JP2017168694A - コモンモードトランス - Google Patents

Abstract

【課題】高周波で信号の通過損失が小さく安定した減衰特性を実現し、外部ノイズによって映像が途絶えるトラブルを防止する上、巻き線が行い易くて生産性の向上に寄与する高性能なコモンモードトランスを提供する。【解決手段】フェライトコア１に同軸ケーブル２が複数回巻き線されて成るコモンモードトランスａであって、信号ライン３０とアース部３１を備え外部信号線に接続される入力部３と、信号ライン６０とアース部６１を備えた高周波回路部６との間に設置され、巻き線された同軸ケーブル２の中心導体２０が前記各信号ライン３０、６０に、当該同軸ケーブル２の外部導体２１が前記各アース部３１、６１にそれぞれ接続された構成である。【選択図】 図１

Description

本発明は、コモンモードトランスに係り、さらに言えば、コネクタの外部導体から侵入しようとする外部ノイズに対し高いインピーダンスとなって侵入を阻止し、信号に対しては低いインピーダンスで損失なく信号を通過させるように動作をする高周波信号回路に最適なコモンモードトランスの技術分野に関するものである。

商店街や商業施設・ビルなどに設置される防犯カメラなどの映像信号を伝送する通信機器において、複数台設置されるカメラからの映像を長距離伝送するために、カメラからの信号を同軸ケーブルで伝送できるように高周波信号に変換して伝送する機器、たとえばＴＬＣ（TV Line Communication）などがある。これらの機器に接続されている同軸ケーブルには様々なノイズが外部導体に誘導されているが、同軸ケーブルはシールド性能が保たれているため、内部を通過している信号にノイズが混入しないようになっている。この複数台設置されているカメラからの同軸ケーブルが接続されるセンター機器には高いシールド性能が要求される。しかし、一般的にその性能には限界があり、周辺で高いノイズが発生した場合などに、映像が途絶えるなどのトラブルが発生していた。このトラブルを防ぐ方法として外部ノイズの侵入を抑制するコモンモードトランスの導入が考えられる。

これに関連し例えば特許文献１には、円柱部及び両端の拡大フランジ部を有する軟磁性ドラムと、該軟磁性ドラムの前記円柱部に巻装した２以上のコイル巻線と、前記軟磁性ドラムを取り囲み且つ前記拡大フランジ部に嵌合する軟磁性スリーブとよりなるトランス部品（同文献の請求項１参照）が記載されている。

実開平６−６２５１４号公報

前記特許文献１のトランス部品のように、フェライト製の円柱部ｓに２本の単線ｔ、ｔ´を、互いの線が途中で交差しないように丁寧に巻き線する煩わしさがある上、高周波性能が悪く十分な性能を発揮できなかった（図７参照）。使用できる周波数にも限界があった。

また、通信回線に接続される電子機器において、同軸ケーブルを通信路に使用した場合であっても、外部導体に誘導されているノイズが回路基板に接続されているコネクタの外部導体を伝わり、回路基板内部に配線されている信号ラインに混入して信号品質を劣化させるという問題があった。

本発明は、上述した課題に鑑みて案出されたものであり、その目的は、高周波で信号の通過損失が小さく安定した減衰特性を実現し、外部ノイズによって映像が途絶えるトラブルを防止する上、巻き線が行い易くて生産性の向上に寄与する高性能なコモンモードトランスを提供することにある。

課題を解決するための手段として、請求項１に記載した発明は、フェライトコア１に同軸ケーブル２が複数回巻き線されて成るコモンモードトランスａであって、信号ライン３０とアース部３１を備え外部信号線５に接続される入力部３と、信号ライン６０とアース部６１を備えた高周波回路部６との間に設置され、前記フェライトコア１に巻き線された同軸ケーブル２の中心導体２０が前記各信号ライン３０、６０に、当該同軸ケーブル２の外部導体２１が前記各アース部３１、６１にそれぞれ接続された構成であることを特徴とする。

請求項２に記載した発明のコモンモードトランスは、請求項１に記載の入力部３が外部信号線用コネクタ４に接続され、そのコネクタ４に外部信号線５が接続自在であることを特徴とする。

