JP2017080726A - 光触媒塗装体 - Google Patents

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Akira Shimai
曜 島井
寛之 藤井
Hiroyuki Fujii
寛之 藤井
翔太朗 金子
Shotaro Kaneko
翔太朗 金子
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Abstract

【課題】 二酸化窒素(NO2)吸着性能を含む窒素酸化物(NOx)除去性能に優れた光触媒塗装体の提供。【解決手段】 基材と、当該基材の表面に設けられてなる表面層とを少なくとも備えてなる光触媒塗装体であって、前記表面層は、複数の光触媒粒子と、複数のランタン化合物粒子とを少なくとも含んでなり、かつ、前記複数のランタン化合物粒子の少なくとも一部が当該表面層内に偏って配置されてなる少なくとも1つの領域を有する、光触媒塗装体。【選択図】 図1

Description

本発明は、窒素酸化物(NO)除去性能に優れた光触媒塗装体に関する。
光触媒の一種である二酸化チタン(TiO2)は、光のエネルギーにより励起電子と正孔を生成する。生成された励起電子と正孔は、光触媒表面において、酸素と水分の存在下で、O 、O、・OH(・は不対電子を示しラジカル種であることを意味する)等の活性酸素種を生成する。この活性酸素種が有するラジカルな性質を利用して、大気中の窒素酸化物(NO)を酸化反応に供し、無害な反応物に変化させるNO除去(大気浄化)技術が知られている。
窒素酸化物が活性酸素種による酸化反応を受ける過程では、例えば一酸化窒素(NO)が酸化を受け、二酸化窒素(NO)が中間生成物として生成される。この二酸化窒素が更に酸化を受け、硝酸イオン(NO )が最終生成物として生成される。光触媒塗装体を用いた窒素酸化物の除去技術として、NOガスを光触媒塗装体内に存在する光触媒粒子と接触させ、NOガスをNO まで酸化させ、これを水洗する方法が知られている。このため、窒素酸化物の除去性能を高めるには、活性酸素種とNOあるいはNOとを共存させることが必要である。ところが、NOは化学的に比較的安定した化合物(ガス)であるので、生成された二酸化窒素は反応の系外に脱離するおそれがある。そのため、活性酸素種による酸化反応の効率が低下し、結果的にNO除去性能が低下するおそれがある。中間生成物であるNOの離脱を防止するために、光触媒粒子とともにNO吸着粒子を添加した光触媒層が提案されている。
特開2003−063852号公報(特許文献1)には、その表面および/または内部にランタンの酸化物または水酸化物を存在させた二酸化チタン粒子を光触媒材料として含む窒素酸化物ガス除去用光触媒担持組成物が記載されている。これらの酸化チタン粒子は、組成物中に分散している。
WO99/29424号公報(特許文献2)には、大気中の窒素酸化物を削減する技術が開示されている。すなわち、光照射により二酸化チタンから生成される活性酸素種を用いて一酸化窒素を酸化し、二酸化窒素(中間生成物)を得る。この二酸化窒素を、Al、ZnO、SnOおよびSnOから選ばれる少なくとも1種の金属化合物と化学的に結合させることにより保持し、活性酸素種を用いて酸化し、硝酸(最終生成物)を得る。上記金属酸化物により二酸化窒素を保持し、反応系外に離脱するのを抑制することにより、酸化反応の効率低下、ひいてはNO削減効率の低下が抑制される。
WO2012/014877号公報(特許文献3)には、空気中のNOを除去するに際し、NO除去量を高めつつ、NO等の中間生成物の生成を抑制できる光触媒塗装体が開示されている。この光触媒塗装体が備える光触媒層には、光触媒粒子と、シリカ粒子と、ジルコニア粒子とが含まれる。これらの粒子は、光触媒層に略均一に配置されている。
しかしながら、NOからNOへの酸化反応の効率が高く、かつ、生成されたNOの反応系外への脱離を抑制しながら、NOからNO への酸化反応の効率の高い、優れたNO除去技術が依然求められている。
特開2003−063852号公報 WO99/29424号公報 WO2012/014877号公報
本発明者らは、今般、光触媒粒子とランタン化合物を含む粒子(以降、ランタン化合物粒子という)とを含んでなる光触媒塗装体の表面層において、ランタン化合物粒子の配置を工夫することにより、NO除去性能が向上するとの知見を得た。すなわち、表面層内にランタン化合物粒子を偏って配置させて、このランタン化合物粒子が偏在した領域を設けることにより、NO吸着性能を含むNO除去性能が向上するとの知見を得た。本発明は斯かる知見に基づくものである。
従って、本発明は、NO吸着性能を含むNO除去性能に優れた光触媒塗装体を提供することを目的とする。
すなわち、本発明による光触媒塗装体は、
基材と、当該基材の表面に設けられてなる表面層とを少なくとも備えてなる光触媒塗装体であって、
前記表面層は、
複数の光触媒粒子と、複数のランタン化合物粒子とを少なくとも含んでなり、かつ、
前記複数のランタン化合物粒子の少なくとも一部が当該表面層内に偏って配置されてなる少なくとも1つの領域を有することを特徴とする。
本発明による光触媒塗装体は、NOを高い反応効率でNOに酸化することができ、かつ、生成されたNOの反応系外への脱離を抑制しつつ、NOを高い反応効率でNO に酸化することができ、全体として優れたNO除去性能を有する。
本発明による光触媒塗装体の全体構成を示す断面模式図である。 本発明による光触媒塗装体の4つの態様を示す模式断面図である。 本発明による光触媒塗装体(b−1、b−2)と、本発明に属さない光触媒塗装体(a、c)の構成を示す断面模式図である。 光触媒塗装体1−1、1−2のΔNO(μmol)およびΔNO/ΔNO(%)の測定結果を棒グラフで示した図である。 光触媒塗装体2−1〜2−4のΔNO(μmol)の測定結果を棒グラフで示し、ΔNO/ΔNO(%)の測定結果を折れ線グラフで示した図である。 本発明による光触媒塗装体(2−7〜2−10)、および本発明に属さない光触媒塗装体(2−11)のΔNO(μmol)およびΔNO/ΔNO(%)の測定結果を示した図である。 本発明による光触媒塗装体(3−1〜3−5)のΔNO(μmol)およびΔNO/ΔNO(%)の測定結果を示した図である。
本発明による光触媒塗装体について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明による光触媒塗装体の全体構成を示す断面模式図である。
光触媒塗装体
本発明による光触媒塗装体100は、例えば図1に示すように、基材70と、表面層60とを備えてなる。表面層60は、基材70の表面に設けられてなる。なお、本明細書において、基材70から表面層60へ向かう鉛直方向をZ軸方向(または積層方向)と定義する。
表面層
<基本構成>
