JP2017167267A - 液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】偏光板の視認側に射出成形パネルを備えた液晶表示装置に関し、偏光サングラスを装着して観察した場合でも、視認性を確保することができる液晶表示装置を提供する。【解決手段】視認側から見た際に画像表示領域を備えており、液晶セルAと、液晶セルAの視認側に配された偏光板Bと、連続的な発光スペクトルを有するバックライト光源Cと、を備えた液晶表示装置において、偏光板Bの視認側に射出成形パネルDを配すると共に、偏光板Bと射出成形パネルDとの間に位相差フィルムEを配し、位相差フィルムEは、3000nm<ReE≦100000nmを満たす面内位相差ReEを有し、且つ、位相差フィルムEの遅相軸と偏光板Bの吸収軸とのなす角度が35〜55°となるように配し、且つ、画像表示領域における位相差フィルムEの面内位相差ReEと射出成形パネルDの面内位相差最大値ReDとがReE−ReD≧3000nmの関係にある。【選択図】図2

Description

本発明は、自動車、航空機、船舶などに搭載される表示装置、スマートフォン、タブレット端末、携帯ゲーム機器、デジタルカメラなどのモバイル機器、さらには公共空間、商業施設の店頭などに設置されるデジタルサイネージ、その他の装置の画像表示装置として利用される液晶表示装置、中でも射出成形された射出成形パネルを備えた液晶表示装置に関する。
近年、液晶表示装置の用途として、屋外で使用されるものが増えている、例えば自動車、航空機、船舶などに搭載される表示装置、スマートフォン、タブレット端末、携帯ゲーム機器デジタルカメラなどモバイル機器、さらには公共空間、商業施設の店頭などに設置されるデジタルサイネージなどが挙げられる。
屋外で使用される液晶表示装置の多くには、傷つき防止や破損防止を目的として、その視認面にカバー材(「前面板」或いは「フロントパネル」とも称される)が付設されている。
このようなカバー材の材料としては、従来から強化ガラス等のガラス材料が用いられてきたが、近年、軽量化が図れる、割れないなどの利点から、プラスチック材料が用いられている。
例えば、特許文献1には、ポリカーボネート樹脂とアクリル樹脂を共押出した積層体にハードコート層を積層してなる樹脂積層体が開示されている。
また、特許文献2には、表面に傷が付き難く、しかも製造が比較的容易なタッチパネル用積層押出樹脂板として、ポリカーボネート樹脂層の少なくともタッチされる側の表面にアクリル樹脂層が共押出成形により積層されてなることを特徴とするタッチパネル用積層押出樹脂板が開示されている。
上述のように、屋外で使用される液晶表示装置が増えて来ているため、偏光サングラスを装着して液晶表示装置の表示画面を視認する機会も増えている。
液晶表示装置には、視認側に直線偏光板を備えたものが多く、このような液晶表示装置では、観察者は、偏光板から出射する直線偏光を見ることになるため、観察者が偏光サングラスを装着して表示画面を観察すると、液晶表示装置の視認側の偏光板の吸収軸とサングラスの吸収軸との位置関係で様々な不具合を生じることがある。例えば、液晶表示装置の視認側の偏光板と観察者の偏光サングラスの間に、位相差を有する部材が介在しない場合は、これら偏光板と偏光サングラスの、吸収軸が互いに直交関係にあると全く視認できなくなってしまう。また、位相差を有するカバー材などが間に介在しても、二つの偏光軸の位置関係によっては、画面が黒ずんだり、好ましくない着色を生じたり、干渉色などが見えたりして、正確な表示を認識できなくなる場合があった。
そのため、従来、偏光サングラスなど偏光板を介して観察する場合にも、色付き、場所による濃淡のむら等表示のばらつきを防止できる表示装置として、特許文献3(特開2005−157082号公報)には、最前面に偏光板を有する表示素子と、前記表示素子の前方に配置され、面内に位相差を有する透光性カバーと、前記偏光板と前記透光性カバーとの間に配置され、前記透光性カバーの位相差の人間の視認に対する影響を低減する、面内に位相差を有する透光性光学素子と、を有する表示装置が提案されている。
また、サングラスなどの偏光板を通して画面を観察した時、その観察角度によらず高度に良好な視認性を確保することができる液晶表示装置を提供するために、特許文献4(特開2012−230390号公報)には、バックライト光源と、液晶セルと、液晶セルの視認側に配した偏光板とを少なくとも有する液晶表示装置において、バックライト光源として白色発光ダイオードを用いるとともに、前記偏光板の視認側に、3000〜30000nmの位相差を有する高分子フィルムを、前記偏光板の吸収軸と前記高分子フィルムの遅相軸とのなす角が凡そ45度となるように配して用いることを特徴とする液晶表示装置の視認性改善方法が提案されている。
特開2006−103169号公報 特開2010−182263号公報 特開2005−157082号公報 特開2012−230390号公報
上述のような液晶表示装置に用いられるカバー材を射出成形によって形成することができれば、開口部や湾曲部などの特殊な形状を備えた形態であっても容易に製造することができる。しかし、この種のプラスチック製カバー材を射出成形した場合、成形樹脂の流動方向に配向が生じ、樹脂の流動方向に光学軸を持つ位相差が生じる。また、成形金型内の樹脂の流動は一様ではないため、射出成形部材内の場所によって様々な配向角、様々な値の位相差を持つことになる場合が多い。特に、カバー材が厚さの異なる部位を有していたり、曲面形状や他の3次元形状を有していたりする場合など、ゲート近傍、厚さや形状が異なる周辺部などに大きな位相差のバラツキが生じ、偏光サングラス着用時の視認性が著しく悪くなる。
