JP6418895B2 - インサート成形用金型およびその金型を用いたインサート成形方法 - Google Patents

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Description

本発明は、成形体を金型内にインサートしてその成形体の表面に別の材料を供給して成形を行うためのインサート成形用金型、およびその金型を用いたインサート成形方法に関する。
インサート成形は、異なる複数の材料、例えば、金属と樹脂、金属とゴム、樹脂とゴムなどを密着させた複合成形体を製造する方法として多用されている。典型的なインサート成形方法として、次のような工程を有する方法が知られている。まず、金型内に成形品(インサート成形品という)を製造する。次に、インサート成形品を金型内にインサートして、金型を型締めする。次に、その金型に設けられた供給口から、未硬化状態の別の材料をキャビティに向けて流し込む。当該別の材料を硬化させ、インサート成形品と接着させた後、金型を開いて複合成形体を取り出す。
上記供給口の数が少ないと、上記未硬化状態の別の材料がインサート成形品の表面を被覆しきれずに、不良品を生じるリスクが高くなる。このようなリスクを回避すべく、金型に複数の供給口を設ける方法が採られている。また、インサート成形品における離れた2以上の領域を別の材料にて被覆したい場合に、未硬化状態の当該別の材料を2以上の流路に分岐させ、上記2以上の領域に供給する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2006−026984号公報
しかし、上記特許文献1に開示されるインサート成形方法は、一方向に型締めする金型を用いてインサート成形品の内外に比較的大きな部材を形成するのに適した方法に過ぎず、より複雑な構造を持つ金型を用いてインサート成形品の内側あるいは外側の表面に薄くコートするような場合には、そのまま適用できない。特に、型締め方向と異なる方向にスライドするスライドブロックを型締めブロックの内側に組み込む金型を用いてインサート成形品の表面に薄い被覆層を形成する場合には、金型とインサート成形品との隙間を流路とする上記特許文献1記載の方法を採用できない。バリが広範囲に広がり、それを除去するための過度の労力を要するからである。また、上記2以上の領域に被覆部品を接着する方法も考えられるが、インサート成形品の表面状態によっては困難な場合があり、加えて、組み立て時に高精度な位置合わせを要する煩わしさもある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、一方向に型締めするブロック内にスライド可能なブロックを持つ金型を用いて、インサート成形品の外面あるいは内面に被覆するのに好適なインサート成形用金型、およびその金型を用いた成形方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための一実施の形態に係るインサート成形用金型は、一方向に型締めするブロック内にスライド可能なブロックを持つインサート成形用金型であって、上部ブロックと、上部ブロックと対向する下部ブロックと、上部ブロックと下部ブロックとに挟まれる領域にあって、上部ブロックと下部ブロックとの型締めの方向と異なる方向にスライド可能な1または複数のスライドブロックと、上部ブロックと下部ブロックと1または複数のスライドブロックとの間にあって成形品をインサートして形成される少なくとも2つの互いに分離したキャビティと、上部ブロック若しくは下部ブロックを貫通して形成され、一部のキャビティまで、成形品とは異なる未硬化状態の別の材料を流すことのできる1または2以上の一次流路と、上部ブロック若しくは下部ブロックを貫通して形成され、一部のキャビティと分離されている他のキャビティまで、未硬化状態の別の材料を流すことのできる1または2以上の二次流路と、スライドブロックの少なくとも1つと、そのスライドブロックと対向する別のスライドブロック若しくは固定ブロックとの隙間、あるいはスライドブロックの少なくとも1つに形成され、二次流路の内側開口部から他のキャビティまで未硬化状態の別の材料を流すことのできる1または2以上の三次流路と、を備える。
別の実施の形態に係るインサート成形用金型は、さらに、スライドブロックを、成形品を挟んで互いに近づく方向および遠ざかる方向の両方向にスライド可能な一対のブロックとする。
別の実施の形態に係るインサート成形用金型は、また、三次流路に、二次流路に接続する第1の空間と、その第1の空間に接続して他のキャビティにつながる空間であって第1の空間よりも平均厚さの小さい第2の空間と、を含む。
別の実施の形態に係るインサート成形用金型は、また、第1の空間を、それと接する二次流路の接続部位よりも幅広に形成して成る。
