以下、添付図面に従って本発明に係る実施形態の一例について説明する。なお、本実施形態において、「平行」とは、完全な平行に限定されるものではなく、インクジェット記録装置100(図1参照)において製造上の誤差及び経時変化に伴う誤差等として予め許容された誤差を含む平行を意味する。また、「直交」、「水平」、「同一」、「一定」、「等間隔」、及び「真空」の各文言の意味についても同様である。
一例として図1に示すように、インクジェット記録装置100は、給紙部102、浸透抑制処理部104、処理液付与部106、記録部108、定着処理部110、及び排紙部112を備えている。
給紙部102には、給紙台120及びフィーダボード122が設けられている。給紙台120には、本発明に係る媒体及び記録媒体の一例である白色の用紙114が積載される。給紙台120に積載された用紙114は、フィーダボード122によって1番上から順に1枚ずつ送り出される。フィーダボード122によって送り出された用紙114は、給紙胴124aを経由して浸透抑制処理部104の圧胴126aの外周面126a1に到達する。
給紙胴124aには、用紙114の先端部を保持するグリッパ121が設けられており、圧胴126aには、用紙114の先端部を保持するグリッパ125が設けられている。給紙胴124aのグリッパ121に保持された用紙114の先端部が、給紙胴124aと圧胴126aとの接触位置、すなわち、用紙114の受け渡し位置に到達すると、給紙胴124aのグリッパ121から圧胴126aのグリッパ125へ用紙114の先端部の受け渡しが行われる。
なお、渡し胴124b,124c,124d及び排紙胴150も給紙胴124aと基本的に同一の構成とされている。また、圧胴126b,126c,126dも圧胴126aと基本的に同一の構成とされている。そこで、以下では、説明の便宜上、渡し胴124b,124c,124dを区別して説明する必要がない場合、符号を付さずに「渡し胴」と称する。また、以下では、説明の便宜上、圧胴126a,126b,126c,126dを区別して説明する必要がない場合、符号を付さずに「圧胴」と称する。
圧胴及び渡し胴は、互いに同一の大きさ及び形状とされ、給紙胴124aは圧胴の半径の1/2とされている。圧胴及び渡し胴の各々につき2個のグリッパ125が設けられ、給紙胴124aに1つのグリッパ121が設けられている。すなわち、渡し胴の胴径及び圧胴の胴径は同一であるため、渡し胴及び圧胴間での用紙114の受け渡しを実現すべく、渡し胴にはグリッパ123が半周毎に設けられており、圧胴にもグリッパ125が半周毎に各々設けられている。なお、グリッパ125は、本発明に係る保持部材の一例である。
また、浸透抑制処理部104には、圧胴126aの回転(輪転)方向(図1における反時計回り方向)に沿って上流側から順に、圧胴126aの外周面126a1に対向する位置に、用紙予熱ユニット128、浸透抑制剤ヘッド130及び浸透抑制剤乾燥ユニット132が各々設けられている。用紙予熱ユニット128及び浸透抑制剤乾燥ユニット132には予め定められた温度範囲に制御されるヒータ(図示省略)が設けられており、圧胴126aに保持された用紙114は、用紙予熱ユニット128に対応する位置、及び浸透抑制剤乾燥ユニット132に対向する位置を通過する際、これらユニットのヒータによって加熱される。
浸透抑制剤ヘッド130は、後述の記録部108の記録ヘッド140K,140Y,140M,140Cと同一の構造が適用されている。浸透抑制剤ヘッド130は浸透抑制剤を液滴として吐出することで、圧胴126aに保持される用紙114に浸透抑制剤を付着させる。なお、浸透抑制剤としては熱可塑性樹脂ラテックス溶液が好適であるが、これに限られるものではなく、例えば、平板粒子(一例として雲母等)又は撥水剤(一例としてフッ素コーティング剤)等を適用しても良い。また、用紙114への浸透抑制剤の付着にインクジェットヘッドを用いることに代えて、例えばスプレー方式又は塗布方式などの各種方式を適用しても良い。
浸透抑制処理部104の後段に配置された処理液付与部106は圧胴126bを備え、浸透抑制処理部104の圧胴126aと処理液付与部106の圧胴126bとの間には、これらに各々接するように渡し胴124bが設けられている。これにより、浸透抑制処理部104の圧胴126aに保持された用紙114は、浸透抑制処理が行われた後に、渡し胴124bを経由して処理液付与部106の圧胴126bに受け渡される。
処理液付与部106には、圧胴126bの回転方向(図1における反時計回り方向)に沿って上流側から順に、圧胴126bの外周面126b1に対向する位置に、用紙予熱ユニット134、処理液ヘッド136及び処理液乾燥ユニット138が各々設けられている。処理液付与部106の用紙予熱ユニット134、処理液ヘッド136、及び処理液乾燥ユニット138は、前述した浸透抑制処理部104の用紙予熱ユニット128、浸透抑制剤ヘッド130、及び浸透抑制剤乾燥ユニット132と各々同一の構成であるので説明を省略する。もちろん、浸透抑制処理部104と異なる構成を適用しても良いことは言うまでもない。
なお、処理液付与部106によって用紙114に付着される処理液の一例としては、後段の記録部108に配置される各記録ヘッド140C,140M,140Y,140Kにより吐出されるインクに含有される色材を凝集させる作用を有する酸性液が挙げられる。また、用紙予熱ユニット134は省略しても良いが、本実施形態のように、用紙114上に処理液が付与される前に用紙予熱ユニット134のヒータによって用紙114を予備加熱することで、処理液の乾燥に要する加熱エネルギーが抑えられる。
処理液乾燥ユニット138のヒータ(図示省略)の加熱温度は、圧胴126bの回転方向上流側に配置される処理液ヘッド136の吐出動作によって用紙114の表面に付与された処理液を乾燥させ、用紙114上に固体状又は半固溶状の凝集処理剤層(処理液が乾燥した薄膜層)が形成される温度に設定される。ここでいう「固体状または半固溶状の凝集処理剤層」とは、乾燥後の処理液中に含まれる水の単位面積当りの重量(g/m2)を、乾燥後の処理液の単位面積当りの重量(g/m2)で除算することで求まる含水率が0%以上70%以下の範囲内の層を指す。
処理液付与部106の後段に配置された記録部108は圧胴126cを備え、処理液付与部106の圧胴126bと記録部108の圧胴126cとの間には、これらに各々接するように渡し胴124cが設けられている。これにより、処理液付与部106の圧胴126bに保持された用紙114は、処理液が付与されて固体状又は半固溶状の凝集処理剤層が形成された後に、渡し胴124cを経由して記録部108の圧胴126cに受け渡される。
記録部108には、圧胴126cの回転方向(図1における反時計回り方向)に沿って上流側から順に、圧胴126cの外周面126c1に対向する位置に、C(Cyan;シアン)、M(Magenta;マゼンタ)、Y(Yellow;イエロー)、及びK(Black;ブラック)の4色のインクに各々対応した記録ヘッド140C,140M,140Y,140Kと、溶媒乾燥ユニット142a,142bとが各々設けられている。なお、以下では、記録ヘッド140C,140M,140Y,140Kを区別して説明する必要がない場合は末尾のアルファベットを省略して「記録ヘッド140」と称する。
本実施形態では、各記録ヘッド140として、前述の浸透抑制剤ヘッド130及び処理液ヘッド136と同様に、インクジェット方式の記録ヘッドを適用している。すなわち、各記録ヘッド140は、それぞれ対応する色のインク滴を圧胴126cに保持された用紙114に向けて吐出する。
圧胴126cの上方には、記録ヘッド140を保持するヘッドホルダ(図示省略)が配置されており、各記録ヘッド140は圧胴126cの外周面126c1の周方向に沿って互いに予め定められた角度を有するようにヘッドホルダによって保持されている。
圧胴126cの外周面126c1は、本発明に係る移動面の一例である。一例として図1及び図11に示すように、外周面126c1は、本発明に係る支持面の一例である最外周面126c2、並びに、本発明に係る段差面及び非支持面の一例である段差外周面126c3を有する。また、外周面126c1は、最外周面126c2を用紙114の搬送方向に沿って複数有する。なお、本実施形態では、外周面126c1が用紙114の搬送方向に沿って最外周面126c1を2面有しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、外周面126c1は用紙114の搬送方向に沿って最外周面126c1を3面以上有していてもよい。
ここで、本発明に係る支持面とは、用紙114を支持する支持面であって、用紙114を支持した状態で動力を受けて移動することにより用紙114を搬送する支持面を指す。また、本発明に係る段差面とは、用紙114の搬送方向で上記の支持面に隣接する段差面であって、上記の支持面よりも凹んだ位置で搬送方向に沿って移動する段差面を指す。また、本発明に係る非支持面とは、本発明に係る移動面における搬送方向の位置のうち、支持面間の領域を指す。
なお、以下では、説明の便宜上、用紙114の搬送方向を、単に「用紙搬送方向」と称する。また、以下では、説明の便宜上、最外周面126c2及び段差外周面126c3を区別して説明する必要がない場合、外周面126c1と称する。
最外周面126c2とは、圧胴126cにおける最も外側の周面を指し、段差外周面126c3とは、圧胴126cにおける外側の周面のうち、用紙搬送方向で最外周面126c2に隣接しており、最外周面126c2よりも凹んだ位置での周面を指す。段差外周面126c3は、用紙搬送方向で最外周面126c2に隣接して形成された凹部308(図11参照)の底面に相当する。
各記録ヘッド140は、それぞれ圧胴126cに保持される用紙114における画像記録領域の幅に対応する長さを有する。各記録ヘッド140のインク吐出面αには画像記録領域の全幅に亘ってインク吐出用のノズル(図2の符号161を参照)が複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている。各記録ヘッド140は、用紙114における用紙搬送方向に直交する幅方向に延在するように固定設置されている。なお、以下では、説明の便宜上、用紙搬送方向に直交する幅方向を、単に「用紙幅方向」と称する。また、用紙幅方向は、本発明に係る「媒体における搬送方向に交差する幅方向」の一例である。
なお、本実施形態では上記のようにCMYKの4色のインクを用いて画像を記録する構成を例示しているが、これに限らず、インクの色、及び、その組み合わせは変更しても良い。例えば、必要に応じて、ライトシアン若しくはライトマゼンタ等のライト系インクの淡インク、濃インク、又は特別色インク等を追加しても良い。また、各色の記録ヘッド140の配置順序についても図1に示した順序に限られるものではない。
上記のように、用紙114の被記録面における画像記録領域の全幅をカバーするノズル列を有するフルラインヘッドがインクの色毎に設けられた構成では、用紙搬送方向について、用紙114と各記録ヘッド140とを相対的に移動させる動作を1回行うだけで、用紙114の画像記録領域に画像を記録できる。これにより、用紙幅方向に往復動作するシリアル(シャトル)型ヘッドを用いる場合と比較して画像を高速に記録可能であり、プリント生産性が向上する。
また、溶媒乾燥ユニット142a,142bは、前述した用紙予熱ユニット128,134、浸透抑制剤乾燥ユニット132、及び処理液乾燥ユニット138のように、予め定められた温度範囲に制御されるヒータ(図示省略)を含んで構成される。後述するように、用紙114上に形成された固体状又は半固溶状の凝集処理剤層上にインク滴が付着すると、用紙114上にはインク凝集体(色材凝集体)が形成されると共に、色材と分離されたインク溶媒が広がり、凝集処理剤が溶解した液体層が形成される。このようにして用紙114上に残った溶媒成分(液体成分)は、用紙114の反り返りだけでなく、画像劣化を招く要因となる。そこで、本実施形態では、各記録ヘッド140から各色のインク滴が用紙114上に付着された後、溶媒乾燥ユニット142a,142bのヒータによって熱を与えることで溶媒成分を蒸発させる乾燥処理を行っている。
