JP2017164680A - 不織布濾過材 - Google Patents
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Abstract
Description
このような不織布濾過材のセット作業を簡単にするためには、金型と不織布濾過材のクリアランスを大きくすることが好ましいが、クリアランスが大きくなると、隙間から樹脂が不織布表面に漏れ出すなどして、エアクリーナエレメントの成形品として不良品となってしまうため、クリアランスを大きくすることには限界がある。
まず、水平に配置された試験用平面4を準備し、ここに、試験対象の不織布濾過材1を摩擦係数を測定すべき面が上になるように、両面テープなどによって固定する。不織布濾過材1の上に、摩擦試験用のおもり3を置いて、糸や滑車等を利用して、おもり3に水平方向の力を加え、摩擦力を測定する。
このように、不織布表面に対しおもり3が押し付けられた状態のもとで、水平方向におもりを引っ張って、おもりが動き出す際の引っ張り力を測定し、計測された動き始めの摩擦力を押圧力で除して、静摩擦係数を求める。
また、露出する不織布層のうち空間率が小さい側の不織布層(密層部12)以外の不織布層(例えば粗層部11)も、フッ素系処理剤もしくはシリコーン系処理剤により処理してもよい。
低摩擦化処理剤を含むバインダ液でバインダ処理工程を行えば、バインダにより繊維の交点部分が固定され、不織布層の構造の維持や一体化に寄与しつつ、同時に低摩擦化処理ができて、不織布濾過材の製造が効率的である。使用するバインダには特に限定されない。また、低摩擦化処理を兼ねるバインダ処理は、不織布全体に対して行ってもよい。
不織布濾過材1は、露出する不織布層のうち少なくとも空間率が小さい側の不織布層の露出面の静摩擦係数が、0.3以下とされている。そのため、金型を型閉じする際に、不織布が金型に引っ張られて一部が薄くなってしまうことが抑制される。したがって、得られるエアクリーナエレメントの濾過性能の信頼性を高めることができる。
また、以下に示す実施例や比較例において、いずれの例における濾過材も、相違する旨の記載のない繊維の材質や厚みや目付け量、積層された層の間の密度勾配等の構成は、実質的に同じであり、試験に供する際に成形したフィルタエレメントの形状や襞折りの仕様も同一としている。実施例及び比較例の層の構成や性能評価結果を表1に示す。
実施例1は、上記第1実施形態として説明した不織布濾過材1である。粗層部11はPET繊維製であり、目付は50g/平方メートル、空間率は99.3%、粗層部11を構成する繊維の平均繊維径は21μmである。密層部12はPET繊維製であり、目付は200g/平方メートル、空間率は93.5%、密層部12を構成する繊維の平均繊維径は14μmである。実施例1の不織布濾過材1では、密層部12全体をフッ素系処理剤で処理して低摩擦化処理がされている。低摩擦化処理は、不織布を一体化した後に、密層部全体に処理剤が行き渡るように、密層部12側の面にフッ素系処理剤を含む処理液を塗布することにより行った。実施例1の不織布濾過材の密層部側露出面の静摩擦係数は0.24であった。
実施例1に対し、低摩擦化処理をシリコーン系処理剤によるものに変更し、他は実施例1と同様の構成とした。実施例2の密層部側露出面の静摩擦係数は0.25であった。
まず、空間率や繊維径などの繊維構成が実施例1の密層部に近く、目付が60g/平方メートルである不織布に対し、フッ素系処理剤により低摩擦化処理を行った不織布を製造した。その低摩擦化不織布を基布として、その上に、密層部ウェブ(目付140g/平方メートル)と粗層部ウェブを積層し、ニードルパンチして一体化し、全体としてはほぼ実施例1と同様の繊維構成を有する3層構造の不織布濾過材を得た(実施例3)。実施例3の基布側(下流側)の露出面の静摩擦係数は0.26であった。
実施例1に対し、密層部に対するフッ素系処理剤による低摩擦化処理を行わなくした例である。繊維構成等は実施例1と同様の構成としている。なお、この比較例1では、密層部側の面の静摩擦係数は0.4であった。
