JP2017169639A - 手術用拡大鏡 - Google Patents
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Abstract
Description
近年では、繊細な手術を支援するツールとして、比較的拡大倍率の高い手術用拡大鏡(高倍率の手術用拡大鏡)への要請も強くなってきている。
従来の手術用拡大鏡900は、専用のフレーム(ブリッジ、ノーズパッド、テンプル等を含む。)にマウントされて使用されるほか、使用者が普段着用している眼鏡の上に追加的にマウントされて使用されている。
しかしながら、従来の一般的な手術用拡大鏡によれば、手術用拡大鏡を覗いている間は、現在拡大して見ている部分の外側(視野径の外側)の状況については使用者の眼に映らないため、使用者は、首の角度を変えることで手術用拡大鏡の俯角等を変えて視野径の内側に入る範囲を移動させるか、一旦、手術用拡大鏡を目線から外す等の行動を別に起こさない限り、周囲の視覚情報を得ることができなかった。
特に、手術用拡大鏡は、拡大倍率が高くなるにつれて、鏡筒も長くなり視野径が狭くなる(視野が狭くなる。)。これに伴い、視野径の外側の範囲は拡がっていく傾向にある。つまり、高倍率になればなるほど見えない範囲(例えば、術野のうち見えない範囲。)が拡がっていく。このため、近年、高倍率な手術用拡大鏡を用いる医療現場からは、広い視野が確保できる手術用拡大鏡を求める声も高まってきている。
「視野径」とは、観察対象物と手術用拡大鏡との間に所定の「観察距離」の隔たりがあるときに、手術用拡大鏡において所与の拡大倍率で拡大して観察することができる観察対象物側における径をいう。
「視覚情報」とは、使用者の眼において明確に結像されていなくてもよく、視野径の外側にある観察対象物側の何かしらの物体について、ぼんやりとした輪郭、色等が判別できる程度の視覚情報であってもよい。
これによれば、例えば、接眼レンズ又は/及び対物レンズについて、それまで用いていたレンズとは異なる光学特性(屈折率等)を有する別のレンズに交換し、交換後の微調整として必要に応じて接眼レンズ及び対物レンズの相対的位置を変更することができる。観察距離、拡大倍率等を柔軟に変更することができるので、手術の条件、使用者の視覚に関する能力等に応じた適切な手術用拡大鏡を構成することができる。
また、拡大倍率の変更を行う機能をもつ補正レンズを保持させることにより、拡大倍率の変更を柔軟に行うことができ、手術の進行の円滑化に資することもできる。
1.実施形態1に係る手術用拡大鏡1aの構成
図1は、実施形態1に係る手術用拡大鏡1aを説明するために示す図である。なお、左眼用拡大鏡1aLにおける一部の部位については、右眼用拡大鏡1aRの部位と共通するため符号を省略する。また、煩雑化を避けるために、明細書における説明において例えば「接眼レンズ20R、10L」を「接眼レンズ20」というように、右眼用の添え字R及び左目用の添え字Lを省略して説明することがある(別の実施形態でも同様。)。
レンズ保持体100aは、接眼レンズ20及び対物レンズ30の少なくともいずれかについて別のレンズ(図示しない。)と交換ができるように構成され、且つ、接眼レンズ20及び対物レンズ30の相対的位置の変更ができるように構成されている。レンズ保持体100aは、接眼レンズ20及び対物レンズ30の光軸(図1のOA1及びOA2を参照。)に沿って、接眼レンズ20から対物レンズ30までの間に、部材に囲まれていない領域R1を有している。
また、梁110には長穴1152が設けられ、連結梁111には長穴1151が設けられている。対物レンズ保持部130は、長穴1152を通じてネジ114により梁110に固定されている。接眼レンズ保持部120は、梁110及び長穴1151を通じてネジ114によって連結梁111に固定されている。
