JP2017165020A - 発泡成形品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】主に、シール部からの発泡体などの漏れをより効果的に防止し得るようにする。【解決手段】表皮材2と芯材3との間に発泡層4を有する発泡成形品5に関する。表皮材2の縁部に設けられた第一のシール用フランジ部11と、芯材3の縁部近傍に設けられた第二のシール用フランジ部12とが、互いに逆向きに圧接されてシール部13を構成する。第一のシール用フランジ部11または第二のシール用フランジ部12に、複数本の凹溝部21〜23が設けられる。複数本の凹溝部21〜23が互いに連結溝24,25によって連結されるようにしている。【選択図】図4
Description
この発明は、発泡成形品およびその製造方法に関するものである。
例えば、自動車などの車両には、車室内の前部に、図5に示すようなインストルメントパネル1が設置されている。このインストルメントパネル1には、図6に示すように、表皮材2と芯材3との間に発泡層4を有する発泡成形品5で構成された多層構造のものが存在している。
このような多層構造のインストルメントパネル1は、図7に示すように、発泡成形装置の下型6にセットされた表皮材2と、上型7にセットされた芯材3との間に、発泡層4の原料となる発泡液8を注入して型を閉じることで、発泡成形装置内で発泡液8を発泡させて発泡層4を形成すると共に、発泡層4が持つ接着力によって表皮材2と芯材3とを接着して一体化させるようにする発泡成形によって製造されている。
そして、特許文献1の場合、図8に示すように、発泡成形時に、表皮材2の縁部に設けられた第一のシール用フランジ部11と、芯材3の縁部近傍に設けられた第二のシール用フランジ部12とを、互いに逆向きに当接して発泡圧で圧接させることによってシール部13(自己シール)を形成し、このシール部13によって発泡液8や、発泡液8が発泡した流動性のある発泡体14などの漏れを防止させるようにしている(以上、特許文献1参照)。
このように、表皮材2の縁部と芯材3の縁部近傍などをシールした状態で発泡成形を行うことにより、発泡成形品5の縁部からの発泡層4のハミ出しが防げるので、品質の良い発泡成形品5を製造することが可能となる。また、縁部からの発泡層4のハミ出しのない発泡成形品5を製造することによって、後工程で発泡層4がハミ出した発泡成形品5の縁部をカットして形状を整えるなどの工程をなくすことができ、また、カットされた廃棄部分をリサイクルするなどの手間をなくすことができる。
しかしながら、上記特許文献1に記載された発泡成形手段には、以下のような問題があった。
即ち、発泡成形時に、表皮材2の縁部に設けられたシール用フランジ部11と、芯材3の縁部近傍に設けられシール用フランジ部12とを、互いに逆向きに当接して発泡圧で圧接させることによってシールを行わせるようにしているが、シール部13が一重であるため、シール状態がまだ十分ではなく、発泡体14などの漏れによる、発泡成形品5の縁部からの発泡層4のハミ出しを完全に防ぐことが困難であった。
そこで、特許文献1では、図9に示すように、表皮材2の第一のシール用フランジ部11に凹溝部15を設けて、シール部13から漏れようとする発泡体14などを途中の凹溝部15で捕集して、凹溝部15の延設方向へ導くことで、発泡体14などがシール部13を真っ直ぐに突き抜けることを防止するようにしていた。
しかし、凹溝部15が1本だけだと、発泡体14などが凹溝部15内に行き渡って充満した後などに、凹溝部15内に充満した発泡体14などが凹溝部15を越えてシール部13を突き抜けてしまうおそれが高く、1本の凹溝部15だけではまだ十分な漏れ防止効果を得ることができなかった。
そこで、本発明は、上記した問題点を解決することを、主な目的としている。
上記課題を解決するために、本発明は、
表皮材と芯材との間に発泡層を有する発泡成形品において、
前記表皮材の縁部に設けられた第一のシール用フランジ部と、前記芯材の縁部近傍に設けられた第二のシール用フランジ部とが、互いに逆向きに圧接されてシール部を構成していると共に、
前記第一のシール用フランジ部または第二のシール用フランジ部に、第一のシール用フランジ部または第二のシール用フランジ部に沿って複数本の凹溝部が設けられ、
