JP2017167536A - 光走査装置および画像形成装置並びに外観検査装置 - Google Patents

光走査装置および画像形成装置並びに外観検査装置 Download PDF

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Abstract

【課題】偏向器から被走査面までの光路長を変更可能な光走査装置および画像形成装置並びに外観検査装置を提供する。
【解決手段】光束を偏向して被走査面を主走査方向に光走査する偏向手段と、該偏向手段により偏向された光束を前記被走査面に集光する結像光学系と、を備える光走査装置であって、前記結像光学系は、複数の結像光学素子を有し、該複数の結像光学素子の光軸方向での相対位置を変化させることにより、光束の光軸方向における集光位置を変更可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、光源から出射した光束を偏向器によって偏向し、被走査面上に集光する光走査装置およびこれを用いた画像形成装置並びに外観検査装置に関する。
従来、画像形成装置や外観検査装置においては、レーザー等の光源から光変調され出射した光束を、偏向器に至る前の照明光学系によって主走査方向に略平行光として整形する。そして、回転多面鏡(ポリゴンミラー)等の偏向器により、光源からの光束を周期的に偏向させる。そして、偏向器で偏向された光束をfθ特性を有する結像光学系によって被走査面にスポット状に集光させる。
そして、外観検査装置においては、被走査面に設けられた被検査体からの反射光を受光素子で受光、解析することで、被検査体の形状情報を得ることができる。
このような光走査装置は走査光学系(fθレンズ)を含め、種々提案されている。具体的には、走査光学系を2枚のトーリックレンズで構成した2枚玉fθレンズを備えたものが提案されている(特許文献1)。また、fθ補正されたテレセントリック走査光学系によって、被走査面に設けられる被検査体を非接触測定することが可能なものも提案されている(特許文献2)。更には、被走査面における走査幅(像高)を、アタッチメントレンズ(付加レンズ)の取り付けにより変更させることが提案されている(特許文献3)。
特開昭61−128218号公報 特開昭62−28707号公報 特開平2−130909号公報
従来の光走査装置においては、一つの光走査装置に対して、同じ走査幅、同じ光路長の走査光学系が用いられている。しかし、例えば被検査体の検査を行う量産ラインにおいて、工程レイアウトの変更に伴い、従来用いていた一つの光走査装置に対し、被検査体との距離、所謂ワーキングディスタンスを変更して用いたいというニーズが生じる。
本発明の目的は、偏向器から被走査面までの光路長を変更可能な光走査装置および画像形成装置並びに外観検査装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る光走査装置は、光束を偏向して被走査面を主走査方向に光走査する偏向手段と、該偏向手段により偏向された光束を前記被走査面に集光する結像光学系と、を備える光走査装置であって、前記結像光学系は、複数の結像光学素子を有し、該複数の結像光学素子の光軸方向での相対位置を変化させることにより、光束の光軸方向における集光位置を変更可能であることを特徴とする。
また、本発明に係る画像形成装置、外観検査装置は、上記光走査装置を有することを特徴とする。
本発明によれば、偏向器から被走査面までの光路長を変更することができる。
本発明の第1の実施形態に係る光走査装置の説明図 第1の実施形態におけるレンズ変位および光源の発光タイミングに関する制御部の説明図 第1の実施形態における光学性能に関する説明図 本発明の第2の実施形態に係る光走査装置の説明図 第2の実施形態における光学性能に関する説明図 本発明の第3の実施形態に係る光走査装置の説明図 第3の実施形態における光学性能に関する説明図 本発明の第4の実施形態に係る光走査装置の説明図 第4の実施形態における光学性能に関する説明図 本発明の実施形態に係る光走査装置を搭載した外観検査装置の説明図 本発明の実施形態に係る光走査装置を搭載した画像形成装置の説明図
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
《第1の実施形態》
(画像形成装置)
図11は、本発明の実施形態に係る光走査装置(光走査ユニット)100を搭載した画像形成装置104の要部概略図(副走査断面図)である。図11に示すように、画像形成装置104には、パーソナルコンピュータ等の外部機器117からコードデータDcが入力される。このコードデータDcは、装置内のプリンタコントローラ111によって、画像信号(ドットデータ)Diに変換される。この画像信号Diは、光走査ユニット100に入力される。