表面層60は、例えば図1に示すように、光触媒粒子10と、ランタン化合物粒子20とを含んでなる。ランタン化合物粒子20は、表面層60内に偏って配置されてなる。表面層60は、ランタン化合物粒子20が偏って配置された領域(以下、「偏在領域62」ともいう。)を有する。本発明において、「偏って配置されてなる」とは、ランタン化合物粒子20が、表面層60内全体に略均一に分布していない状態を意味する。例えば、ランタン化合物粒子20が、表面層60内に均一に分布しておらず、表面層60内のある一部の領域(偏在領域62)に偏り集まって分布している状態をいう。ただし、表面層60内において、偏在領域62以外の領域、例えば、光触媒粒子10が略均一に配置されてなる散在領域61、にもランタン化合物粒子20が配置されている状態を排除するものではない。散在領域61にランタン化合物粒子20が配置される状態とは、ランタン化合物粒子20が散在領域61に略均一に配置されている状態を含む。また、ランタン化合物粒子20が散在領域61に偏って配置されている状態も含む。つまり、表面層60は、複数の偏在領域62を有していてもよい。散在領域61とは、光触媒粒子10が略均一に配置されている領域をいう。
ランタン化合物粒子20が表面層60内に偏って配置されてなる(偏在している)態様、すなわち、表面層60内における偏在領域62の態様について、図2(a)〜(d)を参照しつつ説明する。
図2(a)〜図2(d)は、本発明による光触媒塗装体の4つの態様を示す模式断面図である。
図2(a)に示すように、光触媒塗装体110では、表面層60の内部であって、基材70にやや近い下側の領域に複数のランタン化合物粒子20が偏り集まって存在しており、これらにより表面層60内に偏在領域62が形成されている。ランタン化合物粒子20の偏在領域62の周囲に、光触媒粒子10の散在領域61が形成されている。
図2(b)に示すように、光触媒塗装体120では、表面層60において、紙面の左下側から右上側へ向かって、複数のランタン化合物粒子20が偏り集まって存在しており、これらにより偏在領域62が形成されている。この例では、偏在領域62は、Z軸方向に対して斜めに配置されている。ランタン化合物粒子20の偏在領域62の周囲に、光触媒粒子10の散在領域61が形成されている。
図2(c)に示すように、光触媒塗装体130では、表面層60は、第1被膜と第2被膜とを含んでいる。第1被膜と基材70との間に第2被膜が配置されている。この第2被膜に複数のランタン化合物粒子20が偏り集まって存在しており、これらにより偏在領域62が形成されている。すなわち、第2被膜が偏在領域62を有している。そして、第1被膜が、光触媒粒子10を含んでいる。第1被膜に散在領域61が形成されている。
図2(d)に示すように、光触媒塗装体140では、表面層60は、第1被膜と第2被膜とを含んでいる。第1被膜と基材70との間に第2被膜が配置されている。この第1被膜に複数のランタン化合物粒子20が偏り集まって存在しており、これらにより偏在領域62が形成されている。すなわち、第1被膜が偏在領域62を有している。そして、第2被膜が、光触媒粒子10を含んでいる。第2被膜に散在領域61が形成されている。
窒素酸化物(NO )除去メカニズム
本発明による光触媒塗装体が備えてなる表面層に含まれる光触媒粒子が有する光触媒活性を利用したNO酸化機序について説明する。まず、NOガスが光触媒粒子と接触すると、光励起により光触媒粒子表面に生成された活性酸素種により、NOがNOに酸化される。ここで、NOがNOに酸化される反応を第1反応という。第1反応は、式:NO→NOで示される。次いで、第1反応で生成されたNOが酸化されNO が生成される。ここで、NOがNO に酸化される反応を第2反応という。第2反応は、式:NO→NO で示される。つまり、NOは2段階の反応を経て無害なNO に酸化される。なお、第2反応で生成されたNO は例えば水洗により回収することができる。
ところが、第1反応で生成されるNOは、第2反応に付される前に、表面層60から脱離して系外に放出されやすい性質を有する。すなわち、NOが無害なNO にまで酸化される前の段階で、外気に放出されてしまう。そのため、外気中に含まれる窒素酸化物を十分に除去することができていない。
そこで、従来より、第1反応で生成されたNOを層内に留めるために、NO吸着粒子を用いることが検討されてきた。本発明者らの行った実験によれば、NO吸着粒子を用いることで、NOの脱離はやや抑制されるものの、光触媒塗装体において、表面層に光触媒粒子とNO吸着粒子とを略均一に配置するだけでは、その効果は十分ではないことが確認された。また、表面層における光触媒粒子とNO吸着粒子との配置を変えずに、単にNO吸着粒子の量を増やしても、NOの脱離を十分に抑制することはできないことが確認された。そこで本発明者らは、NO除去性能を高める工夫について検討し、本発明に至った。
NOx除去性能を高めるためには、NOの酸化反応の効率をより高めつつ、NOガスの系外への脱離を抑制することが求められる。
ここで、本発明において、NO除去性能を表す指標として、窒素酸化物の除去量(ΔNO)を定義する。窒素酸化物の除去量は、式:ΔNO(μmol)=ΔNO(μmol)−ΔNO(μmol)により求められる。ΔNOとは、第1反応:NO→NOによる酸化反応で除去されたNOガスの量である。また、第1反応の式:NO→NOにより、NOガス除去量から、生成した中間生成物であるNOガスの量が求められる。ΔNOとは、第1反応により生成されたNOガスが表面層60の内から外へ脱離(脱着)した量である。ΔNOにより、第1反応により除去されたNOガスの量、および第1反応により生成されたNOガスのうち第2反応に付されずに、すなわち最終生成物であるNO へ酸化されずに反応系から脱離したNOガスの量、すなわち反応全体にわたるNO除去性能を評価することが可能となる。ΔNOが大きいほど、NO除去性能が高いことを表している。また、本発明において、第1反応により除去されたNOガスの量に対する表面層60(反応系)からのNOガスの脱離量の割合(%)をΔNO/ΔNOで表す。ΔNO/ΔNOが小さいほど、NOガスの系外への脱離量が小さいことを表している。
本発明による光触媒塗装体(例えば100、110、120、130、140)は、ランタン化合物粒子20の偏在領域62を有している。表面層60にランタン化合物粒子20を略均一に分散配置するのではなく、偏在させることで、反応系からのNOガスの脱離が抑制される。さらに、表面層60にランタン化合物粒子20の偏在領域62を設けることにより、NOの酸化反応(第1反応)も促進される。すなわち、表面層60にランタン化合物粒子20の偏在領域62を設けることで、NO除去における第1反応および第2反応双方の性能を向上させることができる。
本発明による光触媒塗装体は、例えば、これと同量の光触媒粒子10およびランタン化合物粒子20を含み、ランタン化合物粒子20が表面層60内に略均一に配置された光触媒塗装体と比べて、第1反応によるNOガスの酸化反応の効率を同等に維持しあるいは増加させつつ、生成されたNOガスの脱離量を同等に抑えあるいは低減させることができる。このことを、図3を参照しつつ以下に説明する。
図3は、本発明による光触媒塗装体(b−1、b−2)と、本発明に属さない光触媒塗装体(a、c)の構成を示す断面模式図である。
図3(a)に示すように、光触媒塗装体101は、光触媒粒子10とランタン化合物粒子20とを含む表面層60を有している。ランタン化合物粒子20は、表面層60に散在している。この光触媒塗装体101によるNO除去性能をΔNOx1とする。ここで、NO除去性能をさらに向上させるために、ランタン化合物粒子20の量を増やすことを検討する。