該複数本の凹溝部が互いに連結溝によって連結されていることを特徴とする。
表皮材と芯材との間に発泡層を有する発泡成形品において、
前記表皮材の縁部に設けられた第一のシール用フランジ部と、前記芯材の縁部近傍に設けられた第二のシール用フランジ部とが、互いに逆向きに圧接されてシール部を構成していると共に、
前記第一のシール用フランジ部または第二のシール用フランジ部に、第一のシール用フランジ部または第二のシール用フランジ部に沿って複数本の凹溝部が設けられ、
該複数本の凹溝部が互いに連結溝によって連結されていることを特徴とする。
本発明によれば、上記構成によって、シール部からの発泡体などの漏れをより効果的に防止することができる。
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1〜図4は、この実施の形態を説明するためのものである。なお、基本的な構成については、図5〜図8のものと同様であるため、必要に応じ図5〜図8を用いて説明する。
図1〜図4は、この実施の形態を説明するためのものである。なお、基本的な構成については、図5〜図8のものと同様であるため、必要に応じ図5〜図8を用いて説明する。
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
例えば、自動車などの車両には、車室内の前部に、図5に示すようなインストルメントパネル1が設置されている。このインストルメントパネル1を、図6に示すような、表皮材2と芯材3との間に発泡層4を有する発泡成形品5で構成された多層構造のものとする。
このような多層構造のインストルメントパネル1は、発泡成形によって製造される。即ち、図7に示すように、発泡成形装置の下型6にセットされた表皮材2と、上型7にセットされた芯材3との間に、発泡層4の原料となる発泡液8を注入して型を閉じることで、発泡成形装置の成形空間内で発泡液8を発泡させて発泡層4を形成すると共に、発泡層4が持つ接着力によって表皮材2と芯材3とを接着して一体化させるようにする。製造されたインストルメントパネル1は、発泡層4の硬化後に発泡成形装置から取り出される。
そして、図8に示すように、発泡成形時に、表皮材2の縁部に設けられた第一のシール用フランジ部11と、芯材3の縁部近傍に設けられた第二のシール用フランジ部12とを、互いに逆向きに当接して発泡圧で圧接させることによってシール部13(自己シール)を形成し、このシール部13によって発泡液8や、発泡液8が発泡した流動性のある発泡体14などの漏れを防止させるようにする。
このように、表皮材2の縁部と芯材3の縁部近傍などをシールした状態で発泡成形を行うことにより、発泡成形品5の縁部からの発泡層4のハミ出しが防げるので、品質の良い発泡成形品5を製造することが可能となる。また、縁部近傍からの発泡層4のハミ出しのない発泡成形品5を製造することによって、後工程で発泡層4がハミ出した発泡成形品5の縁部近傍をカットして形状を整えるなどの工程がなくなり(または削減され)、また、カットされた廃棄部分をリサイクルするなどの手間をなくす(または削減する)ことができる。
なお、以上は、既に記載したものとほぼ同じである。
ここで、図5に示すように、上記したインストルメントパネル1は、少なくとも、その前縁部1aに、フロントデフ開口16を設けるための芯材露出部17を設けることができる。この芯材露出部17は車室内側から直接見えるものなので、芯材露出部17と表皮材2との境界部分(シール部13)については、品質要求が特に厳しくなっている。また、インストルメントパネル1の両側部1bについては、車体によって隠されるので、品質要求は余り厳しくない。更に、インストルメントパネル1の後縁部1cは、複雑な形状をしていると共に、サブパネルや化粧パネルなどによって覆い隠されるので、同じく品質要求は余り厳しくない。
そして、上記したシール部13の構造は、少なくとも、インストルメントパネル1の前縁部1aに対して設けられる。インストルメントパネル1の後縁部1cについては、上記したシール部13の構造を採用しないことが多い(勿論、採用しても良い)。インストルメントパネル1の両側部1bについては、上記したシール部13の構造を採用しても、採用しなくても良い。
