JP2017164061A - ガイドワイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】先端部が柔軟性に優れ、トルク伝達性に優れるガイドワイヤを提供すること。
【解決手段】ガイドワイヤは、長尺状をなし、可撓性を有するワイヤ本体10と、ワイヤ本体10の少なくとも先端部の外周を覆うように設けられたコイル5とを備えている。ワイヤ本体10は、先端部に板状部26を有している。板状部26は、ワイヤ本体10の長手方向に沿って配置され、順次連結された複数の板体3を有している。隣り合う2つの板体3は、互いの連結部30を中心に回動可能に互いに連結されている。板状部26は、リシェイプ可能なリシェイプ部を構成しており、少なくとも1つの板体3が所定方向に回動することにより、板状部26、すなわち、ガイドワイヤの先端部が板体3の厚さ方向の2方向のうちの一方に曲がる。
【選択図】図4

Description

本発明は、ガイドワイヤに関するものである。
ガイドワイヤは、外科的手術が困難な部位の治療、または人体への低侵襲を目的とした治療や、心臓疾患における血管造影の検査、治療などに用いられるカテーテルを目的部位へ導入、誘導するのに使用されている。
また、ガイドワイヤでは、誘導するカテーテルの先端部を血管形状に対応させたり、血管分岐を適正かつ円滑に選択、誘導したりするために、医師等がガイドワイヤの先端部を予め所望の形状に変形させて使用することがある。以下、ガイドワイヤの先端部を所望の形状に変形させることを「リシェイプ」または「形状付け」と言う。
特許文献1には、このようなガイドワイヤとしては、長尺状のワイヤ本体が、その先端部に扁平形状、すなわち、板状の線材を有し、ワイヤ本体の先端部を覆うように螺旋状のコイルが設けられた構成のものが知られている。
特許文献1に記載されているガイドワイヤでは、リシェイプを比較的容易に行うことができ、そのリシェイプにより、ガイドワイヤを生体内に挿入する際の操作性が向上する。
しかしながら、特許文献1に記載されているガイドワイヤでは、意図しない形状癖が付き易く、1度、リシェイプを行った後、再度、リシェイプを行う場合、リシェイプを行い難く、また、前記形状癖により、ガイドワイヤを生体内に挿入する際の操作性が低下する虞がある。
また、ガイドワイヤの先端部が曲がった状態で、ガイドワイヤをその軸周りに回転させる回転操作を行うと、コイルは回転せずにワイヤ本体のみが回転する空回りが生じ易くなり、トルク伝達性が低下する。
また、ガイドワイヤの板状の線材の部分の柔軟性も不十分である。
特開2012−179204号公報
本発明の目的は、先端部が柔軟性に優れ、また、トルク伝達性に優れるガイドワイヤを提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(9)の本発明により達成される。
(1) 長尺状をなし、可撓性を有するワイヤ本体と、前記ワイヤ本体の少なくとも先端部の外周を覆うように設けられた筒状部材とを備えるガイドワイヤであって、
前記ワイヤ本体の先端部は、前記ワイヤ本体の長手方向に沿って配置され、順次連結された複数の板体を有し、
隣り合う2つの前記板体は、互いの連結部を中心に回動可能に連結されていることを特徴とするガイドワイヤ。
(2) 隣り合う2つの前記板体のうちの先端側の前記板体の途中と、基端側の前記板体の先端部とが連結されている上記(1)に記載のガイドワイヤ。
(3) 前記ワイヤ本体の先端部が所定量曲がると、前記複数の板体のうちの少なくとも1つが前記筒状部材の内周面と接触する上記(1)または(2)に記載のガイドワイヤ。
(4) 前記板体の厚さ方向から見て、隣り合う2つの前記板体の一部が重なっている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(5) 前記板体の厚さ方向から見て、3つ以上の板体は重なっていない上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(6) 隣り合う2つの前記板体は、溶接により連結されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(7) 前記板体が所定方向に回動することにより、当該ガイドワイヤの先端部が前記板体の厚さ方向の2方向のうちの一方に曲がる上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(8) 前記ワイヤ本体の先端部が曲がる方向を示すマーカーを有する上記(7)に記載のガイドワイヤ。
