JP2017165623A - 多孔質シリカ粒子の製造方法及び多孔質シリカ粒子 - Google Patents

多孔質シリカ粒子の製造方法及び多孔質シリカ粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】メソ孔を有すると共に、溶液の粘性が高い場合であっても分離が容易な多孔質シリカ粒子の製造方法を、提供する。
【解決手段】粒子径1.5mm〜10mmの球状シリカ粒子の表面に、珪素を有する疎水性基を導入する疎水化処理を行い、界面活性剤及びシリカ源を含有する溶液内で、疎水化処理が施された球状シリカ粒子の周囲に疎水性基を介して、自己組織化した界面活性剤とシリカ前駆体との複合体の層を形成した後、酸化雰囲気で焼成することにより、球状シリカ粒子からなるコア部の表面に、メソポーラスシリカからなるシェル層が形成された多孔質シリカ粒子を得る。
【選択図】図4

Description

本発明は、メソ孔を有する多孔質シリカ粒子の製造方法、及び、該製造方法によって製造される多孔質シリカ粒子に関するものである。
メソ孔(2nm〜50nm)を有する多孔質シリカ(メソポーラスシリカ)は、従前では触媒担体等として使用されていたところ、本発明者は、メソポーラスシリカそれ自体が、カルボキシル基とアミノ基との縮合反応の触媒として優れていることを見出し、メソポーラスシリカをアミド化触媒として使用するカルボン酸アミドの製造方法を提案している(特許文献1参照)。
カルボキシル基とアミノ基の何れかを過剰量としていた従来のカルボン酸アミドの製造方法とは異なり、特許文献1の製造方法によれば、等量(等モル)のカルボキシル基とアミノ基から高収率でカルボン酸アミドを得ることができる。また、酸触媒または塩基触媒をアミド化触媒として使用していた従来法では必要であった中和処理を、必要としない利点がある。また、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCDI)等の有機縮合剤を使用してアミド化していた従来法では、副生成物を分離する作業が必要であり、縮合剤も高価であるという問題があったところ、メソポーラスシリカをアミド化触媒とする場合は、そのような問題を有していない。
一方、本発明者は特許文献1の技術に先立ち、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ハフニウム、インジウム、銅、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム及びリチウムから選ばれた少なくとも一種の金属化合物を、触媒として使用するカルボン酸アミドの製造方法を提案している(特許文献2参照)。この特許文献2の技術によっても、等量のカルボキシル基とアミノ基から高収率でカルボン酸アミドを得ることができ、中和作業等の後処理が不要であり、低コストであるという同様の利点を得られるが、メソポーラスシリカをアミド化触媒とする特許文献1の製造方法は、特許文献2の技術とは異なり金属を使用しないため、反応生成物に金属が溶出するおそれがないという、更なる利点を有している。
しかしながら、メソポーラスシリカは、粒子サイズが数μm〜数十μmと微小である。そのため、高濃度である場合や溶媒を使用しない場合など反応溶液の粘性が高い場合、触媒であるメソポーラスシリカ粒子と反応生成物との分離作業が困難であり、触媒の回収や再使用がしにくいという問題があった。そのため、メソポーラスシリカが発揮する高い触媒活性を有すると共に、反応溶液の粘性が高い場合であっても分離が容易な多孔質シリカ粒子が要請されていた。
特開2012−46431号公報 国際公開第2009/060843号パンフレット
そこで、本発明は上記の実情に鑑み、メソ孔を有すると共に、溶液の粘性が高い場合であっても分離が容易な多孔質シリカ粒子の製造方法、及び、該製造方法により製造される多孔質シリカ粒子の提供を、課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかる多孔質シリカ粒子の製造方法(以下、単に「製造方法」と称することがある)は、
「粒子径1.5mm〜10mmの球状シリカ粒子の表面に、珪素を有する疎水性基を導入する疎水化処理を行い、