そして、光走査ユニット100からは、画像信号Diに応じて変調された光束103が出射され、この光束103によって感光ドラム101の感光面(被走査面)が主走査方向に走査される。なお、プリンタコントローラ111は、前述したデータの変換だけでなく、後述するモータ115などの画像形成装置内の各部の制御を行う。
静電潜像担持体(感光体)としての感光ドラム101は、モータ115によって時計廻りに回転させられる。そして、この回転に伴って、感光ドラム101の感光面が光束103に対して副走査方向に移動する。感光ドラム101の上方には、感光面を一様に帯電せしめる帯電ローラ102が感光面に当接するように設けられている。そして、帯電ローラ102によって帯電された感光面上に、光走査ユニット100からの光束103が照射されるように構成されている。
光束103は、画像信号Diに基づいて変調されており、この光束103を照射することによって感光面上に静電潜像が形成される。この静電潜像は、光束103の照射位置よりもさらに感光ドラム101の回転方向の下流側で感光面に当接するように配設された現像器107によって、トナー像として現像される。
現像器107によって現像されたトナー像は、感光ドラム101の下方で、感光ドラム101に対向するように配設された転写ローラ(転写器)108によって、被転写材(記録材)としての用紙112上に転写される。用紙112は感光ドラム101の前方(図7において右側)の用紙カセット109内に収納されているが、手差しでも給紙が可能である。用紙カセット109端部には、給紙ローラ110が配設されており、これにより用紙カセット109内の用紙112が搬送路へ送り込まれる。
以上のようにして、未定着トナー像が転写された用紙112は、さらに感光ドラム101後方(図11において左側)の定着器へと搬送される。定着器は、内部に定着ヒータ(図示せず)を有する定着ローラ113と、この定着ローラ113に圧接するように配設された加圧ローラ114とで構成されている。この定着器は、転写ローラ108から搬送されてきた用紙112を定着ローラ113と加圧ローラ114との圧接部にて加圧しながら加熱することにより、用紙112上の未定着トナー像を定着させる。さらに、定着ローラ113の後方には排紙ローラ116が配設されており、トナー像が定着された用紙112は画像形成装置104の外に排出される。
(光走査装置)
以下、本発明の実施形態に係る光走査装置について詳細に説明する。図1(A)、(B)は、本実施形態に係る光走査装置の要部断面としての主走査断面を示している。図1(A)中、1は光源であり、たとえば半導体レーザーより成っている。2は、主走査方向の光束を成形する絞りである。3は、光源1から射出される入射光束を主走査断面で略平行光束にするコリメーターレンズである。4は、副走査断面にのみ屈折力を持ち、副走査断面の光束を、偏向器付近に結像させるシリンダレンズである。5は開口絞りで、副走査方向の光束幅を整えている。
6は例えばポリゴンミラー(回転多面鏡)より成る偏向器であり、モーター等の駆動手段(不図示)により一定速度で回転している。7、8はfθ特性を有するfθレンズ(結像光学素子)であり、偏向器6と第1及び第2の感光体の感光ドラム面である後述する第1および第2の被走査面(IP1およびIP2)との間に配置されている。
7は、主走査断面において正の屈折力を備える第1の結像光学素子としての第1の走査レンズであり、プラスチックで構成されている。また、8は主走査断面において負の屈折力を備える第2の結像光学素子としての第2の走査レンズであり、プラスチックで構成されている。そして、結像光学系としての走査光学系を構成する第1および第2の走査レンズ7、8は、副走査断面の曲率が主走査断面の曲率と異なる、所謂トーリックレンズで構成されている。本実施形態の走査光学系は、副走査断面において負の屈折力を持つレンズと正の屈折力を持つレンズを有する。
そして、第2の走査レンズ8は、主走査断面において、像高中心(光軸中心)から周辺に向けて、負の屈折力が弱くなる方向に非球面形状が変化している。これによって、第2の被走査面IP2(第2の結像位置)を形成する場合に比べ走査画角の大きい第1の被走査面IP1(第1の結像位置)を形成する場合においても、像面湾曲とfθ特性を良好に保つことが可能になる。fθレンズを含め、本実施形態の数値例を表1に示す。
(偏向面から被走査面までの光路長の変更)
本実施形態においては、複数の結像光学素子の光軸方向での相対位置を変化させることにより、光束の光軸方向における集光位置(結像位置)を変更可能である。これにより、偏向器6の偏向面から被走査面までの光路長が変更可能である。図1(A)に示すIP1は、偏向器6から最も近い位置にある第1の被走査面である。また、図1(B)に示すIP2は、偏向器6から最も離れた位置にある第2の被走査面である。このように走査光学系(結像光学系)の光路長を変化させる為には、走査光学系の結像位置を変化させる必要がある。更に、それぞれの光路長において良好な結像性能を達成することが必要となる。