そして、図8に示すように、表皮材2側の第一のシール用フランジ部11は、芯材3側の第二のシール用フランジ部12の内側に当接(面接触)される。第二のシール用フランジ部12は、芯材露出部17を有した状態で芯材3の縁部近傍に設けられる。但し、芯材露出部17を設けない場合には、第二のシール用フランジ部12は、芯材3の縁部に設けるようにしても良い。第一のシール用フランジ部11および第二のシール用フランジ部12は、表皮材2や芯材3に対し、芯材3の型抜方向へ向くように屈曲形成されている。
なお、第一のシール用フランジ部11は、第二のシール用フランジ部12の内側にセットし易いように、先細形状をした先細部11aとされている(図1参照)。
また、上記したように、芯材露出部17は、第二のシール用フランジ部12よりも外側の部分を延長して形成されているので、第二のシール用フランジ部12は、段差状のものとなっている。なお、インストルメントパネル1は発泡成形品5の一例であり、発泡成形品5は、インストルメントパネル1に限るものではない。
以上のような基本的な構成に対し、この実施例では、以下のような構成を備えるようにしている。
(1)図1、図2に示すように、上記第一のシール用フランジ部11または第二のシール用フランジ部12に、第一のシール用フランジ部11または第二のシール用フランジ部12に沿って複数本の凹溝部21〜23が設けられるようにする。
そして、この複数本の凹溝部21〜23が互いに連結溝24,25によって連結されるようにする。
そして、この複数本の凹溝部21〜23が互いに連結溝24,25によって連結されるようにする。
ここで、凹溝部21〜23は、第一のシール用フランジ部11に対して設けても良いし、第二のシール用フランジ部12に対して設けても良いし、または、両方に設けても良い。この場合には、第一のシール用フランジ部11の側に設けるようにしている。複数本の凹溝部21〜23は、互いに平行となるように設けるのが好ましい。この場合には、凹溝部21〜23は、3本設けるようにしているが、2本にしても、4本以上にしても良い。
図1では、凹溝部21〜23は、全て同じ太さで設けられている(凹溝部21=凹溝部22=凹溝部23)。また、凹溝部21〜23は、太さと深さがほぼ同じとされている。このように凹溝部21〜23の太さと深さをほぼ同じにすると、設計時に凹溝部21〜23の流動抵抗を設定・調整する上で便宜が良い。但し、凹溝部21〜23は、太さと深さを異ならせても良い。凹溝部21〜23は、角溝(例えば、四角溝や三角溝など)としても良いし、丸溝(例えば、半円溝や長円溝や楕円溝など)としても良い。この場合には、丸溝としている。なお、凹溝部21〜23間の間隔は、凹溝部21〜23の太さとほぼ同じ程度に設定されている。
連結溝24,25は、3本以上の凹溝部21〜23を同時に結ぶようなものとすることができる。この場合には、後述するように、隣接する2本の凹溝部21〜23間を結ぶようにしている。また、連結溝24,25は、凹溝部21〜23間を垂直に結ぶようにしている。連結溝24,25は、目的に応じて、凹溝部21〜23よりも太くしたり、凹溝部21〜23と同じ太さとしたり、凹溝部21〜23よりも細くしたりすることができる。この場合には、凹溝部21〜23と同じ太さにしている。
(2)または、図3、図4に示すように、上記複数本の凹溝部21〜23(凹溝部21a〜23a)は、製品表面側に位置するもの程細くなるようにしても良い(凹溝部21a>凹溝部22a>凹溝部23a)。
ここで、製品表面側は、表皮材2の場合、縁部から遠い側のことである。凹溝部21〜23は、0.3mm〜1.0mm程度の範囲内の太さとするのが好ましい。太さの下限値を0.3mm程度としたのは、凹溝部21〜23を0.1mm〜0.2mm程度以下の太さにすると、発泡体14などが通れなくなるからである。また、上限値を1.0mm程度としたのは、凹溝部21〜23を1.0mm程度以上の太さにすると、第一のシール用フランジ部11や第二のシール用フランジ部12のシール機能が低下されると共に、第一のシール用フランジ部11や第二のシール用フランジ部12に対して凹溝部21〜23を所要の本数だけ設けるのが困難になることなどによる。
(3)既に上記したが、連結溝24,25は、上記隣接する凹溝部21,22間および凹溝部22,23間を個別に連結するものとしても良い(個別連結溝)。
