JP2017170473A - L字型構造部材の製造方法及びl字型構造部材 - Google Patents
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また、図2に示すように、溝形鋼5の両フランジ部5aに90度の切り欠き6を入れて曲げ加工した後、当接したフランジ部5aを溶接接合して製造することも提案されている。
以下、本発明の第1実施形態のL字型構造部材10の製造方法及びL字型構造部材10について説明する。第1実施形態は、溝形鋼10Aを折り曲げることにより、L字型構造部材10を製造する方法、及び、溝形鋼10Aを折り曲げることにより製造されたL字型構造部材10に関する。図4は、第1実施形態のL字型構造部材10の斜視図である。図5はL字型構造部材10の製造方法の概要を説明する図である。
溝形鋼10Aは、長手方向に延びるウェブ部12と、ウェブ部12の両側部においてウェブ部12に対して略直角に設けられ且つウェブ部12と同様に長手方向に延びるフランジ部13とを備える。なお、フランジ部13は、その幅の2倍がウェブ部12の幅を超えていないことが好ましい。その理由は、後述の座屈部14が形成された際に、両側の座屈部14が互いに接触する可能性があるからである。
なお、仮想線l2及びl3のなす角度αは90度に限定されない。角度αが他の角度の場合、180度からαを引いた角度が、L字型構造部材10の折り曲げ角度θとなる。
この座屈部14を、図5(e)に示すように、フランジ部13の内面に沿う方向に折り曲げる。この際、フランジ部13の内面に十分に密着していることが好ましい。両側のフランジ部13の座屈部14を曲げる方向は限定されず、両側のフランジ部13を同じ方向に曲げてもよく、互いに異なる方向に曲げてもよい。
次に、実施形態のL字型構造部材10を製造する装置について説明する。本実施形態では、金型であるL字曲げ装置20と、折り曲げ装置30と用いる。
図6は、L字曲げ装置20の全体を示す図である。図7は、折り曲げ装置30を示す図である。図8は、L字曲げ装置20を用いて図5(d)の状態までを行う工程を示した図であり、図9は、折り曲げ装置30を用いて、図5(d)の状態から座屈部14を図5(e)のように折り曲げる工程を示した図である。
図6に示すように、L字曲げ装置20は、溝形鋼10Aを載置するために長手方向に配置される一対の回転ダイ23と、回転ダイ23の左右(側方)に配置される一対の予備曲げパンチ22と、回転ダイ23の上部に配置される曲げパンチ21と、を備える。
一対の回転ダイ23は、溝形鋼10Aのウェブ部12の折り曲げ線となる第1直線L1を挟んで前側に配置される回転ダイ23Aと、後ろ側に配置される回転ダイ23Bとを有する。
回転ダイ23はそれぞれ、直方体部材の下部における左右に延びる一辺を含む部分が切断されたような形状のテーパ部24を有する。テーパ部24の角度βは約45度である。回転ダイ23の上面は長方形で、下面は上面より前後の長さが小さな長方形で、左右の側面はそれぞれ台形である。
前側の回転ダイ23Aは、後面にテーパ部24Aが設けられ、後側の回転ダイ23Bは、前面にテーパ部24Bが設けられている。
回転ダイ23の左右方向の幅は、溝形鋼10Aのウェブ部12の左右方向の幅よりわずかに狭い。したがって、回転ダイ23は、図8に示すように、溝形鋼10Aのコの字の開口側の内部に配置可能である。
一対の予備曲げパンチ22は、それぞれ、直角三角柱における直角三角形の面の一方に三角錐を結合したような6面体形状を有する。三角錐の底辺となる2辺(直角三角形の直角を挟んだ2辺)は、仮想線l2及びl3を形成するための辺m2及びm3である。直角三角形の頂点から辺m2及びm3の間を延びる辺m1は、仮想線l1を形成する。なお、予備曲げパンチ22の各角部(各辺)にR形状に形成することが望ましい。
曲げパンチ21は、矩形部材の下部にV溝21Aが形成された形状を有する。曲げパンチ21の幅(左右の幅)は、溝形鋼10Aのウェブ部12の幅より若干広いことが望ましい。なお、かじり等による外観不良を防止するためにはV溝21Aの角部であるパンチ肩部分に適度なRを取っておくことが望ましい。