このように射出成形部材は、位相差が大きく且つ位相差の方向が多様であるため、偏光板の視認側に射出成形パネルを備えた液晶表示装置においては、上記特許文献3及び4などに開示されているような高分子フィルム、すなわち3000〜30000nmの位相差を有する高分子フィルムを、前記偏光板の吸収軸と前記高分子フィルムの遅相軸とのなす角が凡そ45度となるように配するだけでは、視認性を高めることが難しいという課題を抱えていた。
そこで本発明の目的は、偏光板の視認側に射出成形パネルを備えた液晶表示装置に関して、偏光サングラスを装着して観察した場合でも、視認性を確保することができる液晶表示装置を提供することにある。
本発明は、視認側から見た際に画像表示領域を備えており、液晶セル(A)と、液晶セル(A)の視認側に配された偏光板(B)と、連続的な発光スペクトルを有するバックライト光源(C)と、を備えた液晶表示装置において、
偏光板(B)の視認側に射出成形パネル(D)を配すると共に、偏光板(B)と射出成形パネル(D)との間に位相差フィルム(E)を配し、
位相差フィルム(E)は、下記(1)の式を満たす面内位相差(ReE)を有し、且つ、位相差フィルム(E)の遅相軸と偏光板(B)の吸収軸とのなす角度が35〜55°となるように配し、且つ、
画像表示領域における位相差フィルム(E)の面内位相差(ReE)と射出成形パネル(D)の面内位相差最大値(ReD)とが下記(2)の関係にあることを特徴とする液晶表示装置を提案する。
(1) 3000nm<ReE≦100000nm
(2) ReE−ReD≧3000nm
本発明はまた、視認側から見た際に画像表示領域を備えており、液晶セル(A)と、液晶セル(A)の視認側に配された偏光板(B)と、連続的な発光スペクトルを有するバックライト光源(C)と、を備えた液晶表示装置において、
偏光板(B)の視認側に、射出成形パネル(D)を有する積層パネル部材(F)を配すると共に、偏光板(B)と積層パネル部材(F)との間に位相差フィルム(E)を配し、
位相差フィルム(E)は、下記(1)の式を満たす面内位相差(ReE)を有し、且つ、位相差フィルム(E)の遅相軸と偏光板(B)の吸収軸とのなす角度が35〜55°となるように配し、且つ、
画像表示領域における位相差フィルム(E)の面内位相差(ReE)と積層パネル部材(F)の面内位相差最大値(ReF)とが下記(3)の関係にあることを特徴とする液晶表示装置を提案する。
(1) 3000nm<ReE≦100000nm
(3) ReE−ReF≧3000nm
本発明が提案する液晶表示装置はいずれも、偏光板の視認側に射出成形パネルを備えた液晶表示装置において、射出成形パネルの位相差による視認性悪化を防ぐことができ、偏光サングラスを装着して観察した場合でも、視認性を確保することができる。しかも、デザイン性を損なうことなく構成することができる。
本発明の液晶表示装置の一例を視認側から見た平面図である。 本発明の液晶表示装置の一例を分解状態で示した側断面図である。 本発明の液晶表示装置の他例を分解状態で示した側断面図である。 本発明の液晶表示装置のさらなる他例を分解状態で示した側断面図である。 本発明の液晶表示装置を構成する射出成形パネルの一例を示した図であり、(a)はその側断面図であり、(b)は視認側から見た場合の斜視図である。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
<本液晶表示装置>
本発明の実施形態の一例に係る液晶表示装置(「本液晶表示装置」と称する)は、図1に示されるように、視認側から見た際に画像表示領域1と画像非表示領域2とを備えており、且つ、図2に示されるように、液晶セル(A)と、液晶セル(A)の視認側に配された偏光板(B)と、バックライト光源(C)とを備えると共に、偏光板(B)の視認側に、前面パネルとしての射出成形パネル(D)を配すると共に、偏光板(B)と射出成形パネル(D)との間に位相差フィルム(E)を配してなる構成を備えた液晶表示装置である。
画像表示領域1とは、画像が表示される領域であり、画像非表示領域2とは、画像表示されない領域(例えば、印刷がなされた領域)である。
なお、本液晶表示装置は、少なくとも上記構成を備えていればよいから、他の部材を備えていてもよい。例えば、図3に示す様に、機能性フィルム(G)が粘着剤又は接着剤を介さずに配置された積層パネル部材(F)を構成していてもよいし、図4に示す様に、種々の必要な機能を持つ機能性フィルム(G)を射出成形パネル(D)と粘着剤又は接着剤などを介して一体化された積層パネル部材(F)を構成していてもよい。なお、他の部材としては、後述する機能性フィルム(G)に限定されない。
<液晶セル(A)>
液晶セル(A)は、少なくとも視認側に偏光板(B)が配されるものであれば、液晶セル(A)自体の構成を限定するものではない。例として、現在広く活用されているアクティブマトリックス駆動であるTN型、VA型、IPS型などの駆動方式による液晶セルを挙げることができる。
<偏光板(B)>
偏光板(B)は、液晶セル(A)の視認側に配される直線偏光板である。
偏光板(B)の材料および構成は任意である。例えば、ヨウ素を配向色素として用いた延伸ポリビニルアルコールフィルムに保護フィルムとしてTAC(トリアセチルセルロース)フィルムを積層したものが、この種の偏光板として広く実用化されている。
また、偏光板(B)は、表面に、実質的に位相差を有しないハードコート、防眩、低反射、帯電防止などの機能を持つ層構成を有するものであってもよい。
偏光板は、液晶セル(A)の視認側のみに配させていてもよいし、又、液晶セル(A)の両側に配されていてもよい。
<バックライト光源(C)>
バックライト光源(C)は、本発明の効果を享受する観点から、連続的な発光スペクトルを有するものである。
バックライト光源(C)が、例えば、冷陰極管のように半値幅の狭い単色光の集合であると、位相差フィルム(E)の位相差が十分に大きくても、透過光に偏りが残り、干渉色が無くならないため、本発明の効果を享受することは難しい。他方、白色LEDなどのように、連続的な発光スペクトルを有する連続光の場合には、位相差フィルム(E)の位相差が十分に大きければ、干渉色なしの良好な画像を視認することができ、本発明の効果を効果的に享受することができる。
