JP2017170391A - 光触媒塗装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 NOxの除去性能に優れた光触媒塗装体を提供する。【解決手段】 基材と、光触媒層と、二酸化窒素吸着層と、を少なくとも備える。光触媒層は、光触媒粒子を含み、外気と接する表面を有する。二酸化窒素吸着層は、基材と光触媒層との間であって、かつ、光触媒層に接して設けられる。二酸化窒素吸着層は、二酸化窒素ガスを吸着可能なようにその内部に隙間構造を有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、窒素酸化物(NO)除去性能に優れた光触媒塗装体に関する。
光触媒の一種である二酸化チタン(TiO2)は、光のエネルギーにより励起電子と正孔を生成する。生成された励起電子と正孔は、光触媒表面において、酸素と水分の存在下で、O 、O、・OH(・は不対電子を示しラジカル種であることを意味する)等の活性酸素種を生成する。この活性酸素種が有するラジカルな性質を利用して、大気中の窒素酸化物(NO)を酸化反応に供し、無害な反応物に変化させるNO除去(大気浄化)技術が知られている。
窒素酸化物が活性酸素種による酸化反応を受ける過程では、例えば一酸化窒素(NO)が酸化を受け、二酸化窒素(NO)が中間生成物として生成される。この二酸化窒素が更に酸化を受け、硝酸イオン(HNO )が最終生成物として生成される。光触媒塗装体を用いた窒素酸化物の除去技術として、NOガスを光触媒塗装体内に存在する光触媒粒子と接触させ、NOガスをHNO まで酸化させ、これを水洗する方法が知られている。このため、窒素酸化物の除去性能を高めるには、活性酸素種とNOあるいはNOとを共存させることが必要である。ところが、NOは化学的に比較的安定した化合物(ガス)であるので、生成された二酸化窒素は反応の系外に脱離するおそれがある。そのため、活性酸素種による酸化反応の効率が低下し、結果的にNO除去性能が低下するおそれがある。中間生成物であるNOの離脱を防止するために、光触媒粒子とともにNO吸着粒子を添加した光触媒層が提案されている。
特開2003−063852号公報(特許文献1)には、その表面および/または内部にランタンの酸化物または水酸化物を存在させた二酸化チタン粒子を光触媒材料として含む窒素酸化物ガス除去用光触媒担持組成物が記載されている。これらの酸化チタン粒子は、組成物中に分散している。
WO99/29424号公報(特許文献2)には、大気中の窒素酸化物を削減する技術が開示されている。すなわち、光照射により二酸化チタンから生成される活性酸素種を用いて一酸化窒素を酸化し、二酸化窒素(中間生成物)を得る。この二酸化窒素を、Al、ZnO、SnOおよびSnOから選ばれる少なくとも1種の金属化合物と化学的に結合させることにより保持し、活性酸素種を用いて酸化し、硝酸(最終生成物)を得る。上記金属酸化物により二酸化窒素を保持し、反応系外に離脱するのを抑制することにより、酸化反応の効率低下、ひいてはNO削減効率の低下が抑制される。
WO2012/014877号公報(特許文献3)には、空気中のNOを除去するに際し、NO除去量を高めつつ、NO等の中間生成物の生成を抑制できる光触媒塗装体が開示されている。この光触媒塗装体が備える光触媒層には、光触媒粒子と、シリカ粒子と、ジルコニア粒子とが含まれる。これらの粒子は、光触媒層に略均一に配置されている。
しかしながら、NOをNOに酸化分解する反応効率が高く、かつ、生成されたNOの反応系外への脱離を抑制しながら、NOをNO に酸化分解する反応効率の高い、NO除去技術が依然求められている。
特開2003−063852号公報 WO99/29424号公報 WO2012/014877号公報
本発明者らは、今般、光触媒粒子を含む光触媒層に接して、二酸化窒素吸着層を設けることにより、NO除去性能が向上するとの知見を得た。本発明は斯かる知見に基づくものである。
本発明は、NO吸着性能を含むNO除去性能に優れた光触媒塗装体を提供することを目的とする。
