JP2017168436A - 加熱処理装置、加熱処理装置用の断熱性収容箱及び加熱処理方法 - Google Patents

加熱処理装置、加熱処理装置用の断熱性収容箱及び加熱処理方法 Download PDF

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Noboru Matsunaga
昇 松永
文夫 栗原
Fumio Kurihara
文夫 栗原
水野 善久
Yoshihisa Mizuno
善久 水野
三井 宗洋
Munehiro Mitsui
宗洋 三井
慎吾 香川
Shingo Kagawa
慎吾 香川
克俊 高野
Katsutoshi Takano
克俊 高野
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Abstract

【課題】0.01〜100mの波長領域を含む特定電磁波によって被処理物を加熱する加熱処理において、被処理物を全体にわたって均一に加熱することができる加熱処理装置および加熱処理方法を提供する。【解決手段】加熱処理装置1は、特定電磁波Xを透過させる性質を有して、内部に被処理物Wが収容される閉鎖空間Sが形成された断熱性収容箱10と、断熱性収容箱10の内壁面又は内部に配置されて、特定電磁波Xを吸収することによって発熱する発熱材15と、断熱性収容箱10を介して被処理物W及び発熱材15に特定電磁波Xを照射する電磁波照射手段20とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、0.01〜100mの波長領域を含む特定電磁波によって被処理物を加熱する加熱処理装置、加熱処理装置用の断熱性収容箱及び加熱処理方法に関する。
熱可塑性樹脂の成形法としては、従来、射出成形法、ブロー成形法、押出成形法、プレス成形法などが知られている。これらの成形法において、熱可塑性樹脂はヒータによって溶融され、その後、溶融状態の熱可塑性樹脂が所要の形態に成形されて冷却される。
近年、前述した成形法以外の成形法として、成形型のキャビティ内に充填された熱可塑性樹脂に、当該成形型を介してマイクロ波を照射することによって、熱可塑性樹脂を加熱・溶融し、その後、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却・固化する方法が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
また、光造形法によって作製された立体形状物などの放射線硬化性樹脂の硬化物に対して後硬化(ポストキュア)を行う方法として、0.01〜100mの波長領域を含む電磁波を照射することによって、被処理物を加熱処理する方法が検討されている。
国際公開第2012/173053号
しかしながら、マイクロ波によって被処理物を加熱処理する場合には、以下のような問題があることが判明した。
マイクロ波による加熱処理を行う場合には、被処理物全体に対してマイクロ波を均一に照射することが困難である。そのため、被処理物には、局所的に温度が高くなったり低くなったりする、温度分布の偏りが生じることが分かった。また、被処理物にマイクロ波を照射すると、被処理物自体は加熱されるものの、被処理物の周囲に存在する気体は加熱されておらず、被処理物の表面部分は放熱により温度が低下していることが分かった。そのため、被処理物を全体にわたって均一に加熱することが困難であることが分かった。
そこで、本発明の目的は、0.01〜100mの波長領域を含む特定電磁波によって被処理物を加熱する処理において、被処理物を全体にわたって均一に加熱することができる加熱処理装置、加熱処理装置用の断熱性収容箱及び加熱処理方法を提供することにある。
本発明の一態様は、0.01〜100mの波長領域を含む特定電磁波によって被処理物を加熱する加熱処理装置であって、
前記特定電磁波を透過させる性質を有し、内部に前記被処理物が収容される閉鎖空間が形成された断熱性収容箱と、
前記断熱性収容箱の内壁面又は内部に配置され、前記特定電磁波を吸収することによって発熱する発熱材と、
前記断熱性収容箱を介して前記被処理物及び前記発熱材に前記特定電磁波を照射する電磁波照射手段と、を備える加熱処理装置にある。
本発明の他の態様は、0.01〜100mの波長領域を含む特定電磁波によって被処理物を加熱する加熱処理装置に用いられる断熱性収容箱であって、
前記特定電磁波を透過させる性質を有し、
内部に、前記被処理物が収容される閉鎖空間が形成されており、
前記断熱性収容箱の内壁面又は内部に、前記特定電磁波を吸収することによって発熱する発熱材を有する、加熱処理装置用の断熱性収容箱にある。
本発明のさらに他の態様は、0.01〜100mの波長領域を含む特定電磁波によって被処理物を加熱する加熱処理方法であって、
発熱材が内壁面又は内部に配置された断熱性収容箱の閉鎖空間内に、前記被処理物を収容する収容工程と、
0.01〜100mの波長領域を含む特定電磁波を、前記断熱性収容箱を透過させて前記被処理物及び前記発熱材に照射し、前記発熱材を発熱させて前記発熱材からの伝熱を利用して前記被処理物を加熱する照射工程と、を含む加熱処理方法にある。
前記加熱処理装置は、加熱成形の用途として、特定電磁波によって成形型内の樹脂材料を溶融させ、成形型内に樹脂成形品を成形するよう構成することができる。この場合には、前記被処理物は、熱可塑性樹脂を含有する樹脂材料が内部に配置された成形型とすることができる。また、前記被処理物は、熱硬化性のモノマー、オリゴマーもしくはポリマーを含有する樹脂材料が内部に配置された成形型とすることもできる。
また、前記加熱処理装置は、後硬化(ポストキュア)の用途として、特定電磁波によって、被処理物としての熱硬化性樹脂の硬化物又は放射線硬化性樹脂の硬化物をさらに硬化させるよう構成することもできる。
また、前記被処理物は、前記成形型及び前記硬化物以外の種々の加熱対象物とすることもできる。そして、前記加熱処理装置は、種々の加熱対象物を加熱する用途にも好適に用いることができる。
