JP2017164971A - 三次元造形方法 - Google Patents

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深澤 孝幸
Takayuki Fukazawa
孝幸 深澤
加藤 雅礼
Masahiro Kato
雅礼 加藤
紗良 吉尾
Sara Yoshio
紗良 吉尾
久保木 貴志
Takashi Kuboki
貴志 久保木
治彦 石原
Haruhiko Ishihara
治彦 石原
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Abstract

【課題】例えば、層の積層によって構成された三次元造形物の焼結体の作製において、焼結体の強度を向上させやすい三次元造形方法を得る。【解決手段】実施形態の三次元造形方法は、積層造形工程と、焼結工程と、を備えた。前記積層造形工程は、金属元素の粒子と、金属元素の酸化物としての、または熱分解によって金属元素の酸化物となることが可能な物質としての、金属元素よりも融点が高い金属化合物の粒子と、を含む混合粒子に、エネルギー線を照射することにより金属元素の粒子と金属化合物の粒子とのうち金属元素の粒子だけを溶融させ、溶融した金属元素の粒子と金属化合物の粒子とを含む層を形成し、層の積層によって構成された三次元造形物を作製する。焼結工程は、三次元造形物を加熱して焼結体を作製する。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、三次元造形方法に関する。
従来、三次元造形物を製造する方法として、金属材料からなる粉体材料により粉体層を形成する工程、および粉末層の所定の位置にレーザ光を照射して粉末層の所定の範囲を固化させる工程を繰り返し行い、固化層を積層させて三次元形状の造形物を製造する技術が知られている。
特開平11−262657号公報
このように層の積層によって構成された三次元造形物の焼結体の作製において、焼結体の強度を向上させやすい三次元造形方法が望まれている。
実施形態の三次元造形方法は、積層造形工程と、焼結工程と、を備えた。前記積層造形工程は、金属元素の粒子と、前記金属元素の酸化物としての、または熱分解によって前記金属元素の酸化物となることが可能な物質としての、前記金属元素よりも融点が高い金属化合物の粒子と、を含む混合粒子に、エネルギー線を照射することにより前記金属元素の粒子と前記金属化合物の粒子とのうち前記金属元素の粒子だけを溶融させ、溶融した前記金属元素の粒子と前記金属化合物の粒子とを含む層を形成し、前記層の積層によって構成された三次元造形物を作製する。前記焼結工程は、前記三次元造形物を加熱して焼結体を作製する。
図1は、実施形態の三次元造形システムの概要構成及び工程説明図である。 図2は、実施形態の混合粒子の構造を示す模式図である。 図3は、実施形態の積層造形装置の概要構成断面図である。 図4は、実施形態の三次元造形方法の概念説明図である。
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の三次元造形システムの概要構成及び工程説明図である。実施形態の三次元造形システム10は、複数の異なる一次粒子を調整する原料粉体調整装置11と、原料粉体調整装置11により調整した複数の異なる一次粒子をバインダ(結着剤)等とともに混合し、造粒して混合粒子(二次粒子)を製造する造粒装置12と、いわゆる三次元プリンタとして構成され、混合粒子を積層して三次元造形物を作製する積層造形装置13と、三次元造形物を所定の昇降温パターンに従って加熱して焼結を行い、焼結体を得る焼結装置14と、を備えている。
原料粉体調整装置11は、複数の調整部、具体的には第1調整部11a、第2調整部11b、および第3調整部11cを有している。第1調整部11aは、1次粒子として、金属元素の粒子(以下、金属粒子ともいう)を調整する。第2調整部11bは、1次粒子として、金属元素の化合物の粒子(以下、金属化合物粒子)を調整する。第3調整部11cは、第2調整部11bの金属化合物粒子とは異なる種類の金属化合物粒子を調整する。金属粒子は、金属粉体材料とも称され、金属化合物粒子は、金属化合物粉体材料とも称される。
金属粒子の材料(金属元素)としては、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、ニッケル、コバルト、銅、鉄等が挙げられ、これらの群(金属群)から適宜選択される。
金属化合物粒子22の材料は、上記金属粒子に含まれる金属元素の酸化物、または熱分解によって金属元素の酸化物となることが可能な物質としての水酸化物であり、かつ当該金属元素の融点よりも融点が高い材料である。