図3(c)に示すように、光触媒塗装体102は、光触媒塗装体101よりもランタン化合物粒子20を多く含む。光触媒塗装体102では、光触媒塗装体101に対して粒子の分布状態を変えずに、単純にランタン化合物粒子20を増量している。すなわち、光触媒塗装体102の表面層60において、光触媒粒子10とランタン化合物粒子20とが略均一に分散配置されている。光触媒塗装体102は、ランタン化合物粒子20が偏在した偏在領域62を有していない。
光触媒塗装体102によるNO除去性能をΔNOx2とすると、ΔNOx2はΔNOx1とほぼ同じかそれよりも少し高い程度にとどまる。ランタン化合物粒子20の量を多くしても、同粒子が略均一に分散されている場合、すなわち偏在領域62を有さない場合には、ランタン化合物粒子20の量を増やしたことによって、ΔNOに顕著な差異は認められない。
これに対して、図3(b-1)、図3(b-2)に示す、本発明による光触媒塗装体100-1、100-2においては、表面層60は、ランタン化合物粒子20が偏在した偏在領域62を有している。すなわち、光触媒塗装体100-1、100-2では、光触媒塗装体101に対して、ランタン化合物粒子20の量を増やすだけでなく、ランタン化合物粒子20の配置を工夫している。なお、光触媒塗装体102、光触媒塗装体100-1、光触媒塗装体100-2において、表面層60に含まれる光触媒粒子10及びランタン化合物粒子20の量は同じであり、その配置のみが異なっている。
図3(b-1)に示す本発明による光触媒塗装体100-1においては、光触媒塗装体102において、表面層60に含まれる全てのランタン化合物粒子20を偏在させている。図3(b-2)に示す本発明による光触媒塗装体100-2においては、散在領域61は光触媒塗装体101と略同じ構成を有し、散在領域61と基材70との間に、ランタン化合物粒子20の偏在領域62が配置されている。すなわち、光触媒塗装体100-2において、散在領域61では光触媒粒子10とランタン化合物粒子20とが混合されて配置され、さらにランタン化合物粒子20の偏在領域62を設けている。
図3(b−1)に示される本発明による光触媒塗装体100-1のΔNOx3-1、及び、及び図3(b−2)に示される本発明による光触媒塗装体100-2のΔNOx3-2は、光触媒塗装体101のΔNOx1、及び光触媒塗装体102のΔNOx2に対して顕著に大きくなる。単純にランタン化合物粒子20を増量するのではなく、その配置を工夫することで、光触媒塗装体100-1、100-2では、優れたNO除去性能を発現する。
本発明による光触媒塗装体(例えば100、110、120、130、140)は、上述したように、第1反応により多くのNOガスを酸化することができ、すなわち多くのNOを除去することができる。そのため、第2反応の性能の向上を実現するためには、生成したNOを高い効率で吸着することが必要とされる。本発明による光触媒塗装体では、例えば、これと同量の光触媒粒子およびランタン化合物粒子を含み、これらの粒子が略均一に配置された光触媒塗装体と比べて、ΔNOを同等以上に増大させつつΔNO/ΔNOを同等に抑えあるいは低減させることができる。つまり、第1反応により生成されたNOが反応系外に放出されるのを抑制し、効率良く保持することができる。
以上述べてきたように、表面層60内にランタン化合物粒子20の偏在領域62を有する本発明による光触媒塗装体(例えば100、110、120、130、140)が、優れたNO除去性能を有する理由は定かではないが、以下のように考えられる。すなわち、表面層60内に光触媒粒子10とランタン化合物粒子20とが略均一に配置されてなる場合は、表面層60内においてランタン化合物粒子20が、点として存在するものと考えられる。これに対し、ランタン化合物粒子20の偏在領域62を有する場合は、ランタン化合物粒子が表面層60内で面あるいは3次元的な空間を形成している。つまり、表面層60内にランタン化合物粒子20が面または空間として存在するものと考えられる。このため、光触媒粒子10によって酸化されたNOガスが表面層60内を移動する際に、ランタン化合物粒子と接触する確率が増加する。さらに、NOガスの表面層60内での滞留時間を長くすることができる。結果として、NOガスの系外への放出をより効果的に抑制できるものと考えられる。
本発明の好ましい態様によれば、表面層60に含まれる複数の光触媒粒子10の少なくとも一部は、偏在領域62に含まれるランタン化合物粒子20と接して配置されてなる。光触媒粒子10と、偏在して存在するランタン化合物粒子20とを接して配置することにより、光触媒粒子10によって酸化されて生成されたNOガスの脱着をより効果的に抑制することができる。また、ランタン化合物粒子20を偏在させてNOガスの吸着性能を向上させているため、ランタン化合物粒子20に吸着されたNOガスを第2反応に付し、光触媒粒子10の光触媒活性により引き続き酸化反応に付すことができる。その結果、NOを無害なNO にまでより確実に酸化することができる。また、ランタン化合物粒子20に一旦吸着したNOが脱着して表面層60外に放出されることをより効果的に抑制することができる。光触媒粒子10がランタン化合物粒子20と接して配置されてなる態様の具体例としては、例えば図1や図2に示されるように、ランタン化合物粒子20の偏在領域62と光触媒粒子10の散在領域61との界面において、光触媒粒子10とランタン化合物粒子20とが接して配置されている状態が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、例えば図1や図2に示されるように、表面層60内の、Z軸方向に対して略垂直な平面内に、ランタン化合物粒子20が配置されてなる。本発明において、例えば、ランタン化合物粒子20が表面層60内で略横方向に配置され、偏在領域62が形成されていることが好ましい。また、例えば、ランタン化合物粒子20が基材70の表面に沿う平面内に偏在され、偏在領域62が形成されていることが好ましい。これにより、偏在領域62はランタン化合物粒子全体として大きな表面積を確保することができ、例えば、より多くの二酸化窒素を吸着することができる。この場合においてさらに、ランタン化合物粒子20の偏在領域62を、例えば窓ガラスや外壁などの大きな基材の表面に設けた場合、NO除去性能をより高め、あるいは有効に発揮させることができる。
本発明の好ましい態様によれば、表面層60において、光触媒粒子10が略均一に配置されてなる領域、例えば、光触媒粒子10の散在領域61に、ランタン化合物粒子がさらに配置されてなる。光触媒粒子10の散在領域61にもランタン化合物粒子20が配置されているため、例えば、NOガスの吸着性能をより高めることができる。
<複数膜の積層>
本発明の好ましい態様によれば、表面層60は、例えば第1被膜と第2被膜とを含んでなる。第2被膜は、基材70と第1被膜との間に設けられてなる。この態様において、光触媒粒子10は、例えば、第1被膜または第2被膜のいずれか一方に配置されている。ランタン化合物粒子20は、例えば、第1被膜または第2被膜のいずれか他方に配置されている。ランタン化合物粒子20を含む被膜と光触媒粒子10を含む被膜とを別々に設けることにより、表面層60内でランタン化合物粒子20をより確実に偏在させることができる。その結果、光触媒塗装体のNO除去性能をより高めることができる。
