JP2018194684A - 光アップコンバージョンフィルムおよび光アップコンバージョンフィルムを用いた物品 - Google Patents

光アップコンバージョンフィルムおよび光アップコンバージョンフィルムを用いた物品 Download PDF

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聡 前田
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Kazuki NIIMI
一樹 新見
陵太郎 森田
Ryotaro Morita
陵太郎 森田
清柳 典子
Noriko Kiyoyanagi
典子 清柳
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Abstract

【課題】柔軟かつ軽量であり、ハンドリング性の向上した光アップコンバージョンフィルムを提供する【解決手段】光アップコンバージョンフィルムは、第一の基体1、第二の基体2、並びに前記第一および第二の基体1,2の間隙に挟持され、封止された光波長変換要素3を有し、前記第一および第二の基体1,2の少なくとも一方は樹脂製の基体であり、前記光波長変換要素3は、三重項−三重項消滅過程を示す組み合わせである有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、光波長変換要素を含む光アップコンバージョンフィルムおよび光アップコンバージョンフィルムを用いた物品に関する。
地球温暖化対策、クリーンエネルギー等の代替エネルギーヘの強いニーズがある中、太陽光を高効率に二次エネルギー(電力、水素等)に変換する技術開発が急務となっている。また、高い光−二次エネルギー変換効率(光から二次エネルギーへの変換効率)を有する太陽電池、水素発生光触媒等の光−二次エネルギー変換要素(光を二次エネルギーへ変換する要素)への期待が高まっている。一般的な太陽電池や水素発生光触媒等の光−二次エネルギー変換要素は、太陽光に含まれる広範な波長範囲の光のうち、その光−二次エネルギー変換要素に固有の、ある閾値波長より短い波長成分のみを変換に利用して、閾値波長より長波長の成分は未利用となっている。そのため、太陽光に含まれる広範な波長範囲の光を有効に利用する技術の一つとして、光アップコンバージョン(すなわち、長い波長の光を吸収して、より短い波長の光を発光することにより光の波長を変換すること)が検討されている。
光アップコンバージョンの手段として、希土類元素の多光子吸収を用いた光アップコンバージョンの研究は、50年以上の歴史を有している。しかし、希土類元素の多光子吸収では一般的に非常に高い入射光強度が必要であり、太陽光等の弱い光を変換の対象とすることは困難であった。近年、光吸収および発光により光アップコンバージョンを行える有機分子について発表されている。
本発明者らは、三重項−三重項消滅(以下、TTAともいう。)過程を用いる光アップコンバージョンにおいて、有機光増感分子および有機発光分子をイオン液体中に溶解および/または分散させてなる光波長変換要素を提案している(特許文献1)。
また、本発明者らは、光波長変換要素を含む物品として、太陽電池、光触媒、光触媒型・酸素発生装置、および光アップコンバージョンフィルムを提案している(特許文献1、特許文献2および特許文献3)。
国際公開第2012/050137号 国際公開第2015/087690号 国際公開第2015/115556号
特許文献2および特許文献3には、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス等からなる2枚のガラス板を重ね合せてそれらの周縁部を融着接合した構成のセル中に、光波長変換要素が封入された光アップコンバージョンフィルターが開示されている。石英ガラス、ホウケイ酸ガラス等の剛直な基材を2枚組み合わせた光アップコンバージョンフィルターは、重く、変形できず、割れやすく、割れることによって波長変換要素の成分が流出してしまう問題もあり、使用用途が限られる。TTA過程を用いる光アップコンバージョンの分野において、ガラス板を重ね合せた構成以外のフィルターは報告されていない。
本発明は、このような既存発明における応用実現に向けた主要な障害の解決を目指してなされたものであり、その目的は、柔軟かつ軽量であり、ハンドリング性の向上した、従来にはない光アップコンバージョンフィルム及び光アップコンバージョンフィルムを用いた物品を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、第一の基体、第二の基体、並びに前記第一および第二の基体の間隙に挟持され、封止された光波長変換要素を有し、前記第一および第二の基体の少なくとも一方は樹脂製の基体であり、前記光波長変換要素は、三重項−三重項消滅過程を示す組み合わせである有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を含む、光アップコンバージョンフィルムが上記課題を解決するものであることを見出し本発明に至ったものである。
すなわち本発明は、下記の1)〜13)に関するものである。
1)第一の基体、第二の基体、並びに前記第一および第二の基体の間隙に挟持され、封止された光波長変換要素を有し、
前記第一および第二の基体の少なくとも一方は樹脂製の基体であり、
前記光波長変換要素は、三重項−三重項消滅過程を示す組み合わせである有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を含む、光アップコンバージョンフィルム。
2)前記第一および第二の基体の少なくとも一方は、前記光波長変換要素と接触する面の反対側の面にガスバリアフィルムを有する、1)に記載の光アップコンバージョンフィルム。
3)前記第一および第二の基体の少なくとも一方はガスバリア性を備える、1)または2)に記載の光アップコンバージョンフィルム。
4)前記第一および第二の基体は可撓性を備える基体である、1)〜3)のいずれか一項に記載の光アップコンバージョンフィルム。
5)前記第一および第二の基体の前記光波長変換要素と接触する面の周辺部に設けられたスペーサーを有する、1)〜4)のいずれか一項に記載の光アップコンバージョンフィルム。
6)前記第一および第二の基体の間隙に挟持され、封止されたメッシュ状の基体を有する、1)〜5)のいずれか一項に記載の光アップコンバージョンフィルム。
7)前記光波長変換要素はイオン液体(C1)を含む、1)〜6)のいずれか一項に記載の光アップコンバージョンフィルム。
8)前記光波長変換要素は深共晶溶媒(C2)を含む、1)〜6)のいずれか一項に記載の光アップコンバージョンフィルム。
9)前記光波長変換要素は酸化防止剤(D)を含む、1)〜8)のいずれか一項に記載の光アップコンバージョンフィルム。
10)前記光波長変換要素はゲル化剤(E)を含む、1)〜9)のいずれか一項に記載の光アップコンバージョンフィルム。
11)1)〜10)のいずれか一項に記載の光アップコンバージョンフィルムを用いた太陽電池。
12)1)〜10)のいずれか一項に記載の光アップコンバージョンフィルムを用いた光触媒。
13)1)〜10)のいずれか一項に記載の光アップコンバージョンフィルムを用いた光触媒型水素・酸素発生装置。
本発明によれば、柔軟かつ軽量であり、ハンドリング性の向上した、従来にはない光アップコンバージョンフィルムおよび光アップコンバージョンフィルムを用いた物品を提供することができる。
本発明の実施形態の一例に係る光アップコンバージョンフィルムの構造を説明する断面模式図である。 本発明の実施形態の一例に係る光アップコンバージョンフィルムの構造を説明する断面模式図である。 本発明の実施形態の一例に係る光アップコンバージョンフィルムの構造を説明する断面模式図である。 本発明の実施形態の一例に係る光アップコンバージョンフィルムの構造を説明する断面模式図である。 本発明の実施形態の一例に係る光アップコンバージョンフィルムの構造を説明する斜視図である。 本発明の実施形態の一例に係る光アップコンバージョンフィルムの構造を説明する断面斜視図である。 本発明の実施形態の一例に係る光アップコンバージョンフィルムの構造を説明する断面模式図である。 本発明の実施形態の一例に係る太陽電池を示す断面模式図である。 本発明の実施形態の一例に係る光触媒を示す断面模式図である。 実施例1〜4の光アップコンバージョンフィルムの光吸収スペクトルを表す図である。 実施例5および6の光アップコンバージョンフィルムの光吸収スペクトルを表す図である。 実施例1の光アップコンバージョンフィルムの光アップコンバージョンの様子を表す写真である。 実施例2の光アップコンバージョンフィルムの光アップコンバージョンの様子を表す写真である。 実施例3の光アップコンバージョンフィルムの光アップコンバージョンの様子を表す写真である。 実施例4の光アップコンバージョンフィルムの光アップコンバージョンの様子を表す写真である。 実施例5の光アップコンバージョンフィルムの光アップコンバージョンの様子を表す写真である。 実施例6の光アップコンバージョンフィルムの光アップコンバージョンの様子を表す写真である。 参考例1の光アップコンバージョンフィルムの光アップコンバージョンの様子を表す写真である。 図18の写真が示す光アップコンバージョンの様子を模式的に示す図である。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の一つの実施形態に係る光アップコンバージョンフィルムは、第一の基体、第二の基体、並びに前記第一および第二の基体の間隙に挟持され、封止された光波長変換要素を有し、前記第一および第二の基体の少なくとも一方は樹脂製の基体であり、前記光波長変換要素は、三重項−三重項消滅過程を示す組み合わせである有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を含む。
(第一および第二の基体)
第一および第二の基体の少なくとも一方は、樹脂製の基体である。一方の樹脂製の基体は特に限定されないが、例えばフィルム、シートが挙げられ、光波長変換要素を封止することができる限り、基体の形状、厚み、大きさは特に限定されることはない。形状としては、例えばフィルム状、シート状、凹型の窪み部分を備える形状など、様々な態様を取り得る。他方の基体は、光波長変換要素を封止することができる限り、基体の形状、厚み、大きさ、材質は特に限定されることはない。形状としては、例えばフィルム状、シート状、凹型の窪み部分を備える形状など、様々な態様を取り得る。材質としては、樹脂製、金属製等のものを使用することができる。
第一および第二の基体の厚みとしては、例えば0.01mm〜10mmとすることができる。第一および第二の基体の大きさとしては、第一の基体および第二の基体が同じ大きさである必要はない。第一および第二の基体の少なくとも一方は、光波長変換要素が吸収する光および発光する光に対して透過性を有しているものを用いる。第一および第二の基体は、可撓性を有する基体であると好ましい。この場合、光アップコンバージョンフィルムはさらに割れにくく、また変形しやすくなり、ハンドリング性がより向上する。また、第一および第二の基体のうちの一方は、光反射性を備える基体であってもよい。第一および第二の基体のうちの一方が光反射性を備える基体からなる場合、入射光を光アップコンバージョンした光を入射側と同じ側の向きに反射光として取り出し、利用することができる。
第一および第二の基体は、単層構造であっても、多層構造であってもよい。第一および第二の基体のうち少なくとも一つが多層構造である場合、多層中の露出している層のうちの少なくとも一つを接着層とすることで、接着性の材料(例えば後述するスペーサー)を別途使用することなく、第一および第二の基体により、光波長変換要素を封止することができる。この接着層としては、例えば、熱可塑性の樹脂や熱硬化性の樹脂や光硬化性の樹脂などを用いることができる。
第一および第二の基体の少なくとも一方は、ガスバリア性を備えていてもよい。本明細書においてガスバリア性を備えるとは、酸素透過率が0.5cc/m・day以下、好ましくは0.1cc/m・day以下、より好ましくは10−3cc/m・day以下、さらに好ましくは10−5cc/m・day以下、特に好ましくは10−6cc/m・day以下であり、水分子透過率が0.5g/m・day以下、好ましくは0.3g/m・day以下、より好ましくは10−3g/m・day以下、さらに好ましくは10−5g/m・day以下、特に好ましくは10−6g/m・day以下であることを指す。この構成によれば、光アップコンバージョンを妨げる気体分子(特に酸素分子)が、第一および第二の基体の間隙に挟持され、封止された光波長変換要素内に侵入することを防ぐことができ、従って実用上著しい問題となる程度の性能低下や劣化を伴うことなく、長期間安定して光アップコンバージョンフィルムを使用することができる。
上記ガスバリア性を備える基体としては市販されているものを使用してもよいし、例えばガスバリア性を備えていない基体の少なくとも一方の面に、直接酸化アルミ、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等の無機物を蒸着することでコーティングした基体、コロナ処理等により表面を改質した基体、その両方の処理を施した基体等を使用してもよい。
第一および第二の基体の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン等の単重合体または共重合体等のポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリビニル酢酸系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラート樹脂、ポリアリレート樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、三フッ化塩化エチレン共重合体、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル等のフッ素系樹脂等からなるフィルムまたはシート、これら樹脂を組み合わせて作成した多層フィルムまたはシートが挙げられる。
上記に挙げた樹脂以外にも、ラジカル反応性不飽和結合基を有するアクリレート化合物よりなる樹脂組成物や、上記アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物よりなる樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のオリゴマーを多官能性アクリレートモノマーに溶解させた樹脂組成物等の光硬化性樹脂およびこれらの混合物等を用いることもできる。
第一および第二の基体のうちの一方が、反射性を備える基体からなる場合、その具体例としては、アルミニウム等の金属からなる基体が挙げられる。また、上述の樹脂からなる基体の少なくとも一方の面をAg、Al、Ti、Cr、Mo、W、Ni、Cu等の金属又は有機物を単独または組み合わせて蒸着した基体を使用する、あるいは樹脂や金属酸化物等を用いた屈折率の異なる層を積層した基体を使用することで、アップコンバージョンされた光を反射させて取り出すこともできる。
(ガスバリアフィルム)
本実施形態に係る光アップコンバージョンフィルムは、第一および第二の基体の少なくとも一方の、光波長変換要素と接触する面の反対側にガスバリアフィルムを有してもよい。本明細書においてガスバリアフィルムとは、酸素透過率が0.5cc/m・day以下、好ましくは0.1cc/m・day以下、より好ましくは10−3cc/m・day以下、さらに好ましくは10−5cc/m・day以下、特に好ましくは10−6cc/m・day以下であり、水分子透過率が0.5g/m・day以下、好ましくは0.3g/m・day以下、より好ましくは10−3g/m・day以下、さらに好ましくは10−5g/m・day以下、特に好ましくは10−6g/m・day以下であるフィルムを指す。この構成によれば、光アップコンバージョンを妨げる気体分子がフィルムに侵入することを防ぐことができ、長期間安定して光アップコンバージョンフィルムを使用することができる。
ここで、本願におけるガスバリアフィルムは、エチレン、プロピレン、ブテン等の単重合体または共重合体等のポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリビニル酢酸系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラート樹脂、ポリアリレート樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、三フッ化塩化エチレン共重合体、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル等のフッ素系樹脂等からなるフィルム、これら樹脂を組み合わせて作成した多層フィルムの片面を酸化アルミ、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等の無機物を蒸着することでコーティングしたフィルムや、コロナ処理等により表面を改質したフィルムや、その両方の処理を施したフィルム等を含む。ガスバリアフィルムの厚さは特に限定されるものではないが、例えば5μ以上250μm以下の厚さの範囲で設けることができ、好ましくは10μm以上150μm以下の厚さの範囲で設けることができる。また、ガスバリアフィルムは、光波長変換要素が吸収する光および発光する光に対して透過性を有しているものを用いることが好ましい。
(メッシュ状の基体)
本実施形態に係る光アップコンバージョンフィルムでは、第一および第二の基体の間隙に、メッシュ状の基体が挟持され、その(例えば格子状の)メッシュのなす各空間(以下、「セル」とよぶ)に光波長変換要素が存在していてもよい。すなわち、この形態では光波長変換要素は、フィルムの面内方向にはメッシュのなす壁により閉じ込められ、フィルムの厚さ方向には第一および第二の基体によって閉じ込められ、セルごとに個別に分け隔てられて存在することになる(図5、図6を参照)。この構成は、以前の同技術にはなかった様々な長所(1)〜(3)をもたらす。(1)まず、メッシュ状の基体は、第一および第二の基体の間隔を意図通りに規定するスペーサーとして機能する。(2)また、メッシュ状の基体と、それを両側から挟む第一および第二の基体とが融着等によって密着される場合、光アップコンバージョンフィルムの曲げ強度などの機械的な強度が著しく向上する。そして、最も重要な長所として、(2)の場合にはさらに、(3)メッシュの幾何学形状により区切られたセルの空間が密閉されていることに関係して、各セルが互いに空間的に独立することにより、もし第一及び第二の基体の片方或いは両方の表面に孔や切れ目などの損傷が生じ、その部分から第一および第二の基体の間に光アップコンバージョンを妨げる気体分子(特に酸素分子)が侵入した場合にも、それにより生じる光波長変換要素への悪影響は損傷が生じた箇所の近くの部分的な領域(対応した部分の幾つかのセル)に限られ、その悪影響がフィルムの平面方向に進展することを防ぎ、工学上・実用上極めて有益な効果をもたらす。
本願におけるメッシュ状の基体は、樹脂等の有機物製、金属や金属酸化物、ガラス等の無機物製、並びに有機物及び無機物の複合材料製の基体から好適に選択することができる。メッシュ状の基体は、可撓性を有しているものが好ましく、単層又は多層のフィルム又はシートに、パンチング等により打ち抜いた丸型、格子状等のメッシュを設けたものや、樹脂製の繊維を編みこんだもの、ガラス製の繊維を編み込んだもの、金属細線を編みこんだもの等を用いることができる。樹脂製の繊維は単一の樹脂からなるもの以外にも、中心の繊維状の樹脂の外周に別の樹脂層が設けられた多層の繊維を用いることもでき、金属細線においても単一の金属からなる細線以外にも、中心の金属細線の外周に別の金属層が設けられた多層の金属細線を用いることもできる。また、樹脂繊維の外周に金属層を設けたものや、金属細線の外周に樹脂層を設けたものも用いることができる。中でも、樹脂製のメッシュ状の基体を用いると軽量で柔軟な光アップコンバージョンフィルムとすることができ、好ましい。
メッシュ状の基体の厚さは特に限定されるものではないが、例えば0.01〜10mmとすることができる。樹脂製のメッシュ状の基体としては、ポリプロピレン、ポリエチレン製等のフィルムや繊維を好適に使用することができる。
メッシュ状の基体が接着性を有するか否かは特に限定されるものでは無いが、樹脂等の有機物製の場合は、加熱融着等により容易に接着性を示すものを用いることもでき、本発明の光アップコンバージョンフィルムの加工性の観点から好適に用いられる。
一方、メッシュ状の基体が加熱融着性を示さない場合やガラスや金属等の無機物製の場合は、必要により以下に記載のスペーサー等の樹脂等の有機物製の接着剤を併用することで、本発明の光アップコンバージョンフィルムの機械的強度を向上することができる。
例えば、メッシュ状の基体が樹脂等の有機物製であるという構成であり、当該基体が加熱により接着性を有すものであれば、適当な温度に加熱等することにより第一の基体と第二の基体とにメッシュ状の基体を容易に接着させることができ、光アップコンバージョンフィルムの中にさらに小さな複数のセル領域を形成することができる。すなわち、上述の長所(3)のように、第一の基体および第二の基体の表面や裏面等の一部が損傷して、その損傷部から光波長変換機能に悪影響を及ぼしうる酸素や水分子等が光波長変換要素内に侵入しても、破損した箇所にあたるセル以外のセルは、メッシュ状の基体により仕切られているため、他の光波長変換要素のセル領域に酸素、水分子等の気体が入り込むのを防ぐことができ、光アップコンバージョンの阻害を防ぐことができる。また、メッシュ状の基体が接着性を有していない場合でも、第一の基体および第二の基体が接着面を有し、当該接着面によりメッシュ状の基体が挟持され、接着されている場合は、光アップコンバージョンフィルムの中にさらに小さなセル領域を作成することができ、上述と同様の効果を得ることができる。
(スペーサー)
本実施形態に係る光アップコンバージョンフィルムは、第一および第二の基体の前記光波長変換要素と接触する面の周辺部に設けられたスペーサーを有してもよい。この構成によれば、光アップコンバージョンフィルムの機械的強度を高めることができる。本願におけるスペーサーは単層であっても、多層であってもよく、接着性を有してもよい。この接着性を有しているものとは、例えば、熱硬化性の樹脂や光硬化性の樹脂などを用いた単層のスペーサーや、基板の上に熱硬化性の樹脂や光硬化性の樹脂などを用いた接着性の層を設けた多層のスペーサーが挙げられるが、これらに限定されるものでは無い。スペーサーの厚さは特に限定されるものではないが、例えば0.01〜10mmとすることができる。スペーサーの形状は、光波長変換要素を設けることができるものであれば特に限定されるものではないが、例えばフィルム状やシート状のもの、あるいは後述する熱硬化性の樹脂や光硬化性の樹脂のように液状の材料を硬化させて用いる場合にはそれらに添加した粒子状のスペーサーが挙げられる。