(9) 前記筒状部材は、素線を螺旋状に形成してなるコイルを有する上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
本発明によれば、ワイヤ本体の先端部は、ワイヤ本体の長手方向に沿って配置され、回動可能に連結された複数の板体を有しているので、柔軟性に優れている。
また、ガイドワイヤの先端部が曲がった状態で、ガイドワイヤをその軸周りに回転させる回転操作を行うと、板体が筒状部材の内周面と接触し、これにより、板体と筒状部材との間に摩擦抵抗が生じ、ワイヤ本体とともに筒状部材が確実に回転する。このようにして、トルク伝達性が向上し、トルク伝達性に優れるガイドワイヤを提供することができる。
また、複数の板体によりリシェイプ可能なリシェイプ部が構成される場合は、ガイドワイヤの先端部のリシェイプを容易かつ確実に行うことができる。また、複数の板体が曲がる方向は一方向に限られるため、意図しない形状癖が付き難く、1度、リシェイプを行った後、再度、リシェイプを行う場合でも、リシェイプを行い易いため、最初に付けた形状を再現し易い。
本発明のガイドワイヤの第1実施形態を示す部分縦断面図(概略側面図)である。 図1に示すガイドワイヤのワイヤ本体の板状部の側面図である。 図1に示すガイドワイヤの板体の平面図である。 図1に示すガイドワイヤの先端部が湾曲した状態におけるワイヤ本体の先端部を示す部分縦断面図(一部側面図)である。 本発明のガイドワイヤの第2実施形態を示す部分縦断面図(概略側面図)である。
以下、本発明のガイドワイヤを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明のガイドワイヤの第1実施形態を示す部分縦断面図(概略側面図)である。図2は、図1に示すガイドワイヤのワイヤ本体の板状部の側面図である。図3は、図1に示すガイドワイヤの板体の平面図である。図4は、図1に示すガイドワイヤの先端部が湾曲した状態におけるワイヤ本体の先端部を示す部分縦断面図である。
なお、以下では、説明の都合上、図1〜図4(図5についても同様)中の右側を「基端」、左側を「先端」と言い、図1、図2および図4(図5についても同様)中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、図1および図4(図5についても同様)では、理解を容易にするため、ガイドワイヤの長さを短縮し、ガイドワイヤの太さを誇張して模式的に図示しており、長さと太さの比率は、実際とは異なる。
図1に示すガイドワイヤ1は、カテーテルの内腔に挿入して用いられるカテーテル用ガイドワイヤであって、第1ワイヤ2と、第1ワイヤ2の基端側に配置された第2ワイヤ4とを接合してなるワイヤ本体10と、ワイヤ本体10の先端部に設置された螺旋状のコイル5とを有している。ワイヤ本体10は、長尺状をなし、可撓性を有している。
ガイドワイヤ1の全長は、特に限定されないが、200〜5000mm程度であるのが好ましい。
第1ワイヤ2は、柔軟性または弾性を有する線材で構成されている。本実施形態では、第1ワイヤ2は、外径がほぼ一定である外径一定部21と、外径一定部21より先端側に位置し、先端方向に向かって外径が漸減する第1テーパ部22(先端側テーパ部)と、第1テーパ部22より先端側に位置する板状部26と、外径一定部21より基端側に位置し、外径一定部21より外径が大きい大径部24と、外径一定部21と大径部24との間に位置し、先端方向に向かって外径が漸減する第2テーパ部23(基端側テーパ部)とを有している。これらは、第1ワイヤ2の先端側から基端側に向って、板状部26、第1テーパ部22、外径一定部21、第2テーパ部23および大径部24の順に配置されている。