前記発熱材は、グラファイト、炭化珪素、フェライト、チタン酸バリウム、カーボンブラック、黒鉛及び二酸化マンガンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の物質を含有していてもよい。
発熱材は、断熱性収容箱の内壁面に配置されていてもよく、断熱性収容箱の内部に配置されていてもよい。発熱材が断熱性収容箱の内部に配置される態様としては、固形の発熱材が断熱性収容箱の壁部内に埋め込まれる場合、特定電磁波を吸収する物質が断熱性収容箱の壁部内に混合されることによって、断熱性収容箱の全体又は一部に発熱材となる壁部が形成される場合等がある。
前記加熱処理装置、加熱処理装置用の断熱性収容箱及び加熱処理方法によれば、被処理物は、発熱材からの輻射熱や伝導熱によって加熱されるだけでなく、発熱材によって加熱された、断熱性収容箱の閉鎖空間に存在する気体によっても加熱される。また、被処理物が、0.01〜100mの波長領域を含む特定電磁波を吸収することができる材料を含む場合には、この被処理物は、特定電磁波を吸収することによって加熱されてもよい。前記加熱処理装置、加熱処理装置用の断熱性収容箱及び加熱処理方法によれば、被処理物を全体にわたって均一に加熱することができる。
なお、ここでいう「均一」とは、被処理物の加熱温度の部分的なばらつきが少ないことを示す。例えば、被処理物の外表面における温度の最大値と最小値との差が、最小値に対して25%以内、好ましくは20%以内、さらに好ましくは10%以内に収まる場合に、被処理物が均一に加熱されると捉えることができる。
実施形態1にかかる、加熱処理装置を、側方から見たときの断面によって示す説明図。 実施形態1にかかる、被処理物が、熱可塑性樹脂が配置された成形型である場合の、加熱処理装置を、側方から見たときの断面によって示す説明図。 実施形態2にかかる、加熱処理装置を、側方から見たときの断面によって示す説明図。 実施形態2にかかる、加熱処理装置を、上方から見たときの断面によって示す説明図。 実施形態2にかかる、成形型内に熱可塑性樹脂を配置する状態を、側方から見たときの断面によって示す説明図。 実施形態2にかかる、断熱性収容箱内に成形型を配置する状態を、側方から見たときの断面によって示す説明図。 実施形態2にかかる、他の加熱処理装置を、側方から見たときの断面によって示す説明図。 実施形態2にかかる、従来の電磁波照射成形を行う成形型を示す説明図。
以下、本発明の加熱処理装置及び加熱処理方法にかかる実施の形態について、図面を参照して説明する。
<実施形態1>
図1は、加熱処理装置1の構成を示す説明図である。この加熱処理装置1は、0.01〜100mの波長領域を含む特定電磁波X(以下、単に「特定電磁波X」ともいう。)によって被処理物を加熱するものである。ここで、「0.01〜100mの波長領域を含む特定電磁波X」とは、後述のとおり、0.01〜100mの波長領域のうちの少なくとも一部の波長領域を含む電磁波のことをいう。言い換えれば、特定電磁波Xは、0.01〜100mの波長の範囲内のうちのいずれかの波長を含んでいればよい。また、この特定電磁波Xは、マイクロ波又は高周波を含んでいればよく、0.01〜100mの波長領域の全体を含む電磁波である必要はない。また、特定電磁波Xの波長が単一の値に固定されている必要はない。
図1に示す加熱処理装置1は、内部に被処理物Wが収容される閉鎖空間Sが形成された、外形が直方体状の断熱性収容箱10と、断熱性収容箱10を介して被処理物Wに特定電磁波Xを照射する電磁波照射手段(電磁波照射ユニット)20とを有する。
本形態の断熱性収容箱10は、断熱性容器11と、この断熱性容器11の開口部110を閉塞する断熱性蓋体12とによって構成されている。断熱性蓋体12の裏面には、断熱性容器11の開口部110に適合する平面形状を有する突出部13が形成されている。断熱性蓋体12の突出部13は、断熱性容器11内に進入した状態で配置されている。
断熱性収容箱10は、被処理物Wが内部に収容されたときに、断熱性収容箱10内の気体と、断熱性収容箱10の外部の気体とが遮断される機能を有する。断熱性容器11と断熱性蓋体12とは、種々の形状に形成し、種々の組み合わせ方をすることができる。断熱性収容箱10は、例えば、2つの容器部分を組み合わせた構造とすることができる。
断熱性収容箱10内には、特定電磁波Xを吸収することによって発熱する発熱材(補助加熱部材)15が配置されている。発熱材15は、特定電磁波を吸収することによって発熱する性質を有し、断熱性収容箱10の内壁面に設けられたシート状又は板状の部材とすることができる。発熱材15は、断熱性収容箱10を構成する断熱性容器11及び断熱性蓋体12の内壁面に配置することができる。この場合、発熱材15は、断熱性容器11及び断熱性蓋体12の内壁面の一部に配置することができ、断熱性容器11及び断熱性蓋体12の内壁面の全面に配置することもできる。また、発熱材15は、断熱性容器11におけるいずれかの内壁面の全面もしくは一部、又は断熱性蓋体12の内壁面の全面もしくは一部に配置することもできる。
本形態の発熱材15は、断熱性収容箱10の内壁面の1つであって断熱性収容箱10内に被処理物Wが載置される底面111に配置されている。また、本形態の発熱材15は、断熱性容器11の底面111に配置されており、被処理物Wが配置される配置穴151を有する枠状に形成されている。なお、発熱材15は、断熱性容器11の底面111の略全面に配置してもよい。この場合には、被処理物Wは発熱材15の上に載置することができる。
特に、被処理物Wを、後述する樹脂材料が内部に配置された成形型3とする場合には、発熱材15を断熱性容器11の内壁面としての底面111に設けることができる。この場合には、断熱性容器11の底面111に載置される成形型3内の樹脂材料を、発熱材15からの伝熱を利用して、底面111に近い部位から遠い部位に向けて順次溶融させることができる。また、成形型3内に配置される樹脂材料の熱変形温度、溶融開始温度、融点等の熱的特性に応じて、発熱材15を配置する箇所を変更することができる。例えば、発熱材15は、断熱性容器11の内壁面としての側面のみに設けることもできる。