折り曲げ装置30は、フランジ部13の内面側に突出した座屈部14を、フランジ部13の内面と平行になるように折り曲げて、フランジ部13の内面側に沿うようにする金型である。
折り曲げ装置30は、図7及び図9に示すように、フランジ部13の外面とウェブ部12の外面とを拘束する拘束金型33と、座屈部14をフランジの内側に沿うように変形させるパンチ34とを備える。
拘束金型33は、直方体部材に溝形鋼10Aの左右幅と略同じ幅の溝部36を設けた断面コの字型の部材である。
パンチ34は、一対の側面の先端側に、座屈部14を収容する切り欠き部35が形成された直方体形状に形成される。このパンチ34は、溝部36を摺動可能な大きさに構成される。切り欠き部35は、フランジ部13の内側に沿うように折り曲げた座屈部14を収容できる大きさである。
なお、かじり等を抑制するために、パンチ34における切り欠き部35が形成された部分の角部(パンチ肩部)には、適当なRを取っておくことが望ましい。
(回転ダイ配置)
上述のL字曲げ装置20と、折り曲げ装置30とを用いてL字型構造部材10を製造する製造方法について説明する。
図8(a)に示すように、一対の回転ダイ23を、それぞれの上面が互いに水平になるようにして、テーパ部24が対向するように配置する。
この際、回転ダイ23Aのテーパ部24Aと回転ダイ23Bとのテーパ部24Bとの間は、加工後の座屈部14が変形しないように、フランジ部13の板厚以上の隙間を取っておく。
一対の予備曲げパンチ22を、辺m1が第1直線L1の位置に来るようにして、溝形鋼10Aのフランジ部13の左右に、互いの錐部分が対向するようにして配置する。予備曲げパンチ22の斜面と、回転ダイ23のテーパ部24に対するクリアランスは、溝形鋼10Aの板厚以上とする。
この状態で、一対の予備曲げパンチ22を互いに近接させる方向に移動させて、予備曲げパンチ22をフランジ部13に押し当てる。これにより、フランジ部13に予備曲げ加工が施される(図8(b))。
予備曲げ加工において、フランジ部13に、仮想線l1に沿った谷部が形成され、仮想線l2及びl3に沿った山部が形成される。
なお、この予備曲げ加工は、被加工材16をL字型に曲げる際にフランジを優先的に座屈させ、L字型構造部材10の角度を調整するために行うものであって、フランジ部13が破断しない程度の変形量で行うことが好ましい。
予備曲げ加工後、予備曲げパンチ22をフランジ部13から離間させる。
図8(c)に示すように、予備曲げ加工後、回転ダイ23及び溝形鋼10Aの上にV溝21Aが溝形鋼10Aの側に向くようにして曲げパンチ21を配置する。このとき、曲げパンチ21のV溝21Aの再奥部(Vの角部分)が、第1直線L1上に位置するようにする。
図8(d)に示すように、溝形鋼10Aに対して、曲げパンチ21を相対的に近づく方向に移動させ、溝形鋼10Aに対して上方より曲げパンチ21を押し込む。
この時、両回転ダイ23は曲げパンチ21のV溝21Aに沿うようにして、V溝21Aの中央部(パンチ肩部)を中心として回転する。これに伴い、両フランジ部のl2とl3との間の部分が折り込まれて座屈される。
これにより、l2とl3との間の部分である座屈部14が回転ダイ23のテーパ部24により挟み込まれるようにして成形される。この際、一対の回転ダイ23は、上述のようにテーパ部24を有しているので、回転後においても互いに接触しない。
曲げパンチ21による座屈部14の折り曲げが完了した後、図9(c)に示すように、曲げパンチ21を上昇させ、完成したL字型構造部材10を取出す。
以上のようにして、図4に示す、L字型構造部材10が製造される。
しかし、折り曲げた後の図5(e)の状態の場合、図中矢印で示すように、座屈部14に対して力が平行に働き、L字型構造部材10の折り曲げ角度θは広がりにくい。したがってL字型構造部材10の強度が向上する。
なお、さらに高い剛性を必要とする場合には、フランジ内側面に沿うように折り曲げられた折込みフランジ部13を、かしめやリベット接合等によって機械的に接合してもよいし、曲げ線部あるいは折込みフランジ部13を溶接接合してもよい。
