げられるが、これらに限定されない。上記一般式(5)中に含まれる、隣接する2つのR6が互いに連結して形成された5員環または6員環が有する置換基の例としては、R6の例として挙げた置換基が挙げられるが、これらに限定されない。前記5員環または6員環は、置換基を有していてもよい他のポルフィリン環と連結していてもよい。前記一般式(5)中のR6の例としては、R6の例として挙げた置換基が挙げられるが、これらに限定されない。前記一般式(5)中のMが金属原子の場合、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Zn、Cu等が挙げられる。
上記一般式(5)で表される金属ポルフィリン類としては、例えば、メソ−テトラフェニル−テトラベンゾポルフィリンパラジウム(CAS番号:119654−64−7)等のメソ−テトラフェニル−テトラベンゾポルフィリン金属錯体、オクタエチルポルフィリンパラジウム(CAS番号:24804−00−0)等のオクタエチルポルフィリン金属錯体、非特許文献2に記載されているメソ−テトラフェニル−オクタメトキシ−テトラナフト[2,3]ポルフィリンパラジウム等のオクタエチルポルフィリン金属錯体等が挙げられる。
上記(A)有機光増感分子は、その構造中に金属を含まない構造の有機光増感分子であってもよく、その構造中に金属を含まない構造の有機光増感分子としては、具体的には、下記一般式(6)で表される化合物(ボロンジピロメテン類)が挙げられるが、下記一般式(6)で表される化合物は単独、またはR8〜R12のいずれかを結合部位とする二量体や三量体等の多量体を形成してもよく、結合基として飽和炭化水素鎖または不飽和炭化水素鎖を介して多量体を形成してもよい。
(上記式(6)中、R8〜R12はそれぞれ独立に水素原子を含む任意の置換基を表し、互いに隣接する置換基(R8とR9との対、R9とR11との対、R8とR10との対、R10とR11との対)はそれぞれ互いに結合して水素原子を含む任意の置換基を有する5員環または6員環を形成してもよく、R13はハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、または置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルコキシル基を表す)
上記一般式(6)中のR8〜R12の例としては、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基(水酸基)、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルボン酸塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシル基、リン酸塩基、ホスホン酸塩基、ホスフィン酸塩基、シアノ基、アミノ基(アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、およびアルキルアリールアミノ基を含む)、アシルアミノ基(アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、カルバモイル基、およびウレイド基が含まれる)、アミジノ基、イミノ基、スルフヒドリル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオカルボン酸塩基、硫酸塩基、アルキルスルフィニル基、スルホン酸塩基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、アジド基、複素環、アルキルアリール基、またはアリール基、もしくはヘテロアリール基、置換基を有してもよいシリル基、置換基を有してもよいカルバゾリル基や置換基を有してもよいフルオレニル基等の縮合多環基、等が挙げられるが、これらに限定されない。上記一般式(6)中に含まれる、互いに隣接する置換基(R8とR9との対、R9とR11との対、R8とR10との対、R10とR11との対)が互いに連結して形成された5員環または6員環が有する置換基の例としては、R8〜R12の例として挙げた置換基が挙げられるが、これらに限定されない。
上記一般式(6)中のR8〜R12は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいチエニル基、置換基を有してもよいチエノキシ基、下記式(7)で表される2−カルボキシルエテニル基、または下記式(8)で表される2−カルボキシル−2−シアノエテニル基であることが好ましい(下記式(7)及び式(8)中の*は一般式(6)の環構造への結合位置である)。中でもR8及びR11は、置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましく、無置換の炭素数1〜3のアルキル基であることがさらに好ましく、無置換のメチル基であることが特に好ましい。また、R9及びR10は水素原子、臭素原子、またはヨウ素原子であることがより好ましく、水素原子またはヨウ素原子であることがさらに好ましい。R12は置換基を有してもよいフェニル基であることがより好ましく、無置換またはアルキル置換のフェニル基であることがさらに好ましい。
上記一般式(6)中のR13は、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、または置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルコキシル基であるが、フッ素原子であることが好ましい。
前記(A)有機光増感分子は、その構造中に金属を含まない構造の有機光増感分子であってもよい。その構造中に金属を含まない構造の有機光増感分子としては、フラーレン誘導体が知られており、特に長波長の光で増感させることができる。フラーレン誘導体として、C60誘導体、C70誘導体、カーボンナノチューブが知られており、具体的には、[6,6]―Phenyl−C61−butyricacid methyl ester、[6,6]―Phenyl−C71−butyricacid methyl ester、Bis−PCBM(60),Bis−PCBM(70),[6,6]―Phenyl−C61−butyricacid butyl ester,[6,6]―Phenyl−C61−butyricacid n−octyl ester,[6,6]―Phenyl−C61−butyricacid dodecyl ester,C60−fused N−Methylpyrrolidine−m−C12−phenyl、等が挙げられる。
上記(A)有機光増感分子は、上記一般式(5)で表される金属ポルフィリン類、または前記一般式(6)で表される化合物であることが好ましい。
金属ポルフィリン類を用いる場合、例えば下記表1に記載する化合物が好適に用いられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお表中、中心金属Mはパラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)、コバルト(Co)、鉄(Fe)等を表す。
上記一般式(6)で表される化合物を用いる場合、式(6)中、R8〜R12がそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいチエニル基、置換基を有してもよいチエノキシ基、上記式(7)で表される2−カルボキシルエテニル基、または上記式(8)で表される2−カルボキシル−2−シアノエテニル基である化合物であることがさらに好ましい。
上記一般式(6)で表される化合物としては、具体的には、下記表2に記載する化合物が好適に用いられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記一般式(6)で表される化合物としては、具体的には、下記表2に記載する化合物が好適に用いられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、(A)有機光増感分子として、ボロンジピロメテン類、ポルフィリン類以外には、例えば、フルオレン骨格を有する化合物(好ましくはポリフルオレン化合物)、ポリフェニレン化合物、テトラセン骨格を有する化合物、熱活性型遅延蛍光(TADF)を示す化合物、フォトダイナミックセラピー(PDT)に使用される化合物、下記表3に記載の化合物等を好適に用いることができる。
(A)有機光増感分子は、単独で用いても、2種以上を併用しても良いが、後記する映像装置用途の場合、3種以上を併用する場合が特に好ましい。
[(B)有機発光分子]
上記(B)有機発光分子としては、上記(A)有機光増感分子と共に使用することでTTA過程により光アップコンバージョンされた光を発することのできる有機化合物であれば、特に限定されることなく使用することができる。前記(B)有機発光分子としては、例えば、アセナフテン誘導体、アセトフェノン誘導体、アントラセン誘導体、ジフェニルアセチレン誘導体、アクリダン誘導体、アクリジン誘導体、アクリドン誘導体、チオアクリドン誘導体、アンゲリシン誘導体、アントラセン誘導体、アントラキノン誘導体、アザフルオレン誘導体、アズレン誘導体、ベンジル誘導体、カルバゾール誘導体、コロネン誘導体、スマネン誘導体、ビフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、ペリレン誘導体、フェナントレン誘導体、フェナントロリン誘導体、フェナジン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ピレン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ビアセチル誘導体、ビアントラニル誘導体、フラーレン誘導体、グラフェン誘導体、カロテン誘導体、クロロフィル誘導体、クリセン誘導体、シンノリン誘導体、クマリン誘導体、クルクミン誘導体、ダンシルアミド誘導体、フラボン誘導体、フルオレノン誘導体、フルオレセイン誘導体、ヘリセン誘導体、インデン誘導体、ルミクロム誘導体、ルミフラビン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ペリフランテン誘導体、ペリレン誘導体、フェナントレン誘導体、フェナントロリン誘導体、フェナジン誘導体、フェノール誘導体、フェノチアジン誘導体、フェノキサジン誘導体、フタラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、ピセン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポルフィセン誘導体、ヘミポルフィセン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、プソラレン誘導体、アンゲリシン誘導体、プリン誘導体、ピレン誘導体、ピロメテン誘導体、ピリジルケトン誘導体、フェニルケトン誘導体、ピリジルケトン誘導体、チエニルケトン誘導体、フラニルケトン誘導体、キナゾリン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、レチナール誘導体、レチノール誘導体、ローダミン誘導体、リボフラビン誘導体、ルブレン誘導体、スクアリン誘導体、スチルベン誘導体、テトラセン誘導体、ペンタセン誘導体、アントラキノン誘導体、テトラセンキノン誘導体、ペンタセンキノン誘導体、チオホスゲン誘導体、インジゴ誘導体、チオインゾゴ誘導体、チオキサンテン誘導体、チミン誘導体、トリフェニレン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、トリアリール誘導体、トリプトファン誘導体、ウラシル誘導体、キサンテン誘導体、フェロセン誘導体、アズレン誘導体、ビアセチル誘導体、ターフェニル誘導体、ターフラン誘導体、ターチオフェン誘導体、オリゴアリール誘導体、フラーレン誘導体、共役ポリエン誘導体、含14族元素縮合多環芳香族化合物誘導体、縮合多環複素芳香族化合物誘導体等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