また、樹脂材料が、昇温されるに伴って特定電磁波Xを自ら吸収して発熱する性質を有する場合には、発熱材15を断熱性容器11の底面111に設けることが好ましい。この場合に、断熱性容器11における底面111の面積の全体を100%としたとき、発熱材15は、底面111における面積が50%以上の範囲に配置することが好ましく、底面111における面積が80%以上の範囲に配置することがさらに好ましく、底面111における面積が95%以上の範囲に配置することが特に好ましい。
また、加熱処理装置1は、断熱性収容箱10内の温度を測定する温度測定手段を有していてもよい。この場合には、電磁波照射手段20の照射動作を制御する制御手段は、温度測定手段の測定値に基づいて、電磁波照射手段20による特定電磁波Xの照射時間を調整することができる。
断熱性収容箱10は、断熱性及び耐熱性を有すると共に、特定電磁波Xに対して透過性を有する材料によって構成されている。断熱性収容箱10を構成する材料としては、25℃における熱伝導率が1.0W/(m・K)以下のものを用いることが好ましい。断熱性収容箱10は、特定電磁波Xを透過させる性質を有するとともに、断熱性収容箱10の内部における気体と外部における気体との間の熱の伝達を抑制する性質を有する。このような性質を有する材料としては、金属を除き、金属酸化物(セラミックスを含む。)、樹脂等がある。断熱性収容箱10を構成する材料の具体例としては、アルミナ等のセラミックス、石膏、ガラス、シリコーンゴム、コルク、ムライト、ジルコニア、セメント、陶磁器などが挙げられる。
断熱性収容箱10における断熱性容器11の側壁部(周壁部)及び底壁部の厚み、並びに断熱性蓋体12の厚みは、例えば5〜30mmとすることができる。これらの厚みは、断熱性収容箱10の内部と外部との間に十分な断熱性が確保されれば特に限定されない。
断熱性収容箱10の閉鎖空間Sの容積は、被処理物Wの体積の2倍以上とすることができ、特に被処理物Wの体積の10〜300倍であることが好ましい。閉鎖空間Sの容積が過小である場合には、閉鎖空間S内の空気等の気体による断熱効果が少なくなり、被処理物Wを加熱する際の被処理物Wの均熱化が難しくなる。一方、閉鎖空間Sの容積が過大である場合には、閉鎖空間S内の気体が対流するおそれがあり、断熱性収容箱10による断熱効果が弱くなるおそれがある。
発熱材15は、特定電磁波Xを吸収することによって発熱する材料によって構成されている。発熱材15を構成する材料としては、基材中に、30℃、60Hzにおける誘電力率(誘電正接、tanδ)が0.01以上である物質(以下、「高誘電力率物質」という。)が含有されてなるものを用いることが好ましい。基材としては、セラミックス、ゴム、耐熱性樹脂などを用いることができる。
発熱材15は、断熱性容器11を構成する材料に高誘電力率物質を混合し、断熱性容器11の壁部の全体又は一部として形成してもよい。この場合には、断熱性容器11自体の全体又は一部が発熱材15となる。
高誘電力率物質としては、グラファイト、炭化珪素、フェライト、チタン酸バリウム、カーボンブラック、黒鉛、二酸化マンガンなどが挙げられる。これらの高誘電力率物質は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
また、発熱材15は、高誘電力率物質を釉薬と共に基材に塗布し焼成して得られるプレート等としてもよい。
発熱材15を構成する材料における高誘電力率物質の含有割合は、通常5〜90体積%であり、好ましくは10〜70体積%、より好ましくは13〜50体積%、更に好ましくは15〜35体積%である。
本形態の電磁波照射手段20は、断熱性収容箱10の外部に配置されている。断熱性収容箱10のサイズを大きくする必要はあるが、電磁波照射手段20は、断熱性収容箱10の内部又は壁部内に配置することも可能である。
電磁波照射手段20としては、特定電磁波X、具体的にはマイクロ波(波長0.01〜1mの電磁波)又は高周波(波長1〜100mの電磁波)を照射するものが用いられる。ここで、マイクロ波及び高周波を周波数で示すと、マイクロ波が約30GHz〜約300MHzであり、高周波が約300MHz〜約3MHzである。一般的に、電磁漏洩による法令上の規制により、13.56MHz(約22.1m)、27.12MHz(約11.1m)、40.18MHz(7.46m)、2450MHz(約0.122m)付近の周波数の電磁波が利用される。なお、特定電磁波Xの波長が単一の値に固定されている必要はない。
電磁波照射手段20から照射される特定電磁波Xは、被処理物Wの種類及び形状、発熱材15の材質及び寸法などを考慮して、0.01〜100mの波長の中から適宜選択することができる。このような特定電磁波Xとしては、スパークの発生が少なく、電磁漏洩の防止が容易であることなどの観点から、1000MHz(波長:0.3m)〜10GHz(波長:0.03m)のマイクロ波が好ましく、特に、2450MHz付近の周波数が好ましい。また、電磁波照射手段20としては、定格出力が100〜15000Wのものを用いることができ、定格出力が500〜3000Wのものを用いることがより好ましい。
本形態の電磁波照射手段20は、断熱性収容箱10の断熱性蓋体12の外壁面に対向する位置に配置されている。電磁波照射手段20は、断熱性容器11の側部又は底部の外壁面に対向する位置に配置することもできる。また、場合によっては、複数の電磁波照射手段20を、断熱性収容箱10の外壁面の異なる位置に対向させて配置することもできる。