スペーサーの具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン等の単重合体または共重合体等のポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリビニル酢酸系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラート樹脂、ポリアリレート樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、三フッ化塩化エチレン共重合体、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル等のフッ素系樹脂等からなるフィルムまたはシート、これら樹脂を組み合わせて作成した多層フィルムまたはシートが挙げられる。
上記に挙げた樹脂以外にも、ラジカル反応性不飽和結合基を有するアクリレート化合物よりなる樹脂組成物や、上記アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物よりなる樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のオリゴマーを多官能性アクリレートモノマーに溶解させた樹脂組成物等の光硬化性樹脂およびこれらの混合物または混合液等を用いることもできる。
また上記以外にも、グラスファイバー、シリカビーズ、ポリマービーズ等をスペーサーとして添加したエポキシ樹脂やアクリレート等の液状の接着剤を用いて第一および第二の基体の前記光波長変換要素と接触する面の周辺部を熱硬化あるいは光硬化にて封止する方法なども挙げられる。
(光波長変換要素)
本実施形態に係る光アップコンバージョンフィルムが有する、光波長変換要素が含有する有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)としては、その組み合わせがTTA過程を示す(TTA過程に基づいて発光する)ものであれば、制限なく用いることができる。前記有機光増感分子(A)の吸光波長、および前記有機発光分子(B)の発光波長は、太陽光の波長範囲内から、制限なく選択することができる。例を挙げると、可視〜近赤外域の光をアップコンバージョンする態様の光波長変換要素においては、前記有機光増感分子(A)として可視〜近赤外域に光吸収帯を有するπ共役分子を用いることができ、前記有機発光分子(B)として可視〜近赤外域に発光帯を有するπ共役分子を用いることができる。前記有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)としては、芳香族π電子共役系化合物、特に多環芳香族π電子共役系化合物など、および、例えばS.Baluschev,et al.,New Journal of Physics,vol.10,p.013007−1〜013007−12,2008に記載されている化合物などを含め、低分子や高分子を広く用いることができる。
(有機光増感分子(A))
前記有機光増感分子(A)としては、太陽光の波長範囲内に吸収極大波長を有するものであれば制限されなく使用できるが、通常は200〜1000nmの範囲内に吸収極大波長を有するものが使用される。前記有機光増感分子(A)として、500〜700nmの範囲内に吸収極大波長を有するものを使用してもよい。これにより、一般的な太陽電池や水素発生光触媒等の光−二次エネルギー変換要素では利用されない比較的長い波長の光を、一般的な光−二次エネルギー変換要素に利用される比較的短い波長の光に変換できるので、太陽光に含まれる広範な波長範囲の光を光−二次エネルギー変換要素で有効に利用することが可能となる。また、前記有機光増感分子(A)として、250〜499nmの範囲内に吸収極大波長を有するものを使用してもよい。これにより、青色領域、紫色領域、および紫外線領域の波長の光を有効に利用することが可能となる。
前記有機光増感分子(A)としては、紫外領域から赤外領域までの範囲に光吸収を有するものであれば、これまでに色素と呼ばれていない分子種でも使用できる。前記有機光増感分子(A)としては、例えば、アセナフテン誘導体、アセトフェノン誘導体、アントラセン誘導体、ジフェニルアセチレン誘導体、アクリダン誘導体、アクリジン誘導体、アクリドン誘導体、チオアクリドン誘導体、アンゲリシン誘導体、アントラセン誘導体、アントラキノン誘導体、アザフルオレン誘導体、アズレン誘導体、ベンジル誘導体、カルバゾール誘導体、コロネン誘導体、スマネン誘導体、ビフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、ペリレン誘導体、フェナントレン誘導体、フェナントロリン誘導体、フェナジン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ピレン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ビアセチル誘導体、ビアントラニル誘導体、フラーレン誘導体、グラフェン誘導体、カロテン誘導体、クロロフィル誘導体、クリセン誘導体、シンノリン誘導体、クマリン誘導体、クルクミン誘導体、ダンシルアミド誘導体、フラボン誘導体、フルオレノン誘導体、フルオレセイン誘導体、ヘリセン誘導体、インデン誘導体、ルミクロム誘導体、ルミフラビン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ペリフランテン誘導体、フェノール誘導体、フェノチアジン誘導体、フェノキサジン誘導体、フタラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、ピセン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポルフィセン誘導体、ヘミポルフィセン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、プソラレン誘導体、アンゲリシン誘導体、プリン誘導体、ピレン誘導体、ピロメテン誘導体、ピリジルケトン誘導体、フェニルケトン誘導体、ピリジルケトン誘導体、チエニルケトン誘導体、フラニルケトン誘導体、キナゾリン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、レチナール誘導体、レチノール誘導体、ローダミン誘導体、リボフラビン誘導体、ルブレン誘導体、スクアリン誘導体、スチルベン誘導体、テトラセン誘導体、ペンタセン誘導体、アントラキノン誘導体、テトラセンキノン誘導体、ペンタセンキノン誘導体、チオホスゲン誘導体、インジゴ誘導体、チオインゾゴ誘導体、チオキサンテン誘導体、チミン誘導体、トリフェニレン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、トリアリール誘導体、トリプトファン誘導体、ウラシル誘導体、キサンテン誘導体、フェロセン誘導体、アズレン誘導体、ビアセチル誘導体、ターフェニル誘導体、ターフラン誘導体、ターチオフェン誘導体、オリゴアリール誘導体、フラーレン誘導体、共役ポリエン誘導体、含14族元素縮合多環芳香族化合物誘導体、縮合多環複素芳香族化合物誘導体等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
前記有機光増感分子(A)としては、具体的には、金属ポルフィリン類(ポルフィリン類の金属錯体);金属テトラアザポルフィリン類;金属フタロシアニン類;3,5−ジメチル−ボロンジピロメテンのヨウ素誘導体;3,5−ジメチル−8−フェニルボロンジピロメテンのヨウ素誘導体等のようなボロンジピロメテン類;サレン金属錯体等のようなシッフ塩基金属錯体類;ルビジウム−ビピリジン錯体やイリジウム−フェナントロリン錯体等の金属ビピリジン錯体;金属フェナントロリン錯体;N−アルキルナフタレンジイミド等のナフタレンジイミド類;N−メチルアクリドンやN−ブチル−2−クロロアクリドン等のようなアクリドン類;2,4−ジエチルチオキサントン等のようなチオキサントン類、キサントン類、キサンテン類;アクリジンイエロー等のようなアクリジン類;クマリン6やクマリン314等のようなクマリン類;2,3−ブタンジオン等のようなビアセチル類;9,10−ジブロモアントラセンや9,9’−ビアントリル等のようなアントラセン類;ビフラン、ビチオフェン、ビス(ベンゾオキサゾリル)チオフェン等のようなオリゴアリール類;クリセンやフェナントレンあるいはその誘導体等のような縮合多環複素芳香族化合物類等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。前記金属ポルフィリン類および金属フタロシアニン類に含まれる金属原子としては、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Zn、Cu等を用いることができる。前記金属テトラアザポルフィリン類としては、後述の一般式(5)における5,10,15,20位の炭素原子及びそれに結合したRを窒素原子に置き換えた構造の金属テトラアザポルフィリン類が挙げられる。
前記有機光増感分子(A)の例のうち、500〜700nmの範囲内に吸収極大波長を有し、その構造中に金属を含む有機光増感分子(A)の例としては、下記一般式(5)
(式中、Rはそれぞれ、水素原子を含む任意の置換基を表し、Rは同じでも異なっていてもよく、隣接する2つのRは互いに連結して水素原子を含む任意の置換基を有する5員環または6員環を形成してもよく、Rはそれぞれ、水素原子を含む任意の置換基を有するアリール基を表し、Rは同じでも異なっていてもよく、Mは金属原子を表す)で表される化合物が挙げられる。ここで、「水素原子を含む任意の置換基」とは、水素原子、又は水素原子を除く任意の置換基を意味する。さらに、「水素原子を含む任意の置換基」は、連結して水素原子を含む任意の置換基を有する5員環または6員環を形成してもよい。
前記一般式(5)中のRの例としては、水素原子、アルキル基(例えば炭素数1〜12のアルキル基)、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基(水酸基)、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルボン酸塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシル基、リン酸塩基、ホスホン酸塩基、ホスフィン酸塩基、シアノ基、アミノ基(アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、およびアルキルアリールアミノ基を含む)、アシルアミノ基(アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、カルバモイル基、およびウレイド基が含まれる)、アミジノ基、イミノ基、スルフヒドリル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオカルボン酸塩基、硫酸塩基、アルキルスルフィニル基、スルホン酸塩基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、アジド基、複素環、アルキルアリール基、またはアリール基、もしくはヘテロアリール基が挙げられるが、これらに限定されない。前記一般式(5)中に含まれる、互いに隣接する2つのRが互いに連結して形成された5員環または6員環が有する置換基の例としては、Rの例として挙げた置換基が挙げられるが、これらに限定されない。前記5員環または6員環は、置換基を有していてもよい他のポルフィリン環と連結していてもよい。前記一般式(5)中のRの例としては、Rの例として挙げた置換基が挙げられるが、これらに限定されない。前記金属ポルフィリン類および金属フタロシアニン類に含まれる金属原子としては、前記一般式(5)中の金属原子Mとしては、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Zn、Cu等が挙げられる。
前記一般式(5)で表される金属ポルフィリン類としては、例えば、メソ−テトラフェニル−テトラベンゾポルフィリンパラジウム(CAS番号:119654−64−7)等のメソ−テトラフェニル−テトラベンゾポルフィリン金属錯体、オクタエチルポルフィリンパラジウム(CAS番号:24804−00−0)等のオクタエチルポルフィリン金属錯体、S.Baluschev,et al.,New Journal of Physics,vol.10,p.013007−1〜013007−12,2008に記載されているメソ−テトラフェニル−オクタメトキシ−テトラナフト[2,3]ポルフィリンパラジウム等のオクタエチルポルフィリン金属錯体等が挙げられる。
金属ポルフィリンを用いる場合、例えば下記表1に記載する化合物が好適に用いられるが、これらに限定されるものではない。なお表中、中心金属Mはパラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)、コバルト(Co)、鉄(Fe)等を表す。
500〜700nmの範囲内に吸収極大波長を有し、その構造中に金属を含まない有機光増感分子(A)の例としては、具体的には、下記一般式(1)
(前記式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子を含む任意の置換基を表し、互いに隣接する置換基(RとRとの対、RとRとの対、RとRとの対、RとRとの対)はそれぞれ互いに連結して水素原子を含む任意の置換基を有する5員環または6員環を形成してもよく、Rはハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、または置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルコキシル基を表す)で表される化合物(ボロンジピロメテン類)、C70等が挙げられる。
前記一般式(1)中のR〜Rの例としては、水素原子、脂肪族炭化水素基として、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基(水酸基)、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルボン酸塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシル基、リン酸塩基、ホスホン酸塩基、ホスフィン酸塩基、シアノ基、アミノ基(アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、およびアルキルアリールアミノ基を含む)、アシルアミノ基(アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、カルバモイル基、およびウレイド基が含まれる)、アミジノ基、イミノ基、スルフヒドリル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオカルボン酸塩基、硫酸塩基、アルキルスルフィニル基、スルホン酸塩基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、アジド基、複素環、アルキルアリール基、フェノキシ基またはアリール基、もしくはヘテロアリール基またはヘテロアリールオキシ基が挙げられるが、これらに限定されない。前記一般式(1)中に含まれる、互いに隣接する置換基(RとRとの対、RとRとの対、RとRとの対、RとRとの対)が互いに連結して形成された5員環または6員環が有する置換基の例としては、R〜Rの例として挙げた置換基が挙げられるが、これらに限定されない。
前記一般式(1)中のRおよびRは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいチエニル基、置換基を有してもよいチエノキシ基、下記式(2)
で表される2−カルボキシルエテニル基、または下記式(3)
で表される2−カルボキシル−2−シアノエテニル基であることが好ましく、置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましく、無置換の炭素数1〜3のアルキル基であることがさらに好ましく、無置換のメチル基であることが最も好ましい。
前記一般式(1)中のRおよびRは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいチエニル基、置換基を有してもよいチエノキシ基、前記式(2)で表される2−カルボキシルエテニル基、または前記式(3)で表される2−カルボキシル−2−シアノエテニル基であることが好ましく、水素原子、臭素原子、またはヨウ素原子である(ただしRおよびRの少なくとも一方が臭素原子またはヨウ素原子である)ことがより好ましく、水素原子またはヨウ素原子である(ただしRおよびRの少なくとも一方がヨウ素原子である)ことがさらに好ましい。
前記一般式(1)中のRは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいチエニル基、置換基を有してもよいチエノキシ基、前記式(2)で表される2−カルボキシルエテニル基、または前記式(3)で表される2−カルボキシル−2−シアノエテニル基であることが好ましく、置換基を有してもよいフェニル基であることがより好ましく、無置換またはアルキル置換のフェニル基であることがさらに好ましい。
前記一般式(1)中のRは、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、または置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルコキシル基であるが、フッ素原子であることが好ましい。
前記有機光増感分子(A)は、前記一般式(5)で表される金属ポルフィリン類、または前記一般式(1)で表される化合物であることが好ましく、前記一般式(1)で表される化合物であることがより好ましく、前記一般式(1)で表される化合物において前記一般式(1)中のR〜Rがそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいチエニル基、置換基を有してもよいチエノキシ基、前記式(2)で表される2−カルボキシルエテニル基、または前記式(3)で表される2−カルボキシル−2−シアノエテニル基である化合物であることがさらに好ましく、下記一般式(4)
(前記式中、RおよびRはそれぞれ独立に置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表し、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を表し、RおよびRの少なくとも一方が臭素原子またはヨウ素原子であり、Rは置換基を有してもよいフェニル基を表す)
で表される化合物であることが最も好ましい。これにより、さらに高い光波長変換効率を有する光波長変換要素を実現できる。
前記一般式(1)で表される化合物としては、具体的には、下記式
で表される化合物(2−ヨード−1,3,5,7−テトラメチル−8−フェニル−4,4−ジフルオロボラジアザインダセン)(吸収極大波長510nm)、下記式
で表される化合物(2,6−ジヨード−1,3,5,7−テトラメチル−8−フェニル−4,4−ジフルオロボラジアザインダセン)(吸収極大波長529nm)、下記式
で表される化合物(吸収極大波長629nm)、下記式
で表される化合物(吸収極大波長539nm)、下記式
で表される化合物(吸収極大波長557nm)、下記式
で表される化合物(吸収極大波長576nm)、下記式
で表される化合物(吸収極大波長575nmおよび618nm)、下記式
で表される化合物(吸収極大波長532nm)、下記式
で表される化合物(吸収極大波長526nm)等が挙げられる。これら有機光増感分子(A)は、1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
250〜499nmの範囲内に最長波長の吸収極大波長を有し、構造中に金属を含まない有機光増感分子(A)の例としては、下記一般式(6)
(式中、R11〜R18はそれぞれ独立に、水素原子を含む任意の置換基を表し、同じでも異なっていてもよく、R11〜R18のうち互いに隣接する2つが互いに連結して水素原子を含む任意の置換基を有する5員環または6員環を形成してもよく、Xはチオ基(−S−)、スルフィニル基(−S(=O)−)、スルホニル基(−S(=O)−)、−N(R19)−で表される2価基、または−C(R20)(R21)−で表される2価基を表し、R19〜R21はそれぞれ独立に、水素原子を含む任意の置換基を表す)で表される化合物が挙げられる。ここで、「水素原子を含む任意の置換基」とは、水素原子、又は水素原子を除く任意の置換基を意味する。
前記一般式(6)中のR11〜R18の例としては、水素原子、アルキル基(例えば炭素数1〜12のアルキル基)、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基(水酸基)、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルボン酸塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシル基、リン酸塩基、ホスホン酸塩基、ホスフィン酸塩基、シアノ基、アミノ基(アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、およびアルキルアリールアミノ基を含む)、アシルアミノ基(アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、カルバモイル基、およびウレイド基が含まれる)、アミジノ基、イミノ基、スルフヒドリル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオカルボン酸塩基、硫酸塩基、アルキルスルフィニル基、スルホン酸塩基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、アジド基、複素環、アルキルアリール基、またはアリール基、もしくはヘテロアリール基が挙げられるが、これらに限定されない。R19〜R21の例としては、水素原子、アルキル基(例えば炭素数1〜12のアルキル基)、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、アルキルアリール基、またはアリール基、もしくはヘテロアリール基が挙げられるが、これらに限定されない。前記一般式(6)中に含まれうるR11〜R21のうち、互いに隣接する2つが互いに連結して形成された5員環または6員環が有する置換基の例としては、R11〜R18の例として挙げた置換基が挙げられるが、これらに限定されない。