また、記録部108の後段に配置された定着処理部110は、圧胴126dを備え、記録部108の圧胴126cと定着処理部110の圧胴126dとの間には、これらに各々接するように渡し胴124dが設けられている。これにより、記録部108の圧胴126cに保持された用紙114は、記録部108で各色のインク滴が付着された後に、渡し胴124dを経由して定着処理部110の圧胴126dに受け渡される。定着処理部110には、圧胴126dの回転方向(図1における反時計回り方向)に沿って上流側から順に、圧胴126dの外周面126d1に対向する位置に加熱ローラ148a,148bがそれぞれ設けられている。
なお、本実施形態の定着処理部110では、画像記録後に、加熱ローラ148a,148bによる加熱及び加圧によって定着処理が行われるが、これに限られるものではない。例えば、透明UV(Ultraviolet)インクを付着させた後にUV光を照射することで、透明UVインクの硬化によって用紙114に画像を定着させる等の他の構成を適用しても良い。
定着処理部110の後段に配置された排紙部112には、排紙胴150と、排紙台152と、排紙用チェーン154と、が設けられている。排紙胴150は、定着処理が施された用紙114を受け取る。排紙台152は、排紙胴150によって受け取られた用紙114を積載する。排紙用チェーン154は、排紙胴150に設けられたスプロケットと排紙台152の上方に設けられたスプロケットとの間に掛け渡されており、複数の排紙用グリッパを備えている。
一例として図2に示すように、記録ヘッド140は、底面視長尺状に形成されており、複数のヘッドモジュール160がヘッド長手方向に沿って配置されている。記録ヘッド140は、モジュールホルダ140Aを備えており、複数のヘッドモジュール160は、モジュールホルダ140Aによって保持されている。ここで、ヘッド長手方向とは、記録ヘッド140の長手方向を意味し、用紙幅方向に相当する方向を指す。これに対し、ヘッド短手方向とは、記録ヘッド140の短手方向を意味し、用紙搬送方向に相当する方向を指す。
ヘッドモジュール160の平面形状は、ヘッド長手方向に長尺の平行四辺形状であり、ヘッド長手方向の端面160A,160Bはヘッド長手方向に対して角度θ(図2に示す例では、45度)で傾斜している。隣接したヘッドモジュール160であるヘッドモジュール対170において、一方のヘッドモジュール160の端面160Aは、他方のヘッドモジュール160の端面160Bと対面している。
ヘッドモジュール160は、インク滴の吐出口であるノズル161と各ノズル161に対応する圧力室162とを有する複数のインク室ユニット163を備えている。複数のインク室ユニット163は、特定の配列パターンでマトリクス状に配置されている。これにより、ヘッド長手方向に沿った投影ノズルピッチ、すなわち、実質的なノズル間隔の高密度化、ひいては用紙114上に形成されるドットピッチの高密度化を実現している。
ここで、特定の配列パターンとは、例えば、用紙幅方向に沿う行方向にピッチd1で配置され、角度θを成す傾斜した列方向にピッチd2で複数配置される配置パターンを指す。また、実質的なノズル間隔の高密度化とは、例えば、用紙幅方向について、各ノズル161がピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱われることを意味する。
各ノズル161からインク滴を吐出させて用紙幅方向に沿った1ライン、すなわち、1列のドットによる1ライン、又は複数列のドットで形成された1ラインを記録する際のノズル161の駆動方式には様々な駆動方式がある。例えば、全てのノズル161を同期させて駆動する駆動方式、ノズル161を一方から他方に向けて順次駆動する駆動方式、又は、ノズル161を複数ブロックに分割し、ブロック毎に一方から他方に向けて順次駆動する駆動方式等が挙げられる。
なお、インクジェット記録装置100では、一例として図2に示すように、ノズル161−1〜161−5を1つのブロックとし、用紙114の搬送速度に応じてノズル161−1〜161−5が順次駆動されることで用紙幅方向に1ラインが記録される。
圧力室162はその平面形状が四角形状とされている。一例として図3に示すように、圧力室162には供給口164が設けられており、各圧力室162は供給口164を介して共通流路165に繋がっている。共通流路165はインク供給源であるインク供給タンク(図示省略)に繋がっており、インク供給タンクから供給されるインクは共通流路165を介して各圧力室162に分配供給される。圧力室162の天面を形成すると共に、共通電極としての機能を兼ね備えた振動板166には、個別電極167を備えた圧電素子168が接合されており、圧電素子168は個別電極167に駆動電圧が印加されると変形し、この圧電素子168の変形に伴ってノズル161からインク滴が吐出される。そして、ノズル161からのインク滴の吐出に伴い、共通流路165から供給口164を通って新しいインクが圧力室162に供給される。
なお、本実施形態では、圧電素子168を用いているが、これに代えて圧力室162内にヒータを設け、ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させるサーマル方式を適用しても良い。
一例として図1に示すように、インクジェット記録装置100は、本発明に係る搬送装置の一例である搬送装置20を備えている。搬送装置20は、コントローラ10(図18参照)、給紙胴121、圧胴、渡し胴、排紙胴150、光センサ400、遮光部460(図11〜図13参照)、及び調節機構530を備えている。
光センサ400は、最外周面126c2の用紙幅方向における側方で、用紙搬送方向における渡し胴124cと記録ヘッド140Cとの間に配置されており、最外周面126c2からの用紙114の浮きの検出に用いられる。
一例として図4に示すように、光センサ400は、透過型であり、投光部400A及び受光部400Bを有する。投光部400A及び受光部400Bは、圧胴126cの軸線方向に沿って対向する位置で、かつ、用紙114の搬送経路を跨ぐ位置に配置されており、投光部400Aは、光Lを投光し、受光部400Bは、投光部400Aにより投光された光Lを受光する。
投光部400A及び受光部400Bは、光Lの光路がインク吐出面αと最外周面126c2との間に確保され、かつ、光軸L1と最外周面126c2との平行性が確保される位置に配置されている。用紙114が最外周面126c2に支持された状態で搬送されて光Lの光路の位置に到達すると、光Lの一部が用紙114によって遮られるため、受光部400Bによる受光量は、用紙114が光Lの光路の位置にない場合に比べ、少なくなる。
また、一例として図5に示すように、用紙114が最外周面126c2に支持され、かつ、用紙114の端部が最外周面126c2から浮いている状態で搬送されて光Lの光路の位置に到達すると、用紙114のうちの最外周面126c2から浮いた部分によって光Lの一部が遮られる。そのため、受光部400Bによる受光量は、用紙114が最外周面126c2から浮いていない状態で光Lの光路を遮る場合に比べ、少なくなる。
従って、インクジェット記録装置100では、用紙114が光Lの光路の位置を通過する間の受光部400Bによる受光量に基づいて、最外周面126c2からの用紙114の浮きが検出される。なお、本実施形態において、最外周面126c2からの用紙114の浮きの意味は、用紙114の端部の最外周面126c2からの浮きのみに限らず、用紙114の端部以外の箇所の最外周面126c2からの浮きの意味も含む。
また、インクジェット記録装置100では、用紙114が最外周面126c2から浮いていない状態で光Lの光路を遮る場合の受光部400Bによる受光量が基準受光量を超えたか否かによって、最外周面126c2からの用紙114の浮きの有無が判定される。基準受光量とは、例えば、実機による試験又はコンピュータ・シミュレーション等により、最外周面126c2からの用紙114の浮きが生じた場合の受光量として予め得られた受光量を指す。また、基準受光量は、搬送対象とされる用紙114の厚さ毎及び下地色毎に規定されており、搬送対象として指定された用紙114の厚さ及び下地色に応じた受光量が基準受光量として採用される。
なお、本実施形態では、用紙114が最外周面126c2から浮いていない状態でも光Lの一部が用紙114によって遮られる場合を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、用紙114が最外周面126c2から浮いていない状態でも光Lが用紙114によって遮られず、用紙114が最外周面126c2から浮いた場合に光Lの一部又は全てが用紙114によって遮られるようにしてもよい。
一例として図6に示すように、インクジェット記録装置100は、支持枠体520,522を備えている。支持枠体520,522は、圧胴126cを隔てて、圧胴126cの軸線方向に沿って対応する位置に配置されており、圧胴126cを回転自在に支持している。すなわち、支持枠体520は、圧胴126cの一端側を回転自在に支持し、支持枠体522は、圧胴126cの他端側を回転自在に支持している。
一例として図1及び図6に示すように、インクジェット記録装置100は、調節機構530を備えている。調節機構530は、光軸L1と外周面126c1との位置関係を調節可能な機構である。一例として図6及び図7に示すように、調節機構530は、投光部側調節機構530Aと受光部側調節機構530Bとに大別される。
一例として図6及び図7に示すように、投光部側調節機構530Aは、調節機構本体532A及びブラケット534Aを備えている。調節機構本体532Aは、ねじ等の固定部材(図示省略)によって支持枠体520の側壁520Aに固定されている。ブラケット534Aも、ねじ等の固定部材(図示省略)によって調節機構本体532Aに固定されており、投光部400Aも、ねじ等の固定部材(図示省略)によってブラケット534Aに固定されている。
一方、受光部側調節機構530Bは、調節機構本体532B及びブラケット534Bを備えている。調節機構本体532Bは、ねじ等の固定部材(図示省略)によって支持枠体522の側壁522Aに固定されている。ブラケット534Bも、ねじ等の固定部材(図示省略)によって調節機構本体532Bに固定されており、受光部400Bも、ねじ等の固定部材(図示省略)によってブラケット534Bに固定されている。
なお、以下では、説明の便宜上、投光部側調節機構530A及び受光部側調節機構530Bを区別して説明する必要がない場合は、調節機構530と称する。また、以下では、説明の便宜上、調節機構本体532A,532Bを区別して説明する必要がない場合は、調節機構本体532と称する。更に、以下では、説明の便宜上、ブラケット534A,534Bを区別して説明する必要がない場合は、ブラケット534と称する。
一例として図17に示すように、調節機構本体532は、昇降機構536、回転機構538、及びモータ540,542を有する。昇降機構536は、モータ540により生成された動力を受けることで、ブラケット534を外周面126c1の法線方向に沿って既定の昇降範囲内で昇降させる。