上記(B)有機発光分子としては、上記(A)有機光増感分子と共に使用することでTTA過程により光アップコンバージョンされた光を発することのできる有機化合物であれば、特に限定されることなく使用することができる。前記(B)有機発光分子としては、例えば、アセナフテン誘導体、アセトフェノン誘導体、アントラセン誘導体、ジフェニルアセチレン誘導体、アクリダン誘導体、アクリジン誘導体、アクリドン誘導体、チオアクリドン誘導体、アンゲリシン誘導体、アントラセン誘導体、アントラキノン誘導体、アザフルオレン誘導体、アズレン誘導体、ベンジル誘導体、カルバゾール誘導体、コロネン誘導体、スマネン誘導体、ビフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、ペリレン誘導体、フェナントレン誘導体、フェナントロリン誘導体、フェナジン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ピレン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ビアセチル誘導体、ビアントラニル誘導体、フラーレン誘導体、グラフェン誘導体、カロテン誘導体、クロロフィル誘導体、クリセン誘導体、シンノリン誘導体、クマリン誘導体、クルクミン誘導体、ダンシルアミド誘導体、フラボン誘導体、フルオレノン誘導体、フルオレセイン誘導体、ヘリセン誘導体、インデン誘導体、ルミクロム誘導体、ルミフラビン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ペリフランテン誘導体、ペリレン誘導体、フェナントレン誘導体、フェナントロリン誘導体、フェナジン誘導体、フェノール誘導体、フェノチアジン誘導体、フェノキサジン誘導体、フタラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、ピセン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポルフィセン誘導体、ヘミポルフィセン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、プソラレン誘導体、アンゲリシン誘導体、プリン誘導体、ピレン誘導体、ピロメテン誘導体、ピリジルケトン誘導体、フェニルケトン誘導体、ピリジルケトン誘導体、チエニルケトン誘導体、フラニルケトン誘導体、キナゾリン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、レチナール誘導体、レチノール誘導体、ローダミン誘導体、リボフラビン誘導体、ルブレン誘導体、スクアリン誘導体、スチルベン誘導体、テトラセン誘導体、ペンタセン誘導体、アントラキノン誘導体、テトラセンキノン誘導体、ペンタセンキノン誘導体、チオホスゲン誘導体、インジゴ誘導体、チオインゾゴ誘導体、チオキサンテン誘導体、チミン誘導体、トリフェニレン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、トリアリール誘導体、トリプトファン誘導体、ウラシル誘導体、キサンテン誘導体、フェロセン誘導体、アズレン誘導体、ビアセチル誘導体、ターフェニル誘導体、ターフラン誘導体、ターチオフェン誘導体、オリゴアリール誘導体、フラーレン誘導体、共役ポリエン誘導体、含14族元素縮合多環芳香族化合物誘導体、縮合多環複素芳香族化合物誘導体等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
上記(B)有機発光分子としては、具体的には、例えば、9,10−ジフェニルアントラセン(CAS番号:1499−10−1)およびその誘導体、9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン(CAS番号:10075−85−1)およびその誘導体(例えば1−クロロ−9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン)、ペリレン(CAS番号:198−55−0)およびその誘導体(例えばペリレンジイミド)、ピレンおよびその誘導体、ルブレンおよびその誘導体、ナフタレンおよびその誘導体(例えばナフタレンジイミド、パーフルオロナフタレン、1−シアノナフタレン、1−メトキシナフタレン)、9,10−ビス(フェニルエチニル)ナフタセン、4,4’−ビス(5−テトラアセニル)−1,1’−ビフェニレン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ビフェニル、ビフラン、ビチオフェン、4,4−ジフルオロ−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(ボロンジピロメテン)等が挙げられるが、これらに限定されない。また、ペリレンやピレンのような縮合多環芳香族化合物も好適に用いられる。これら有機発光分子(B)は、1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記(B)有機発光分子としては、下記表4乃至6に示す化合物を好適に用いることができる。ただし、本発明に用いる(B)有機発光分子はこれらに限定されるものではない。
[(C)酸化防止剤]
本発明の波長変換材料は、(C)酸化防止剤を含有する。
本明細書中において、酸化防止剤とは、化学的・電気化学的な手法により安定な有機ラジカルを形成する化合物を意味し、例えば、フェノール系、芳香族アミン系、硫黄系、リン系、ビタミンE(トコフェロール)系、キノン系等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。(C)酸化防止剤は(A)有機光増感分子、及び(B)有機発光分子との相互作用によって、アップコンバージョン効率を大幅に高める。
本発明の波長変換材料は、(C)酸化防止剤を含有する。
本明細書中において、酸化防止剤とは、化学的・電気化学的な手法により安定な有機ラジカルを形成する化合物を意味し、例えば、フェノール系、芳香族アミン系、硫黄系、リン系、ビタミンE(トコフェロール)系、キノン系等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。(C)酸化防止剤は(A)有機光増感分子、及び(B)有機発光分子との相互作用によって、アップコンバージョン効率を大幅に高める。
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチルクレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリルβ−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール系;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデンンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のビスフノール系;テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−sec−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン等の高分子フェノール系等を挙げることができる。
芳香族アミン系酸化防止剤としては、P,P'−ジオクチルジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、フェノチアジン等を挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤としては、硫化油脂、ジベンジルジサルファイド、ジセチルサルファイド、テトラチアフルバレン系等を挙げることができる。このうちテトラチアフルバレン系が好ましく、例えばテトラチアフルバレン、ビス(カルボニルジチオ)テトラチアフルバレン、ビス(メチレンジチオ)テトラチアフルバレン、ビス(エチレンジチオ)テトラチアフルバレン、ビス(トリメチレンジチオ)テトラチアフルバレン、ジメチルテトラチアフルバレン、ホルミルテトラチアフルバレン、2,3,6,7−テトラキス(2−シアノエチルチオ)テトラチアフルバレン、テトラキス(メチルチオ)テトラチアフルバレン、テトラキス(エチルチオ)テトラチアフルバレン、テトラキス(ペンチルチオ)テトラチアフルバレン等を挙げることができる。
リン系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリオレイルホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ジエチルハイドロゲンホスファイト、ビス(2−エチルヘキシル)ハイドロゲンホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等を挙げることができる。
キノン系酸化防止剤としては、ナフトキノン、2−ヒドロキシナフトキノン、2−メチルナフトキノン、2−メトキシナフトキノン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−メトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−フェノキシピペリジン−1−オキシル、ハイドロキノン、2−メチルハイドロキノン、2−メトキシハイドロキノン等を挙げることができる。
芳香族アミン系酸化防止剤としては、P,P'−ジオクチルジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、フェノチアジン等を挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤としては、硫化油脂、ジベンジルジサルファイド、ジセチルサルファイド、テトラチアフルバレン系等を挙げることができる。このうちテトラチアフルバレン系が好ましく、例えばテトラチアフルバレン、ビス(カルボニルジチオ)テトラチアフルバレン、ビス(メチレンジチオ)テトラチアフルバレン、ビス(エチレンジチオ)テトラチアフルバレン、ビス(トリメチレンジチオ)テトラチアフルバレン、ジメチルテトラチアフルバレン、ホルミルテトラチアフルバレン、2,3,6,7−テトラキス(2−シアノエチルチオ)テトラチアフルバレン、テトラキス(メチルチオ)テトラチアフルバレン、テトラキス(エチルチオ)テトラチアフルバレン、テトラキス(ペンチルチオ)テトラチアフルバレン等を挙げることができる。