本発明の加熱処理装置1の具体的な用途は、例えば50〜500℃の加熱処理が必要な被処理物Wを加熱する用途とすることができる。加熱処理装置1は、熱可塑性樹脂の成形、又は放射線硬化性樹脂もしくは熱硬化性樹脂の硬化物のポストキュア等に好適に利用することができる。硬化物としては、光造形法など3次元造形法によって形成された立体形状物などがある。ここで、放射線硬化性樹脂とは、放射線によって硬化する樹脂のことをいい、熱硬化性樹脂とは、熱を加えることによって硬化する樹脂のことをいう。
放射線硬化樹脂又は熱硬化性樹脂に用いられるモノマーとしては、エポキシ系モノマー、アクリル系モノマー、ウレタン系モノマー、シアネート系モノマー、フェノール系モノマー、アミン系モノマー、尿素系モノマーなどがあげられる。
図1に示すように、加熱処理装置1を放射線硬化性樹脂等の硬化物の後硬化に利用する場合には、電磁波照射手段20から被処理物Wとしての硬化物へ特定電磁波Xを照射することによって、この硬化物をさらに硬化させることができる。
一方、図2に示すように、加熱処理装置1を樹脂材料4の成形に利用する場合には、電磁波照射手段20から被処理物Wとしての、キャビティ31内に樹脂材料4が充填された成形型3へ、特定電磁波Xを照射することによって、キャビティ31内の樹脂材料4を溶融させ、その後、樹脂材料4を冷却することによって、キャビティ31内に樹脂成形品を成形することができる。
成形型3のキャビティ31は、樹脂材料4によって成形する樹脂成形品の製品形状に沿った形状とすることができる。また、成形型3のキャビティ31は、製品形状となる前の、製品形状よりも大きな素材形状に沿った形状とすることもできる。この素材形状は、例えば、直方体、円筒状、円環状等の任意の形状とすることができる。また、素材形状を有する樹脂材料4の樹脂成形品を成形した後には、この樹脂成形品を、切削加工を行って製品形状に形成することができる。
本形態の成形型3は、特定電磁波Xの少なくとも一部を透過させる性質を有する。成形型3を構成する材料は、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどのゴム材料や、種々のセラミックス材料とすることができる。ただし、成形型3の製造が容易で、弾性変形によってキャビティ31内の容積を調整することが可能である点で、ゴム材料を用いることができる。
また、成形型3内に配置される樹脂材料4が熱可塑性樹脂である場合の当該熱可塑性樹脂の形態は、ペレット状であっても、粉状であってもよい。また、樹脂材料4が熱硬化性を有するモノマー等である場合には、このモノマー等は液状、スラリー状等の形態であってよい。
成形型3の少なくとも一部は、特定電磁波Xを吸収して発熱する材料によって構成することもできる。この場合には、成形型3の全体又は一部を構成する材料に、前述の高誘電力率物質を混合することができる。また、この場合には、成形型3の内壁面の全体又は一部に、高誘電力率物質を含有する層を設けることもできる。
成形型3が高誘電力率物質を含む場合には、成形型3が、照射される特定電磁波Xの少なくとも一部を吸収して発熱し、成形型3からの熱伝導によって樹脂材料4が加熱される。また、樹脂材料4が昇温に伴って特定電磁波Xを自ら吸収して発熱する性質を有する場合には、樹脂材料4が、成形型3を透過した特定電磁波Xを吸収して発熱することによって、樹脂材料4の加熱をさらに促進することができる。
樹脂材料4に用いられる熱可塑性樹脂は、特に限定されず、種々のものとすることができる。この熱可塑性樹脂は、融点を有しない非晶性の熱可塑性樹脂とすることができ、融点を有する結晶性の熱可塑性樹脂とすることもできる。樹脂材料4に用いられる非晶性の熱可塑性樹脂としては、例えば、汎用ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合)樹脂、メタクリル(PMMA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)樹脂等がある。樹脂材料4に用いられる結晶性の熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂等がある。これらの非晶性及び結晶性の熱可塑性樹脂は、汎用プラスチック又は汎用エンジニアリングプラスチック(汎用エンプラ)と呼ばれるものであり、熱変形温度が150℃未満のものであることが好ましい。熱変形温度が150℃以上の熱可塑性樹脂は、スーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ又は耐熱エンプラ)と呼ばれる。ここで、熱変形温度(荷重たわみ温度)とは、合成樹脂の耐熱性を評価する指標の1つであり、合成樹脂に荷重を加えた状態でその温度を上昇させたときに、この合成樹脂に生じるたわみの大きさが一定になる温度のことをいう。
熱可塑性樹脂は、加熱したときに軟化するとともに冷却したときに固化する性質を有する一般的なものである。熱可塑性樹脂は、透明又は半透明のものであってもよく、不透明のものであってもよい。
加熱処理装置1及び加熱処理方法に用いることができる樹脂材料4は、加熱したときに軟化するとともに冷却したときに固化する性質を有するものとする。樹脂材料4は、透明又は半透明のものであってもよく、不透明のものであってもよい。特定電磁波Xを使用した電磁波照射成形法によって樹脂成形品を成形する際には、特に結晶性の樹脂材料4は、所定の温度に加熱されたときには、誘電損失率が急激に上昇することによって自己発熱して溶融することができる。
加熱処理装置1においては、断熱性収容箱10の断熱性蓋体12が取り外された状態で、断熱性容器11の底面111に被処理物Wが配置される。その後、断熱性蓋体12が断熱性容器11の開口部110を塞ぐよう配置される。これにより、断熱性収容箱10の内部には、被処理物Wが収容された閉鎖空間Sが形成される。この状態で、電磁波照射手段20によって、断熱性収容箱10を介して被処理物Wに特定電磁波Xが照射される。このとき、特定電磁波Xは、断熱性収容箱10内に設けられた発熱材15に対しても照射される。これにより、発熱材15が特定電磁波Xを吸収して発熱する。その結果、被処理物Wは、特定電磁波Xを自ら吸収することによって加熱されると共に、発熱材15からの輻射熱や、発熱材15によって加熱された、断熱性収容箱10の閉鎖空間Sに存在する気体によっても加熱される。