すなわち、調節機構本体532Aに含まれる昇降機構536は、モータ540により生成された動力を受けることで、ブラケット534Aを介して投光部400Aを外周面126c1の法線方向に沿って既定の昇降範囲内で昇降させる。また、調節機構本体532Bに含まれる昇降機構536は、モータ540により生成された動力を受けることで、ブラケット534Bを介して受光部400Bを外周面126c1の法線方向に沿って既定の昇降範囲内で昇降させる。
なお、本実施形態において、既定の昇降範囲とは、例えば、光軸L1と外周面126c1の位置関係が正常な位置関係での光軸L1の位置を0.00ミリメートルとした場合の−5.00ミリメートル以上+5.00ミリメートル以下の昇降範囲を指す。ここで、光軸L1と外周面126c1との正常な位置関係とは、詳しくは後述するが、最外周面126c2上での用紙114の浮きが発生する場所に拘わらず最外周面126c2からの用紙114の浮きを検出可能な位置関係として予め定められた位置関係を指す。ここで、−5.00ミリメートル以上+5.00ミリメートル以下の昇降範囲は、あくまでも一例であり、他の昇降範囲であってもよいことは言うまでもない。
投光部側調節機構530Aに含まれる回転機構538は、モータ542により生成された動力を受けることで、投光部400Aの投光面400A1(図6参照)に対する正面視縦方向に投光部400Aを既定の回転範囲内で回転させる。受光部側調節機構530Bに含まれる回転機構538は、モータ542により生成される動力を受けることで、受光部400Bの受光面400B1(図6参照)に対する正面視縦方向に受光部400Bを既定の回転範囲内で回転させる。
なお、本実施形態において、投光面400A1に対する正面視縦方向とは、例えば、図14に示すように、投光面400A1に対する正面視縦上方A1及び正面視縦下方A2を指す。また、本実施形態において、受光面400B1に対する正面視縦方向とは、例えば、図14に示すように受光面400AB1に対する正面視縦上方B1及び正面視縦下方B2を指す。更に、本実施形態において、既定の回転範囲とは、例えば、水平方向を0.00度とした場合の−10.00度以上+10.00度以下の回転範囲を指す。ここで、水平方向を0.00度とした場合の−10.00度以上+10.00度以下の回転範囲は、あくまでも一例であり、他の回転範囲であってもよいことは言うまでもない。
一例として図8に示すように、圧胴126cは、円筒状の本体部356、吸着シート420、及び中間シート424を有する。吸着シート420は、用紙114の吸着用のシートであり、中間シート424を介在させて、本体部356の最外周面356Aを覆っている。なお、吸着シート420の表面420Aは、本発明に係る支持面の一例である最外周面126c2に相当する。
本体部356の最外周面356Aには、本発明に係る凹領域の一例である凹部308A,308Bが設けられており、凹部308A,308Bの各々に複数のグリッパ125が回転自在に取り付けられている。なお、以下では、説明の便宜上、凹部308A,308Bを区別して説明する必要がない場合、凹部308と称する。また、凹部308はあくまでも一例であり、用紙搬送方向で最外周面126c2に隣接する位置に形成された凹領域であって、複数のグリッパ125が退避可能であり、後述の遮光部460が立設可能な底面を有する凹領域であればよい。
凹部308には、端部固定面312を有する用紙先端ガイド314が設けられており、端部固定面312には、用紙幅方向に沿って用紙114(図1、図2、及び図4〜図7参照)の先端部が固定される。凹部308において、グリッパ125は、用紙幅方向に沿って等間隔に設けられている。
図1に示す渡し胴124cから圧胴126cに用紙114が受け渡される場合、グリッパ125が変位することでグリッパ125と端部固定面312との間に隙間が生じ、グリッパ125と端部固定面312との間の隙間に用紙114が導かれる。そして、グリッパ125は、端部固定面312との間に用紙114の先端部を挟み込む。また、圧胴126cから渡し胴124dに用紙114が受け渡される場合、グリッパ125は、凹部308内に退避し、渡し胴124cから圧胴126cに用紙114が受け渡される場合と同様に圧胴126cから渡し胴124dに用紙114が受け渡される。
吸着シート420は、用紙保持領域414(図8に示すドットハッチング領域)及び非開口部416を有する。用紙保持領域414は、用紙114を保持する領域である。用紙保持領域414には、用紙114の吸着用の貫通口450(図9参照)が既定の配置パターンで複数形成されている。非開口部416は、貫通口を有しておらず、圧胴126cの軸線方向の略中央部に位置し、用紙保持領域414を圧胴126cの軸線方向に二分している。
一例として図8及び図10に示すように、本体部356は、吸着管路428を有する。吸着管路428は、圧胴126c内の真空管路(図示省略)と連通しており、貫通口450は、吸着管路428と連通している。一例として図8及び図9に示すように、最外周面356Aには、吸着溝426が形成されており、吸着溝426の端部は、吸着管路428に連通している。また、真空管路は、吸引ホース322を介してポンプ(図示省略)に接続されており、ポンプを作動させることで、真空管路は真空にされる。
中間シート424には、複数の吸着溝422が特定の配列パターンに従って形成されており、複数の吸着溝422は、吸着シート420の貫通口450と連通している。一例として図9に示すように、吸着溝422には、絞り部434が設けられており、絞り部434は、吸着溝426に連通している。
中間シート424は、絞り部434の位置と本体部356の吸着溝426の位置とを合わせた状態で最外周面356Aに巻き付けられて固定される。また、吸着シート420は、貫通口450の位置と中間シート424の吸着溝422の位置とを合わせた状態で中間シート424に巻き付けられて固定される。
以上のように構成された圧胴126cでは、用紙114がグリッパ125により用紙保持領域414に保持された状態で上記のポンプを作動させ、吸着管路428を介して貫通口450に負圧を発生させることで、用紙保持領域414に用紙114を吸着させる。
なお、本実施形態において、圧胴126c以外の圧胴、給紙胴124a、渡し胴、及び排紙胴150でも、圧胴126cと同一の構成が採用されている。そのため、給紙胴124a、圧胴126c以外の圧胴、渡し胴、及び排紙胴150の構成についての説明は省略する。
ところで、インクジェット記録装置100の状態次第で、用紙114の最外周面126c2からの浮きの検出に用いられる光Lの光軸L1と外周面126c1との位置関係が正常な位置関係からずれてしまうことがある。位置関係のずれが発生する要因としては、例えば、支持枠体520,522のうちの少なくとも一方の床面への沈下が挙げられる。なぜならば、例えば、圧胴126cの軸を軸受けに嵌める場合、軸と軸受けとの間に嵌め合い用の隙間が必要であり、支持枠体520又は支持枠体522が沈下すると、嵌め合い用の隙間の分だけ外周面126c1が傾くからである。また、その他の要因としては、例えば、用紙114を搬送する搬送系の部材の取り付け、例えば、圧胴126cの取り付けに用いられるねじの緩みが挙げられる。また、その他の要因としては、搬送系を突然停止させた際の衝撃等による搬送系の部材の位置ずれ等が挙げられる。更に、その他の要因としては、搬送系を突然停止させた際の衝撃等による光センサ400の位置ずれが挙げられる。
なお、用紙114を搬送する搬送系の部材の取り付けに用いられるねじの緩みは、例えば、用紙114を搬送する搬送系の部材が温度変化に起因して膨張又は収縮すること等によって生じる。また、搬送系を突然停止させた際の衝撃等による光センサ400の位置ずれは、例えば、調節機構530に対する光センサ400の取り付けに用いられるねじの緩み、又は、調節機構530の取り付けに用いられるねじの緩み等によって生じる。
光軸L1と外周面126c1との位置関係のずれは、最外周面126c2からの用紙114の浮きを検出する精度の低下を齎す。しかし、光軸L1と外周面126c1との位置関係のずれを把握することができれば、最外周面126c2からの用紙114の浮きを検出する精度の低下を抑制する措置を講じることが可能となる。
そこで、一例として図11〜図13に示すように、インクジェット記録装置100は、光軸L1と外周面126c1との位置関係の検出に寄与する構成として、凹部308に遮光部460を備えている。
遮光部460は、第1遮光部材460A及び第2遮光部材460Bを有する。第1遮光部材460A及び第2遮光部材460Bは共に、光軸L1と外周面126c1との位置関係が正常な位置関係の場合に、投光部400Aにより投光された光Lの一部を遮光する。なお、本実施形態において、光Lの一部の一例とは、投光部400Aにより投光された光Lのうちの75%程度の光を指す。
ここで、光軸L1と外周面126c1との正常な位置関係とは、光軸L1と外周面126c1とが平行であり、かつ、光軸L1と頂面460A1との距離、及び光軸L1と頂面460B1との距離が同一の既定の距離となる位置関係を指す。既定の距離とは、例えば、光Lに対する第1遮光部材460A及び第2遮光部材460Bの各々による75%程度の遮光が実現される距離を指す。
第1遮光部材460A及び第2遮光部材460Bは共に、凹部308の底面である段差外周面126c3から、段差外周面126c3の法線方向に沿って上方に突出した凸状に形成されている。具体的には、第1遮光部材460A及び第2遮光部材460Bは共に、光Lの外径よりも面積が大きい側面を有する四角柱状とされており、段差外周面126c3に突設されている。第1遮光部材460Aの高さ及び第2遮光部材460Bの高さは揃っており、第1遮光部材460Aの頂面460A1及び第2遮光部材460Bの頂面460B1は共に、最外周面126c2よりも高く、図1に示すインク吐出面αよりも低い。なお、第1遮光部材460A及び第2遮光部材460Bの形状は四角柱状に限定されるものではなく、段差外周面126c3から、段差外周面126c3の法線方向に沿って上方に突出した凸状であれば、円柱状又は六角柱状等の他の形状であってもよい。
第1遮光部材460Aは、段差外周面126c3の用紙幅方向における一端側に配置され、第2遮光部材460Bは、段差外周面126c3の用紙幅方向における他端側に配置されている。
ここで、本実施形態において、段差外周面126c3の用紙幅方向における一端側とは、受光部400Bよりも投光部400A側を指す。また、段差外周面126c3の用紙幅方向における他端側とは、投光部400Aよりも受光部400B側を指す。
従って、本実施形態では、一例として図13に示すように、第1遮光部材460Aは、段差外周面126c3において、受光部400Bよりも投光部400A側に配置されている。また、本実施形態では、一例として図13に示すように、第2遮光部材460Bは、段差外周面126c3において、投光部400Aよりも受光部400B側に配置されている。
このように、本実施形態では、第1遮光部材460Aが、受光部400Bよりも投光部400A側に配置され、第2遮光部材460Bが、投光部400Aよりも受光部400B側に配置されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、段差外周面126c3において、投光部400Aよりも受光部400B側に第1遮光部材460Aが配置され、受光部400Bよりも投光部400A側に第2遮光部材460Bが配置されるようにしてもよい。
また、第1遮光部材460A及び第2遮光部材460Bは、グリッパ125が保持状態であっても、グリッパ125が退避状態であっても、グリッパ125に接触しない位置に配置されている。ここで、グリッパ125が保持状態とは、一例として図11及び図13に示すように、グリッパ125により用紙114の先端部が保持された状態を指す。また、グリッパ125が退避状態とは、一例として図12に示すように、グリッパ125の保持状態が解除されてグリッパ125が凹部308内に退避した状態を指す。