リン系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリオレイルホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ジエチルハイドロゲンホスファイト、ビス(2−エチルヘキシル)ハイドロゲンホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等を挙げることができる。
キノン系酸化防止剤としては、ナフトキノン、2−ヒドロキシナフトキノン、2−メチルナフトキノン、2−メトキシナフトキノン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−メトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−フェノキシピペリジン−1−オキシル、ハイドロキノン、2−メチルハイドロキノン、2−メトキシハイドロキノン等を挙げることができる。
上記(C)酸化防止剤のうち、フェノール系、芳香族アミン系、硫黄系酸化防止剤が好ましい。
このうち分子内に硫黄または窒素を有する場合には、(A)有機光増感分子及び(B)有機発光分子との相互作用も大きくなる為好ましく、さらには分子内に環構造を少なくとも一つ有する場合がさらに好ましい。該環構造としては、脂肪族環であっても芳香族環であっても良く、また複素環であっても良い。当該環構造としては、5〜10員環である場合が好ましく、さらに好ましくは5〜8員環であり、特に好ましくは5〜6員環である。
また、該環構造として、上記式(1)又は(2)で表される環構造を有するものがさらに好ましい態様の一つである。
上記式(1)で表される骨格を有する化合物としては、例えばフェノール化合物、カテコール化合物、レゾルシノール化合物、ハイドロキノン化合物等を挙げることができる。
また、上記式(2)で表される骨格を有する化合物としては、例えばテトラチアフルバレン化合物を挙げることができ、具体的には、テトラチアフルバレン、ビス(カルボニルジチオ)テトラチアフルバレン、ビス(メチレンジチオ)テトラチアフルバレン、ビス(エチレンジチオ)テトラチアフルバレン、ビス(トリメチレンジチオ)テトラチアフルバレン、ジメチルテトラチアフルバレン、ホルミルテトラチアフルバレン、2,3,6,7−テトラキス(2−シアノエチルチオ)テトラチアフルバレン、テトラキス(メチルチオ)テトラチアフルバレン、テトラキス(エチルチオ)テトラチアフルバレン、テトラキス(ペンチルチオ)テトラチアフルバレン等を挙げることができる。
このうち分子内に硫黄または窒素を有する場合には、(A)有機光増感分子及び(B)有機発光分子との相互作用も大きくなる為好ましく、さらには分子内に環構造を少なくとも一つ有する場合がさらに好ましい。該環構造としては、脂肪族環であっても芳香族環であっても良く、また複素環であっても良い。当該環構造としては、5〜10員環である場合が好ましく、さらに好ましくは5〜8員環であり、特に好ましくは5〜6員環である。
また、該環構造として、上記式(1)又は(2)で表される環構造を有するものがさらに好ましい態様の一つである。
上記式(1)で表される骨格を有する化合物としては、例えばフェノール化合物、カテコール化合物、レゾルシノール化合物、ハイドロキノン化合物等を挙げることができる。
また、上記式(2)で表される骨格を有する化合物としては、例えばテトラチアフルバレン化合物を挙げることができ、具体的には、テトラチアフルバレン、ビス(カルボニルジチオ)テトラチアフルバレン、ビス(メチレンジチオ)テトラチアフルバレン、ビス(エチレンジチオ)テトラチアフルバレン、ビス(トリメチレンジチオ)テトラチアフルバレン、ジメチルテトラチアフルバレン、ホルミルテトラチアフルバレン、2,3,6,7−テトラキス(2−シアノエチルチオ)テトラチアフルバレン、テトラキス(メチルチオ)テトラチアフルバレン、テトラキス(エチルチオ)テトラチアフルバレン、テトラキス(ペンチルチオ)テトラチアフルバレン等を挙げることができる。
上記(C)酸化防止剤のうち、特に好ましいものは上記式(3)で表される化合物又は上記式(4)で表される化合物である。
上記式(3)におけるR1〜R5はそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシ基を表す。
アルキル基とは、C1〜C10の直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表し、好ましくはC1〜C5アルキル基であり更に好ましくはメチル基又はエチル基である。
アルコキシ基とはC1〜C10の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基を表し、好ましくはC1〜C5アルコキシ基であり更に好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
アルキル基とは、C1〜C10の直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表し、好ましくはC1〜C5アルキル基であり更に好ましくはメチル基又はエチル基である。
アルコキシ基とはC1〜C10の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基を表し、好ましくはC1〜C5アルコキシ基であり更に好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
上記式(3)におけるR1〜R5のアルキル基、又はアルコキシ基はさらに置換基を有してもよい。この置換基の例としてはハロゲン原子;シアノ基;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;アミノ基;ニトロ基;C1〜C20アルコキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1〜C20アルコキシ基;C1〜C20アルキルチオ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1〜C20アルキルチオ基;を表し、好ましくは、C1〜C20アルコキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1〜C20アルコキシ基;C1〜C20アルキルチオ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1〜C20アルキルチオ基であり、更に好ましくは、C1〜C10アルキルチオ基である。
上記式(4)におけるX1〜X4はそれぞれ独立して、水素原子、ホルミル基(−CHO)、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシ基、置換基を有しても良いアルキルカルボニル基、置換基を有しても良いアルコキシカルボニル基、置換基を有しても良いアシルオキシ基又は置換基を有しても良いアルキルチオ基を表す。また、X1とX2、X3とX4はそれぞれ互い結合して環構造を形成していても良い。
上記式(4)における置換基を有しても良いアルキル基とは好ましいものを含めて上記(3)における置換基を有しても良いアルキル基と同じ意味を表す。
上記式(4)における置換基を有しても良いアルコキシ基とは好ましいものを含めて上記(3)における置換基を有しても良いアルコシキ基と同じ意味を表す。
上記式(4)の置換基を有しても良いアルキルカルボニル基におけるアルキルとはC1〜C10の直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表し、好ましくはC1〜C5アルキル基であり更に好ましくはメチル基又はエチル基である。また当該アルキルは、さらに置換基を有しても良く、この置換基の例としてはハロゲン原子;シアノ基;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;アミノ基;ニトロ基;C1〜C20アルコキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1〜C20アルコキシ基;C1〜C20アルキルチオ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1〜C20アルキルチオ基等である。置換基を有しても良いアルキルカルボニル基として特に好ましいものはアセチル基である。
上記式(4)の置換基を有しても良いアルコキシカルボニル基におけるアルコキシとは、そのアルキル部分がC1〜C10の直鎖、分岐又は環状のアルキル基であるものを表し、好ましくはC1〜C5アルキルであり更に好ましくはメチル基又はエチル基である。また当該アルキルは、さらに置換基を有しても良く、この置換基の例としてはハロゲン原子;シアノ基;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;アミノ基;ニトロ基;C1〜C20アルコキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1〜C20アルコキシ基;C1〜C20アルキルチオ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1〜C20アルキルチオ基;である。置換基を有しても良いアルコキシカルボニル基として特に好ましいものはアセトキシカルボニル基である。
上記式(4)の置換基を有しても良いアシルオキシ基の場合、アシルに相当するアルキル部分がC1〜C10の直鎖、分岐又は環状アルキルであるものを表し、好ましくはC1〜C5アルキルであり更に好ましくはメチル又はエチルである。また当該アルキルは、さらに置換基を有しても良く、この置換基の例としてはハロゲン原子;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;アミノ基;ニトロ基;C1〜C20アルコキシ基;シアノ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1〜C20アルコキシ基;C1〜C20アルキルチオ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1〜C20アルキルチオ基;である。置換基を有しても良いアシルオキシ基として特に好ましいものはアセトキシ基である。
上記式(4)の置換基を有しても良いアルキルチオ基におけるアルキルとはC1〜C10の直鎖、分岐又は環状アルキル基を表し、好ましくはC1〜C5アルキル基であり更に好ましくはメチル基又はエチル基である。また当該アルキルは、さらに置換基を有しても良く、この置換基の例としてはハロゲン原子;シアノ基;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;アミノ基;ニトロ基;C1〜C20アルコキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1〜C20アルコキシ基;C1〜C20アルキルチオ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1〜C20アルキルチオ基;である。置換基を有しても良いアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、シアノエチルチオ基、ペンチルチオ基が好ましい。