ここで、「連続的な発光スペクトル」とは、分光器でみた際に個々の線スペクトルには分離せず、波長に関して連続的に広がったスペクトルが生じる光の意味であり、好ましくは可視光波長範囲でどのような波長の光もすべて含むスペクトルである。例えば発光ダイオード(LED)、エレクトロルミネセンスパネルなどの発光スペクトルは連続的な発光スペクトルである一方、例えば冷陰極管、熱陰極などの発光スペクトルは連続的な発光スペクトルではない。
バックライト光源(C)を配置する方法及び構成は、従来の液晶表示装置と同様であればよく、任意の構成を採用可能である。例えば、エッジライト光源であれば、反射シート、導光板、拡散板、プリズムシート、輝度向上フィルムなどを備えたバックライトユニットを介して液晶セルへ光が導かれる構成となる。
<射出成形パネル(D)>
射出成形パネル(D)は、射出成形されたパネル体であって、シート状乃至板状の他、曲面形状、さらには他の3次元形状を呈する部材を含むものである。ここで、3次元形状とは、Z軸(高さ、立ち壁など)を有する形状を意図するものである。
射出成形された部材は、一般的に、場所によって様々な値の位相差を示すことが多く、また、形状によっては多様な配向軸を持つことがあるという特徴を持っている。
射出成形パネル(D)の位相差は、成形パネルの形状や射出条件に依存し、表示領域にほとんど位相差が生じない様な形状や射出条件を設定することも可能である。しかし、パネルの設計の自由度が損なわれるとか、好ましくない射出条件に設定せざるを得ないなどの不都合が生じることが多い。
位相差が高くなり易い、或いは、配向方向にバラツキが生じやすい領域としては、ゲート近傍、開口部周辺領域、厚さの異なる部位近傍、さらには、円形、ハート型など非矩形形状の液晶パネル用成形パネルの端部などが挙げられる。この様な領域では、一般に、位相差が直交ニコル観察時に干渉による顕著な着色を生じる350nm以上になることが多く、当該領域を表示領域にしない様なパネル設計上の配慮が必要であった。
また、発現する位相差を小さくさせるためには、ゲート形状や位置、射出温度、射出速度、金型温度、保圧などの多様な射出条件の調整が必要である。しかし、場合によっては、樹脂の熱劣化、ヒケ、ショートショット、ウエルドラインなど他の不具合が生じることがあるため、これらを避けるために、金型設計の見直し、射出条件設定など多大な労力を必要とした。
本発明は、この様な不都合を回避することができるものであり、例えば本液晶表示装置の表示領域を広げることが可能になることによって、設計自由度を上げることができ、射出条件についても適用可能範囲を広げることができるという利益を享受することができるものである。
以上の観点から、本発明は、画像表示領域における射出成形パネル(D)の面内位相差最大値(ReD)が350nm〜5000nmである場合に適用されることが好適である。
射出成形パネル(D)については、各部位の平均値としての面内位相差を規定するのではなく、各部位の面内位相差の最大値を規定するのは、上述のように射出成形パネルの性質上場所によって様々な値の位相差を有することがあるからである。
射出成形パネル(D)の面内位相差最大値(ReD)を上記範囲に調整するには、射出成形パネル(D)の形状や射出する樹脂に最適な、射出温度、射出速度、金型温度、保圧などの射出条件を調整するのが好ましい。但し、このような方法に限定するものではない。
画像表示領域における射出成形パネル(D)の面内位相差最大値(ReD)が350nm未満の場合にも本発明は適用可能であるが、この領域は、直交ニコル下での観察時、干渉による着色がそれほど顕著でない領域であり、配向軸が多様な方向に向いていたとしても、本発明による改善効果はそれほど顕著ではない。そこで、本発明は、干渉による着色が顕著に表れる射出成形パネル(D)の面内位相差最大値(ReD)が350nm以上である場合に適用されるのが好ましい。
画像表示領域における射出成形パネル(D)の面内位相差最大値(ReD)がこの領域であれば、表示装置の画像品位が劇的に改善される。また、射出成形パネル(D)の面内位相差最大値(ReD)が5000nmより大きいと、成形時の残留歪が大きく、成形品の反りや変形が生じやすく、場合によっては、ストレスクラックが発生するなど他の不具合が生じ好ましくない。
かかる観点から、画像表示領域における射出成形パネル(D)の面内位相差最大値(ReD)は、350nm〜5000nmであるのが好ましく、中でも400nm以上或いは4000nm以下であるのがさらに好ましい。
射出成形パネル(D)を構成する樹脂材料は、透明な熱可塑性樹脂であれば特に限定されない。例えばポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂及び塩化ビニル系樹脂からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物をベース樹脂とする材料を例示することができる。中でも、特に透明性や成形のし易さなどの観点から、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリエステルなどを好ましく例示することができる。中でも、車載機器用タッチパネルディスプレイに用いられるフロントパネルにおいては、飛散防止性の観点から、ポリカーボネートをベース樹脂とした材料が好ましい。
上記ポリエステル樹脂としては、透明性、成形性などの観点から、低結晶性のポリエステル樹脂が好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレートの酸成分の一部をイソフタル酸などに置き換えた共重合体、あるいは、グリコール成分の一部を1.4−シクロヘキサンジメタノールなどに置き換えた共重合体などが好適である。