更に、一例として図13に示すように、第1遮光部材460A及び第2遮光部材460Bは、用紙搬送方向で離間した位置に配置されている。また、第1遮光部材460Aは、用紙搬送方向で第2遮光部材460Bよりも下流側に配置されている。用紙搬送方向で離間した位置とは、換言すると、用紙搬送方向で第1遮光部材460A及び第2遮光部材460Bが連ならない位置を意味する。
ここで、用紙114の最外周面126c2からの浮きの高さとして検出可能な高さの最大ばらつきΔ(単位;ミリメートル)を最小とするための幅方向部材間隔について説明する。なお、幅方向部材間隔とは、第1遮光部材460Aと第2遮光部材460Bとの用紙幅方向における間隔を指す。
一例として図14に示すように、“h”(単位;ミリメートル)は、第1遮光部材460A及び第2遮光部材460Bの各々の高さであり、“δ”(単位;ミリメートル)は、製造誤差等に起因する高さhのばらつきの範囲である。また、図14に示す例において、Lb(単位;ミリメートル)は、第1遮光部材460A及び第2遮光部材460Bの各々の用紙幅方向の厚さである。更に、図14に示す例において、“L0”(単位;ミリメートル)は、第1遮光部材460Aと第2遮光部材460Bとの距離である。図14に示す条件下では、一例として図15に示すように、光軸L1と最外周面126c2との間に最大で角度δθが生じる。
角度δθは、下記の数式(1)で表すことができる。なお、数式(1)では、不完全互換による公差計算が採用されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、完全互換による公差計算が採用されてもよい。
用紙114の幅、すなわち、用紙114の用紙幅方向の長さをW(単位;ミリメートル)とすると、最大ばらつきΔは、下記の数式(2)で表すことができる。なお、以下では、説明の便宜上、用紙114の用紙幅方向の長さを、単に「用紙114の幅」と称する。
最大ばらつきΔを最小にするためには、ばらつきδを小さくするか、距離L0を大きくする必要がある。しかし、現実的には、加工精度には限界があるので、第1遮光部材460Aと第2遮光部材460Bとを用紙幅方向で最大限に離間させるのが最も有効となる。
具体的には、用紙114の表面と図1に示すノズル吐出面αとの距離が0.65ミリメートルの条件下で、δ=±0.05とし、W=750とすると、Δ=0.1程度であれば、インクジェット記録装置100に組み込まれている各部間の公差割り付けで実用上問題ないレベルとなる。従って、Δ=0.1程度であれば、一例として図16に示すように、用紙幅方向で第1遮光部材460Aと第2遮光部材460Bとを600ミリメートル程度離間させればよい。
一例として図18に示すように、インクジェット記録装置100は、コントローラ10を備えている。コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)40、一次記憶部42、及び二次記憶部44を備えている。一次記憶部42は、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。揮発性のメモリとは、例えば、RAM(Random Access Memory)を指す。二次記憶部44は、インクジェット記録装置100の作動を制御する制御プログラム及び各種パラメータ等を予め記憶する不揮発性のメモリである。不揮発性のメモリとは、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、フラッシュメモリ、又はHDD(Hard Disk Drive)等を指す。CPU40、一次記憶部42、及び二次記憶部44は、バス46を介して相互に接続されている。
インクジェット記録装置100は、I/O48を備えている。I/Oは、「インプット・アウトプット・インタフェース」の略称である。I/O48は、コントローラ10と各種の入出力デバイスとを電気的に接続してコントローラ10と各種の入出力デバイスとの間の各種情報の送受信を司る。各種の入出力デバイスは、I/O48に接続されることにより、バス46を介してコントローラ10と電気的に接続される。ここでは、各種の入出力デバイスとして、受付デバイス50、表示デバイス52、通信I/F54、及び外部I/F56が適用されている。また、この他にも、入出力デバイスとして、投光部400A、受光部400B、ヘッドドライバ60、及びモータドライバ62,64,66が適用されている。なお、I/Fは、「インタフェース」の略称である。
受付デバイス50は、例えば、ハードキー及びタッチパネルであり、ユーザから与えられる各種情報を受け付ける。受付デバイス50は、I/O48を介してバス46に接続されているので、受付デバイス50によって受け付けられた各種情報はCPU40によって取得される。表示デバイス52は、例えば、液晶ディスプレイであり、液晶ディスプレイの表示面には受付デバイス50のタッチパネルが重ねられている。表示デバイス52は、I/O48を介してバス46に接続されているので、CPU40の制御下で各種情報を表示する。
通信I/F54は、LAN(Local Area Network)等の通信網を介してパーソナル・コンピュータ又はサーバ装置等の通信装置(図示省略)に接続され、通信装置とCPU40との間の各種情報の送受信を司る。
外部I/F56は、USB(Universal Serial Bus)メモリ又は外付けハードディスク装置等の外部装置(図示省略)に接続され、外部装置とCPU40との間の各種情報の送受信を司る。
投光部400Aは、I/O48を介してバス46に接続されているので、CPU40の指示に従って、光を投光する。受光部400Bは、I/O48を介してバス46に接続されているので、受光部400Bによる受光結果がCPU40によって取得される。ここで、受光結果とは、受光部400Bでの受光量に応じた電気信号である受光量信号を指す。従って、CPU40は、受光部400Bから受光量信号を取得することで、受光部400Bでの受光量を把握することができる。
ヘッドドライバ60には記録ヘッド140が接続されている。ヘッドドライバ60には、画像記録用のデータ、及び、インク滴を吐出するタイミングを規定するタイミング信号等が供給される。ヘッドドライバ60は、供給された画像記録用のデータ及びタイミング信号等に基づいて記録ヘッド140によるインク滴の吐出動作を制御する。ヘッドドライバ60は、I/O48を介してバス46に接続されているので、CPU40の指示に従って記録ヘッド140を制御する。
モータドライバ62には、モータ540が接続されている。モータドライバ62は、I/O48を介してバス46に接続されているので、CPU40の指示に従ってモータ540の動作を制御する。モータ540は、ギア(図示省略)等を介して動力を昇降機構536(図17参照)に供給することで、昇降機構536を作動させる。
モータドライバ64には、モータ542が接続されている。モータドライバ64は、I/O48を介してバス46に接続されているので、CPU40の指示に従ってモータ542の動作を制御する。モータ542は、ギア(図示省略)等を介して動力を回転機構538(図17参照)に供給することで、回転機構538を作動させる。
モータドライバ66には、搬送系のモータ544が接続されている。モータ544は、給紙胴124a、圧胴、渡し胴、及び排紙胴150等の搬送系の部材の駆動用の動力を生成する。モータドライバ66は、I/O48を介してバス46に接続されているので、CPU40の指示に従ってモータ544の動作を制御する。モータ544は、ギア(図示省略)等を介して動力を搬送系の部材に供給することで、搬送系の部材を駆動させる。
二次記憶部44は、保守プログラム70及び調節用テーブル72を記憶している。CPU40は、二次記憶部44から保守プログラム70を読み出して一次記憶部42に展開し、展開した保守プログラム70を実行することで、一例として図19に示す検出部80の一部及び実行部82として動作する。なお、実行部82は、本発明に係る第1実行部及び第2実行部の一例である。
一例として図19に示すように、インクジェット記録装置100は、検出部80及び実行部82を有する。検出部80は、光センサ400を有しており、光センサ400による受光結果に応じて用紙114の最外周面126c2からの浮きを検出する。
実行部82は、第1受光結果と第2受光結果との比較結果に応じた処理を実行する。第1受光結果とは、光Lに対する第1遮光部材460Aによる遮光の程度を示す受光結果を指し、第2受光結果とは、光Lに対する第2遮光部材460Bによる遮光の程度を示す受光結果を指す。
また、実行部82は、既定の条件を満足した場合に、光軸L1と外周面126c1との距離が異常な状態で実行される処理として予め定められた処理を実行する。
ここで、既定の条件とは、第1の遮光の程度と第2の遮光の程度が共に光Lが全体的に遮光された状態の遮光の程度に相当する、との条件を指す。第1の遮光の程度とは、第1のタイミングでの第3受光結果により示される第1遮光部材460Aによる遮光の程度を指す。第2の遮光の程度とは、第2のタイミングでの第4受光結果により示される第2遮光部材460Bによる遮光の程度を指す。第3受光結果とは、受光部400Bでの受光結果であって、第1受光結果に相当する受光結果を指す。第4受光結果とは、受光部400Bでの受光結果であって、第2受光結果に相当する受光結果を指す。第1のタイミングとは、第1遮光部材460Aが光Lの光路の位置に到達したタイミングを指し、第2のタイミングとは、第2遮光部材460Bが光Lの光路の位置に到達したタイミングを指す。
調節用テーブル72は、光軸L1と外周面126c1との位置関係を調節する際に実行部82によって参照されるテーブルである。一例として図20に示すように、調節用テーブル72では、第1受光量、第2受光量、投光部側移動量、受光部側移動量、投光部側回転角度、及び受光部側回転角度が互いに対応付けられている。
第1受光量は、前述の第1受光結果の一例であり、第2受光量とは、前述の第2受光結果の一例である。第1受光量とは、圧胴126cが既定の速度で回転している状態において第1遮光部材460Aが光Lの光路の位置に到達したタイミングでの受光部400Bによる受光量を指す。第2受光量とは、圧胴126cが既定の速度で回転している状態において第2遮光部材460Bが光Lの光路の位置に到達したタイミングでの受光部400Bによる受光量を指す。なお、本実施形態において、既定の速度とは、例えば、用紙114の搬送速度として機種毎に予め定められた速度、又は、ユーザによって受付デバイス50を介して指示された速度を指す。
投光部側移動量は、調節機構本体532Aに含まれる昇降機構536を作動させることで投光部400Aを外周面126c1の法線方向に沿って移動させる移動量である。投光部側移動量は、プラスの値及びマイナスの値で規定されている。投光部側移動量のプラスの値は、昇方向の移動量を意味し、投光部側移動量のマイナスの値は、降方向の移動量を意味する。
受光部側移動量は、調節機構本体532Bに含まれる昇降機構536を作動させることで受光部400Bを外周面126c1の法線方向に沿って移動させる移動量である。受光部側移動量は、プラスの値及びマイナスの値で規定されている。受光部側移動量のプラスの値は、昇方向の移動量を意味し、受光部側移動量のマイナスの値は、降方向の移動量を意味する。
投光部側回転角度は、調節機構本体532Aに含まれる回転機構538を作動させることで、投光面400A1に対する正面視縦方向に投光部400Aを回転させる回転角度である。投光部側回転角度は、プラスの値及びマイナスの値で規定されている。投光部側回転角度のプラスの値は、投光面400A1に対する正面視縦上方A1(図14参照)の回転角度を意味し、投光部側回転角度のマイナスの値は、投光面400A1に対する正面視縦下方A2(図14参照)の回転角度を意味する。