上記式(4)においてX1とX2、X3とX4はそれぞれ互い結合して環構造を形成していても良い。環構造は5〜8員環、好ましくは5〜7員環である場合が好ましく、当該環に、さらに硫黄原子を有する場合が好ましい。
上記(C)分子内に硫黄を有する化合物としては、上記の他、直鎖状アルキルチオエーテル、分岐鎖状アルキルチオエーテル、環状アルキルチオエーテル化合物、アルキレンポリチオエーテル、アルキルアリールチオエーテル、アルキルアリーレンポリチオエーテル等の広範囲のチオエーテル化合物が挙げられる。該チオエーテル化合物のアルキル基、アリール基、アリーレン基は置換基があっても良く、置換基が無くても良い。該チオエーテル化合物の構造としては、上記式(16)又は式(17)で表されるアルキルチオエーテル化合物が好ましい態様の一つである。
上記式(16)におけるR16及びR18はそれぞれ独立して置換基を有しても良いアルキル基又は置換基を有しても良いアリール基を表す。アルキル基とは、C1〜C10の直鎖、分岐又は環状アルキル基を表し、好ましくはC1〜C5のアルキル基であり更に好ましくはメチル基又はエチル基である。アリール基とは、芳香族炭化水素から誘導された官能基を表し、好ましくは、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基である。また、上記式(16)及び式(17)におけるR17、R19、R20はそれぞれ独立して置換基を有しても良いアルキレン基又は置換基を有しても良いアリーレン基を表す。アリーレン基とは、C1〜C10の直鎖、分岐又は環状のアルキレン基を表し、好ましくはC1〜C5のアルキレン基であり、更に好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基である。アリーレン基とは、芳香族炭化水素から誘導される連結基を表し、好ましくは、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、キシリレン基である。
上記式(16)及び式(17)におけるR16〜R20は、置換基を有しても良い。この置換基の例としては、C1〜C10の直鎖状アルキル基、C1〜C10の分岐状アルキル基、C1〜C10の環状アルキル基、C1〜C10のアルコキシ基、C1〜C10のアルキルチオ基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシ基、オキソ基が挙げられる。
上記式(16)で表される化合物としては、例えば、メチルスルフィド、アミルスルフィド、4,7−ジチアデカン、3,6−ジチアデカン、1−(エチルスルファニル)−2−{[2−(エチルスルファニル)エチル]スルファニル}エタン、2,5,8,11−テトラチアドデカン、アリルメチルスルフィド、アミルメチルスルフィド、ベンジルメチルスルフィド、ビス(ベンゾイルメチル)スルフィド、ビス(メチルチオ)メタン、t−ブチルメチルスルフィド、ブチルメチルスルフィド、デシルメチルスルフィド、ドデシルメチルスルフィド、エチルメチルスルフィド、ヘプチルメチルスルフィド、イソプロピルメチルスルフィド、メチオノール、メチルチオエタノール、1,2−ビス(フェニルチオ)エタンを挙げることができる。
また、上記式(17)で表される化合物としては、例えば、ペンタメチレンスルフィド、テトラヒドロチオフェン、トリメチレンスルフィド、1,4,7−トリチアシクロノナン、1,4,8,11−テトラチアシクロテトラデカン、1,3−ジチアン、2−メチルテトラメチルチオフェン、4−オキソチアン、4,5−ジヒドロ−3(2H)−チオフェノン、2−メチル−3−テトラヒドロチオフェノン、テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−オール、2,5−ジヒドロ−1,4−ジチアン等が挙げられる。
上記(C)酸化防止剤としては、下記表7〜表9に記載する化合物を好適に用いることができる。ただし、本発明における(C)酸化防止剤はこれらに限定されるものではない。
本発明の光波長変換要素中における(A)有機光増感分子と(B)有機発光分子の含有割合は、物質量(mol)基準におけるA:Bで、0.1:99.9〜10:90が好ましく、0.5:99.5〜5:95がさらに好ましい。
また、本発明の光波長変換要素中における有機光増感分子(A)の含有量は、1.0×10−6〜1.0×10−3mol/Lが好ましく、1.0×10−5〜5.0×10−4mol/Lがさらに好ましく、3.0×10−5〜3.0×10−4mol/Lが特に好ましい。
本発明の光波長変換要素中における(B)有機光増感分子の含有量は、1.0×10−4〜1.0×10−1mol/Lが好ましく、1.0×10−3〜5.0×10−1mol/Lがさらに好ましく、3.0×10−3〜3.0×10−2mol/Lが特に好ましい。
また、本発明の光波長変換要素中における有機光増感分子(A)の含有量は、1.0×10−6〜1.0×10−3mol/Lが好ましく、1.0×10−5〜5.0×10−4mol/Lがさらに好ましく、3.0×10−5〜3.0×10−4mol/Lが特に好ましい。
本発明の光波長変換要素中における(B)有機光増感分子の含有量は、1.0×10−4〜1.0×10−1mol/Lが好ましく、1.0×10−3〜5.0×10−1mol/Lがさらに好ましく、3.0×10−3〜3.0×10−2mol/Lが特に好ましい。
本発明の光波長変換要素((A)有機光増感分子、(B)有機発光分子、(C)分子内に硫黄を有する化合物、さらに下記の(D)有機溶剤を含む全体を100体積%とする)は、(C)酸化防止剤が、0.01体積%以上95体積%以下を占める場合が好ましく、0.05体積%以上90体積%以下がさらに好ましい。
[(D)有機溶剤]
本発明の波長変換材料は、さらに(D)有機溶剤を含有してもよい。
有機溶剤としては、(A)有機光増感化合物、(B)有機発光化合物及び(C)酸化防止剤を溶解するものである場合が好ましいが、これらを分散して用いてもよい為、水溶性有機溶剤であっても非水溶性有機溶剤であっても良い。
水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1−C4アルコール;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン又は1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の複素環式ケトン;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール等のC2〜C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコール又はチオグリコール;トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(好ましくはトリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1〜C4モノアルキルエーテル;γ−ブチロラクトン;ジメチルスルホキシド;等が挙げられる。
本発明の波長変換材料は、さらに(D)有機溶剤を含有してもよい。
有機溶剤としては、(A)有機光増感化合物、(B)有機発光化合物及び(C)酸化防止剤を溶解するものである場合が好ましいが、これらを分散して用いてもよい為、水溶性有機溶剤であっても非水溶性有機溶剤であっても良い。
水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1−C4アルコール;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン又は1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の複素環式ケトン;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール等のC2〜C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコール又はチオグリコール;トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(好ましくはトリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1〜C4モノアルキルエーテル;γ−ブチロラクトン;ジメチルスルホキシド;等が挙げられる。
なお、上記の水溶性有機溶剤には、例えばトリメチロールプロパン等のように、常温で固体の物質も含まれている。しかし、該物質等は固体であっても水溶性を示し、さらに該物質等を含有する水溶液は水溶性有機溶剤と同様の性質を示し、同じ効果を期待して使用することができる。このため本明細書においては、便宜上、このような固体の物質であっても上記と同じ効果を期待して使用できる限り、水溶性有機溶剤の範疇に含むこととする。
非水溶性有機溶剤としては、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2,3−トリクロロプロパン、2−ヘプタノン、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、トリプロピオニン、トリブチリン、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。また、乳酸エチル、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3-メトキシブタノール、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール等が挙げられる。
上記成分(D)有機溶剤を含有する場合、(C)酸化防止剤と(D)有機溶剤の体積比率(体積%:体積%)が2:8〜9:1である場合が好ましく、3:7〜8:2である場合がさらに好ましく、4:6〜7.5:2.5が特に好ましい。
[(E)その他]
本発明の波長変換材料は、上記有機溶剤中に(A)〜(C)を溶解及び/又は分散させたものである他、ポリマー中に溶解及び/又は分散させたものであっても良い。これは、重合性化合物中に上記(A)〜(C)を溶解及び/又は分散させ、光及び/又は熱で重合させたものである。
本発明の波長変換材料は、上記有機溶剤中に(A)〜(C)を溶解及び/又は分散させたものである他、ポリマー中に溶解及び/又は分散させたものであっても良い。これは、重合性化合物中に上記(A)〜(C)を溶解及び/又は分散させ、光及び/又は熱で重合させたものである。
上記の重合性化合物としては、透明なポリマーを形成できる化合物である場合が好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ) アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。光重合性化合物は、単独または2種以上を混合して用いることができる。