本発明の好ましい態様によれば、光触媒粒子10は、第1被膜に配置されてなり、ランタン化合物粒子20は、第2被膜に配置されてなる。表面層の上側に位置する第1被膜に光触媒粒子10を配置することにより、光触媒粒子10が光を効率的に獲得することができる。これにより、光触媒塗装体の光触媒活性を高めることができる。
本発明の好ましい態様によれば、表面層60(第1被膜、第2被膜)は、光触媒粒子10やランタン化合物粒子20などの粒子成分から主として形成されてなることが好ましい。とりわけ表面層60の外気と接する側(第1被膜)が主として粒子成分から形成されてなることが好ましい。これにより、表面層60に外気が通過する空隙を設けることが可能となるため、表面層60に含まれる光触媒粒子10やランタン化合物粒子20が、外気と接触し易くなる。このため、光触媒粒子10を、外気に含まれるNOと効率的に接触させることができ、結果的に、第1反応および/または第2反応の性能を向上させることができる。
光触媒粒子
本発明による光触媒塗装体の表面層に含まれる光触媒粒子10は、抗菌機能、脱臭機能、有害ガス除去機能、親水性機能などの光触媒機能を発揮するのに十分なバンド・ギャップを有する半導体粒子である。
本発明において、光触媒粒子10の好ましい例としては、例えば、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタンなどの酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステンなど金属酸化物の粒子が挙げられる。光触媒粒子10は、より好ましくは酸化チタン粒子であり、さらにより好ましくはアナターゼ型酸化チタン粒子である。
本発明において、光触媒粒子10は、10nm以上100nm以下の平均粒子径を有することが好ましく、より好ましくは10nm以上60nm以下である。平均粒子径がこの範囲にあることで、光触媒活性が高くなる。さらに、表面層60内に光触媒粒子間の空隙を形成する場合に、光触媒活性を高めるために好適な空隙径に制御し易くなるとの利点が得られる。ここで、平均粒子径とは、走査型電子顕微鏡により20万倍の視野に入る任意の100個の粒子の長さを測定した個数平均値として算出されるものを意味する。
本発明において、光触媒粒子10の形状としては真球が好ましく、略円形や楕円形でもよい。この場合の光触媒粒子10の平均粒子径は、(長径+短径)/2として略算出される。
本発明において、表面層60における光触媒粒子10の含有量は、表面層60全体に含まれる粒子成分である固形分の濃度を100質量%としたとき、1質量%以上60質量%以下が好ましい。あるいは、表面層60が第1被膜および第2被膜を含む場合において、各被膜に含まれる固形分の濃度を100質量%としたとき、いずれかの被膜、好ましくは後述する4価の正方晶からなる酸化スズ粒子、隙間充填粒子を含む第1被膜における光触媒粒子10の含有量は1質量%以上60質量%以下が好ましい。光触媒粒子10の含有量がこの範囲にあることで、例えば空気中のNOを除去するに際し、第1反応を高めつつ、さらに、第2反応をも高めることができる。また、基材に有機物が含有されている場合でも優れた光触媒耐蝕性が発揮される。
ランタン化合物粒子
本発明による光触媒塗装体の表面層60に含まれるランタン化合物粒子20は、光触媒粒子10と共存することで、第1反応を促進する作用を有する。また、ランタン化合物粒子20は、第1反応により生成される二酸化窒素(ガス)に対する吸着性能が高い化合物の粒子である。ここで、「共存」とは、光触媒粒子10とランタン化合物粒子20とが近接して配置される態様を指す。具体的には、粒子同士が接して配置される態様と、光触媒粒子10を含む層と、ランタン化合物粒子20を含む層と、を接して設ける態様と、が挙げられる。後者の場合は、光触媒粒子10とランタン化合物粒子20とが、面で接触することとなり、接触面積を増やすことができる。
ランタン化合物粒子20の好ましい例としては、La(OH)粒子、La粒子が挙げられる。より好ましくは、La(OH)粒子である。ランタン化合物粒子20の形状は、球状、またはアスペクト比が1より大きい楕円状、長方形、もしくは針状のいずれであってもよい。
任意成分
二酸化窒素吸着粒子
本発明において、表面層60は、二酸化窒素吸着粒子をさらに含んでいてもよい。本発明の好ましい態様によれば、二酸化窒素吸着粒子は、その表面に塩基性サイトを有する粒子である。二酸化窒素(ガス)は酸性であるため、その表面に塩基性サイトを有する粒子を含むことにより、表面層60はより多くの二酸化窒素を吸着することができる。二酸化窒素吸着粒子は、例えば、表面層60内において、ランタン化合物粒子20の偏在領域62以外の領域に、略均一に分散させて配置される。
二酸化窒素吸着粒子の材料の例としては、その表面に塩基性サイトを有するものであれば制限はない。例えば、Na2O、MgO、K2O、CaO、Rb2O、SrO、BaO等の塩基性金属酸化物、Al2O3、ZnO、ZrO2等の両性金属酸化物、Mg(OH)2、Ca(OH)2等の塩基性金属水酸化物などが挙げられる。二酸化窒素吸着粒子は、好ましくは、MgO、Al2O3、ZrO2である。
4価の正方晶からなる酸化スズ粒子
本発明の好ましい態様によれば、例えば図1に示すように、表面層60は、4価の正方晶からなる酸化スズ粒子30をさらに含んでなる。表面層60が4価の正方晶からなる酸化スズ粒子30を含み、光触媒粒子10と共存することにより、NOx除去性能が向上する。とりわけNO酸化反応の効率が向上する。4価の正方晶からなる酸化スズ粒子30を光触媒粒子10と共存させることで、特異的な電荷分離効果が発揮され、第1反応(NO→NO)が促進される。なお、特異的な電荷分離効果の原理は不明であるが、光触媒反応で一般に定義される電荷分離効果とは相違し、第1反応(NO→NO)の促進に寄与する電荷分離効果であると考えられる。この効果は、4価の正方晶からなる酸化スズ粒子を含有する場合のみ、発現することを本発明者らは見出した。
本発明者らの行った実験によれば、光触媒粒子と4価の正方晶からなる酸化スズ粒子とを含む場合と、光触媒粒子と4価の正方晶以外の価数、結晶相を含む酸化スズ粒子とを含む場合と、の対比において、有機物の分解性能の指標であるメチレンブルー分解試験では両者に差異が認められなかった。一方、前者の場合においてのみ、NO除去反応における第1反応の促進効果が認められた。すなわち、いずれの酸化スズ粒子を含有する場合でも、光触媒反応で一般に定義される電荷分離効果を示すことが確認された。一方、4価の正方晶からなる酸化スズ粒子を含有することによってのみ、特異的な電荷分離効果が発現されることが確認された。
4価の正方晶からなる酸化スズ粒子の結晶子サイズは、例えば、1nm以上4nm以下であることが好ましい。結晶子サイズがこの範囲にあることで、上記特異的な電荷分離効果をより確実に得ることができる。また、光触媒粒子と4価の正方晶からなる酸化スズ粒子との接触確率が増加するため、電荷分離効果を高めることができる。なお、結晶子サイズは、例えば、X線回折におけるバックグランドを除くパターンフィッティング処理後に、2θ=25〜28°付近の(110)面の回折ピークを利用してシェラー式により算出される。