受光部側回転角度は、投光部側調節機構530Aに含まれる回転機構538を作動させることで受光面400B1を正面視縦方向に回転させる回転角度である。受光部側回転角度は、プラスの値及びマイナスの値で規定されている。受光部側回転角度のプラスの値は、受光面400B1に対する正面視縦上方B1(図14参照)の回転角度を意味し、受光部側回転角度のマイナスの値は、受光面400B1に対する正面視縦下方B2(図14参照)の回転角度を意味する。
次に、インクジェット記録装置100の本発明に係る部分の作用について説明する。ここでは、保守処理の実行を開始する指示が受付デバイス50によって受け付けられた場合にCPU40が保守プログラム70を実行することによって実現される保守処理について、図21を参照して説明する。
なお、以下では、説明の便宜上、投光部400Aにより光Lが継続して投光されている場合について説明する。また、以下では、説明の便宜上、一例として図22〜図32に示すように、投光部400Aと受光部400Bとの間で投光部400Aにより投光された光Lの直進性が確保されていることを前提として説明する。また、以下では、説明の便宜上、調節用テーブル72に含まれる投光部側移動量、受光部側移動量、投光部側回転角度、及び受光部側回転角度を区別せずに説明する場合は、「調節用パラメータ」と称する。更に、図21に示す保守処理は、インクジェット記録装置100にて用紙114が搬送されないことを前提とした処理とされている。
図21に示すステップ550で、検出部80は、モータドライバ66を介してモータ544を駆動させることで圧胴等の回転を開始させ、その後、ステップ552へ移行する。なお、ここで、圧胴等とは、給紙胴124a、圧胴、渡し胴、及び排紙胴150を指す。
ステップ552で、検出部80は、圧胴等の回転速度が前述した既定の速度に到達したか否かを判定する。ステップ552において、圧胴等の回転速度が前述した既定の速度に到達していない場合は、判定が否定されて、ステップ552の判定が再び行われる。ステップ552において、圧胴等の回転速度が前述した既定の速度に到達した場合は、判定が肯定されて、ステップ554へ移行する。
ところで、光軸L1と外周面126c1との位置関係が正常な位置関係の場合、一例として図22に示すように、前述した第1のタイミングでは、第1遮光部材460Aによって光Lのうちの既定の割合の光が遮光される。また、一例として図23に示すように、前述した第2のタイミングでは、第2遮光部材460Bによって光Lのうちの既定の割合の光が遮光される。従って、光軸L1と外周面126c1との位置関係が正常な位置関係の場合、第1のタイミングでの受光部400Bによる受光量、及び第2のタイミングでの受光部400Bによる受光量は同一の既定の受光量となる。
ここで、光Lのうちの既定の割合の光とは、例えば、光Lのうちの75%程度の光を指し、前述の既定の受光量とは、光Lのうちの25%程度の光の受光量を指す。
従って、本実施形態では、光軸L1と外周面126c1との正常な位置関係が成立しているか否かが、CPU40により、受光部400Bでの第1受光量と受光部400Bでの第2受光量とに基づいて判定される。なお、光軸L1と外周面126c1との正常な位置関係が成立しているということは、光軸L1と最外周面126c2との正常な位置関係が成立していることも意味する。また、光軸L1と外周面126c1との正常な位置関係が成立しているということは、光軸L1と段差外周面126c3との正常な位置関係が成立していることも意味する。
そこで、先ず、ステップ554で、検出部80は、第1遮光部材460Aが光Lの光路の位置に到達したか否かを判定する。ステップ554において、第1遮光部材460Aが光Lの光路の位置に到達していない場合は、判定が否定されて、ステップ554の判定が再び行われる。ステップ554において、第1遮光部材460Aが光Lの光路の位置に到達した場合は、判定が肯定されて、ステップ556へ移行する。
ステップ556で、検出部80は、受光部400Bから第1受光量を示す第1受光量信号を取得し、その後、ステップ558へ移行する。
ステップ558で、検出部80は、第2遮光部材460Bが光Lの光路の位置に到達したか否かを判定する。ステップ558において、第2遮光部材460Bが光Lの光路の位置に到達していない場合は、判定が否定されて、ステップ558の判定が再び行われる。ステップ558において、第2遮光部材460Bが光Lの光路の位置に到達した場合は、判定が肯定されて、ステップ560へ移行する。
ステップ560で、検出部80は、受光部400Bから第2受光量を示す第2受光量信号を取得し、その後、ステップ562へ移行する。
ステップ562で、実行部82は、ステップ556の処理で取得された第1受光量信号により示される第1受光量、及びステップ560の処理で取得された第2受光量信号により示される第2受光量が共に、第1閾値を超えているか否かを判定する。
第1閾値とは、例えば、実機による試験又はコンピュータ・シミュレーション等により、光軸L1と段差外周面126c3との間の距離が異常長距離となった場合の受光量として予め定められた受光量に相当する値を指す。異常長距離とは、光軸L1と段差外周面126c3との間の異常な距離であって、一例として図24及び図25に示す第1基準距離よりも長い距離を指す。
なお、ここでは、第1基準距離として、一例として図24及び図25に示すように、光Lのうちの1%程度の光が遮光される場合の光軸L1と段差外周面126c3との距離が採用されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1基準距離として、光Lの全てが遮光されない場合の光軸L1と段差外周面126c3との距離であってもよい。このように、光Lが全体的に遮光されない場合、すなわち、光Lの大よそ全体が非遮光とされる場合の光軸L1と段差外周面126c3との距離であればよい。
ステップ562において、ステップ556の処理で取得された第1受光量信号により示される第1受光量、及びステップ560の処理で取得された第2受光量信号により示される第2受光量の少なくとも一方が第1閾値以下の場合は、判定が否定されて、ステップ564へ移行する。ステップ562において、ステップ556の処理で取得された第1受光量信号により示される第1受光量、及びステップ560の処理で取得された第2受光量信号により示される第2受光量が共に、第1閾値を超えている場合は、判定が肯定されて、ステップ568へ移行する。
なお、本ステップ562において判定が肯定される場合とは、光軸L1と外周面126c1との位置関係が正常な位置関係でない場合を意味する。本ステップ562において判定が肯定される場合とは、換言すると、一例として図24及び図25に示すように、光軸L1と段差外周面126c3との距離が第1基準距離よりも長い異常長距離である場合を意味する。
ステップ564で、実行部82は、ステップ556の処理で取得された第1受光量信号により示される第1受光量、及びステップ560の処理で取得された第2受光量信号により示される第2受光量が共に、第2閾値未満か否かを判定する。
第2閾値とは、例えば、実機による試験又はコンピュータ・シミュレーション等により、光軸L1と段差外周面126c3との間の距離が異常短距離となった場合の受光量として予め定められた受光量に相当する値を指す。ここで、異常短距離とは、光軸L1と段差外周面126c3との間の異常な距離であって、一例として図26及び図27に示す第2基準距離よりも短い距離を指す。
なお、ここでは、第2基準距離として、一例として図26及び図27に示すように、光Lのうちの99%程度の光が遮光される場合の光軸L1と段差外周面126c3との距離が採用されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2基準距離として、光Lの全てが遮光される場合の光軸L1と段差外周面126c3との距離であってもよい。このように、光Lが全体的に遮光される場合、すなわち、光Lの大よそ全体が遮光される場合の光軸L1と段差外周面126c3との距離であればよい。
ステップ564において、ステップ556の処理で取得された第1受光量信号により示される第1受光量、及びステップ560の処理で取得された第2受光量信号により示される第2受光量が共に、第2閾値以上の場合は、判定が否定されて、ステップ566へ移行する。ステップ564において、ステップ556の処理で取得された第1受光量信号により示される第1受光量、及びステップ560の処理で取得された第2受光量信号により示される第2受光量が共に、第2閾値未満の場合は、判定が肯定されて、ステップ568へ移行する。
なお、本ステップ564において判定が肯定される場合とは、光軸L1と外周面126c1との位置関係が正常な位置関係でない場合を意味する。本ステップ564において判定が肯定される場合とは、換言すると、一例として図26及び図27に示すように、光軸L1と段差外周面126c3との距離が第2基準距離よりも短い異常短距離である場合を意味する。
ステップ566で、実行部82は、受光量差の絶対値が第3閾値未満か否かを判定する。ここで、受光量差の絶対値とは、ステップ556の処理で取得された第1受光量信号により示される第1受光量と、ステップ560の処理で取得された第2受光量信号により示される第2受光量との差の絶対値を指す。
第3閾値とは、例えば、実機による試験又はコンピュータ・シミュレーション等により、段差外周面126c3に対する光軸L1の傾きが異常な傾きとなった場合の受光量差の絶対値として予め定められた受光量差の絶対値を指す。ここで、異常な傾きとは、一例として図28〜図32に示すように、光軸L1と段差外周面126c3との平行性が許容範囲を超えて失われた状態の段差外周面126c3に対する光軸L1の傾きを指す。また、平行性が許容範囲を超えて失われた状態とは、例えば、検出部80による最外周面126c2からの用紙114の浮きの検出の精度が許容不可能な精度になってしまう程度に光軸L1と段差外周面126c3との平行性が失われた状態を指す。
なお、受光量差の絶対値は、本発明に係る比較結果及び本発明に係る「第1受光結果と第2受光結果との相違の度合い」の一例であり、第3閾値は、本発明に係る閾値の一例である。本発明に係る比較結果とは、最外周面126c2に用紙114を支持していない状態での第1受光量と第2受光量とを比較した結果を意味する。
また、本実施形態では、本発明に係る「第1受光結果と第2受光結果との相違の度合い」の一例として受光量差の絶対値が採用されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1受光量に対する第2受光量の割合、又は第1受光量と第2受光量との和に対する第2受光量の割合等であってもよい。
ステップ566において、受光量差の絶対値が第3閾値未満の場合は、判定が肯定されて、ステップ576へ移行する。ステップ566において、受光量差の絶対値が第3閾値以上の場合は、判定が否定されて、ステップ568へ移行する。
なお、本ステップ566において判定が否定される場合とは、光軸L1と外周面126c1との位置関係が正常な位置関係でない場合を意味する。本ステップ566において判定が否定される場合とは、換言すると、一例として図28〜図32に示すように、光軸L1と段差外周面126c3との平行性が許容範囲を超えて失われた場合を意味する。
ステップ568で、先ず、実行部82は、ステップ556の処理で取得された第1受光量信号により示される第1受光量、及びステップ560の処理で取得された第2受光量信号により示される第2受光量に対応する調節用パラメータを調節用テーブル72から取得する。ステップ568で、次に、実行部82は、調節用テーブル72から取得した調節用パラメータに従って調節機構530を作動させることで、光軸L1と外周面126c1との位置関係の正常な位置関係への調節を開始させ、その後、ステップ570へ移行する。