接眼レンズ20又は/及び対物レンズ30を別のレンズに交換する場合には、ネジ114を取り外し、接眼レンズ20及び接眼レンズ保持部120を合わせた一式又は対物レンズ30及び対物レンズ保持部130を合わせた一式ごと交換することができる。なお、接眼レンズ保持部120及び対物レンズ保持部130はそのまま流用しつつ接眼レンズ20又は/及び対物レンズ30のみを交換する方法をとってもよい。
接眼レンズ保持部120に対する対物レンズ保持部130の相対的位置(図1のd1参照。)を変更する場合には、長穴1152の長手方向に沿って対物レンズ保持部130が固定される位置を適宜選択することにより位置変更をすることができる。
また、右眼用拡大鏡1aR及び左眼用拡大鏡1aLのそれぞれについて、接眼レンズ保持部120が固定される位置を長穴1151の長手方向に沿って適宜選択することにより、光軸OA1及び光軸OA2の間隔を調整することができ、且つ、瞳孔間距離を調整することができる。
実施形態1に係る手術用拡大鏡1aによれば、上記したように主に梁110、接眼レンズ保持部120及び対物レンズ保持部130により手術用拡大鏡1aを構成することとなり、部材に囲まれていない領域R1を確保することができる。かかる領域R1を通じて、視野径の外側の部分からの光も使用者の眼に到達させることができる。こうして、例えば、使用者は、視野径の内側に入って詳しく観察している患部等の他に、当該視野径の内側に入っていない術野全体の他の部分についての視覚情報も得ることができる。すなわち、拡大倍率が比較的高い拡大鏡でありながら、観察中であっても視野径の外側の視覚情報を得ることができ、広い視野を確保することができる。
また、実施形態1に係る手術用拡大鏡1aは、接眼レンズ20及び対物レンズ30の少なくともいずれかについて別のレンズと交換が可能となっており、且つ、接眼レンズ20及び対物レンズ30の相対的位置の変更が可能となっているため、例えば、接眼レンズ20又は/及び対物レンズ30について、それまで用いていたレンズとは異なる光学特性(屈折率等)を有する別のレンズに交換し、交換後の微調整として必要に応じて接眼レンズ20及び対物レンズ30の相対的位置を変更することができる。このようなレンズの交換や位置の調整を行うことで、観察距離、拡大倍率、視野径等を柔軟に変更することができ、手術等の条件に応じた適切な手術用拡大鏡を構成することができる。
また別のレンズに交換することで、例えば、近視、乱視、左右の視力のアンバランス等を補うこともでき、使用者の視覚に関する能力に応じた適切な手術用拡大鏡を構成することができる。
拡大倍率が5倍未満の場合には、鏡筒の長さも短く、視野径が比較的大きい。また、拡大倍率が20倍を超える場合には、実体顕微鏡を用いることが多い。一方、拡大倍率が5倍よりも大きく20倍よりも小さい範囲の手術用拡大鏡は、特に鏡筒の長さも長くなり、視野径も比較的小さくなるため、視野径の外側の見えない部分(例えば、術野全体のうち視野径の外側の部分。)が大きくなる。
このような条件において実施形態1に係る手術用拡大鏡1aによれば、拡大倍率が比較的高い拡大鏡でありながらも、観察中であっても視野径の外側の視覚情報を得ることができ、広い視野を確保することができる。
1.実施形態2に係る手術用拡大鏡1bの構成
図2は、実施形態2に係る手術用拡大鏡1bを説明するために示す図である。図2(a)は手術用拡大鏡1bを示す斜視図であり、図2(b)は図2(a)において枠体150の一部を側面視したときの断面を表した図である。
レンズ保持体100bは、接眼レンズ20及び対物レンズ30の少なくともいずれかについて別のレンズ(図示しない。)と交換ができるように構成され、且つ、接眼レンズ20及び対物レンズ30の相対的位置の変更ができるように構成されている。レンズ保持体100bは、接眼レンズ20及び対物レンズ30の光軸(図1のOA1及びOA2を参照。)に沿って、接眼レンズ20から対物レンズ30までの間に、部材に囲まれていない領域又は外部からの光の少なくとも一部を透過する性質をもった部材に囲まれている領域R2を有している。