前記一般式(6)で表される化合物において、Xがチオ基であり、R11〜R18がそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、またはヘテロアリール基であることが好ましい。
前記一般式(6)で表される化合物においてXがチオ基である場合、すなわちチオキサントン類である場合としては、例えば、無置換のチオキサントン(CAS番号:492−22−8)に加え、2,4−ジエチルチオキサントン(CAS番号:82799−44−8)や2−イソプロピルチオキサントン(CAS番号:5495−84−1)や2−クロロチオキサントン(CAS番号:86−39−5)等の置換チオキサントンが挙げられる。
前記一般式(6)で表される化合物においてXがスルフィニル基である場合、すなわちチオキサントンオキシド類である場合としては、例えば、無置換のチオキサントンオキシド(CAS番号:7605−15−4)に加え、3−メチルチオキサントンオキシド(CAS番号:654670−82−3)や特開昭58−120605号公報に記載のチオキサントンオキシド誘導体等の置換チオキサントンが挙げられる。
前記一般式(6)で表される化合物においてXがスルホニル基である場合、すなわちチオキサントンジオキシド類である場合としては、例えば、無置換のチオキサントンジオキシド(CAS番号:3166−15−2)に加え、2−メチルチオキサントンジオキシド(CAS番号:87548−99−0)や特開昭58−120605号公報に記載のチオキサントンジオキシド誘導体等の置換チオキサントンが挙げられる。
前記一般式(6)で表される化合物においてXが−N(R19)−で表される2価基である場合、すなわちアクリドン類である場合としては、例えば、無置換のアクリドン(CAS番号:578−95−0)に加え、N−メチルアクリドン(CAS番号:719−54−0)、N−メチル−2−ヨードアクリドン(CAS番号:1493782−35−6)、N−ブチル−2−クロロアクリドン(CAS番号:128420−54−2)、特開平8−67873号公報に記載のアクリドン誘導体等の置換アクリドンが挙げられる。
前記一般式(6)で表される化合物においてXが−C(R20)(R21)−で表される2価基である場合、すなわちアントロン類である場合としては、例えば、無置換のアントロン(CAS番号:90−44−8)に加え、3−メチルアントロン(CAS番号:69653−12−9)、ベンズアントロン(CAS番号:82−05−3)等の置換アントロンが挙げられる。これら有機光増感分子(A)は、1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本明細書において、特定の部分を「基」と称した場合には、当該部分はそれ自体が置換されていなくても、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。また、本実施形態における化合物に使用できる置換基は、どのような置換基でも良い。
このような置換基の例を以下に挙げるが、特に制限はなく、これらに限定されない。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基と言っても良い)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルスルフィニル基またはアリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールアゾ基またはヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、ホスフォ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH))、ホスファト基(−OPO(OH))、スルファト基(−OSOH)、その他の公知の置換基が挙げられる。
さらに詳しくは、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
前記アルキル基は、直鎖、分岐、または環状の置換もしくは無置換のアルキル基を含む。前記アルキル基は、脂肪族アルキル基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換の脂肪族アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り除いた一価の基であり、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基である)、さらに環構造が多いトリシクロアルキル基などを包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)は、このような概念のアルキル基に加えて、さらにアルケニル基、アルキニル基も含むこととする。
前記アルケニル基は、直鎖、分岐、または環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を含む。前記アルケニル基は、脂肪族アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換の脂肪族アルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り除いた一価の基であり、例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基などである)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り除いた一価の基であり、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基などである)などを包含するものである。
前記アルキニル基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基などである。
前記アリール基は、好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル基、ビフェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基などである。
前記複素環基は、好ましくは、5員または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、より好ましくは、炭素数3〜30の5員もしくは6員の芳香族の複素環基である。前記複素環基は、例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基などである。なお、前記複素環基は、1−メチル−2−ピリジニオ基、1−メチル−2−キノリニオ基などのようなカチオン性の複素環基でも良い。
前記アルコキシ基は、好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基などである。
前記アリールオキシ基は、好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基などである。
前記シリルオキシ基は、好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基などである。
前記ヘテロ環オキシ基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基などである。
前記アシルオキシ基は、好ましくは、ホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、または炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基などである。
前記カルバモイルオキシ基は、好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基などである。
前記アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基は、好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、または炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基などである。
前記アルキルチオ基は、好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基などである。
前記アリールチオ基は、好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基などである。
前記ヘテロ環チオ基は、好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基などである。
前記スルファモイル基は、好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基などである。
前記アルキルスルフィニル基またはアリールスルフィニル基は、好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基などである。
前記アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基は、好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基または炭素数6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基などである。
前記アシル基は、好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、または炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル基、2―ピリジルカルボニル基、2−フリルカルボニル基などである。
前記アリールオキシカルボニル基は、好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−t−ブチルフェノキシカルボニル基などである。
前記アルコキシカルボニル基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基などである。
前記カルバモイル基は、好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基などである。
前記アリールアゾ基またはヘテロ環アゾ基は、好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基または炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基などである。
前記イミド基は、好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基などである。
前記ホスフィノ基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基などである。
前記ホスフィニル基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基などである。
前記ホスフィニルオキシ基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基などである。前記ホスフィニルアミノ基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基などである。
前記シリル基は、好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基などである。
前記ヒドラジノ基は、好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のヒドラジノ基、例えば、トリメチルヒドラジノ基などである。
前記ウレイド基は、好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のウレイド基、例えばN,N−ジメチルウレイド基などである。
また、これらの置換基は、2つの置換基が共同して環を形成したものも含む。前記環は、芳香族または非芳香族の炭化水素環または複素環である。これらの環は、さらに組み合わされて多環縮合環を形成することができる。前記環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、フェナジン環等が挙げられる。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り除き、さらに上記の置換基で置換されていても良い。そのような置換基の例としては、上記の、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基等が挙げられる。
また、有機光増感分子(A)として、例えば、フルオレン骨格を有する化合物(好ましくはポリフルオレン化合物)、ポリフェニレン化合物、テトラセン骨格を有する化合物、熱活性型遅延蛍光(TADF)を示す化合物、フォトダイナミックセラピー(PDT)に使用される化合物、下記表2に記載の化合物等を好適に用いることができる。
(有機発光分子(B))
前記有機発光分子(B)としては、前記有機光増感分子(A)と共に使用することでTTA過程により光アップコンバージョンされた光を発することのできる有機化合物であれば、特に限定されることなく使用することができる。前記有機発光分子(B)としては、例えば、アセナフテン誘導体、アセトフェノン誘導体、アントラセン誘導体、ジフェニルアセチレン誘導体、アクリダン誘導体、アクリジン誘導体、アクリドン誘導体、チオアクリドン誘導体、アンゲリシン誘導体、アントラセン誘導体、アントラキノン誘導体、アザフルオレン誘導体、アズレン誘導体、ベンジル誘導体、カルバゾール誘導体、コロネン誘導体、スマネン誘導体、ビフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、ペリレン誘導体、フェナントレン誘導体、フェナントロリン誘導体、フェナジン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ピレン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ビアセチル誘導体、ビアントラニル誘導体、フラーレン誘導体、グラフェン誘導体、カロテン誘導体、クロロフィル誘導体、クリセン誘導体、シンノリン誘導体、クマリン誘導体、クルクミン誘導体、ダンシルアミド誘導体、フラボン誘導体、フルオレノン誘導体、フルオレセイン誘導体、ヘリセン誘導体、インデン誘導体、ルミクロム誘導体、ルミフラビン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ペリフランテン誘導体、フェノール誘導体、フェノチアジン誘導体、フェノキサジン誘導体、フタラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、ピセン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポルフィセン誘導体、ヘミポルフィセン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、プソラレン誘導体、アンゲリシン誘導体、プリン誘導体、ピレン誘導体、ピロメテン誘導体、ピリジルケトン誘導体、フェニルケトン誘導体、ピリジルケトン誘導体、チエニルケトン誘導体、フラニルケトン誘導体、キナゾリン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、レチナール誘導体、レチノール誘導体、ローダミン誘導体、リボフラビン誘導体、ルブレン誘導体、スクアリン誘導体、スチルベン誘導体、テトラセン誘導体、ペンタセン誘導体、アントラキノン誘導体、テトラセンキノン誘導体、ペンタセンキノン誘導体、チオホスゲン誘導体、インジゴ誘導体、チオインゾゴ誘導体、チオキサンテン誘導体、チミン誘導体、トリフェニレン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、トリアリール誘導体、トリプトファン誘導体、ウラシル誘導体、キサンテン誘導体、フェロセン誘導体、アズレン誘導体、ビアセチル誘導体、ターフェニル誘導体、ターフラン誘導体、ターチオフェン誘導体、オリゴアリール誘導体、フラーレン誘導体、共役ポリエン誘導体、含14族元素縮合多環芳香族化合物誘導体、縮合多環複素芳香族化合物誘導体等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
前記有機発光分子(B)としては、具体的には、例えば、9,10−ジフェニルアントラセン(CAS番号:1499−10−1)およびその誘導体、9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン(CAS番号:10075−85−1)およびその誘導体(例えば1−クロロ−9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン)、ペリレン(CAS番号:198−55−0)およびその誘導体(例えばペリレンジイミド)、ピレンおよびその誘導体、ルブレンおよびその誘導体、ナフタレンおよびその誘導体(例えば、1−ドデシルナフタレン、ナフタレンジイミド、パーフルオロナフタレン、1−シアノナフタレン、1−メトキシナフタレン、2−シアノナフタレン、2−メトキシナフタレン、1−メチルナフタレン、アセナフテン)、9,10−ビス(フェニルエチニル)ナフタセン、4,4’−ビス(5−テトラアセニル)−1,1’−ビフェニレン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ビフェニルおよびその誘導体、ビフラン、ビチオフェン、4,4−ジフルオロ−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(ボロンジピロメテン)等が挙げられるが、これらに限定されない。前記有機発光分子(B)としては、ペリレンやピレンやナフタレンおよびその誘導体のような縮合多環芳香族化合物、特に芳香族π電子共役系化合物などが好ましい。
前記有機発光分子(B)の好ましい化合物の例としては、下記一般式(7)
(式中、Zは−C(R28)=Y−で表される2価基、−N(R30)−で表される2価基、オキシ基(−O−)、またはチオ基を表し、Yは=C(R29)−で表される3価基、またはアザ基(=N−)を表し、R22〜R30はそれぞれ独立に、水素原子を含む任意の置換基を表し、同じでも異なっていてもよく、R22〜R30のうち互いに隣接する2つが互いに連結して水素原子を含む任意の置換基を有する5員環または6員環を形成してもよい)で表される化合物が挙げられる。前記一般式(7)で表される化合物において、R22〜R29がそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、またはヘテロアリール基であり、前記一般式(7)のR30が、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、アルキルアリール基、アリール基、またはヘテロアリール基であることが好ましい。
前記一般式(7)で表される化合物のうち、Zが−C(R28)=Y−で表される2価基である場合、すなわち、下記一般式(8)
(式中、Yは=C(R29)−で表される3価基、またはアザ基を表し、R22〜R29はそれぞれ独立に、水素原子を含む任意の置換基を表し、同じでも異なっていてもよく、R22〜R29のうち互いに隣接する2つが互いに連結して水素原子を含む任意の置換基を有する5員環または6員環を形成してもよい)で表される化合物が好ましい。
前記一般式(8)で表される化合物のうち、Yが=C(R29)−で表される3価基である場合、すなわち、下記一般式(9)
(式中、R22〜R29はそれぞれ独立に、水素原子を含む任意の置換基を表し、同じでも異なっていてもよく、R22〜R29のうち互いに隣接する2つが互いに連結して水素原子を含む任意の置換基を有する5員環または6員環を形成してもよい)で表される化合物が好ましい。さらに、前記一般式(9)で表される化合物において、R22〜R29がそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、またはヘテロアリール基であることが好ましい。
前記有機発光分子(B)の好ましい化合物の他の例としては、下記一般式(10)
(式中、R31〜R36はそれぞれ独立に、水素原子を含む任意の置換基を表し、同じでも異なっていてもよく、R31〜R36のうち互いに隣接する2つが互いに連結して水素原子を含む任意の置換基を有する5員環または6員環を形成してもよく、Qは−N(R37)−で表される2価基、オキシ基、またはチオ基を表し、Rは−N(R38)−で表される2価基、オキシ基、またはチオ基を表す)
で表される化合物が挙げられる。
前記有機発光分子(B)の好ましい化合物の他の例としては、下記一般式(11)
(式中、R43〜R52はそれぞれ独立に、水素原子を含む任意の置換基を表し、同じでも異なっていてもよく、R43〜R52のうち互いに隣接する2つが互いに連結して水素原子を含む任意の置換基を有する5員環または6員環を形成してもよく、R43とR52とが互いに連結して水素原子を含む任意の置換基を有する5員環または6員環を形成してもよく、R47とR48とが互いに連結して水素原子を含む任意の置換基を有する5員環または6員環を形成してもよい)で表される化合物が挙げられる。
ここで、「水素原子を含む任意の置換基」とは、水素原子、又は水素原子を除く任意の置換基を意味する。