上記ポリカーボネートとしては、例えば、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族脂肪族ポリカーボネートを用いることもでき、ビスフェノールAを主原料とする一般的なポリカーボネートに限定されない。例えばジオール成分として、イソソルバイトなどのエーテルジオールが主成分であるポリカーボネートなども包含する。
射出成形パネル(D)は、射出成形によって形成されるゆえに、開口部や湾曲部などの特殊な形状を備えた形態をとることも可能であるし、また、例えば防眩効果を付与するために、画像表示面に微細な凹凸を形成することもできる。
さらに、図5に示すように、本液晶表示装置の画像表示領域1に対応した防眩効果を付与するための微細な凹凸を有する表示面部D1と、画像非表示領域2に対応した高級感を持たせるための平滑面を有する周囲部D2とをパネル視認側表面に備えた形態も可能である。
表示面部D1の表面の算術表面粗さ(Ra)が0.1μm以上であれば、防眩効果を得ることができ、0.7μm以下であれば、液晶セルからの出射光が過度に散乱され、画像がぼやけるなどの不具合を生じることがない。かかる観点から、表示面部D1の表面の算術表面粗さ(Ra)は0.1μm〜0.7μmであるのが好ましく、中でも0.2μm以上或いは0.5μm以下であるのがさらに好ましい。
この防眩性を付与する微細な凹凸は、本発明の視認性改良においても有用である。特に、射出成形パネル(D)の画像表示領域1に急激な位相差変化を持つ部位が存在すると、視認性に影響を及ぼすほどではないが、薄い境界線が認められることがある。この様な場合に、微細な凹凸は、液晶セルからの出射光を拡散させる効果を持つため、該境界線を目立たなくさせるという効果を持つ。
なお、算術表面粗さ(Ra)は、JIS B 0601―2013に規定される算術平均粗さであり、例えば表面粗さ測定機、形状測定機、工具顕微鏡、レーザー顕微鏡、その他の機器によって測定することができる。
他方、周囲部D2は、高級感を付与するために平滑面とするのが好ましく、中でも光沢を示す鏡面とするのが特に好ましい。
周囲部D2の表面は、上記観点から、JIS Z8741に基づく入反射角60°の鏡面光沢度が85%以上であるのが好ましく、中でも90%以上であるのがさらに好ましい。
なお、周囲部D2は、周端縁部を湾曲面として形成してもよいし、階段状、テーバー状など厚さの異なる部位を有していてもよい。また、周囲部D2の適宜箇所に貫通穴などの開口部や凹部、凸部、リブなどを設けることも任意に可能である。さらに、適宜箇所に、格子模様や千鳥模様等の各種模様を付与することもできるし、背面に装飾目的で印刷などを施すこともできる。
射出成形パネル(D)の表面すなわち視認側は、ハードコート、反射防止コート、帯電防止コート、防汚コートなどのコート層が形成されていてもよい。
コート層の形成方法としては、ディップコート、スプレーコートの他、インクジェット、シルクスクリーン、グラビアロールなどを使用するコート方式が例示される。但し、これらに限定されるものではない。
コート樹脂組成物としては、紫外線(UV)硬化性の樹脂組成物、溶剤乾燥硬化性の樹脂組成物、熱硬化性の樹脂組成物などを挙げることができる。中でも、コート層形成後に透明性の高いものが好適である。
射出成形パネル(D)の厚さは、その用途によっても適正な厚さが異なるが、概ね0.5mm〜5mmであることが好ましい。0.5mm以下であると、金型からの取り出し時の変形、ソリなどが発生し易く、射出成形が困難になる。また、5mm以上では、液晶表示装置全体の厚さが厚くなり過ぎ、実用性に欠ける。
よって、射出成形パネル(D)の厚さは、0.5mm〜5mmであるのが好ましく、中でも1mm以上或いは3mm以下、その中でも1.5mm以上或いは2.5mm以下であるのがさらに好ましい。
<位相差フィルム(E)>
位相差フィルム(E)は、下記(1)の式を満たす面内位相差(ReE)を有するフィルムであれば、その材料及び構造を限定するものではない。
(1) 3000nm<ReE≦100000nm
位相差を有する部材を直交ニコルの関係にある2枚の偏光板の間に配置して白色光を観察すると、或る波長では干渉によって打ち消され、或る波長では透過することになる。位相差フィルム(E)の面内位相差(ReE)が十分に大きければ、多数の波長領域で透過光が存在することになるため、観察者は、白色光と認識することができる。一方、面内位相差(ReE)が100000nmを超えるものは、プラスチック材料では、製造が極めて困難であったり、厚さが厚くなり過ぎたりして、液晶表示装置の部材として適用ができない。
かかる観点から、位相差フィルム(E)の面内位相差(ReE)は3000nmより大きく、100000nm以下であり、中でも4000nm以上或いは50000nm以下であるのが好ましく、その中でも5000nm以上或いは20000nm以下であるのがさらに好ましい。
なお、位相差フィルム(E)の面内位相差(ReE)は、遅相軸方向の直交方向に対して異なる任意の複数個所、例えば5か所の面内位相差を測定し、その平均値を面内位相差(ReE)とするのが好ましい。
さらに、画像表示領域1における位相差フィルム(E)の面内位相差(ReE)と射出成形パネル(D)の面内位相差最大値(ReD)とが下記(2)の関係にあることが好ましい。すなわち、上記の例で言えば、射出成形パネル(D)の表示面部D1における面内位相差最大値(ReD)と、位相差フィルム(E)の面内位相差最大値(ReE)とが下記(2)の関係にあることが好ましい。
(2) ReE−ReD≧3000nm