すなわち、本発明によるL字型曲げ方法を、一つの溝形鋼10Aや山形鋼に二回施すことによりコ字型構造部材が、一つの溝形鋼10Aや山形鋼に三回施すことによりロ字型構造部材を、低コストかつ安定して製造することができる。
したがって、本発明によると、プレハブ住宅用外壁フレーム、住宅の非耐力壁フレーム等の住宅用鋼製構造部材や、家電フレームやパレットの面材等の強度が必要な部材を低コストで安定的に供給することができるようになる。ゆえに、鋼材の住宅関連部材や高強度の家電の筐体等への適用範囲の拡大に繋がる。
第2実施形態は、山形鋼110Aを折り曲げることによりL字型構造部材110を製造する方法、及び、山形鋼110Aを折り曲げることにより製造されたL字型構造部材110に関する。
図10は図8に対応し、第2実施形態のL字曲げ装置を用いて山形鋼110AをL字型に折り曲げるまでを行う工程を示した図である。
図11は図9に対応し、第2実施形態の折り曲げ装置130を用いて、L字型に折り曲げられた山形鋼110Aにおける座屈部114を折り曲げる工程を示した図である。
第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、L字型構造部材110の素材が山形鋼110Aである点、及びそれに伴い、L字曲げ装置120の回転ダイ123の左右の幅が、ウェブ部112より広い点、フランジ部113を回転ダイ123の反対側から保持するための保持部125が設けられている点、仮想線を引く予備曲げパンチ122が一つである点、である。他の部分については同様であるので説明を省略する。
第2実施形態によると、山形鋼110Aを素材とし、図11(c)に示すように、座屈部114がフランジ部113に沿って折り曲げられたL字型構造部材110を製造することができる。図11(d)は山形鋼110Aから製造されたL字型構造部材110である。
この第2実施形態のL字型構造部材110も、第1実施形態のL字型構造部材10と同様の効果を有する。
l1 仮想線
l2 仮想線(直線)
l3 仮想線(直線)
10 L字型構造部材
10A 溝形鋼(形鋼)
12 ウェブ部
13 フランジ部
14 座屈部
16 被加工材
20 L字曲げ装置
21 パンチ
21A 溝
22 パンチ
23 回転ダイ
24 テーパ部
28 平成
30 折り曲げ装置
33 拘束金型
34 パンチ
35 欠き部
36 溝部
110 L字型構造部材
110A 山形鋼(形鋼)
112 ウェブ部
113 フランジ部
114 座屈部
120 装置
122 パンチ
123 回転ダイ
125 保持部
130 折り曲げ装置
Claims (5)
- 長手方向に延びるウェブ部と、前記ウェブ部の長手方向に延びる側辺のうちの少なくとも一方に沿って設けられたフランジ部と、を有する形鋼を、前記形鋼の短手方向に延びる第1直線に沿って折り曲げて形成されるL字型構造部材の製造方法であって、
折り曲げる際に、前記フランジ部上において、前記側辺と前記第1直線との交点から互いに所定の角度をなす方向に延びる2つの直線を座屈起点として、前記2つの直線の間の部分を前記ウェブ部側に座屈させて座屈部を形成し、
形成された前記座屈部を、前記フランジ部の内面に沿う方向に折り曲げる、
L字型構造部材の製造方法。 - 前記第1直線を折り起点とした折り曲げ角度が90度である、
請求項1に記載のL字型構造部材の製造方法。 - 前記形鋼は溝形鋼である、
請求項1又は2に記載のL字型構造部材の製造方法。 - 前記形鋼は山形鋼である、
請求項1又は2に記載のL字型構造部材の製造方法。 - 長手方向に延びるウェブ部と、前記ウェブ部の長手方向に延びる側辺のうちの少なくとも一方に沿って設けられたフランジ部と、を有する形鋼を、前記形鋼の短手方向に延びる第1直線に沿って折り曲げて形成されるL字型構造部材であって、
折り曲げる際に、前記フランジ部において、前記側辺と前記第1直線との交点から互いに所定の角度をなす方向に延びる2つの直線を座屈起点として前記ウェブ部側に形成された座屈部が、前記フランジ部の内面に沿う方向に折り曲げられている、
L字型構造部材。
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