前記一般式(8)〜(11)中のR22〜R27、R31〜R36、およびR43〜R52の例としては、水素原子、アルキル基(例えば炭素数1〜12のアルキル基)、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基(水酸基)、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルボン酸塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシル基、リン酸塩基、ホスホン酸塩基、ホスフィン酸塩基、シアノ基、アミノ基(アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、およびアルキルアリールアミノ基を含む)、アシルアミノ基(アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、カルバモイル基、およびウレイド基が含まれる)、アミジノ基、イミノ基、スルフヒドリル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオカルボン酸塩基、硫酸塩基、アルキルスルフィニル基、スルホン酸塩基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、アジド基、複素環、アルキルアリール基、またはアリール基、もしくはヘテロアリール基が挙げられるが、これらに限定されない。R30、R37およびR38の例としては、水素原子、アルキル基(例えば炭素数1〜12のアルキル基)、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、アルキルアリール基、またはアリール基、もしくはヘテロアリール基が挙げられるが、これらに限定されない。前記一般式(8)〜(11)中に含まれるR22〜R38およびR43〜R52のうち、互いに隣接する2つが互いに連結して形成された5員環または6員環が有する置換基、R43とR52とが互いに連結して形成された5員環または6員環が有する水素原子を含む任意の置換基、並びにR47とR48とが互いに連結して形成された5員環または6員環が有する水素原子を含む任意の置換基の例としては、R22〜R27、R31〜R36、およびR43〜R52の例として挙げた置換基が挙げられるが、これらに限定されない。
前記一般式(8)で表される化合物においてYが=C(R29)−で表される3価基である場合、すなわちナフタレン類である場合としては、例えば、無置換のナフタレン(CAS番号:91−20−3)に加え、オクタフルオロナフタレン(CAS番号:313−72−4)や2−メトキシナフタレン(CAS番号:93−04−9)や2−シアノナフタレン(CAS番号:613−46−7)や1−ドデシルナフタレン(CAS番号:38641−16−6)や1−メチルナフタレン(CAS番号:90−12−0)やアセナフテン(CAS番号:83−32−9)や2,6−ジ−tert−ブチルナフタレン(CAS番号:3905−64−4)等の置換ナフタレンが挙げられる。
前記一般式(8)で表される化合物においてYがアザ基である場合、すなわちキノリン類である場合としては、例えば、無置換のキノリン(CAS番号:91−22−5)に加え、6−ターシャリーブチルキノリン(CAS番号:68141−13−9)やベンゾ[h]キノリン(CAS番号:230−27−3)等の置換ナフタレンが挙げられる。
前記一般式(7)で表される化合物においてZが−N(R30)−で表される2価基である場合、すなわちインドール類である場合としては、例えば、無置換のインドール(CAS番号:120−72−9)に加え、1,2−ジメチルインドール(CAS番号:875−79−6)やナフトスチリル(CAS番号:130−00−7)等の置換インドールが挙げられる。
前記一般式(7)で表される化合物においてZがオキシ基である場合、すなわちベンゾフラン類である場合としては、例えば、無置換のベンゾフラン(CAS番号:271−89−6)に加え、2−ブチルベンゾフラン(CAS番号:4265−27−4)やジフェニレンオキシド(CAS番号:132−64−9)等の置換ベンゾフランが挙げられる。
前記一般式(7)で表される化合物においてZがチオ基である場合、すなわちベンゾチオフェン類である場合としては、例えば、無置換のベンゾチオフェン(CAS番号:95−15−8)に加え、2−メチルベンゾチオフェン(CAS番号:1195−14−8)やジベンゾチオフェン(CAS番号:132−65−0)等の置換ベンゾフランが挙げられる。
前記一般式(10)で表される化合物においてQが−N(R37)−で表される2価基であり、Rが−N(R38)−で表される2価基である場合、すなわちビピロール類である場合としては、例えば、無置換のビピロール(CAS番号:10087−64−6)に加え、5,5’−ジメチル−ビピロール(CAS番号:90888−56−5)や1,1’−ジメチル−ビピロール(CAS番号:34671−26−6)等の置換ビピロールが挙げられる。
前記一般式(10)においてQが−N(R37)−で表される2価基であり、Rがオキシ基である場合、すなわちフラニルピロール類である場合としては、例えば、無置換のフラニルピロール(CAS番号:63122−43−0)に加え、1−メチル−フラニルピロール(CAS番号:124494−77−5)やベンゾフラニルインドール(CAS番号:78842−63−4)等の置換フラニルピロールが挙げられる。前記一般式(10)で表される化合物においてQがオキシ基であり、Rが−N(R38)−で表される2価基である場合も、同様の例が挙げられる。
前記一般式(10)で表される化合物においてQが−N(R37)−で表される2価基であり、Rがチオ基である場合、すなわちチエニルピロール類である場合としては、例えば、無置換のチエニルピロール(CAS番号:52707−46−7)に加え、1−メチル−チエニルピロール(CAS番号:34671−27−7)やチエニルドール(CAS番号:55968−16−6)等の置換チエニルピロールが挙げられる。前記一般式(10)で表される化合物においてQがチオ基であり、Rが−N(R38)−で表される2価基である場合も、同様の例が挙げられる。
前記一般式(10)で表される化合物においてQがオキシ基であり、Rがオキシ基である場合、すなわちビフラン類である場合としては、例えば、無置換のビフラン(CAS番号:5905−00−0)に加え、5,5’−ジメチル−ビフラン(CAS番号:17490−66−3)や5,5’−ジシアノ−ビフラン(CAS番号:261719−71−5)等の置換ビフランが挙げられる。
前記一般式(10)で表される化合物においてQがオキシ基であり、Rがチオ基である場合、すなわちチエニルフラン類である場合としては、例えば、無置換のチエニルフラン(CAS番号:27521−80−8)に加え、2−メチル−チエニルフラン(CAS番号:125261−84−9)やチエニルフランカルボアルデヒド(CAS番号:32364−30−0)等の置換チエニルフランが挙げられる。前記一般式(10)で表される化合物においてQがチオ基であり、Rがオキシ基である場合も、同様の例が挙げられる。
前記一般式(10)で表される化合物においてQがチオ基であり、Rがチオ基である場合、すなわちビチオフェン類である場合としては、例えば、無置換のビチオフェン(CAS番号:492−97−7)に加え、5,5’−ジメチル−ビチオフェン(CAS番号:16303−58−5)やビチオフェン−ジメタノール(CAS番号:170110−96−0)等の置換ビチオフェンが挙げられる。
前記一般式(11)で表される化合物の例としては、無置換のビフェニル(CAS番号:92−52−4)に加え、p−ターフェニル(CAS番号:92−94−4)等の置換ビフェニルが挙げられる。これら有機発光分子(B)は、1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、有機発光分子(B)としては、下記表3〜5に示す化合物を好適に用いることができるが、これらに限定されるものではない。
有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)は、前記例の中から自由に選択し、任意の組み合わせで使用することができるが、TTA過程により光アップコンバージョンされた光を発するためには、有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)の最低三重項励起状態のエネルギー準位が近いことが三重項−三重項エネルギー移動の効率の観点から好ましい。そのため、次式
(式中、ET,Dyeは有機光増感分子(A)の最低三重項励起状態のエネルギー準位であり、ET,Emiは有機発光分子(B)の最低三重項励起状態のエネルギー準位である。)で表されるΔEが、有機光増感分子(A)と有機発光分子(B)との任意の組み合わせについて、好ましくは−0.5eV以上2.0eV以下であり、より好ましくは−0.3eV以上1.0eV以下であり、さらに好ましくは−0.2eV以上0.5eV以下であり、特に好ましくは−0.1eV以上0.3eV以下である。1eVとは、電子1個を1Vの電位差で加速したときに電子が得るエネルギーである。
本実施形態の光波長変換要素中における有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)の含有量は、特に制限はないが、光波長変換要素を100質量部とした場合、それぞれ、通常は0.000001〜10質量部であり、好ましくは0.00001〜5質量部であり、より好ましくは0.0001〜1質量部である。
(イオン液体(C1))
本実施形態の光波長変換要素は、イオン液体(C1)を含んでもよい。イオン液体(C1)は、カチオンとアニオンとからなる常温溶融塩(常温(25℃)で溶融状態(液体状態)にある塩)である。一般的に、イオン液体として、カチオンとアニオンとの組み合わせによって少なくとも1,000,000種類以上の化合物が存在することが知られている。前記イオン液体(C1)は、前記TTA過程を示す組み合わせである有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)の媒体として作用し、その内部で有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)の拡散運動を許容することで、アップコンバージョン効率を大幅に高めることができる。
本実施形態の光波長変換要素においては、TTA過程を示す組み合わせである有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を、イオン液体(C1)中に溶解および/または分散させて目視上均質かつ透明にすることが好ましく、前記イオン液体(C1)としては、前記有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)とカチオン−π相互作用を有し、かつ非水混和性であるものが好ましい。本明細書において、イオン液体(C1)が「非水混和性」とは、25℃において、50質量%以下の水がイオン液体(C1)に目視上均質かつ透明に混和する場合がある(例えば5質量%以下の水がイオン液体(C1)に目視上均質かつ透明に混和する場合がある)が、50質量%超の水がイオン液体(C1)に目視上均質かつ透明に混和しないことを意味する。
前記イオン液体(C1)を構成するカチオンの具体例としては、例えば、窒素含有化合物カチオン、第四級ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオン等が挙げられる。前記窒素含有化合物カチオンとしては、例えば、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン等の複素環式芳香族アミンカチオン;ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、チアゾリウムカチオン、モルフォリニウムカチオン等の複素環式脂肪族アミンカチオン;第四級アンモニウムカチオン;芳香族アミンカチオン;脂肪族アミンカチオン;脂環式アミンカチオン等が挙げられる。前記イミダゾリウムカチオンとしては、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム等の1−アルキル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ペンチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘプチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−オクチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム等の1−アルキル−2,3−ジメチルイミダゾリウム;1−シアノメチル−3−メチルイミダゾリウム、1−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチルイミダゾリウム等が挙げられる。前記ピリジニウムカチオンとしては、例えば、1−ブチルピリジニウム、1−ヘキシルピリジニウム、N−(3−ヒドロキシプロピル)ピリジニウム、N−ヘキシル−4−ジメチルアミノピリジニウム等が挙げられる。前記ピペリジニウムカチオンとしては、例えば、1−(メトキシエチル)−1−メチルピペリジニウム等が挙げられる。前記ピロリジニウムカチオンとしては、例えば、1−(2−メトキシエチル)−1−メチルピロリジニウム、N−(メトキシエチル)−1−メチルピロリジニウム等が挙げられる。前記モルフォリニウムカチオンとしては、例えば、N−(メトキシエチル)−N−メチルモルフォリウム等が挙げられる。前記第四級アンモニウムカチオンとしては、例えば、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム、N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシエチルアンモニウム等が挙げられる。前記第四級ホスホニウムカチオンとしては、例えば、テトラアルキルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム等が挙げられる。前記スルホニウムカチオンとしては、例えば、トリアルキルスルホニウム、トリフェニルスルホニウム等が挙げられる。前記イオン液体(C1)中には、これらカチオンの1種が存在していてもよく2種以上が存在していてもよい。
有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)のイオン液体(C1)中への溶解・分散安定性を考慮すると、イオン液体(C1)を構成するカチオンとしては、有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)との間に「カチオン−π相互作用」を有するものが好ましい。
前記イオン液体(C1)を構成するアニオンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン([N(SOCF)、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドアニオン([C(SOCF)、ヘキサフルオロホスフェートアニオン([PF)、トリス(ペンタフルオロエチル)、トリフルオロホスフェートアニオン([(CPF)等のフッ素含有化合物アニオン;[BR29303132(このアニオン構造式および以下のアニオン構造式中において、R29、R30、R31、およびR32はそれぞれ独立して、−(CHCH(ここでnは1〜9の整数を表す)で表される基、すなわち炭素数1〜9の直鎖アルキル基、または、アリール基を表す)で表されるホウ素含有化合物アニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン([N(FSO])等が挙げられる。前記イオン液体(C1)中には、これらアニオンの1種が存在していてもよく2種以上が存在していてもよい。
一般的に、イオン液体は、イオン液体を構成するアニオンの種類によっては水と上限なく混和するが、イオン液体を構成するアニオンの種類によってはイオン液体が水とある程度以上混和しないか、またはごく微量しか混和しない。本実施形態においては、有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)のイオン液体(C1)中への溶解・分散安定性を考慮すると、イオン液体(C1)のアニオンが、イオン液体に非水混和性を与えるようなアニオンであることが好ましい。
前記イオン液体(C1)としては、前記アニオンの具体例と前記カチオンの具体例とを組み合わせたものを用いることができる。前記イオン液体(C1)としては、より具体的には、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(CAS番号:174899−82−2、例えば製造元がIonic Liquids Technologies GmbHの市販品を入手可能)、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(CAS番号:169051−76−7、例えば製造元がIoLiTec Ionic Liquids Technologies GmbHの市販品や製造元がMerck KGaAの市販品を入手可能)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(CAS番号:174899−83−3、例えば製造元がIoLiTec Ionic Liquids Technologies GmbHの市販品や製造元がMerck KGaAの市販品を入手可能)、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド(CAS番号:169051−77−8、例えば製造元がCovalent Associates Inc.の市販品を入手可能)、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(CAS番号:464927−84−2、例えば製造元が日清紡績株式会社で販売元が関東化学株式会社の市販品(製品番号:11468−55)を入手可能)、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(CAS番号:382150−50−7、例えば製造元がMerck KGaAの市販品を入手可能)、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(CAS番号:178631−04−4、例えば製造元が日清紡績株式会社で販売元が関東化学株式会社の市販品(製品番号:49514−85)を入手可能)、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(CAS番号:174899−90−2、例えば販売元が関東化学株式会社の市販品(製品番号:49515−52)を入手可能)、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(CAS番号:350493−08−2、例えば製造元がIoLiTec Ionic Liquids Technologies GmbHの市販品や製造元がMerck KGaAの市販品を入手可能)、エチルジメチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(CAS番号:258273−77−7、例えば製造元がMerck KGaAの市販品を入手可能)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート(CAS番号:377739−43−0、例えば製造元がMerck KGaAの市販品を入手可能)、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート(CAS番号:713512−19−7、例えば製造元がMerck KGaAの市販品を入手可能)、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(CAS番号:223437−11−4、例えば製造元がMerck KGaAの市販品を入手可能)、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート(CAS番号:851856−47−8、例えば製造元がMerck KGaAの市販品を入手可能)、メチルトリ−n−オクチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(CAS番号:375395−33−8、例えば製造元がMerck KGaAの市販品を入手可能)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムヘキサフルオロホスフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム[BR29303132、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム[BR29303132、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム[BR29303132、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム[BR29303132、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウム[BR29303132、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム[BR29303132、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム[BR29303132、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−シアノメチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N−ヘキシル−4−ジメチルアミノピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N−(3−ヒドロキシプロピル)ピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシエチルアンモニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、1−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、N−(3−ヒドロキシプロピル)ピリジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、N−(メトキシエチル)−N−メチルモルフォリウムトリス(ぺンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、1−(2−メトキシエチル)−1−メチル−ピロリジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、1−(メトキシエチル)−1−メチルピペリジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、1−(メトキシエチル)−1−メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N−(メトキシエチル)−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N−(メトキシエチル)−N−メチルモルフォリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)等が挙げられるが、これらに限定されない。これらイオン液体(C1)は、1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態においては、有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)のイオン液体(C1)中への溶解・分散の安定性を考慮すると、これらイオン液体(C1)のうち、有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)との間に「カチオン−π相互作用」を有するカチオンと、イオン液体に非水混和性を与えるアニオンとの組み合わせが好ましく、イオン液体(C1)としても非水混和性のものが好ましい。