板状部26と外径一定部21との間に第1テーパ部22が形成されていることにより、第1ワイヤ2を先端方向に向かって徐々に柔軟にすることができ、その結果、ガイドワイヤ1は、先端部に良好な狭窄部の通過性および柔軟性を得て、血管等への追従性、安全性が向上すると共に、折れ曲がり等も防止することができる。
また、第1テーパ部22と同様に、第2テーパ部23を介して外径一定部21と大径部24とが形成されていることにより、第1ワイヤ2を先端方向に向かって徐々に柔軟にすることができる。
なお、第1テーパ部22(第2テーパ部23も同様)のテーパ角度は、ワイヤ本体10の長手方向に沿って一定でも、長手方向に沿って変化する部位があってもよい。例えば、テーパ角度が比較的大きい箇所と比較的小さい箇所とが複数回交互に繰り返して形成されていてもよい。
また、第1テーパ部22と第2テーパ部23とで、テーパの形状やテーパ角度が異なっていてもよい。
第1ワイヤ2において、外径一定部21および大径部24は、それぞれ、その外径がワイヤ長手方向に沿って一定となっている。外径一定部21の外径は、第1テーパ部22の最大外径とほぼ同等であり、また第2テーパ部23の最小外径とほぼ同等である。大径部24の外径は、第2テーパ部23の最大外径とほぼ同等である。
板状部26は、所望の形状に変形させて用いることができる。以下、板状部26やガイドワイヤ1の先端部を所望の形状に変形させることを「リシェイプ」または「形状付け」と言う。板状部26については、後で詳述するが、板状部26を設けることにより、リシェイプを容易かつ確実に行うことができ、ガイドワイヤ1を生体内に挿入する際の操作性が格段に向上する。
第1ワイヤ2の基端には、第2ワイヤ4の先端が接合されている。第2ワイヤ4は、柔軟性または弾性を有する線材で構成されている。
前記第1ワイヤ2と第2ワイヤ4との接合方法は、特に限定されず、例えば、溶接やろう付けや、種々の方法を用いることができるが、第1ワイヤ2と第2ワイヤ4とは溶接により接合されているのが好ましい。
本実施形態では、第2ワイヤ4は、その外径がほぼ一定となっている。この第2ワイヤ4の外径は、第1ワイヤ2の大径部24の外径とほぼ等しい。これにより、第1ワイヤ2の大径部24の基端と第2ワイヤ4の先端とを接合した際、それらの接合部6の外周に両ワイヤ2、4の外径差による段差が生じず、連続した面を構成することができる。なお、本発明では、これに限らず、接合部6の前後において、第1ワイヤ2と第2ワイヤ4とのうちの少なくとも一方の外径が変化していてもよい。
第1ワイヤ2の平均外径は、第2ワイヤ4の平均外径より小さい。これにより、ガイドワイヤ1は、その先端側である第1ワイヤ2上では柔軟性に富み、基端側である第2ワイヤ4上では比較的剛性が高いものとなるので、先端部の柔軟性と優れた操作性とを両立することができる。
第1ワイヤ2および第2ワイヤ4の構成材料は、特に限定されず、それぞれ、例えば、ステンレス鋼、例えば、SUS304、SUS303、SUS316、SUS316L、SUS316J1、SUS316J1L、SUS405、SUS430、SUS434、SUS444、SUS429、SUS430F、SUS302等SUSの全品種、ピアノ線、コバルト系合金、Ni−Ti合金等の超弾性合金を含む擬弾性を示す合金などの各種金属材料を使用することができる。
第1ワイヤ2の構成材料としては、擬弾性を示す合金が好ましく、より好ましくは超弾性合金である。
超弾性合金は、柔軟性に富み、復元性があり、曲がり癖が付き難いので、第1ワイヤ2を超弾性合金で構成することにより、ガイドワイヤ1は、その先端側の部分に十分な柔軟性と曲げに対する復元性が得られ、複雑に湾曲・屈曲する血管等に対する追従性が向上し、より優れた操作性が得られる。さらに第1ワイヤ2が湾曲・屈曲変形を繰り返しても、第1ワイヤ2に備わる復元性により曲がり癖が付かないので、ガイドワイヤ1の使用中に第1ワイヤ2に曲がり癖が付くことによる操作性の低下を防止することができる。
擬弾性合金には、引張試験による応力−ひずみ曲線のいずれの形状も含み、As、Af、Ms、Mf等の変態点が顕著に測定できるものも、できないものも含み、応力により大きく変形し、応力の除去により元の形状にほぼ戻るものは全て含まれる。
第2ワイヤ4の構成材料としては、前述したステンレス鋼が好ましい。ステンレス鋼は、前記超弾性合金に比べて強度および剛性が高く、そのため、ガイドワイヤ1に優れた押し込み性およびトルク伝達性を付与することができる。