本発明による光触媒塗装体は、基材と、基材の表面に設けられ、その表面が外気と接する光触媒層と、基材と光触媒層との間であって、かつ、光触媒層に接して設けられた二酸化窒素吸着層と、を少なくとも備え、二酸化窒素吸着層が、二酸化窒素ガスを吸着可能なようにその内部に隙間を有している。
本発明による光触媒塗装体は、NOの酸化分解により生じたNOガスの反応系外への脱離を効果的に抑制できる。そのため、NOを高い反応効率でNO に酸化分解することができ、全体として優れたNOx除去性能を達成できる。
本発明による光触媒塗装体の全体構成を示す断面模式図である。 窒素酸化物除去性能を示すグラフである。
光触媒塗装体
図1を参照しつつ、本発明にかかる光触媒塗装体について説明する。
図1は、本発明による光触媒塗装体の全体構成を示す断面模式図である。
図1に示すように、本発明による光触媒塗装体100は、基材90と、光触媒層60と、二酸化窒素吸着層70と、を含む。二酸化窒素吸着層70は、基材90と光触媒層60と、の間に、光触媒層60と接して設けられる。本明細書において、基材70から光触媒層60へ向かう積層方向をZ軸方向とする。
光触媒層60は、光触媒粒子10を含む。光触媒層60は、外気と接する表面60aを有する。外気に含まれるNOガスなどの窒素酸化物は、光触媒粒子10と接触する。光触媒層60に光が照射されると、光励起によって光触媒粒子10の表面に活性酸素種が生成され、この作用によりNOがNOに酸化される。ここで、NOがNOに酸化される反応を第1反応という。第1反応は、式:NO→NOで示される。
第1反応で生成されたNOはさらに酸化され、NO が生成される。ここで、NOがNO に酸化される反応を第2反応という。第2反応は、式:NO→NO で示される。外気中のNOは上記2段階の反応を経て無害なNO に変換される。なお、第2反応で生成されたNO は例えば水洗により回収される。これによって、外気に含まれるNO成分を除去することができる。
ところが、第1反応で生成されるNOは、第2反応に付される前に、光触媒層60から脱離して系外に放出されやすい性質を有する。すなわち、NOが無害なNO にまで酸化される前の段階で、外気に放出されてしまう。そのため、外気中に含まれる窒素酸化物を十分に除去することができない。
光触媒塗装体100においては、光触媒層60と接して二酸化窒素吸着層70を設けている。二酸化窒素吸着層70は、隙間構造70aを有しており、光触媒層60で生成されたNOを、例えば、隙間構造70aで物理的にトラップすることができる。このトラップされたNOは、二酸化窒素吸着層70に接して設けられた光触媒層60の光触媒作用によるさらなる酸化を受けることができる。従って、光触媒塗装体100においては、NO除去性能を効果的に高めることが可能となる。
ここで、NO除去性能について説明する。
本発明において、NO除去性能を表す指標として、窒素酸化物の除去量であるΔNOを定義する。ΔNOは、JIS R1701−1に準じて算出される値を用いることができる。
具体的には、窒素酸化物の除去量ΔNOは、式:ΔNO(μmol)=ΔNO(μmol)−ΔNO(μmol)により求められる。ΔNOとは、第1反応により除去されたNOガスの量である。この量は、第一反応で生成されたNOガスの全生成量に等しい。ΔNOとは、第1反応により生成されたNOガスのうち、外気に放出された量である。ΔNOは、トータルでの窒素酸化物除去量を表している。ΔNOが大きいほど、外気中の窒素酸化物(NO)除去性能が高いことを表している。また、本明細書では、第1反応により生成されたNOガスの量に対するNOガスの脱離量の割合(%)をΔNO/ΔNOで表す。ΔNO/ΔNOは、第1反応により生成されたNOガスのうち、表面層60から外に放出された割合を表す指標である。ΔNO/ΔNOが小さいほど、NOガスの系外への脱離量が小さいことを表している。
二酸化窒素吸着層
図1に示すように、二酸化窒素吸着層70は、隙間構造70aを有している。これら複数の隙間構造70aは、3次元的に広がっていることが好ましい。これによって、二酸化窒素ガスの吸着性能を高めることができる。