本発明において、表面層60における4価の正方晶からなる酸化スズ粒子の含有量は、表面層60全体に含まれる固形分の濃度を100質量%としたとき、0質量%以上60質量%以下が好ましい。あるいは、表面層60が第1被膜および第2被膜を含む場合において、各被膜に含まれる固形分の濃度を100質量%としたとき、いずれかの被膜、好ましくは光触媒粒子10、後述する隙間充填粒子を含む第1被膜における4価の正方晶からなる酸化スズ粒子の含有量は、0質量%以上60質量%以下が好ましい。4価の正方晶からなる酸化スズ粒子の含有量がこの範囲にあることにより、第1反応を効果的に促進することができる。
隙間充填粒子
本発明において、表面層60は、隙間充填粒子40をさらに含んでいてもよい。隙間充填粒子40は、表面層60における光触媒粒子10の間隙を埋める粒子である。表面層60が隙間充填粒子40を含むことにより、表面層60内にNOガスが通過するための隙間が形成される。また、隙間充填粒子40の静電引力、水素結合、ファンデルワールス力などによって、光触媒粒子10や4価の正方晶からなる酸化スズ粒子30を、隙間充填粒子40を介して結合させることができる。これによって、例えば、表面層60の強度が向上する。
本発明において、隙間充填粒子40の例としては、シリカ、酸化タングステン、セリア、イットリア、ボロニア、フェライト、無定型チタニア、ハフニア等の単一酸化物の粒子;およびチタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、ケイ酸カルシウム等の複合酸化物の粒子などが挙げられる。
本発明において、隙間充填粒子40の平均粒子径は、5nmを超え50nm以下が好ましく、より好ましくは10nm以上40nm以下、さらにより好ましくは10nm以上30nm以下である。平均粒子径がこの範囲にあることで、表面層60に効果的に隙間を形成することができる。また、表面層60の耐摩耗性を向上させることができる。ここで、平均粒子径とは、走査型電子顕微鏡により20万倍の視野に入る任意の100個の粒子の長さを測定した個数平均値として算出されるものを意味する。
本発明において、表面層60における隙間充填粒子40の含有量は、表面層60全体に含まれる固形分の濃度を100質量%としたとき、0質量%以上98質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以上95質量%以下、さらにより好ましくは20質量%以上95質量%以下である。あるいは、表面層60が第1被膜および第2被膜を含む場合において、各被膜に含まれる固形分の濃度を100質量%としたとき、いずれかの被膜、好ましくは光触媒粒子10、4価の正方晶からなる酸化スズ粒子30を含む第1被膜における隙間充填粒子40の含有量は、0質量%以上98質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以上95質量%以下、さらにより好ましくは20質量%以上95質量%以下である。隙間充填粒子40の含有量がこの範囲にあることで、表面層60に効果的に隙間を形成することができる。また、表面層60を、有機物を含む基材70に適用した場合であっても、基材70の劣化を大きく抑制できる。
なお、本発明者らは、隙間形成粒子40として、SiO2粒子を用いる場合には、表面層60のヘイズが高くなることを見出した。したがって、基材70として、透明なものを用いる場合には、隙間形成粒子40を含まないことが好ましい。なお、透明とは、波長400〜600nmの可視光透過率が70%以上であることを言う。
結着剤
本発明において、表面層60は、結着剤を含んでもよい。表面層60が、例えば図1に示すように、光触媒粒子10、4価の正方晶からなるSnO2粒子30および隙間充填粒子40を、または光触媒粒子10および隙間充填粒子40を含み、これらの粒子を含む散在領域61が外気と接触し、ランタン化合物粒子20の偏在領域62が基材70に沿うように設けられている場合、ランタン化合物粒子20の偏在領域62に結着剤を含ませることにより、偏在領域62と基材70との密着性を高めることができる。その結果、表面層60と基材70との密着性を高めることができる。また、表面層60が第1被膜および第2被膜を含む場合において、第1被膜が、光触媒粒子10、4価の正方晶からなるSnO2粒子30および隙間充填粒子40を、または光触媒粒子10および隙間充填粒子30を含み(この場合、第1被膜は外気と接触する)、第2被膜にランタン化合物粒子20が偏在している場合、第2被膜に結着剤を含ませることにより、基材70と第2被膜との密着性、および第2被膜と第1被膜との密着性を高めることができる。
本発明において、結着剤としては、無機ガラス質、熱可塑性樹脂、ハンダ等の熱可塑性材料、フッ素樹脂、シロキサン樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性材料のいずれも使用可能である。アクリル−シリコーン樹脂、エポキシ−シリコーン樹脂、ポリエステル−シリコーン樹脂等のシリコーン変性樹脂が好ましい。また、結着剤の主成分の分散形態として、有機溶剤に溶解したものやエマルジョンとして水中分散したもののいずれも使用可能である。
本発明において、表面層60の下側に基材70に接するようにランタン化合物粒子20の偏在領域62が設けられている場合、この偏在領域62に含まれる全固形分の濃度を100質量%としたとき、偏在領域62に含まれる結着剤の含有量は、0質量%以上70質量%以下が好ましく、より好ましくは0質量%以上50質量%以下である。また、表面層60が第1被膜および第2被膜を含む場合、第2被膜に含まれる全固形分の濃度を100質量%としたとき、第2被膜に含まれる結着剤の含有量は、0質量%以上70質量%以下が好ましく、より好ましくは0質量%以上50質量%以下である。結着剤の含有量がこの範囲にあることで、表面層60のNOガス等のNOガスの吸着性能を向上させることができる。また、基材70に有機物が含有されている場合でも、表面層60は基材70に対して十分な密着性を発揮する。
基材
本発明において、基材70はその上に表面層60を形成可能な材料であれば無機材料、有機材料を問わず種々の材料であってよく、その形状も限定されない。材料の観点からみた基材70の好ましい例としては、金属、セラミック、ガラス、プラスチック、ゴム、石、セメント、コンクリ−ト、繊維、布帛、木、紙、それらの組合せ、それらの積層体、それらの表面に少なくとも一層の被膜を有するものが挙げられる。用途の観点からみた基材70の好ましい例としては、建材、建物外装、窓枠、窓ガラス、構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバー及び塗装、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用遮音壁、鉄道用遮音壁、橋梁、ガードレ−ルの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、ビニールハウス、車両用照明灯のカバー、屋外用照明器具、台及び上記物品表面に貼着させるためのフィルム、シート、シール等といった外装材が挙げられる。