具体的には、金属元素の酸化物としての金属化合物粒子は、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、ジルコニア(ZrO、酸化ジルコニウム)、酸化チタン(TiO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化コバルト(CoO)、酸化銅(CuO)、酸化鉄(Fe)等が挙げられ、これらの群(酸化物群)から適宜選択される。これらの酸化物としての金属化合物粒子は、第2調整部11bによって調整される。酸化物としての金属化合物粒子22は、酸化物粉体材料とも称される。
また、金属元素の水酸化物としての金属化合物粒子は、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、水酸化ニッケル、水酸化コバルト、水酸化銅、水酸化鉄等が挙げられ、これらの群(水酸化物群)から適宜選択される。これらの水酸化物としての金属化合物粒子は、第3調整部11cによって調整される。水酸化物としての金属化合物粒子は、水酸化物粉体材料とも称される。
上記から分かるように、第1調整部11aは、金属粒子の粉末を備え、第2調整部11bは、第1調整部11aが備える金属粒子の金属元素と同じ金属元素を含む酸化物としての金属化合物粒子を備え、第3調整部11cは、第1調整部11aが備える金属粒子の金属元素と同じ金属元素を含む水酸化物としての金属化合物粒子を備える。
造粒装置12は、上記金属粒子と、当該金属粒子に含まれる金属元素と同じ金属元素を含む1種類以上の上記金属化合物粒子と、を混合して、混合粒子を造粒する。
金属粒子と酸化物としての金属化合物粒子との組み合わせは、例えば、ケイ素と二酸化ケイ素、アルミニウムと酸化アルミニウム、ジルコニウムとジルコニア、チタンと酸化チタン、ニッケルと酸化ニッケル、コバルトと酸化コバルト、銅と酸化銅、鉄と酸化鉄等である。これらの粒子の組み合わせを含む混合粒子は、焼結を高めるためにそれぞれの酸化物材料に適した焼結助剤なるものを少量含んでいてもよい。また、ジルコニアについては、焼結時に結晶相が安定するように、イットリウム、カルシウム、マグネシウム、ハフニウム、サマリウム、スカンジウムなど1mol%〜15mol%程度の安定化剤を含んでいてもよい。
また、金属粒子と水酸化物としての金属化合物粒子との組み合わせは、例えば、アルミニウムと水酸化アルミニウム、ジルコニウムと水酸化ジルコニウム、ニッケルと水酸化ニッケル等である。水酸化物は、後の加熱工程において、熱分解して微細な酸化物粒子となるため、焼結時の粒成長を促進し、粒子間の結合を高める効果がある。
また、混合粒子は、金属粒子と、酸化物としての金属化合物粒子と、水酸化物としての金属化合物粒子と、を含んでいてもよい。金属粒子21と、酸化物としての金属化合物粒子22と、水酸化物としての金属化合物粒子22と、の組み合わせは、例えば、アルミニウムと酸化アルミニウムと水酸化アルミニウム、ジルコニウムとジルコニアと水酸化ジルコニウム、ニッケルと酸化ニッケルと水酸化ニッケル等である。
また、金属粒子の粉末の平均粒径は、1μm〜50μmの範囲であることが好ましい。この範囲であると、次の混合粒子製造工程での造粒がしやすくなるからである。一方、金属化合物粒子の粉末の平均粒径は、0.1μm〜5μmの範囲であることが好ましい。この範囲であると後の焼結工程で、より焼結体の密度を向上させられるからである。
造粒装置12は、上記の組み合わせの金属粒子および金属化合物粒子を混合し、粉体の積層に適した粒子のサイズ、形状に調整する。具体的には、所定の比率で金属粒子と金属化合物粒子とを混ぜ合わせ、溶媒、バインダ等の結着剤を加えて分散、均一になるように混合する。混合には、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル等の粉砕・混合装置を用いるとよい。そして、得られたスラリーについてスプレードライヤー等を用いて乾燥、造粒する。
図2は、実施形態の混合粒子の構造を示す模式図である。図2に示されるように、造粒装置12によって造粒された混合粒子20は、複数の金属粒子21と複数の金属化合物粒子22とが結着剤23によって一体化された構成となっている。混合粒子20のサイズとしては、粉末積層造形に適した範囲、すなわち、10μm〜100μm程度の範囲にすることが好ましい。後の焼結工程を考えると、より好ましくは、20μm〜60μm程度の範囲である。