本発明者は、本実施形態に関し、走査光学系を複数の結像光学素子(レンズ)で構成し、その焦点距離を変化させることで、走査光学系の結像位置を変化させることが可能であることを見出した。
走査光学系の走査像高yは、走査光学系のfθ係数である焦点距離fと走査画角θを用いて、次式で表される。
Y = f・θ
この式より、走査光学系の焦点距離fが変化した場合、同じ像高で光走査を行う為には、走査画角θを変化させるように偏向器の回転角を変化させる必要があることが分かる。これによって、異なる光路長において同じ像高に至る光線が、レンズの異なる部分を通過することになる。本発明者は、それぞれの光線通過位置において収差補正を個別に行うことで、それぞれの光路長における像面湾曲、fθ特性を良好にすることが可能であることを見出した。
更に、走査光学系に、正の屈折力を持つレンズと負の屈折力を持つレンズが含まれることで、微小の位置変化でも大きな光路長変化を達成でき、装置全体の小型化に寄与することができる。
本実施形態では、被走査面IP1から被走査面IP2への切り替えは、図2に示すレンズ変位手段30により、結像光学素子である走査レンズ7、8の光軸方向での相対位置を変化させて焦点距離fを変化させることを前提とする。ここで、変位手段30としては、例えば複数のレンズを保持する鏡筒において複数のレンズの光軸方向の相対位置を変化させるために設けられる周知のカム溝(光軸方向に交差する溝)と直進ガイド部材としてのガイドレール(回転止め)が用いられる。そして、駆動手段(モータ)あるいは使用者の手動で複数のレンズの光軸方向の相対位置を変化させる。
そして、本実施形態では、図2に示すように、レンズ変位検出手段40を介して認識される焦点距離fの変化に応じて走査画角θを変更する。具体的には、制御部20が光源1の発光タイミングを制御する。これにより、被走査面IP2における像高(走査幅)Yが被走査面IP1における像高(走査幅)Yと同一となるようにしている。
更に、本実施形態では、以下の条件式を満足することによって、小型化と良好な性能を両立させた走査光学系が提供できる。
1.0<TC2/TC1<1.5・・・(A)
ここで、TC1は偏向面から第1の被走査面IP1までの光路長、IC2は偏向面から第2の被走査面IP2までの光路長であり、上記条件式はこの光路長の比を表している。
条件式(A)の上限を超えると、2つの被走査面において同一の走査幅(像高)を確保する為に、第1の被走査面IP1を走査する走査画角が大きくなり、主走査断面内の像面湾曲の補正と印字位置ずれの抑制の両立が困難となる。また、条件式(A)の下限を超えることは、本発明の目的を達成できないことを意味する。
(本実施形態の効果)
上述したように本実施形態では、光軸方向での相対位置が変化可能な2枚の結像光学素子を備え、制御部は、焦点距離の増加に応じて走査画角を減少させて発光タイミングを制御する。また、制御部は、焦点距離の増加に応じて最も偏向面に近い結像光学素子を偏向面から遠ざける。これらにより、部品点数を増加することなく、低コストで偏向器から被走査面までの光路長を変更でき、レイアウトの自由度が確保できる。
(数値実施例)
以下の表1に示す本実施形態の数値実施例では、偏向面から第1の被走査面IP1までの光路長は156mm、偏向面から第2の被走査面IP2までの光路長は197mmであり、条件式(A)の値は1.3となる。これは、第1の被走査面IP1から第2の被走査面IP2への切り替えによって、光路長が41mm変化できることとなる。また、数値実施例1における走査幅(像高)は、±107mm(Y/2に相当)となっている。
表1において、Rは曲率半径、dは面間隔、ndはd線の屈折率、νdはアッベ数を示す。表中の回転中心座標は、偏向器と像高0の軸上主光線との交点を原点として示されている。
図3(A)は、本数値実施例における主走査方向の像面湾曲と像高の関係を示している。また、図3(B)は本数値実施例における副走査方向の像面湾曲と像高の関係を示している。また、図3(C)は本数値実施例における像高と印字位置ずれとの関係、即ち像高とfθ特性との関係を示している。これより、第1の結像位置である第1の被走査面IP1においても、第2の結像位置である第2の被走査面IP2においても、良好な収差特性となっていることが分かる。なお、fθ特性については、その特性に応じて偏向器の回転速度を変化させ、そのずれ分を補正する処理を加えても良い。
《第2の実施形態》
図4は、本実施形態に係る光走査装置の全体図である。第1の実施形態と同様に、本実施形態でも、被走査面IP1から被走査面IP2への切り替えは、結像光学素子である走査レンズ7’、8’の光軸方向での相対位置を変化させて焦点距離fを変化させることを前提とする。そして、図2に示すように、レンズ変位検出手段10を介して認識される焦点距離fの変化に応じて走査画角θを変更する。具体的には、制御部20が光源1の発光タイミングを制御する。これにより、被走査面IP2における像高(走査幅)Yが被走査面IP1における像高(走査幅)Yと同一となるようにしている。