レンズ保持体100b(枠体150)において、枠体150の下面及び側面に複数のスロット1601〜160nが形成されており(図2(b)参照。)、接眼レンズ20及び対物レンズ30を収容することができる。各スロットは、上面方向が開口しており、上面方向からレンズを挿す/抜くことによりレンズを収容及び離脱することができる。複数のスロットのうちレンズを挿す(収容する)位置を適宜選択することにより、接眼レンズ20に対する対物レンズ30の相対的位置の変更をすることができる。また、これらのスロットの一部に補正レンズ(後述する。)を追加的に挿してもよい。
枠体150の下面、上面及び左右の側面は、少なくとも接眼レンズ20が収容される位置から対物レンズ30が収容される位置までの間(図2ではR2に対応した領域。)において、外部からの光の少なくとも一部を透過する性質をもった部材によって構成されている。
なお、領域R2内において、枠体150を構成する部材の一部を切り欠いて「部材に囲まれていない領域」として構成してもよい。
また、右眼用拡大鏡1bR及び左眼用拡大鏡1bLのそれぞれについて、接眼レンズ20、対物レンズ30及びレンズ保持体100bが固定される位置を長穴1151の長手方向に沿って適宜選択することにより、光軸OA1及び光軸OA2の間隔を調整することができ、且つ、瞳孔間距離を調整することができる。
実施形態2に係る手術用拡大鏡1bにおいて、枠体150は、接眼レンズ20から対物レンズ30までの間において、部材に囲まれていない領域R2又は外部からの光の少なくとも一部を透過する性質をもった部材に囲まれている領域R2を有している。かかる領域を通じて、視野径の外側の部分からの光も使用者の眼に到達させることができる。こうして、例えば、使用者は、視野径の内側に入って詳しく観察している患部等の他に、当該視野径の内側に入っていない術野全体の他の部分についての視覚情報も得ることができる。すなわち、拡大倍率が比較的高い拡大鏡でありながらも、観察中であっても視野径の外側の視覚情報を得ることができ、広い視野を確保することができる。
また、実施形態2に係る手術用拡大鏡1bは、接眼レンズ20又は/及び対物レンズ30の収容及び離脱が可能であり、且つ、接眼レンズ20に対する対物レンズ30の相対的位置の変更が可能となっているため、例えば、接眼レンズ20又は/及び対物レンズ30について、それまで用いていたレンズとは異なる光学特性(屈折率等)を有する別のレンズに交換し、交換後の微調整として必要に応じて接眼レンズ20及び対物レンズ30の相対的位置を変更することができる。このようなレンズの交換や位置の調整を行うことで、観察距離、拡大倍率、視野径等を柔軟に変更することができ、手術等の条件に応じた適切な手術用拡大鏡を構成することができる。
また別のレンズに交換することで、例えば、近視、乱視、左右の視力のアンバランス等を補うこともでき、使用者の視覚に関する能力に応じた適切な手術用拡大鏡を構成することができる。
図3は、実施形態3に係る手術用拡大鏡1cを説明するために示す図である。なお、図1と共通の部位については同じ符号を付している。
また、補正レンズ40は、長穴1153の長手方向に沿って補正レンズ保持部140が固定される位置を適宜変更することにより、接眼レンズ20との間、又は/及び対物レンズ30との間の相対的位置を変更することができる。
また、例えば、普段、近視、乱視等を理由として自己の眼鏡を着用している使用者であったとしても、使用者に適した近視、乱視、左右の視力のアンバランス等の補正を行う補正レンズ40を手術用拡大鏡1cに保持させれば、自己の眼鏡を着用せず単に手術用拡大鏡のみを着用するだけで観察を行うことができ、使用者の負担が軽減される。
図4は、本発明の手術用拡大鏡を用いた拡大観察装置2を説明するために示す図である。
拡大鏡支持構造体200は、手術用拡大鏡を支持し、適宜、位置及び姿勢を変更できるものであれば何れのものでもよいが、例えば、図4に示すように、複数のアーム(252,254,256)、複数の関節(251,253,255,257)、基台259等を備える構成である。