隙間構造70aを形成する方法として、二酸化窒素吸着層70が、主に粒子20からなるように構成することが好ましい。粒子間に形成される隙間によって、隙間構造70aが構成される。
粒子20としては、平均粒子径10nm以上100nm以下の粒子を主に含むことが好ましい。それによって、粒子20間に上記隙間構造70aを効果的に形成することができる。また、粒子20間のファンデルワールス力等によって、二酸化窒素吸着粒子層70から粒子20が脱離することを効果的に抑制することができる。なお、「主に含む」とは、上記隙間構造70aを形成可能な範囲を意味している。すなわち、二酸化窒素吸着層70は、上記隙間構造70aを疎外しない程度に、例えば、平均粒子径が上記範囲外の粒子20を含んでもよい。
平均粒子径は、例えば、走査型電子顕微鏡により20万倍の視野に入る任意の100個の粒子の長さを測定した個数平均値として算出される。粒子20の形状は、球形、略円形、楕円形、長方形、針状でもよい。形状が略円形、楕円形、長方形、針状の場合には、平均粒子径は、(長径+短径)/2として略算出される。
粒子20としては、例えば、無機物粒子を用いることができる。無機物粒子としては、酸化ランタン、水酸化ランタン、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化タングステン、セリア、イットリア、ボロニア、マグネシア、カルシア、フェライト、無定形チタニア、ハフニア、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、ケイ酸カルシウムなどを用いることができる。
二酸化窒素吸着層70において、粒子20として、二酸化窒素を化学的に吸着可能な粒子を含むことが好ましい。これによって、光触媒層60で、NOの酸化分解によって生成されたNOを、二酸化窒素吸着層70の隙間構造70aによる物理的なトラップに加えて、二酸化窒素吸着層70に含まれる粒子20による化学的なトラップにより吸着することができる。したがって、より確実にNOを第2反応に付すことが可能となり、NOx除去性能を高めることができる。
二酸化窒素ガスは酸性であるため、二酸化窒素を化学的に吸着可能な粒子20として、その表面に塩基性サイトを有する粒子を用いることができる。二酸化窒素を化学的に吸着可能な粒子の例として、例えば、La、NaO、MgO、KO、CaO、RbO、SrO、BaO、等の塩基性金属酸化物、Al、ZnO、ZrO等の両性金属酸化物、La(OH)、Mg(OH)、Ca(OH)、等の塩基性金属水酸化物などが挙げられる。好ましくは、La(OH)、La、ZrO2、Al、MgOであり、より好ましくは、La(OH)、Laである。
二酸化窒素吸着層70は、粒子20として、ランタン化合物粒子を含むことが好ましい。本発明者らは、実験を通じて、光触媒粒子10とランタン化合物粒子20とを共存させることで、第1反応及び第2反応の双方が促進されることを見出した。ここで、「共存」とは、光触媒粒子10とランタン化合物粒子20とが近接して配置される態様をいう。具体的には、粒子同士が接して配置される態様と、光触媒粒子10を含む層と、ランタン化合物粒子20を含む層と、を接して設ける態様と、が挙げられる。後者の場合では、光触媒粒子10とランタン化合物粒子20とが、面で接触することとなり、接触面積を増やすことができる。具体的には図1に示すとおり、Z軸方向に対して垂直な平面(仮にXY平面)全体が、光触媒粒子10とランタン化合物粒子20との接触面となっている。そのため、ランタン化合物による第1反応及び第2反応の促進効果を高めることができる。ランタン化合物としては、水酸化ランタンが好ましい。
なお、二酸化窒素吸着層70は、上記隙間構造70aを維持できる範囲において、アクリルシリコーン樹脂などの結着剤を含んでいてもよい。これによって、二酸化窒素吸着層70と基材90との密着性、あるいは二酸化窒素吸着層70と光触媒層60との密着性を高めることができる。結着剤の添加量は、例えば、25mass%以下であることが好ましい。
光触媒層