一実施の形態に係るインサート成形方法は、成形品をインサートして、その成形品の表面に別の材料を成形するためのインサート成形方法であって、上部ブロックと、上部ブロックと対向する下部ブロックと、上部ブロックと下部ブロックとに挟まれる領域にあって、上部ブロックと下部ブロックとの型締めの方向と異なる方向にスライド可能な1または複数のスライドブロックと、上部ブロックと下部ブロックと1または複数のスライドブロックとの間にあって成形品をインサートして形成される少なくとも2つの互いに分離したキャビティと、上部ブロック若しくは下部ブロックを貫通して形成され、一部のキャビティまで未硬化状態の別の材料を流すことのできる1または2以上の一次流路と、上部ブロック若しくは下部ブロックを貫通して形成され、一部のキャビティと分離されている他のキャビティまで、未硬化状態の別の材料を流すことのできる1または2以上の二次流路と、スライドブロックの少なくとも1つと、そのスライドブロックと対向する別のスライドブロック若しくは固定ブロックとの隙間、あるいはスライドブロックの少なくとも1つに形成され、二次流路の内側開口部から他のキャビティまで未硬化状態の別の材料を流すことのできる1または2以上の三次流路と、を備えるインサート成形用金型を使用し、インサート成形用金型内に成形品をインサートするインサート工程と、複数のスライドブロックの少なくとも1つを成形品に向かってスライドさせるスライド工程と、上部ブロックと下部ブロックとの間を型締めする型締め工程と、一次流路から、一部のキャビティに未硬化状態の別の材料を供給すると共に、二次流路から三次流路を経て、他のキャビティに未硬化状態の別の材料を供給する供給工程と、未硬化状態の別の材料を硬化する硬化工程と、を含む。
別の実施の形態に係るインサート成形方法は、さらに、成形品を、一方側を開口し、その反対側を閉じた面とする筐体とし、供給工程では、一次流路から、筐体の閉じた面に未硬化状態の別の材料を供給すると共に、二次流路から三次流路を経て、筐体の側面に未硬化状態の別の材料を供給する工程を含む。
別の実施の形態に係るインサート成形方法は、また、成形品を、主に熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂から構成し、別の材料をゴム状弾性体とする。
別の実施の形態に係るインサート成形方法は、さらに、別の材料をシリコーンゴムとする。
本発明によれば、一方向に型締めするブロック内にスライド可能なブロックを持つ金型を用いて、インサート成形品の外面あるいは内面に被覆するのに好適なインサート成形を実現できる。
図1は、本発明の実施形態に係るインサート成形用金型にインサートされる成形品および成形後の複合成形体の各一例の斜視図を示す。 図2は、図1の複合成形体と、ゴムの射出成形時に金型内で形成されるランナー・ゲート体との接合状況を模式的に描いた斜視図(2A)および(2A)中のランナー・ゲート体を一部分解した斜視図(2B)をそれぞれ示す。 図3は、図2のランナー・ゲート体の構造を詳細に表した図(3A)および(3A)中のランナー・ゲート体の一部を矢印Aの方向から見た平面図(3B)をそれぞれ示す。 図4は、この実施形態に係るインサート成形用金型にインサート成形品をインサートする工程を説明するための斜視図を示す。 図5は、図4の工程を説明するためのインサート成形用金型の縦断面図を示す。 図6は、この実施形態に係るインサート成形用金型にインサート成形品をインサートした後から複合成形体を取り出すまでの工程を説明するための斜視図を示す。 図7は、図6の工程の前半を説明するためのインサート成形用金型の縦断面図を示す。 図8は、図7に続く工程を説明するためのインサート成形用金型の縦断面図を示す。 図9は、この実施形態に係るインサート成形方法の主な工程の流れを説明するためのフローチャートを示す。
以下、本発明に係るインサート成形用金型およびその金型を用いたインサート成形方法の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下、金型の構造と、その金型を用いた成形方法とを、同一の実施形態の中で説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るインサート成形用金型にインサートされる成形品および成形後の複合成形体の各一例の斜視図を示す。
この実施形態において、インサート成形用金型にインサートされる成形品(以後、「インサート成形品」と称する)1は、細長い楕円形の天面2を有する筒型の成形品であって、天面2と反対側の面(図1では、下方の面)を開口するスピーカ用の筐体である。ただし、インサート成形品1は、スピーカ用の筐体に限定されず、また、細長い楕円形の天面2を有する筒型の成形品にも限定されない。インサート成形品1は、天面2と、その周縁部3から天面2に対して略直角方向に延出形成される側面4とを備える。側面4の開口端面5は、縁取り加工されており、かつ若干、側面4よりも開口面の径方向外側に突出している。天面2は、周縁部3よりわずかに内側に窪む領域であって、後述するゴム状弾性体層を形成できる領域を有する。同様に、側面4は、周縁部3および開口端面5よりわずかに内側に窪む領域であって、後述するゴム状弾性体層を形成できる領域を有する。側面4に囲まれた内側は、スピーカの主要な構成部材を内蔵することのできる領域となっている。また、側面4は、その一部に、内側に窪む凹部6を有する。ただし、凹部6の大きさおよび数は、図1に描かれる大きさや数に限定されない。また、側面4は、凹部6に代えて若しくは凹部6と共に、側面4の外側に突出する凸部を備えていても良い。
