JP2017169318A - ロータ - Google Patents

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平野 正樹
Masaki Hirano
正樹 平野
浅野 能成
Yoshinari Asano
能成 浅野
善紀 安田
Yoshiaki Yasuda
善紀 安田
祥孝 奥山
Yoshitaka Okuyama
祥孝 奥山
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Abstract

【課題】トルク脈動を低減させる。【解決手段】各磁石スロット(22)は、軸方向視にて、ロータコア(21)の外周側から内周側に向かって略U字形状に延びる形状が周方向に分断されて成る複数のスロット部(22a,22b)を有する。ロータコア(21)の回転方向前進側に位置するスロット部(22a)の面積は、ロータコア(21)の回転方向後進側に位置するスロット部(22b)の面積よりも広くなっている。【選択図】図3

Description

本発明は、ステータに挿通され回転軸に連結されるロータに関するものである。
電動機及び発電機などの回転電気機械は、ロータとステータとを備える。ロータは、磁石スロットが形成されたロータコアと、当該磁石スロットに充填された磁石とを有する。ステータは、複数箇所にコイルが巻かれたステータコアを有する。これにより、コイルに流れる電流によって形成される回転磁界に応じて、ロータとステータとが反発及び吸引を繰り返し、ロータはステータに対して回転する。
特に、特許文献1に開示されているように、磁石スロットには、磁性粉末を含有する溶融樹脂を射出して固化させること(射出成形)により、ボンド磁石が充填される技術が知られている。
特許第3619885号公報
ロータがステータに対して回転する際、振動及び騒音が主な課題として挙げられる。上記特許文献1に係るボンド磁石射出成形型のロータにおいても、振動及び騒音を抑制するために、トルク脈動を低減することが求められる。なお、トルク脈動は、ステータ側の磁石の位置に対しロータ側の磁石がどの位置にあるかに起因して生じる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ボンド磁石が充填されたロータを回転させる際のトルク脈動を低減させることである。
第1の発明は、ステータ(10)に挿通されるとともに回転軸(30)に連結されるロータ(20)であって、複数の磁石スロット(22)が周方向に並んで形成されたロータコア(21)と、各上記磁石スロット(22)に充填されたボンド磁石(29)とを備え、各上記磁石スロット(22)は、軸方向視において、上記ロータコア(21)の外周側から内周側に向かって略U字形状に屈曲して延びる形状が周方向に分断されて成る複数のスロット部(22a,22b)を有し、各上記磁石スロット(22)においては、複数の上記スロット部(22a,22b)のうち該スロット部の周方向の長さの中心が磁極中心(CL)よりも上記ロータコア(21)の回転方向前進寄りに位置する第1スロット部(22a)、の面積が、複数の上記スロット部(22a,22b)から上記第1スロット部(22a)を除く残りのスロット部のうち周方向の長さの中心が上記磁極中心(CL)よりも上記ロータコア(21)の回転方向後進寄りに位置する第2スロット部(22b)、の面積よりも大きくなっていることを特徴とするロータである。
ロータ(20)の回転時、磁石スロット(22)に対応するロータコア(21)の部分のうち回転方向前進側となる部分が寄与してトルクが発生する。ここでのロータコア(21)は、各磁石スロット(22)が周方向に分割された構造となっており、1つあたりの磁石スロット(22)は、複数のスロット部(22a,22b)を有する。そして、周方向の長さの中心が磁極中心(CL)よりもロータコア(21)の回転方向前進寄りに位置する第1スロット部(22a)の面積は、周方向の長さの中心が磁極中心(CL)よりもロータコア(21)の回転方向後進寄りに位置する第2スロット部(22b)の面積よりも大きくなっている。
これにより、各磁石スロット(22)へのボンド磁石(29)の充填の際、充填されたボンド磁石(29)から各磁石スロット(22)の各壁面には射出圧力がかかる。この際、第1スロット部(22a)と第2スロット部(22b)とで単位面積あたりの射出圧力が同程度だとしても、第1スロット部(22a)の面積が第2スロット部(22b)よりも大きい分、第1スロット部(22a)の壁面にかかる射出圧力の合計値は第2スロット部(22b)よりも大きくなる。その結果、各磁石スロット(22)に対応するロータコア(21)の部分のうち回転方向前進側となる第1スロット部(22a)寄りの部分が、回転方向後進側となる第2スロット部(22b)寄りの部分に比してロータコア(21)の外方に膨出する。即ち、ロータ(20)回転の際に主にトルクの発生に寄与し易い位置が、他位置に比して膨出する。これにより、1つの磁石スロット(22)に着目した際、ロータ(20)とステータ(10)との距離であるエアギャップ(G)は、回転方向前進側において狭くなり、その分磁気抵抗が低下する。それ故、ロータ(20)回転時、回転方向前進側にて発生するトルクは増大し、ロータ(20)を回転させた際のトルク脈動が低減される。従って、ロータ(20)を用いた回転電気機械(1)における振動及び騒音は抑制される。
第2の発明は、第1の発明において、各上記磁石スロット(22)においては、上記第1スロット部(22a)の周方向の長さ(wa)が、上記第2スロット部(22b)の周方向の長さ(wb)よりも長くなっていることを特徴とするロータである。
このように、比較的容易な構成により、第1スロット部(22a)の面積を第2スロット部(22b)の面積を大きくすることができ、ロータコア(21)のうち、トルクの発生に寄与する位置を膨出させることができる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、各上記磁石スロット(22)においては、上記第1スロット部(22a)の径方向の幅(da)が、上記第2スロット部(22b)の径方向の幅(db)よりも広くなっていることを特徴とするロータである。