このように、本実施形態は、第1の実施形態に係る図1と基本的な構成は同じであるが、結像光学系としての走査光学系を構成する第1および第2の走査レンズ7’、8’の諸元が異なる。第1の実施形態と同じ点については更なる説明を割愛し、第1の実施形態と異なる点のみ説明する。
7’は、主走査断面において負の屈折力を備える第1の結像光学素子としての第1の走査レンズであり、プラスチックで構成されている。また、8’は主走査断面において正の屈折力を備える第2の結像光学素子としての第2の走査レンズであり、プラスチックで構成されている。そして、結像光学系としての走査光学系を構成する第1および第2の走査レンズ7’、8’は、副走査断面の曲率が主走査断面の曲率と異なる、所謂トーリックレンズで構成されている。本実施形態の走査光学系は、副走査断面において負の屈折力を持つレンズと正の屈折力を持つレンズを有する。
そして、第2の走査レンズ8’は、主走査断面において、光軸中心から周辺に向けて、負の屈折力が弱くなる方向に非球面形状が変化している。これによって、第2の被走査面IP2を形成する場合に比べ走査画角の大きい第1の被走査面IP1を形成する場合においても、像面湾曲とfθ特性を良好に保つことが可能になる。
更に、本実施形態は、被走査面に達する光線が、被走査面に対して略平行に入射する、所謂テレセントリックな光学系となっている。これによって、図6に示す外観検査装置に用いる場合、光軸方向における変更可能な集光位置に設けられる外観検査のための第1及び第2の被検査体からの反射光を効率良く受光素子に取り込み、精度の高い検査を行うことが可能となる。
図6において、11は半導体レーザー等で構成されるレーザー光源である。12、13は、レーザー光を偏向器14へ入射させる光学系である。第1および第2の走査レンズ15、16によって走査された光束は、被検体17を走査する。被検体17は図6の矢印方向に移動することで、レーザー走査方向と併せて2次元の形状測定が可能となる。被検体17で反射した光束は、集光レンズ18を通して受光素子19へ到達する。受光素子19では、偏向器14の回転速度から導かれる走査時間の関数として、被検体の形状情報を得ることが可能となる。
更に図6(B)のように、走査光を被検物に対して垂直に入射させることで、ハーフミラー18を通じて受光部19に光束を導く光学系を構成することも可能である。
(本実施形態の効果)
上述したように本実施形態では、部品点数を増加することなく、低コストで偏向器から被走査面までの光路長を変更でき、レイアウトの自由度が確保できる。
(数値実施例)
以下の表2に示す本実施形態の数値実施例では、偏向面から第1の被走査面IP1までの光路長は236mm、偏向面から第2の被走査面IP2までの光路長は216mmであり、条件式(A)の値は1.1となる。これは、第1の被走査面IP1から第2の被走査面IP2への切り替えによって、光路長が20mm変化できることとなる。また、数値実施例2における走査幅(像高)は、±30mm(Y/2に相当)となっている。
更に、数値実施例2のレンズについては、被走査面に達する光線が、被走査面に対して略平行に入射する、所謂テレセントリックな光学系となっている。これによって、被検査体からの反射光を効率良く受光素子に取り込み、精度の高い検査を行うことが可能となる。
表2において、表1と同様に、Rは曲率半径、dは面間隔、ndはd線の屈折率、νdはアッベ数を示す。表中の回転中心座標は、偏向器と像高0の軸上主光線との交点を原点として示されている。
図5(A)は本数値実施例における、主走査方向の像面湾曲と像高の関係を示している。図5(B)は本数値実施例における、副走査方向の像面湾曲と像高の関係を示している。図5(C)は本数値実施例における、像高と印字位置ずれとの関係、即ち像高とfθ特性との関係を示している。これより、第1の結像位置である第1の被走査面IP1においても、第2の結像位置である第2の被走査面IP2においても、良好な収差特性となっていることが分かる。なお、fθ特性については、その特性に応じて偏向器の回転速度を変化させ、そのずれ分を補正する処理を加えても良い。
《第3の実施形態》
第1、第2の実施形態では、偏向面から第1の被走査面IP1までの光路長であるTC1に対して、偏向面から第2の被走査面IP2までの光路長であるTC2を大きくする前提で、条件式(A)を満足することが好ましいことを説明した。本実施形態では、逆に、偏向面から第1の被走査面IP1までの光路長であるTC1に対して、偏向面から第2の被走査面IP2までの光路長であるTC2を小さくする実施形態を示す。これにより、条件式(A)の替りに以下の条件式(A’)を満足することが好ましい。