インサート成形品1は、好適には、インサート成形に先立ち完全に成形された部材である。ただし、インサート成形前にインサート成形品1を完全に成形せずに、インサート成形時に完全に成形するようにしても良い。インサート成形品1は、この実施形態において、樹脂から構成される。樹脂としては、特に限定されないが、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ABS樹脂などを好適に用いることができる。特に好ましい樹脂は、ポリカーボネートである。また、インサート成形品1の構成材料として、金属あるいはセラミックスを用いることもできる。さらに、インサート成形品1を異なる2以上の材料から構成しても良い。重要な点は、インサート成形時の熱によって容易に変形しない材料からインサート成形品1を構成することである。
インサート成形品1を用いてインサート成形された製品(以後、「複合成形体」と称する)10は、インサート成形品1の天面2にゴム状弾性体層12を、同成形品1の側面4にゴム状弾性体層14を、それぞれ形成したものである。ゴム状弾性体層12およびゴム状弾性体層14は、周縁部3の一部若しくは全部によって分離されている。なお、凹部6の表面にも、ゴム状弾性体層14から連続するゴム状弾性体層16が形成されている。ゴム状弾性体層12,14,16を構成する材料としては、特に制約されないが、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴムあるいはエチレンプロピレンジエンゴム等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系あるいはフッ素系等の熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの複合物等を用いることができ、特に、シリコーンゴムをより好適に用いることができる。この実施形態では、開口端面5は、ゴム状弾性体層によって被覆されていないが、被覆しても良い。重要な点は、インサート成形品1の表面における互いに分離した2またはそれ以上の領域がインサート成形品1の構成材料と異なる材料で被覆されていることである。ゴム状弾性体層12,14,16に代えて、インサート成形品1を構成する樹脂と異なる樹脂の層を形成しても良い。
図2は、図1の複合成形体と、ゴムの射出成形時に金型内で形成されるランナー・ゲート体との接合状況を模式的に描いた斜視図(2A)および(2A)中のランナー・ゲート体を一部分解した斜視図(2B)をそれぞれ示す。図3は、図2のランナー・ゲート体の構造を詳細に表した図(3A)および(3A)中のランナー・ゲート体の一部を矢印Aの方向から見た平面図(3B)をそれぞれ示す。
複合成形体10を製造する際には、インサート成型用金型を構成するブロック内にて、図2および図3に示すようなランナー・ゲート体20が形成される。図2の(2B)に示すように、ランナー・ゲート体20は、一次ランナー・ゲート体21と、二次ランナー・ゲート体22とに大別される。一次ランナー・ゲート体21および二次ランナー・ゲート体22は、後で詳述するように、それぞれ、インサート成形用金型を構成する異なるブロック内で形成される。
一次ランナー・ゲート体21は、天面2に向かって略垂直方向に延びるスプルー30と、スプルー30から略水平方向に延びる一次ランナー31と、スプルー30の直下にあって一次ランナー31を挟んで略垂直方向に延びる天面用一次ゲート32および一次ランナー31の端部であって当該天面用一次ゲート32と略平行に略垂直方向に延びる側面用一次ゲート33と、を備える。スプルー30は、天面2にゴム状弾性体層12を形成し、かつ側面4にゴム状弾性体層14を形成するために、未硬化状態のゴム形成用組成物を金型内に流すための主流路にて形成される1本のゴム状弾性体である。一次ランナー31は、天面2と側面4に向けて上記ゴム形成用組成物を2方向に分岐させるために水平方向に延びる水平流路にて形成される1本のゴム状弾性体である。天面用一次ゲート32は、一次ランナー31を挟んでスプルー30の略直下に形成され、天面2に向かって略垂直下方に延びる1本のゴム状弾性体である。この実施形態では、天面用一次ゲート32は、1本であるが、2本以上形成されていても良い。側面用一次ゲート33は、天面用一次ゲート32と反対側の一次ランナー31の端部に形成され、略垂直下方に延びるゴム状弾性体である。この実施形態では、側面用一次ゲート33は、天面用一次ゲート32よりも略垂直下方に向かって長く形成されている。しかし、側面用一次ゲート33と天面用一次ゲート32との長さ関係は、これに限定されない。また、この実施形態では、側面用一次ゲート33は、1本であるが、2本以上形成されていても良い。ここで、「スプルー」とは、射出成形機のノズルに接する部位からランナーに至る空間で形成される部位を意味する。「ランナー」とは、スプルーからゲートに至る空間あるいはゲート間で形成される部位を意味する。「ゲート」とはキャビティまたはランナーに未硬化状態の材料を流す前の空間で形成される部材を意味する。「流路」は、スプルー、ゲートあるいはランナーを形成可能な空間であって、スプルー、ゲートあるいはランナーとは区別される。
二次ランナー・ゲート体22は、側面用一次ゲート33の下端に接続される略板形状の二次ランナー34と、二次ランナー34から幅狭にて側面4に向かって延びる二次ゲート35と、を備える。二次ランナー34は、側面用一次ゲート33の方から流れてきた未硬化状態のゴム形成用組成物を一旦貯めて二次ゲート35の方向に流す空間にて形成されたゴム状弾性体である。二次ゲート35は、二次ランナー34用の空間を経由してきた上記ゴム形成用組成物を側面4に向けて流して形成されたゴム状弾性体である。