このように、比較的容易な構成により、第1スロット部(22a)の面積を第2スロット部(22b)の面積を大きくすることができ、ロータコア(21)のうち、トルクの発生に寄与する位置を膨出させることができる。
第4の発明は、第3の発明において、各上記磁石スロット(22)は、軸方向視において、周方向に2つに分断されており、上記第1スロット部(22a)及び上記第2スロット部(22b)は、それぞれ、周方向に延びる周方向延設部(23a,23b)と、該周方向延設部(23a,23b)の両端部のうち上記磁石スロット(22)の分断部分とは逆側の端部から上記ロータコア(21)の外周側に向かって径方向に延びる径方向延設部(24a,24b)と、を有し、上記第1スロット部(22a)の上記周方向延設部(23a)における径方向の幅(da)は、上記第2スロット部(22b)の上記周方向延設部(23b)における径方向の幅(db)よりも広いことを特徴とするロータである。
このように、比較的容易な構成により、第1スロット部(22a)の面積を第2スロット部(22b)の面積を大きくすることができ、ロータコア(21)のうち、トルクの発生に寄与する位置を膨出させることができる。
本発明によれば、ロータ(20)を回転させた際のトルク脈動が低減される。従って、ロータ(20)を用いた回転電気機械(1)における振動及び騒音は抑制される。
また、第2の発明、第3の発明及び第4の発明によれば、比較的容易な構成により、第1スロット部(22a)の面積を第2スロット部(22b)の面積を大きくすることができ、ロータコア(21)のうち、トルクの発生に寄与する位置を膨出させることができる。
図1は、実施形態1に係るロータを備えた回転電気機械を示す図である。 図2は、図1からロータのみを抜き出し、該ロータを軸方向から見た場合の平面図である。 図3は、図1のロータコアの一部分の拡大図であって、ボンド磁石の充填前と充填後とを表した図である。 図4は、射出圧力によるロータコア外周面の変形量を、実施形態1の場合と従来例の場合とを比較して表す図である。 図5は、ロータの製造の際に用いる射出成形用の成形型の縦断面を示す。 図6は、固定型の平面図である。 図7は、可動型の横断面を示す。 図8は、実施形態1に係る回転電気機械のトルク波形と、従来の回転電気機械のトルク波形とを表したシミュレーション結果である。 図9は、実施形態2に係るロータコアの一部分の拡大図であって、ボンド磁石の充填前を表した図である。 図10は、射出圧力によるロータコア外周面の変形量を、実施形態2の場合と従来例の場合とを比較して表す図である。 図11は、実施形態3に係るロータコアの一部分の拡大図であって、ボンド磁石の充填前を表した図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
≪実施形態1≫
<概要>
図1は、本実施形態1に係るロータ(20)を備えた回転電気機械(1)を示す。回転電気機械(1)は、ロータ(20)内部に磁石が埋め込まれた電動機であって、例えば空気調和装置の圧縮機モータとして用いられる。図1に示すように、回転電気機械(1)は、ステータ(10)、ロータ(20)及び駆動軸(30)(回転軸に相当)を備え、圧縮機のケーシング(50)に収容されている。
なお、以下の説明において、軸方向、径方向、周方向、外周側及び内周側なる表現を適宜用いている。軸方向は、回転電気機械(1)の回転軸方向、つまりは駆動軸(30)の軸心(O)の方向を表す。径方向は、軸心(O)と直交する方向、特に回転電気機械(1)の半径方向を表す。周方向は、駆動軸(30)まわりの方向、つまりはロータ(20)及びステータ(10)の外周に沿った方向を表す。外周側は、軸心(O)から遠い側を表し、内周側は、軸心(O)に近い側を表す。
<ステータの構成>
図1に示すように、ステータ(10)は、円筒状のステータコア(11)及びコイル(16)を備える。
ステータコア(11)は、電磁鋼板をプレス加工によって打ち抜くことで形成された平面形状の積層板が軸方向に多数積層されることで成る積層コアである。ステータコア(11)は、1つのバックヨーク部(12)と、複数のティース部(13)と、複数のツバ部(14)とを有する。
ティース部(13)は、ステータコア(11)において径方向に延びる直方体状の部分である。複数のティース部(13)それぞれは、ステータコア(11)の周方向に沿って、且つ互いに概ね等間隔隔てて配置されている。ティース部(13)同士の空間は、コイル(16)が収容されるコイル用スロット(15)である。
バックヨーク部(12)は、環状の形状となっている。バックヨーク部(12)は、各ティース部(13)を該ティース部(13)の外周側で連結している。バックヨーク部(12)の外周部は、圧縮機のケーシング(50)の内面に固定されている。
ツバ部(14)は、各ティース部(13)の内周側に連なる部分である。ステータコア(11)における周方向のツバ部(14)の長さは、ティース部(13)の周方向の長さよりも大きい。複数のツバ部(14)の内周側の面は、軸方向視にて円筒面となっている。円筒面は、後述するロータコア(21)の外周面と距離を隔てて対峙している。この距離を、エアギャップ(G)と言う。
コイル(16)は、例えば集中巻方式により、ティース部(13)に巻回されている。1つのティース部(13)毎にコイル(16)が巻回され、巻回されたコイル(16)は、コイル用スロット(15)内に収容されている。これにより、各ティース部(13)には、電磁石が形成されている。
<ロータの構成>
ロータ(20)は、軸方向に延びる円筒形状を有する。図1に示すように、ロータ(20)は、同じく軸方向に延びる円筒形状のステータ(10)の内側に挿通されており、駆動軸(30)に連結されている。
ロータ(20)は、ロータコア(21)及び複数のボンド磁石(29)を備える。特に、本実施形態1では、ロータ(20)には、6つの磁極が形成されている。
−ロータコア−
ロータコア(21)は、電磁鋼板をプレス加工によって同一形状に打ち抜くことによって複数の積層板を作成すると共に、複数の積層板を軸方向に積層することで形成された積層コアである。積層コアは、積層板が積層位置(軸方向の位置)に応じて周方向にずれたスキュー構造を有する。なお、ロータコア(21)の磁性材料としては、例えばケイ素鋼板やパーメンジュールが挙げられる。