1/1.5<TC2/TC1<1/1.0・・・(A’)
図6は、本実施形態の光走査装置の全体図である。図1で示した通り、1は光源手段であり、たとえば半導体レーザーより成っている。7a、8aはfθ特性を有するfθレンズ(走査レンズ、結像光学系、走査光学系)であり、光偏向器と被走査面としての被走査面IP1、IP2との間に配置されている。IP1は、偏向器から最も遠い位置にある、第1の被走査面である。IP2は、偏向器から最も近い位置にある、第2の被走査面である。IP1からIP2へは、fθレンズ7a、8aの移動によって切り替えることができる。
7aは主走査断面において負の屈折力の第1走査レンズであり、ガラスで構成されている。また、8aは主走査断面において正の屈折力の第2走査レンズであり、ガラスで構成されている。本実施形態のfθレンズの詳細については、数値実施例の表3にて記載する。そして、本実施形態のfθレンズについては、副走査断面の曲率が、主走査断面の曲率と異なる、所謂トーリックレンズで構成されている。
非球面形状は、表3に記載の非球面係数によって、以下の式で与えられる。光軸方向をX軸、主走査面内において光軸と直交する軸をY軸、副走査面内において光軸と直交する軸をZ軸としたとき、主走査方向と対応する母線方向形状は、以下の式で表わされる。
また、主走査方向に対応する子線方向rは、上線、下線共に、以下の式で表わされる。
更に、本実施形態のfθレンズについては、被走査面に達する光線が、被走査面に対して略平行に入射する、所謂テレセントリックな光学系となっている。これによって、被検査物からの反射光を効率よく受光素子に取り込み、精度の高い検査を行うことが可能となる。
本実施形態の光走査装置は、fθレンズ7a、8aの位置を変化させることで、最も偏向器から離れた第1の結像位置と、最も偏向器から近い位置にある第2の結像位置のいずれかの結像位置を選択することが可能となる。更に、以下の条件式を満足することによって、いずれの結像位置においても像側テレセントリックな光走査装置とすることができる。
5< |Tk/f| <200・・・(1)
Tkは、fθレンズ7a、8aの主走査断面における射出瞳位置−被走査面間の距離、fはfθレンズ7a、8aの主走査断面における焦点距離を表す。
条件式(1)は、本実施形態の光走査装置における、射出瞳と被走査面間の距離と、走査光学系(fθレンズ7a、8a)の焦点距離の比であり、射出瞳が像面から十分遠い、所謂テレセントリックな光学系であることを意味する。条件式(1)の上限を超えるほど焦点距離が小さい値をとる場合、像面湾曲等の光学性能に影響を及ぼす。条件式(1)の下限を超えることは、本実施形態における像側略テレセントリックな光学系が達成できないことを意味する。
更に、条件式(1)は、以下の範囲を満足することがより好ましい。
25 <| Tk/f| < 150・・・(1’)
前述のレンズ相対位置の変化と、条件式(1)の達成によって、本実施形態の目的は達成されるが、更に高性能な走査光学系を提供する為に、以下の条件式を満足することがより好ましい。
1.1 < |Δdn/Δdp| < 5.0・・・(2)
1.2 < |fn/fp| < 5.0・・・(3)
0.0 ≦ |ht−hw|/Skw < 0.1・・・(4)
1.5 < nd < 2.0・・・(5)
条件式(2)は、走査光学系を構成する第1走査レンズ7aと、第1走査レンズ7aに隣接する第2走査レンズ8aにおいて、第1の結像位置から第2の結像位置にそれぞれ移動する際の移動量の比を示している。Δdnは、負の屈折力を持つ第1走査レンズ7aにおける、結像位置変化の際の移動量、Δdpは、正の屈折力を持つ第2走査レンズ8aにおける、結像位置変化の際の移動量である。
条件式(2)の上限を超えるほど移動量の比が大きいと、全系が大型化の傾向となる。条件式(2)の下限を超えるほど移動量の比が小さいと、2つの結像位置の光路差が小さくなり、本実施形態の効果が薄れる傾向となる。
更に、条件式(2)は、以下の範囲を満足することがより好ましい。
2.5 < |Δdn/Δdp| < 4.0・・・(2’)
条件式(3)は、結像光学系を構成する第1走査レンズ7aと、第2走査レンズ8aの焦点距離の比を示している。式中のfnは第1走査レンズ7aの焦点距離、fpは第2走査レンズ8aの焦点距離である。条件式(3)の上限を超えるほど焦点距離の比が大きいと、レンズの相対位置移動に伴う収差の変化を補正する事が困難となる。また、条件式(3)の下限を超えるほど焦点距離の比が小さいと、全系が大型化の傾向となる。
更に、条件式(3)は、以下の範囲を満足することがより好ましい。
1.2 < |fn/fp| < 2.0・・・(3’)