図3に示すように、天面用一次ゲート32において、好ましくは、一次ランナー31に近い部位の外径D1は、その部位よりも天面2側に近い部位の外径D2よりも大きい。D1>D2となるように、天面用一次ゲート32を一次ランナー31側から天面2側に向かって径を小さくするような形態(例えば、逆円錐形状、逆角錐形状)に形成すると、天面用一次ゲート32を天面2と反対側に引き抜きやすくなる。また、側面用一次ゲート33において、好ましくは、一次ランナー31に近い部位の外径D3は、その部位よりも二次ランナー34に近い部位の外径D4よりも大きい。D3>D4となるように、側面用一次ゲート33を一次ランナー31側から二次ランナー34側に向かって径を小さくするような形態に形成すると、側面用一次ゲート33を天面2と反対側に引き抜きやすくなる。その結果、一次ランナー・ゲート体21全体を天面2と反対側に向かって引き抜きやすくなる。したがって、インサート成形後に、金型を構成するブロック内から一次ランナー・ゲート体21を容易に除外しやすくなる。
二次ランナー34は、後述する2つのスライドブロック60,60の互いに開閉する対向面の隙間にて形成される。二次ランナー34は、図3の(3A)の紙面表裏方向の長さ(厚さ)を比較的薄くして、同紙面の上下方向の長さを上記厚さに比べて長くする板状のゴム状弾性体である。二次ランナー34の厚さは、好ましくは、二次ランナー34と接続する側面用一次ゲート33の接続部位の径(「厚さ」といっても良い)よりも大きい。二次ランナー34を側面用一次ゲート33の下端の径より厚く形成すると、次のような利点がある。二次ランナー34を形成するブロックを、側面用一次ゲート33を形成する別のブロックに対してスライドできるように構成する場合において、両ブロックの位置が常に同一ではないときでも、未硬化状態のゴム形成用組成物を両ブロック間で途切れることなく、側面4に向けてスムーズに流すことができる。また、一次ランナー・ゲート体21と二次ランナー・ゲート体22とを、二次ランナー34と側面用一次ゲート33との境界部において容易に切り離すことができる。二次ランナー34の幅方向(図3の(3A)の紙面左右方向)の長さは、それぞれ、側面用一次ゲート33の下端に接続する部位にてD5、当該下端に接続する部位から最も下方に離れた部位にてD6である。二次ランナー34は、理想的には、D5=D6の直方体である。ただし、D5>D6あるいはD5<D6でも良い。
図3の(3B)に拡大して示すように、二次ゲート35は、好ましくは、二次ランナー34の厚さ(幅方向にわたって厚さが変わる場合には平均的な厚さをいう)よりも薄く形成されるフィルムゲートである。ただし、二次ゲート35を側面用一次ゲート33のようなコーン状のゲートとしても良い。また、この実施形態では、二次ランナー34の側面4側の一辺に、当該一辺の厚さを徐々に小さくした二次ゲート35が形成されている。二次ゲート35を二次ランナー34側から側面4に向かって厚さを小さくするような形態(例えば、三角柱形状)に形成すると、二次ゲート35と側面4との境界にて、二次ランナー・ゲート体22を分離しやすくなるという利点がある。ただし、二次ランナー34をその幅方向に亘って略同一厚さにすることもできる。また、二次ランナー34の上記一辺から急激に厚さを薄くし、段差をもって直方体形状の二次ゲート35を形成することもできる。
図4は、この実施形態に係るインサート成形用金型にインサート成形品をインサートする工程を説明するための斜視図を示す。図5は、図4の工程を説明するためのインサート成形用金型の縦断面図を示す。
この実施形態に係るインサート成形用金型70は、一方向に型締めするブロック内にスライド可能なブロックを持つ金型であって、上部ブロック40と、上部ブロック40と対向する下部ブロック50と、上部ブロック40と下部ブロック50とに挟まれる領域にあって、上部ブロック40と下部ブロック50との型締めの方向(ここでは、図4の下方(略垂直下方向))と異なる方向にスライド可能な2つのスライドブロック60,60と、を備える。上部ブロック40、下部ブロック50、2つのスライドブロック60,60との間には、先に説明したインサート成形品1をインサートして形成される2つのキャビティ(一部のキャビティ68aと、他のキャビティ68b)が存在する。一部のキャビティ68aと他のキャビティ68bとを総称して、キャビティ68とする。この実施形態では、2つのスライドブロック60,60は、インサート成形品1を挟んで互いに近づく方向および遠ざかる方向の両方向にスライド可能な一対のブロックである。また、インサート成形用金型70は、上部ブロック40を貫通して形成され、一部のキャビティ68aまで、インサート成形品1とは異なる未硬化状態の別の材料(ここでは、未硬化状態のゴム形成用組成物)を流すことのできる一次流路41と、上部ブロック40を貫通して形成され、一部のキャビティ68aと分離されている他のキャビティ68bまで、未硬化状態のゴム成形用組成物を流すことのできる二次流路42と、を備える。さらに、インサート成形用金型70は、スライドブロック60と、そのスライドブロック60と対向する別のスライドブロック60との隙間に形成され、二次流路42の内側開口部から他のキャビティ68bまで未硬化状態のゴム形成用組成物を流すことのできる三次流路61を備える。