射出成形部材は、場所によって位相差の大きさや方向が様々である可能性がある。例えば画像非表示領域2において、射出成形パネル(D)の周囲部D2に開口部があったり、厚さの異なる部分があったり、非矩形形状部があったり、或いは、ウェルドラインを生じたりする場合には、位相差の大きさや方向が大きくばらつく可能性がある。しかし、その場合であっても、画像表示領域1における位相差フィルム(E)の面内位相差(ReE)と射出成形パネル(D)の面内位相差最大値(ReD)との差(ReE−ReD)が3000nm以上であれば、視認性の向上効果を享受することができる。
かかる観点から、画像表示領域1における位相差フィルム(E)の面内位相差最大値(ReE)と射出成形パネル(D)の面内位相差最大値(ReD)との差(ReE−ReD)は3000nm以上であるのが好ましく、中でも4000nm以上、その中でも5000nm以上であるのがさらに好ましい。他方、ReE−ReDの上限値は式(1)の上限値とほぼ等しい値であると想定される。
位相差フィルム(E)の材質は、特に制限するものではない。例えばポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン及びポリアミドからなる群から選ばれた一種又は二種以上の混合物をベース樹脂とする透明なフィルムを挙げることができる。さらに、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミドにあっては、異なる種類のモノマーとの共重合体を含むものとする。
中でも、ポリカーボネート、ポリエステル及びポリアミドからなる群から選ばれたベース樹脂とするフィルムは、透明で耐熱性、機械特性にも優れ、且つ延伸配向によって位相差を出しやすい材料として好ましい。
ポリカーボネートとしては、ビスフェノールAを主体としてなる芳香族ポリカーボネート、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレートなどが特に好ましいベース樹脂として挙げることができる。また、ポリアミドとしては、Tgが比較的高く、配向結晶化しても透明性が維持できるPA6TやPA9Tなどの半芳香族ポリアミドが特に好適である。
位相差フィルム(E)は、上記に例示したベース樹脂を溶融押出法や流延法など適切な方法で得られた実質的に無配向のシートを特定方向に延伸して得られる配向フィルムであることが好適である。
例えば配向性ポリカーボネートフィルムの場合には、ポリカーボネートを溶融し、シート状に押出成型した無配向のシートをガラス転移温度以上の温度において、一方向、必要によっては二方向に延伸して得られる、特定の位相差を有する配向性ポリカーボネートフィルムを用いることができる。
他方、配向性ポリエステルフィルムや配向ポリアミドフィルムの場合には、樹脂を溶
融し、シート状に押出し成形された無配向シートをガラス転移温度以上の温度において少なくとも1方向に延伸及び熱処理を施すことによって得られる配向性フィルムを用いることができる。
位相差フィルム(E)の位相差を調整する方法としては、例えば延伸倍率、延伸温度、フィルムの厚みなどを調整する方法を挙げることができる。但し、これらに限定するものではない。
例えば位相差フィルム(E)のベース樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合、当該延伸温度は80〜130℃であるのが好ましく、中でも85℃以上或いは120℃以下であるのが好ましい。延伸倍率については、横一軸延伸であれば、2.5〜6.0倍が好ましく、中でも3.0倍以上或いは5.5倍以下であるのがさらに好ましい。延伸倍率が高すぎると、得られるフィルムの機械的強度、特に延伸方向に裂けやすいという不具合を生じ易い。一方、延伸倍率が低すぎると得られるフィルムの複屈折が小さくなり、位相差が小さくなるので好ましくない。
他方、位相差フィルム(E)のベース樹脂がビスフェノールAを構成成分とする芳香族ポリカーボネートの場合、150〜180℃であることが好ましく、中でも155℃以上或いは170℃以下であることが好ましい。延伸倍率については、縦一軸延伸であれば、3.0〜5.0倍であるのが好ましい。
位相差フィルム(E)には、粘着剤層、離型層、帯電防止層などの当該フィルム上に形成される層との接着性、耐水性、耐薬品性等を改良する目的で、フィルム表面を公知の方法で表面処理、すなわちコロナ放電処理や易接着処理を行なってもよい。
位相差フィルム(E)の厚さは、射出成形パネル(D)の位相差の影響を抑える観点から、射出成形パネル(D)の厚さに対する位相差フィルム(E)の厚さの比が25:1〜2:1であるのが好ましく、中でも15:1〜2:1、その中でも10:1〜2:1であるのがさらに好ましい。
位相差フィルム(E)の厚さに関しては、薄いと位相差を高くすることが難しくなるため、高い位相差を持たせるには厚い方が好ましいが、延伸製法やセッティングの事情から厚くするには限界がある。
このような観点から、位相差フィルム(E)の厚さは、射出成形パネル(D)の厚さに対する比率が上記範囲内である場合において、25μm以上、500μm以下であることが好ましく、その中でも50μm以上或いは350μm以下であるのが特に好ましい。
さらに位相差フィルム(E)の厚さに関しては、ベース樹脂によって、固有複屈折が異なり、位相差の発現状態が異なるとか、得られる配向フィルムの機械的強度が異なるなどの事情により、材質によって、好ましい厚さが異なる。例えば、位相差フィルム(E)のベース樹脂がポリカーボネートである場合には、80μm以上、500μm以下であることが好ましく、中でも100μm以上或いは350μm以下であることが特に好ましい。他方、位相差フィルム(E)のベース樹脂がポリエチレンテレフタレートである場合には、25μm以上、350μm以下であることが好ましく、中でも40μm以上或いは250μm以下であるのが特に好ましい。
(位相差フィルム(E)の積層)