また、混合粒子20に含まれる全ての金属粒子21および金属化合物粒子22の合計体積に対する、当該混合粒子20に含まれる全ての金属粒子21の体積の割合(以後、粒子混合割合ともいう)が、10体積%以上かつ70体積%以下であることが好ましい。すなわち、三次元造形物を構成する、混合粒子20の粉体材料、における、全ての金属粒子21および金属化合物粒子22の合計体積に対する、当該粉体材料に含まれる全ての金属粒子21の体積の割合が、10体積%以上かつ70体積%以下であることが好ましい。この範囲であると、焼結した時に、金属粒子21の酸化による体積膨張と、酸化物(水酸化物が熱分解されて酸化物となったものも含む)の金属化合物粒子22による焼結収縮の割合が互いに相殺されて、よりひずみを低減した焼結体が得られるからである。すなわち、焼結時にクラック等の発生が抑制されやすい。この金属粒子21と金属化合物粒子22の最適な混合割合は、作製する混合材料(セラミックス材料)によって異なる。
例えば、酸化アルミニウム(Al)を作製する場合には、アルミニウム粉末と酸化アルミニウム粉末との造粒粉を用いる。この場合、造粒した混合粒子20中のアルミニウム粉末の好ましい粒子混合割合は、20体積%〜70体積%である。この範囲とすることにより、焼結に伴う酸化物粒子の体積収縮と、金属材料の酸化に伴う体積膨張とを相殺して、三次元造形物の歪みを低減することができる。
また、ジルコニア(ZrO)を作製する場合には、ジルコニウム粉末と酸化ジルコニウム粉末との造粒粉を用いる。この場合、造粒した混合粒子20中のジルコニウム粉末の好ましい粒子混合割合は、20体積%〜50体積%である。
また、二酸化ケイ素(SiO)を作製する場合には、ケイ素粉末と二酸化ケイ素粉末の造粒粉を用いる。この場合、造粒した混合粒子20中のケイ素粉末の好ましい粒子混合割合は、10体積%〜30体積%である。
また、酸化チタン(TiO)を作製する場合には、チタン粉末と酸化チタン粉末の造粒粉を用いる。この場合には、造粒した混合粒子20中のチタン粉末の好ましい粒子混合割合は、10体積%〜40体積%である。
酸化ニッケル(NiO)を作製する場合には、ニッケル粉末と酸化ニッケル粉末の造粒粉を用いる。この場合には、造粒した混合粒子20中のニッケル粉末の好ましい粒子混合割合は、20体積%〜50体積%である。
また、酸化コバルト(CoO)を作製する場合には、コバルト粉末と酸化コバルト粉末の造粒粉を用いる。この場合には、造粒した混合粒子20中のコバルト粉末の好ましい粒子混合割合は、20体積%〜40体積%である。
酸化銅(CuO)を作製する場合には、銅粉末と酸化銅粉末の造粒粉を用いる。この場合には、造粒した混合粒子20中の銅粉末の好ましい粒子混合割合は、20体積%〜40体積%である。
酸化鉄(Fe)を作製する場合には、鉄粉末と酸化鉄粉末の造粒粉を用いる。この場合には、造粒した混合粒子20中の鉄粉末の好ましい粒子混合割合は、20体積%〜30体積%である。
次に、積層造形装置13について説明する。図3は、積層造形装置の概要構成断面図である。積層造形装置13は、三次元造形を行うための清浄な空間(特に材料の酸化防止)を確保するための処理室31と、三次元造形物を形成するための原料(混合粒子20)が格納される材料槽32と、三次元造形を実際に行う造形槽33と、材料槽32に格納された原料を造形槽33に供給するワイパ装置34と、造形槽33にワイパ装置34により供給された層単位の原料(混合粒子20)に対し、スライスデータに対応する各層における三次元造形物に相当する位置(パターン)にレーザ光Lを照射する光学装置35と、材料槽32、造形槽33、ワイパ装置34及び光学装置35の制御を行う制御部36と、を備えている。なお、本実施形態では、エネルギー線として、レーザ光Lを利用している。エネルギー線としては、レーザ光Lのように混合粒子20を溶融できるものであればよく、電子ビームや、マイクロ波から紫外線領域の電磁波などであってもよい。
上記構成において、処理室31は、密閉空間である方が好ましいが、場合により、大気中であっても構わない。処理室31内には、材料槽32、造形槽33、ワイパ装置34及び光学装置35が所定位置に配置されている。そして、レーザ光Lの照射時に酸化を抑えながら造形したい場合には、処理室31内には、窒素、アルゴン等の不活性ガスを流せるように、供給口31Aおよび排出口31Bが設けられている。
材料槽32には、その内部に載置台32Aが油圧昇降装置32Bにより昇降可能に設けられている。この載置台32Aには、原料である混合粒子20が載置されており、三次元造形時には、所定の造形ステップ毎に載置台32Aが上昇し、所定の層厚に相当する量の原料を当該材料槽32の上方に移動させる。
造形槽33には、その内部に、ワイパ装置34により材料槽32から原料が供給されるとともに、造形後の三次元造形物を載置するための載置台33Aが油圧昇降装置33Bにより昇降可能に設けられている。この載置台33A上には、必要に応じて原料及び造形後の三次元造形物を保持するためのベースプレート33Cが載置されている。