断熱性収容箱10の閉鎖空間S内の温度は、例えば室温程度から100〜500℃まで昇温されたのち、所望の時間、昇温された温度が保持される。
また、特定電磁波Xの照射条件は、被処理物Wの種類などに応じて適宜設定される。例えば、被処理物Wが、キャビティ31内に樹脂材料4が配置された成形型3である場合には、電磁波照射手段20による特定電磁波Xの出力を100〜5000Wとし、成形型3への特定電磁波Xの照射時間を1〜60分とすることができる。また、被処理物Wが熱硬化性樹脂の硬化物又は放射線硬化性樹脂の硬化物である場合には、電磁波照射手段20による特定電磁波Xの出力を100〜5000Wとし、硬化物への特定電磁波Xの照射時間を1〜180分とすることができる。
また、電磁波照射手段20による特定電磁波Xの照射動作を制御する制御手段は、被処理物Wの温度を測定し、被処理物Wの温度が特定の温度になるよう制御することができる。また、制御手段は、被処理物Wの特定の昇温速度が維持されるように、電磁波照射手段20による特定電磁波Xの照射を制御することもできる。
電磁波照射手段20による特定電磁波Xの出力範囲は0〜5000Wの範囲内とし、被処理物Wを昇温する特定の昇温速度は1〜100℃/minの範囲内とすることができる。また、被処理物Wを加熱して維持する温度は100〜500℃の範囲内とし、被処理物Wの加熱時間(特定電磁波Xの照射時間)は0.01〜180分の範囲内とすることができる。
被処理物Wの温度の測定は、公知の方法によって行うことができる。被処理物Wの温度を測定する温度測定手段には、例えば、放射温度計、熱電対、サーミスタ、光ファイバー温度計を使用することができる。
本形態の加熱処理装置1においては、被処理物Wは、電磁波照射手段20による特定電磁波Xを吸収することによって加熱されると共に、発熱材15からの輻射熱や、発熱材15によって加熱された、断熱性収容箱10の閉鎖空間Sに存在する気体によっても加熱される。また、発熱材15が被処理物Wと接触している場合には、被処理物Wは、発熱材15からの伝導熱によっても加熱される。さらに、被処理物Wが、特定電磁波Xを吸収することができる材料を含む場合には、この被処理物Wは、特定電磁波Xを吸収することによっても加熱される。それ故、本形態の加熱処理装置1、加熱処理装置1用の断熱性収容箱10及び加熱処理方法によれば、被処理物Wを全体にわたって均一に加熱することができる。
<実施形態2>
本形態においては、図3及び図4に示すように、加熱処理装置1によって、キャビティ31内に熱可塑性樹脂等の樹脂材料4が配置された成形型3を加熱する場合について、樹脂材料4が熱可塑性樹脂である例を用いてさらに詳しく説明する。また、本形態においては、加熱処理装置1によって、熱変形温度が150℃以上の樹脂材料4の加熱を行う。ここで、熱変形温度(荷重たわみ温度)とは、合成樹脂の耐熱性を評価する指標の1つであり、合成樹脂に荷重を加えた状態でその温度を上昇させたときに、この合成樹脂に生じるたわみの大きさが一定になる温度のことをいう。
図3及び図4に示すように、本形態の加熱処理装置1においては、立方体形状を有する断熱性収容箱10の6つの内壁面にシート状又は板状の発熱材15が配置され、断熱性収容箱10の底面111における発熱材15の上に成形型3が載置される。本形態においては、直方体形状の断熱性収容箱10の6つの壁部を発熱させ、断熱性収容箱10内の温度に局所的な偏りがないようにし、断熱性収容箱10内の閉鎖空間Sの温度を高温に維持する。
本形態の成形型3の底部72は、可撓性を有するシート状のセラミックスによって形成されている。底部72の厚みは、好ましくは0.1〜5mmであり、さらに好ましくは0.5〜3mmであり、特に好ましくは1〜2mmである。このシート状のセラミックスは、発熱材15に樹脂材料4が直接接触せず、かつ、発熱材15から樹脂材料4への熱伝導を良好とするために設ける。このシート状のセラミックスは、強度、熱伝導性及び耐熱性が確保されれば、セラミックス以外の樹脂、ゴム等によって構成することもできる。
図3〜図5に示すように、成形型3は、その内部に形成されるキャビティ31に樹脂材料4を配置することと、成形後の樹脂成形品を取り出すこととを容易にするために、複数の型部3A,3Bに分割されている。複数の型部3A,3Bは、樹脂成形品を繰り返し成形可能なものである。本形態の成形型3は、第1型部3A及び第2型部3Bの2つの型部3A,3Bに分割されており、2つの型部3A,3Bが合わさった状態で、2つの型部3A,3Bによってキャビティ31が形成される。第1型部3Aと第2型部3Bとは、キャビティ31に配置された粉体状、ペレット状又は固体状の樹脂材料4が溶融して、液状の樹脂材料4となる際に、キャビティ31の容積を縮小することができるよう、相対的に接近するスライドが可能である。2つの型部3A,3Bのいずれかには、成形後の樹脂成形品を取り出すためのエジェクターピン等を設けることができる。
成形型3の底部32は発熱材15に接触している一方、成形型3の側部33及び天井部34は、発熱材15から離れている。そして、断熱性収容箱10の底面111における発熱材15から成形型3へは、熱伝導によって熱が伝わる一方、断熱性収容箱10の側面112及び天井面113における発熱材15から成形型3へは、空気等の気体を介した熱輻射(熱放射)によって熱が伝わる。これにより、成形型3のキャビティ31内における樹脂材料4は、成形型3の底部32に近い部位から成形型3の天井部34に近い部位に向けて順次溶融する。そして、このような樹脂材料4が一方側から他方側に向けて加熱される構成により、樹脂材料4が溶融して成形される樹脂成形品の内部に、成形不良となるボイド(気泡、引け巣)が形成されないようにする。