直交ニコルの間に位相差を持つ部材を入れて、白色光を透過させた場合、偏光板(B)の吸収軸と位相差を持つ部材の遅相軸のなす角度が45°の時、透過光強度が最大になる。よって、本発明の位相差フィルム(E)は、偏光板(B)と、位相差フィルム(E)の遅相軸と偏光板(B)の吸収軸とのなす角度が、45°であることが最も好ましく、実用的には、35〜55°となるように位置決めして配置するのが好ましい。このように位相差フィルム(E)を配することによって、射出成形パネル(D)の遅相軸との位置関係がどの様なものであっても、サングラス着用時、実用上十分な透過光強度を確保できる。
かかる観点から、当該角度は35〜55°であるのが好ましく、中でも40°以上、或いは50°以下であるのが好ましい。
位相差フィルム(E)は、変形やずれ、さらには、界面反射を低減させるために、少なくとも、射出成形パネル(D)(あるいは、積層パネル(F))と視認側の偏光板(B)とのどちらか一方と、粘着剤又は接着剤層を介して固着させるのが好ましい。また、界面反射防止の観点からは、射出成形パネル(D)(あるいは、積層パネル(F))と視認側の偏光板(B)、両方を透明な粘着剤又は接着剤層を介して固着させるのがより好ましい。
この際、透明な粘着剤又は接着剤層を形成する粘着剤又は接着剤組成物を特に限定するものではない。液状、ゲル状、フィルム状を呈するものであってもよい。また、ホットメルト性を有するものであってもよいし、ホットメルト性を有さないものでもよい。また、さらに紫外線などの照射で架橋して硬化するものであってもよい。
また、位相差フィルム(E)を偏光板(B)の視認側に配する際、位相差を有する部材を介しての積層は、本発明にとって好ましくないが、実質的に位相差を持たない透明部材、例えば、面内位相差最大値(Re)が200nm以下である透明部材を、偏光板(B)の視認側に積層し、この透明部材を介して位相差フィルム(E)を積層するようにしてもよい。
<積層パネル部材(F)>
上記本液晶表示装置において、図3に示すように、前面パネルとしての射出成形パネル(D)の代わりに、射出成形パネル(D)を有する積層パネル部材(F)を前面パネルとして用いることができる。
積層パネル部材(F)の構成としては、例えば、射出成形パネル(D)の視認側又は裏面側に、機能性フィルムを積層してなる構成を備えたものを例示することができる。但し、これに限定するものではない。
前記機能性フィルムとしては、基材フィルムにハードコート、防汚コート、反射防止コートなどのコーティング層が設けられたフィルムや、覗き見防止のためのルーバーフィルム、タッチパネルセンサー層を有するフィルムなどを挙げることができる。該機能性フィルムは、例えば粘着剤又は接着剤を介して射出成形パネル(D)と積層することができる。但し、粘着剤又は接着剤を介して積層する方法に限定するものではない。
前記機能性フィルムは、位相差を持つものであっても、持たないものであってもよい。位相差をもつものであっても、画像表示領域における位相差フィルム(E)の面内位相差(ReE)と積層パネル部材(F)としての面内位相差最大値(ReF)とが下記(3)を満たすものであれば、液晶表示装置の視認性を改善することができる。
(3) ReE−ReF≧3000nm
また、本発明は、積層パネル部材(F)の面内位相差最大値(ReF)が350nm〜5000nmである場合に適用することが好ましい。
<語句の説明>
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
また、本明細書において「ベース樹脂」とは、樹脂組成物を構成する樹脂のうちで最も含有量の多い樹脂を意味し、通常は、該樹脂組成物を構成する樹脂の50質量%以上、中でも80質量%以上、その中でも90質量%以上(100質量%を含む)樹脂である。但し、樹脂組成物が2種類のベース樹脂を含む場合には、その合計量が上記質量割合となる。
また、本明細書において、「視認側」とは、表示画面から表示光が出光する側であり、フロントパネルの表示を観察する側を意味する。
「裏面側」とは、「視認側」とは反対側を意味し、表示画面からの表示光が入光する側を意味する。
「透明」とは、無色透明に限られず、着色透明もこれに包含されるものとする。
以下、本発明を下記実施例及び比較例に基づいてさらに詳述する。
<射出成形パネルの作製>
ポリカーボネート(ビスフェノールA由来のポリカーボネート、Tg145℃)を成形材料として用いて、型締め圧350tの射出成形機で、成形温度280〜315℃、金型温度80℃にて、成形樹脂を成形品の長尺部からフィルムゲートを用いて充填させて射出成形し、射出成形パネル1,2(サンプルD)を作製した。この際、射出成形パネル1(サンプルD1)は、射出温度315℃で作製し、射出成形パネル2(サンプルD2)は射出温度280℃で作製した。
成形温度、射出速度、保圧条件などを変えることによって、発現する位相差は、大きく異なるが、遅相軸方向は樹脂の流れ方向とほぼ一致した。多くの文献で示されている様に、樹脂の流動に伴う分子鎖の配向による寄与が大きいものと思われる。
本射出成形パネルは、その形状やゲートの設定などにより、成形品端部を除き、樹脂の流れ方向は、ほぼ一定で遅相軸の方向にはほとんど変動がなく、さらにゲートからの距離が同じであれば、ほぼ同じ位相差を示すものであった。
そして、ゲートに近い薄肉部が最も大きな位相差を示したため、この薄肉部の位相差を射出成形パネルの面内位相差最大値(ReD)とした。
射出成形パネル1の面内位相差最大値(ReD)は1660nmであった。
射出成形パネル2の面内位相差最大値(ReD)は2780nmであった。
(位相差の測定方法)
面内位相差は、位相差測定装置KOBRA-WR(王子計測機器社製)を用いて測定した。
試験片を切り出し装置にセットし、位相差測定ソフトKOBRA-REを起動し、測定方法を高位相差として波長446.1nm〜749.2nmの光にて測定を実施し、波長586.4nmの光で測定した値を面内位相差とした。