ここで、三次元造形物MD1は、所定の層厚さの単位で積層造形がなされるため、三次元造形時には、載置台33Aは、油圧昇降装置33Bにより所定の層厚単位でステップ的に下降されることとなる。なお、図3では、造形途中の三次元造形物MD1が示されている。
ワイパ装置34は、スキージングブレードを備え、図3中、左右に駆動され、材料槽の32上方に移動させられた所定の層厚に相当する量の原料を造形槽33に均等な厚さとなるように均しつつ、供給する。
光学装置35は、造形槽33の上部に配置されている。光学装置35は、例えば、発振素子を有し、レーザ光Lを出射する光源と、レーザ光Lを平行光とするコリメータ(コリメートレンズ:変換レンズ)と、平行光とされたレーザ光Lを偏向するためのガルバノミラー37等で構成されたスキャナと、スキャナにより偏向されたレーザ光Lを平らな像面に集光させ、走査させるための集光レンズ38(f−θレンズ)と、を含む光学系を備えている。
制御部36は、いわゆるマイクロコンピュータとして構成されており、例えば、MPU、ROM、RAM及び通信インタフェース等のコンピュータとしての基本構成を備えており、通信線を介して材料槽32あるいは造形槽33を構成する油圧昇降装置32B、33B、ワイパ装置34を構成するスキージングブレードの図示しない駆動機構、光学装置35を構成する光学系の制御を行う。このとき、光学装置35において、光の出力を制御するなどして、集光部の混合粒子20における金属粒子21と金属化合物粒子22とのうち金属粒子21だけを溶融させるように調整する。ファイバレーザのような低出力レーザやレーザ照射の焦点(スポット径)の調整、あるいは照射時間を調整するなどにより、照射時の温度を制御してセラミックスの焼結まで進行しないようにする。こうすることで造形体内部に主に焼結収縮等によるひずみが生じるのを回避する。
焼結装置14は、加熱用ヒータを備え、電気炉等として構成されている。得られた三次元造形物を大気中で焼結処理する。造形時に残存した金属粒子と微粒の酸化物粒子とをともに大気中で反応焼結させることにより、焼結時のひずみを相殺させ、クラックの発生が抑制されたセラミックス焼結体を得ることができる。また、水酸化アルミニウムのような水酸化物粉末を用いた場合、例えば、加熱分解により微粉末な酸化アルミニウム粒子が形成されるため、焼結後に多孔質ではあるが比較的強度の高い焼結体を得ることができる。
次に、三次元造形方法について図1、4を参照して説明する。図4は、実施形態の三次元造形方法の概念説明図である。
まず、原料粉体調整装置11が、複数種類の一次粒子(金属粒子21、金属化合物粒子22)を調整する(一次粒子調整工程)。そして、原料粉体調整装置11により調整された金属粒子21および金属化合物粒子22は、所定の比率で造粒装置12に投入される。
造粒装置12は、金属粒子21および金属化合物粒子22に結着剤23が助剤として投入され、混合粒子20(二次粒子)とする造粒を行う(混合粒子製造工程)。
続いて、造粒装置12により造粒された混合粒子20は、積層造形装置13の材料槽32に投入される。その後、処理室31内には、図示しないガス供給装置から処理室31内を清浄に保つために窒素、アルゴン等の不活性ガスが供給されて満たされた状態とされる。
一方、材料槽32に投入された混合粒子20は、材料槽32の最上部まで満たし、かつ、均等な高さとなるように投入される。この状態で、制御部36は、ワイパ装置34を制御する。この制御部36の制御下でワイパ装置34のスキージングブレードは、図2中、左右に駆動され、材料槽32の上方に移動させられた所定の層厚に相当する量の混合粒子(原料)20を造形槽33に均等な厚さとなるように均しつつ、供給する。
そして、造形槽33において所定の層厚とされた混合粒子20は、制御部36の制御下で光学装置35により、積層造形がなされる(積層造形工程)。具体的には、造形槽33の上部に配置された光学装置35の光源は、発振素子によりレーザ光Lを生成し、レーザ光Lをコリメータに出射する。これによりコリメータは、レーザ光Lを平行光として、スキャナ(たとえば、一対のガルバノミラー)に供給する。
平行光とされたレーザ光Lは、外部より入力されたスライスデータに基づくパターンを描くように、スキャナにより偏向され、集光レンズに至る。集光レンズは、スキャナにより偏向されたレーザ光Lを平らな像面、すなわち、新たに供給された混合粒子20上に集光させ、走査される。この際、レーザ光Lは、混合粒子20における金属粒子21と金属化合物粒子22とのうち金属粒子21だけを溶融する。そして、金属粒子21は、溶融後に固化し、当該固化等によって混合粒子20同士が結合される。この結果、混合粒子20は、スライスデータに基づくパターンに従った形状で固まる。