第1ワイヤ2と第2ワイヤ4とは、異なる材料で構成されていてもよいが、同一または同種の金属材料で構成されていてもよい。後者の場合、接合部6の接合強度がより高くなり、接合部6の外径が小さくても、離脱等を生じることなく、優れたトルク伝達性等を発揮する。
第1ワイヤ2と第2ワイヤ4とを異なる材料で構成する場合、第1ワイヤ2は、前述した超弾性合金で構成されているのが好ましく、特にNi−Ti系合金で構成されているのが好ましく、第2ワイヤ4は、前述したステンレス鋼で構成されているのが好ましい。
なお、上記では、第1ワイヤ2と第2ワイヤ4を接合した態様にて説明したが、接合部のない連続した一本のワイヤ本体で構成されたものであってもよい。その場合のワイヤ本体の構成材料は、前述したのと同様の材料が挙げられ、特にステンレス鋼、コバルト系合金、擬弾性合金が好ましい。
ワイヤ本体10の先端部外周には、当該先端部を板状部26ごと覆うようにコイル5が配置されている。コイル5は、筒状部材の1例である。このコイル5の設置により、カテーテルの内壁や生体表面に対するワイヤ本体10の表面の接触面積が少なくなり、これにより、摺動抵抗を低減することができ、その結果、ガイドワイヤ1の操作性がより向上する。
図1に示すように、コイル5の内側の中心部に、ワイヤ本体10が挿通されている。本実施形態の場合、板状部26と、第1テーパ部22と、外径一定部21の全部または一部とが、コイル5で覆われている。
また、ワイヤ本体10の先端部、特に、板状部26から外径一定部21の途中までの領域は、コイル5の内面と非接触で挿通されている。これにより、コイル5とワイヤ本体10の先端部との間に間隙50が形成されることとなる。
コイル5は、横断面形状が円形の素線54を螺旋状に形成してなるものである。この場合、1本の素線54を螺旋状に巻いたものでも、複数本の素線54を螺旋状に巻いたものでもよい。
素線54の構成材料は、特に限定されず、金属材料、樹脂材料のいずれでもよい。金属材料の好ましい例としては、ステンレス鋼や、例えばAu、Pt等の貴金属、該貴金属を含む合金(例えばPt−Ir合金)のようなX線不透過材料が挙げられる。後者の場合、ガイドワイヤ1の先端部にX線造影性が付与され、X線透視下で先端部の位置を確認しつつ生体内に挿入することができ、好ましい。
なお、コイル5は、2種以上の材料を組み合わせたものでもよい。例えば、コイル5の先端側の素線54を前記Pt−Ir合金のようなX線不透過材料で構成し、コイル5の基端側の素線54をステンレス鋼で構成することができる。この場合には、X線透視下で、ガイドワイヤ1は、コイル5の先端側に位置する部位を、基端側に位置する部位よりも強調することができ、これにより、ガイドワイヤ1の最先端部の位置をより鮮明に視認することができる。
また、コイル5の素線54の線径は、コイル5の全長に渡って同一でもよいが、コイル5の先端側と基端側とにおいて、それぞれの素線54の線径が異なっていてもよい。例えば、コイル5の先端側においては、基端側に比べ素線54の線径が小さくなってもよい。これにより、ガイドワイヤ1の先端部をより柔軟にすることができる。
また、コイル5の外径は、コイル5の全長に渡って同一でもよいが、コイル5の先端側と基端側とで、コイル5の外径が異なっていてもよい。例えば、コイル5の先端側においては、基端側に比べコイル5の外径が小さくなっていてもよい。これにより、コイル5の先端部におけるガイドワイヤ1の狭窄部位での通過性をより向上させることができる。
また、コイル5は、外力を付与しない自然状態で、螺旋状に形成された素線54の隣り合う2つの素線54同士の間に隙間が空いていてもよく、また、図1に示すように、外力を付与しない自然状態で、前記隣り合う2つの素線54同士が隙間なく密に配置されていてもよい。すなわち、前記隣り合う2つの素線54同士が接触するように密巻きに巻かれていてもよい。前記密巻きの場合は、前記隣り合う2つの素線54同士は、外力を付与しない自然状態で互いにワイヤ本体10の軸方向に押し合う力、すなわち、圧縮力が生じている。なお、前記密巻きにおいて、一部に、前記隣り合う2つの素線54同士が離間している箇所を設けてもよい。