図4の点線で囲まれた領域Cおよびその拡大図に示すように、三次流路61は、好ましくは、上部ブロック40とスライドブロック60,60とを接した際に二次流路42に接続する第1の空間62と、第1の空間62に接続して他のキャビティ68bにつながる空間であって第1の空間62よりも平均厚さの小さい第2の空間63と、を含む。ここで、平均厚さは、第1の空間62および第2の空間63のそれぞれの幅方向に亘って平均した各厚さをいう。第1の空間62と第2の空間63とは、スライドブロック60,60を閉じた状態でつながり、二次ランナー・ゲート体22を形成するための空間となる。第1の空間62は、好ましくは、それと接する二次流路42の接続部位よりも幅広に形成されている。具体的には、二次流路42の接続部位が完全に第1の空間62の入口領域内に含まれるように、第1の空間62を形成している。この結果、スライドブロック60,60をスライド可能に構成する場合において、両スライドブロック60,60の位置が常に同一ではないときでも、未硬化状態のゴム形成用組成物を三次流路61に向けてスムーズに流すことができる。また、一次ランナー・ゲート体21と二次ランナー・ゲート体22とを、二次ランナー34と側面用一次ゲート33との境界部において容易に切り離すことができる。
図4の点線で囲まれた領域B、領域Cおよびそれらの拡大図に示すように、第1の空間62は、一方のスライドブロック60の凹部62aと、他方のスライドブロック60の凹部62bとを合体させて形成される。また、第2の空間63は、一方のスライドブロック60の凹部63aと、他方のスライドブロック60の凹部63bとを合体させて形成される。凹部62aと凹部63aとは、共に、一方のスライドブロック60において、他方のスライドブロック60と対向する面(対向面)から内方に窪むように形成されている。同様に、凹部62bと凹部63bとは、共に、他方のスライドブロック60において、一方のスライドブロック60と対向する面(対向面)から内方に窪むように形成されている。凹部62aと凹部62bとを合わせて形成される第1の空間62は、二次ランナー34を形成するための空間となる。凹部63aと凹部63bとを合わせて形成される第2の空間63は、二次ゲート35を形成するための空間となる。第1の空間62と第2の空間63とを含む三次流路61は、他のキャビティ68bにつながり、成形時に、インサート成形品1の側面4にゴム状弾性体層14を形成させるのに寄与する。
スライドブロック60,60は、それぞれ、その内側65の面であって、インサート成形品1の側面4に形成された凹部6に対向する部位に、凹部6に向かって突出する凸部64を備える。インサート成形時において、凸部64は、インサート成形品1の凹部6と隙間を隔てて向かい合う。未硬化状態のゴム形成用組成物は、その隙間に入り、凹部6の表面にゴム状弾性体層16を形成する。この実施形態では、凸部64は、スライドブロック60,60の各内側65の面に1個ずつ形成されており、インサート成形品1の両側面4に1個ずつ形成された凹部6と対向する。ただし、インサート成形品1の側面4の一部に1つの凹部6を備える場合には、1つのスライドブロック60の内側65の面内において、その凹部6に対向する位置にのみ1つの凸部64を備えることができる。
図5に示すように、上部ブロック40は、インサート成形品1の天面2と対向する内面に、ブロック内方に窪む凹部43を備える。凹部43は、インサート成形品1の天面2を含む上部を覆うことのできる形態に形成されている。凹部43と天面2に挟まれた空間は、一部のキャビティ68aを形成する。一次流路41は、上部ブロック40の厚さ方向(略垂直方向)に延出し、凹部43まで貫通して形成されている。一方、二次流路42は、一次流路41から外れた位置にて、上部ブロック40の厚さ方向(略垂直方向)に延出し、上部ブロック40の凹部43から外れた位置の下面まで貫通して形成されている。一次流路41は、天面用一次ゲート32を形成可能な流路であって、上部ブロック40の上面から凹部43まで、略逆円錐あるいは略逆角錐の形状に形成される空間である。二次流路42は、側面用一次ゲート33を形成可能な流路であって、上部ブロック40の上面から下面まで、略逆円錐あるいは略逆角錐の形状に形成される空間である。
下部ブロック50は、インサート成形品1の内側空間部7に挿入可能な突出部51を備える。突出部51の付け根部分には、外周方向にわずかに拡がる段差部52を備えても良い。段差部52は、インサート成形品1を突出部51に挿入配置した際に、インサート成形品1の内方の開口部側において外周方向にわずかに拡がって形成される段差部8と接する。
2個のスライドブロック60,60は、上部ブロック40と下部ブロック50とに挟まれる領域において、突出部51に挿入配置されるインサート成形品1に近づく方向および遠ざかる方向の両方向にスライド可能なブロックである。より具体的には、スライドブロック60,60は、上部ブロック40と下部ブロック50との型締め方向(略垂直方向)と直行する方向(略水平方向)にスライド可能である。2個のスライドブロック60,60は、突出部51に挿入配置されたインサート成形品1に最も近づけた部位にて互いに接し、スライドブロック60の内側65とインサート成形品1との間に、未硬化状態のゴム形成用組成物を供給可能な空間を形成する。この空間は、天面2側の一部のキャビティ68aと分離された他のキャビティ68bであって、インサート成形品1の側面4に接する。