界面活性剤及びシリカ源を含有する溶液内で、前記疎水化処理が施された前記球状シリカ粒子の周囲に前記疎水性基を介して、自己組織化した界面活性剤とシリカ前駆体との複合体の層を形成した後、
酸化雰囲気で焼成することにより、前記球状シリカ粒子からなるコア部の表面に、メソポーラスシリカからなるシェル層が形成された多孔質シリカ粒子を得る」ものである。
本製造方法では、予め球状シリカ粒子の表面に珪素を有する疎水性基を導入しておく。これにより、疎水性基と界面活性剤との相互作用により、球状シリカ粒子の周囲に界面活性剤を存在させることができる。界面活性剤は、その種類と、濃度や温度等の条件に応じて規則的な構造をとるため、その規則的な構造における間隙でシリカ源からシリカ前駆体を生成させる。つまり、疎水性基を介して、球状シリカ粒子の周囲に自己組織化した界面活性剤とシリカ前駆体との複合体の層を形成させる。その後、酸化雰囲気で焼成することにより、界面活性剤及び疎水性基の有機分が除去され、界面活性剤の規則的な構造をテンプレートとしたシリカ骨格が形成され、高度に秩序化されたメソポーラスシリカとなる。
従って、本構成によれば、球状シリカ粒子をコア部とし、その表面にメソポーラスシリカのシェル層が形成されたコアシェル型の多孔質シリカ粒子を得ることができる。球状シリカ粒子は、サイズが1.5mm〜10mmであり、従来のメソポーラスシリカ粒子(数μm〜数十μm)に比べて非常に大いため、扱いが容易であり、粘性が高い溶液からも容易に分離することができる。なお、球状シリカ粒子のサイズが1.5mmより小さくても、同様の製造方法でコアシェル型の多孔質シリカ粒子を得ることは可能であるが、粘性が高い溶液からも容易に分離できる利点を実際の工業的プロセスで発揮することを考慮して、サイズの下限値を1.5mmとしている。また、サイズの上限を10mmとしているのは、直径が10mmより大きい球状シリカ粒子は、製造が困難なためである。
本発明にかかる多孔質シリカ粒子の製造方法は、上記構成において、
「前記疎水化処理の前に、前記球状シリカ粒子を酸に浸漬する酸処理を行う」構成とすることができる。
球状シリカ粒子を酸に浸漬する酸処理を行うことにより、球状シリカ粒子の表面においてシラノール基を剥き出しにすることができると考えられる。従って、疎水化処理に先立って酸処理を行うことにより、シラノール基の修飾による疎水性基の導入が可能となり、より多くの疎水性基を球状シリカ粒子の表面に導入することができる。これにより、球状シリカ粒子の周囲に界面活性剤を高密度で存在させることができるため、球状シリカ粒子の表面に、メソポーラスシリカからなるシェル層を、万遍なくより均一に形成させることができる。
次に、本発明にかかる多孔質シリカ粒子は、
「粒子径1.5mm〜10mmの球状シリカ粒子からなるコア部と、
該コア部の表面に形成されたメソポーラスシリカからなるシェル層とを具備する」ものである。
これは、上記の製造方法により製造される多孔質シリカ粒子である。シェル層がメソポーラスシリカであることにより、メソポーラスシリカの備える作用、すなわち、アミド化触媒作用、触媒や酵素を担持する作用、吸着作用等を発揮する。加えて、コア部の直径が1.5mm〜10mmであり、従来のメソポーラスシリカ粒子に比べて粒子全体のサイズが非常に大きいため、粘性が高い溶液からも容易に分離できることができ、広範囲の工業的プロセスで使用することができる。
本発明にかかる多孔質シリカ粒子は、上記構成に加え、
「前記シェル層は、規則性三次元構造を有する」ものとすることができる。
シェル層のメソ孔は、界面活性剤の構造をテンプレートとすることにより、特定の構造が繰り返す構造規則性を有する。検討の結果、シェル層のメソ孔の構造が三次元である場合の方が、それより低次元である場合より、シェル層はより均一であった。その理由は明らかではないが、コア部が球状であるため、方向性の低い構造の方が連続的に繰り返す構造規則性をとりやすいとも考えられる。また、規則性三次元構造を有するメソポーラスシリカ層は、詳細は後述するように、自己組織化した界面活性剤とシリカ前駆体との複合体の層を形成する工程において、反応溶液中の界面活性剤の濃度を高めることにより、形成することが可能である。