前記イオン液体(C1)としては、上に挙げた具体例のうちで、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、エチルジメチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、およびメチルトリ−n−オクチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドが特に好ましい。
前記イオン液体(C1)の26℃における粘度は、通常は10mPa・s以上であり、好ましくは50mPa・s以上であり、より好ましくは70mPa・s以上である。これにより、より高い光波長変換効率を有する光波長変換要素を実現できる。
本実施形態の光波長変換要素に含まれてもよいイオン液体(C1)は、イオン液体をその9倍の体積の超純水で洗浄したときに、洗浄後の水のpHが5より大きくなるものであればより好ましい。これにより、より高い光波長変換効率およびより良好な経時安定性を有する光波長変換要素を実現できる。ここでいうイオン液体(C1)をその9倍の体積の超純水で洗浄したときにおける、洗浄後の水のpHの測定方法としては、イオン液体(C1)に対してその9倍の体積(体積比でその9倍量)の超純水を入れて撹拌した後に、水層を分離し、水層のpHを測定する方法を用いる。また、本明細書において、「超純水」とは、JIS K 0552の測定方法によって測定される電気抵抗率が15MΩ・cm以上の水を意味するものとする。
市販のイオン液体は、イオン液体をその9倍の体積の超純水で洗浄したときに洗浄後の水のpHが5以下の酸性を示すことが多い。そのような市販のイオン液体を使用する場合には、市販のイオン液体から不純物を除去することにより、その9倍の体積の超純水で洗浄したときに洗浄後の水のpHが5より大きくなるようなイオン液体(C1)を得ることができ、そのイオン液体(C1)を使用することができる。
前記イオン液体からの不純物除去方法としては、例えば、(1)イオン液体を活性炭で処理する方法、(2)イオン液体を水で洗浄する方法、(3)イオン液体を有機溶媒で洗浄する方法(例えば特開2012−144441号公報参照)、(4)イオン液体を溶媒に溶解させて溶液を得た後、前記溶液の温度を下げて前記イオン液体を溶液中から結晶させ、結晶した前記イオン液体を濾過により溶液から分離する方法(再結晶法;例えば特開2010−184902号公報参照)、(5)イオン液体を溶媒に溶解させて溶液を得た後、アルミナ等の充填剤を充填したカラムに前記溶液を通す方法(カラム法;例えば特開2005−314332号公報)、(6)イオン液体を金属水素化物で処理する方法(特開2005−89313号公報参照)等が挙げられる。これらの方法を複数組み合わせて使用してもよい。前記(2)の方法としては、例えば、イオン液体に水(好ましくは超純水)を加えて撹拌した後で水層を除去する洗浄処理を洗浄後の水のpHが5より大きくなるまで繰り返し、次いで、減圧下で加熱することにより水を留去する(乾燥する)方法を用いることができる。
イオン液体(C1)の含有量は特に限定されるものでは無く、光波長変換要素に含有される各成分の配合比率に応じた任意の量とすることができる。例えば、光波長変換要素に含まれるイオン液体(C1)以外の成分を微量にする場合は、光波長変換要素100質量部に対して、イオン液体(C1)をほとんど100質量部に近い割合で含有させることができる。
(深共晶溶媒(C2))
本実施形態の光波長変換要素は、深共晶溶媒(C2)を含んでもよい。三重項−三重項消滅(TTA)過程を示す組み合わせである有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)が深共晶溶媒(C2)中に溶解および/または分散されていると好ましい。深共晶溶媒(C2)は、前記TTA過程を示す組み合わせである有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)の媒体として作用し、その内部で有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)の拡散運動を許容することで、アップコンバージョン効率を大幅に高めることができる。
ここで、本明細書において、「深共晶溶媒」とは、塩と水素結合ドナーとの混合物であって、共晶により融点が大きく降下している混合物を意味する。ここで注意すべき点は、「深共晶溶媒」は、「イオン液体」とは全く別物であるということである。(両者は、まれに、学術誌・学会出版物等においても誤って混同されるときがあるため、両者が物質分類上別物であることをここに述べる。)すなわち、「イオン液体(ionic liquid)」は、「大野弘幸監修、『イオン液体II―驚異的な進歩と多彩な近未来―』、株式会社シーエムシー出版、2006年3月30日、p.4〜7」及び「R. D. Rogers and K.r. Seddon, “Ionic Liquids−solvents of the Future?” Science, vol.302, no.5646, p.792−793, 2003」に記載されているように、「イオンのみからなる液体」、「100%イオンからなる液体の電解質」、「完全にイオンから成るもの」などと定義されている物質である。すなわち、「深共晶溶媒」は水素結合ドナーを含む点において「イオンのみから成るものでない」ので、物質上の定義において、「イオン液体」ではない。この点を裏付けるものとして、例えば、非特許文献1のp.7109右列第11行目には、「(1)DES(深共晶溶媒の略称)は完全にイオン種からなるものではないこと、(2)DESは非イオン種からも得ることができることから、DESはIL(イオン液体の頭文字略称)とみなすことはできない。」と記載されている。
深共晶溶媒は、低揮発性及び難着火性は保持しつつ、イオン液体と比較してコストが飛躍的に低い(組成原料から判断し2〜3桁は低コストと考えられる)媒体である。そのため、本実施形態の光波長変換要素において深共晶溶媒と用いるとイオン液体を用いる場合に比べてコストの点で有利である。また、イオン液体は、一般に、生分解性が無いのに対し、深共晶溶媒は、一般に、生分解性を有する低環境負荷な原料で構成されることから、廃棄時の環境負荷の低い光アップコンバージョンフィルムを実現できる進歩点・利点を有している。
なお、本明細書において、「溶解および/または分散」とは、溶解および分散のいずれか一方をしているか、または溶解および分散を同時にしていることを意味するものとする。
深共晶溶媒(C2)としては、塩と水素結合ドナーとの混合物であって共晶により融点が大きく降下している混合物であればよく、常温(25℃)で液体のものであっても常温(25℃)で固体のものであってもよいが、常温(25℃)で固体の塩と常温(25℃)で固体又は液体の水素結合ドナーとの混合物であって常温(25℃)で液体の混合物が好ましい。前記深共晶溶媒(C2)を構成する塩としては、ハロゲン塩を用いることができ、前記ハロゲン塩としては非金属ハロゲン塩が好ましい。前記深共晶溶媒(C2)を構成する塩が非金属ハロゲン塩である場合、前記深共晶溶媒(C2)が、金属を含まないものとなるので、環境に優しく、普通の応用上、使用し易い。前記深共晶溶媒(C2)としては、常温(25℃)で固体の非金属ハロゲン塩と、常温(25℃)で固体又は液体の水素結合ドナーとの混合物であって、常温(25℃)で液体の混合物であることが特に好ましい。さらに、本実施形態の光波長変換要素に用いる深共晶溶媒(C2)は、光学的透明性の高い、常温(25℃)で液体の混合物であることが好ましい。
前記金属ハロゲン塩としては、例えば塩化亜鉛が挙げられる。前記非金属ハロゲン塩としては、特に限定されないが、例えば、第4級アンモニウムハライド、第4級ホスホニウムハライド、第3級アンモニウムハライド、第1級アンモニウムハライドなどが挙げられる。
前記第4級アンモニウムハライドとしては、特に限定されないが、例えば、塩化コリン、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウム、塩化テトラオクチルアンモニウム、アセチルコリンクロリド、クロロコリンクロリド、臭化テトラエチルアンモニウム、N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N−ジメチルベンゼンメタンアミニウムクロリド、フルオロコリンブロミド、臭化テトラブチルアンモニウムなどが挙げられる。
前記第4級ホスホニウムハライドとしては、例えば、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリドなどが挙げられる。前記第3級アンモニウムハライドとしては、例えば、2−(ジエチルアミノ)エタノール塩酸塩が挙げられる。前記第1級アンモニウムハライドとしては、例えば、エチルアミン塩酸塩が挙げられる。
前記水素結合ドナーとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、グリセリン、乳酸、酒石酸、ブドウ糖、ショ糖、キシロース、アスコルビン酸、クエン酸、尿素、チオ尿素、1−メチル尿素、1,3−ジメチル尿素、1,1−ジメチル尿素、アセトアミド、ベンズアミド、2,2,2−トリフルオロアセトアミド、イミダゾール、アジピン酸、安息香酸、マロン酸、シュウ酸、フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸、コハク酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、レブリン酸、イタコン酸、キシリトール、D−ソルビトール、D−イソソルビド、4−ヒドロキシ安息香酸、コーヒー酸、p−クマル酸、trans−ケイ皮酸、スベリン酸、没食子酸、レゾルシノール、ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール;蟻酸、酢酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、テチラコサン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、トリアコンタン酸、等の脂肪酸、などが挙げられる。
深共晶溶媒(C2)の含有量は特に限定されるものでは無く、光波長変換要素に含有される各成分の配合比率に応じた任意の量とすることができる。例えば、光波長変換要素に含まれる深共晶溶媒(C2)以外の成分を微量にする場合は、光波長変換要素100質量部に対して、深共晶溶媒(C2)をほとんど100質量部に近い割合で含有させることができる。
(酸化防止剤(D))
本実施形態の波長変換要素は、アップコンバージョン効率を高めるため、かつ/または、波長変換要素の光照射寿命を増大させるために、酸化防止剤(D)を含有してもよい。その具体例としては、フェノール系、芳香族アミン系、硫黄系、リン系、ビタミンE(トコフェロール)系、キノン系等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチルクレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリルβ−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール系;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデンンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のビスフノール系;テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−sec−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン等の高分子フェノール系等を挙げることができる。
芳香族アミン系酸化防止剤としては、P,P'-ジオクチルジフェニルアミン、フェニル-α-ナフチルアミン、フェノチアジン等を挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤としては、硫化油脂、ジベンジルジサルファイド、ジセチルサルファイド、テトラチアフルバレン系等を挙げることができる。このうちテトラチアフルバレン系が好ましく、例えばテトラチアフルバレン、ビス(カルボニルジチオ)テトラチアフルバレン、ビス(メチレンジチオ)テトラチアフルバレン、ビス(エチレンジチオ)テトラチアフルバレン、ビス(トリメチレンジチオ)テトラチアフルバレン、ジメチルテトラチアフルバレン、ホルミルテトラチアフルバレン、2,3,6,7−テトラキス(2−シアノエチルチオ)テトラチアフルバレン、テトラキス(メチルチオ)テトラチアフルバレン、テトラキス(エチルチオ)テトラチアフルバレン、テトラキス(ペンチルチオ)テトラチアフルバレン等を挙げることができる。
リン系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリオレイルホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ジエチルハイドロゲンホスファイト、ビス(2−エチルヘキシル)ハイドロゲンホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等を挙げることができる。
キノン系酸化防止剤としては、ナフトキノン、2−ヒドロキシナフトキノン、2−メチルナフトキノン、2−メトキシナフトキノン、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6,−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6,−テトラメチル−4−メトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6,−テトラメチル−4−フェノキシピペリジン−1−オキシル、ハイドロキノン、2−メチルハイドロキノン、2−メトキシハイドロキノン等を挙げることができる。
上記酸化防止剤(D)のうち、フェノール系、芳香族アミン系、硫黄系酸化防止剤が好ましい。
このうち分子内に硫黄または窒素を有する場合が好ましく、さらには分子内に環構造を少なくとも一つ有する場合がさらに好ましい。該環構造としては、脂肪族環であっても芳香族環であっても良く、また複素環であっても良い。当該環構造としては、5〜10員環である場合が好ましく、さらに好ましくは5〜8員環であり、特に好ましくは5〜6員環である。
また、該環構造として、下記式(12)又は(13)で表される環構造を有するものがさらに好ましい態様の一つである。
下記式(12)で表される骨格を有する化合物としては、例えばフェノール化合物、カテコール化合物、レゾルシノール化合物、ハイドロキノン化合物等を挙げることができる。
また、下記式(13)で表される骨格を有する化合物としては、例えばテトラチアフルバレン化合物を挙げることができ、具体的には、テトラチアフルバレン、ビス(カルボニルジチオ)テトラチアフルバレン、ビス(メチレンジチオ)テトラチアフルバレン、ビス(エチレンジチオ)テトラチアフルバレン、ビス(トリメチレンジチオ)テトラチアフルバレン、ジメチルテトラチアフルバレン、ホルミルテトラチアフルバレン、2,3,6,7−テトラキス(2−シアノエチルチオ)テトラチアフルバレン、テトラキス(メチルチオ)テトラチアフルバレン、テトラキス(エチルチオ)テトラチアフルバレン、テトラキス(ペンチルチオ)テトラチアフルバレン等を挙げることができる。
上記酸化防止剤(D)のうち、特に好ましいものは下記式(14)で表される化合物又は下記式(15)で表される化合物である。
(上記式(14)において、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有しても良いアルキル基又は置換基を有しても良いアルコキシ基を表す。)
(上記式(15)において、X〜Xはそれぞれ独立して、水素原子、ホルミル基、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシ基、置換基を有しても良いアルキルカルボニル基、置換基を有しても良いアルコキシカルボニル基、置換基を有しても良いアシルオキシ基又は置換基を有しても良いアルキルチオ基を表す。また、XとX、XとXは結合して環構造を形成していても良い。)
上記式(14)におけるR〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシ基を表す。
アルキル基とは、C1−C10の直鎖、分岐又は環状アルキル基を表し、好ましくはC1−C5アルキル基であり更に好ましくはメチル基又はエチル基である。
アルコキシ基とはC1−C10の直鎖、分岐又は環状アルコキシ基を表し、好ましくはC1−C5アルコキシ基であり更に好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
上記式(14)におけるR〜Rのアルキル基、又はアルコキシ基はさらに置換基を有してもよい。この置換基の例としてはハロゲン原子;シアノ基;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;アミノ基;ニトロ基;C1−C20アルコキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C20アルコキシ基;C1―C20アルキルチオ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C20アルキルチオ基;を表し、好ましくは、C1−C20アルコキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C20アルコキシ基;C1―C20アルキルチオ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C20アルキルチオ基であり、更に好ましくは、C1−C10アルキルチオ基である。
上記式(15)におけるX〜Xはそれぞれ独立して、水素原子、ホルミル基(−CHO)、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシ基、置換基を有しても良いアルキルカルボニル基、置換基を有しても良いアルコキシカルボニル基、置換基を有しても良いアシルオキシ基又は置換基を有しても良いアルキルチオ基を表す。また、XとX、XとXは結合して環構造を形成していても良い。
上記式(15)における置換基を有しても良いアルキル基とは好ましいものを含めて上記式(14)における置換基を有しても良いアルキル基と同じ意味を表す。
上記式(15)の置換基を有しても良いアルキルカルボニル基におけるアルキルとはC1−C10の直鎖、分岐又は環状アルキル基を表し、好ましくはC1−C5アルキル基であり更に好ましくはメチル基又はエチル基である。また当該アルキルは、さらに置換基を有しても良く、この置換基の例としてはハロゲン原子;シアノ基;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;アミノ基;ニトロ基;C1−C20アルコキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C20アルコキシ基;C1―C20アルキルチオ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C20アルキルチオ基;である。置換基を有しても良いアルキルカルボニル基として特に好ましいものはアセチル基である。
上記式(15)の置換基を有しても良いアルコキシカルボニル基におけるアルコキシとは、そのアルキル部分がC1−C10の直鎖、分岐又は環状アルキルであるものを表し、好ましくはC1−C5アルキルであり更に好ましくはメチル又はエチルである。また当該アルキルは、さらに置換基を有しても良く、この置換基の例としてはハロゲン原子;シアノ基;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;アミノ基;ニトロ基;C1−C20アルコキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C20アルコキシ基;C1―C20アルキルチオ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C20アルキルチオ基;である。置換基を有しても良いアルコキシカルボニル基として特に好ましいものはアセトキシカルボニル基である。
上記式(15)の置換基を有しても良いアシルオキシ基の場合、アシルに相当するアルキル部分がC1−C10の直鎖、分岐又は環状アルキルであるものを表し、好ましくはC1−C5アルキルであり更に好ましくはメチル又はエチルである。また当該アルキルは、さらに置換基を有しても良く、この置換基の例としてはハロゲン原子;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;アミノ基;ニトロ基;C1−C20アルコキシ基;シアノ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C20アルコキシ基;C1―C20アルキルチオ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C20アルキルチオ基;である。置換基を有しても良いアシルオキシ基として特に好ましいものはアセトキシ基である。