発熱材15は、高誘電力率物質が含まれる粒子を圧縮加圧して形成された圧粉発熱材とすることができる。また、発熱材15は、高誘電力率物質が含まれる粒子の焼成物とすることもできる。成形型3のキャビティ31は、最終的な製品、最終的な製品形状に近い形状としてのニアネットシェイプの成形品をマスターモデルとし、このマスターモデルの三次元形状を転写することによって形成することができる。本形態の成形型3は、石膏によって形成された石膏型であり、成形型3のキャビティ31に成形する樹脂成形品は、ブロック形状を有するものである。石膏型は高い断熱性を有する。また、断熱性収容箱10も、石膏によって形成されている。成形型3を石膏型によって形成する場合には、発熱材15からの熱伝導性を顕著に阻害しない範囲内で、底部32の厚みを適切な厚みに調整することが好ましい。
石膏型としての成形型3は以下のように作製することができる。
まず、マスターモデルの型取りをRTVシリコーンゴムによって行い、マスターモデルの形状が転写されたキャビティを有する第1転写型を作製する。次いで、この第1転写型を、型枠内に配置して、第1転写型のキャビティ及び外面の形状が反転して転写されたキャビティを有する第2転写型を作製する。次いで、第2転写型のキャビティに、水と混練した石膏スラリーを流し込んで固まらせる。その後、第2転写型のキャビティから固化した石膏を取り出し、この石膏が、マスターモデルと同じ形状のキャビティ31を有する成形型3となる。
また、他のキャスタブルセラミックス材料を用いて成形型3を作製する場合にも、石膏型と同様の方法によって作製することができる。また、マシナブルセラミックス材料を用いて成形型3を作製する場合には、このセラミック材料に直接型彫りを施して、成形型3を作製することもできる。更には、成形型3は、三次元造形法によって直接成形することもできる。
(成形方法)
次に、本形態の加熱処理装置1を用いて樹脂成形品を成形する方法を示す。
本形態においては、配置工程、収容工程及び照射工程を行って、成形型3内に樹脂成形品を成形する。
まず、配置工程においては、図5に示すように、成形型3の第1型部3A内に樹脂材料4のペレット41を配置し、第1型部3Aに第2型部3Bを組み合わせて、第1型部3Aの開口部310を第2型部3Bによって閉じる。そして、樹脂材料4のペレット41が、第1型部3Aと第2型部3Bとによって形成されたキャビティ31内に配置された成形型3が形成される。
次いで、収容工程においては、図6に示すように、断熱性容器11内に、内部に樹脂材料4のペレット41が配置された成形型3を配置し、断熱性容器11に断熱性蓋体12を組み合わせて、断熱性容器11の開口部110を断熱性蓋体12によって閉じる。このとき、断熱性容器11及び断熱性蓋体12の6つの内壁面には、発熱材15が設けられている。そして、断熱性収容箱10の閉鎖空間S内に成形型3が配置された状態が形成される。なお、図3、図5及び図6においては、樹脂材料4のペレット41を部分的に省略して示す。
次いで、照射工程においては、図3に示すように、電磁波照射手段20によって、0.01〜100mの波長領域を含む特定電磁波Xを、断熱性収容箱10を透過させて成形型3及び発熱材15に照射する。本形態においては、波長が0.01〜1mであるマイクロ波を照射する電磁波照射手段20を用いる。断熱性収容箱10を透過する特定電磁波Xは、発熱材15に照射されて、発熱材15にその一部が吸収される。また、特定電磁波Xは、発熱材15に一部が吸収されて減衰した後、成形型3に吸収され、又は成形型3をさらに透過してキャビティ31内の樹脂材料4に吸収される。電磁波照射手段20による特定電磁波Xの照射は、成形型3のキャビティ31内における樹脂材料4の全体が溶融するまで継続する。
このとき、樹脂材料4としての熱可塑性樹脂の種類によっては、加熱の初期の段階においては、特定電磁波Xを吸収する性質をほとんど発現せず、特定電磁波Xを吸収してもほとんど発熱しない。一方、発熱材15は、加熱の初期の段階から特定電磁波Xを吸収する性質を発現し、特定電磁波Xを吸収して発熱する。そして、成形型3のシート状の底部32が、断熱性収容箱10の底面111における発熱材15と接触していることにより、成形型3のキャビティ31内における樹脂材料4へは、断熱性収容箱10の底面111における発熱材15から熱伝導によって熱が伝わる。
次いで、全ての樹脂材料4のペレット41のうち、シート状の底部32に接触する最下部のいずれかの部位にあるペレット41の温度が、融点あるいは溶融開始温度に到達し、このペレット41から先に溶融を開始する。ペレット41の溶融が開始されると、この溶融したペレット41によって、これに近接するペレット41が濡れ、溶融するペレット41が増えていく。
また、シート状の底部32に接触する最下部の全体にあるペレット41が溶融して溶融層42を形成すると、この溶融層42の上方に隣接する、既に軟化が始まっているペレット41が、溶融層42に落下して溶融層42と一体化していく。その後、下方から上方へと溶融するペレット41が順次増加していき、溶融層42が形成された範囲が下方から上方へと順次拡大していく。言い換えれば、成形型3内のペレット41が、断熱性収容箱10の底面111に配置された発熱材15からの伝熱を利用して、底面111に近い部位から遠い部位に向けて順次溶融していく。また、樹脂材料4のペレット41の全体においては、固体のまま維持される部分と、液体となった部分とが共存する領域も生じることがある。
また、樹脂材料4の種類によっては、加熱の段階が進行して、未溶融の固体の状態において特定の温度以上に加熱されると、特定電磁波Xを吸収する性質を発現し、特定電磁波Xを吸収して自己発熱するようになる。これにより、固体のペレット41は、特定の温度以上に加熱されると、固体から液体に変化する速度が急激に上昇する。そのため、加熱の段階が進行すると、上方へ向けた溶融層42の領域の拡大が急激に生じることになる。その結果、成形型3のキャビティ31内の樹脂材料4を溶融させる時間を短縮することができる。