ロータコア(21)の中心には、図2に示すように、駆動軸(30)を取り付けるための軸孔(S30)が形成されている。軸孔(S30)には、駆動軸(30)が締まり嵌め(例えば焼き嵌め)によって固定されている。従って、ロータコア(21)と駆動軸(30)の軸芯は同軸上に存在し(図2の軸心(O))、ロータコア(21)は、駆動軸(30)と共に一体的に回転することが可能となっている。
図2に示すように、ロータコア(21)には、ロータコア(21)の周方向に並んで磁石スロット(22)が複数形成されている。磁石スロット(22)は、ボンド磁石(29)を収容するためのものであって、1つの磁極に対して1つの磁石スロット(22)が対応するようにして、磁極毎にロータコア(21)に設けられている。本実施形態では、6つの磁極が形成される場合を例示しているため、磁石スロット(22)は6つ設けられている。具体的には、6つの磁石スロット(22)は、ロータコア(21)の軸心(O)の回りに約60度ピッチで配置されている。各磁石スロット(22)は、ロータコア(21)を軸方向に貫通している。
そして、各磁石スロット(22)は、周方向に並ぶ第1スロット部(22a)及び第2スロット部(22b)を有する。第1スロット部(22a)及び第2スロット部(22b)は、ロータコア(21)の軸方向視において、ロータコア(21)の外周側から内周側に向かって略U字形状に屈曲して延びる形状が、図3に示すようにロータコア(21)に設けられたリブ(28)の存在によって周方向に2つに分断されることで構成されている。第1スロット部(22a)は、第2スロット部(22b)よりもロータコア(21)の回転方向前進側に位置する。図2及び図3に示すように、第1スロット部(22a)及び第2スロット部(22b)それぞれは、概ねロータコア(21)の周方向、より具体的にはロータコア(21)の半径に直交して矩形状に細長く延びる本体部(23a,23b)(周方向延設部に相当)と、該本体部(23a,23b)の長手方向の両端部のうち磁石スロット(22)の分断部分(リブ(28))とは逆側の部分からロータコア(21)の外周方向(即ち径方向)に向かって細長く延びる矩形状部(24a,24b)(径方向延設部に相当)とを有する。第1スロット部(22a)及び第2スロット部(22b)それぞれは、本体部(23a,23b)と矩形状部(24a,24b)とが連続することで構成されている。そして、リブ(28)は、第1スロット部(22a)と第2スロット部(22b)とに対峙しつつも、ロータコア(21)の径方向に延びているロータコア(21)の部分であると言える。
図3に示すように、各矩形状部(24a,24b)の外周側先端部(25a,25b)は、ロータコア(21)の外周面に近接しており、ロータコア(21)のブリッジ部(26,27)を介してロータコア(21)の外周面と対峙している。即ち、1つの磁石スロット(22)に着目した際、ロータコア(21)の回転方向前進側となる第1スロット部(22a)の外周側先端部(25a)とロータコア(21)の外周面との間にはブリッジ部(26)が形成され、当該ブリッジ部(26)は、第1スロット部(22a)の外周側先端部(25a)及びロータコア(21)の外周面に沿って周方向に延びるロータコア(21)の部分である。ロータコア(21)の回転方向後進側となる第2スロット部(22b)の外周側先端部(25b)とロータコア(21)の外周面との間にはブリッジ部(27)が形成され、当該ブリッジ部(27)は、第2スロット部(22b)の外周側先端部(25b)及びロータコア(21)の外周面に沿って周方向に延びるロータコア(21)の部分である。
本実施形態1では、1つの磁石スロット(22)に着目すると、ロータコア(21)の回転方向前進側と回転方向後進側とで、各スロット部(22a,22b)の周方向の長さが異なっている。これについては、“<各スロット部の周方向の長さとその作用について>”にて詳述する。
−ボンド磁石−
ボンド磁石(29)は、各磁石スロット(22)に充填されている。ボンド磁石(29)は、磁石材料である微小な粉状または粒状のフェライト系磁石や希土類系磁石を、ナイロン樹脂、PPS樹脂などのバインダと混合して固化させることにより形成された永久磁石である。
本実施形態1では、ロータ(20)の製造時、ロータコア(21)の磁石スロット(22)に、磁性を帯びていない粉状または粒状の磁石材料とバインダとを混合したボンド磁石用材料を射出し、該材料を着磁させてボンド磁石(29)が形成される。つまり、ボンド磁石(29)は、射出成形によって成形される。
<各スロット部の周方向の長さとその作用について>
回転電気機械(1)が駆動している間、ロータ(20)はステータ(10)に対して回転する。この際、ロータ(20)においてトルク脈動が生じると、騒音及び振動が発生する。
これに対し、本実施形態1では、第1スロット部(22a)及び第2スロット部(22b)の周方向の各長さ(wa,wb)の調整がなされており、これによってトルク脈動の発生を抑制している。具体的には、ボンド磁石(29)が磁石スロット(22)に充填されたことにより、各磁石スロット(22)に対応するロータコア(21)の外周面のうち第1スロット部(22a)寄りとなる部分が該磁石スロット(22)の第2スロット部(22b)寄りとなる部分よりもロータコア(21)の外方に膨らむように、第1スロット部(22a)の面積は、第2スロット部(22b)の面積よりも大きくなっている。
より具体的には、図3の“ボンド磁石充填前”にて示すように、1つの磁石スロット(22)に着目した際、第1スロット部(22a)は、周方向の長さ(wa)の中心が磁極中心(各磁石スロット(22)の周方向の長さの中心である図2,3の一点鎖線(CL))よりもロータコア(21)の回転方向前進寄りに位置し、第2スロット部(22b)は、周方向の長さ(wb)の中心が磁極中心(CL)よりもロータコア(21)の回転方向後進寄りに位置している。このような第1スロット部(22a)の周方向の長さ(wa)は、該第1スロット部(22a)よりもロータコア(21)の回転方向後進側に位置する第2スロット部(22b)の周方向の長さ(wb)よりも長い。即ち、各磁石スロット(22)を周方向に分断するリブ(28)は、磁極中心(CL)上に位置するのではなく、該磁極中心(CL)よりも回転方向後進側に位置する。それ故、磁石スロット(22)は、図2及び図3の一点鎖線(CL)に対して非対称な形状となっている。