面内位相差は、試験片面内の遅相軸方向(フィルム面内において最大の屈折率を示す方向)の屈折率Nx、同面内の進相軸方向(遅相軸方向と直交する方向)の屈折率Ny、およびフィルム厚みd(nm)を用いて、(Nx−Ny)×dにより示される値である。Nx−Nyは複屈折値であるΔnと示される。
<位相差フィルムの作製>
(ポリカーボネート製位相差フィルムの作製)
ポリカーボネート(ビスフェノールA由来のポリカーボネート、Tg145℃)を260℃で溶融させて溶融押出法で得られた所定厚さのシートを、ロール延伸法にて160℃で縦一軸に延伸し、原シートの厚さと延伸倍率を調整して、次の面内位相差を有するポリカーボネート製位相差フィルム1,2を得た。
ポリカーボネート製位相差フィルム1(サンプルE1)は、厚さ125μmであり、面内位相差(ReE)は3260nmであった。
ポリカーボネート製位相差フィルム2(サンプルE2)は、厚さ300μmであり、面内位相差(ReE)は5500nmであった。
(ポリエステル製位相差フィルムの作製)
ポリエチレンテレフタレートのホモポリマー20質量部とポリエチレンナフタレートのホモポリマー80質量部とを混合した混合物を溶融押出して、未延伸シートを得、しかる後、120℃で縦3.5倍、横6.0倍で二軸延伸して、次の面内位相差を有するポリエステル製位相差フィルム1(サンプルE3)を得た。
ポリエステル製位相差フィルム1(二軸延伸フィルム)は、厚さ50μmであり、面内位相差(ReE)は4740nmであった。
また、ポリエチレンテレフタレートのホモポリマー80質量部とポリエチレンナフタレートのホモポリマー20質量部とを混合した混合物を溶融押出して、未延伸シートを、90℃で横に6.0倍で一軸延伸して、次の面内位相差を有するポリエステル製位相差フィルム2(サンプルE4)を得た。
ポリエステル製位相差フィルム2(一軸延伸フィルム)は、厚さ60μmであり、面内位相差(ReE)は6530nmであった。
<液晶表示装置の作製>
上述のように作製した射出成形パネル1、2(サンプルD1、D2)と、ポリカーボネート製位相差フィルム1、2又はポリエステル製位相差フィルム1、2(サンプルE1〜E4)とを組み合わせて、液晶表示装置とした。
図2に示されるように、青色LEDと黄色蛍光体とを組み合わせたバックライト光源(C)を有し、視認側に偏光板(B)を有する液晶セルの視認側に、射出成形パネル1,2(サンプルD1、D2)を配すると共に、偏光板(B)と射出成形パネル1,2(サンプルD1、D2)との間に位相差フィルムを配して液晶表示装置とした。
この際、視認側の偏光板(B)の吸収軸が、画面の垂直方向から45°傾いているものを用い、これに位相差フィルムを、その遅相軸が液晶表示装置の水平方向となる様に配置した。その視認側に、射出成形パネル1,2(サンプルD1、D2)を、その遅相軸が液晶表示装置の垂直方向となる様に配置した。その結果、位相差フィルムの遅相軸と視認側の偏光板(B)の吸収軸とのなす角度は45°となり、位相差フィルムの遅相軸と射出成形パネル1,2の遅相軸とのなす角度は90°となった。
したがって、位相差フィルムと射出成形パネル1,2とは、相減の関係にあると考えられ、これらの積層材の見かけの位相差は、概ね(位相差フィルムの位相差−射出成形パネルの位相差)と見なすことができる。
(効果判定方法)
上記バックライト光源(C)として、青色LEDと黄色蛍光体とを組み合わせた疑似白色光源を用い、白色に発光させた状態で下記試験を行った。
このゲート近傍の位相差測定位置(最も位相差の高い位置)について、偏光サングラスとみなした偏光板を液晶表示装置の視認側の偏光板と直交ニコルの関係になる位置で、画像の表示状態を観察した。さらに、偏光板の角度を直交ニコルの関係から平行ニコルの関係になるまで変えて、同様に画像の表示状態を観察した。
判定は、干渉色の有無と画面の輝度、色の変化の有無によった。画像の視認性に有害になる干渉色が見えず、偏光板の角度を変えても著しい輝度変化のない組み合わせを「○」と判定した。各実施例・比較例における判定結果を表1に示す。
Figure 2017167267
(考察)
一般に2枚の位相差フィルムを積層した時、その積層フィルムの見かけの位相差は、遅相軸が平行の関係にある場合、相加関係にあり、直交の関係にある場合、相減関係となる。また、平行でもなく直交でもない状態の場合は、cosカーブで近似できるとされているので、積層フィルムの見かけの位相差の最小値は、上述した評価用液晶装置の様に、両者の遅相軸が直交関係にある場合の相減値であると考えることができる。
射出成形で得られる射出成形パネルは、その形状、射出成形条件によって、様々な大きさの位相差を持ち、配向軸の方向に大きなバラツキを持つ可能性があり、表示領域の全ての部位の視認性を考える場合、相減状態(実効位相差が最少)の位置関係になることも考慮すべきである。よって、位相差値の下限の設定は、両者の位相差の差を指標とするのが妥当である。
かかる観点から、画像表示領域における位相差フィルム(E)の面内位相差最大値(ReE)と射出成形パネル(D)の面内位相差最大値(ReD)との差(ReE−ReD)は3000nm以上である必要があると考えられる。
同様に、画像表示領域における位相差フィルム(E)の面内位相差最大値(ReE)と積層パネル部材(F)の面内位相差最大値(ReF)との差(ReE−ReF)も3000nm以上である必要があると考えられる。
次に、この妥当性を確認するために、次の試験を行った。
<考察確認試験>
上記の実施例・比較例に用いたポリカーボネート製位相差フィルム1(サンプルE1:厚さ125μm、面内位相差(ReE)3260nm)を、液晶表示装置の視認側の偏光板の吸収軸と該フィルムの遅相軸とのなす角度を45°となる様配置した。次に、それぞれ500nm、1000nm、1500nmの位相差を有するPETフィルムを本発明の射出成形パネル(D)に代えて前面パネルに見立て、種々の角度で位相差フィルム(E)の視認側に積層して、直交ニコルの位置関係の偏光板を通して、液晶表示装置を観察した。視認性の判定方法は、上述の実施例・比較例と同様とし、その結果を下表に示す。