ここで、連結溝24,25は、所定の範囲ごとに、隣接する凹溝部21,22間および凹溝部22,23間に対して1本ずつ設けるようにするのが好ましい。例えば、図5のインストルメントパネル1の場合、前縁部1aと両側部1bと後縁部1cとに区画分けして、シール部13が設けられた各区画につき、隣接する凹溝部21,22間および凹溝部22,23間に対して1本ずつ設けるようにしている。但し、区画の分け方については、上記に限るものではなく、上記よりも広い区画に分けたり、狭い区画に分けたりすることができる。また、連結溝24,25は、隣接する凹溝部21,22間および凹溝部22,23間に対して1本以上設けるようにしても良い。
更に、発泡成形装置の成形空間側となる部分(例えば、表皮材2の縁部の先端)と、成形空間に最も近い凹溝部21との間に、成形空間内の発泡体14などの一部を凹溝部21〜23へ導入するための導入溝26を設けるようにしても良い。
(4)上記隣接する凹溝部21,22間および凹溝部22,23間を個別に連結する上記連結溝24,25は、上記連結する2本の凹溝部21,22および凹溝部22,23のうちの太いものよりも細くなるようにしても良い(凹溝部21>連結溝24、凹溝部22>連結溝25)。
ここで、連結する2本の凹溝部21,22および凹溝部22,23のうちの太いものよりも細い連結溝24,25は、細い方の凹溝部22,23よりも太くしたり(連結溝24>凹溝部22、連結溝25>凹溝部23)、細い方の凹溝部22,23と同じ太さにしたり(連結溝24=凹溝部22、連結溝25=凹溝部23)、細い方の凹溝部22,23よりも細くしたり(連結溝24<凹溝部22、連結溝25<凹溝部23)することができる。
このように、連結溝24,25を、細い方の凹溝部22,23よりも太くしたりまたは同じ太さにしたりすることで、発泡体14などを細い方の凹溝部22,23へスムーズに案内することが可能となる。また、連結溝24,25を、細い方の凹溝部22,23よりも細くすることで、発泡体14などを細い方の凹溝部22,23へ入り難く規制することが可能となる。即ち、連結溝24,25の太さによって、発泡体14などの流れをコントロールすることができる。なお、連結溝24,25は、太さが均一ではないものにすることもできる。また、上記した導入溝26についても、凹溝部21の太さとの関係で、太さを太くしたり、同じにしたり、細くしたり設定することができる。
(5)上記複数本の凹溝部21〜23に対して、上記連結溝24,25は、千鳥状に配置されるようにしても良い。
ここで、千鳥状に配置とは、連結溝24,25を、上記した区画の両端部またはその近傍の位置に対して交互に位置するように設置することである。なお、上記した導入溝26についても、連結溝24,25と共に千鳥状に配置しても良い。
(6)上記連結溝24,25は、上記凹溝部21〜23間を垂直に結ぶ線に対して傾斜されるようにしても良い(傾斜連結溝24a,25a)。
ここで、傾斜した連結溝24,25(傾斜連結溝24a,25a)は、出側の端部が、上記した区画の外側へ向くように傾斜させるようにしても、出側の端部が、上記した区画の内側へ向くように傾斜させるようにしても良い。そして、連結溝24,25を、出側の端部が区画の外側へ向くように傾斜させることによって、連結溝24,25を出た発泡体14などが、出側に位置する凹溝部22,23へ入って行き難くすることができる(流入規制形状)。反対に、連結溝24,25を、出側の端部が区画の内側へ向くように傾斜させることで、連結溝24,25を出た発泡体14などが、出側に位置する凹溝部22,23へ入って行き易くすることができる(流入促進形状)。この場合には、区画の外側へ向けて傾斜させるようにしている。
なお、上記した導入溝26についても、傾斜させても良い(傾斜導入溝26a)。
(7)以下、表皮材2と芯材3との間に発泡成形によって発泡層4を形成する発泡成形品5の製造方法について説明する。
上記表皮材2の縁部に設けた第一のシール用フランジ部11と、上記芯材3の縁部近傍に設けた第二のシール用フランジ部12とを互いに逆向きに当接させた状態で、発泡成形を行って発泡成形の発泡圧で第一のシール用フランジ部11と第二のシール用フランジ部12とを圧接させてシールを行う。