下部ブロック50にインサート成形品1をセットして、水平方向両側から各スライドブロック60,60をスライドさせてインサート成形品1に最も近づける位置まで移動させると、インサート成形品1の周縁部3から上方のみがスライドブロック60,60の上方から突出する。そこに、上部ブロック40の凹部43を被せるようにして、上部ブロック40を移動し、上部ブロック40と下部ブロック50との型締めを行う。型締め後、一次流路41は、凹部43を介して天面2にまで通じる。二次流路42は、各スライドブロック60,60の隙間に形成された三次流路61につながり、インサート成形品1の側面4にまで通じる。こうして、インサート成形の準備が終了する。
図6は、この実施形態に係るインサート成形用金型にインサート成形品をインサートした後から複合成形体を取り出すまでの工程を説明するための斜視図を示す。図7は、図6の工程の前半を説明するためのインサート成形用金型の縦断面図を示す。図8は、図7に続く工程を説明するためのインサート成形用金型の縦断面図を示す。
インサート成型用金型70の型締め後、上部ブロック40のさらに上方に配置される最上位ブロック(不図示)から未硬化状態のゴム形成用組成物を供給する。その結果、そのゴム形成用組成物は、最上位ブロックから上部ブロック40の一次流路41および二次流路42に分岐する。一次流路41を経た上記ゴム形成用組成物は、一部のキャビティ68aを充填する。一方、二次流路42を経た上記ゴム形成用組成物は、三次流路61(第1の空間62と第2の空間63とを含む流路)を経て、側面4に到達し、側面4を取り囲んだ他のキャビティ68bを充填する。その後、上記ゴム形成用組成物の加硫化を行って硬化させる。上記ゴム形成用組成物の硬化後、最上位ブロックを外すと、インサート成形用金型70は、図6の左上側および図7の上側の状態になる。最上位ブロックは、スプルー30および一次ランナー31をそれぞれ形成可能な流路を備えているため、最上位ブロックを外した状態のインサート成形用金型70の上部から、スプルー30および一次ランナー31が突出している。
上部ブロック40と下部ブロック50との型締めを解除して、上部ブロック40を上方に移動すると、一次ランナー・ゲート体21と二次ランナー・ゲート体22とが分離する。より具体的には、側面用一次ゲート33と二次ランナー34との接合部が折れ、一次ランナー・ゲート体21は、上部ブロック40と共に移動する。その後、一次ランナー・ゲート体21を上部ブロック40の上方に引き上げることにより、一次ランナー・ゲート体21を上部ブロック40から取り除く。一次流路41および二次流路42は、共に、上部ブロック40の上面から下面に向かって径を小さくするような形状で構成されているため、天面用一次ゲート32および側面用一次ゲート33は、ともに、上部ブロック40の上面から下面に向かって径を小さくするような形状を有する。その結果、図7に示すように、一次ランナー・ゲート体21の上部ブロック40からの引き上げが容易になる。
スライドブロック60,60の上面(すなわち、上部ブロック40との接触面)には、複合成形体10の天面2に形成されたゴム状弾性体層12と、三次流路61を充填する二次ランナー・ゲート体22の上部とが露出する。この状態から、スライドブロック60,60を複合成形体10から離すように水平方向にスライドさせると、インサート成型用金型70は、下部ブロック50上に複合成形体10を有する状態になる。二次ゲート35の厚さは、二次ランナー34の厚さに比べて薄い。このため、図6に示すように、二次ランナー・ゲート体22を複合成形体10の側面4から容易に分離できる。続いて、下部ブロック50の突出部51から複合成形体10を取り外して、インサート成形が終了する。
図9は、この実施形態に係るインサート成形方法の主な工程の流れを説明するためのフローチャートを示す。
この実施形態に係るインサート成形方法は、インサート成形品1をインサートして、その成形品1の表面に別の材料を成形するためのインサート成形方法であって、上部ブロック40と、上部ブロック40と対向する下部ブロック50と、上部ブロック40と下部ブロック50とに挟まれる領域にあって、上部ブロック40と下部ブロック50との型締めの方向と異なる方向にスライド可能な複数のスライドブロック60,60と、上部ブロック40と下部ブロック50と複数のスライドブロック60,60との間にあってインサート成形品1をインサートして形成される2つの互いに分離したキャビティ68a,68bと、上部ブロック40を貫通して形成され、一部のキャビティ68aまで未硬化状態の別の材料を流すことのできる一次流路41と、上部ブロック40を貫通して形成され、一部のキャビティ68aと分離されている他のキャビティ68bまで未硬化状態の別の材料を流すことのできる二次流路42と、2つのスライドブロック60,60の隙間に形成され、二次流路42の内側開口部から他のキャビティ68bまで未硬化状態の別の材料を流すことのできる三次流路61と、を備えるインサート成形用金型70を使用して行う成形方法である。
このインサート成形方法は、インサート成型用金型70にインサート成形品1をインサートするインサート工程(ステップ110)と、2つのスライドブロック60,60をインサート成形品1に向かってスライドさせるスライド工程(ステップ120)と、上部ブロック40と下部ブロック50との間を型締めする型締め工程(ステップ130)と、一次流路41から、一部のキャビティ68aに未硬化状態の別の材料を供給すると共に、二次流路42から三次流路61を経て、他のキャビティ68bに未硬化状態の別の材料を供給する供給工程(ステップ140)と、未硬化状態の別の材料を硬化する硬化工程(ステップ150)と、を含む。その後、インサート成形用金型70を開いて、複合成形体10を取り出す(ステップ160)。