上記式(15)の置換基を有しても良いアルキルチオ基におけるアルキルとはC1−C10の直鎖、分岐又は環状アルキル基を表し、好ましくはC1−C5アルキル基であり更に好ましくはメチル基又はエチル基である。また当該アルキルは、さらに置換基を有しても良く、この置換基の例としてはハロゲン原子;シアノ基;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;アミノ基;ニトロ基;C1−C20アルコキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C20アルコキシ基;C1−C20アルキルチオ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C20アルキルチオ基;である。置換基を有しても良いアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、シアノエチルチオ基、ペンチルチオ基が好ましい。
上記式(15)においてXとX、XとXは結合して環構造を形成していても良い。
環構造は5〜8員環、好ましくは5〜7員環である場合が好ましく、当該環に、さらに硫黄原子を有する場合が好ましい。
上記酸化防止剤(D)としては、下記表6、7及び8に記載する化合物を好適に用いることができる。ただし、本実施形態における酸化防止剤(D)はこれらに限定されるものではない。
本実施形態の光波長変換要素中における酸化防止剤(D)の含有量は、特に制限はないが、光波長変換要素を100質量部とした場合、通常は0.000001〜10質量部であり、好ましくは0.00001〜5質量部であり、より好ましくは0.0001〜1質量部である。但し、本発明のアップコンバージョンフィルムの使用条件等を考慮し、必要により、通常よりも多くの添加量を必要とする場合がある。
さらに、本実施形態の光波長変換要素は、取り扱い時の利便性等を改善するために、イオン性や非イオン性のゲル化剤(E)、消泡剤、レベリング剤、光安定剤、重合禁止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤を添加することができる。
(ゲル化剤(E))
本実施形態の光波長変換要素は、前述したように、ゲル化剤(E)をさらに含んでいてもよい。なお、光波長変換要素がこのゲル化剤(E)を含む場合は、前述のイオン液体(C1)又は深共晶溶媒(C2)と併せて含まれる。前記構成の光波長変換要素は、ゲル化剤(E)を含むので、ゲル化剤(E)を含まない場合と比較して流動性が抑制されており、光アップコンバージョンフィルムからの光波長変換要素の漏洩が起こり難くなり、好ましい。
ゲル化剤(E)をさらに含む本実施形態の光波長変換要素は、ゲル状態となっていることが好ましい。この構成によれば、光アップコンバージョンフィルムからの光波長変換要素の漏洩がさらに起こり難くなり、好ましい。
前記ゲル化剤(E)としては、有機光増感分子(A)の吸光および有機発光分子(B)の発光を阻害しない程度の光透過性を有するゲルを形成できるものであれば特に限定されるものではないが、十分な光透過性を有するゲルを形成できることから、イオン性ゲル化剤、非イオン性重合体が好ましく、少ない添加量のゲル化剤(E)で簡便にゲルを形成できることから、イオン性ゲル化剤がより好ましい。
前記イオン性ゲル化剤としては、下記一般式(A)
(前記式中、Aは置換基を有してもよい芳香環を1個以上有する2価基又はシクロヘキサンジイル基を表し、Bは置換基を有してもよい炭素数が1〜10のアルキレン基を表し、Xは1価のアニオンを表し、nは各分子内では正の整数を表し、全分子のnの平均値が1〜800である)
で表される化合物が好ましい。
前記シクロヘキサンジイル基は、例えばシクロヘキサン−1,4−ジイル基である。前記一般式(A)中のBは、置換基を有してもよい炭素数が1〜6のアルキレン基であることが好ましく、置換基を有してもよい炭素数が2〜6のアルキレン基であることがより好ましい。前記アルキレン基が有してもよい置換基としては、メチル、エチル、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基等が挙げられる。前記一般式(A)中のBの具体例としては、例えば、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,4−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、2−ブテン−1,4−ジイル基等が挙げられる。
前記一般式(A)中のXとしては、限定されるものではないが、例えば、ハロゲン化物イオン(F、Cl、Br、又はI)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)アミドイオン、テトラフルオロホウ酸イオン(BF )、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF )、チオシアン酸イオン(SCN)、硝酸イオン(NO )、メト硫酸イオン(CHOSO )、炭酸水素イオン(HCO )、次亜リン酸イオン(HPO )、ハロゲンのオキソ酸イオン(YO 、YO 、YO 、又はYO;YはCl、Br、又はIを表す)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ジシアナミドイオン、酢酸イオン(CHCOO)、ハロゲン化酢酸イオン((CZ3−n)COO;ZはF、Cl、Br、又はIを表し、nは1、2、又は3である)、テトラフェニルホウ酸イオン(BPh )およびその誘導体(B(Aryl) ;Arylは置換フェニル基を表す)等が挙げられる。前記一般式(A)中のXとしては、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)アミドイオン、テトラフルオロホウ酸イオン(BF )が好ましい。
前記一般式(A)で表される化合物の好ましい例としては、下記一般式
(前記各式中、Bは、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、又は1,6−ヘキサレン基を表し、Xは、ハロゲン化物イオン(F、Cl、Br、又はI)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)アミドイオン、テトラフルオロホウ酸イオン(BF )、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF )、チオシアン酸イオン(SCN)、硝酸イオン(NO )、メト硫酸イオン(CHOSO‐)、炭酸水素イオン(HCO )、次亜リン酸イオン(HPO )、ハロゲンのオキソ酸イオン(YO 、YO 、YO 、又はYO;YはCl、Br、又はIを表す)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ジシアナミドイオン、酢酸イオン(CHCOO)、ハロゲン化酢酸イオン((CZ3−n)COO;ZはF、Cl、Br、又はIを表し、nは1、2、又は3である)、テトラフェニルホウ酸イオン(BPh )およびその誘導体(B(Aryl) ;Arylは置換フェニル基を表す)から選ばれる少なくとも1種を表し、nは各分子内では正の整数を表し、全分子のnの平均値が1〜800である)
で表される化合物、下記一般式
(前記各式中のBは、式(A1)〜(A6)中のBと同じものを表す)
で表される化合物、下記一般式
(前記各式中のBは、式(A1)〜(A6)中のBと同じものを表す)
で表される化合物等が挙げられる。
本実施形態の光波長変換要素におけるイオン性ゲル化剤の濃度は、イオン性ゲル化剤のnの値等にもよるが、通常0.3〜100g/Lであり、好ましくは0.5〜60g/Lであり、より好ましくは1〜20g/Lである。イオン性ゲル化剤の濃度が0.3g/L未満である場合、光波長変換要素が十分にゲル化しない恐れがある。イオン性ゲル化剤の濃度が100g/Lを超える場合、イオン性ゲル化剤により形成されるゲルの光透過性が低くなり、光波長変換要素の光波長変換特性が低下する恐れがある。
前記非イオン性重合体としては、後段で詳細に説明する重合反応により非イオン性重合体を形成可能な化合物の少なくとも1種の重合体を用いることができる。前記非イオン性重合体の吸光度は、低い方が好ましい。
ゲル化剤(E)を含む本実施形態の光波長変換要素は、ゲル化剤(E)がイオン性ゲル化剤である場合には、例えば、
(1)有機光増感分子(A)をイオン液体(C1)中に溶解および/または分散させてなる第1の溶液および/または分散液と、有機発光分子(B)をイオン液体(C1)中に溶解および/または分散させてなる第2の溶液および/または分散液と、イオン性ゲル化剤とイオン液体(C1)との混合物を揮発性有機溶媒に溶解させてなる液体状の混合物(溶液)とを用意し、前記第1の溶液および/または分散液に対して、前記第2の溶液および/または分散液と、前記液体状の混合物とを混合した後、揮発性有機溶媒を留去する方法、
(2)有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)をイオン液体(C1)中に溶解および/または分散させてなる溶液および/または分散液を、イオン性ゲル化剤とイオン液体(C1)との混合物(溶液又はゲル)に対して混合する方法、
(3)有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)をイオン液体(C1)中に溶解および/または分散させてなる溶液および/または分散液を、イオン性ゲル化剤を揮発性有機溶媒に溶解させてなる溶液と混合した後、揮発性有機溶媒を留去する方法、
等の方法を用いて製造することができる。
イオン性ゲル化剤とイオン液体(C1)との混合物がゲルである場合、前記(1)〜(3)の方法のうちでは、前記(1)の方法がより好ましい。前記(1)の方法では、イオン性ゲル化剤とイオン液体(C1)との混合物を液体状にして使用するので、高粘度でしばしば扱いにくい混合物をそのまま使用する前記(2)の方法と比較して、混合物が低粘度となっているためにハンドリングが容易となり、その結果、光波長変換要素中におけるイオン性ゲル化剤濃度の正確さを高めることができると共に、より均一度の高い光波長変換要素を得ることができる。
前記(1)の方法に使用する、イオン性ゲル化剤とイオン液体(C1)との混合物を揮発性有機溶媒に溶解させてなる液体状の混合物は、例えば、(i)イオン液体(C1)、揮発性有機溶媒、およびイオン性ゲル化剤を混合し、撹拌により均一化する方法、(ii)イオン性ゲル化剤とイオン液体(C1)との混合物を製造した後、この混合物に揮発性有機溶媒を加えて撹拌することにより均一化する方法等により製造することができる。(ii)の方法ではイオン性ゲル化剤とイオン液体(C1)との混合物を製造する段階で比較的高い温度(例えば140℃以上)での加熱がしばしば要されるのに対し、(i)の方法では非加熱で混合しても均一な混合物を得ることができ、混合物が高温に曝されて着色などの変質を起こすことを回避できるため、好ましい。
いずれにしても、ゲル化剤(E)がイオン性ゲル化剤である光波長変換要素の製造方法には様々な方法が考えられるが、光波長変換要素の製造工程中で、高温での加熱処理を必要としないこと、ゲル化剤混合物が均一化させやすく、精度よく秤量できること、また、有機光増感分子(A)、有機発光分子(B)などと均一に混合しやすいこと、を満たしている方法であれば良い。
前記(2)および(3)の方法に使用する有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)をイオン液体(C1)中に溶解および/または分散させてなる溶液および/または分散液は、例えば、有機光増感分子(A)を揮発性有機溶媒に溶解させて有機光増感分子(A)の溶液を調製し、また、有機発光分子(B)を揮発性有機溶媒に溶解させて有機発光分子(B)の溶液を調製し、その後、有機光増感分子(A)の溶液と、有機発光分子(B)の溶液と、イオン液体(C1)とを混合し撹拌により均一化させた後、揮発性有機溶媒を留去する方法によって製造することができる。
本実施形態の光波長変換要素の製造に用いる揮発性有機溶媒は、イオン性ゲル化剤を溶解および/または分散させることができるもの、かつ/またはイオン液体(C1)と均質かつ透明に混和できるものであることが好ましく、減圧下で痕跡量程度まで除去できるような揮発性を有するものであれば、特に制限はない。ここで、「痕跡量」とは、光吸収スペクトルの測定に基づいてイオン液体(C1)中に混在する揮発性有機溶媒をノイズレベル以下でしか検出できない量とする。前記揮発性有機溶媒は、イオン性ゲル化剤を溶解させることができる揮発性有機溶媒であることが好ましい。前記揮発性有機溶媒としては、例えば、メタノール等のアルコール系溶媒等を用いることができる。
ゲル化剤(E)が非イオン性重合体である場合には、例えば、(I)有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)が溶解および/または分散された、揮発性有機溶媒とイオン液体(C1)との混合液を、非イオン性重合体に含浸させた後、減圧下で揮発性有機溶媒を除去する方法、(II)前記の有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)をイオン液体(C1)中に溶解および/または分散させてなる溶液および/または分散液と、重合反応により非イオン性重合体を形成可能な化合物(以下「重合性化合物」と呼ぶ;後段で詳細に説明する)とを混合した後、前記重合性化合物の重合反応を行うことにより非イオン性重合体を形成する方法等の方法を用いて、光波長変換要素を製造することができる。
前記の有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を揮発性有機溶媒およびイオン液体(C1)中に溶解および/または分散させてなる溶液および/または分散液は、例えば、有機光増感分子(A)を揮発性有機溶媒に溶解させて有機光増感分子(A)の溶液を調製し、また、有機発光分子(B)を揮発性有機溶媒に溶解させて有機発光分子(B)の溶液を調製し、有機光増感分子(A)の溶液と、有機発光分子(B)の溶液と、イオン液体(C1)とを混合し撹拌により均一化する方法で製造することができる。また、有機光増感分子(A)の溶液と、有機発光分子(B)の溶液と、イオン液体(C1)とを混合する順序は特に限定されるものではなく、例えば、イオン液体(C1)に対して、有機発光分子(B)の溶液を混合した後、有機光増感分子(A)の溶液と有機発光分子(B)の溶液とを混合することもできる。
前記(I)の混合液においては、有機光増感分子(A)と有機発光分子(B)はそれぞれ、揮発性有機溶媒とイオン液体(C1)のどちらか一方のみに溶解および/または分散していてもよいし、任意の比率で揮発性有機溶媒とイオン液体(C1)の両方に溶解および/または分散していてもよい。
前記(II)の方法に用いる、有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)をイオン液体(C1)中に溶解および/または分散させてなる溶液および/または分散液は、通常公知の技術を用いて有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)をイオン液体(C1)中に溶解および/または分散させる方法によって製造することができる。前記方法において、必要に応じて、通常公知の技術を用いてその他の添加剤をイオン液体(C1)中で有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)に混合して、前記溶液および/または分散液を得てもよい。また、前記方法において、必要に応じて、超音波分散機、ビーズミル、ホモジナイザー、湿式ジェットミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、ロールミル、マイクロ波分散機等の公知の分散機を単独または組み合わせて使用し、有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を微粉砕、微分散して、前記溶液および/または分散液を得てもよい。
また、前記(II)の方法に用いる、有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)をイオン液体(C1)中に溶解および/または分散させてなる溶液および/または分散液を製造する第2の方法として、例えば、まず、有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を揮発性有機溶媒中に溶解および/または分散させ、次に、得られた溶液および/または分散体をイオン液体(C1)と撹拌混合して目視上均質かつ透明な溶液および/または分散体を生成させ、さらにその溶液および/または分散体から減圧下でこの揮発性有機溶媒を痕跡量以下まで除去する方法を用いることもできる。この方法は、均質かつ透明に混和した状態の光波長変換要素を得られやすく、安定性や光波長変換効率の高い光波長変換要素を得ることができるので、有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)をイオン液体(C1)中に溶解および/または分散させてなる溶液または分散液を得る方法としてより好ましい。
前記(I)の方法や前記第2の方法に用いる、揮発性有機溶媒は、有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を溶解および/または分散させることができ、かつイオン液体(C1)と均質かつ透明に混和でき、さらに減圧下で痕跡量程度まで除去できるような揮発性を有する有機溶媒であれば、特に制限はない。ここで、「痕跡量」とは、光吸収スペクトルの測定に基づいてイオン液体(C1)中に混在する揮発性有機溶媒をノイズレベル以下でしか検出できない量とする。前記揮発性有機溶媒は、有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を溶解させることができる揮発性有機溶媒であることが好ましい。前記揮発性有機溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系溶媒等を用いることができる。有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を溶解させることができる揮発性有機溶媒を使用する場合、その揮発性有機溶媒は有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)の溶解性に合わせて適宜選択できる。
前記(I)の方法や第2の方法における撹拌混合の手段としては、超音波、バブリング、撹拌機、液送ポンプ、粉砕機、ビーズミル、ホモジナイザー、湿式ジェットミル、マイクロ波等の公知の技術または装置を用いることができる。これらの手段は、1種を使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態の光波長変換要素において非イオン性重合体を用いる場合、十分にゲル化させるためにはイオン性ゲル化剤を用いる場合と比較してゲル化剤(E)の使用量が通常は多くなるが、光波長変換要素全体を100質量部とした場合のイオン液体(C1)の含有量は、通常10質量部以上であると好ましく、30質量部以上であるとさらに好ましい。
前記(I)の方法に用いる、非イオン性重合体としては、特に限定されるものではないが、有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)をイオン液体(C1)中に溶解および/または分散させてなる溶液または分散液を吸収して膨潤し易いことから、非イオン性のアクリル樹脂が好ましい。前記非イオン性のアクリル樹脂は、メチルメタアクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリレート((メタ)アクリル酸エステル)類を主成分とする非イオン性単量体の重合体である。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよび/又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリルおよび/又はメタクリルを意味するものとする。また、前記(I)の方法に用いる非イオン性重合体は、どのような形状であってもよいが、例えばフィルム形状とすることができる。
前記(II)の方法に用いる重合性化合物は、熱重合反応により非イオン性重合体を形成可能な化合物であってもよく、光重合反応により非イオン性重合体を形成可能な化合物であってもよい。
前記の熱重合反応により非イオン性重合体を形成可能な化合物としては、例えば、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の非イオン性の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の非イオン性の(メタ)アクリロニトリル類;スチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−シアノスチレン等の非イオン性のスチレン類;ビニルアセテート等の非イオン性のカルボン酸ビニル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の非イオン性の塩素含有単量体;アクリルアミド等の非イオン性の(メタ)アクリルアミド類;テトラフロオロエチレン等の非イオン性のフッ素含有単量体;メチルビニルケトン等の非イオン性のビニルケトン類;エチレン等のオレフィン類等の単量体が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリロニトリル」はアクリロニトリルおよび/又はメタクリロニトリルを意味するものとする。
これら化合物を用いて非イオン性の重合体を形成するには、前記の熱重合反応により非イオン性重合体を形成可能な化合物に、アゾ化合物、有機過酸化物等のラジカル熱重合開始剤等を添加して、前記化合物の熱重合反応を行えばよい。