そして、上記第一のシール用フランジ部11または第二のシール用フランジ部12に設けた、第一のシール用フランジ部11または第二のシール用フランジ部12に沿って延びる複数本の凹溝部21〜23と、この複数本の凹溝部21〜23を互いに連結する連結溝24,25とによって、発泡層4を堰き止めて製品縁部における発泡層4のハミ出しを抑制する。
上記表皮材2の縁部に設けた第一のシール用フランジ部11と、上記芯材3の縁部近傍に設けた第二のシール用フランジ部12とを互いに逆向きに当接させた状態で、発泡成形を行って発泡成形の発泡圧で第一のシール用フランジ部11と第二のシール用フランジ部12とを圧接させてシールを行う。
そして、上記第一のシール用フランジ部11または第二のシール用フランジ部12に設けた、第一のシール用フランジ部11または第二のシール用フランジ部12に沿って延びる複数本の凹溝部21〜23と、この複数本の凹溝部21〜23を互いに連結する連結溝24,25とによって、発泡層4を堰き止めて製品縁部における発泡層4のハミ出しを抑制する。
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
インストルメントパネル1などのような多層構造の内装パネルは、表皮材2と芯材3との間の成形空間に、発泡成形によって発泡層4を形成することで製造される。
この際、表皮材2と芯材3の端末部分をシールした状態で発泡成形を行うことにより、発泡成形品5の縁部からの発泡層4のハミ出しがなくなるので、発泡成形品5の品質を向上することができると共に、発泡層4のハミ出し部分を除去する手間が不要になるため、コストを削減することができる。
そのために、上記したように、表皮材2の縁部に設けた第一のシール用フランジ部11と、芯材3の縁部近傍に設けた第二のシール用フランジ部12とが互いに逆向きに当接された状態で、発泡成形が行われる。これにより、発泡成形の発泡圧で第一のシール用フランジ部11と第二のシール用フランジ部12とが圧接されてシール部13(自己シール)となり、このシール部13によるシールが行われることになる。
この際、シール部13は一重であるため、発泡層4の原料となる発泡液8や、発泡液8が発泡した流動性のある発泡体14などが、(部分的に)シール部13を突き抜けて外部へ漏れるおそれがある。そこで、表皮材2の第一のシール用フランジ部11または芯材3の第二のシール用フランジ部12に凹溝部21〜23を設けた。これにより、シール部13から漏れようとする発泡体14などを途中の凹溝部21〜23で捕集し、凹溝部21〜23の延設方向へ導くことで、発泡体14などがシール部13を真っ直ぐに突き抜けることが防止される。
しかし、凹溝部21〜23が1本だけだと、発泡体14などが凹溝部21〜23内に行き渡って充満した後などに、凹溝部21〜23内に充満した発泡体14などが凹溝部21〜23を越えてシール部13を突き抜けてしまうおそれがあり、1本の凹溝部21〜23だけでは、まだ漏れ防止効果が十分でない。
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
(効果1)そこで、凹溝部21〜23を複数本設けると共に、複数本の凹溝部21〜23を連結溝24,25によって互いに連結させるようにした。
そして、成形空間内の発泡体14などが、(導入溝26を介して)凹溝部21へと導入されるようにした。凹溝部21が発泡体14などで充満されると、凹溝部21内に充満された発泡体14などは、連結溝24を介して凹溝部22へ導入されることになる。更に、凹溝部22が発泡体14などで充満されると、凹溝部22内に充満された発泡体14などは、連結溝25を介して凹溝部23へ導入されることになる。
これにより、凹溝部21〜23が増えた分だけ凹溝部21〜23の合計の長さが長くなるため、凹溝部21〜23に貯留可能な発泡体14などの量が増えると共に、凹溝部21〜23が発泡体14などに与える流動抵抗が大きくなって減勢効果が高くなるので、発泡体14などは凹溝部21〜23を越え難くなり、発泡体14などを、より確実に堰き止めて、シール部13から発泡体14などが漏れるのを効果的に抑制できるようになる。よって、発泡成形品5の縁部周辺における発泡層4のハミ出しを効果的に抑制することができる。