光触媒層60は、光触媒粒子10を含む。光触媒粒子10としては、抗菌機能、脱臭機能、有害ガス除去機能、親水性機能などの光触媒機能を発揮するのに十分なバンド・ギャップを有する半導体粒子を用いることができる。具体的には、光触媒粒子10として、例えば、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステンなど金属酸化物の粒子を用いることができる。より好ましくは各種酸化チタン粒子であり、さらに好ましくはアナターゼ型酸化チタン粒子である。
光触媒層60は、主に粒子からなることが好ましい。これによって、光触媒層60にも、二酸化窒素吸着層70と同様に、隙間構造を形成することができる。そのため、光触媒層60の表面60aと接触した外気が、光触媒層60内部に進入することが可能となる。よって、外気に含まれるNOガスと光触媒粒子10との接触機会が増加して、結果としてNOx除去性能を高めることが可能となる。
光触媒粒子10の平均粒子径は、10nm以上100nm以下であることが好ましい。10nm以上60nm以下であることがより好ましい。平均粒子径が上記範囲内である場合には、高い光触媒活性を得ることができる。また、光触媒層60が主に粒子からなる場合には、光触媒粒子10間に好適な隙間構造を形成することができる。平均粒子径は、例えば、走査型電子顕微鏡により20万倍の視野に入る任意の100個の粒子の長さを測定した個数平均値として算出される。
光触媒層60における光触媒粒子10の含有量は、光触媒層60全体に含まれる固形分濃度を100質量%としたときに、1質量%以上、60質量%以下であることが好ましい。光触媒粒子10の含有量を上記範囲とすることで、十分な光触媒効果を得ることができる。
光触媒層60は、4価の正方晶からなる酸化スズ粒子30をさらに含むことが好ましい。
本発明者らは、光触媒粒子と4価の正方晶からなる酸化スズ粒子30とを共存させることによって、第1反応が飛躍的に促進されることを見出した。これは、特定の酸化スズ粒子30を添加することで、特異的な電荷分離効果が発揮されるためと考えられる。特異的な電荷分離効果の原理は不明であるが、光触媒反応で一般に定義される電荷分離効果とは相違しており、4価の正方晶のみを含む酸化スズ粒子30を添加した場合のみ発現する現象であることを突き止めた。
本発明者らの行った実験によれば、光触媒粒子と4価の正方晶のみを含む酸化スズ粒子30とを含む場合と、光触媒粒子と4価の正方晶以外の結晶相を含む酸化スズ粒子とを含む場合と、で、有機物の分解性能の指標であるメチレンブルー分解試験では差異が認められなかった。一方で、後者の場合においてのみ、NOx除去反応における第1反応の促進効果が認められた。
したがって、光触媒層60が4価の正方晶からなる酸化スズ粒子30をさらに含むことで、第1反応が促進されるため、トータルでのNOx除去量をさらに増やすことができる。
4価の正方晶からなる酸化スズ粒子30の結晶子サイズは、例えば1nm以上4nmであることが好ましい。結晶子サイズをこの範囲とすることで、上記特異的な電荷分離効果をより確実に得ることができる。また、酸化スズ粒子30と光触媒粒子10との接触確率が増加するため、電化分離効果を高めることができる。結晶子サイズは、例えば、X線回折におけるバックグランドを除くパターンフィッティング処理後に、2θ=25〜28°付近の(110)面の回折ピークを利用してシェラー式によって求めることができる。
光触媒層60における4価の正方晶からなる酸化スズ粒子30の含有量は、光触媒層60全体に含まれる固形分濃度を100質量%としたときに、0質量%以上、60質量%以下であることが好ましい。4価の正方晶からなる酸化スズ粒子20の含有量を上記範囲とすることで、上記特異な電荷分離効果により、第1反応を効果的に促進することができる。
図1に示すように、光触媒層60は、二酸化窒素吸着層70において記載した無機物粒子をさらに含んでもよい。例えば、光触媒層60が、二酸化窒素を化学的に吸着可能な粒子をさらに含む場合には、二酸化窒素の系外への放出をより少なくすることができる。