上記の重合性化合物を重合する為には、光ラジカル重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤が用いられる。
光ラジカル重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、または2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、またはベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、または3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、または2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、または2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン−1−〔4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、またはO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。光重合開始剤は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
光ラジカル重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、または2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、またはベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、または3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、または2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、または2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン−1−〔4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、またはO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。光重合開始剤は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
上記の熱ラジカル重合開始剤は加熱によりラジカルを生じ、連鎖重合反応を開始させる化合物であれば特に限定されないが、有機過酸化物、アゾ化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾインエーテル化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾピナコール等が挙げられ、ベンゾピナコールが好適に用いられる。例えば、有機過酸化物としては、カヤメックRTMA、M、R、L、LH、SP-30C、パーカドックスCH−50L、BC−FF、カドックスB−40ES、パーカドックス14、トリゴノックスRTM22−70E、23−C70、121、121−50E、121−LS50E、21−LS50E、42、42LS、カヤエステルRTMP−70、TMPO−70、CND−C70、OO−50E、AN、カヤブチルRTMB、パーカドックス16、カヤカルボンRTMBIC−75、AIC−75(化薬アクゾ株式会社製)、パーメックRTMN、H、S、F、D、G、パーヘキサRTMH、HC、パTMH、C、V、22、MC、パーキュアーRTMAH、AL、HB、パーブチルRTMH、C、ND、L、パークミルRTMH、D、パーロイルRTMIB、IPP、パーオクタRTMND、(日油株式会社製)などが市販品として入手可能である。
また、アゾ化合物としては、VA−044、V−070、VPE−0201、VSP−1001(和光純薬工業株式会社製)等が市販品として入手可能である。上記熱ラジカル重合開始剤として特に好適なものは分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)又は窒素−窒素結合(−N=N−)を有さない熱ラジカル重合開始剤である。分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)や窒素−窒素結合(−N=N−)を有する熱ラジカル重合開始剤は、ラジカル発生時に多量の酸素や窒素を発するため、本発明の波長変換材料中に気泡を残した状態で重合し、特性を低下させる虞がある。ベンゾピナコール系の熱ラジカル重合開始剤(ベンゾピナコールを化学的に修飾したものを含む)が特に好適である。具体的には、ベンゾピナコール、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラ(4−メチルフェニル)エタン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラ(4−メトキシフェニル)エタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリエチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン等、が挙げられ、好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンであり、さらに好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン等であり、特に好ましくは1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンである。
本発明の波長変換材料は、更に増感剤を含有しても良い。上記増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体またはミヒラーケトン誘導体、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’または4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。増感剤は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
本発明の光波長変換要素は、その水分量が、1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることがさらに好ましく、0.001質量%以下であることが最も好ましい。これにより、より高い光波長変換効率を有する光波長変換要素を実現できる。
また、本発明の光波長変換要素は、その酸素濃度が、100質量ppm以下であることが好ましく、10質量ppm以下であることがより好ましく、1質量ppm以下であることがさらに好ましく、0.1質量ppm以下であることが最も好ましい。これにより、より高い光波長変換効率を有する光波長変換要素を実現できる。
本発明の光波長変換材料は、表示装置、光造形システム、太陽電池、光触媒、光触媒型水素・酸素発生装置、光アップコンバージョンフィルター等に用いることができる。
例えば、表示装置の場合、(I)上記(A)、(B)及び(C)を保持する領域、(II)上記保持領域を走査する光を発する光源を備えたものである。
[(I)上記(A)、(B)及び(C)を保持する領域]
この領域は液体であっても、固体であっても良い。
この領域が液体の場合、例えば水、アルコール、テトラヒドロフラン(以降はTHFと略記。)、その他の有機溶剤や樹脂等を媒体として用いる。この場合、媒体中に、上記(A)有機光増感分子、(B)有機発光分子及び(C)酸化防止剤を溶解および/または分散させて溶液または分散液を得る方法によって製造することができる。必要に応じて、超音波分散機、ビーズミル、ホモジナイザー、湿式ジェットミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、ロールミル、マイクロ波分散機等の公知の分散機を単独または組み合わせて使用し、有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を微粉砕、微分散して、溶液または分散液を得てもよい。
この領域が固体の場合、硬化性樹脂等を硬化させたものが好ましい。この場合には、硬化性樹脂中に上記(A)有機光増感分子、(B)有機発光分子及び(C)酸化防止剤を溶解させ、又は分散させ、その後熱又は光によって硬化性樹脂を硬化して製造される。硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂組成物、アクリル樹脂組成物、メタクリル樹脂組成物やそれらの混合物があげられる。
上記のうち、(I)としては、液体である場合が更に好ましい。
[(I)上記(A)、(B)及び(C)を保持する領域]
この領域は液体であっても、固体であっても良い。
この領域が液体の場合、例えば水、アルコール、テトラヒドロフラン(以降はTHFと略記。)、その他の有機溶剤や樹脂等を媒体として用いる。この場合、媒体中に、上記(A)有機光増感分子、(B)有機発光分子及び(C)酸化防止剤を溶解および/または分散させて溶液または分散液を得る方法によって製造することができる。必要に応じて、超音波分散機、ビーズミル、ホモジナイザー、湿式ジェットミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、ロールミル、マイクロ波分散機等の公知の分散機を単独または組み合わせて使用し、有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を微粉砕、微分散して、溶液または分散液を得てもよい。
この領域が固体の場合、硬化性樹脂等を硬化させたものが好ましい。この場合には、硬化性樹脂中に上記(A)有機光増感分子、(B)有機発光分子及び(C)酸化防止剤を溶解させ、又は分散させ、その後熱又は光によって硬化性樹脂を硬化して製造される。硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂組成物、アクリル樹脂組成物、メタクリル樹脂組成物やそれらの混合物があげられる。
上記のうち、(I)としては、液体である場合が更に好ましい。
[(II)上記保持領域を走査する光を発する光源]
本発明の映像装置は、(II)上記保持領域を走査する光を発する光源を備える。この光源としては、以下の2つの方式が可能である。なお、高い空間コヒーレンス性をもつことから、この光源としてはレーザーを使用するのが好ましい。
[1.1つの光源からの光で1つの点を発光させる方式]
光源から発した光を集光レンズで集光することによって、任意の空間にエネルギーを集中させることができる。この方式では1つの光源から発した光によって1つの点を発光させ、走査によって数万〜数千万の画素を形成することができる。