なお、本実施形態1では、本体部(23a,23b)の径方向の幅、矩形状部(24a,24b)の径方向の長さ及び矩形状部(24a,24b)の周方向の幅は、第1スロット部(22a)側と第2スロット部(22b)側とで同一となっている。
図3の“ボンド磁石充填後”は、図3の“ボンド磁石充填前”における各磁石スロット(22)内に、ボンド磁石(29)を射出成形により充填した場合を表す。磁石スロット(22)の各壁面には、ボンド磁石(29)の充填による射出圧力がかかるが、この射出圧力の単位面積あたりの大きさが各スロット部(22a,22b)にて同一であると仮定する。すると、第1スロット部(22a)の周方向の長さ(wa)が第2スロット部(22b)の周方向の長さ(wb)よりも長い分、第1スロット部(22a)の壁面にかかる射出圧力の合計値は、第2スロット部(22b)よりも大きい。それ故、ボンド磁石充填後においては、第1スロット部(22a)の各壁面のうち、ロータコア(21)の外周側に位置する壁面は、第2スロット部(22b)の各壁面のうちロータコア(21)の外周側に位置する壁面よりもロータコア(21)の外方に膨出する。そして、ロータコア(21)の外周面のうち第1スロット部(22a)寄りの部分は、第2スロット部(22b)寄りの部分に比してロータコア(21)の外方に膨出する。特に、1つの磁石スロット(22)に着目した場合、第1ブリッジ部(26)に近づく程、ロータコア(21)の部分が外方に膨出する。つまり、ボンド磁石(29)の射出成形による射出圧力により、ロータコア(21)のうち強度の弱い第1スロット部(22a)寄りの部分が、第2スロット部(22b)寄りの部分よりも、よりロータコア(21)の外方に膨出する。
なお、図3では、各ブリッジ部(26,27)の径方向の幅、即ち第1スロット部(22a)の外周側先端部(24a)とロータコア(21)の外周面との間の長さ(ha)及び第2スロット部(22b)の外周側先端部(24b)とロータコア(21)の外周面との間の長さ(hb)は、同一となっている。
なお、図3の“ボンド磁石充填後”では、ボンド磁石(29)充填前のロータコア(21)の外周及び各スロット部(22a,22b)の形状を破線で表し、ボンド磁石(29)充填後のロータコア(21)の外周及び各スロット部(22a,22b)の形状を実線で表している。
図3の“ボンド磁石充填後”に示す膨出により、ロータコア(21)の外周面はステータコア(11)の内周面に近づく。特に、ロータコア(21)の外周面は、第2スロット部(22b)寄りの部分よりも第1スロット部(22a)寄りの部分の方が、ステータコア(11)の内周面に近づく。この場合、第1スロット部(22a)寄りのロータコア(21)の部分においては、各磁石スロット(22)が磁極中心(CL)にて分断されており各スロット部(22a,22b)が磁極中心(CL)に対して対称である従来の場合に比して、エアギャップ(G)は短くなり、その分磁気抵抗が下がる。
また、一般的に、ロータコア(21)とステータコア(11)との位置関係により、1つの磁石スロット(22)に着目した場合、回転方向後進側に比して回転方向前進側の方が磁気飽和の影響によりトルクが低下する。これに対し、本実施形態1では、図3の“ボンド磁石充填後”に示すように、ロータコア(21)の回転方向前進側が後進側に比してよりステータ(10)側に膨出するため、あえて、トルクが低下する部分におけるエアギャップ(G)を他部分よりも縮めさせることができている。従って、本実施形態1では、振動及び騒音の原因となるトルク脈動を小さくすることができる。
図4の縦軸は、ボンド磁石(29)の充填後であって、磁石スロット(22)に対応するロータコア(21)の外周面の変位量xを表す。図4の横軸は、各磁石スロット(22)の周方向の中心(図2,3の一点鎖線CL)を角度0[deg]とし、当該中心から周方向への角度を−30[deg]〜30[deg]の範囲で表している。即ち、図4の横軸が−30[deg]〜0[deg]の範囲は回転方向前進側に相当し、横軸が0[deg]〜30[deg]の範囲は回転方向後進側を表す。破線グラフは、上述した従来の場合を表し、実線グラフは、本実施形態1の場合を表している。図4の実線グラフ及び点線グラフでは、ボンド磁石(29)の射出位置及び射出圧力は同じであり、本体部(23a,23b)の径方向の幅、矩形状部(24a,24b)の周方向の幅、矩形状部(24a,24b)の径方向の長さ、各ブリッジ部(26,27)の径方向の幅及び周方向の長さも、同程度である。図3に係るリブ(28)の周方向の長さ(wo)は、約0.5mmとなっている。
図4の破線グラフに示すように、各スロット部の周方向の長さが等しい従来の場合、ロータコア(21)の外周面は、磁石スロット(22)の周方向の中心付近(一点鎖線(CL))にて最も外方に膨出しており、磁石スロット(22)の各ブリッジ部付近におけるロータコア(21)の外周面の膨出度合いは、概ね対称と言える。この破線グラフの場合、トルクが最も低下するロータコア(21)の部分以外の部分が最も膨出しており、トルク脈動の低下には効果的とは言い難い。一方、図4の実線グラフの場合、トルクが最も低下するロータコア(21)の回転方向前進側の部分が他部分よりも膨出しており、トルク脈動の低下に効果的な形状であると言える。
<ロータの製造方法>
−製造に用いる成形型−
図5に示すように、成形型(40)は、固定型(41)と可動型(42)とで構成されている。なお、図5では、ロータコア(21)を型内に入れた状態を示している。
固定型(41)には、ロータコア(21)を内嵌め状に配置することができる凹部(41a)が形成されている。可動型(42)は、固定型(41)における凹部(41a)の開口側に設けられた板状の型である。固定型(41)と可動型(42)とが型締めされ、固定型(41)の凹部(41a)が可動型(42)によって閉じられることにより、内部にはキャビティ(43)が形成される。
図6に示すように、固定型(41)には、凹部(41a)の周囲に、永久磁石(44)とポールピース(45)とが周方向に交互に配置されている。ポールピース(45)は、磁石スロット(22)及びボンド磁石(29)と一対一に対応するように、磁極数に応じた数設けられている。従って、本実施形態1では、ポールピース(45)及び永久磁石(44)は6つずつ設けられている。この構成によって成形型(40)では、キャビティ(43)内に磁場を発生させることができる。成形型(40)では、各ポールピース(45)は、接触する永久磁石(44)からの磁束を、キャビティ(43)にセットされたロータコア(21)に印加する。