光触媒層60は上述の効果を奏する範囲において、複数種類の無機物粒子を含んでもよい。
基材
光触媒塗装体100において、基材90として、例えば、金属、セラミック、ガラス、プラスチック、ゴム、石、セメント、コンクリ−ト、繊維、布帛、木、紙、それらの組合せ、それらの積層体、それらの表面に少なくとも一層の被膜を有するものを用いることができる。また、基材90は、例えば、建材、建物外装、窓枠、窓ガラス、構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバー及び塗装、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用遮音壁、鉄道用遮音壁、橋梁、ガードレ−ルの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、ビニールハウス、車両用照明灯のカバー、屋外用照明器具、台及び上記物品表面に貼着させるためのフィルム、シート、シール等といった外装材に用いるものである。
本発明における光触媒塗装体100として、基材90には、その表面が有機物質を含んでなるものを好適に用いることができる。具体的には、例えば、有機物を含む樹脂、有機物を含む樹脂を含有する塗装を表面に施した塗装体、有機物を含む樹脂を含有するフィルム等を表面に積層した積層体などが挙げられる。これらの基材90は、例えば、金属塗装板、塩ビ鋼板等の金属積層板、窯業系化粧板、樹脂建材等の建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバ−及び塗装、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用遮音壁、鉄道用遮音壁、橋梁、ガ−ドレ−ルの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバ−、太陽熱温水器集熱カバ−、ビニ−ルハウス、車両用照明灯のカバ−、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバ−、台所用品、食器、食器洗浄器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフ−ド、換気扇等に適用される。特に、基材90として、金属塗装板、金属積層板を利用した場合に本発明を適用すると、基材90を劣化・腐食させにくいため好ましい。
従来、光触媒塗装体100にあっては、光触媒粒子10の光触媒活性による基材90への影響を、例えば、シリコーン系樹脂からなる層などを基材90との間に設けることで抑えることが一般的に行われてきた。本発明によれば、有機材料からなる基材90に、二酸化窒素吸着層70を介して光触媒層60を設けることができる。その結果、本発明は、その利用、適用範囲が大きく拡大されるとの点で極めて有利となる。
<試験1>
隙間構造を有する二酸化窒素吸着層の有無によるNOx除去性能効果を確認するための試験を実施した。
コーティング組成物の調製
TiO粒子、La(OH)粒子、及びSnO粒子を、表1の割合で混合し、界面活性剤、及び水を加えて、コーティング組成物1を得た。コーティング組成物1の固形分濃度は5.5mass%であった。
同様に、La(OH)粒子あるいはSiO粒子を、表1の割合とし、界面活性剤、及び水を加えて、コーティング組成物2、3を得た。コーティング組成物2、3の固形分濃度はいずれも10mass%とした。
TiO粒子として、アナターゼアナターゼ型チタニア水分散体を用いた。平均粒子径は40nmであった。La(OH)粒子として、水酸化ランタン水分散体を用いた。平均粒子径は40nmであった。SnO粒子として、4価の正方晶からなる酸化スズ粒子水分散体を用いた。平均粒子径は8nmであった。SiO粒子として、水分散型コロイダルシリカを用いた。平均粒子径は10nmであった。
Figure 2017170391
光触媒塗装体の作製
基材として、ガラス表面に有機被膜が形成されたものを用いた。有機被膜には、アクリルシリコーン樹脂に着色顔料(ルチル)が分散した塗装体を用いた。