図1に示すように、コイル5は、ワイヤ本体10に対し1箇所以上で固定されている。すなわち、コイル5の先端部が固定材料51により第1ワイヤ2の先端と固定され、コイル5の基端部が固定材料53により第1ワイヤ2の途中に固定されている。このような箇所で固定することにより、ガイドワイヤ1の先端部の柔軟性を損なうことなく、ワイヤ本体10に対しコイル5の各部をそれぞれ確実に固定することができる。また、板状部26をコイル5に対し確実に固定することができ、形状付けされた板状部26の形状を適正に保持することができる。
固定材料51、53は、それぞれ、好ましくは半田(ろう材)もしくは樹脂で構成されている。なお、固定材料51、53は、半田に限らず、接着剤でもよい。また、コイル5のワイヤ本体10に対する固定方法は、前記のような固定材料によるものに限らず、例えば、溶接でもよい。また、図1に示すように血管等の体腔の内壁の損傷を防止するために、固定材料51の先端面は、丸みを帯びているのが好ましい。
図1に示すように、ガイドワイヤ1の外表面には、その全体または一部を覆う樹脂被覆層8が設けられている。この樹脂被覆層8は、種々の目的で形成することができるが、その一例として、ガイドワイヤ1の摩擦抵抗(摺動抵抗)を低減し、摺動性を向上させることによってガイドワイヤ1の操作性を向上させることがある。
ガイドワイヤ1の摺動抵抗の低減を図るためには、樹脂被覆層8は、以下に述べるような摩擦抵抗を低減し得る材料で構成されているのが好ましい。これにより、ガイドワイヤ1とともに用いられるカテーテルの内壁との摺動抵抗が低減されて摺動性が向上し、カテーテル内でのガイドワイヤ1の操作性がより良好なものとなる。また、ガイドワイヤ1の摺動抵抗が低くなることで、ガイドワイヤ1をカテーテル内で移動および/または回転した際に、ガイドワイヤ1のキンク、折れ曲がりやねじれ、特に接合部6付近におけるキンクやねじれをより確実に防止することができる。
このような摩擦抵抗を低減し得る材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、PET、PBT等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、PTFE、ETFE等のフッ素系樹脂、またはこれらの複合材料が挙げられる。
また、樹脂被覆層8は、ガイドワイヤ1を血管等に挿入する際の安全性の向上を目的として設けることもできる。この目的のためには、樹脂被覆層8は柔軟性に富む材料で構成されているのが好ましい。
このような柔軟性に富む材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、PET、PBT等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、シリコーン樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー等の熱可塑性エラストマー、ラテックスゴム、シリコーンゴム等の各種ゴム材料、またはこれらのうち2以上を組み合わせた複合材料が挙げられる。
なお、本実施形態では、樹脂被覆層8は、第2テーパ部23の途中での位置を境にして、その先端側と基端側とで、構成材料が異なっている。これにより、例えば、樹脂被覆層8の第1ワイヤ2およびコイル5を被覆する部分の材料を前記柔軟性に富む材料で構成し、樹脂被覆層8の第2ワイヤ4を被覆する部分の材料を前記摩擦抵抗を低減し得る材料で構成することができる。
また、ガイドワイヤ1では、樹脂被覆層8は、その全体が同一の材料で構成されていてもよく、3種類以上の互いに異なる構成材料で構成されていてもよい。
また、樹脂被覆層8は、単層のものであってもよいし、2層以上の積層体、例えば、内側の層が外側の層に比べより柔軟な材料で構成された構造でもよい。例えば、樹脂被覆層8の第1ワイヤ2およびコイル5を被覆する部分を単層とし、樹脂被覆層8の第2ワイヤ4を被覆する部分の材料を2層以上の積層体とすることができる。また、その逆であってもよい。