本発明においては、その表面が有機物質を含んでなる基材70を好適に用いることができる。そのような基材70としては、例えば、有機物を含む樹脂、有機物を含む樹脂を含有する塗装を表面に施した塗装体、有機物を含む樹脂を含有するフィルム等を表面に積層した積層体などが挙げられる。適用可能な基材70を用途でいえば、金属塗装板、塩ビ鋼板等の金属積層板、窯業系化粧板、樹脂建材等の建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバ−及び塗装、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用遮音壁、鉄道用遮音壁、橋梁、ガ−ドレ−ルの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバ−、太陽熱温水器集熱カバ−、ビニ−ルハウス、車両用照明灯のカバ−、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバ−、台所用品、食器、食器洗浄器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフ−ド、換気扇等が挙げられる。特に本発明においては、基材として金属塗装板、金属積層板を利用した場合、基材を劣化・腐食させにくく好ましい。
従来、光触媒塗装体にあっては、光触媒粒子の光触媒活性による基材70への影響を、例えば、シリコーン系樹脂からなる層などを基材70と表面層60との間に設けることで抑えることが一般的に行われてきた。本発明によれば、このような従来一般的に設けられてきたシリコーン系樹脂ではなく、有機材料からなる基材70に直接光触媒粒子を含む表面層60を設けることもできる。その結果、本発明は、その利用、適用範囲が大きく拡大されるとの点で有利となる。
<試験1>
コーティング組成物の調製
光触媒粒子であるTiO粒子、ランタン化合物粒子であるLa(OH)粒子、および隙間充填粒子であるSiO粒子から選択される粒子が表1に示す組合せで分散してなるコーティング組成物(1−11、1−12、1−21)を調製した。各コーティング組成物に含まれる固形分の濃度および組成比を表1に示す。なお、各コーティング組成物は、粒子成分である固形分の他に、界面活性剤および水を混合・分散して調製した。TiO粒子として、アナターゼ型チタニア水分散体を用いた。TiO粒子の平均粒子径は40nmであった。La(OH)粒子として、水酸化ランタン水分散体を用いた。La(OH)粒子の平均粒子径は40nmであった。SiO粒子として、水分散型コロイダルシリカを用いた。SiO粒子の平均粒子径は10nmであった。
Figure 2017080726
光触媒塗装体の作製
基材としてガラスを用意した。この基材の表面に、表2に記載の塗着量(g/m2)にて、表2に記載のコーティング組成物を塗布して光触媒塗装体1−1および1−2を作製した。光触媒塗装体1−1は、基材の表面にコーティング組成物1−21を塗布して第2被膜を形成し、次いで第2被膜の表面にコーティング組成物1−11を塗布して第1被膜を形成したものである。光触媒塗装体1−2は、基材の表面にコーティング組成物1−12を塗布して第1被膜のみを形成したものである。第2被膜は、ローラーを用いて形成した。第1被膜は、スプレーを用いて形成した。
光触媒塗装体1−1は、表面層として、ランタン化合物粒子であるLa(OH)粒子が分散した第2被膜と、第2被膜の表面に光触媒粒子であるTiO粒子および隙間充填粒子であるSiO粒子が分散した第1被膜とを有する。従って、光触媒塗装体1−1の表面層60においては、第2被膜がランタン化合物粒子20の偏在領域62である。一方、光触媒塗装体1−2の表面層60は、光触媒粒子であるTiO粒子、ランタン化合物粒子であるLa(OH)粒子、および隙間充填粒子であるSiO粒子が分散した散在領域61のみを有する。すなわち、光触媒塗装体1−2の表面層60は、ランタン化合物粒子の偏在領域62を有さない。
Figure 2017080726
評価
光触媒塗装体1−1、1−2のΔNO(μmol)、ΔNO/ΔNO(%)、およびΔNO(μmol)を以下の方法で測定した。結果を表3に示す。図4に、ΔNO(μmol)およびΔNO/ΔNO(%)の測定結果を棒グラフで示す。
Figure 2017080726
窒素酸化物除去性能の測定は、以下の通り行った。まず前処理として、上記光触媒塗装体に1mW/cmのBLB光を5hr以上照射した。次いで、前処理した光触媒塗装体を蒸留水に2時間浸漬し、110℃にて30分以上乾燥させた。そして、JIS R1701−1に記載の方法により試験を行い、第1反応で消費したNOガス量(ΔNO)と第1反応で生成したNOガスの光触媒塗装体からの脱着量(ΔNO)を求めた。
ランタン化合物粒子20の偏在領域62(第2被膜)を有する表面層60を備えた光触媒塗装体1−1は、ランタン化合物粒子20が略均一に分散している表面層60を備えた光触媒塗装体1−2に比べて、ΔNOが大きく、第1反応が促進されることが確認された。また、光触媒塗装体1−1は光触媒塗装体1−2に比べて、ΔNO/ΔNOが小さい。すなわち、NOガスの脱離量が低いことが確認された。結果として、光触媒塗装体1−1と光触媒塗装体1−2との対比において、両者の表面層60に含まれる光触媒粒子10の量が同じであるにもかかわらず、ランタン化合物粒子20の偏在領域62を有する光触媒塗装体1−1は、ΔNOが大きく、NO除去性能に優れていることが確認された。
<試験2>
コーティング組成物の調製
光触媒粒子であるTiO粒子、ランタン化合物粒子であるLa(OH)粒子、4価の正方晶からなる酸化スズ(SnO)粒子、および隙間充填粒子であるSiO粒子から選択される粒子が、表4に示す組合せで分散してなる10種類のコーティング組成物を調製した。各コーティング組成物に含まれる固形分の濃度および組成比を表4に示す。なお、各コーティング組成物は、粒子成分である固形分の他に、界面活性剤および水を混合・分散して調製した。SnO粒子として、4価の正方晶からなる酸化スズ粒子水分散体を用いた。SnO粒子の平均粒子径は8nmであった。TiO粒子、La(OH)粒子、及びSiO粒子については、試験1と同じものを用いた。
Figure 2017080726
光触媒塗装体の作製
基材としてガラスまたは有機被膜ガラスを用意した。この基材の表面に、表5に記載の塗着量(g/m2)にて、表5に記載のコーティング組成物を塗布して光触媒塗装体2−1〜2−12を作製した。光触媒塗装体2−1、2−4は、それぞれ基材の表面にコーティング組成物2−11、2−13を塗布して第1被膜のみを形成したものである。光触媒塗装体2−4では、光触媒塗装体2−1に対してLa(OH)粒子を増量している。光触媒塗装体2−1、2−4は、表面層60として、光触媒粒子であるTiO粒子、ランタン化合物粒子であるLa(OH)粒子、および4価の正方晶からなるSnO粒子が分散した散在領域61のみを有する。すなわち、光触媒塗装体2−1、2−4の表面層60は、ランタン化合物粒子の偏在領域62を有していない。第1被膜の形成には、スプレーを用いた。第2被膜の形成には、ローラーを用いた。