この基材の表面に、組成物2をローラーを用いて塗布し、乾燥させて二酸化窒素吸着層を形成した。さらに、組成物1をスプレーにて塗布し乾燥させて光触媒層を形成した。これによって、光触媒塗装体1を得た。二酸化窒素吸着層として、組成物3を用いた以外は光触媒塗装体1と同様にして光触媒塗装体2を得た。二酸化窒素吸着層を形成しない以外は光触媒塗装体1と同様にして光触媒塗装体3を得た。各層の塗着量は、表2に示すとおりである。
NOx除去性能評価
以下の手順で窒素酸化物除去性能を測定した。
まず前処理として、上記塗装体に1mW/cmのBLB光を5hr以上照射した。次いで、蒸留水に2時間浸漬してから、25℃にて2時間以上乾燥した。その後、JIS R1701−1に記載の方法により試験を行い、第1反応で消費したNOガス量(ΔNO)と第1反応で生成したNOガスの塗装体からの脱着量(ΔNO)を求めた。
結果を表2に示す。
Figure 2017170391
塗装体2では、二酸化窒素吸着層70はシリカ粒子からなり、その内部には隙間構造が形成されている。そのため、表2に示すように、二酸化窒素吸着層を有さない塗装体3と比べて、NOガスの放出が抑制されており、トータルとしてのNOx除去量であるΔNOxが大きくなっている。
塗装体1では、二酸化窒素吸着層70はLa(OH)粒子からなり、塗装体2と同様にその内部には隙間構造が形成されており、NOガスの放出が抑制されている。さらに、二酸化窒素吸着粒子がランタン化合物粒子を含んでいるため、塗装体2、3と比べてΔNO値が大きくなっている。つまり、第1反応が促進されている。したがって、塗装体1においては、さらに優れたNOx除去性能を得ることができる。
<試験2>
二酸化窒素吸着層において、隙間構造を変化させた場合におけるNOx除去性能効果を確認するための試験を実施した。
コーティング組成物の調製
TiO粒子、La(OH)粒子、及びSnO粒子を、表3の割合で混合し、界面活性剤、及び水を加えて、コーティング組成物4を得た。コーティング組成物4の固形分濃度は5.5mass%であった。
La(OH)粒子、アクリルシリコーン樹脂、界面活性剤、及び水を加えて、コーティング組成物5〜9を得た。コーティング組成物5〜9においては、表3に示すようにLa(OH)粒子及びアクリルシリコーン樹脂の割合を変化させた。コーティング組成物5〜9の固形分濃度は表3に示す通りとした。TiO粒子、La(OH)粒子、SnO粒子は、試験1と同様のものを用いた。
Figure 2017170391
光触媒塗装体の作製
基材として、ガラスを用いた。この基材の表面に、組成物5をローラーを用いて塗布し、乾燥させて二酸化窒素吸着層を形成した。さらに、組成物4をスプレーにて塗布し乾燥させて光触媒層を形成した。これによって、光触媒塗装体4を得た。同様の手順で、二酸化窒素吸着層として、組成物6〜9を用い、光触媒塗装体5〜8を得た。各層の塗着量は、表4に示すとおりである。
NOx除去性能評価
前処理時の乾燥条件を110℃、30分以上とした以外は試験1と同様の手順で窒素酸化物除去性能を測定した。結果を表4および図2に示す。
Figure 2017170391
表4及び図2に示すように、二酸化窒素吸着層におけるアクリルシリコーン樹脂の割合が25mass%以下と少ない光触媒塗装体5、6では、ΔNO及びΔNO/ΔNOが、アクリルシリコーン樹脂を含まない光触媒塗装体4の場合と同等であった。すなわち、アクリルシリコーン樹脂の割合が25%以下の場合には、二酸化窒素吸着層の隙間構造が維持されていることが確認された。
これに対して、アクリルシリコーン樹脂の割合が50mass%以上である塗装体7、では、塗装体4と比べてΔNOの値が小さくなっている。これは、La(OH)粒子の表面がアクリルシリコーン樹脂で覆われたため、光触媒粒子との接触確率が低下したためと考えられる。また、塗装体7では、塗装体4と比べてΔNO/ΔNOの値が大きくなっている。これは、塗装体7において二酸化窒素吸着粒子層の隙間構造にアクリルシリコーン樹脂が充填され、NOガスを隙間構造で物理的にトラップできなくなったためと考えられる。これらの傾向は、アクリルシリコーン樹脂の割合が70mass%とさらに多い塗装体8においてより顕著に現れることが確認された。