この際、凹溝部21〜23を複数本並設することで、発泡体14などを多段階に堰き止めることが可能となる。また、複数本の凹溝部21〜23を連結溝24,25によって互いに連結させることにより、複数本の凹溝部21〜23が互いに結ばれた大きな1つの経路となるので、発泡体14などを経路内に適宜広めながら徐々に減勢させることができる。
これらによって、例えば、高い発泡圧によって発泡体14などが凹溝部21〜23を一気に突き抜けたり、この時フランジ部がめくれて、発泡体14などが更に漏れ易い状態になったりすることなどを防止できる。
(効果2)複数本の凹溝部21〜23を、製品表面側に位置するもの程細くなるようにした。これにより、製品表面側に近い凹溝部23〜21程、発泡体14などに対する流動抵抗が大きくなって、徐々に発泡体14などが通り難くなって行くので、発泡体14などを堰き止める効果を高くすることができる。よって、その分、発泡体14などの漏れを防止する効果を高めることができる。
(効果3)連結溝24,25を、隣接する凹溝部21,22間および凹溝部22,23間を個別に連結するように設けた。これにより、複数本の凹溝部21〜23を長く繋げて発泡体14などを1つの凹溝部21〜23から次の凹溝部21〜23へと1本ずつ順番に通すことが可能となる。その分、発泡体14などが最後の凹溝部23に到達するまでの時間を遅くすることができる。よって、その分、発泡体14などの漏れを防止する効果を高めることができる。
この際、発泡成形装置の成形空間と、成形空間に最も近い凹溝部21との間に、導入溝26を設けるようにしても良い。これにより、成形空間内の発泡体14などを意図的に凹溝部21〜23へ逃がすことで、シール部13に作用する発泡圧を低減させることができる。
(効果4)隣接する凹溝部21,22間および凹溝部22,23間を個別に連結する連結溝24,25を、連結する2本の凹溝部21,22および凹溝部22,23のうちの太いものよりも細くなるようにした。これにより、連結溝24,25(における発泡体14など)の流動抵抗が、太い方の凹溝部21,22の流動抵抗よりも大きくなるため、太い方の凹溝部21,22の全域に発泡体14などが行き渡った後で、発泡体14などが連結溝24,25から細い方の凹溝部22,23へと送られるようにすることができる。その結果、細い方の凹溝部22,23へ発泡体14などが移行するまでの時間を遅らせることができる。よって、その分、発泡体14などの漏れを防止する効果を高めることができる。
(効果5)複数本の凹溝部21〜23に対して、個別に連結する連結溝24,25を千鳥状に配置した。これにより、複数本の凹溝部21〜23を繋いだ経路をジグザグ状にして、発泡体14などがより大きく蛇行(迂回)しながら複数本の連結溝24,25間に伝わって行くようになるので、発泡体14などが最後の凹溝部23に到達するまでの時間を遅くすることができる。よって、その分、発泡体14などの漏れを防止する効果を高めることができる。
(効果6)連結溝24,25が、凹溝部21〜23間を垂直に結ぶ線に対して傾斜されるようにした。これにより、連結溝24,25を長い経路となるように繋げて連結溝24,25全体としての流動抵抗を増やすことができると共に、凹溝部21,22から連結溝24,25へ発泡体14などが移行する時や、連結溝24,25から凹溝部22,23へ発泡体14などが移行する時に、更なる流動抵抗を生じさせることができる。よって、その分、発泡体14などの漏れを防止する効果を高めることができる。
(効果7)上記した発泡成形品5の製造方法によれば、上記した(効果1)と同様の効果を得ることができる。
以上、実施例を図面により詳述してきたが、実施例は例示にしか過ぎないものである。よって、本発明は、実施例にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が開示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
2 表皮材
3 芯材
4 発泡層
5 発泡成形品
11 第一のシール用フランジ部
12 第二のシール用フランジ部
13 シール部
21 凹溝部
22 凹溝部
23 凹溝部
24 連結溝
25 連結溝
3 芯材
4 発泡層
5 発泡成形品
11 第一のシール用フランジ部
12 第二のシール用フランジ部
13 シール部
21 凹溝部
22 凹溝部
23 凹溝部
24 連結溝
25 連結溝
Claims (7)