なお、永久磁石(44)は、永久磁石(44)の周方向の一端がN極となり他端がS極となるように、周方向に磁化されている。永久磁石(44)は、N極同士及びS極同士が対向するように、所定のピッチ(本実施形態1では60°ピッチ)にて、凹部(41a)の内周面に固定されている。ポールピース(45)は、磁性部材によって構成され、永久磁石(44)の間に配置されるように、凹部(41a)の内周面に固定されている。
図5に示すように、可動型(42)には、スプール(46)と、スプール(46)から分岐したランナー(47)と、ランナー(47)に連続しキャビティ(43)に開口した複数のゲート(48)とが形成されている。
図7は、図5の可動型(42)のVII−VII断面に対応し、凹部(41a)にセットされるロータコア(21)の位置を二点鎖線で示す。図7に示すように、磁石スロット(22)それぞれの第1スロット部(22a)において該可動型(42)に面する開口(スロット開口(22aa))に対応して、各ゲート(48)の開口(48a)が設けられている。つまり、ゲート(48)は、磁石スロット(22)の数に対応して設けられている。本実施形態1では、磁石スロット(22)が6つであるため、ゲート(48)も、図7に示すように6つ設けられている。
なお、ロータコア(21)には、磁石スロット(22)の各スロット部(22a,22b)に対応する開口が、スロット開口(22aa,22ba)として設けられている。
−ロータの製造工程−
上記成形型(40)を用いたロータ(20)の製造工程について説明する。
先ず、射出成形機に成形型(40)を装着し、ロータコア(21)を固定型(41)の凹部(41a)に配置する。ゲート(48)の開口(48a)が第1スロット部(22a)のスロット開口(22aa)に対向するように固定型(41)及び可動型(42)は重ね合わせられ、ロータコア(21)は、成形型(40)のキャビティ(43)に配置される。
次いで、射出成形機から成形型(40)にボンド磁石用材料が射出される。当該材料は、射出成形機において加熱及び混練されて流動体となり、スプール(46)、ランナー(47)及びゲート(48)を介して、キャビティ(43)内のロータコア(21)の第1スロット部(22a)におけるスロット開口(22aa)に注入され、やがて各磁石スロット(22)の第1スロット部(22a)に流入する。図5では、スプール(46)、ランナー(47)、ゲート(48)を通過する材料を、ハッチングにて示している。
ボンド磁石用材料の第1スロット部(22a)への流入が完了した後、ゲート(48)の開口(48a)が第2スロット部(22b)のスロット開口(22ba)に対向するように、固定型(41)及び可動型(42)の重ね合わせが調節される。固定型(41)及び可動型(42)の重ね合わせが調節された後、射出成形機から成形型(40)へのボンド磁石用材料の射出が再開される。当該材料は、ロータコア(21)の第2スロット部(22b)におけるスロット開口(22ba)に注入され、やがて各磁石スロット(22)の第2スロット部(22b)に流入する。
つまり、ボンド磁石用材料の磁石スロット(22)への注入は、2段階に分けて行われる。
この注入過程において、磁石スロット(22)の各スロット部(22a,22b)の壁面には、射出されたボンド磁石用材料による射出圧力が作用する。本実施形態1では、上述したように、第1スロット部(22a)の周方向の長さ(wa)は、第2スロット部(22b)の周方向の長さ(wb)よりも長いため(wa>wb)、第1スロット部(22a)の強度は第2スロット部(22b)よりも小さい。それ故、当該注入過程にて、第1スロット部(22a)の壁面のうちロータコア(21)の外周側の壁面は、第2スロット部(22b)の壁面のうちロータコア(21)の外周側の壁面よりも、ロータコア(21)の外周側に押される。これにより、第1スロット部(22a)寄りのロータコア(21)の外周面は、第2スロット部(22b)寄りのロータコア(21)の外周面よりもロータコア(21)の外周側に膨出する。
但し、図6に示すように、膨出前のロータコア(21)の外周面は、固定型(41)の凹部(41a)の外周壁に所定距離(G0)隔てて対向している。そのため、ロータコア(21)の外周面は、ボンド磁石(29)の射出成形によりたとえロータコア(21)の外方に膨出するとしても、膨出の限界は、ロータコア(21)の外周面が凹部(41a)の外周壁に当接するまでと言える。
なお、射出成形機によるボンド磁石用材料の射出量は、各磁石スロット(22)の第1スロット部(22a)及び第2スロット部(22b)内それぞれにボンド磁石用材料が充填するように規定されていることが好ましい。
なお、各ゲート(48)の開口面積を調整することにより、ゲート(48)から射出されるボンド磁石の材料の射出率を調整することができるが、本実施形態1では、各ゲート(48)の開口面積は同一である場合を例に取る。
ロータコア(21)の磁石スロット(22)内がボンド磁石用材料で充填された後、当該材料は固化され、ボンド磁石(29)が形成される。また、永久磁石(44)からポールピース(45)を通過してロータコア(21)のボンド磁石(29)に向かう磁束により、ボンド磁石(29)の磁場配向及び着磁が行われる。ボンド磁石(29)成形後、固定型(41)と可動型(42)とを取り外すと、ボンド磁石(29)が充填されたロータ(20)が得られる。
このようにして射出成形されたボンド磁石(29)には、ボンド磁石用材料の注入側端面に、ゲート(48)の位置に対応したゲートマークが形成される。ボンド磁石(29)の注入側端面とは逆側となる端面には、固定型(41)及び可動型(42)の底面が転写された平坦面が形成される。
次いで、上記ロータ(20)には、駆動軸(30)が例えば焼き嵌め(締まり嵌めの一種)によって固定される。なお、射出成形によりボンド磁石(29)を成形する前のロータコア(21)に、駆動軸(30)の焼き嵌めが行われても良い。
<効果>