Figure 2017167267
位相差フィルム(E)と前面パネルとの位相差の差が3000nmを下回る試験2〜4では、角度45°を境に視認性が悪化することが良く分かった。一方、位相差フィルム(E)と前面パネルとの位相差の差が3000nm以上である試験1では、前面パネルの遅相軸方向によらず、視認性を改善することができることが分かった。
これにより、本発明における、画像表示領域における位相差フィルム(E)の面内位相差(ReE)と射出成形パネル(D)の面内位相差最大値(ReD)との差の臨界点が3000nmであることが示される。同時に、位相差を有する機能性フィルム等を積層された積層パネル部材(F)を前面パネルとする場合であっても、画像表示領域における位相差フィルム(E)の面内位相差(ReE)と積層パネル部材(F)の面内位相差最大値(ReF)との差の臨界点が3000nmであることが示される。
さらに、前面パネルが、様々な配向角や位相差の方向を有する場合であっても、本発明の液晶表示装置によれば、視認性の改善効果が得られることが分かった。
1 画像表示領域
2 画像非表示領域
(A)液晶セル
(B)偏光板
(C)バックライト光源
(D)射出成形パネル
(E)位相差フィルム
(F)積層パネル部材
(G)機能性フィルム

Claims (10)

  1. 視認側から見た際に画像表示領域を備えており、液晶セル(A)と、液晶セル(A)の視認側に配された偏光板(B)と、連続的な発光スペクトルを有するバックライト光源(C)と、を備えた液晶表示装置において、
    偏光板(B)の視認側に射出成形パネル(D)を配すると共に、偏光板(B)と射出成形パネル(D)との間に位相差フィルム(E)を配し、
    位相差フィルム(E)は、下記(1)の式を満たす面内位相差(ReE)を有し、且つ、位相差フィルム(E)の遅相軸と偏光板(B)の吸収軸とのなす角度が35〜55°となるように配し、且つ、
    画像表示領域における位相差フィルム(E)の面内位相差(ReE)と射出成形パネル(D)の面内位相差最大値(ReD)とが下記(2)の関係にあることを特徴とする液晶表示装置。
    (1) 3000nm<ReE≦100000nm
    (2) ReE−ReD≧3000nm
  2. 視認側から見た際に画像表示領域を備えており、液晶セル(A)と、液晶セル(A)の視認側に配された偏光板(B)と、連続的な発光スペクトルを有するバックライト光源(C)と、を備えた液晶表示装置において、
    偏光板(B)の視認側に、射出成形パネル(D)を有する積層パネル部材(F)を配すると共に、偏光板(B)と積層パネル部材(F)との間に位相差フィルム(E)を配し、
    位相差フィルム(E)は、下記(1)の式を満たす面内位相差(ReE)を有し、且つ、位相差フィルム(E)の遅相軸と偏光板(B)の吸収軸とのなす角度が35〜55°となるように配し、且つ、
    画像表示領域における位相差フィルム(E)の面内位相差(ReE)と積層パネル部材(F)の面内位相差最大値(ReF)とが下記(3)の関係にあることを特徴とする液晶表示装置。
    (1) 3000nm<ReE≦100000nm
    (3) ReE−ReF≧3000nm
  3. 画像表示領域における射出成形パネル(D)の面内位相差最大値(ReD)が350nm〜5000nmであることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  4. 画像表示領域における積層パネル部材(F)の面内位相差最大値(ReF)が350nm〜5000nmであることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
  5. 位相差フィルム(E)は、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン及びポリアミドからなる群から選ばれた一種又は二種以上の混合物をベース樹脂とする透明なフィルムからなることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の液晶表示装置。
  6. 射出成形パネル(D)を構成する樹脂材料は、ポリカーボネート、ポリエステル及びアクリル樹脂からなる群から選ばれた一種の樹脂材料であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の液晶表示装置。
  7. 射出成形パネル(D)または積層パネル部材(F)と、位相差フィルム(E)とは、粘着剤又は接着剤を介して積層されることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の液晶表示装置。
  8. 射出成形パネル(D)の厚さに対する位相差フィルム(E)の厚さの比が25:1〜2:1であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の液晶表示装置。
  9. 積層パネル部材(F)は、射出成形パネル(D)と機能性フィルムとを積層してなる構成を備えたものである請求項2又は4に記載の液晶表示装置。
  10. 射出成形パネル(D)は、多数の凹凸を有する画像表示面部をパネル視認側表面に備え、且つ、当該画像表示面部の表面は、算術平均粗さ(Ra)が0.1μm〜0.7μmであることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の液晶表示装置。
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