以上のように、本発明の効果として、メソ孔を有すると共に、溶液の粘性が高い場合であっても分離が容易な多孔質シリカ粒子の製造方法、及び、該製造方法により製造される多孔質シリカ粒子を、提供することができる。
疎水化処理後の球状シリカ粒子の示差熱重量分析の結果を示すグラフである。 実施例S01の多孔質シリカ粒子の吸脱着等温線を、球状シリカ粒子と対比したグラフである。 実施例S01の多孔質シリカ粒子の細孔径分布を、比較例と対比したグラフである。 実施例S01の多孔質シリカ粒子の断面を、光学顕微鏡で観察した像である。 実施例S01の多孔質シリカ粒子のシェル層を、透過型電子顕微鏡で観察した像である。 実施例S01の多孔質シリカ粒子をアミド化触媒として使用した場合の収率を、球状シリカ粒子と対比したグラフである。 (a),(b)他の実施例の多孔質シリカ粒子の吸脱着等温線の例示である。 (a)〜(f)他の実施例の多孔質シリカ粒子の細孔径分布の例示である。
以下、本発明の具体的な実施形態の多孔質シリカ粒子の製造方法、及び、該製造方法により製造される多孔質シリカ粒子について、図1乃至図8を用いて説明する。
本実施形態の製造方法は、粒子径1.5mm〜10mmの球状シリカ粒子を酸に浸漬する酸処理工程と、酸処理された球状シリカ粒子の表面に、珪素を有する疎水性基を導入する疎水化工程と、界面活性剤及びシリカ源を含有する溶液内で、疎水化処理が施された球状シリカ粒子の周囲に疎水性基を介して、自己組織化した界面活性剤とシリカ前駆体との複合体の層を形成する複合体層形成工程と、酸化雰囲気で焼成することにより、球状シリカ粒子からなるコア部の表面に、メソポーラスシリカからなるシェル層が形成された多孔質シリカ粒子を得る焼成工程とを、具備している。
より具体的には、酸処理工程では、塩酸、酢酸、硝酸等の酸の水溶液に、球状シリカ粒子を数十分から数時間浸漬する。酸処理後、球状シリカ粒子を洗浄し乾燥させる。
疎水化工程では、酸処理後の球状シリカ粒子にシリル化剤を作用させる。シリル化剤としては、アルコキシシラン、ハロゲン化シラン、シラザン等、公知のシリル化剤を使用可能である。
アルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルエチルトリメトキシシラン、ジフェニルフォスフィノエチルトリエトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルエチレンジアミンを、例示することができる。
ハロゲンン化シランとしては、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、ジフルオロジメトキシシラン、ジフルオロジエトキシシラン、トリフルオロメチルエチルトリメトキシシラン、テトラクロロシラン、クロロトリメトキシシラン、クロロトリエトキシシラン、ジクロロジメトキシシラン、ジジクロロジエトキシシランを、例示することができる。シラザンとしては、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ヘキサプロピルジシラザン、ヘキサブチルジシラザン、ヘキサヘキシルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザンを、例示することができる。
なお、疎水化処理は、球状シリカ粒子の表面のシラノール基のうち一部を、珪素を有する疎水性基で修飾するものである。処理後の球状シリカ粒子の疎水性と界面活性剤との相互作用とを考慮し、一部のシラノール基を親水性基で修飾してもよい。
複合体層形成工程では、界面活性剤とシリカ源とを含有する溶液に、疎水化処理後の球状シリカ粒子を入れ、酸又は塩基を触媒として添加する。界面活性剤としては、非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両親媒性界面活性剤を使用可能である。シリカ源としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランや、コロイダルシリカを例示することができる。疎水性基との相互作用により球状シリカ粒子の周囲に存在する界面活性剤は、自己組織化により特定の構造をとり、その構造の隙間でシリカ源がゾル・ゲル反応することにより、界面活性剤とシリカ前駆体の複合体層が球状シリカ粒子の周囲に形成される。