条件式(4)は、第1の結像位置と第2の結像位置において、走査光学系の中で最も被走査面側に位置するレンズを通過する光線高さの差の比であり、2つの結像位置において、略テレセントリック性を確保する為の条件式である。式中のhtは、偏向器から最も遠い第1の結像位置において、最も被走査部側のレンズから射出する主走査断面における最大画角の主光線の幅を表す。hwは、偏向器から最も近い第2の結像位置において、最も被走査部側のレンズから射出する主走査断面における最大画角の主光線の幅を表す。Skwは、第2の結像位置から、最も被走査部側のレンズの被走査部側の面までの距離を表す。
条件式(4)の上限を超えるほど前記最も被走査面側のレンズを通過する光線高さの差が大きいと、テレセントリック性の確保が困難となる。
更に、条件式(4)は、以下の範囲を満足することがより好ましい。
0.02≦ |ht−hw|/Skw <0.06・・・(4’)
条件式(5)は、走査光学系に使用するレンズのd線における屈折率の範囲を示している。通常使用するガラス、プラスチック材の屈折率の範囲で、走査光学系を構成することが可能である。
更に望ましくは、条件式(5)は、以下の範囲を満足することがより好ましい。
1.75 < nd < 2.0・・・(5’)
図7(A)は本実施形態の数値実施例における、主走査方向の像面湾曲と像高の関係を示している。図7(B)は本実施形態の数値実施例における、副走査方向の像面湾曲と像高の関係を示している。図7(C)は本実施形態の数値実施例における、像高と印字位置ずれとの関係、即ちfθ特性と像高の関係を示している。第1の結像位置においても、第2の結像位置においても、良好な収差特性となっている。fθ特性については、その特性に応じて偏向器の回転速度を変化させ、そのずれ分を補正する処理を加えても良い。
(数値実施例)
以下の表3に示す本実施形態の数値実施例(数値実施例3)では、偏向面から第1の被走査面IP1までの光路長は99mm、偏向面から第2の被走査面IP2までの光路長は92mmであり、条件式(A’)の値は0.9となる。これは、第1の被走査面IP1から第2の被走査面IP2への切り替えによって、光路長が7mm変化できることとなる。また、本数値実施例における走査幅(像高)は、±107mm(Y/2に相当)となっている。
表3において、Rは曲率半径、dは面間隔、ndはd線の屈折率、νdはアッベ数を示す。表中の回転中心座標は、偏向器と像高0の軸上主光線との交点を原点として示されている。
《第4の実施形態》
第1、第2の実施形態では、偏向面から第1の被走査面IP1までの光路長であるTC1に対して、偏向面から第2の被走査面IP2までの光路長であるTC2を大きくする前提で、条件式(A)を満足することが好ましいことを説明した。本実施形態では、第3の実施形態と同様に、偏向面から第1の被走査面IP1までの光路長であるTC1に対して、偏向面から第2の被走査面IP2までの光路長であるTC2を小さくする実施形態を示す。これにより、第1の実施形態で説明した条件式(A)の替りに第3の実施形態で説明した条件式(A’)を満足することが好ましい。
図8は、本発明を含む走査光学装置の全体図である。図8中、1は光源手段であり、たとえば半導体レーザーより成っている。7b、8b、9bは、fθ特性を有するfθレンズ(走査レンズ、結像光学系、走査光学系)であり、光偏向器と被走査面としての被走査面IP1、IP2との間に配置されている。
IP1は、偏向器から最も遠い位置にある、第1の被走査面である。IP2は、偏向器から最も近い位置にある、第2の被走査面である。走査レンズ7b、8b、9bには、位置を切り替えることが可能な機構上に配置され、IP1からIP2へは、走査レンズ7b、8b、9bの移動によって切り替えることができる。
図8において、7bは主走査断面において負の屈折力の第1走査レンズであり、プラスチックで構成されている。また、8bは主走査断面において正の屈折力の第2走査レンズであり、プラスチックで構成されている。そして、9bは主走査断面において正の屈折力の第3走査レンズであり、プラスチックで構成されている。本実施形態のfθレンズの詳細については、数値実施例として表4に記載する。
本実施形態のfθレンズについては、副走査断面の曲率が、主走査断面の曲率と異なる、所謂トーリックレンズで構成されている。更に、被走査面に達する光線が、被走査面に対して略平行に入射する、所謂テレセントリックな光学系となっている。これによって、被検査物からの反射光を効率よく受光素子に取り込み、精度の高い検査を行うことが可能となる。
本実施形態の光走査装置は、走査レンズ7b、8b、9bの位置を変化させることで、最も偏向器に離れた位置にある第1の結像位置と、最も偏向器から近い位置にある第2の結像位置のいずれかの結像位置を選択することが可能となる。
本実施形態を構成する条件は、第3の実施形態と同等であるが、更に以下の条件式を満足していることがより好ましい。
5 <| Tk/f| < 50・・・(1’’)