このような樹脂被覆層8の外周面には、溝(図示せず)が形成されていてもよい。特に、樹脂被覆層8の少なくとも板状部26に対応する箇所に、例えば直線状、曲線状、リング状、螺旋状、網状等のパターンの溝が形成されているのが好ましい。このような溝を形成することにより、ガイドワイヤ1の先端部の柔軟性が増し、また、ガイドワイヤ1の摺動抵抗を低減し、摺動性をさらに向上させることができる。
また、ガイドワイヤ1の少なくとも先端部の外面には、親水性材料がコーティングされているのが好ましい。これにより、親水性材料が湿潤して潤滑性を生じ、ガイドワイヤ1の摺動抵抗が低減し、摺動性が向上する。従って、ガイドワイヤ1の操作性が向上する。
親水性材料としては、例えば、セルロース系高分子物質、ポリエチレンオキサイド系高分子物質、無水マレイン酸系高分子物質としてメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系高分子物質として、ポリアクリルアミド、グリシジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド(GMA−DMAA)のブロック共重合体、水溶性ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
このような親水性材料は、多くの場合、湿潤により潤滑性を発揮し、ガイドワイヤ1とともに用いられるカテーテルの内壁との摺動抵抗を低減する。これにより、ガイドワイヤ1の摺動性が向上し、カテーテル内でのガイドワイヤ1の操作性がより良好なものとなる。
次に、ワイヤ本体10の板状部26について説明する。
図1および図2に示すように、ワイヤ本体10の板状部26は、ワイヤ本体10の長手方向に沿って配置され、順次連結された複数、図示の構成では、4つの板体3を有している。4つの板体3における隣り合う2つの板体3は、互いの連結部30を中心に回動可能に互いに連結されている。この板状部26は、リシェイプ可能なリシェイプ部を構成しており、少なくとも1つの板体3が所定方向に回動することにより、板状部26、すなわち、ガイドワイヤ1の先端部が板体3の厚さ方向の2方向のうちの一方に曲がる。
なお、図1および図2において、左右方向が、ワイヤ本体10およびガイドワイヤ1の長手方向、すなわち、軸方向である。また、図1から図3において、左右方向が、板体3の長手方向であり、また、図1および図2において、上下方向が、板体3の厚さ方向であり、また、図3において、上下方向が、板体3の幅方向である。
また、板体3は、本実施形態では、平板であり、その形状は、平面視、すなわち、板体3の厚さ方向から見て、長方形をなしている。したがって、板体3の図3中の上下方向の長さ、すなわち、幅Wは、板体3の長手方向に沿って、一定である。また、板体の長手方向と、ワイヤ本体10を真っ直ぐに伸ばしたときのワイヤ本体10の長手方向とは一致している。
なお、板体3の幅Wは、板体3の長手方向に沿って変化していてもよい。すなわち、板体3は、例えば、ワイヤ本体10の先端側に向かって、板体3の長手方向の全長に亘って幅Wが漸減している、または、板体3の長手方向の一部において幅Wが漸減している等、幅Wが漸減する部分を有していてもよい。これにより、ガイドワイヤ1の先端部を、その先端側ほど、柔軟にすることができる。
また、板体3の形状は、前記の形状には限定されない。板体3の他の形状の具体例としては、例えば、ワイヤ本体10の長手方向に対する横断面の形状が五角形、六角形等の他の多角形、楕円形、半楕円形等が挙げられる。
また、隣り合う2つの板体3において、先端側の板体3では、板体3の長手方向の途中、本実施形態では、板体3の長手方向の中央部33に連結部30が設けられ、基端側の板体3では、板体3の先端部31に連結部30が設けられている。すなわち、隣り合う2つの板体3のうちの先端側の板体3の途中、本実施形態では、先端側の板体3の長手方向の中央部33と、基端側の板体3の先端部31とが連結部30により連結されている。この隣り合う2つの板体3における連結部30の前記板体3の長手方向の位置関係は、最も先端側の板体3から最も基端側の板体3まで一定である。
また、換言すれば、板体3の厚さ方向から見て、隣り合う2つの板体3の一部が重なっている。本実施形態では、先端側の板体3の長手方向の基端側の半分の部分と、基端側の板体3の長手方向の先端側の半分の部分とが重なっている。そして、板体3の厚さ方向から見て、3つ以上の板体3は重なっていない。