焼成工程では、複合体層形成工程の生成物を、有機分が焼失する温度以上で、酸化雰囲気下で加熱する。これにより、有機分が除去され、界面活性剤の構造をテンプレートとしたシリカ骨格が、球状シリカ粒子の表面を被覆した状態で残る。
以上の製造方法により、粒子径1.5mm〜10mmの球状シリカ粒子からなるコア部と、コア部の表面に形成されたメソポーラスシリカからなるシェル層とを具備する多孔質シリカ粒子が製造される。
次のようにして、実施例S01の多孔質シリカ粒子を製造した。球状シリカ粒子として、富士シリシア化学製CARiACT Q−15(細孔径15−16nm、細孔容積0.9−1.2ml/g、比表面積170−200m/g、粒子径1.7−4.0mm)のうち、粒子径が3.5mm〜4mmの粒子を使用した。
球状シリカ粒子を、1規定の塩酸水溶液に室温で4時間浸漬することにより、酸処理を行った。酸処理後、エタノールと水の混合溶媒で洗浄し乾燥させた。シリル化剤としてドデシルトリメトキシシランを使用し、これを有機溶媒(トルエン)に溶解させた。シリル化剤を含有する溶液に酸処理後の球状シリカ粒子を入れ、加熱還流することにより疎水化処理をした。還流中、生成する水とメタノールは除去した。
界面活性剤としての非イオン性トリブロック共重合体 Pluronic(登録商標)L−121、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールトリブロック共重合体(PEG−PPG−PEGトリブロック共重合体、平均分子量4400)と、シリカ源としてのテトラメトキシシラン(TMOS)、少量のpH1.3の塩酸水溶液、及び、疎水化処理後の球状シリカ粒子を混合し、撹拌してTMOSを縮合重合させ、複合体層形成工程を行った。球状シリカ粒子、界面活性剤及びシリカ源の割合は、重量比で1:1:1とした。重合反応により生成する水とメタノールは、減圧蒸留により除去した。なお、複合体層形成工程の反応溶液に加える酸は、TMOSの縮合重合を促進させる触媒として添加するもので、酸水溶液は約1mL程度のごく少量である。そのため、疎水化処理後の球状シリカ粒子と反応させる反応溶液は、実質的に界面活性剤とシリカ源であるTMOSとからなる高濃度溶液である。
反応後の生成物を焼成炉に収容し、酸化雰囲気下で焼成した。
実施例S01の試料を上記のように製造する過程で、疎水化処理後の球状シリカ粒子について示差熱重量分析を行った。その結果を図1に示す。図1から明らかなように、疎水化処理後の球状シリカ粒子では、200℃〜400℃にかけて、明瞭な発熱ピークを伴って、重量に大幅な減少がみられる。このことは、酸処理及び疎水化処理を経ることによって、球状シリカ粒子に有機官能基が導入されていることを示している。一方、疎水化処理後の球状シリカ粒子を、有機溶媒と水とが二層に分かれている試験管に投入したところ、有機溶媒層と水層との境界面に、球状シリカ粒子が留まる様子が観察された。何ら処理を施さないシリカ粒子の表面は親水性であるから、球状シリカ粒子に導入された有機官能基は、疎水性基であることが分かる。
実施例S01の試料について、窒素ガスの吸脱着等温線を測定した結果を図2に示す。対比のために、何ら処理を施していない球状シリカ粒子の吸脱着等温線をあわせて示す。図2に示すように、実施例S01は、メソ孔を有する多孔質体の特徴である「IV型」の吸脱着等温線を示した。ヒステリシスも大きく、吸脱着は単なる表面におけるものではなく細孔によるものである。一方、何ら処理を施していない球状シリカ粒子は、メソ孔に特有の吸脱着等温線ではなくヒステリシスも示さなかった。従って、実施例S01の試料において、メソ孔は、球状シリカ粒子ではない部分に存在することが分かる。
実施例S01の試料について、吸脱着等温線からBJH解析により求めた細孔径分布を、図3に示す。比較のために、酸処理後の球状シリカ粒子に疎水化処理を施すことなく、上記と同様の複合体層形成工程を行った比較例Rの試料について、同様に測定した吸脱着等温線からBJH解析により求めた細孔径分布を、図3にあわせて示す。