<試験3>
光触媒層が4価の正方晶からなるSnO粒子を含むことで第1反応が促進されることを確認するための試験を実施した。なお、試験3では、光触媒層の性能を評価することを目的としており、二酸化窒素吸着層は設けずに試験を行った。
コーティング組成物の調製
TiO粒子、酸化スズ粒子A〜C、及びZrO粒子を、表5の割合で混合し、界面活性剤、及び水を加えて、コーティング組成物10〜12を得た。コーティング組成物10〜12の固形分濃度は5.5mass%であった。
酸化スズ粒子Aとして、4価の正方晶からなる酸化スズ粒子を用いた。酸化スズ粒子Bとして、4価の正方晶SnO、2価の正方晶SnO、及び3SnO・HOを含む酸化スズ粒子を用いた。酸化スズ粒子Cとして、4価の正方晶SnO及び2価の正方晶SnOを含む酸化スズ粒子を用いた。
光触媒塗装体の作製
基材として、ガラスを用いた。この基材の表面に、組成物10〜12をローラーを用いて塗布し、乾燥させて光触媒層を形成し、光触媒塗装体9〜11を得た。光触媒塗装体9〜11の塗着量は、いずれも15g・m−2とした。
NOx除去性能評価
前処理時の乾燥条件を110℃、30分以上とした以外は試験1と同様の手順で窒素酸化物除去性能を測定した。結果を表5に示す。
<有機物分解活性指数>
光触媒作用による有機物分解性能を表す指標として、メチレンブルーの分解性能について試験を行った。JIS R1701−2に記載の方法で前処理、測定を行い、分解活性指数を求めた。結果を表5に示す。
Figure 2017170391
表3に示すとおり、酸化スズ粒子が4価の正方晶からなる塗装体9、およびその他の結晶相を含む塗装体10、11のいずれであっても、有機物の分解性能指標である分解活性指数は12.4〜12.7μmol・L-1・min-1であった。
一方、NOx除去性能では、酸化スズが4価の正方晶以外の結晶相を含む塗装体10、11では、ΔNOが5.1μmolあるいは5.7μmolであったのに対し、酸化スズが4価の正方晶からなる塗相対9では、12.3μmolと大幅に向上することが確認された。ΔNOxについても、酸化スズが4価の正方晶からなる塗装体9では2.2μmolと高かった。したがって、4価の正方晶のみを含む酸化スズを光触媒粒子と共存させることで、特異な電荷分離効果によってNOx除去性能がすることが確認された。

Claims (9)

  1. 基材と、
    光触媒粒子を含み、外気と接する表面を有する光触媒層と、
    前記基材と前記光触媒層との間であって、かつ、前記光触媒層に接して設けられた二酸化窒素吸着層と、
    を少なくとも備え、
    前記二酸化窒素吸着層が、二酸化窒素ガスを吸着可能なようにその内部に隙間構造を有する、光触媒塗装体。
  2. 前記隙間構造は、前記二酸化窒素吸着層において、3次元的に広がっている、請求項1に記載の光触媒体。
  3. 前記二酸化窒素吸着層は、主に粒子からなる、請求項1または2に記載の光触媒体。
  4. 前記粒子として、平均粒子径が1nm以上100nm以下の粒子を主に含む、請求項3に記載の光触媒体。
  5. 前記粒子は、二酸化窒素を吸着可能な粒子を含む、請求項3または4に記載の光触媒体。
  6. 前記粒子は、ランタン化合物粒子を含む、請求項3〜5のいずれか1項に記載の光触媒塗装体。
  7. 前記ランタン化合物粒子は、水酸化ランタン粒子である、請求項6に記載の光触媒塗装体。
  8. 前記光触媒層は、主に粒子からなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光触媒体。
  9. 前記光触媒層は、4価の正方晶からなる酸化スズ粒子をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光触媒塗装体。
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