また、前記の熱重合反応により非イオン性重合体を形成可能な化合物としては、他にも、エポキシ樹脂類が挙げられる。前記エポキシ樹脂類としては、例えば、脂肪族環状構造をもつエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、分子内に3個以上のエポキシ基を有する芳香族多官能エポキシ樹脂等を用いることができる。前記エポキシ樹脂類を用いて非イオン性重合体を形成するには、酸無水物、酸無水物誘導体、イミダゾール類等の塩基性硬化剤等を用いて前記エポキシ樹脂類を熱硬化すればよい。この方法では、硬化後の着色の少ない非イオン性重合体を得ることができる。
前記の光重合反応により非イオン性重合体を形成可能な化合物としては、例えば、ビニル基、ビニルエーテル基、アリル基、マレイミド基、(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する単量体が挙げられるが、中でも(メタ)アクリロイル基を有する単量体が、反応性の点で好ましい。前記の(メタ)アクリロイル基を有する単量体としては、例えば、構造中に(メタ)アクリロイル基を一つ有する単官能(メタ)アクリレート単量体;(メタ)アクリロイル基を2つ有する2官能(メタ)アクリレート単量体;3つ以上のアクリロイル基を有する3官能以上の多官能(メタ)アクリレート単量体等の(メタ)アクリレート単量体が挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイルおよび/又はメタクリロイルを意味するものとする。
前記単官能(メタ)アクリレート単量体としては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(ポリ)エトキシ(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルチオエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、フェニルフェノール(ポリ)エトキシ(メタ)アクリレート、フェニルフェノールエポキシ(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。なお、本明細書において、「(ポリ)エトキシ」はエトキシおよび/又はポリエトキシを意味するものとする。
前記2官能(メタ)アクリレート単量体としては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬株式会社製のKAYARAD(登録商標)HX−220、KAYARAD(登録商標)HX−620等)等を挙げることができる。
前記の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート単量体としては、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
さらには、前記の(メタ)アクリロイル基を有する単量体として、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記の光重合反応により非イオン性重合体を形成可能な化合物を用いて非イオン性重合体を形成するには、前記の光重合反応により非イオン性重合体を形成可能な化合物に、ベンゾイン類、アセトフェノン類、アントラキノン類、チオキサントン類、ケタール類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキサイド類等の1種または2種以上の光重合開始剤を添加し、紫外線を照射することで前記化合物の光重合反応を行えばよい。
本実施形態の光波長変換要素は、ポリマー中に有機光増感分子(A)および有機光発光分子(B)を溶解及び/又は分散させたものであっても良い。これは、重合性化合物中に上記(A)及び(B)を溶解及び/又は分散させ、光及び/又は熱で重合させたものである。
上記重合性化合物としては、透明なポリマーを形成しうる化合物である場合が好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ) アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。光重合性化合物は、単独または2種以上を混合して用いることができる。
上記重合性化合物を重合する為には、光ラジカル重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤が用いられる。
光ラジカル重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、または2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、またはベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、または3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、または2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、または2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン−1−〔4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、またはO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。光重合開始剤は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
上記熱ラジカル重合開始剤は加熱によりラジカルを生じ、連鎖重合反応を開始させる化合物であれば特に限定されないが、有機過酸化物、アゾ化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾインエーテル化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾピナコール等が挙げられ、ベンゾピナコールが好適に用いられる。例えば、有機過酸化物としては、カヤメックRTMA、M、R、L、LH、SP-30C、パーカドックスCH−50L、BC−FF、カドックスB−40ES、パーカドックス14、トリゴノックスRTM22−70E、23−C70、121、121−50E、121−LS50E、21−LS50E、42、42LS、カヤエステルRTMP−70、TMPO−70、CND−C70、OO−50E、AN、カヤブチルRTMB、パーカドックス16、カヤカルボンRTMBIC−75、AIC−75(化薬アクゾ株式会社製)、パーメックRTMN、H、S、F、D、G、パーヘキサRTMH、HC、パTMH、C、V、22、MC、パーキュアーRTMAH、AL、HB、パーブチルRTMH、C、ND、L、パークミルRTMH、D、パーロイルRTMIB、IPP、パーオクタRTMND、(日油株式会社製)などが市販品として入手可能である。また、アゾ化合物としては、VA−044、V−070、VPE−0201、VSP−1001(和光純薬工業株式会社製)等が市販品として入手可能である。上記熱ラジカル重合開始剤として特に好適なものは分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)又は窒素−窒素結合(−N=N−)を有さない熱ラジカル重合開始剤である。分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)や窒素−窒素結合(−N=N−)を有する熱ラジカル重合開始剤は、ラジカル発生時に多量の酸素や窒素を発するため、本実施形態の波長変換要素中に気泡を残した状態で重合し、特性を低下させる虞がある。ベンゾピナコール系の熱ラジカル重合開始剤(ベンゾピナコールを化学的に修飾したものを含む)が特に好適である。具体的には、ベンゾピナコール、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラ(4−メチルフェニル)エタン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラ(4−メトキシフェニル)エタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリエチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン等、が挙げられ、好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンであり、さらに好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンであり、特に好ましくは1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンである。
本実施形態の光波長変換要素は、更に増感剤を含有しても良い。上記増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体またはミヒラーケトン誘導体、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’または4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。増感剤は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
本実施形態の光波長変換要素は、その水分量が、1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることがさらに好ましく、0.001質量%以下であることが最も好ましい。これにより、より高い光波長変換効率を有する光アップコンバージョンを実現できる。
また、本実施形態の光波長変換要素は、その酸素濃度が、100質量ppm以下であることが好ましく、10質量ppm以下であることがより好ましく、1質量ppm以下であることがさらに好ましく、0.1質量ppm以下であることが最も好ましい。これにより、より高い光波長変換効率を有する光アップコンバージョンを実現できる。
本実施形態の光波長変換要素は、通常公知の技術を用いて有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)をイオン液体(C1)、深共晶溶媒(C2)、有機溶媒(C3)等の媒体中に溶解および/または分散させる方法によって製造することができる。前記方法において、必要に応じて、通常公知の技術を用いてその他の添加剤を媒体中で有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)に混合してもよい。また、前記方法において、必要に応じて、超音波分散機、ビーズミル、ホモジナイザー、湿式ジェットミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、ロールミル、マイクロ波分散機等の公知の分散機を単独または組み合わせて使用し、有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を微粉砕、微分散してもよい。
また、本実施形態の光波長変換要素を製造する他の方法として、例えば、まず、有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を揮発性有機溶媒中に溶解および/または分散させ、次に、得られた溶液および/または分散体をイオン液体(C1)又は深共晶溶媒(C2)と撹拌混合して目視上均質かつ透明な溶液および/または分散体を生成させ、さらにその溶液および/または分散体から減圧下でこの揮発性有機溶媒を痕跡量以下まで除去する方法を用いることもできる。この方法は、均質かつ透明に混和した状態の光波長変換要素を得られやすく、安定性や光波長変換効率の高い光波長変換要素を得ることができるので、本実施形態の光波長変換要素を得る方法としてより好ましい。
前記方法に用いる揮発性有機溶媒は、有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を溶解および/または分散させることができ、かつイオン液体(C1)又は深共晶溶媒(C2)と均質かつ透明に混和でき、さらに減圧下で痕跡量程度まで除去できるような揮発性を有する有機溶媒であれば、特に制限はない。ここで、「痕跡量」とは、光吸収スペクトルの測定に基づいてイオン液体(C1)又は深共晶溶媒(C2)中に混在する揮発性有機溶媒をノイズレベル以下でしか検出できない量とする。前記揮発性有機溶媒は、有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を溶解させることができる揮発性有機溶媒であることが好ましい。前記揮発性有機溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系溶媒等を用いることができる。有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を溶解させることができる揮発性有機溶媒を使用する場合、その揮発性有機溶媒は有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)の溶解性に合わせて適宜選択できる。
前記撹拌混合の手段としては、超音波、バブリング、撹拌機、液送ポンプ、粉砕機、ビーズミル、ホモジナイザー、湿式ジェットミル、マイクロ波等の公知の技術または装置を用いることができる。これらの手段は、1種を使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記光アップコンバージョンフィルムは、例えば、光波長変換要素を第一の基体および第二の基体で作成したセル中に注入し、必要に応じてその酸素濃度が100質量ppm以下となるまで脱酸素処理を行った後、セルを封止する方法によって得ることができる。前記脱酸素処理の方法としては、例えば、ロータリーポンプやターボ分子ポンプ等の真空ポンプを用いて光波長変換要素を減圧処理する方法、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスを光波長変換要素中にバブリングさせる方法、光波長変換要素を凍結させた後で真空ポンプを用いて減圧処理(真空脱気)する方法(凍結真空脱気法)等が挙げられる。
前記セルは、第一および第二の基体の少なくとも一方に窪み部を設け、第一およい第二の基体の少なくとも一方に接着性を持たせることで、スペーサーを介することなく作成することができる。スペーサーを介してセルを作成する場合は、第一及び第二の基体の双方に窪み部がなくても、光波長変換要素を注入する領域を設けることができる。当該スペーサーは、例えば第一または第二の基体上にディスペンサー、スクリーン印刷機、インクジェット印刷機等により塗布する方法や、第一または第二の基体上にあらかじめ成型されたフィルム状のスペーサーをのせて接着させる方法等により、切れ目のない堰として設けることができる。
前記セルは、例えば、第一または第二の基体の片面にスペーサーを設け、その上に第一または第二の基体をのせて、光波長変換要素の注入口を残しつつ接着することで作成することができる。この際、スペーサーの内側に、メッシュ状の基体を設置して、第一または第二の基体をのせて、光波長変換要素の注入口を残しつつ接着することで作成することもできる。ガスバリアフィルムは、光波長変換要素の注入前または注入後のいずれの時に設けてもよい。
本実施形態に係る光アップコンバージョンフィルムは、例えば、
一方の面が接着性を有する第一の基体の接着面の周辺部に、一方の面が接着性を有するスペーサーを、第一の基体の向きに接着面がくるようにのせる工程、
第一の基体の接着面の中央部で、スペーサーが存在していない部分にメッシュ状の基体をのせて、第一の基体にスペーサーおよびメッシュ状の基体を接着して、中間基体を得る工程、
一方の面が接着性を有する第二の基体を、その接着面がスペーサーおよびメッシュ状の基体に接触するように中心を合わせて中間基体にのせ、メッシュ領域と、光波長変換要素の注入口とを除いて接着して、セルを得る工程、
不活性ガス雰囲気下にて、光波長変換要素をセルに注入し、減圧乾燥する工程、
不活性ガス雰囲気下にて、メッシュ領域および注入口を接着して、封止基体を得る工程、
ガスバリアフィルムを、封止基体の少なくとも一面にのせ、第一または第二の基体の露出している接着面で接着する工程、
に従って製造することができる。
図1は、本実施形態の一例である光アップコンバージョンフィルムを示す断面模式図である。当該光アップコンバージョンフィルムは、第一の基体1、第二の基体2、並びに第一および第二の基体1,2の間隙に挟持され、封止された光波長変換要素3およびメッシュ状の基体4を有し、第一および第二の基体1,2の光波長変換要素3と接触する面の周辺部に設けられたスペーサー5を有し、第二の基体2の光波長変換要素3と接触する面の反対側の面にガスバリアフィルム6を有している。第一の基体1及び第二の基体2は共に樹脂製の基体である。
また、図2は、本実施形態の一例である光アップコンバージョンフィルムを示す断面模式図である。当該光アップコンバージョンフィルムは、第一の基体1、第二の基体2、並びに第一および第二の基体1,2の間隙に挟持され、封止された光波長変換要素3およびメッシュ状の基体4を有し、第一および第二の基体1,2の光波長変換要素3と接触する面の周辺部に設けられたスペーサー5を有している。第一の基体1及び第二の基体2は共に樹脂製の基体である。
また、図3は、本実施形態の一例である光アップコンバージョンフィルムを示す断面模式図である。当該光アップコンバージョンフィルムは、第一の基体1A、第二の基体2、並びに第一および第二の基体1A,2の間隙に挟持され、封止された光波長変換要素3およびメッシュ状の基体4を有し、第一および第二の基体1A,2の光波長変換要素3と接触する面の周辺部に設けられたスペーサー5を有している。第一の基体1Aは金属製の基体で反射板であり、第二の基体2は樹脂製の基体である。
また、図4は、本実施形態の一例である光アップコンバージョンフィルムを示す断面模式図である。当該光アップコンバージョンフィルムは、第一の基体1、第一の基体より小さい第二の基体2、並びに第一および第二の基体1,2の間隙に挟持され、封止された光波長変換要素3およびメッシュ状の基体4を有し、第一および第二の基体1,2の光波長変換要素3と接触する面の周辺部に設けられたスペーサー5を有し、第二の基体2の光波長変換要素3と接触する面の反対側の面、第二の基体2およびスペーサー5の側面並びに第一の基体1の光波長変換要素3と接触する面のうち光波長変換要素3およびスペーサー5に接触していない部分上にガスバリアフィルム6を有している。第一の基体1及び第二の基体2は共に樹脂製の基体である。また図5は、当該光アップコンバージョンフィルムを示す斜視図であり、図6は当該光アップコンバージョンフィルムを示す断面斜視図である。
また、図7は、本実施形態の一例である光アップコンバージョンフィルムを示す断面模式図である。当該光アップコンバージョンフィルムは、第一の基体1、第一の基体1より大きい第二の基体2、並びに第一および第二の基体1,2の間隙に挟持され、封止された光波長変換要素3およびメッシュ状の基体4を有し、第一および第二の基体1,2の光波長変換要素3と接触する面の周辺部に設けられたスペーサー5を有し、第二の基体2は、スペーサー5の側面並びに第一の基体1の光波長変換要素3と接触する面のうち光波長変換要素3およびスペーサー5に接触していない部分に接触している。第一の基体1及び第二の基体2は共に樹脂製の基体である。
前記光波長変換要素は、その酸素濃度が、100質量ppm以下の状態で前記セル中に封入されていることが好ましく、10質量ppm以下の状態で前記セル中に封入されていることがより好ましく、1質量ppm以下の状態で前記セル中に封入されていることがさらに好ましく、0.1質量ppm以下の状態で前記セル中に封入されていることが最も好ましい。
以上、本発明に係る光アップコンバージョンフィルムの実施形態について詳細に説明したが、続いて本発明に係る光アップコンバージョンフィルムの別の実施形態(以下、第二の実施形態とする。また、前述の実施形態を第一の実施形態とする。)について説明する。
第二の実施形態に係る光アップコンバージョンフィルムは、第一の基体と第一の基体の少なくとも一方の面に光波長変換要素とを有し、光波長変換要素は、三重項−三重項消滅過程を示す組み合わせである有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を含む、光アップコンバージョンフィルムである。
第一の基体、有機光増感分子(A)及び有機発光分子(B)は、第一の実施形態に係る光アップコンバージョンフィルムにおいて挙げたものを使用することができる。ただし、第一の基体は光波長変換要素を封止することができるものに限られず、例えばフィルム状、シート状、凹型の窪み部分を備える形状など、様々な態様を取り得る。第一の基体は、樹脂製、金属製又はガラス製であると好ましい。
第二の実施形態に係る光アップコンバージョンフィルムは、光波長変換要素がイオン液体(C1)又は深共晶溶媒(C2)を含むと好ましく、さらに光波長変換要素がゲル化剤(E)を含むと好ましい。さらに酸化防止剤(D)を含むとより好ましい。
光波長変換要素がイオン液体(C1)又は深共晶溶媒(C2)を含みつつ、さらにゲル化剤(E)を含むと、光波長変換要素の粘度を大きくすることができる。それにより、封止しなくても、第一の基体上にゲル状物として光波長変換要素を形成することができる。さらに酸化防止剤(D)を含むとアップコンバージョン効率を高めることができる。
イオン液体(C1)、深共晶溶媒(C2)及びゲル化剤(E)、酸化防止剤(D)は、第一の実施形態に係る光アップコンバージョンフィルムにおいて挙げたものを使用することができる。
さらに、第二の実施形態に係る光波長変換要素は、取扱い時の利便性等を改善するために、消泡剤、レベリング剤、光安定剤、重合禁止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤を添加することができる。これらの具体例としては、第一の実施形態に係るアップコンバージョンフィルムにおいて挙げたものを使用することができる。
第二の実施形態に係る光アップコンバージョンフィルムは、例えば、
光波長変換要素を調製する工程、
第一の基体上に光波長変換要素の塗布領域を作成する工程、
作成した塗布領域に光波長変換要素を塗布する工程、
に従って製造することができる。
続いて本発明に係る光アップコンバージョンフィルムのさらに別の実施形態(以下、第三の実施形態とする。)について説明する。
第三の実施形態に係る光アップコンバージョンフィルムは、三重項−三重項消滅過程を示す組み合わせである有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を含む光波長変換要素のみからなる、光アップコンバージョンフィルムである。