図3に示すように、実施例S01の細孔径分布は、約8nmにシャープな単一のピークを有しており、細孔径の均一なメソ孔を有していることが分かる。一方、比較例Rの細孔径分布には明瞭なピークは見られない。このことから、球状シリカ粒子の表面に、界面活性剤をテンプレートとしてメソポーラスシリカを形成するためには、界面活性剤と相互作用させるための疎水性基を、球状シリカ粒子の表面に導入する疎水化処理が必要であると考えられた。なお、球状シリカ粒子として、上記のように細孔径15−16nmのシリカ粒子を使用しているが細孔径分布に明瞭なピークが見られなかったのは、酸処理によってシリカ粒子の表面が溶解したため、及び、シリカ源によって表面の細孔が充填されたためと考えられた。
実施例S01の多孔質シリカ粒子を、光学顕微鏡で観察したところ、球状の粒子からなるコア部の表面に、0.4mm〜0.6mmという大きな厚さを有するシェル層が、非常に均一にきれいに形成されている様子が観察された。実施例S01の試料の断面についての光学顕微鏡による観察像を、図4に示す。また、シェル層を走査型電子顕微鏡及び透過型電子顕微鏡で観察したところ、三次元的規則性を有するシェル層が形成されていた。シェル層の透過型電子顕微鏡による観察像を、図5に示す。
実施例S01の多孔質シリカ粒子を、実際にアミド化触媒としてアミド化反応を行った。パルミチン酸とヘキシルアミンの等量を混合した溶液に、実施例S01の多孔質シリカ粒子を触媒として添加し、反応生成物の収率の時間経過を測定した。対比のために、実施例S01の多孔質シリカ粒子に代替して、何ら処理を施していない球状シリカ粒子を同一の粒数添加し、それ以外は同一の条件とした系についても、同様に収率の時間経過を測定した。その結果を図6にあわせて示す。
図6に示すように、実施例S01の多孔質シリカ粒子を添加した場合は、約5時間で収率は95%を超え、約6時間後には収率はほぼ100%に達した。一方、何ら処理を施していない球状シリカ粒子を添加した系では、6時間後の収率は60%程度であり、8時間を経過しても80%の収率に達しなかった。このことから、球状シリカ粒子にメソポーラスシリカのシェル層を備えさせることにより、アミド化触媒としての優れた触媒活性を獲得できたことが分かる。
次に、製造条件の異なる他の実施例S02〜S14についての検討結果を示す。実施例S02,S03は、球状シリカ粒子、界面活性剤、及びシリカ源の重量比が実施例S01とは相違する例である。実施例S04〜S06は、疎水化処理に使用したシリル化剤の種類が、実施例S01とは相違する例であり、実施例S04,S05のシリル化剤はヘキシルトリメトキシシランであり、実施例S06のシリル化剤はフェニルトリメトキシシランである。実施例S05は更に、球状シリカ粒子、界面活性剤、及びシリカ源の重量比において、実施例S04と相違している。
また、実施例S07〜S12は、界面活性剤の種類が実施例S01と相違している例である。各実施例の界面活性剤は、以下のようである。
S07:Pluronic(登録商標)F−68、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールトリブロック共重合体(PEG−PPG−PEGトリブロック共重合体、平均分子量8400)
S08:Pluronic(登録商標)P−123、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールトリブロック共重合体(PEG−PPG−PEGトリブロック共重合体、平均分子量5800)
S09:Pluronic(登録商標)F−127、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールトリブロック共重合体(PEG−PPG−PEGトリブロック共重合体、平均分子量12600)
S10:Brij(登録商標)S−10、ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル、平均分子量711
S11:Brij(登録商標)S−100、ポリオキシエチレングリコールステアリルエーテル、平均分子量4670
S12:Brij(登録商標)C−10、ポリエチレングリコールヘキサデシルエーテル、平均分子量683