また、隣り合う2つの板体3において、先端側の板体3では、板体3の図2中の下側に連結部30が設けられ、基端側の板体3では、板体3の図2中の上側に連結部30が設けられている。すなわち、隣り合う2つの板体3のうちの先端側の板体3の図2中の下側と、基端側の板体3の図2中の上側とが連結部30により連結されている。この隣り合う2つの板体3における連結部30の前記上下方向の位置関係は、最も先端側の板体3から最も基端側の板体3まで一定である。
以上のような構成により、隣り合う2つの板体3のうち、先端側の板体3は、連結部30を回動中心として一方向のみに回動可能であり、その方向は、各板体3で同一である。
したがって、図4に示すように、少なくとも1つの所定の板体3が回動することにより、板状部26、すなわち、ガイドワイヤ1の先端部は、板体3の厚さ方向の2方向のうち、一方のみ、すなわち、図2中の下側のみに曲がることが可能である。
これにより、ガイドワイヤ1の先端部のリシェイプを行う場合、板体3が回動することにより、板状部26、すなわち、ガイドワイヤ1の先端部を容易かつ確実に曲げて変形させることができる。この場合、板体3の厚さ方向から見て、3つ以上の板体3は重なっていないので、ガイドワイヤ1の先端部を極めて容易かつ確実に曲げることができる。
また、図4に示すように、板状部26、すなわち、ガイドワイヤ1の先端部が所定量曲がると、少なくとも1つの板体3の基端部32がコイル5の内周面と接触する。これにより、板体3とコイル5との間に摩擦抵抗が生じる。したがって、ガイドワイヤ1の先端部が曲がった状態で、ガイドワイヤ1をその軸周りに回転させる回転操作を行うと、ワイヤ本体10とともにコイル5が確実に回転する。すなわち、トルク伝達性が向上する。
また、隣り合う2つの板体3は、本実施形態では溶接により接合、すなわち、連結されている。溶接としては、例えば、融接(溶融法)、ろう接および圧接等が挙げられるが、これらのうちでは、融接またはろう接が好ましく、融接がより好ましい。
また、板体3の連結部30は、本実施形態では、幅W方向の全長に亘って設けられているが、これに限らず、例えば、幅W方向の一部に設けられていてもよい。
なお、隣り合う2つの板体3の連結は、前記の方法に限らず、隣り合う2つの板体3同士が、例えば、接着剤での接着等により連結されていてもよく、また、ヒンジ機構等で連結されていてもよい。
また、板体3の数は、複数であれば特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、板体3の数は2〜20であることが好ましく、3〜5であることがより好ましい。これにより、ガイドワイヤ1の先端部のリシェイプを行う場合、板状部26を容易かつ確実に曲げて変形させることができる。
また、板体3の寸法は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、板体3の厚さは、10〜150μmであることが好ましく、15〜30μmであることがより好ましい。これにより、板体3の柔軟性として適度な柔軟性が得られる。
以上説明したように、このガイドワイヤ1によれば、ワイヤ本体10の先端部は、ワイヤ本体10の長手方向に沿って配置され、回動可能に連結された4つの板体3を有しているので、柔軟性に優れている。
また、ガイドワイヤ1の先端部が曲がった状態で、ガイドワイヤ1をその軸周りに回転させる回転操作を行うと、板体3の基端部32がコイル5の内周面と接触し、これにより、板体3とコイル5との間に摩擦抵抗が生じ、ワイヤ本体10とともにコイル5が確実に回転する。このようにして、トルク伝達性が向上し、トルク伝達性に優れるガイドワイヤ1を提供することができる。
また、ガイドワイヤ1の先端部のリシェイプを容易かつ確実に行うことができる。また、意図しない形状癖が付き難く、1度、リシェイプを行った後、再度、リシェイプを行う場合、リシェイプを行い易い。例えば、最初に付けた形状を再現し易い。