この実施形態では、インサート成形品1を、一方側を開口し、その反対側を閉じた面とする筐体としている。供給工程(ステップ140)は、一次流路41から、筐体(インサート成形品1)の閉じた面に未硬化状態の別の材料を供給すると共に、二次流路42から三次流路61を経て、筐体の側面4に未硬化状態の別の材料を供給する工程とする。
インサート成形品1は主に熱可塑性樹脂から成り、天面2および側面4に被覆する材料をゴム状弾性体、特に、シリコーンゴムとしている。ただし、インサート成形品1を熱硬化性樹脂から構成しても良い。天面2および側面4に被覆する材料は、シリコーンゴム以外のゴム状弾性体でも良く、さらには、インサート成形品1と異なる熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂でも良い。
<その他の実施形態>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々変更実施可能である。
インサート成形用金型70の型締め方向は、上下方向に限定されず、水平方向など別の方向であっても良い。スライドブロック60は、上述の実施形態では2個であるが、3個以上でも良い。さらに、スライドブロック60を1個のみとし、固定ブロックとスライドブロック60との間でインサート成形品1を挟むようにしても良い。その場合、スライドブロック60に凹部62a,63aを形成し、かつ固定ブロックに凹部62b,63を形成しても良い。また、一方のスライドブロック60若しくは固定ブロックには凹部62b,63bを形成せず、他方のスライドブロック60の凹部62a,63aと上記一方のスライドブロック60若しくは固定ブロックの対向面とから、第1の空間62と第2の空間63とを形成しても良い。一方、固定ブロックに凹部62b,63bを形成し、それと向かい合うスライドブロック60に凹部62a,63aを形成せず、固定ブロックの凹部62b,63bとそれと向かい合うスライドブロック60の対向面とから、第1の空間62と第2の空間63とを形成しても良い。また、スライドブロック60を3個以上とする場合、例えば、型締め方向と直行するX軸上をスライドする2個のスライドブロック60,60に加え、Y軸上をスライドする2個のスライドブロックも用意し、合計4個のスライドブロックにてインサート成形品1の周りを囲っても良い。
スライドブロック60,60の可動方向は、型締め方向と直行する方向に限定ざれず、型締め方向と90度未満の鋭角をなす方向など、如何なる角度をなす方向でも良い。一次流路41および二次流路42の少なくともいずれか一方は、下部ブロック50を貫通するように形成されていても良い。また、第1の空間62は、必須の構成ではなく、二次ゲート35を形成するための第2の空間63のみをスライドブロック60,60の隙間に形成し、側面用一次ゲート33と第2の空間63とを直結するようにしても良い。
インサート成形品1は、一方側を開口し、その反対側を閉じた面とする筐体でなくても良い。インサート成形品1を中実であって内方に窪まない成形品としても良い。また、インサート成形品1を、その上部から下部に向かって裾広がりの形態を持つ成形品、その高さ方向の途中位置まで裾広がりであって当該途中位置から窄まる形態を持つ成形品であっても良い。そのような形態を持つインサート成形品をインサート成型用金型70内にインサートする場合、上下方向に型締めするタイプでは、インサートが困難であり、少なくとも1つのスライドブロック60を備える必要があるからである。本発明は、スライドブロック60を要する成形にとって特に大きな効果を持つ。また、上述の実施形態では、未硬化状態の別の材料は、インサート成形品1の外表面にのみ供給されているが、インサート成形品1の開口部あるいは外部から内方に形成される穴を通じて、インサート成形品1の内側にも供給可能である。例えば、三次流路61を通じて、インサート成形品1の外側のみならず内側にも、あるいは外側に代えて内側に、ゴム状弾性体層を形成しても良い。また、キャビティ68は、2個のみではなく、3個以上存在していても良い。また、三次流路61の形成箇所は、複数のスライドブロック60,60の隙間、スライドブロック60と固定ブロックとの隙間に限定されず、1または2以上のスライドブロック60の内部から他のキャビティ68bにつながるように形成されても良い。
本発明は、例えば、成形品の分離した2以上の領域に他の材料を被覆するインサート成形に利用できる。
1 インサート成形品(成形品、筐体)
2 天面(分離した複数の領域の内の一部の領域)
4 側面(一部の領域以外の領域)
10 複合成形体
20 ランナー・ゲート体
21 一次ランナー・ゲート体
22 二次ランナー・ゲート体
40 上部ブロック
41 一次流路
42 二次流路
50 下部ブロック
60 スライドブロック
61 三次流路
62 第1の空間
63 第2の空間
68 キャビティ
68a 一部のキャビティ
68b 他のキャビティ
70 インサート成形用金型

Claims (8)