なお、ここでは、調節機構530を作動させることで、光軸L1と外周面126c1との位置関係が正常な位置関係に調節される場合を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ステップ562において判定が肯定された場合、及びステップ564において判定が肯定された場合の本ステップ566では、調節機構530を作動させることで、光軸L1と外周面126c1との位置関係が、第1及び第2受光量が第2閾値以上かつ第1閾値以下の範囲内に収まる位置関係に調節されるようにしてもよい。
また、例えば、ステップ566において判定が否定された場合の本ステップ568では、調節機構530を作動させることで、光軸L1と外周面126c1との位置関係が、受光量差の絶対値が小さくなる位置関係に調節されるようにしてもよい。これらの場合、光軸L1と外周面126c1との位置関係が正常な位置関係に調節されていない可能性があるので、仕上げ作業として、光軸L1と外周面123c1との位置関係を正常な位置関係に調節する手作業が行われることが好ましい。
なお、本ステップ568の処理は、本発明に係る調節処理の一例である。本発明に係る調節処理とは、ステップ566において判定が否定された場合に調節機構530を作動させることで、光軸L1と外周面126c1との位置関係を、受光量差の絶対値が小さくなる位置関係に調節する処理を指す。
ステップ570で、実行部82は、一例として図33に示すように、表示デバイス52に対して、異常メッセージ52Aの表示を開始させ、その後、ステップ572へ移行する。図33に示す例では、異常メッセージ52Aとして、「圧胴の外周面と光センサの光軸との位置関係が異常です。」とのメッセージが採用されている。本ステップ570の処理は、本発明に係る位置関係異常報知処理の一例である。
なお、図33に示す例では、異常メッセージ52Aが可視表示される場合を示しているが、音声再生装置(図示省略)による音声の出力等の可聴表示又はインクジェット記録装置100による印刷物の出力等の永久可視表示を可視表示に代えて行ってもよい。また、可視表示、可聴表示、及び永久可視表示を選択的に併用してもよい。
また、本実施形態では、異常メッセージ52Aが採用されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、光軸L1と外周面126c1との位置関係が異常であることをユーザに報知可能なメッセージであれば如何なるメッセージであってもよい。
ステップ572で、実行部82は、光軸L1と外周面126c1との位置関係の調節が終了したか否かを判定する。ステップ572において、光軸L1と外周面126c1との位置関係の調節が終了していない場合は、判定が否定されて、ステップ572の判定が再び行われる。ステップ572において、光軸L1と外周面126c1との位置関係の調節が終了した場合は、判定が肯定されて、ステップ574へ移行する。
ステップ574で、実行部82は、ステップ572において判定が肯定された後、予め定められた時間(例えば、30秒)が経過してから、表示デバイス52に対して、異常メッセージ52Aの表示を終了させ、その後、ステップ576へ移行する。
ステップ576で、実行部82は、保守処理を終了する条件である保守処理終了条件を満足したか否かを判定する。保守処理終了条件の一例としては、受付デバイス50によって、保守処理を終了する指示が受け付けられたとの条件、又は、保守処理が開始されてから既定時間(例えば、30分)が経過したとの条件等が挙げられる。
ステップ576において、保守処理終了条件を満足していない場合は、判定が否定されて、ステップ554へ移行する。ステップ576において、保守処理終了条件を満足した場合は、判定が肯定されて、ステップ578へ移行する。
ステップ578で、実行部82は、モータドライバ66を介してモータ544の駆動を停止させることで圧胴等の回転を終了させ、その後、保守処理を終了する。
以上説明したように、インクジェット記録装置100は、外周面126c1、検出部80、及び遮光部460を備えている。外周面126c1は、最外周面126c2及び段差外周面126c3を有する。最外周面126c2からの用紙114の浮きは、検出部80によって検出される。遮光部460は、第1遮光部材460A及び第2遮光部材460Bを有している。光軸L1と外周面126c1との位置関係が正常な位置関係の場合に光Lの一部は、第1遮光部材460A及び第2遮光部材460Bの各々によって遮光される。第1遮光部材460Aは、外周面126c1において、用紙幅方向の一端側に配置されており、第2遮光部材460Bは、外周面126c1において、用紙幅方向の他端側に配置されている。また、第1遮光部材460A及び第2遮光部材460Bは、外周面126c1において、用紙搬送方向で離間した位置に配置されている。
従って、インクジェット記録装置100によれば、遮光部460を有しない場合に比べ、光軸L1と外周面126c1との位置関係の高精度な検出に寄与することができる。
また、インクジェット記録装置100では、透過型の光センサ400が用いられる。光センサ400に含まれる投光部400A及び受光部400Bは、用紙幅方向で用紙114の搬送経路を跨ぐ位置に配置され、検出部80により、受光部400Bでの受光結果に基づいて用紙114の最外周面126c2からの浮きが検出される。
従って、インクジェット記録装置100によれば、反射型の光センサを用いる場合に比べ、光軸L1と外周面126c1との位置関係の高精度な検出に寄与することができる。
また、インクジェット記録装置100では、第1遮光部材460Aは、用紙幅方向において、受光部400Bよりも投光部400A側に配置されている。また、第2遮光部材460Bは、用紙幅方向において、投光部400Aよりも受光部400B側に配置されている。
従って、インクジェット記録装置100によれば、第1遮光部材460A及び第2遮光部材460Bの両方が用紙搬送方向の沿って同一直線上に配置される場合に比べ、外周面126c1に対する光軸L1の傾きの高精度な検出に寄与することができる。
また、インクジェット記録装置100では、用紙114が、最外周面126c2により、用紙搬送方向で離間して複数支持された状態で搬送され、遮光部460が、用紙114間の領域に配置されている。
従って、インクジェット記録装置100によれば、外周面126c1における用紙搬送方向の位置のうち、用紙114が位置する領域に対応する位置に遮光部460が配置される場合に比べ、光軸L1と外周面126c1との位置関係のずれの検出に対する用紙114の影響を軽減することができる。なお、ここで言う「用紙114の影響」とは、例えば、用紙114の下地色による影響、及び用紙114が搬送されている状態で用紙114の表面上に発生する風の影響等を指す。
また、インクジェット記録装置100では、段差外周面126c3において、受光部400Bよりも投光部400A側に第1遮光部材460Aが配置され、投光部400Aよりも受光部400B側に第2遮光部材460Bが配置されている。
従って、インクジェット記録装置100によれば、最外周面126c2に第1遮光部材460A及び第2遮光部材460Bが配置される場合に比べ、光軸L1と外周面126c1との位置関係のずれの検出に対する用紙114の影響を軽減することができる。
また、インクジェット記録装置100では、グリッパ125による用紙114の保持状態が解除された場合にグリッパ125が凹部308に退避される。第1遮光部材460A及び第2遮光部材460Bは、グリッパ125の退避領域として利用される凹部308の底面である段差外周面126c3に配置されている。
従って、インクジェット記録装置100によれば、第1遮光部材460A及び第2遮光部材460Bの配置スペースを新たに増設する場合に比べ、搬送装置20の大型化、ひいてはインクジェット記録装置100の大型化を抑制することができる。
また、インクジェット記録装置100では、実行部82により、第1受光量と第2受光量との比較結果に応じた処理が実行される(ステップ568,570参照)。
従って、インクジェット記録装置100によれば、第1受光量と第2受光量との比較結果に応じて人為的な処理がなされる場合に比べ、第1受光量と第2受光量との比較結果に応じた処理を、手間をかけずに実行することができる。
また、インクジェット記録装置100では、最外周面126c2が用紙114を支持していない状態での第1受光量と第2受光量との比較結果に応じた処理が実行される(ステップ568,570参照)。
従って、インクジェット記録装置100によれば、第1受光量と第2受光量との比較結果として用紙114の影響を受けずに得られた比較結果に応じた処理を実行することができる。
また、インクジェット記録装置100では、受光量差の絶対値が第3閾値以上の場合に異常メッセージ52Aが表示される(ステップ570参照)。
従って、インクジェット記録装置100によれば、受光量差の絶対値が第3閾値以上の場合に何ら報知がなされない場合に比べ、光軸L1と外周面126c1との位置関係が異常であることをユーザに容易に認識させることができる。
また、インクジェット記録装置100では、受光量差の絶対値が第3閾値以上の場合に調節機構530を作動させることで光軸L1と外周面126c1との位置関係が調節される(ステップ568参照)。
従って、インクジェット記録装置100によれば、受光量差の絶対値が第3閾値以上の場合に調節機構530が作動されない場合に比べ、光軸L1と外周面126c1との位置関係の正常な位置関係からの乖離を、手間をかけずに解消することができる。
更に、インクジェット記録装置100では、第1受光量が第2閾値未満であり、かつ、第2受光量も第2閾値未満の場合に、光軸L1と外周面126c1との距離が異常な状態で実行される処理として予め定められた処理が実行される(ステップ568,570)。
従って、インクジェット記録装置100によれば、第1受光量及び第2受光量に基づいて光軸L1と外周面126c1との距離が以上であるか否かが人為的に判断され、判断結果に基づく処理が人為的に行われる場合に比べ、光軸L1と外周面126c1との距離が異常な状態で実行される処理として予め定められた処理を、手間をかけずに実行することができる。
なお、上記実施形態では、用紙114が最外周面126c2に支持されていない状態で圧胴等が回転される場合、すなわち、用紙114が搬送されない場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図21に示す保守処理に代えて図34に示す保守処理が実行されるようにしてもよい。
図34に示す保守処理は、図21に示す保守処理に比べ、ステップ550,552に代えてステップ600を有する点、及びステップ578を除去した点が異なる。
図34に示す保守処理では、ステップ600で、検出部80は、給紙部102を作動させ、かつ、モータ544を駆動させることで用紙114の搬送を開始させ、その後、ステップ554へ移行する。用紙114の搬送は、モータ544を駆動させることで圧胴等を前述の既定の速度で回転させた状態で給紙部102から圧胴等に用紙114が供給されることで実現される。
また、図34に示す保守処理に代えて図35に示す保守処理が実行されるようにしてもよい。
図35に示す保守処理は、図34に示す保守処理に比べ、ステップ566,576に代えてステップ650,652を有する点が異なる。図35に示す保守処理は、図34に示す保守処理に比べ、ステップ568に代えてステップ654を有する点、及びステップ572に代えてステップ656を有する点が異なる。