1.1 < |Δdn/Δdp| < 2.0・・・(2’’)
3.0 < |fn/fp| < 5.0・・・(3’’)
0.0 ≦ |ht−hw|/Skw < 0.03・・・(4’’)
1.5 < nd < 1.7・・・(5’’)
図9(A)は、本実施形態における主走査方向の像面湾曲と像高の関係を示している。図9(B)は、本実施形態における副走査方向の像面湾曲と像高の関係を示している。図9(C)は、本実施形態における、像高と印字位置ずれとの関係、即ちfθ特性と像高の関係を示している。第1の結像位置においても、第2の結像位置においても、良好な収差特性となっている。fθ特性については、その特性に応じて偏向器の回転速度を変化させ、そのずれ分を補正する処理を加えても良い。
(数値実施例)
以下の表4に示す本実施形態の数値実施例(数値実施例4)では、偏向面から第1の被走査面IP1までの光路長は190mm、偏向面から第2の被走査面IP2までの光路長は174mmであり、条件式(A’)の値は0.9となる。これは、第1の被走査面IP1から第2の被走査面IP2への切り替えによって、光路長が16mm変化できることとなる。また、本数値実施例における走査幅(像高)は、±107mm(Y/2に相当)となっている。
表4において、Rは曲率半径、dは面間隔、ndはd線の屈折率、νdはアッベ数を示す。表中の回転中心座標は、偏向器と像高0の軸上主光線との交点を原点として示されている。
ここで、第3の実施形態と第4の実施形態で述べたそれぞれの数値実施例を比較した表を以下の表5で示す。
図10(A)は、上述した実施形態に係る光走査装置を用いた外観検査装置の概念図である。11は半導体レーザー等で構成されるレーザー光源である。12,13は、レーザー光を偏向器14へ入射させる偏向器前光学系である。走査光学系15,16によって走査された光束は、被検物7を走査する。被検物17は図10の矢印方向に移動する事で、レーザー走査方向と併せて2次元の形状測定が可能となる。被検物17を反射した光束は、集光レンズ18を通して受光素子9へ到達する。
受光素子19では、偏向器14の回転速度から導かれる走査時間の関数として、被検物体の形状情報を得ることが可能となる。
更に図10(B)のように、走査光を被検物に対して垂直に入射させる事で、ハーフミラー20を通じて受光部19に光束を導く光学系を構成することも可能である。
(変形例)
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことは言うまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
(変形例1)
上述した実施形態では、2つの結像光学素子を備え、この2つの結像光学素子の光軸方向での相対位置を変化させたが、本発明はこれに限られない。即ち、3つ以上の結像光学素子を備えるものでも良く、そのうち少なくとも2つの結像光学素子の光軸方向での相対位置を変化させればよい。
(変形例2)
上述した実施形態では、被走査面IP2における像高(走査幅)Yが被走査面IP1における像高(走査幅)Yと同一となるように、制御部20が光源の発光タイミングを制御したが、本発明はこれに限られない。被走査面IP2における像高(走査幅)Yが被走査面IP1における像高(走査幅)Yと異なるものであっても良い。
(変形例3)
上述した実施形態では結像光学素子の光軸方向での相対位置の変化に関し、レンズ変位検出手段40(図2)を用いたが、これを用いず制御部20がレンズ変位手段30を駆動手段(モータ)で駆動させる構成としても良い。
1・・光源、6・・偏向器、7・・第1の走査レンズ、8・・第2の走査レンズ、20・・制御部、IP1・・第1の被走査面、IP2・・第2の被走査面

Claims (20)

  1. 光束を偏向して被走査面を主走査方向に光走査する偏向手段と、該偏向手段により偏向された光束を前記被走査面に集光する結像光学系と、を備える光走査装置であって、
    前記結像光学系は、複数の結像光学素子を有し、該複数の結像光学素子の光軸方向での相対位置を変化させることにより、光束の光軸方向における集光位置を変更可能であることを特徴とする光走査装置。
  2. 前記複数の結像光学素子の光軸方向での相対位置を変化させる手段として、カム溝とガイド部材を有することを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
  3. 前記偏向手段に向けて光束を射出する光源と、前記複数の結像光学素子の相対位置の変化に応じて、前記光源の発光タイミングを制御する制御部と、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の光走査装置。
  4. 前記制御部は、前記結像光学系の焦点距離の変化に応じて前記光源の発光タイミングを制御する請求項3に記載の光走査装置。