有機光増感分子(A)及び有機発光分子(B)は、第一の実施形態に係る光アップコンバージョンフィルムにおいて挙げたものを使用することができる。
第三の実施形態に係る光アップコンバージョンフィルムは、光波長変換要素がイオン液体(C1)又は深共晶溶媒(C2)を含むと好ましく、さらに光波長変換要素がゲル化剤(E)を含むと好ましく、さらに酸化防止剤(D)を含むとより好ましい。
光波長変換要素がイオン液体(C1)又は深共晶溶媒(C2)を含みつつ、さらにゲル化剤(E)を含むと、光波長変換要素の粘度を大きくすることができる。それにより、封止しなくても、ゲル状物として光波長変換要素を形成することができる。さらに酸化防止剤(D)を含むとアップコンバージョン効率を高めることができる。
イオン液体(C1)、深共晶溶媒(C2)及びゲル化剤(E)、酸化防止剤(D)は、第一の実施形態に係る光アップコンバージョンフィルムにおいて挙げたものを使用することができる。
さらに、第三の実施形態に係る光波長変換要素は、取扱い時の利便性等を改善するために、消泡剤、レベリング剤、光安定剤、重合禁止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤を添加することができる。これらの各種添加剤は、第一の実施形態に係るアップコンバージョンフィルムにおいて挙げたものを使用することができる。
第三の実施形態に係る光アップコンバージョンフィルムは、例えば、
光波長変換要素を調製する工程、
第一の基体上に光波長変換要素の塗布領域を作成する工程、
作成した塗布領域に光波長変換要素を塗布する工程、
塗布した光波長変換要素を第一の基体から剥離する工程、
に従って製造することができる。
第一の基体は、第一の実施形態に係るアップコンバージョンフィルムにおいて挙げたものを使用することができる。ただし、第一の基体は光波長変換要素を封止することができるものに限られず、例えばフィルム状、シート状、凹型の窪み部分を備える形状など、様々な態様を取り得る。光波長変換要素を剥離するために、第一の基体を公知の技術により剥離処理をして用いても良い。
上記の実施形態に係る光アップコンバージョンフィルムは、太陽電池、光触媒、光触媒型水素・酸素発生装置に利用することができる。
本発明の太陽電池は、光波長変換要素からなる本発明の光アップコンバージョンフィルムを用いたものである。
本発明の太陽電池の一例を、図8に基づいて説明する。本発明の一例に係る太陽電池は、図8に示すように、光電変換層(太陽電池層)7と、光電変換層7における光入射側の面上に配設された短冊状の受光面電極13と、光電変換層7における光入射側の面の裏面上に積層された透明背面電極8と、透明背面電極8における光入射側の面の裏面上に積層された透明絶縁膜9と、透明絶縁膜9における光入射側の面の裏面上に積層された、本発明の光アップコンバージョンフィルム10における光入射側の面の裏面上に積層された光反射膜11とを備えている。
光電変換層7としては、特に限定されるものではなく、色素増感太陽電池や有機薄膜太陽電池等の有機系光電変換層、化合物半導体系光電変換層、シリコン系光電変換層等を用いることができる。
受光面電極13および光反射膜11は、Ag、Al、Ti、Cr、Mo、W、Ni、Cu等の金属で形成することができる。透明背面電極8は、ITO(酸化インジウムスズ)、SnO、ZnO等の透明導電体で形成することができる。透明絶縁膜9は、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、およびポリエーテルニトリル等の樹脂で形成することができる。
図8の構成では、特に有機光増感分子(A)が500〜700nmの範囲内に吸収極大波長を有する場合等に、太陽からの入射光12を、アップコンバージョンフィルム10がアップコンバートする(より短い波長の光に変換する)ことにより、光電変換層7が発電に使用できる波長範囲の光の強度を高めて、太陽電池の発電効率をさらに高めることができる。
なお、図8の構成では、アップコンバージョンフィルム10を透明絶縁膜9と光反射膜11との間に配置していたが、アップコンバージョンフィルム10の配置位置を、受光面電極13における光入射側等のような他の配置位置に変更してもよい。その場合には、アップコンバージョンフィルム10と受光面電極13との間に透明絶縁膜9を設けてもよい。
また、図8の太陽電池において、受光面電極13を、光電変換層7における光入射側の面の全体に形成された透明電極に置き換えてもよい。また、図6の太陽電池において、透明絶縁膜9を省略してもよい。また、図6の太陽電池において、アップコンバージョンフィルム10の配置位置を受光面電極13における光入射側に変更し、かつ透明絶縁膜9を省略した場合には、透明背面電極8を光反射電極に置き換えて光反射膜11を省略してもよい。
本発明の光触媒は、本発明の光アップコンバージョンフィルムを用いたものである。例えば、図8の太陽電池における受光面電極13、光電変換層7、透明背面電極8、および透明絶縁膜9に代えて、光触媒層を配置することにより、光触媒を実現することができる。
本発明の一例に係る光触媒は、図9に示すように、光触媒が添加された水16(光触媒層)が収容され、光触媒が添加された水16以外の空間にガス15が充填されたガラスチャンネル14と、ガラスチャンネル14の側面上および底面上に形成されたアップコンバージョンフィルム10と、アップコンバージョンフィルム10の外側の面上に形成された光反射膜11と、光反射膜11を支持するために光反射膜11の外側の面上に形成された機械的支持体17とを備えている。
また、図9の構成では、特に有機光増感分子(A)が500〜700nmの範囲内に吸収極大波長を有する場合等に、太陽からの入射光12を、アップコンバージョンフィルム10がアップコンバートする(より短い波長の光に変換する)ことにより、水16に添加された光触媒が触媒反応に使用できる波長範囲の光の強度を高めて、光触媒の変換効率をさらに高めることができる。
本発明の光触媒型水素・酸素発生装置は、本発明の光アップコンバージョンフィルムを用いたものである。例えば、図8の太陽電池における受光面電極13、光電変換層7、透明背面電極8、および透明絶縁膜9に代えて、光触媒層を配置することにより、光触媒型水素・酸素発生装置を実現することができる。
なお、本発明の光アップコンバージョンフィルム並びにこれを用いた太陽電池、光触媒および光触媒型水素・酸素発生装置等の物品においては、光波長変換要素の酸素濃度を低減するために酸素ゲッターを共存させてもよい。また、本発明の光アップコンバージョンフィルム並びにこれを用いた太陽電池、光触媒および光触媒型水素・酸素発生装置等の物品においては、光波長変換要素の酸素濃度を低減するために水吸収材料を共存させてもよい。
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
〔光波長変換要素の作成〕
有機光増感分子(A)としてメソ−テトラフェニル−テトラベンゾポルフィリンパラジウム(CAS番号:119654−64−7)および有機発光分子(B)としてペリレン(CAS番号:198−55−0)をトルエンに溶解した。内容量約8mLのガラスバイアル瓶内にこのトルエン溶液をいれ、真空容器内、室温下でスクロールポンプ(製造元:エドワーズ株式会社、型番:XDS35i、設計到達圧力:1Pa以下)を用いて約1時間真空引きを行い、揮発分であるトルエンを痕跡量以下まで除去し、有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)の混合粉末を得た。
混合粉末が入ったガラスバイアル瓶を、循環グローブボックスにいれ、アルゴン雰囲気下にて、非水混和性のイオン液体である1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(CAS番号:350493−08−2、製造元:IoLiTec Ionic Liquids Technologies GmbH、以下「イオン液体#1」と称する)をガラスバイアル瓶に入れ蓋をし、約60℃〜70℃で加熱撹拌した。混合粉末がイオン液体#1に溶解したことを確認した後、引き続き循環グローブボックス内でバイアル瓶の蓋を空け、約40℃で加熱撹拌しながら減圧することで、脱酸素・脱水を行い、光波長変換要素を得た。当該光波長変換要素は、有機光増感分子(A)を1.5×10−4M、有機発光分子(B)を4.5×10−3Mの濃度で含有する組成とした。
〔光アップコンバージョンフィルムの作成〕
略正方形のメッシュ構造を有し、メッシュ間隔が約2mmである25mm×25mmの交点融着メッシュ(Diomesh 12−215PPNW,ダイオ化成株式会社製;直径100〜105μmのポリプロピレン繊維をポリエチレンで覆い、全体で直径約210μmとした樹脂繊維によりメッシュを形成しているもの)を2枚のPETフィルムで挟み、あらかじめハンドホットプレス(HHP−2D、林工業株式会社製)を用いて、130℃、64kgf(約10kgf/cm)にて一分間プレスして平坦化した。平坦化した交点融着メッシュの厚さは200〜210μmであり、平坦化前の厚さ340μmよりも薄くなった。
続いて41mm×41mmのラミネートフィルム(EVA/PE/PET三層構造フィルム、LZ−A4100、アイリスオーヤマ製、厚さ100μm)の上面カバーの接着面に、同じ41mm×41mmのラミネートフィルムでその中心部を27mm×27mmの大きさに切抜いたスペーサーを、上面カバーの向きに接着面がくるようにのせ、その切抜き部分にあらかじめ平坦化した25mm×25mmの交点融着メッシュをのせ、前記ハンドホットプレスを用いて、110℃、16kgf(約1kgf/cm)にて一分間プレスした。
上面カバーにスペーサーおよび交点融着メッシュをのせた基体に、51mm×51mmの同じラミネートフィルムの下面カバーを、その接着面が基体の向きになるように中心を合わせてのせ、メッシュ領域と、光波長変換要素の注入口とを除いて、前記ハンドホットプレスを用いて、110℃で接着した。光波長変換要素の注入口は、スペーサーの1隅を接着せずに開放した部分とした。
作成した基体を循環グローブボックスにいれ、アルゴン雰囲気下にて、シリンジを用いて光波長変換要素を注入し、その後室温で20分間真空引きをした。続いてアルゴン雰囲気下にて、得られた基体を、上記ハンドホットプレス上に下面カバーを下にしてのせ、ハンドホットプレスの下面を110℃、上面を50℃に設定し、16kgf(約2.6kgf/cm)にて、メッシュ領域を一分間プレスし、その後注入口をプレスした。なお、基体の上下面には、25mm×25mm、厚さ3mmのアルミ板をかませてプレスした。
プレス後、アセトンで基体に付着した光波長変換要素を洗浄し、51mm×51mmのガスバリアフィルム(厚さ約10μm、PETフィルムの片面を酸化アルミ蒸着、コロナ処理したフィルム、酸素透過率:0.1cc/m・day、水分子透過率:0.3g/m・day、VM−PET1011SB−R2、東レフィルム加工株式会社製)を、基体の下面カバーの露出している接着面に接触するようにのせ、前記ハンドホットプレスを用いて、110℃で接着し、実施例1の光アップコンバージョンフィルムを得た。
(実施例2)
光波長変換要素の作成において、酸化防止剤としてテトラチアフルバレン(CAS番号 31366−25−3;東京化成工業株式会社製)を有機光増感分子および有機発光分子と共にトルエンに溶解し、酸化防止剤を1.0×10−3Mの濃度で含有する光波長変換要素を調製した以外は、実施例1と同様の条件で、実施例2の光アップコンバージョンフィルムを作成した。
(実施例3)
ゲル化剤として、下記式
で表される化合物、すなわちポリ[(ジメチルイミノ)ヘキサン−1,6−ジイル(ジメチルイミノ)メチレン−1,4−フェニレンカルボニルイミノトランス−シクロヘキサン−1,4−ジイルイミノカルボニル−1,4−フェニレンメチレンビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド](以下、「イオン性ゲル化剤♯1」と称する)を7g/Lの濃度で含有する以外は実施例1と同様の光波長変換要素を作成し、実施例1と同様の方法により実施例3の光アップコンバージョンフィルムを作成した。
なお、イオン性ゲル化剤♯1はJun’ichi Nagasawa, et al., ACS Macro Lett., 2012, 1 (9), p. 1108−1112に記載の方法で合成した。得られたイオン性ゲル化剤♯1の重合度nは、重量平均分子量から換算した値が約62である。得られたイオン性ゲル化剤♯1の同定は、以下のNMRスペクトルにより行った。
H NMR(400MHz,DMSO−d):δ 1.28−1.55(m,8H),1.75−1.98(m,8H),2.95(s,12H),3.22−3.37(m,4H),3.75−3.88(m,2H),4.56(s,4H),7.64(d,J=7.4Hz,4H),7.99(d,J=7.4Hz,4H),8.40(d,J=6.9Hz,2H)ppm
光波長変換要素の作成は、まずイオン性ゲル化剤♯1を40g/Lの濃度で含有するイオン液体#1(以下、「ゲルストック1」と称する)を下記の手段に従い調製してから、実施した。
まず、ガラス製のバイアル瓶(内容量8mL)内に、イオン性ゲル化剤♯1を16mg入れ、そこにメタノール150μlを滴下した。次に、バイアル瓶の蓋を閉め、バイアル瓶を80℃に設定されたホットプレート上で20分間加熱した。次に、バイアル瓶内に、精製済みのイオン液体#1を400μl加えた。その後すぐに、バイアル瓶の内容物を、ガラス製のパスツールピペット(製造元:Fisher Scientific Inc.、製品番号:5−5351−01)を用いて「吸い・吐き」を繰り返し行うことにより均一に混和させた後、バイアル瓶の蓋を閉め、超音波バスソニケーター(製造元:Branson Ultrasonics Corp.、型番:Model3510)を用いて15分間超音波分散を行った。次に、バイアル瓶を80℃に設定されたホットプレート上で10分間加熱した。続いて、バイアル瓶から蓋を外し、バイアル瓶を真空乾燥オーブン(製造元:ヤマト科学株式会社、型番:ADP200)に入れて90℃で2時間真空加熱した。バイアル瓶を80℃まで降温させてから真空乾燥オーブンから取り出し、バイアル瓶の蓋を閉め、暗所にて一晩保存し放冷した。これにより、イオン性ゲル化剤♯1を40g/Lの濃度で含有するゲルストック1を得た。
ゲルストック1が入ったバイアル瓶(以下、「ゲルストックバイアル瓶」と呼ぶ)と、試料溶液が入ったバイアル瓶(以下、「試料バイアル瓶」と呼ぶ)とを、80〜90℃に設定されたホットプレート上に置き、3〜10分間予熱した。次に、試料バイアル瓶内の試料溶液に、ゲルストックバイアル瓶から分取したゲルストック1を加え、試料バイアル瓶の内容物を、ガラス製のパスツールピペットを用いて「吸い・吐き」を繰り返し行うことにより均一に混和させた。次に、蓋を外した状態の試料バイアル瓶を真空乾燥オーブンに入れて90℃で1時間真空加熱した後、真空乾燥オーブンから取り出して、光波長変換要素を調製した。
(実施例4)
光波長変換要素の作成において、酸化防止剤としてテトラチアフルバレン(CAS番号 31366−25−3;東京化成工業株式会社製)を有機光増感分子および有機発光分子と共にトルエンに溶解し、酸化防止剤を1.0×10−3Mの濃度で含有する光波長変換要素を調製した以外は、実施例3と同様の条件で、実施例4の光アップコンバージョンフィルムを作成した。
(実施例5)
光波長変換要素の作成において、有機光増感分子としてオクタエチルポルフィリンパラジウム(CAS番号:24804−00−0)および有機発光分子として9,10−ジフェニルアントラセン(CAS番号:1499−10−1)をトルエンに溶解し、またイオン液体としてメチルトリ−n−オクチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(CAS番号 375395−33−8)を用いて、有機光増感分子を4.0×10−4M、有機発光分子を3.0×10−3Mの濃度で含有する光波長変換要素を調製した以外は、実施例1と同様の条件で、実施例5の光アップコンバージョンフィルムを作成した。
(実施例6)
光波長変換要素の作成において、酸化防止剤としてテトラチアフルバレン(CAS番号 31366−25−3;東京化成工業株式会社製)を有機光増感分子および有機発光分子と共にトルエンに溶解し、酸化防止剤を5.0×10−4Mの濃度で含有する光波長変換要素を調製した以外は、実施例5と同様の条件で、実施例6の光アップコンバージョンフィルムを作成した。
〔光アップコンバージョンフィルムの評価〕
実施例1〜実施例6の光アップコンバージョンフィルムの光吸収スペクトルの測定及び光アップコンバージョンの観察を行った。
実施例1〜実施例6の光吸収スペクトルは、紫外可視近赤外分光光度計(製造元:島津製作所、型番:UV−3600)により測定した。測定された光吸収スペクトルを図10、11に示す。いずれの試料においても、励起波長における吸光度は0.2程度であり、光吸収率が37%程度であることが確認された。
図12〜図15の写真に示すように、実施例1〜4の光アップコンバージョンフィルムに、励起光として連続波He−Neレーザー発光器から出射させた赤色の連続波レーザー光(波長:633nm、出力パワー:10mW、スポット径:0.8mm)を測定用試料に照射したところ、青色のアップコンバージョン発光が観測された。
また、図16、図17の写真に示すように、実施例5、6の光アップコンバージョンフィルムに、励起光として連続波発光器から出射させた緑色の連続波レーザー光(波長:532nm、出力パワー:10mW、スポット径:0.8mm)を測定用試料に照射したところ、アップコンバージョン発光が観測された。
以上のように、実施例1〜実施例6で得られた、有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を含む、光アップコンバージョンフィルムは、長波長(実施例1〜実施例4では波長633nmの光、実施例5および実施例6では波長532nmの光)を、それより短波長の光にアップコンバージョンできることが確認された。
(参考例1)
有機光増感分子としてメソ−テトラフェニル−テトラベンゾポルフィリンパラジウムを2.5×10−4Mの濃度で含有する以外は実施例3に係る光波長変換要素と同様の光波長変換要素を調製した。
続いて厚さ0.1mmの透明樹脂フィルムの片面の両端に、厚さ0.8mmのスペーサーをそれぞれ貼り付けて光波長変換要素の塗布領域を形成した。そして、空気中で、この塗布領域に加温した光波長変換要素をバーコード法により略均一の厚みとなるように塗布した。空冷により、光波長変換要素が固まったことを確認し、樹脂フィルム状のスペーサーを除去し、封止されていない光波長変換要素を有する、光アップコンバージョンフィルムを作成した。
この光アップコンバージョンフィルムに対して、励起光として、連続波He−Neレーザー発光器から出射させた赤色の連続波レーザー光(波長:633nm、出力パワー:10mW、スポット径:0.8mm)を測定用試料に照射したところ、青色のアップコンバージョン発光が観測された(図18、19)。
1,1A 第一の基体
2 第二の基体
3 光波長変換要素
4 メッシュ状の基体
5 スペーサー
6 ガスバリアフィルム
7 太陽電池層
8 透明背面電極
9 透明絶縁膜
10 アップコンバージョンフィルム
11 光反射膜
12 入射光
13 受光面電極
14 ガラスチャネル
15 ガス
16 光触媒が添加された水
17 機械的支持体

Claims (13)

  1. 第一の基体、第二の基体、並びに前記第一および第二の基体の間隙に挟持され、封止された光波長変換要素を有し、
    前記第一および第二の基体の少なくとも一方は樹脂製の基体であり、
    前記光波長変換要素は、三重項−三重項消滅過程を示す組み合わせである有機光増感分子(A)および有機発光分子(B)を含む、光アップコンバージョンフィルム。
  2. 前記第一および第二の基体の少なくとも一方は、前記光波長変換要素と接触する面の反対側の面にガスバリアフィルムを有する、請求項1に記載の光アップコンバージョンフィルム。
  3. 前記第一および第二の基体の少なくとも一方はガスバリア性を備える、請求項1または請求項2に記載の光アップコンバージョンフィルム。
  4. 前記第一および第二の基体は可撓性を備える基体である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の光アップコンバージョンフィルム。
  5. 前記第一および第二の基体の前記光波長変換要素と接触する面の周辺部に設けられたスペーサーを有する、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の光アップコンバージョンフィルム。
  6. 前記第一および第二の基体の間隙に挟持され、封止されたメッシュ状の基体を有する、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の光アップコンバージョンフィルム。
  7. 前記光波長変換要素はイオン液体(C1)を含む、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の光アップコンバージョンフィルム。
  8. 前記光波長変換要素は深共晶溶媒(C2)を含む、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の光アップコンバージョンフィルム。
  9. 前記光波長変換要素は酸化防止剤(D)を含む、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の光アップコンバージョンフィルム。
  10. 前記光波長変換要素はゲル化剤(E)を含む、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の光アップコンバージョンフィルム。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の光アップコンバージョンフィルムを用いた太陽電池。
  12. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の光アップコンバージョンフィルムを用いた光触媒。
  13. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の光アップコンバージョンフィルムを用いた光触媒型水素・酸素発生装置。
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