図35に示す保守処理では、ステップ650で、実行部82は、受光量差の絶対値が第3閾値未満か否かを判定する。ステップ650において、受光量差の絶対値が第3閾値未満の場合は、判定が肯定されて、ステップ652へ移行する。ステップ650において、受光量差の絶対値が第3閾値以上の場合は、判定が否定されて、ステップ654へ移行する。
ステップ654で、実行部82は、給紙部102の作動を停止させ、かつ、モータ54の駆動を停止させることで、用紙114の搬送を中止させ、その後、ステップ570へ移行する。なお、本ステップ654の処理は、本発明に係る中止処理の一例である。
ステップ656で、実行部82は、異常メッセージ52Aの表示を終了する条件である表示終了条件を満足したか否かを判定する。表示終了条件の一例としては、受付デバイス50によって異常メッセージ52Aの表示を終了する指示が受け付けられたとの条件、又は、異常メッセージ52Aの表示が開始されてから既定時間(例えば、30分)が経過したとの条件等が挙げられる。
ステップ656で、実行部82は、表示終了条件を満足したか否かを判定する。ステップ656において、表示終了条件を満足していない場合は、判定が否定されて、ステップ656の判定が再び行われる。ステップ656において、表示終了条件を満足した場合は、判定が肯定されて、ステップ574へ移行する。
ステップ652で、実行部82は、保守処理終了条件を満足したか否かを判定する。ステップ652において、保守処理終了条件を満足していない場合は、判定が否定されて、ステップ554へ移行する。ステップ652において、保守処理終了条件を満足した場合は、判定が肯定されて、保守処理を終了する。
このように、図35に示す保守処理が実行されると、光軸L1と外周面126c1との位置関係が異常な位置関係の場合に用紙114の搬送が強制的に中止される。従って、図35に示す保守処理が実行された場合のインクジェット記録装置100によれば、光軸L1と外周面126c1との位置関係が異常な位置関係であるにも拘わらず用紙114が搬送されることを回避することができる。
また、図35に示す例では、受光量差の絶対値が第3閾値よりも小さい場合(ステップ650:N)にステップ654の処理及びステップ570の処理が実行される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、受光量差の絶対値が第3閾値よりも小さい場合(ステップ650:N)に、図34に示すステップ568の処理が更に実行されるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、最外周面126c2及び段差外周面126c3を有する外周面126c1を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図36に示すように、図1に示す圧胴126cに代えて圧胴700を適用してもよい。圧胴700は、圧胴126cに比べ、外周面126c1に代えて外周面702を有する点が異なる。外周面702は、外周面126c1に比べ、最外周面126c2及び段差外周面126c3を有しない点が異なる。すなわち、外周面702は、段差を有しない外周面である。なお、外周面702は、本発明に係る移動面の一例である。
外周面702は、用紙搬送方向に沿って複数の用紙支持面702Aと複数の非用紙支持面702Bとを有する。本発明に係る支持面の一例である用紙支持面702Aは、用紙114を支持する。非用紙支持面702Bには、グリッパ(図示省略)が設けられており、グリッパによって用紙114が用紙支持面702Aに保持される。また、非用紙支持面702Bには、遮光部710が配置されている。
遮光部710は、第1遮光部材710A及び第2遮光部材710Bを有する。第1遮光部材710A及び第2遮光部材710Bは共に、投光部400Aにより投光された光Lの一部を遮光する。ここで、光Lの一部とは、例えば、投光部400Aにより投光された光Lのうちの75%程度の光を指す。
第1遮光部材710A及び第2遮光部材710Bは共に、光Lの外径よりも面積が大きい側面を有する四角柱状とされており、非用紙支持面702Bに突設されている。第1遮光部材710Aの高さ及び第2遮光部材710Bの高さは揃っており、第1遮光部材710Aの頂面710A1及び第2遮光部材710Bの頂面710B1は共に、外周面702よりも高く、図1に示すインク吐出面αよりも低い。
第1遮光部材710Aは、外周面702の用紙幅方向における一端側に配置され、第2遮光部材710Bは、外周面702の用紙幅方向における他端側に配置されている。
ここで、外周面702の用紙幅方向における一端側とは、投光部400A及び受光部400Bのうちの投光部400A側を指す。また、外周面702の用紙幅方向における他端側とは、投光部400A及び受光部400Bのうちの受光部400B側を指す。
従って、図36に示す例では、第1遮光部材710Aが、外周面702において、受光部400Bよりも投光部400A側に配置されている。また、図36に示す例では、第2遮光部材710Bは、外周面702において、投光部400Aよりも受光部400B側に配置されている。
なお、図36に示す例では、第1遮光部材710Aが、受光部400Bよりも投光部400A側に配置され、第2遮光部材710Bが、投光部400Aよりも受光部400B側に配置されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、外周面702において、投光部400Aよりも受光部400B側に第1遮光部材710Aが配置され、受光部400Bよりも投光部400A側に第2遮光部材710Bが配置されるようにしてもよい。
また、図36に示す例では、外周面702の用紙幅方向の長さが用紙114の幅と同一の圧胴700を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図36に示す圧胴700に代えて図37に示す圧胴800を適用してもよい。
図37に示す圧胴800は、図36に示す圧胴700に比べ、外周面702よりも用紙幅方向に幅広の外周面802を有する点が異なる。
外周面802は、用紙搬送方向に沿って複数の用紙支持面802Aと複数の非用紙支持面802Bとを有する。また、外周面802には、外周面702によりも幅広となった分のスペースに遮光部710が立設されている。
非用紙支持面802Bは、用紙幅方向で用紙114を跨いだ位置に面802B1,802B2を有しており、面802B1には、第1遮光部材710Aが立設されており、面802B2には、第2遮光部材710Bが立設されている。図37に示す第1遮光部材710Aは、図36に示す第1遮光部材710Aに比べ、図36に示す第1遮光部材710Aよりも投光部400A寄りに配置されている点が異なる。また、図37に示す第2遮光部材710Bは、図36に示す第2遮光部材710Bに比べ、図36に示す第2遮光部材710Bよりも受光部400B寄りに配置されている点が異なる。
また、図37に示す例では、非用紙支持面802Bの面802B1に第1遮光部材710Aが立設され、非用紙支持面802Bの面802B2に第2遮光部材710Bが立設されている場合について示したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図38に示すように、用紙支持面802Aのうちの用紙114を跨いだ位置に第1遮光部材710A及び第2遮光部材710Bが立設されるようにしてもよい。これにより、図36に示すように非用紙支持面702Bに第1遮光部材710A及び第2遮光部材710Bが配置される場合に比べ、用紙搬送方向における用紙114間の間隔を縮めることができる。また、カット紙である用紙114に代えて連長紙が搬送される場合にも第1遮光部材710A及び第2遮光部材710Bを利用することが可能となる。
また、上記実施形態では、透過型の光センサ400を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図39に示すように、透過型の光センサ400に代えて反射型の光センサ840を用いてもよい。
一例として図39に示すように、光センサ840は、センサ本体部840A及び反射板840Bを有する。ブラケット534Bには、図13に示す投光部400Aに代えてセンサ本体部840Aが固定されており、ブラケット534Bには、図13に示す受光部400Bに代えて反射板840Bが固定されている。
センサ本体部840Aは、投光部840A1及び受光部840A2を有する。投光部840A1は、反射板840Bに対して光LDを投光し、光LDが反射板840Bで反射されて得られた反射光LRが受光部840A2によって受光される。
従って、図39に示す構成例では、最外周面126c2からの用紙114の浮きの検出は、受光部840A2での受光結果に基づいて行われる。また、保守処理が実行された場合には、検出部80により、受光部840A2から第1受光量信号及び第2受光量信号が取得され、実行部82により、第1受光量信号と第2受光量信号との比較結果に応じた処理が実行される。
このように、光センサ400に代えて光センサ840が採用された場合であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施形態では、圧胴126cを対象として、最外周面126c2からの用紙114の浮きの検出、及び保守処理が行われる場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、圧胴126c以外の圧胴、給紙胴124a、渡し胴、及び排紙胴150のうちの2つ以上を対象として、圧胴等の最外周面からの用紙114の浮きの検出、及び保守処理が行われるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、圧胴等により用紙114が搬送される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ベルトによって用紙114が保持されて搬送される場合であっても本発明は成立する。この場合、例えば、ベルトの用紙幅方向の外側で上記実施形態と同様に光センサ400及び遮光部460が配置されるようにすればよい。
また、上記実施形態では、第1受光量と第2受光量との関係に基づいて調節用テーブル72から調節用パラメータが導出される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、調節用テーブル72に代えて、第1受光部及び第2受光量を独立変数とし、調節用パラメータを従属変数とする調節用演算式から調節用パラメータが導出されるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、調節用テーブル72から調節用パラメータのみが導出される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、調節用テーブル72から傾きも導出されるようにしてもよい。ここで言う「傾き」とは、外周面126c1に対する光軸L1の傾きを指す。この場合、例えば、調節用テーブル72において、第1受光量及び第2受光量の組み合わせ毎に、第1受光量及び第2受光量に対して傾きが対応付けられていればよい。第1受光量及び第2受光量に対して対応付けられる傾きは、例えば、実機による試験又はコンピュータ・シミュレーション等により、第1受光量及び第2受光量に対応する傾きとして予め得られた傾きであればよい。
また、調節用テーブル72で傾きを規定するのではなく、調節用テーブル72とは別のテーブルで傾きを規定してもよい。また、第1受光部及び第2受光量を独立変数とし、傾きを従属変数とする傾き導出用演算式から傾きが導出されるようにしてもよい。