より詳しくは、拡大鏡に接続され、拡大鏡の光軸を水平面と平行になるように設定したとき下方向が開口するように配置された逆U字形の連結部220と、連結部220に接続され、拡大鏡の位置又は/及び姿勢を変更する際、使用者によって操作されるグリップ部230と、グリップ部230に接続された先端関節251、該先端関節251に連接された複数のアーム252,254,256,258、及び、該複数のアーム同士252,254,256,258を接続する少なくとも1以上の関節253,255,257を含む支持部250と、を備え、拡大鏡、連結部220及びグリップ部230の相互の位置関係は一のユニットとして固定化されてなり、グリップ部230が操作されることにより該ユニットごと位置又は/及び姿勢が変更されるよう構成され、グリップ部230は、拡大鏡に対して、該使用者が拡大鏡に眼を当てながら該使用者の手が届く範囲の距離に位置している。
また、先端関節251は、ボール・ジョイントによって構成され、グリップ部230は、グリップ本体232及びレバー234を含み、該レバー234が操作されることにより、ボール・ジョイントの角度を自由化するモードと固定化するモードとの間の切り替えが行われる。
このような拡大鏡支持構造体200によって手術用拡大鏡を支持して用いることにより、使用者に負担をかけることなく、拡大倍率が比較的高い高性能な手術用拡大鏡を実用的に用いることができる。
また、図6に示すように、形状は従来と同様としつつ、光の少なくとも一部を透過する性質をもった部材をもって鏡筒(枠体150)を構成とした手術用拡大鏡1eとしてもよい。
Claims (4)
- 接眼レンズと、
対物レンズと、
前記接眼レンズ及び前記対物レンズを保持するとともに、前記接眼レンズ及び前記対物レンズの少なくともいずれかについて別のレンズと交換が可能であり、且つ、前記接眼レンズ及び前記対物レンズの相対的位置の変更が可能であるレンズ保持体と、を備えた手術用拡大鏡であって、
前記レンズ保持体は、前記接眼レンズ及び前記対物レンズの光軸に沿って、前記接眼レンズから前記対物レンズまでの間に、部材に囲まれていない領域又は外部からの光の少なくとも一部を透過する性質をもった部材に囲まれている領域を有することを特徴とする手術用拡大鏡。 - 請求項1に記載の手術用拡大鏡において、
前記レンズ保持体は、
梁と、前記梁に連接され前記接眼レンズを保持する接眼レンズ保持部と、前記梁に連接され前記対物レンズを保持する対物レンズ保持部と、を有し、
前記接眼レンズ保持部及び前記対物レンズ保持部が前記梁の長手方向に沿って配列され、
且つ、前記接眼レンズ及び前記対物レンズの少なくともいずれかについて別のレンズと交換が可能であり、前記接眼レンズ保持部に対する前記対物レンズ保持部の相対的位置を変更可能に構成されていることを特徴とする手術用拡大鏡。 - 請求項1に記載の手術用拡大鏡において、
前記レンズ保持体は、
前記接眼レンズ及び前記対物レンズを収容するものであって、前記接眼レンズ又は/及び前記対物レンズの収容及び離脱が可能であり、前記接眼レンズに対する前記対物レンズの相対的位置の変更が可能に構成された枠体を有し、
前記枠体は、前記接眼レンズから前記対物レンズまでの間において、部材に囲まれていない領域又は外部からの光の少なくとも一部を透過する性質をもった部材に囲まれている領域を有することを特徴とする手術用拡大鏡。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の手術用拡大鏡において、
補正レンズを更に備え、
前記レンズ保持体は、
前記補正レンズを保持するとともに、
前記補正レンズについて別のレンズと交換が可能であり、
且つ、前記補正レンズと前記接眼レンズとの間、又は/及び前記補正レンズと前記対物レンズとの間の相対的位置の変更が可能であることを特徴とする手術用拡大鏡。
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