- 表皮材と芯材との間に発泡層を有する発泡成形品において、
前記表皮材の縁部に設けられた第一のシール用フランジ部と、前記芯材の縁部近傍に設けられた第二のシール用フランジ部とが、互いに逆向きに圧接されてシール部を構成していると共に、
前記第一のシール用フランジ部または第二のシール用フランジ部に、第一のシール用フランジ部または第二のシール用フランジ部に沿って複数本の凹溝部が設けられ、
該複数本の凹溝部が互いに連結溝によって連結されていることを特徴とする発泡成形品。 - 請求項1に記載の発泡成形品であって、
前記複数本の凹溝部は、製品表面側に位置するもの程細くなっていることを特徴とする発泡成形品。 - 請求項1または請求項2に記載の発泡成形品であって、
前記連結溝は、前記隣接する凹溝部間を個別に連結するものであることを特徴とする発泡成形品。 - 請求項3に記載の発泡成形品であって、
前記隣接する凹溝部間を個別に連結する前記連結溝は、前記連結する2本の凹溝部のうちの太いものよりも細くなっていることを特徴とする発泡成形品。 - 請求項3または請求項4に記載の発泡成形品であって、
前記複数本の凹溝部に対して、
前記連結溝は、千鳥状に配置されていることを特徴とする発泡成形品。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の発泡成形品であって、
前記連結溝は、前記凹溝部間を垂直に結ぶ線に対して傾斜されていることを特徴とする発泡成形品。 - 表皮材と芯材との間に発泡成形によって発泡層を形成する発泡成形品の製造方法において、
前記表皮材の縁部に設けた第一のシール用フランジ部と、前記芯材の縁部近傍に設けた第二のシール用フランジ部とを互いに逆向きに当接させた状態で、発泡成形を行って発泡成形の発泡圧で第一のシール用フランジ部と第二のシール用フランジ部とを圧接させてシールを行うと共に、
前記第一のシール用フランジ部または第二のシール用フランジ部に設けた、第一のシール用フランジ部または第二のシール用フランジ部に沿って延びる複数本の凹溝部と、該複数本の凹溝部を互いに連結する連結溝とによって、発泡層を堰き止めて製品縁部における発泡層のハミ出しを抑制することを特徴とする発泡成形品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016053852A JP2017165020A (ja) | 2016-03-17 | 2016-03-17 | 発泡成形品およびその製造方法 |
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JP2016053852A Pending JP2017165020A (ja) | 2016-03-17 | 2016-03-17 | 発泡成形品およびその製造方法 |
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JP (1) | JP2017165020A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018225490A1 (ja) * | 2017-06-08 | 2018-12-13 | カルソニックカンセイ株式会社 | 発泡成形方法、発泡成形品並びにその製造方法 |
-
2016
- 2016-03-17 JP JP2016053852A patent/JP2017165020A/ja active Pending
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WO2018225490A1 (ja) * | 2017-06-08 | 2018-12-13 | カルソニックカンセイ株式会社 | 発泡成形方法、発泡成形品並びにその製造方法 |
US11707869B2 (en) | 2017-06-08 | 2023-07-25 | Marelli Corporation | Foam molding method, foam molded article, and method for manufacturing foam molded article |
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