一方、ペレット41の溶融に伴って、ペレット41同士の間に存在する空隙、すなわち、ボイドの発生源となる空気は、上方へ向けて領域を拡大する溶融層42によって、下方から上方へと追い出されることになる。そして、全てのペレット41が溶融層42に変化するときには、溶融層42の内部に空気がほとんど残されず、成形型3のキャビティ31内に存在した空気が溶融層42の上方へ逃がされる。
その後、成形型3のキャビティ31内の全てのペレット41が溶融して、キャビティ31内が溶融層42によって満たされたときには、電磁波照射手段20による特定電磁波Xの照射が停止される。そして、キャビティ31内の樹脂材料4を冷却して固化させる。キャビティ31内の樹脂材料4が固化したときには、キャビティ31内に樹脂成形品が成形される。そして、成形型3の第1型部3Aから第2型部3Bを分離し、第1型部3Aの開口部310から、成形された樹脂成形品を取り出す。こうして成形された樹脂成形品の内部には、ボイドがほとんど形成されておらず、樹脂成形品の品質が良い。
なお、キャビティ31内の樹脂材料4を固化させるときには、樹脂材料4を冷却しやすくするために、成形型3を断熱性収容箱10の外部に取り出すことができる。
また、図7に示すように、成形型3のキャビティ31内は、真空ポンプ35によって減圧し、減圧されたキャビティ31内においてペレット41を溶融させることができる。この場合には、キャビティ31内の圧力が成形型3の外部の圧力よりも低いことにより、一対の型部3A,3Bの間に型締め力を作用させることができる。そして、ペレット41が溶融する際に、第1型部3Aと第2型部3Bとが互いに接近し、容積が縮小されたキャビティ31内に樹脂材料4の樹脂成形品を成形することができる。
なお、一対の型部3A,3Bへの型締め力は、圧力の差を利用する以外にも、例えば、第2型部3Bから第1型部3Aへ荷重を加えることによって作用させることができる。
(作用効果)
本形態においては、発熱材15が断熱性容器11及び断熱性蓋体12の6つの内壁面に設けられているため、被処理物Wをより均一に加熱することができる。
以上、実施形態2において説明したように、発熱材15が6つの内壁面の全てに配置された断熱性収容箱10を用いた電磁波照射成形を行うことによって、品質に優れた樹脂成形品を容易に成形することが可能になった。
実施形態2においても、その他の構成は実施形態1と同様であり、実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
なお、本発明は、実施形態1,2のみに限定されず、本発明の趣旨を超えない限度において、種々の構成を採ることができる。
<実施例1>
本実施例においては、断熱性収容箱10を用いて被処理物Wとしての熱硬化性樹脂の硬化物を加熱する実施品1〜6について、硬化物の外側面(表面)に生じる温度分布を測定した。また、比較のために、断熱性収容箱10を用いずに熱硬化性樹脂の硬化物を加熱する比較品1〜3についても、硬化物の外側面(表面)に生じる温度分布を測定した。
[被処理物W]
被処理物Wとしての熱硬化性樹脂の硬化物は、寸法が80mm×10mm×5mmであって、体積が4000mm3である直方形状のウレタン樹脂とした。このウレタン樹脂は、内部に中空穴等がないブロック形状を有する。このウレタン樹脂は、自己発熱型の熱硬化性樹脂であり、後述する120℃以上の温度において特定電磁波Xを吸収して自己発熱するものである。
図1に示す構成に従い、次の仕様の断熱性収容箱10、電磁波照射手段20を有する加熱処理装置1を作製した。
[断熱性収容箱10]
材質:アルミナ(熱伝導率:0.15W/(m・K))
閉鎖空間Sの寸法:95mm×75mm×75mm(内容積:534375mm3
断熱性容器11の側壁部(周壁部)の厚み:40mm
断熱性容器11の底壁部の厚み:30mm
断熱性蓋体12の厚み:30mm
発熱材15:高誘電力率物質としての黒鉛(グラファイト)を1質量部、シリカ微粒子を37質量部含有するスラリーを、セラミック基材に塗布した、60mm×60mm×10mmの大きさのプレート
また、断熱性収容箱10は、発熱材15を貼り付ける箇所を異ならせた第1断熱性収容箱10と第2断熱性収容箱10との2種類を準備した。具体的には、発熱材15が断熱性収容箱10の内壁面としての底面111にのみ貼り付けられたものを第1断熱性収容箱10とし、発熱材15が断熱性収容箱10の6つの内壁面に貼り付けられたものを第2断熱性収容箱10とした。
[電磁波照射手段20]
特定電磁波Xの波長(周波数):122mm(2450MHz、マイクロ波)
定格出力:1000W
(実施品1〜3)
実施品1〜3については、第1断熱性収容箱10の底面111に被処理物Wを配置し、電磁波照射手段20によって、特定電磁波Xを300Wの出力で第1断熱性収容箱10に照射した。この特定電磁波Xは、被処理物Wを10℃/min又は5℃/minの昇温速度で加熱するよう、被処理物Wの上面の中央部が略120℃又は略130℃の加熱温度になるまで照射した。そして、被処理物Wの上面の中央部が略120℃又は略130℃に維持されるよう、特定電磁波Xを10分間照射した。この昇温速度及び加熱温度の条件を異ならせた実施品を、実施品1〜3として表1に示す。
また、被処理物Wの上面における中央部付近の複数箇所と、被処理物Wの下面における中央部付近の複数箇所とに光ファイバーセンサを貼り付け、被処理物Wの上面における中央部付近の複数箇所の温度と、被処理物Wの下面における中央部付近の複数箇所の温度とを測定した。そして、被処理物Wの上面における中央部付近の複数箇所の温度(「被処理物Wの上面の温度」ともいう。)の最大値と最小値を抽出し、これらの差を求めた。また、被処理物Wの下面における中央部付近の複数箇所の温度(「被処理物Wの下面の温度」ともいう。)の最大値と最小値を抽出し、これらの差を求めた。
(実施品4〜6)