比較例1に対し、密層部にフッ素加工した繊維を20重量%混紡した例である。密層部側の面の静摩擦係数は0.34であった。
実施例3に対し、基布に対する低摩擦化処理を行わなくした例である。繊維構成等は実施例3と同様の構成としている。なお、この比較例3では、基布側(下流側)の面の静摩擦係数は0.36であった。
ダストの捕捉性能についての性能評価を行った。
各実施例、比較例により得られたエアクリーナエレメントをダスト試験に供した。JISD1612(自動車用エアクリーナ試験方法)に準じて、JIS−8種ダストについてダスト捕捉量試験、ダスト捕捉性能試験を行った。その試験条件を下記に示す。なお、試験はエアクリーナエレメントのサンプルを7個準備し、それぞれに対して試験を行い、測定結果の平均値やメジアン(センター値)と、上限−下限のばらつきを評価した。
試験ダスト:一般ダスト(JIS−8種)
ダスト供給量:4.2g/分
試験流量:4.2立方m/分
通気抵抗:濾過材の上流と下流の間の差圧
増加通気抵抗が2.94kPaに達したときをフルライフとし、それまでに捕捉したダストの量(ダスト捕捉量)を寿命(ライフ)とする。
ダスト捕捉性能については、エアクリーナエレメントに捕捉されたダストの量(A)と、エアクリーナエレメントを透過して下流に設けられたアブソリュートフィルタに捕捉されたダストの量(B)とを測定して、ダストの総量(A+B)のうち、どの割合でエアクリーナエレメントに捕捉されたか(A/(A+B))を百分率で求めたものをダスト捕捉効率(清浄効率)とした。
各実施例、比較例のエアクリーナエレメントを、エアクリーナケースに組み込んで、出力ノイズ試験に供した。出力ノイズ試験では、エアクリーナに試験流量(4.2立方m/分)の空気を流して、エアクリーナの下流側のダクトに設けられた流量センサー(エアフローメーター)の出力を測定した。流量が一定であれば流量センサーの出力は一定値であるべきであるが、ノイズ(不安定な出力変動)を含んでいる。時系列で得られる流量センサーの出力から1000点のデータサンプリングを行い、出力の平均値(m)と標準偏差(σ)を求めた。得られた標準偏差の2倍(2σ)を出力の平均値(m)で除したもの(2σ/m)を流量センサの出力ノイズとして百分率で求めた。出力ノイズ試験はそれぞれの例に対し7個のサンプルで行い、各サンプルの出力ノイズのメジアン(センター値)と、上限−下限のばらつきを評価した。
密層側の摩擦係数が0.3を下回るようにされている実施例1ないし実施例3によれば、比較例1ないし比較例3に対し、ダスト試験での清浄効率が若干向上している。特に、複数の試験サンプルの間で生ずるばらつきが小さくなっている。実施例1ないし実施例3では、清浄効率のばらつきが、0.2に収まっているのに対し、比較例1ないし比較例3では、ばらつきがそれぞれ、0.8、0.5、0.5と大きくなっている。また、比較例では、清浄効率のばらつきの下限のものについては、99%を切るものが出てくるなど、実施例の下限に比べ見劣りする結果となった。
実施例1ないし実施例3の不織布濾過材のものが、清浄効率の信頼性が高いといえる。
実施例1ないし実施例3の不織布濾過材のものが、流量センサーの出力ノイズを低減できている。
11 粗層部
12 密層部
2 エアクリーナエレメント
21 枠体
22 シール部材
3 おもり
4 試験用平面
Claims (3)
- 空間率が異なる不織布層が積層された積層構造を有する不織布濾過材であって、
露出する不織布層のうち少なくとも空間率が小さい側の不織布層の露出面の静摩擦係数が0.3以下である不織布濾過材。 - 露出する不織布層のうち少なくとも空間率が小さい側の不織布層がフッ素系処理剤もしくはシリコーン系処理剤で処理されている請求項1に記載の不織布濾過材。
- 請求項2に記載の不織布濾過材を製造する方法であって、
所定の積層構造に不織布層を積層した後に、
フッ素系処理剤もしくはシリコーン系処理剤を含む処理液を、露出する不織布層のうち少なくとも空間率が小さい側の不織布層の露出面に塗布する不織布濾過材の製造方法。
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