請求項３に記載した発明は、フェライトコア１に同軸ケーブル２が複数回巻き線されて成るコモンモードトランスａであって、
信号ライン４０とアース部４１を備えた外部信号線用コネクタ４が複数設けられ、前記各外部信号線用コネクタ４・・・が、信号ライン３０とアース部３１を備え外部信号線５に接続自在な入力部３に接続されていること、
当該コモンモードトランスaが前記入力部３と、信号ライン６０とアース部６１を備えた高周波回路部６との間に設置されていること、
前記フェライトコア１に巻き線された同軸ケーブル２の中心導体２０が前記各信号ライン３０、６０に、当該同軸ケーブル２の外部導体２１が前記各アース部３１、６１にそれぞれ接続された構成であることを特徴とする。

請求項４に記載した発明は、フェライトコア１に同軸ケーブル２が複数回巻き線されて成るコモンモードトランスａであって、
当該コモンモードトランスａが絶縁ケースｂ内に収納されていること、
信号ライン４０、７０とアース部４１、７１を備えた外部信号線用コネクタ４と高周波回路接続用コネクタ７が、前記絶縁ケースｂの外側面ｂ１にそれぞれ設けられていること、
前記フェライトコア１に巻き線された同軸ケーブル２の中心導体２０が前記各コネクタ４、７の信号ライン４０、７０に接続され、当該同軸ケーブル２の外部導体２１が前記各アース部４１、７１に接続されていること、
外部信号線５のコネクタ５０が前記外部信号線用コネクタ４に接続自在であると共に、高周波回路を備えた機器８のコネクタ８０が前記高周波回路接続用コネクタ７に接続自在であることを特徴とする。

請求項５に記載した発明は、フェライトコア１に同軸ケーブル２が複数回巻き線されて成るコモンモードトランスａであって、
当該コモンモードトランスａが絶縁ケースｂ内に収納されていること、
信号ライン４０、７０とアース部４１、７１を備えた外部信号線用コネクタ４と高周波回路接続用コネクタ７が、前記絶縁ケースｂの外側面ｂ１にそれぞれ設けられていること、
前記フェライトコア１に巻き線された同軸ケーブル２の両端で、中心導体２０と外部導体２１が絶縁ケースｂ内の２つの内部コネクタ３５、６５にそれぞれ接続され、一方の前記内部コネクタ３５が外部信号線用コネクタ４に接続され、且つ他方の内部コネクタ６５が高周波回路接続用コネクタ７に接続されていること、
外部信号線５のコネクタ５０が前記外部信号線用コネクタ４に接続自在であると共に、高周波回路を備えた機器８のコネクタ８０が前記高周波回路接続用コネクタ７に接続自在であることを特徴とする。

請求項６に記載した発明は、フェライトコア１に同軸ケーブル２が複数回巻き線されて成るコモンモードトランスａが、端子台９に載置して取り付けられた構成であることを特徴とする。

請求項７に記載した発明のコモンモードトランスは、請求項６に記載の端子台９には基板接続ピン９０が複数立設され、フェライトコア１に巻き線された同軸ケーブル２の中心導体２０が前記基板接続ピン９０に巻装され、当該同軸ケーブル２の外部導体２１が異なる基板接続ピン９０に巻装されていることを特徴とする。

本発明のコモンモードトランスによれば、コモンモードの巻き線に同軸ケーブルを使用しているため、高周波において信号の通過損失が小さく、外部導体に誘導されているノイズの減衰が実現される。
また、フェライトコアへの同軸ケーブルの巻き線が簡単で生産性が向上し、性能のばらつきがない高品質のコモンモードトランスが提供される。
さらに、小型で装着容易なコモンモードトランスなので、機器の小型化が求められた場合に対応できる自在性にも優れている。

本発明のコモンモードトランスの使用例を示した斜視図である。

絶縁ケースに収納されたコモンモードトランスの使用例を示した斜視図である。

コモンモードトランスの絶縁ケース内の収納状態を示した斜視図である。

小型化したコモンモードトランスの斜視図である。

複数個のコネクタを備えた入力部の構造を示した斜視図である。

コモンモードトランスの回路図である。

従来例のコモンモードトランスを示した斜視図である。

本発明のコモンモードトランスの好適な実施形態を、以下図面にしたがって説明する。

このコモンモードトランスａは、リング形状や筒形状のフェライトコア１に、同軸ケーブル２を、例えば５回ほどの複数回巻き線して構成されている。従来の細い単線２本を互いに交差しないように慎重に巻き線するのに比べ、本発明のコモンモードトランスａは、フェライトコア１への同軸ケーブル２の巻き線が容易で高周波特性も良好である。本コモンモードトランスａの回路図を図６に示した。