  1. 一方向に型締めするブロック内にスライド可能なブロックを持つインサート成形用金型であって、
    上部ブロックと、
    前記上部ブロックと対向する下部ブロックと、
    前記上部ブロックと前記下部ブロックとに挟まれる領域にあって、前記上部ブロックと前記下部ブロックとの型締めの方向と異なる方向にスライド可能な1または複数のスライドブロックと、
    前記上部ブロックと前記下部ブロックと前記1または複数のスライドブロックとの間にあって成形品をインサートして形成される少なくとも2つの互いに分離したキャビティと、
    前記上部ブロック若しくは前記下部ブロックを貫通して形成され、一部の前記キャビティまで、前記成形品とは異なる未硬化状態の別の材料を流すことのできる1または2以上の一次流路と、
    前記上部ブロック若しくは前記下部ブロックを貫通して形成され、前記一部の前記キャビティと分離されている他の前記キャビティまで、前記未硬化状態の別の材料を流すことのできる1または2以上の二次流路と、
    前記スライドブロックの少なくとも1つと、そのスライドブロックと対向する別のスライドブロック若しくは前記上部ブロックと前記下部ブロックとに挟まれる領域にあって前記スライドブロックの少なくとも1つと対向しスライドしない固定ブロックとの隙間、あるいは前記スライドブロックの少なくとも1つに形成され、前記二次流路の内側開口部から前記他の前記キャビティまで前記未硬化状態の別の材料を流すことのできる1または2以上の三次流路と、
    を備えるインサート成形用金型。
  2. 前記スライドブロックは、前記成形品を挟んで互いに近づく方向および遠ざかる方向の両方向にスライド可能な一対のブロックである請求項1に記載のインサート成形用金型。
  3. 前記三次流路は、
    前記二次流路に接続する第1の空間と、
    当該第1の空間に接続して前記他の前記キャビティにつながる空間であって前記第1の空間よりも平均厚さの小さい第2の空間と、
    を含む請求項1または請求項2に記載のインサート成形用金型。
  4. 前記第1の空間は、それと接する前記二次流路の接続部位よりも幅広に形成されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のインサート成形用金型。
  5. 成形品をインサートして、その成形品の表面に別の材料を成形するためのインサート成形方法であって、
    上部ブロックと、
    前記上部ブロックと対向する下部ブロックと、
    前記上部ブロックと前記下部ブロックとに挟まれる領域にあって、前記上部ブロックと前記下部ブロックとの型締めの方向と異なる方向にスライド可能な1または複数のスライドブロックと、
    前記上部ブロックと前記下部ブロックと前記1または複数のスライドブロックとの間にあって前記成形品をインサートして形成される少なくとも2つの互いに分離したキャビティと、
    前記上部ブロック若しくは前記下部ブロックを貫通して形成され、一部の前記キャビティまで未硬化状態の前記別の材料を流すことのできる1または2以上の一次流路と、
    前記上部ブロック若しくは前記下部ブロックを貫通して形成され、前記一部の前記キャビティと分離されている他の前記キャビティまで、前記未硬化状態の別の材料を流すことのできる1または2以上の二次流路と、
    前記スライドブロックの少なくとも1つと、そのスライドブロックと対向する別のスライドブロック若しくは前記上部ブロックと前記下部ブロックとに挟まれる領域にあって前記スライドブロックの少なくとも1つと対向しスライドしない固定ブロックとの隙間、あるいは前記スライドブロックの少なくとも1つに形成され、前記二次流路の内側開口部から前記他の前記キャビティまで前記未硬化状態の別の材料を流すことのできる1または2以上の三次流路と、
    を備えるインサート成形用金型を使用し、
    前記インサート成形用金型内に前記成形品をインサートするインサート工程と、
    前記複数のスライドブロックの少なくとも1つを前記成形品に向かってスライドさせるスライド工程と、
    前記上部ブロックと前記下部ブロックとの間を型締めする型締め工程と、
    前記一次流路から、一部の前記キャビティに前記未硬化状態の前記別の材料を供給すると共に、前記二次流路から前記三次流路を経て、他の前記キャビティに前記未硬化状態の別の材料を供給する供給工程と、
    前記未硬化状態の別の材料を硬化する硬化工程と、
    を含むインサート成形方法。
  6. 前記成形品を、一方側を開口し、その反対側を閉じた面とする筐体とし、
    前記供給工程は、前記一次流路から、前記筐体の前記閉じた面に前記未硬化状態の前記別の材料を供給すると共に、前記二次流路から前記三次流路を経て、前記筐体の側面に前記未硬化状態の別の材料を供給する工程である請求項5に記載のインサート成形方法。
  7. 前記成形品は、主に熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂から成り、
    前記別の材料は、ゴム状弾性体である請求項5または請求項6に記載のインサート成形方法。
  8. 前記別の材料をシリコーンゴムとする請求項7に記載のインサート成形方法。

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