続いて、制御部36は、当該スライスデータに対応する硬化処理が終了すると、造形槽33の載置台33Aを油圧昇降装置33Bにより所定の層厚分下降される。これと並行して、材料槽32の載置台32Aは、所定の層厚に相当する量の混合粒子が造形槽33に供給可能となるように油圧昇降装置32Bにより上昇される。
続いて、制御部36は、ワイパ装置34を制御し、ワイパ装置34のスキージングブレードは、駆動されて造形槽33の上部に均等な厚さとなるように混合粒子20を均しつつ、供給する。これにより、光学装置35は、再びレーザ光Lを照射し、次の層に相当する積層造形を行う。
以下、同様にして、全てのスライスデータの処理が終了するまで、材料槽32からの混合粒子20の供給処理、造形槽33における混合粒子20の溶融固化処理が繰り返しなされ、三次元造形がなされる。具体的には、図4(a)に示すように、徐々に溶融固化された混合粒子20の層Mは、積層されて最終的には、図4(a)の右側に示すように、層Mが積層された三次元造形物MD1とされる。
続いて、積層造形装置13で造形された三次元造形物MD1は、焼結装置14により所定の昇温パターン及び降温パターンに従って加熱処理がなされ、焼結されて焼結体としての三次元造形物MD2とされる(図4(b))。
以上のように、本実施形態の三次元造形方法は、積層造形工程と、焼結工程と、を備えている。積層造形工程は、混合粒子20にレーザ光L(エネルギー線)を照射することにより金属粒子21と金属化合物粒子22とのうち金属粒子21だけを溶融させ、溶融した金属粒子21と金属化合物粒子22とを含む層Mを形成し、層Mの積層によって構成された三次元造形物MD1を作製する。焼結工程は、三次元造形物MD1を加熱して焼結体としての三次元造形物MD2を作製する。よって、本実施形態では、積層造形工程において、金属粒子21と金属化合物粒子22とのうち金属粒子21だけが溶融される。溶融した金属粒子21は、周囲の金属化合物粒子22との接触面積を増やし、その後、固化する。そして、このように金属粒子21と金属化合物粒子22との接触面積が増えた状態で、焼結工程が行われる。よって、三次元造形物MD2の密度及び強度を向上させやすい。したがって、ひずみによるクラック等発生が抑制された三次元造形物MD2(焼結体)が得やすい。また、当該方法によれば、多孔質の三次元造形物MD2(焼結体)を得やすいので、当該三次元造形物MD2をガスや流体のフィルター等といった用途に用いやすい。
なお、三次元造形システム10の各装置は、上記実施形態の構成に限定されない。例えば、積層造形装置は、ノズルから混合粒子20を噴出するとともに、噴出した混合粒子20にノズルからレーザ光Lを照射して、混合粒子20の層を形成し、三次元造形物MD1を作製する構成であってもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
20…混合粒子、21…金属粒子、22…金属酸化物粒子、M…層、MD1…三次元造形物、MD2…三次元造形物(焼結体)。

Claims (3)

  1. 金属元素の粒子と、前記金属元素の酸化物としての、または熱分解によって前記金属元素の酸化物となることが可能な物質としての、前記金属元素よりも融点が高い金属化合物の粒子と、を含む混合粒子に、エネルギー線を照射することにより前記金属元素の粒子と前記金属化合物の粒子とのうち前記金属元素の粒子だけを溶融させ、溶融した前記金属元素の粒子と前記金属化合物の粒子とを含む層を形成し、前記層の積層によって構成された三次元造形物を作製する積層造形工程と、
    前記三次元造形物を加熱して焼結体を作製する焼結工程と、
    を備えた三次元造形方法。
  2. 前記混合粒子に含まれる全ての前記金属元素の粒子および前記金属化合物の粒子の合計体積に対する、前記全ての金属元素の粒子の体積の割合が、10体積%以上かつ70体積%以下である、請求項1に記載の三次元造形方法。
  3. 前記金属元素の粒子は、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、ニッケル、コバルト、銅、および鉄からなる群から選択され、
    前記金属化合物の粒子は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、ジルコニア、酸化チタン、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化銅、酸化鉄、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、水酸化ニッケル、水酸化コバルト、水酸化銅、および水酸化鉄からなる群から選択された、請求項1または2に記載の三次元造形方法。
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