ロータ(20)の回転時、磁石スロット(22)に対応するロータコア(21)の部分のうち回転方向前進側となる部分が寄与してトルクが発生する。本実施形態1のロータコア(21)は、各磁石スロット(22)が周方向に分割された構造であり、ロータコア(21)の回転方向前進側に位置する第1スロット部(22a)の面積は、ロータコア(21)の回転方向後進側に位置する第2スロット部(22b)の面積よりも大きくなっている。具体的には、第1スロット部(22a)の周方向の長さ(wa)は、第2スロット部(22b)の周方向の長さ(wb)よりも長く、従って第1スロット部(22a)に対応するロータコア(21)の外周側部分の剛性は、第2スロット部(22b)に対応するロータコア(21)の外周側部分の剛性に比して低い。
各磁石スロット(22)へのボンド磁石(29)の充填の際、充填されたボンド磁石(29)から各磁石スロット(22)の各壁面には射出圧力がかかる。この際、第1スロット部(22a)と第2スロット部(22b)とで単位面積あたりの射出圧力が同程度だとしても、第1スロット部(22a)の面積が第2スロット部(22b)よりも大きい分、第1スロット部(22a)の壁面にかかる射出圧力の合計値は第2スロット部(22b)よりも大きくなる。その結果、各磁石スロット(22)に対応するロータコア(21)の部分のうち回転方向前進側となる第1スロット部(22a)寄りの部分が、回転方向後進側となる第2スロット部(22b)寄りの部分に比してロータコア(21)の外方に膨出する。即ち、ロータ(20)回転の際に主にトルクの発生に寄与し易い位置が、他位置に比して膨出する。
これにより、1つの磁石スロット(22)に着目した際、ロータ(20)とステータ(10)との距離であるエアギャップ(G)は、回転方向前進側において狭くなり、その分磁気抵抗が低下する。それ故、ロータ(20)回転時、回転方向前進側にて発生するトルクは増大し、ロータ(20)を回転させた際のトルク脈動が低減される。従って、ロータ(20)を用いた回転電気機械(1)における振動及び騒音は抑制される。
図8は、本実施形態1、つまりは各磁石スロット(22)のうち回転方向前進側に位置する第1スロット部(22a)寄りのロータコア(21)の外周面を膨出させた場合のトルク波形のシミュレーション結果を実線で表し、各磁石スロット(22)が周方向の長さの中心にて分割されている従来の場合のトルク波形のシミュレーション結果を破線で表している。図8の縦軸はトルクの値を表し、図8の横軸は回転角度を表す。
図8に示されるように、本実施形態1の場合、従来の場合に比してトルクのリップルが小さくなっており、トルク脈動が軽減されていることが分かる。また、図8からは、1つの磁石スロット(22)に着目した場合、ロータコア(21)における回転方向前進側の部分が、後進側の部分に比してトルクの発生に関係していることも明らかである。
≪実施形態2≫
次に、第1スロット部(22a)及び第2スロット部(22b)の周方向の幅の調整に代えて、径方向の各幅の調整がなされる場合について説明する。
<構成>
本実施形態2では、図9に示すように、1つの磁石スロット(22)に着目した際、第1スロット部(22a)の径方向の幅が、第2スロット部(22b)の径方向の幅よりも広くなっている。具体的には、第1スロット部(22a)の本体部(23a)の幅(da)が、該第1スロット部(22a)よりもロータコア(21)の回転方向後進側に位置する第2スロット部(22b)の本体部(23b)の幅(db)よりも広くなっており、これによって第1スロット部(22a)の面積が第2スロット部(22b)の面積よりも大きくなっている。それ故、上記実施形態2と同様、磁石スロット(22)は、一点鎖線(CL)に対して非対称な形状となっている。
なお、本実施形態2では、リブ(28)は磁極中心(CL)上に位置しており、本体部(23a,23b)の周方向の長さは、第1スロット部(22a)側と第2スロット部(22b)側とで同一となっている。また、矩形状部(24a,24b)の周方向の幅、矩形状部(24a,24b)の径方向の長さは、第1スロット部(22a)側と第2スロット部(22b)側とで同一となっている。また、各ブリッジ(26,27)の径方向の幅も、第1スロット部(22a)側と第2スロット部(22b)側とで同一となっている。
図9の各磁石スロット(22)内にボンド磁石(29)が射出成形により充填される際、上記実施形態1と同様、ボンド磁石(29)の単位面積あたりの射出圧力が各スロット部(22a,22b)にて同一であると仮定する。第1スロット部(22a)の本体部(23a)の径方向の幅(da)は第2スロット部(22b)の本体部(23b)の径方向の幅(db)よりも広い分、第1スロット部(22a)の本体部(23a)を構成する壁面にかかる射出圧力の合計値は、第2スロット部(22b)の本体部(23b)よりも高くなる。それ故、第1スロット部(22a)の壁面のうちロータコア(21)の外周側の壁面は、第2スロット部(22b)の壁面よりも、よりロータコア(21)の外方に膨出する。これに伴い、ロータコア(21)の外周面のうち第1スロット部(22a)寄りの部分は、第2ブリッジ部(27)寄りの部分に比してロータコア(21)の外方に膨出する。
これにより、ロータコア(21)の外周面はステータコア(11)の内周面に近づく。特に、第2スロット部(22b)寄りの部分よりも第1スロット部(22a)寄りの部分の方が、ステータコア(11)の内周面に近づく。それ故、従来の場合に比して、エアギャップ(G)は短くなり、その分磁気抵抗が下がる。
特に、回転方向前進側である第1スロット部(22a)側のロータコア(21)の部分は、回転方向後進側である第2スロット部(22b)側のロータコア(21)の部分に比してよりステータ(10)側に膨出するため、あえて、トルクが低下する部分におけるエアギャップ(G)を他部分よりも縮めさせることができている。従って、本実施形態2においても、振動及び騒音の原因となるトルク脈動を小さくすることができる。
図10は、図4と同様、ボンド磁石(29)の充填後のロータコア(21)の外周面の変位量xを表している。破線グラフは、第1スロット部と第2スロット部とが磁極中心(CL)に対して対称である従来の場合を表し、実線グラフは、本実施形態2の場合を表している。図10の実線グラフ及び破線グラフでは、ボンド磁石(29)の射出位置及び射出圧力はいずれも一定で同じであり、矩形状部(24a,24b)の周方向の幅、矩形状部(24a,24b)の径方向の長さ、各ブリッジ部(26,27)の径方向の幅ha,hb、各スロット部の周方向の長さも同程度である。