光触媒塗装体2−2、2−3は、それぞれ基材70の表面にコーティング組成物2−21、2−22を塗布して第2被膜を形成し、次いで第2被膜の表面にコーティング組成物2−12、2−11を塗布して第1被膜を形成したものである。光触媒塗装体2−2、2−3の表面層60は、La(OH)粒子が偏在した偏在領域62を含む第2被膜を有している。光触媒塗装体2−3は、第1被膜にも、La(OH)粒子が配置されている。一方、光触媒塗装体2−2では、第1被膜はLa(OH)粒子を含んでいない。
なお、光触媒塗装体2−2、2−3、2−4において、各表面層60は同量のランタン化合物粒子20を含んでおり、その配置のみが異なっている。具体的には、光触媒塗装体2−1は図3に示す光触媒体101に、光触媒塗装体2−2は光触媒塗装体100-1に、光触媒塗装体2−3は光触媒塗装体100-2に、光触媒塗装体2-4は、光触媒塗装体102に相当している。
光触媒塗装体2−5は、基材70の表面にコーティング組成物2−23を塗布して第2被膜を形成し、次いで第2被膜の表面にコーティング組成物2−11を塗布して第1被膜を形成したものである。すなわち、光触媒塗装体2−5は、光触媒塗装体2−3に対して、第2被膜中のLa化合物粒子を増量している。光触媒塗装体2−6は、基材70の表面にコーティング組成物2−23を塗布して第2被膜のみを形成したものである。
光触媒塗装体2−7〜2−10、2−12は、それぞれ基材の表面にコーティング組成物2−23〜2−27を塗布して第2被膜を形成し、次いで第2被膜の表面にコーティング組成物2−11を塗布して第1被膜を形成したものである。光触媒塗装体2−7〜2−10、2−12はそれぞれ、表面層として、La(OH)粒子が分散した第2被膜を有し、第2被膜の表面にTiO粒子、La(OH)粒子、および4価の正方晶からなるSnO粒子が分散した第1被膜とを有する。従って、光触媒塗装体2−7〜2−10、2−12の表面層60は、ランタン化合物粒子20の偏在領域62を有している。光触媒塗装体2−7〜2−10の第2被膜は、この順に少なくなるように調整された、異なる量のランタン化合物粒子20(La(OH))を含んでいる。光触媒塗装体2−12の第2被膜と、光触媒塗装体2−7の第2被膜は同量のランタン化合物粒子20(La(OH))を含んでいる。光触媒塗装体2−7〜2−12において、第1被膜は同一組成である。
光触媒塗装体2−11は、基材70の表面にコーティング組成物2−11を塗布して第1被膜のみを形成したものである。光触媒塗装体2−11は、表面層60として、光触媒塗装体2−7〜2−10、2−12と同一組成の第1被膜のみを有する。従って、光触媒塗装体2−11の表面層60は、ランタン化合物粒子20の偏在領域を有していない。光触媒塗装体2−12は、第2被膜の塗着量を減らした、すなわち膜厚を小さくした以外は光触媒塗装体2−7と同一のものである。
Figure 2017080726
評価
光触媒塗装体2−1〜2−6のΔNO(μmol)、ΔNO/ΔNO(%)、およびΔNO(μmol)を上記と同様に測定した。また、光触媒塗装体2−7〜2−12のΔNO(μmol)、ΔNO/ΔNO(%)、およびΔNO(μmol)を、前処理時の乾燥条件を25℃、2時間以上とした以外は上記と同様に測定した。結果を表6に示す。図5に、光触媒塗装体2−1〜2−4のΔNO(μmol)の測定結果を棒グラフで示し、ΔNO/ΔNO(%)の測定結果を折れ線グラフで示す。図6に、光触媒塗装体2−7〜2−11のΔNO(μmol)およびΔNO/ΔNO(%)の測定結果をプロットした。
Figure 2017080726
図3(a)に示す光触媒体101に相当する光触媒塗装体2−1と、光触媒塗装体2-1において、光触媒粒子10とランタン化合物粒子20との配置は同じにしたまま、ランタン化合物粒子20の量を増やした光触媒体2−4(図3(c)に示す光触媒塗装体102に相当)と、を対比する。光触媒塗装体2−4の表面層60は、光触媒塗装体2−1の表面層60の、2倍量のLa(OH)粒子を含んでいる。ランタン化合物粒子20を多く含む光触媒塗装体2−4において、ΔNO/ΔNO、すなわち、中間生成物の脱離量はやや減少した。一方、第1反応の効率を示すΔNOについてはランタン化合物粒子20を増やしても変化はなかった。
一方で、表面層60にランタン化合物粒子20の偏在領域62(第2被膜)を有する光触媒塗装体2−2(図3(b-1)に示す光触媒塗装体100-1に相当)及び光触媒塗装体2−3(図3(b-2)に示す光触媒塗装体100-2に相当)と、光触媒塗装体2−4とを対比する。これら3つの光触媒塗装体は、表面層60に含まれる光触媒粒子10、ランタン化合物粒子20、酸化スズ粒子30の量は同じであって、その配置のみが異なっている。
光触媒塗装体2−2においては、偏在領域62を有さない光触媒塗装体2−4と比べて、第1反応の効率を示すΔNOが増加した。そして、ΔNOが増加したにもかかわらず、二酸化窒素の脱離量を示すΔNO/ΔNOは、光触媒塗装体2−4と同レベルであった。すなわち、塗装体2−2においては、ランタン粒子20の配置を工夫したことで、第1反応が促進された。また、より多くの量のNOガスが生成されているにもかかわらず、これが系外に放出されることが抑制されている。結果として、トータルでのNOx除去性能を示すΔNOxが顕著に向上した。
また、表面層60にランタン粒子20の偏在領域62(第2被膜)を有し、かつ、第1被膜にもランタン粒子20が分散した状態で含まれる光触媒塗装体2−3(図3(b-2)に示す光触媒塗装体100-2に相当)においては、第1反応の効率は、光触媒塗装体2−1、2−4と同程度であった。一方で、光触媒塗装体2−3においては、偏在領域62を有さない光触媒塗装体2−1と比べてΔNO/ΔNOが顕著に低下している。また、同量のランタン化合物粒子20を含むが偏在領域62を有さない光触媒塗装体2-4と比べても、ΔNO/ΔNOが顕著に低下している。すなわち、光触媒塗装体2−3は、光触媒塗装体2−1、2−4と比べて二酸化窒素吸着性能が顕著に高い。
以上より、表面層60にランタン化合物粒子60の偏在領域62を設けることで、偏在領域62を含まない場合と比べて、NOx除去性能が高まることが確認された。
光触媒塗装体2−3に対して第2被膜中のランタン化合物粒子を増量した光触媒塗装体2−5では、光触媒塗装体2−3よりもさらにΔNOが大きくなり、ΔNO/ΔNOが低下した。一方、La(OH)粒子を光触媒粒子と共存させていない光触媒塗装体2−6では、NOx除去性能は全く示さなかった。すなわち、La(OH)粒子単独でNOx除去性能を有するものではなく、光触媒粒子とLa(OH)粒子とが共存することでNOx除去性能が発現することが確認された。
次に、光触媒粒子10、ランタン化合物粒子20および4価の正方晶からなる酸化スズ粒子30と、が分散した散在領域61を有する光触媒塗装体2−11と、光触媒塗装体2−11と同一の組成及び粒子配置の散在領域61に加えて、散在領域61と基材70との間にランタン化合物粒子20の偏在領域62をさらに有する光触媒塗装体2−7〜2−10について述べる。なお、光触媒塗装体2−7〜2−10においては、偏在領域62に含まれるランタン化合物粒子20の割合が異なっている。