実施品4〜6は、第1断熱性収容箱10を用いる代わりに第2断熱性収容箱10を用い、第2断熱性収容箱10の底面111に被処理物Wを配置して、実施品1〜3と同様に、照射及び測定を行ったものである。この結果を表1に示す。
(比較品1〜3)
比較品1〜3については、被処理物Wを断熱性収容箱10内に収容せずに、特定電磁波Xを被処理物Wに直接照射した。それ以外の照射及び測定の条件は、実施品1〜3と同様である。昇温速度及び加熱温度の条件を異ならせた比較品を、比較品1〜3として表1に示す。
Figure 2017168436
表1の結果から明らかなように、実施品1〜6についての、被処理物Wの上面及び下面の各々における温度の最大値と最小値との差は、比較品1〜3についての、被処理物Wの上面及び下面の各々における温度の最大値と最小値との差に比べて小さい。特に、試験品1〜6については、被処理物Wの上面及び下面の各々における温度の最大値と最小値との差は、最小値に対して10%以内に収まっている。従って、断熱性収容箱10を用いた加熱処理装置1によれば、被処理物Wを全体にわたって均一に加熱できることが確認された。
なお、実施例1,2に示す加熱処理装置1の構成は、一例を示すものであり、本発明は、実施例に示す加熱処理装置1に限定されるものではない。
1 加熱処理装置
10 断熱性収容箱
15 発熱材
20 電磁波照射手段
3 成形型
31 キャビティ
4 熱可塑性樹脂
S 閉鎖空間
W 被処理物
X 特定電磁波

Claims (14)

  1. 0.01〜100mの波長領域を含む特定電磁波によって被処理物を加熱する加熱処理装置であって、
    前記特定電磁波を透過させる性質を有し、内部に前記被処理物が収容される閉鎖空間が形成された断熱性収容箱と、
    前記断熱性収容箱の内壁面又は内部に配置され、前記特定電磁波を吸収することによって発熱する発熱材と、
    前記断熱性収容箱を介して前記被処理物及び前記発熱材に前記特定電磁波を照射する電磁波照射手段と、を備える加熱処理装置。
  2. 前記発熱材は、グラファイト、炭化珪素、フェライト、チタン酸バリウム、カーボンブラック、黒鉛及び二酸化マンガンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の物質を含有する、請求項1に記載の加熱処理装置。
  3. 前記発熱材は、誘電損失によって発熱する性質を有するシート状又は板状の部材からなる、請求項1又は2に記載の加熱処理装置。
  4. 前記被処理物は、熱可塑性樹脂を含有する樹脂材料が内部に配置された成形型であり、
    前記特定電磁波によって前記成形型内の前記樹脂材料を溶融させ、前記成形型内に樹脂成形品を成形するよう構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱処理装置。
  5. 前記被処理物は、熱硬化性樹脂の硬化物又は放射線硬化性樹脂の硬化物であり、
    前記特定電磁波によって前記硬化物をさらに硬化させるよう構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱処理装置。
  6. 前記断熱性収容箱は、セラミックス材料によって構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱処理装置。
  7. 0.01〜100mの波長領域を含む特定電磁波によって被処理物を加熱する加熱処理装置に用いられる断熱性収容箱であって、
    前記特定電磁波を透過させる性質を有し、
    内部に、前記被処理物が収容される閉鎖空間が形成されており、
    前記断熱性収容箱の内壁面又は内部に、前記特定電磁波を吸収することによって発熱する発熱材を有する、加熱処理装置用の断熱性収容箱。
  8. 0.01〜100mの波長領域を含む特定電磁波によって被処理物を加熱する加熱処理方法であって、
    発熱材が内壁面又は内部に配置された断熱性収容箱の閉鎖空間内に、前記被処理物を収容する収容工程と、
    0.01〜100mの波長領域を含む特定電磁波を、前記断熱性収容箱を透過させて前記被処理物及び前記発熱材に照射し、前記発熱材を発熱させて前記発熱材からの伝熱を利用して前記被処理物を加熱する照射工程と、を含む加熱処理方法。
  9. 前記発熱材は、グラファイト、炭化珪素、フェライト、チタン酸バリウム、カーボンブラック、黒鉛及び二酸化マンガンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の物質を含有する、請求項8に記載の加熱処理方法。
  10. 前記発熱材は、誘電損失によって発熱する性質を有し、前記断熱性収容箱の内壁面に設けられたシート状又は板状の部材からなる、請求項8又は9に記載の加熱処理方法。
  11. 前記被処理物は、熱可塑性樹脂を含有する樹脂材料が内部に配置された成形型であり、
    前記照射工程においては、前記発熱材からの伝熱を利用して前記成形型内の前記樹脂材料を溶融させ、前記成形型内に樹脂成形品を成形する、請求項8〜10のいずれか1項に記載の加熱処理方法。
  12. 前記発熱材は、前記断熱性収容箱の内壁面の1つであって、前記断熱性収容箱内に前記成形型が載置される底面に少なくとも配置されており、
    前記照射工程においては、前記成形型内の前記樹脂材料を、前記発熱材からの伝熱を利用して、前記底面に近い部位から遠い部位に向けて順次溶融させる、請求項11に記載の加熱処理方法。
  13. 前記成形型における、前記断熱性収容箱の前記底面に接触する底部の厚みは、前記底部から起立して設けられた側部の厚みよりも小さい、請求項11又は12に記載の加熱処理方法。
  14. 前記成形型の前記底部は、前記成形型の前記側部における開口部を閉じる、可撓性を有するシートによって形成されている、請求項13に記載の加熱処理方法。
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