なお、本実施形態では、隣り合う2つの板体3において、先端側の板体3では、板体3の中央部33に連結部30が設けられ、基端側の板体3では、板体3の先端部31に連結部30が設けられているが、これに限らず、先端側の板体3では、例えば、板体3の基端部32に連結部30が設けられていてもよい。また、基端側の板体3では、例えば、板体3の長手方向の途中、例えば、板体3の中央部33に連結部30が設けられていてもよい。
また、本実施形態では、板体3の厚さ方向から見て、3つ以上の板体3は重なっていないが、これに限らず、3つ以上の板体3が重なっていてもよい。
<第2実施形態>
図5は、本発明のガイドワイヤの第2実施形態を示す部分縦断面図である。
以下、第5実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図5に示すように、第2実施形態のガイドワイヤ1は、先端部に、その先端部が曲がることが可能な方向を示すマーカー9を有している。
このマーカー9は、ガイドワイヤ1の先端部が曲がることが可能な方向を示す機能を有していれば、特に限定されないが、本実施形態では、ガイドワイヤ1の先端部の外周面であって、その先端部が曲がる方向に位置する面、図示の構成では、図5中の下側の面に設けられている。
また、マーカー9としては、特に限定されず、例えば、周囲の部分と異なる色に着色してなる所定形状の模様、記号、文字や、凹部、凸部等が挙げられる。
以上のような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
また、このガイドワイヤ1では、マーカー9により、ガイドワイヤ1の先端部が曲がることが可能な方向と、不可能な方向とを把握することができる。これにより、リシェイプをより容易かつ迅速に行うことができる。
以上、本発明のガイドワイヤを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成を組み合わせたものであってもよい。
1……ガイドワイヤ
2……第1ワイヤ
21……外径一定部
22……第1テーパ部
23……第2テーパ部
24……大径部
26……板状部
3……板体
30……連結部
31……先端部
32……基端部
33……中央部
4……第2ワイヤ
5……コイル
50……間隙
51、53……固定材料
54……素線
6……接合部
8……樹脂被覆層
9……マーカー
10……ワイヤ本体

Claims (9)

  1. 長尺状をなし、可撓性を有するワイヤ本体と、前記ワイヤ本体の少なくとも先端部の外周を覆うように設けられた筒状部材とを備えるガイドワイヤであって、
    前記ワイヤ本体の先端部は、前記ワイヤ本体の長手方向に沿って配置され、順次連結された複数の板体を有し、
    隣り合う2つの前記板体は、互いの連結部を中心に回動可能に連結されていることを特徴とするガイドワイヤ。
  2. 隣り合う2つの前記板体のうちの先端側の前記板体の途中と、基端側の前記板体の先端部とが連結されている請求項1に記載のガイドワイヤ。
  3. 前記ワイヤ本体の先端部が所定量曲がると、前記複数の板体のうちの少なくとも1つが前記筒状部材の内周面と接触する請求項1または2に記載のガイドワイヤ。
  4. 前記板体の厚さ方向から見て、隣り合う2つの前記板体の一部が重なっている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のガイドワイヤ。
  5. 前記板体の厚さ方向から見て、3つ以上の板体は重なっていない請求項1ないし4のいずれか1項に記載のガイドワイヤ。
  6. 隣り合う2つの前記板体は、溶接により連結されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載のガイドワイヤ。
  7. 前記板体が所定方向に回動することにより、当該ガイドワイヤの先端部が前記板体の厚さ方向の2方向のうちの一方に曲がる請求項1ないし6のいずれか1項に記載のガイドワイヤ。
  8. 前記ワイヤ本体の先端部が曲がる方向を示すマーカーを有する請求項7に記載のガイドワイヤ。
  9. 前記筒状部材は、素線を螺旋状に形成してなるコイルを有する請求項1ないし8のいずれか1項に記載のガイドワイヤ。
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