図10の破線グラフでは、ロータコア(21)の外周面は、磁石スロット(22)の周方向の中心付近にて最も外方に膨出している。つまり、破線グラフでは、トルクが最も低下するロータコア(21)の部分ではない部分が最も膨出しており、トルク脈動の低下には効果的とは言い難い。一方、実線グラフでは、上記実施形態1に係る図4と同様、トルクが最も低下するロータコア(21)の回転方向前進側の部分が他部分よりも膨出しており、トルク脈動の低下に効果的な形状であると言える。
なお、本実施形態2に係るロータ(20)の製造方法は、上記実施形態1と同様である。
<効果>
本実施形態2のロータコア(21)は、各磁石スロット(22)が周方向に分割された構造であり、ロータコア(21)の回転方向前進側に位置する第1スロット部(22a)の面積は、ロータコア(21)の回転方向後進側に位置する第2スロット部(22b)の面積よりも大きくなっている。具体的には、第1スロット部(22a)における本体部(23a)の径方向の幅(da)は、第2スロット部(22b)における本体部(23b)の径方向の幅(db)よりも広い。
これにより、各磁石スロット(22)へのボンド磁石(29)の充填の際、充填されたボンド磁石(29)から各磁石スロット(22)の各壁面には射出圧力がかかる。第1スロット部(22a)と第2スロット部(22b)とで単位面積あたりの射出圧力が同程度だとしても、第1スロット部(22a)の面積が第2スロット部(22b)よりも大き分、第1スロット部(22a)の壁面にかかる射出圧力の合計値は、第2スロット部(22b)よりも大きくなる。その結果、各磁石スロット(22)に対応するロータコア(21)の部分のうち回転方向前進側となる第1スロット部(22a)寄りの部分が、回転方向後進側となる第2スロット部(22b)寄りの部分に比してロータコア(21)の外方に膨出する。即ち、ロータ(20)回転の際に主にトルクの発生に寄与し易い位置が、他位置に比して膨出する。
これにより、1つの磁石スロット(22)に着目した際、ロータ(20)とステータ(10)との距離であるエアギャップ(G)は、回転方向前進側において狭くなり、その分磁気抵抗が低下する。それ故、ロータ(20)回転時、回転方向前進側にて発生するトルクは増大し、ロータ(20)を回転させた際のトルク脈動が低減される。従って、ロータ(20)を用いた回転電気機械(1)における振動及び騒音は抑制される。
≪実施形態3≫
次に、各スロット部(22a,22b)の周方向の幅(wa,wb)と径方向の幅(da,db)とが、共に調整されている場合について説明する。
<構成>
本実施形態3では、図11に示すように、1つの磁石スロット(22)に着目した際、第1スロット部(22a)の周方向の長さ(wa)が第2スロット部(22b)の周方向の長さ(wb)よりも長く、且つ、第1スロット部(22a)における本体部(23a)の径方向の幅(da)は、第2スロット部(22b)における本体部(23b)の径方向の幅(db)よりも広くなっている。即ち、各磁石スロット(22)は、磁極中心(CL)よりも回転方向後進側にてリブ(28)によって分断されており、更には、回転方向前進側である第1スロット部(22a)の本体部(23a)は第2スロット部(22b)の本体部(23b)よりも径方向に太い。これにより、第1スロット部(22a)の面積は第2スロット部(22b)の面積よりも大きくなっており、磁石スロット(22)は、図11の一点鎖線(CL)に対して非対称な形状となっている。
なお、本実施形態3では、矩形状部(24a,24b)の周方向の幅、矩形状部(24a,24b)の径方向の長さは、第1スロット部(22a)側と第2スロット部(22b)側とで同一となっている。また、各ブリッジ部(26,27)の径方向の幅も、第1スロット部(22a)側と第2スロット部(22b)側とで同一となっている。
図11の各磁石スロット(22)内にボンド磁石(29)が射出成形により充填される際、上記実施形態1,2と同様、ボンド磁石(29)の単位面積あたりの射出圧力が同一であると仮定する。第1スロット部(22a)の周方向の長さ(wa)が第2スロット部(22b)の周方向の長さ(wb)よりも長く、且つ、第1スロット部(22a)の本体部(23a)の幅(da)は第2スロット部(22b)の本体部(23b)の幅(db)よりも広いため、第1スロット部(22a)の本体部(23a)を構成する壁面にかかる射出圧力の合計値は、第2スロット部(22b)の本体部(23b)を構成する壁面にかかる射出圧力よりも高くなる。それ故、第1スロット部(22a)の壁面のうちロータコア(21)の外周側の壁面は、第2スロット部(22b)の壁面よりも、よりロータコア(21)の外方に膨出する。これに伴い、ロータコア(21)の外周面のうち第1スロット部(22a)寄りの部分は、第2ブリッジ部(27)寄りの部分に比してロータコア(21)の外方に膨出する。
これにより、上記実施形態1,2と同様、ロータコア(21)の外周面はステータコア(11)の内周面に近づく。特に、第2スロット部(22b)寄りの部分よりも第1スロット部(22a)寄りの部分の方が、ステータコア(11)の内周面に近づく。それ故、従来の場合に比して、エアギャップ(G)は短くなり、その分磁気抵抗が下がる。
特に、回転方向前進側である第1スロット部(22a)側のロータコア(21)の部分は、回転方向後進側である第2スロット部(22b)側のロータコア(21)の部分に比してよりステータ(10)側に膨出するため、あえて、トルクが低下する部分におけるエアギャップ(G)を他部分よりも縮めさせることができている。従って、本実施形態3においても、振動及び騒音の原因となるトルク脈動を小さくすることができる。
<効果>
本実施形態3のロータコア(21)は、各磁石スロット(22)が周方向に分割された構造であり、ロータコア(21)の回転方向前進側に位置する第1スロット部(22a)の面積は、ロータコア(21)の回転方向後進側に位置する第2スロット部(22b)の面積よりも大きくなっている。具体的には、第1スロット部(22a)の周方向の幅(wa)は第2スロット部(22b)の周方向の幅(wb)よりも長く、且つ、第1スロット部(22a)における本体部(23a)の径方向の幅(da)は、第2スロット部(22b)における本体部(23b)の径方向の幅(db)よりも広い。