図１に示した実施例は、高周波回路部６を有する機器（８）の高周波回路基板ｃに設けられる入力部３と高周波回路部６の間に、本コモンモードトランスａが装着された場合である。

すなわち、高周波回路基板ｃにおいて、信号ライン３０とアース部３１を備え外部信号線５に接続される入力部３と、信号ライン６０とアース部６１を備えた高周波回路部６との間に、本コモンモードトランスａが設置されている。そして、前記フェライトコア１に巻き線された同軸ケーブル２の中心導体２０が、入力部３の信号ライン３０、及び高周波回路部６の信号ライン６０にそれぞれ接続されている。また、当該同軸ケーブル２の外部導体２１が、入力部３のアース部３１、及び高周波回路部６のアース部６１にそれぞれ接続されている。

なお、入力部３が、信号ライン４０とアース部４１を備えた外部信号線用コネクタ４に接続する形態でも実施され、その場合、当該外部信号線用コネクタ４に、図２に示したような外部信号線５を接続することができる。

また、前記の外部信号線用コネクタ４を複数設けて実施してもよい。すなわち、入力部３の外部信号線用コネクタ４が２〜４個あり、その数に対応した入力信号はその数に応じた分配回路を用いて混合し1つ出力とされる入力部３と、高周波回路部６との間に本コモンモードトランスが設置された実施形態である。
例えば図５のように、入力部３において信号ライン３０とアース部３１に接続された外部信号線用コネクタ４が２個設けられている。巻き線された同軸ケーブル２の中心導体２０が、分配回路３２を介して各信号ライン３０、３０に、当該同軸ケーブル２の外部導体２１がアース部３１にそれぞれ接続されている。よって、各外部信号線用コネクタ４・・・が外部信号線５（図２参照）に接続自在となっている。

図２と図３に示した実施例のように、外付け部品として、本コモンモードトランスａの巻き線の両端を、導通しない絶縁ケースｂの中に装着して実施する場合も好適に行われる。すでに設置されている機器の外部ノイズに対する性能を向上させるためには、カメラ側からセンター機器に接続されている同軸ケーブルのコネクタを外し、当該コモンモードトランスａが絶縁ケースｂに内蔵された当該機器を、センター機器との間に挿入する本実施形態が好ましい。

すなわち、図２のコモンモードトランスａは、絶縁ケースｂ内に収納されており、信号ライン４０、７０とアース部４１、７１を備えた外部信号線用コネクタ４と高周波回路接続用コネクタ７が、前記絶縁ケースｂの外側面ｂ１にそれぞれ設けられている。前記巻き線された同軸ケーブル２の中心導体２０が前記各コネクタ４、７の信号ライン４０、７０に接続され、当該同軸ケーブル２の外部導体２１が前記各アース部４１、７１に接続されている。
よって、外部信号線５のコネクタ５０が前記外部信号線用コネクタ４に接続でき、高周波回路を備えた機器８のコネクタ８０が前記高周波回路接続用コネクタ７に自由に接続できる。

図３のコモンモードトランスａにおいては、巻き線された同軸ケーブル２の両端で、中心導体２０と外部導体２１が絶縁ケースｂ内の２つの内部コネクタ３５、６５にそれぞれ接続されている。一方の内部コネクタ３５が外部信号線用コネクタ４に接続され、他方の内部コネクタ６５が高周波回路接続用コネクタ７に接続されている。
よって、外部信号線５のコネクタ５０が前記外部信号線用コネクタ４に接続でき、高周波回路を備えた機器８のコネクタ８０が前記高周波回路接続用コネクタ７に接続自在な構成となっている（図２参照）。

図４は、小型化したコモンモードトランスａの実施例を示している。
本コモンモードトランスａを回路基板ｃに設置しやすくするため、細めの同軸ケーブル２をフェライトコア１に複数回巻き線して小型化し、端子台９に載置して取り付けられている。端子台９には基板接続ピン９０が複数立設され、巻き線された同軸ケーブル２の中心導体２０が前記基板接続ピン９０に巻装され、当該同軸ケーブル２の外部導体２１が異なる基板接続ピン９０に巻装されているものである。