更に、実施例S13,S14は、シリカ源としてテトラエトキシシラン(TEOS)を使用した例であり、実施例S13はシリカ源の種類と重量比において実施例S01と相違しており、実施例S14はシリカ源の種類のみにおいて、実施例S07と相違する例である。各実施例の条件を、表1にまとめて示す。
実施例S02〜S14の何れも、実施例S01と同様にメソ孔に特有の「IV型」の吸脱着等温線を示し、実施例S01と同様に、球状シリカ粒子のコア部の表面にメソポーラスシリカのシェル層を有する多孔質シリカ粒子であると考えられた。例として、実施例S13,S14の吸脱着等温線を、それぞれ図7(a),(b)に示す。
また、実施例S02〜S14について、実施例S01と同様に吸脱着等温線からBJH解析により細孔径分布を求めたところ、何れも実施例S01と同様にシャープなピークを有するメソ孔を有していた。例として、実施例S05,S06,S07,S10,S11,S12の細孔径分布を、それぞれ図8(a),(b),(c),(d),(e),(f)に示す。実施例S07,S10,S11のように、複数のピーク(二峰性または三峰性)が観察されるものがあったが、何れも細孔径はメソ孔の範囲であった。
上記の実施例S01〜S14では、何れも複合体層形成工程における反応溶液中の水溶液(酸水溶液)は約1mLという僅かな量であったが、酸水溶液を100mLに増量し、他の条件は実施例S01と同一として、実施例S111の多孔質シリカ粒子を調製した。
この実施例S111の多孔質シリカ粒子を、走査型顕微鏡及び透過型電子顕微鏡で観察したところ、シェル層のメソ孔は、実施例S01とは異なり、規則性一次元構造(2D−hexagonal型)を有していた。シェル層は、実施例S111より実施例S01〜S14の方が、コア部の表面により均一に形成されていた。これは、実施例S01〜S14では複合体層形成工程の反応溶液が実質的に界面活性剤とシリカ源とからなり、実施例S111に比べて界面活性剤が高濃度であるために、界面活性剤の三次元的な自己組織化が進行し易いためと考えられた。
以上のように、本実施形態の製造方法によれば、球状シリカ粒子からなるコア部の表面にメソポーラスシリカからなるシェル層を有する、コアシェル型の新規な多孔質シリカ粒子を製造することができる。コア部の直径が1.5mm〜10mmであることにより、粒子サイズがミリオーダーであり、従来のメソポーラスシリカ粒子に比べて極めて大きい。そのため、粘性が高い溶媒からも容易に分離することができ、触媒としての回収や再使用が容易であり、広範囲の工業的プロセスで使用することができる。
以上、好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では、得られた多孔質シリカ粒子それ自体を、アミド化触媒に適用した場合を例示したが、本発明の多孔質シリカ粒子の用途はアミド化触媒に限定されない。貴金属触媒などの触媒を担持する触媒担体、酵素を担持する担体、錯体の固定化剤、吸着材としても、本発明の多孔質シリカ粒子は有用である。

Claims (4)

  1. 粒子径1.5mm〜10mmの球状シリカ粒子の表面に、珪素を有する疎水性基を導入する疎水化処理を行い、
    界面活性剤及びシリカ源を含有する溶液内で、前記疎水化処理が施された前記球状シリカ粒子の周囲に前記疎水性基を介して、自己組織化した界面活性剤とシリカ前駆体との複合体の層を形成した後、
    酸化雰囲気で焼成することにより、前記球状シリカ粒子からなるコア部の表面に、メソポーラスシリカからなるシェル層が形成された多孔質シリカ粒子を得る
    ことを特徴とする多孔質シリカ粒子の製造方法。
  2. 前記疎水化処理の前に、前記球状シリカ粒子を酸に浸漬する酸処理を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の多孔質シリカ粒子の製造方法。
  3. 粒子径1.5mm〜10mmの球状シリカ粒子からなるコア部と、
    該コア部の表面に形成されたメソポーラスシリカからなるシェル層と
    を具備することを特徴とする多孔質シリカ粒子。
  4. 前記シェル層は、規則性三次元構造を有する
    ことを特徴とする請求項3に記載の多孔質シリカ粒子。
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