[2.2つの光源からの光で1つの点を発光させる方式]
2つの光源から発した2種類の光を1点で交差させることによって、任意の空間に発光点を形成することができる。
本発明において上記1.又は2の方式はいずれであっても良いが、1.1つの光源からの光で1つの点を発光させる方式である場合が好ましい。
本発明の映像装置をフルカラー立体映像装置として使用する為に、少なくとも3種類の光源を用いる方式が好ましい。
本発明の映像装置は、(II)上記保持領域を走査する光を発する光源を備える。この光源としては、以下の2つの方式が可能である。なお、高い空間コヒーレンス性をもつことから、この光源としてはレーザーを使用するのが好ましい。
[1.1つの光源からの光で1つの点を発光させる方式]
光源から発した光を集光レンズで集光することによって、任意の空間にエネルギーを集中させることができる。この方式では1つの光源から発した光によって1つの点を発光させ、走査によって数万〜数千万の画素を形成することができる。
[2.2つの光源からの光で1つの点を発光させる方式]
2つの光源から発した2種類の光を1点で交差させることによって、任意の空間に発光点を形成することができる。
本発明において上記1.又は2の方式はいずれであっても良いが、1.1つの光源からの光で1つの点を発光させる方式である場合が好ましい。
本発明の映像装置をフルカラー立体映像装置として使用する為に、少なくとも3種類の光源を用いる方式が好ましい。
本発明の、映像装置は、立体画像を簡便に得ることができる。特に左右の目に視差を考慮した別々の平面画像を提示する方式等に比べ自然な立体感を再現することができる。また、二光子吸収材料と光源を複数使用することにより、フルカラー化も可能である。従って、臨場感のある3Dテレビのみならず、医師の問診や遠方で暮らす家族の対話の場になりうるテレビ電話にも有用である。また、インターネットショッピング用等に用いられるモニターや立体構造体の設計に用いるモニター等パーソナルコンピューター用モニターとしても非常に有用である。また、スクリーンを必要としないプロジェクタとしても使用できる。
(実施例1)
有機光増感化合物としてPt(II)Octaethylporphine(以降はPtOEPと略記。:東京化成工業株式会社製)を0.727mgと、有機発光化合物として9,10-diphenylanthracene(以降はDPAと略記。:東京化成工業株式会社製)を33.0mgとを、酸化防止剤である下記式(9)で表される化合物(以降は化合物9と略記:BASF社製 IRGANOX1520L)の1mlとTHFの9mlからなる混合溶媒に溶解させ溶液Aとした。
また、化合物9の1mlとTHFの9mlからなる溶液を溶液Bとして用意した。溶液Bを厚み1mmの石英セルに入れ、絶対発光量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製、C9920-02G)中に置いた。次に直径2.0mmの532nmの固体レーザーからの光を2.0W/cm2の強度で溶液Bが満たされた厚み1.0mmの石英セルに照射し、その際に検出される放射スペクトルおよび強度を測定した。次に石英セルの中身を溶液Bから溶液Aに入れ替え、その石英セルを絶対発光量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製、C9920-02G)中に置いた。次に532nmの固体レーザーからの2mmの直径を有する光を1.0W/cm2の強度で石英セルに照射し、その際に検出される放射スペクトルと強度を測定した。溶液Bを用いた際に放射されるスペクトルおよび溶液Aを用いた際に放射されるスペクトルを用いて、532nm以上の波長域に放射されるアップコンバージョンの発光量子収率(Φ)を算出したところ3.2%であった。同様にして532nmのパワーをさまざまに変化させた際のΦを同様に測定した。532nmの光強度Iが小さい領域でΦのIに関する傾きが1.0となる接線と、Iが無限大に近づく際のΦの値の交点におけるパワーをアップコンバージョンの閾値(Ith)と定義すると、Ithの値は13mW/cm2であった。
有機光増感化合物としてPt(II)Octaethylporphine(以降はPtOEPと略記。:東京化成工業株式会社製)を0.727mgと、有機発光化合物として9,10-diphenylanthracene(以降はDPAと略記。:東京化成工業株式会社製)を33.0mgとを、酸化防止剤である下記式(9)で表される化合物(以降は化合物9と略記:BASF社製 IRGANOX1520L)の1mlとTHFの9mlからなる混合溶媒に溶解させ溶液Aとした。
(実施例2)
実施例1で化合物9の配合を3ml、THFの配合を7mlとする以外は実施例1と同様に実験を行いΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは4.8%、Ithは6.8mW/cm2であった。
実施例1で化合物9の配合を3ml、THFの配合を7mlとする以外は実施例1と同様に実験を行いΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは4.8%、Ithは6.8mW/cm2であった。
(実施例3)
実施例1で化合物9の配合を5ml、THFの配合を5mlとする以外は実施例1と同様に実験を行いΦとIthを測定した。を測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは5.8%、Ithは6.6mW/cm2であった。
実施例1で化合物9の配合を5ml、THFの配合を5mlとする以外は実施例1と同様に実験を行いΦとIthを測定した。を測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは5.8%、Ithは6.6mW/cm2であった。
(実施例4)
実施例1で化合物9の配合を7ml、THFの配合を3mlとする以外は実施例1と同様に実験を行いΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは7.1%、Ithは5.8mW/cm2であった。
実施例1で化合物9の配合を7ml、THFの配合を3mlとする以外は実施例1と同様に実験を行いΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは7.1%、Ithは5.8mW/cm2であった。
(実施例5)
実施例1で化合物9の配合を9ml、THFの配合を1mlとする以外は実施例1と同様に実験を行いΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは7.0%、Ithは6.0mW/cm2であった。
実施例1で化合物9の配合を9ml、THFの配合を1mlとする以外は実施例1と同様に実験を行いΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは7.0%、Ithは6.0mW/cm2であった。
(実施例6)
実施例1で、溶液Bが入った厚み1.0mmの石英セルを積分球に置いて、532nmの固体レーザーからの2.0mmの直径を有する光を1.0W/cm2の強度で溶液Bが満たされた石英セルに照射し、その際に検出される放射スペクトルおよび強度を測定した。次に、溶液Aをツンベルク管付の厚み1.0mmの石英セルに入れ、液体窒素と真空ポンプを用いて5回凍結脱気を繰り返すことで溶液Aから酸素を取り除いた。その後ツンベルク管付石英セルを絶対発光量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製、C9920-02G)中に置いた。次に532nmの固体レーザーからの2.0mmの直径を有する光を1.0W/cm2の強度で石英セルに照射し、その際に検出される放射スペクトルと強度を測定した。溶液Bの時の放射スペクトルおよび溶液Aを用いた際の放射スペクトルを用いて、Φを算出したところ3.5%であった。同様にして532nmのパワーをさまざまに変化させた際のΦを同様に測定した結果Ithの値は10mW/cm2であった。
実施例1で、溶液Bが入った厚み1.0mmの石英セルを積分球に置いて、532nmの固体レーザーからの2.0mmの直径を有する光を1.0W/cm2の強度で溶液Bが満たされた石英セルに照射し、その際に検出される放射スペクトルおよび強度を測定した。次に、溶液Aをツンベルク管付の厚み1.0mmの石英セルに入れ、液体窒素と真空ポンプを用いて5回凍結脱気を繰り返すことで溶液Aから酸素を取り除いた。その後ツンベルク管付石英セルを絶対発光量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製、C9920-02G)中に置いた。次に532nmの固体レーザーからの2.0mmの直径を有する光を1.0W/cm2の強度で石英セルに照射し、その際に検出される放射スペクトルと強度を測定した。溶液Bの時の放射スペクトルおよび溶液Aを用いた際の放射スペクトルを用いて、Φを算出したところ3.5%であった。同様にして532nmのパワーをさまざまに変化させた際のΦを同様に測定した結果Ithの値は10mW/cm2であった。
(実施例7)
実施例6で化合物9の配合を3ml、THFの配合を7mlとする以外は実施例6と同様に実験を行いΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは5.2%、Ithは6.5mW/cm2であった。
実施例6で化合物9の配合を3ml、THFの配合を7mlとする以外は実施例6と同様に実験を行いΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは5.2%、Ithは6.5mW/cm2であった。
(実施例8)
実施例6で化合物9の配合を5ml、THFの配合を5mlとする以外は実施例6と同様に実験を行いΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは6.7%、Ithは5.8mW/cm2であった。
実施例6で化合物9の配合を5ml、THFの配合を5mlとする以外は実施例6と同様に実験を行いΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは6.7%、Ithは5.8mW/cm2であった。
(比較例1)
実施例1で化合物9の配合を0ml、THFの配合を10mlとする以外は実施例1と同様に実験を行いΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは3.4%、Ithは1000mW/cm2であった。
実施例1で化合物9の配合を0ml、THFの配合を10mlとする以外は実施例1と同様に実験を行いΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは3.4%、Ithは1000mW/cm2であった。
(比較例2)
実施例6で化合物9の配合を0ml、THFの配合を10mlとする以外は実施例6と同様に実験を行いΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは6.7%、Ithは32mW/cm2であった。