また、導出された傾きが表示デバイス52に表示されるようにしてもよい。なお、本発明は、表示デバイス52により傾きが可視表示される場合に限定されるものではない。例えば、音声再生装置(図示省略)による音声の出力等の可聴表示又はインクジェット記録装置100による印刷物の出力等の永久可視表示を可視表示に代えて行ってもよい。また、可視表示、可聴表示、及び永久可視表示を選択的に併用してもよい。
また、上記実施形態では、調節用テーブル72から導出された調節用パラメータが表示デバイス52に表示されていないが、本発明はこれに限定されるもではなく、導出された調節用パラメータが表示デバイス52に表示されるようにしてもよい。また、前述の第1受光量及び第2受光量に対応する傾きが導出された場合も、導出された傾きが表示デバイス52に表示されるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、コントローラ10の制御下で調節機構530を作動させることで光軸L1と外周面126c1との位置関係を調節する場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、手作業で調節するようにしてもよい。この場合、受光部400Bでの第1受光量及び第2受光量に基づく情報が手作業を行う際に参照される情報として表示デバイス52に表示されるようにすることが好ましい。
ここで、受光部400Bでの第1受光量及び第2受光量に基づく情報とは、例えば、調節用パラメータ、並びに、外周面126c1に対する光軸L1の傾き等を指す。
また、上記実施形態では、第1基準距離として光Lが全体的に遮光されない場合の光軸L1と段差外周面126c3との距離を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、光軸L1と外周面126c1との位置関係が正常な位置関係の場合の遮光状態よりも程度の低い遮光状態として予め定められた遮光状態での光軸L1と段差外周面126c3との距離であってもよい。
また、上記実施形態では、第2基準距離として光Lが全体的に遮光される場合の光軸L1と段差外周面126c3との距離を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、光軸L1と外周面126c1との位置関係が正常な位置関係の場合の遮光状態よりも程度の高い遮光状態として予め定められた遮光状態での光軸L1と段差外周面126c3との距離であってもよい。
また、上記実施形態では、光センサ400の位置が調節されることで光軸L1と外周面126c1との位置関係が調節される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、圧胴126cの位置が調節されることで光軸L1と外周面126c1との位置関係が調節されるようにしてもよい。この場合、例えば、圧胴126cの両端部の各軸受けに送りねじ等による昇降機構(図示省略)を取り付ける。そして、軸受けに取り付けられた昇降機構を作動させて圧胴126cの軸線の高さ及び傾き等を調節することで光軸L1と外周面126c1との位置関係を調節するようにしてもよい。また、光センサ400及び圧胴126cの両方を動かすことで光軸L1と外周面126c1との位置関係を調節するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、光軸L1と外周面126c1との位置関係が正常な位置関係の状態において光Lの一部が遮光部460によって遮光される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、光軸L1と外周面126c1との位置関係が正常な位置関係の状態において、図26及び図27に示すように、光Lの全てが第1遮光部材460A及び第2遮光部材460Bの各々によって遮光されるようにしてもよい。このような構成であっても、第1受光量と第2受光量との間で不均衡が生じた場合には、光軸L1と外周面126c1との平行性が損なわれたと判定することができる。また、第1受光量と第2受光量との各々が非遮光状態での光Lの受光量に相当する場合には、光軸L1と外周面126c1との距離が異常である、すなわち、光軸L1が外周面126c1に対して高過ぎる位置にあると判定することができる。なお、ここで言う「高過ぎる」とは、光軸L1と外周面126c1との位置関係が正常な位置関係の場合の最外周面126c2に対する光軸L1の高さよりも高いことを意味する。
また、上記実施形態では、インクジェット記録装置100を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、画像を光学的に読み取る読取センサを有する画像読取装置に対しても本発明は適用可能である。すなわち、読取センサによる読取位置に画像が記録された用紙を搬送する装置として、上記実施形態に係る搬送装置20又は搬送装置20に相当する搬送装置を用いることが可能である。
また、上記実施形態では、搬送対象として用紙114を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、フレキシブル基板又はカラーフィルタ等の媒体であってもよく、支持面に支持された状態で搬送され、かつ、搬送過程で支持面からの浮きを光学的に検出することを要する媒体であればよい。
また、上記実施形態では、遮光部460を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、遮光部460に代えて、図40に示す遮光部850又は図41に示す遮光部880を用いてもよい。
図40に示す遮光部850は、第1遮光片850A及び第2遮光片850Bを有する。第1遮光片850Aは、図11に示す第1遮光部材460Aと同様の機能を有し、第2遮光片850Bは、図11に示す第2遮光部材460Bと同様の機能を有する。
第1遮光片850A及び第2遮光片850Bは、凹部308を隔てて、隣接する最外周面126c2の端部に突設されている。第1遮光片850Aの頂面850A1及び第2遮光片850Bの頂面850B1の高さは揃っており、かつ、図11に示す第1遮光部材460Aの頂面460A1及び第2遮光部材460Bの頂面460B1の高さと同一である。なお、遮光部850は、最外周面126c2と一体成型されてもよいし、最外周面1267c2と別体で形成されてもよい。
図41に示す遮光部880は、第1遮光部材880A及び第2遮光部材880Bを有する。第1遮光部材880Aは、図11に示す第1遮光部材460Aと同様の機能を有し、第2遮光部材880Bは、図11に示す第2遮光部材460Bと同様の機能を有する。
第1遮光部材880Aは、凹部308の側壁面882,884のうち、用紙搬送方向の下流側の側壁面882に設けられている。第1遮光部材880Aは、用紙幅方向から見て基端から先端にかけてL字状に屈曲した形状とされており、第1遮光部材880Aの基端は側壁面882に固定されている。
第2遮光部材880Bは、凹部308の側壁面882,884のうち、用紙搬送方向の上流側の側壁面884に設けられている。第2遮光部材880Bは、基端から先端にかけて用紙幅方向から見てL字状に屈曲した形状とされており、第2遮光部材880Bの基端は側壁面882に固定されている。
第1遮光部材880Aの頂面880A1及び第2遮光部材880Bの頂面880B1の高さは揃っており、かつ、図11に示す第1遮光部材460Aの頂面460A1及び第2遮光部材460Bの頂面460B1の高さと同一である。
また、上記実施形態では、断面形状が円形状の光Lを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、断面形状が長方形又は正方形の光であってもよい。
また、上記実施形態では、保守プログラム70を二次記憶部44から読み出す場合を例示したが、これはあくまでも一例である。例えば、図42に示すように、SSD(Solid State Drive)又はUSBメモリなどの任意の可搬型の記憶媒体900に先ずは保守プログラム70を記憶させておいてもよい。この場合、記憶媒体900の保守プログラム70がコントローラ10にインストールされ、インストールされた保守プログラム70がコントローラ10のCPU40によって実行される。
また、通信I/F54を介してコントローラ10に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶部に保守プログラム70を記憶させておき、保守プログラム70がコントローラ10の要求に応じてダウンロードされるようにしてもよい。この場合、ダウンロードされた保守プログラム70がCPU40によって実行される。
また、上記実施形態で説明した保守処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。また、保守処理に含まれる各処理は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field−Programmable Gate Array)等のハードウェア構成のみで実現されてもよい。また、保守処理に含まれる各処理は、コンピュータを利用したソフトウェア構成とハードウェア構成との組み合わせで実現されてもよい。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
媒体を支持する支持面であって、媒体を支持した状態で動力を受けて移動することにより媒体を搬送する支持面と、媒体の搬送方向で支持面に隣接する段差面であって、支持面よりも凹んだ位置で搬送方向に沿って移動する段差面とのうちの少なくとも支持面を有する移動面と、
透過型又は反射型の光センサを有する検出部であって、光センサによる受光結果に応じて媒体の支持面からの浮きを検出する検出部と、
光センサにより投光された光の光軸と移動面との位置関係が正常な位置関係の場合に光の少なくとも一部を遮光する第1遮光部材及び第2遮光部材を有する遮光部であって、移動面において、媒体における搬送方向に交差する幅方向で、第1遮光部材が一端側に配置され、移動面において、幅方向で、第2遮光部材が他端側に配置され、移動面において、媒体の搬送方向で、第1遮光部材と第2遮光部材とが離間した位置に配置された遮光部と、
を含む搬送装置。
(付記2)
受光結果は、第1遮光部材による遮光の程度を示す第1受光結果と第2遮光部材による遮光の程度を示す第2受光結果とを含み、
第1受光結果と第2受光結果に基づいて、光の光軸と移動面との位置関係の正常な位置関係への調節に要する調節用パラメータを導出する導出部を更に含む付記1に記載の搬送装置。
(付記3)
導出部は、第1受光結果と第2受光結果に基づいて、移動面に対する光軸の傾きを更に導出する付記2に記載の搬送装置。
(付記4)
導出部による導出結果が表示部により表示される付記2又は付記3に記載の搬送装置。
(付記5)
第1遮光部材及び第2遮光部材の各々は、光センサにより投光された光の光軸と移動面との位置関係が正常な位置関係の場合に光センサにより投光された光の全てを遮光し、
受光結果は、第1遮光部材による遮光の程度を示す第3受光結果と第2遮光部材による遮光の程度を示す第4受光結果とを含み、
搬送方向において第1遮光部材が光センサの位置に到達したタイミングでの第3受光結果により示される第1遮光部材による遮光の程度、及び搬送方向において第1遮光部材が光センサの位置に到達したタイミングでの第4受光結果により示される第2遮光部材による遮光の程度が共に、光センサにより投光された光が全体的に非遮光とされた状態の遮光の程度に相当する場合に、光の光軸と移動面との距離が異常な状態で実行される処理として予め定められた処理を実行する実行部を更に含む付記1から付記4の何れか1つに記載の搬送装置。