これにより、各磁石スロット(22)へのボンド磁石(29)の充填の際、充填されたボンド磁石(29)から各磁石スロット(22)の各壁面には射出圧力がかかる。第1スロット部(22a)と第2スロット部(22b)とで単位面積あたりの射出圧力が同程度だとしても、第1スロット部(22a)の面積が第2スロット部(22b)よりも大きい分、第1スロット部(22a)の壁面にかかる射出圧力の合計値は第2スロット部(22b)よりも大きくなる。その結果、各磁石スロット(22)に対応するロータコア(21)の部分のうち回転方向前進側となる第1スロット部(22a)寄りの部分が、回転方向後進側となる第2スロット部(22b)寄りの部分に比してロータコア(21)の外方に膨出する。即ち、ロータ(20)回転の際に主にトルクの発生に寄与し易い位置が、他位置に比して膨出する。
これにより、1つの磁石スロット(22)に着目した際、ロータ(20)とステータ(10)との距離であるエアギャップ(G)は、回転方向前進側において狭くなり、その分磁気抵抗が低下する。それ故、ロータ(20)回転時、回転方向前進側にて発生するトルクは増大し、ロータ(20)を回転させた際のトルク脈動が低減される。従って、ロータ(20)を用いた回転電気機械(1)における振動及び騒音は抑制される。
≪その他の実施形態≫
回転電気機械(1)の用途は、空気調和装置の圧縮機モータ以外であってもよい。
ロータコア(21)に形成された磁極の数は、上記実施形態1〜3にて述べた個数(6つ)に限定されることなく、複数であればいくつ形成されていても良い。
上記実施形態1〜3では、1つの磁石スロット(22)が周方向に2分割される場合を例示した。しかし、磁石スロット(22)の分割数は2以上であってもよい。1つの磁石スロット(22)が周方向に複数分割される場合、各磁石スロット(22)は、複数のスロット部を有することとなる。この場合、1つの磁石スロット(22)が有する複数のスロット部は、第1スロット部と、該第1スロット部よりも面積の小さい第2スロット部とを含むことができる。第1スロット部とは、周方向の長さの中心が磁極中心(CL)よりもロータコア(21)の回転方向前進寄りに位置するスロット部を言う。第2スロット部とは、複数のスロット部から第1スロット部を除く残りのスロット部のうち、周方向の長さの中心が磁極中心(CL)よりもロータコア(21)の回転方向後進寄りに位置するスロット部を言う。
以上説明したように、本発明は、回転時、回転方向前進側にて発生するトルクを増大させ且つトルク脈動が低減されるロータとして有用である。
10 ステータ
20 ロータ
21 ロータコア
22 磁石スロット
22a 第1スロット部
22b 第2スロット部
23a,23b 本体部(周方向延設部)
24a,24b 矩形状部(径方向延設部)
wa 第1スロット部の周方向の長さ
wb 第2スロット部の周方向の長さ
da 第1スロット部の本体部における径方向の幅
db 第2スロット部の本体部における径方向の幅
29 ボンド磁石
30 駆動軸(回転軸)

Claims (4)

  1. ステータ(10)に挿通されるとともに回転軸(30)に連結されるロータ(20)であって、
    複数の磁石スロット(22)が周方向に並んで形成されたロータコア(21)と、
    各上記磁石スロット(22)に充填されたボンド磁石(29)と
    を備え、
    各上記磁石スロット(22)は、軸方向視において、上記ロータコア(21)の外周側から内周側に向かって略U字形状に屈曲して延びる形状が周方向に分断されて成る複数のスロット部(22a,22b)を有し、
    各上記磁石スロット(22)においては、複数の上記スロット部(22a,22b)のうち該スロット部の周方向の長さの中心が磁極中心(CL)よりも上記ロータコア(21)の回転方向前進寄りに位置する第1スロット部(22a)、の面積が、複数の上記スロット部(22a,22b)から上記第1スロット部(22a)を除く残りのスロット部のうち周方向の長さの中心が上記磁極中心(CL)よりも上記ロータコア(21)の回転方向後進寄りに位置する第2スロット部(22b)、の面積よりも大きくなっている
    ことを特徴とするロータ。
  2. 請求項1において、
    各上記磁石スロット(22)においては、上記第1スロット部(22a)の周方向の長さ(wa)が、上記第2スロット部(22b)の周方向の長さ(wb)よりも長くなっている
    ことを特徴とするロータ。
  3. 請求項1または請求項2において、
    各上記磁石スロット(22)においては、上記第1スロット部(22a)の径方向の幅(da)が、上記第2スロット部(22b)の径方向の幅(db)よりも広くなっている
    ことを特徴とするロータ。
  4. 請求項3において、
    各上記磁石スロット(22)は、軸方向視において、周方向に2つに分断されており、
    上記第1スロット部(22a)及び上記第2スロット部(22b)は、それぞれ、
    周方向に延びる周方向延設部(23a,23b)と、
    該周方向延設部(23a,23b)の両端部のうち上記磁石スロット(22)の分断部分とは逆側の端部から上記ロータコア(21)の外周側に向かって径方向に延びる径方向延設部(24a,24b)と、
    を有し、
    上記第1スロット部(22a)の上記周方向延設部(23a)における径方向の幅(da)は、上記第2スロット部(22b)の上記周方向延設部(23b)における径方向の幅(db)よりも広い
    ことを特徴とするロータ。
JP2016051141A 2016-03-15 2016-03-15 ロータ Pending JP2017169318A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110611384A (zh) * 2019-09-12 2019-12-24 华中科技大学 一种磁路分解型游标永磁电机
CN114498982A (zh) * 2021-12-24 2022-05-13 珠海格力电器股份有限公司 转子铁芯、转子组件以及具有其的电机
WO2022121277A1 (zh) * 2020-12-09 2022-06-16 上海特波电机有限公司 U型不对称分段永磁同步电机转子

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