実施例6で化合物9の配合を0ml、THFの配合を10mlとする以外は実施例6と同様に実験を行いΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは6.7%、Ithは32mW/cm2であった。
ここで実施例1〜実施例5と比較例1とを比較した場合、酸化防止剤である上記式(9)で表される化合物を添加することで、大気中でもΦの向上とIthの大幅な低下が理解されよう。
また、実施例1〜実施例5と比較例2とを比較した場合、酸化防止剤である上記式(9)で表される化合物を添加することで、従来の溶媒の脱酸素処理をした場合よりも大幅なIthの低下が確認されよう。ここで、比較例2の材料の条件は非特許文献1のものに相当する。非特許文献1では0.4mW/cm2のIthと1.0W/cm2の532nmの光照射時に26%以上のΦが得られている。今回の測定系では、Ithが32mW/cm2および1.0W/cm2の532nmの光照射時のΦの値は6.7%であるが、酸化防止剤である化合物1を添加することでその材料に対しても大幅なIthの低下が確認されよう。
また、実施例1と実施例6、実施例2と実施例7、実施例3と実施例8とを比較した場合、大気下でも脱酸素条件下と同等の性能が得られることが理解できる。一般的に比較例1と比較例2の比較のように、脱酸素条件下での性能は大気下の条件よりもΦの増加とIthの低下が観測されるが、酸化防止剤である化合物1を添加することで大気中でも脱酸素下と同等の性能が得られることが理解されよう。
(実施例9)
大気中において、トルエン1mLに、Pd(II)Octaethylporphine(PdOEP:東京化成工業株式会社製)の粉末0.0639mgを溶解させ、PdOEPのストック溶液(1×10−4M)を作製した。このPdOEPのストック溶液を、ガラスバイアルに3.48mLはかりとった。続いて、このガラスバイアルに、DPAの粉末4.95mgを加えた。さらに、この溶液に対して、テトラチアフルバレン(以降はTTFと略記。:東京化成工業株式会社製)の粉末3.47mgを加え、実施例9として、橙色液体を得た。
大気中において、トルエン1mLに、Pd(II)Octaethylporphine(PdOEP:東京化成工業株式会社製)の粉末0.0639mgを溶解させ、PdOEPのストック溶液(1×10−4M)を作製した。このPdOEPのストック溶液を、ガラスバイアルに3.48mLはかりとった。続いて、このガラスバイアルに、DPAの粉末4.95mgを加えた。さらに、この溶液に対して、テトラチアフルバレン(以降はTTFと略記。:東京化成工業株式会社製)の粉末3.47mgを加え、実施例9として、橙色液体を得た。
(比較例3)
TTFの添加をしないこと以外は、上記実施例9と同様にして、比較例3の淡紅色液体を得た。
TTFの添加をしないこと以外は、上記実施例9と同様にして、比較例3の淡紅色液体を得た。
上記実施例9及び比較例3に対し、緑色レーザー光(波長532nm 強度約20mW)を照射したところ、比較例3では緑色の散乱光が見られるのみで、アップコンバージョンは確認されなかった。一方、実施例9の場合は、アップコンバージョンが確認され、波長約410nm〜460nmの青色発光が確認された。
この実施例9及び比較例3の比較から、アップコンバージョンの起こらない条件においても、酸化防止剤を添加することで、アップコンバージョンを起こさせることが可能であることが確認されよう。
この実施例9及び比較例3の比較から、アップコンバージョンの起こらない条件においても、酸化防止剤を添加することで、アップコンバージョンを起こさせることが可能であることが確認されよう。
(実施例10)
有機光増感化合物としてPd(II)Tetraphenyl−tetrabenzoporphyrin(PdPh4TBP:フロンティアサイエンティフィック社製)を0.919mgと、有機発光化合物としてPerylene(東京化成株式会社製)を25.2mgとを、化合物9を5mlとTHF5mlからなる混合溶媒に溶解させ溶液Cとした。
また、化合物9を5mlとTHF5mlを混合した溶液を溶液Dとして用意した。溶液Bを厚み1mmの石英セルに入れ、絶対発光量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製、C9920-02G)中に置いた。次に直径2.0mmの638nmの固体レーザーからの光を1.0W/cm2の強度で溶液Bが満たされた厚み1mmの石英セルに照射し、その際に検出される放射スペクトル及び強度を測定した。次に石英セルの中身を溶液Dから溶液Cに入れ替え、その石英セルを絶対発光量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製、C9920-02G)中に置いた。次に638nmの固体レーザーからの2mmの直径を有する光を1.0W/cm2の強度で石英セルに照射し、その際に検出される放射スペクトルと強度を測定した。溶液Bを用いた際に放射されるスペクトル及び溶液Aを用いた際に放射されるスペクトルを用いて、638nm以下の波長域に放射されるアップコンバージョンの発光量子収率(Φ)を算出したところ3.1%であった。同様にして638nmのパワーをさまざまに変化させた際のΦを同様に測定した。638nmの光強度Iが小さい領域でΦのIに関する傾きが1.0となる接線と、Iが無限大に近づく際のΦの値の交点におけるパワーをアップコンバージョンの閾値(Ith)と定義すると、Ithの値は23mW/cm2であった。
有機光増感化合物としてPd(II)Tetraphenyl−tetrabenzoporphyrin(PdPh4TBP:フロンティアサイエンティフィック社製)を0.919mgと、有機発光化合物としてPerylene(東京化成株式会社製)を25.2mgとを、化合物9を5mlとTHF5mlからなる混合溶媒に溶解させ溶液Cとした。
また、化合物9を5mlとTHF5mlを混合した溶液を溶液Dとして用意した。溶液Bを厚み1mmの石英セルに入れ、絶対発光量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製、C9920-02G)中に置いた。次に直径2.0mmの638nmの固体レーザーからの光を1.0W/cm2の強度で溶液Bが満たされた厚み1mmの石英セルに照射し、その際に検出される放射スペクトル及び強度を測定した。次に石英セルの中身を溶液Dから溶液Cに入れ替え、その石英セルを絶対発光量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製、C9920-02G)中に置いた。次に638nmの固体レーザーからの2mmの直径を有する光を1.0W/cm2の強度で石英セルに照射し、その際に検出される放射スペクトルと強度を測定した。溶液Bを用いた際に放射されるスペクトル及び溶液Aを用いた際に放射されるスペクトルを用いて、638nm以下の波長域に放射されるアップコンバージョンの発光量子収率(Φ)を算出したところ3.1%であった。同様にして638nmのパワーをさまざまに変化させた際のΦを同様に測定した。638nmの光強度Iが小さい領域でΦのIに関する傾きが1.0となる接線と、Iが無限大に近づく際のΦの値の交点におけるパワーをアップコンバージョンの閾値(Ith)と定義すると、Ithの値は23mW/cm2であった。
(実施例11)
実施例10において、有機光増感化合物として[6,6]―Phenyl−C61−butyricacid methyl ester(PCBM(60):アメリカンダイソース社製)0.910mgと、有機発光化合物としてRubrene(東京化成株式会社製)53.2mgとを、化合物9を5mLとTHF5mlからなる混合溶媒に溶解させたものを溶液Cの代わりに用い、化合物9を5mlとTHF5mlを混合したものを溶液Bの代わりに用いた以外は、実施例10と同様に実験を行い、ΦとIthを測定した。1.0W/cm2の638nmの光強度の時のΦは0.094%であった。
実施例10において、有機光増感化合物として[6,6]―Phenyl−C61−butyricacid methyl ester(PCBM(60):アメリカンダイソース社製)0.910mgと、有機発光化合物としてRubrene(東京化成株式会社製)53.2mgとを、化合物9を5mLとTHF5mlからなる混合溶媒に溶解させたものを溶液Cの代わりに用い、化合物9を5mlとTHF5mlを混合したものを溶液Bの代わりに用いた以外は、実施例10と同様に実験を行い、ΦとIthを測定した。1.0W/cm2の638nmの光強度の時のΦは0.094%であった。
(実施例12)
実施例10において、有機光増感化合物として[6,6]―Phenyl−C71−butyricacid methyl ester(PCBM(70):アメリカンダイソース社製)1.03mgと、有機発光化合物としてRubrene(東京化成株式会社製)53.2mgとを、化合物9を5mLとTHF5mlからなる混合溶媒に溶解させたものを溶液Cの代わりに用い、化合物9を5mlとTHF5mlを混合したものを溶液Dの代わりに用いた以外は、実施例1と同様に実験を行い、ΦとIthを測定した。1.0W/cm2の638nmの光強度の時のΦは0.032%であった。
実施例10において、有機光増感化合物として[6,6]―Phenyl−C71−butyricacid methyl ester(PCBM(70):アメリカンダイソース社製)1.03mgと、有機発光化合物としてRubrene(東京化成株式会社製)53.2mgとを、化合物9を5mLとTHF5mlからなる混合溶媒に溶解させたものを溶液Cの代わりに用い、化合物9を5mlとTHF5mlを混合したものを溶液Dの代わりに用いた以外は、実施例1と同様に実験を行い、ΦとIthを測定した。1.0W/cm2の638nmの光強度の時のΦは0.032%であった。
(実施例13)
実施例10において、有機光増感化合物としてPtOEPを0.727mgと、有機発光化合物としてDPAを33.0mgとを、分子内に硫黄を有する化合物であるアミルスルフィド(以降、化合物10と略記:アルドリッチ社製)9mLとTHF1mlからなる混合溶媒に溶解させたものを溶液Cの代わりに用い、化合物10を9mlとTHF1mlを混合したものを溶液Dの代わりに用い、638nmのレーザーの代わりに532nmのレーザーを用いた以外は、実施例10と同様に実験を行い、ΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは4.5%、Ithは64mW/cm2であった。
実施例10において、有機光増感化合物としてPtOEPを0.727mgと、有機発光化合物としてDPAを33.0mgとを、分子内に硫黄を有する化合物であるアミルスルフィド(以降、化合物10と略記:アルドリッチ社製)9mLとTHF1mlからなる混合溶媒に溶解させたものを溶液Cの代わりに用い、化合物10を9mlとTHF1mlを混合したものを溶液Dの代わりに用い、638nmのレーザーの代わりに532nmのレーザーを用いた以外は、実施例10と同様に実験を行い、ΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは4.5%、Ithは64mW/cm2であった。