図6に示すように、表面層60に偏在領域62をさらに設けることで、偏在領域62を有さない光触媒塗装体2−11と比べて、第1反応の効率(ΔNO)が向上することが確認された。また、偏在領域62を有する光触媒塗装体2−7〜2−10においては、第1反応の効率が向上してNOガスの量が増加しているにも関わらず、光触媒塗装体2−11と比べてNOガスの脱離(NO/ΔNO)が少なかった。つまり、光触媒塗装体2−7〜2−10は、光触媒塗装体2−11と比較して、極めて高いNO除去性能を有していることが明らかとなった。この効果は、偏在領域62に含まれるランタン粒子20の量が少なくても発現されることが確認された。なお、偏在領域62に含まれるランタン粒子の量を50質量%以上に多くすることで、NO/ΔNOをより低下させることができる。
次に、偏在領域62(第2被膜)に含まれるランタン化合物粒子の割合を光触媒塗装体2−7と同じにし、第2被膜の塗着量が少ない、すなわち膜厚が薄い光触媒塗装体2−12について述べる。表6に示すように、第2被膜の厚さが薄くても、第2被膜を有さない光触媒塗装体2−11に比べてΔNOが顕著に高く、NO/ΔNOが顕著に低くなった。すなわち、格段に優れたNO除去性能を有していることが確認された。また、膜厚が厚い光触媒塗装体2−7と対比すると、第1反応の向上効果はほぼ同等であった。NO/ΔNOについては、膜厚が厚い光触媒塗装体2−7において、さらに向上することが確認された。
<試験3>
コーティング組成物の調製
光触媒粒子であるTiO粒子、ランタン化合物粒子であるLa(OH)粒子、4価の正方晶からなる酸化スズ粒子(SnO)から選択される粒子と、結着剤であるアクリルシリコーン樹脂とを、表7に示す組合せで混合して6種のコーティング組成物を調製した。各コーティング組成物に含まれる固形分の濃度および組成比を表7に示す。なお、各コーティング組成物は、粒子成分である固形分の他に、界面活性剤および水を混合・分散して調製した。TiO粒子、La(OH)粒子、及びSnO粒子には、試験1、2と同様のものを用いた。
Figure 2017080726
光触媒塗装体の作製
基材としてガラスを用意した。この基材の表面に、表8に記載の塗着量(g/m2)にて、表8に記載のコーティング組成物を塗布して光触媒塗装体3−1〜3−5を作製した。光触媒塗装体3−1〜3−5は、それぞれ基材70の表面にコーティング組成物3−21〜25を塗布して第2被膜を形成し、次いで第2被膜の表面にコーティング組成物3−11を塗布して第1被膜を形成したものである。第1被膜の形成には、スプレーを用いた。第2被膜の形成には、ローラーを用いた。
光触媒塗装体3−1〜3−5はいずれも、表面層60として、La(OH)粒子およびアクリルシリコーン樹脂が分散した第2被膜を有し、第2被膜の表面にTiO粒子および4価の正方晶からなるSnO粒子が分散した第1被膜とを有する。ただし、光触媒塗装体3−1の第2被膜はLa(OH)粒子のみを含み、アクリルシリコーン樹脂を含んでいない。つまり、光触媒塗装体3−1〜3−5の表面層60は、ランタン化合物粒子20の偏在領域62を有する。光触媒塗装体3−1〜3−5の各第2被膜には、この順にLa(OH)粒子の含有量が減るように、かつ、この順にアクリルシリコーン樹脂の含有量が増えるように調整されて両者が分散している。なお、光触媒塗装体2−5〜2−10の第1被膜は、同一の組成であり、粒子の配置も同じである。
Figure 2017080726
評価
光触媒塗装体3−1〜3−5のΔNO(μmol)、ΔNO/ΔNO(%)、およびΔNO(μmol)を上記と同様に測定した。結果を表9に示す。図7に、光触媒塗装体3−1〜3−5のΔNO(μmol)およびΔNO/ΔNO(%)の測定結果をプロットした。
Figure 2017080726
光触媒塗装体3−1〜3−5の全体対比により、ランタン化合物粒子が偏在している場合、ランタン化合物粒子と結着剤との量比、類推的には、ランタン化合物粒子の偏在領域(第2被膜)の隙間構造がNO除去性能に影響を及ぼすことが確認された。具体的には、偏在領域62が結着剤を含む場合、偏在領域62に設けられる空隙が減少する。そのため、NOガスなどのNOガスと、偏在領域62に存在する粒子との接触効率が低下するものと考えられる。
図7に示すように、結着剤の量が50%以上では、第1反応の効率(ΔNO)が低下し、NOガスの脱離(ΔNO/ΔNO)が促進される。ランタン化合物粒子の偏在領域(第2被膜)における結着剤の量が所定値以下の場合に、光触媒塗装体はとても良好なNO除去性能を有することが確認された。
100、110、120、130、140 光触媒塗装体
60 表面層
61 散在領域
62 偏在領域
70 基材
10 光触媒粒子
20 ランタン化合物粒子
30 4価の正方晶からなる酸化スズ粒子
40 隙間充填粒子

Claims (8)

  1. 基材と、当該基材の表面に設けられてなる表面層とを少なくとも備えてなる光触媒塗装体であって、
    前記表面層は、
    複数の光触媒粒子と、複数のランタン化合物粒子とを少なくとも含んでなり、かつ、
    前記複数のランタン化合物粒子の少なくとも一部が当該表面層内に偏って配置されてなる少なくとも1つの領域を有する、光触媒塗装体。
  2. 前記複数の光触媒粒子の少なくとも一部は、前記偏って配置されてなるランタン化合物粒子と接して配置されてなる、請求項1に記載の光触媒塗装体。
  3. 前記表面層内の、前記基材から前記表面層に向かう鉛直方向に対して略垂直な平面内に、前記ランタン化合物粒子が配置されてなる、請求項1または2に記載の光触媒塗装体。
  4. 前記表面層内の、前記ランタン化合物粒子が偏って配置されてなる領域以外の、前記光触媒粒子が配置されてなる領域に、ランタン化合物粒子がさらに配置されてなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光触媒塗装体。
  5. 前記表面層は、第1被膜と、前記基材と前記第1被膜との間に設けられてなる第2被膜とを少なくとも含んでなり、
    前記光触媒粒子は、前記第1被膜または前記第2被膜のいずれか一方に配置されてなり、
    前記ランタン化合物粒子は、前記第1被膜または前記第2被膜のいずれか他方に配置されてなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光触媒塗装体。
  6. 前記光触媒粒子は、前記第1被膜に配置されてなり、
    前記ランタン化合物粒子は、前記第2被膜に配置されてなる、請求項5に記載の光触媒塗装体。
  7. 前記表面層は、4価の正方晶からなる酸化スズ粒子をさらに含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光触媒塗装体。
  8. 前記ランタン化合物粒子は、水酸化ランタン粒子である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光触媒塗装体。
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