上述した各実施例のコモンモードトランスａは、高周波で−２０ｄＢ以上の安定した減衰特性を実現でき（減衰特性を示した表１参照）、外部ノイズによって映像が途絶えるというトラブルを効果的に防ぐことができる。また、外部からのノイズの侵入を防ぐ機能のほか、機器内部の高周波回路から発生するコモンモードのノイズを外部に出さない機能も備えている。

ａ コモンモードトランス
ｂ 絶縁ケース
１ フェライトコア
２ 同軸ケーブル
２０ 中心導体
２１ 外部導体
３ 入力部
３０ 信号ライン
３１ アース部
３５ 内部コネクタ
４ 外部信号線用コネクタ
５ 外部信号線
５０ コネクタ
６ 高周波回路部
６０ 信号ライン
６１ アース部
６５ 内部コネクタ
７ 高周波回路接続用コネクタ
７０ 信号ライン
７１ アース部
８ 高周波回路を備えた機器
８０ コネクタ
９ 端子台
９０ 基板接続ピン

Claims (7)

1. フェライトコアに同軸ケーブルが複数回巻き線されて成るコモンモードトランスであって、
   信号ラインとアース部を備え外部信号線に接続される入力部と、信号ラインとアース部を備えた高周波回路部との間に設置され、
   前記フェライトコアに巻き線された同軸ケーブルの中心導体が前記各信号ラインに、当該同軸ケーブルの外部導体が前記各アース部にそれぞれ接続された構成であることを特徴とするコモンモードトランス。
2. 請求項１に記載の入力部が外部信号線用コネクタに接続され、そのコネクタに外部信号線が接続自在であることを特徴とするコモンモードトランス。
3. フェライトコアに同軸ケーブルが複数回巻き線されて成るコモンモードトランスであって、
   信号ラインとアース部を備えた外部信号線用コネクタが複数設けられ、前記各外部信号線用コネクタが、信号ラインとアース部を備え外部信号線に接続自在な入力部に接続されていること、
   当該コモンモードトランスが前記入力部と、信号ラインとアース部を備えた高周波回路部との間に設置されていること、
   前記フェライトコアに巻き線された同軸ケーブルの中心導体が前記各信号ラインに、当該同軸ケーブルの外部導体が前記各アース部にそれぞれ接続された構成であること、を特徴とするコモンモードトランス。
4. フェライトコアに同軸ケーブルが複数回巻き線されて成るコモンモードトランスであって、
   当該コモンモードトランスが絶縁ケース内に収納されていること、
   信号ラインとアース部を備えた外部信号線用コネクタと高周波回路接続用コネクタが、前記絶縁ケースの外側面にそれぞれ設けられていること、
   前記フェライトコアに巻き線された同軸ケーブルの中心導体が前記各コネクタの信号ラインに接続され、当該同軸ケーブルの外部導体が前記各アース部に接続されていること、
   外部信号線のコネクタが前記外部信号線用コネクタに接続自在であると共に、高周波回路を備えた機器のコネクタが前記高周波回路接続用コネクタに接続自在であること、を特徴とするコモンモードトランス。
5. フェライトコアに同軸ケーブルが複数回巻き線されて成るコモンモードトランスであって、
   当該コモンモードトランスが絶縁ケース内に収納されていること、
   信号ラインとアース部を備えた外部信号線用コネクタと高周波回路接続用コネクタが、前記絶縁ケースの外側面にそれぞれ設けられていること、
   前記フェライトコアに巻き線された同軸ケーブルの両端で、中心導体と外部導体が絶縁ケース内の２つの内部コネクタにそれぞれ接続され、一方の前記内部コネクタが外部信号線用コネクタに接続され、且つ他方の内部コネクタが高周波回路接続用コネクタに接続されていること、
   外部信号線のコネクタが前記外部信号線用コネクタに接続自在であると共に、高周波回路を備えた機器のコネクタが前記高周波回路接続用コネクタに接続自在であること、を特徴とするコモンモードトランス。
6. フェライトコアに同軸ケーブルが複数回巻き線されて成るコモンモードトランスが、端子台に載置して取り付けられた構成であることを特徴とするコモンモードトランス。
7. 請求項６に記載の端子台には基板接続ピンが複数立設され、フェライトコアに巻き線された同軸ケーブルの中心導体が前記基板接続ピンに巻装され、当該同軸ケーブルの外部導体が異なる基板接続ピンに巻装されていることを特徴とするコモンモードトランス。
   

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