(実施例14)
実施例10において、有機光増感化合物としてPtOEP0.727mgと、有機発光化合物としてDPA33.0mgとを、分子内に硫黄を有する化合物である4,7−ジチアデカン(以降、化合物11と略記:アルドリッチ社製)9mLとTHF1mlからなる混合溶媒に溶解させたものを溶液Cの代わりに用い、化合物11を9mlとTHF1mlを混合したものを溶液Dの代わりに用い、638nmのレーザーの代わりに532nmのレーザーを用いた以外は、実施例10と同様に実験を行い、ΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは4.8%、Ithは30mW/cm2であった。
実施例10において、有機光増感化合物としてPtOEP0.727mgと、有機発光化合物としてDPA33.0mgとを、分子内に硫黄を有する化合物である4,7−ジチアデカン(以降、化合物11と略記:アルドリッチ社製)9mLとTHF1mlからなる混合溶媒に溶解させたものを溶液Cの代わりに用い、化合物11を9mlとTHF1mlを混合したものを溶液Dの代わりに用い、638nmのレーザーの代わりに532nmのレーザーを用いた以外は、実施例10と同様に実験を行い、ΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは4.8%、Ithは30mW/cm2であった。
(実施例15)
実施例10において、有機光増感化合物としてPtOEPを0.727mgと、有機発光化合物としてDPAを33.0mgとを、分子内に硫黄を有する化合物である3,6−ジチアデカン(以降、化合物12と略記:アルドリッチ社製)9mLとTHF1mlからなる混合溶媒に溶解させたものを溶液Cの代わりに用い、化合物12を9mlとTHF1mlを混合したものを溶液Dの代わりに用い、638nmのレーザーの代わりに532nmのレーザーを用いた以外は、実施例10と同様に実験を行い、ΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは4.4%、Ithは170mW/cm2であった。
実施例10において、有機光増感化合物としてPtOEPを0.727mgと、有機発光化合物としてDPAを33.0mgとを、分子内に硫黄を有する化合物である3,6−ジチアデカン(以降、化合物12と略記:アルドリッチ社製)9mLとTHF1mlからなる混合溶媒に溶解させたものを溶液Cの代わりに用い、化合物12を9mlとTHF1mlを混合したものを溶液Dの代わりに用い、638nmのレーザーの代わりに532nmのレーザーを用いた以外は、実施例10と同様に実験を行い、ΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは4.4%、Ithは170mW/cm2であった。
(実施例16)
実施例10において、有機光増感化合物としてPtOEPを0.727mgとDPAを33.0mgとを、分子内に硫黄を有する化合物である1−(エチルスルファニル)−2−{[2−(エチルスルファニル)エチル]スルファニル}エタン(以降、化合物13と略記:UkrOrgSyntez社製)9mLとTHF1mlからなる混合溶媒に溶解させたものを溶液Cの代わりに用い、化合物13を9mlとTHF1mlを混合したものを溶液Dの代わりに用い、638nmのレーザーの代わりに532nmのレーザーを用いた以外は、実施例10と同様に実験を行い、ΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは4.3%、Ithは30mW/cm2であった。
実施例10において、有機光増感化合物としてPtOEPを0.727mgとDPAを33.0mgとを、分子内に硫黄を有する化合物である1−(エチルスルファニル)−2−{[2−(エチルスルファニル)エチル]スルファニル}エタン(以降、化合物13と略記:UkrOrgSyntez社製)9mLとTHF1mlからなる混合溶媒に溶解させたものを溶液Cの代わりに用い、化合物13を9mlとTHF1mlを混合したものを溶液Dの代わりに用い、638nmのレーザーの代わりに532nmのレーザーを用いた以外は、実施例10と同様に実験を行い、ΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは4.3%、Ithは30mW/cm2であった。
(実施例17)
実施例10において、有機光増感化合物としてPtOEPを0.727mgと、有機発光化合物としてDPAを33.0mgとを、分子内に硫黄を有する化合物である2,5,8,11−テトラチアドデカン(以降、化合物14と略記:UkrOrgSyntez社製)1mLとTHF9mlからなる混合溶媒に溶解させたものを溶液Cの代わりに用い、化合物14を1mlとTHF9mlを混合したものを溶液Dの代わりに用い、638nmのレーザーの代わりに532nmのレーザーを用いた以外は、実施例10と同様に実験を行い、ΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは7.7%、Ithは58mW/cm2であった。
実施例10において、有機光増感化合物としてPtOEPを0.727mgと、有機発光化合物としてDPAを33.0mgとを、分子内に硫黄を有する化合物である2,5,8,11−テトラチアドデカン(以降、化合物14と略記:UkrOrgSyntez社製)1mLとTHF9mlからなる混合溶媒に溶解させたものを溶液Cの代わりに用い、化合物14を1mlとTHF9mlを混合したものを溶液Dの代わりに用い、638nmのレーザーの代わりに532nmのレーザーを用いた以外は、実施例10と同様に実験を行い、ΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは7.7%、Ithは58mW/cm2であった。
(比較例2)
実施例10において、有機光増感化合物としてPtOEPを0.727mgと、有機発光化合物としてDPAを33.0mgとを、Diethylene Glycol Diethyl Ether(以降、化合物15と略記:東京化成株式会社製)9mLとTHF1mlからなる混合溶媒に溶解させたものを溶液Cの代わりに用い、化合物15を9mlとTHF1mlを混合したものを溶液Dの代わりに用い、638nmのレーザーの代わりに532nmのレーザーを用いた以外は、実施例10と同様に実験を行い、ΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは3.4%、Ithは2000mW/cm2であった。
実施例10において、有機光増感化合物としてPtOEPを0.727mgと、有機発光化合物としてDPAを33.0mgとを、Diethylene Glycol Diethyl Ether(以降、化合物15と略記:東京化成株式会社製)9mLとTHF1mlからなる混合溶媒に溶解させたものを溶液Cの代わりに用い、化合物15を9mlとTHF1mlを混合したものを溶液Dの代わりに用い、638nmのレーザーの代わりに532nmのレーザーを用いた以外は、実施例10と同様に実験を行い、ΦとIthを測定した。1.0W/cm2の532nmの光強度の時のΦは3.4%、Ithは2000mW/cm2であった。
ここで、実施例10〜実施例12に見られるように、実施例1と異なる有機光増感化合物や有機発光化合物、レーザー光を用いても、分子内に硫黄を有する化合物を添加することにより、アップコンバージョン発光特性を確認できる。
また、また実施例13〜実施例17と比較例1を比較した場合、分子内に硫黄を有する化合物である化合物10〜化合物14を添加することで、大気中でもΦの向上とIthの大幅な低下が理解されよう。
本発明の波長変換材料は、非常に高いアップコンバージョン量子収率を示す。従って、従来は困難とされていた弱いエネルギーの光でも励起が可能であり、十分な発光を得ることができる。
また、上記波長変換材料を用いた映像装置、特に立体映像装置は見る方向に制限が無い為、多人数が同時に、様々な角度から見ることができる立体映像装置が提供される。これによって、3Dプリンターを始めとする立体造形技術等の更なる発展に寄与するものと考えられる。
また、上記波長変換材料を用いた映像装置、特に立体映像装置は見る方向に制限が無い為、多人数が同時に、様々な角度から見ることができる立体映像装置が提供される。これによって、3Dプリンターを始めとする立体造形技術等の更なる発展に寄与するものと考えられる。
Claims (17)
- (A)有機光増感化合物、(B)有機発光化合物及び(C)酸化防止剤を含有する波長変換材料。
- 前記(C)酸化防止剤が、分子内に硫黄又は窒素を有する化合物である請求項1に記載の波長変換材料。
- 前記(C)酸化防止剤が、分子内に少なくとも一つの環構造を有する化合物である請求項1又は2に記載の波長変換材料。
- 前記(C)酸化防止剤が、下記式(1)又は下記式(2)で表される骨格を有する化合物である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の波長変換材料。
- 前記(C)酸化防止剤が、下記式(3)で表される化合物及び/又は下記式(4)で表される化合物である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の波長変換材料。
- 前記(C)酸化防止剤が、下記式(16)で表されるアルキルチオエーテル化合物及び/又は下記式(17)で表されるアルキルチオエーテル化合物である請求項1に記載の波長変換材料。
- 前記(C)酸化防止剤が、0.01体積%以上95体積%以下を占める請求項1乃至6のいずれか一項に記載の波長変換材料。
- 前記(A)有機光増感化合物が、500〜800nmに吸収極大波長を有する化合物である請求項1乃至7のいずれか一項に記載の波長変換材料。
- 前記(A)有機光増感化合物が、ポルフィリン化合物である請求項1乃至8のいずれか一項に記載の波長変換材料。
- 前記(B)有機発光化合物が、分子内にベンゼン環を3以上有する化合物である請求項1乃至9のいずれか一項に記載の波長変換材料。
- 前記(B)有機発光化合物が、アントラセン化合物である請求項1乃至10のいずれか一項に記載の波長変換材料。
- 更に、(D)有機溶剤を含有する請求項1乃至11のいずれか一項に記載の波長変換材料。
- 前記(C)酸化防止剤と(D)有機溶剤の体積比率(体積%:体積%)が2:8〜1:9である請求項12に記載の波長変換材料。
- 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の波長変換材料を有する太陽電池。
- 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の波長変換材料を有する光造形システム。
- 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の波長変換材料を有する表示装置。
- 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の波長変換材料を有する立体映像表示装置。
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