  5. 前記結像光学系は、前記偏向手段からの光路長が互いに異なる第1及び第2の被走査面の夫々に光束を集光することを特徴とする請求項1または2に記載の光走査装置。
  6. 前記偏向手段に向けて光束を射出する光源と、前記第1及び第2の被走査面における光束の集光位置が互いに同一の像高となるように、前記光源の発光タイミングを制御する制御部と、を備えることを特徴とする請求項5に記載の光走査装置。
  7. 前記制御部は、前記焦点距離の増加に応じて前記偏向手段の回転角を減少させて同一の像高となるように制御することを特徴とする請求項4に記載の光走査装置。
  8. 前記制御部は、前記焦点距離の増加に応じて最も前記偏向手段に近い前記結像光学素子が前記偏向手段から遠ざかるように制御することを特徴とする請求項4に記載の光走査装置。
  9. 前記結像光学系は、前記結像光学素子として主走査断面において負の屈折力を持つレンズと正の屈折力を持つレンズを少なくとも一つずつ有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光走査装置。
  10. 前記結像光学系は、前記結像光学素子として副走査断面において負の屈折力を持つレンズと正の屈折力を持つレンズを少なくとも一つずつ有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光走査装置。
  11. 前記結像光学素子は、像高中心から主走査断面における周辺にかけて、屈折力が負から正に変化する非球面形状を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光走査装置。
  12. 前記偏向手段に備わる偏向面からの前記第1及び第2の被走査面までの光路長をTC1およびTC2とするとき、
    1.0<TC2/TC1<1.5
    なる条件を満足することを特徴とする請求項5または6に記載の光走査装置。
  13. 前記結像光学系の射出瞳位置と前記被走査面との距離をTk、前記結像光学系の主走査断面における焦点距離をfとするとき、
    5 < |Tk/f| < 200
    なる条件を満足することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の光走査装置。
  14. 前記結像光学系は、前記結像光学素子として主走査断面において負の屈折力を持つレンズと正の屈折力を持つレンズを少なくとも一つずつ有し、
    前記負の屈折力を持つレンズにおいて結像位置変化の際の移動量をΔdn、前記正の屈折力を持つレンズにおいて結像位置変化の際の移動量をΔdpとするとき、
    1.1 < |Δdn/Δdp| < 5.0
    なる条件を満足することを特徴とする請求項13に記載の光走査装置。
  15. 主走査断面において、前記偏向手段に近い側から順に、前記負の屈折力を持つレンズ、前記正の屈折力を持つレンズを配することを特徴とする、請求項14に記載の光走査装置。
  16. 前記負の屈折力を持つレンズの焦点距離をfnとし、前記正の屈折力を持つレンズの焦点距離をfpとするとき、
    1.2 < |fn/fp| < 5.0
    なる条件を満足することを特徴とする請求項15に記載の光走査装置。
  17. 前記結像光学系は、前記偏向手段からの光路長が互いに異なる第1及び第2の被走査面の夫々に光束を集光し、
    前記偏向手段から最も遠い前記第1の被走査面において、前記結像光学系における最も被走査部側のレンズから射出する主走査断面における最大画角の主光線の幅をhtとし、前記偏向手段から最も近い前記第2の被走査面において、前記最も被走査部側のレンズから射出する主走査断面における最大画角の主光線の幅をhwとし、前記第2の被走査面から前記結像光学系における前記最も被走査部側のレンズの被走査部側の面までの距離をSkwとするとき、
    0.0< |ht−hw|/Skw <0.1
    なる条件を満足することを特徴とする請求項13乃至16のいずれか1項に記載の光走査装置。
  18. 前記結像光学素子のd線における屈折率をndとするとき、
    1.5 < nd < 2.0
    なる条件を満足することを特徴とする請求項13乃至17のいずれか1項に記載の光走査装置。
  19. 請求項1乃至18のいずれか1項の光走査装置を有し、
    前記光軸方向における変更可能な集光位置に第1及び第2の感光体が設けられることを特徴とする画像形成装置。
  20. 請求項1乃至18のいずれか1項の光走査装置を有し、
    前記光軸方向における変更可能な集光位置に外観検査のための第1及び第2の被検査体が設けられることを特徴とする外観検査装置。
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