JP2017163881A - オリゴ糖の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便かつ効率的であり、また、様々な糖を原料として利用し得る汎用性の高い、オリゴ糖の製造方法の提供。【解決手段】ホスホリラーゼ、アノメリックキナーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、カタラーゼ、及び酢酸キナーゼを含む酵素群を、リン酸、ならびにATP及び/又はADPの存在下にて、供与体糖、受容体糖、酸素分子、ならびにピルビン酸と同時に作用させることを含む、オリゴ糖の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、糖1リン酸を生成する反応、オリゴ糖を生成する反応、及び、ATPを再生させる反応の組み合わせを同時に行うことを含む、オリゴ糖の製造方法に関する。
オリゴ糖は、数個の単糖がグリコシド結合によって結合してなるオリゴマーであり、今日、医薬品、化粧品、食品添加物等、様々な分野において利用されている。
オリゴ糖の製造は一般的に、天然に得られる多糖(セルロース、キチン、アガロース、デンプン、グリコーゲン、ペクチン等)の限定分解、又は酵素による糖転移反応によって製造される。また、グリコシド結合を加リン酸分解して糖1リン酸を生成する可逆反応を触媒する酵素であるホスホリラーゼを利用して、特定の糖1リン酸を用いてオリゴ糖を調製する技術も開発・報告されている(特許文献1−3)。
しかしながら、前者は製造効率が十分に高いものとはいえない課題を有し、また後者は特定の糖1リン酸を生成・利用する反応に依拠することから汎用性が乏しく、そのため安価な糖を原料としてオリゴ糖を製造できない場合もあった。
特開平3−130086号公報 特開2008−154495号公報 特開2014−239651号公報
本発明は、簡便かつ効率的であり、また、様々な糖を原料として利用し得る汎用性の高い、オリゴ糖の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、アノメリックキナーゼを用いて糖(供与体糖)より糖1リン酸を生成する反応と、得られた糖1リン酸と受容体糖よりホスホリラーゼを用いてオリゴ糖を生成する反応、ならびに、オリゴ糖生成の際に生じるリン酸を利用して、アノメリックキナーゼの反応に利用されるATPを再生させる反応を組み合わせ、これらの反応を同時に行うことにより、簡便かつ効率的に、また様々な糖を原料として、オリゴ糖を製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の特徴を有する。
[1] オリゴ糖の製造方法であって、
以下の(i)〜(v)の酵素:
(i)ホスホリラーゼ、
(ii)アノメリックキナーゼ、
(iii)ピルビン酸オキシダーゼ、
(iv)カタラーゼ、及び
(v)酢酸キナーゼ、を
リン酸、ならびにATP及び/又はADPの存在下にて、
供与体糖、受容体糖、酸素分子、ならびにピルビン酸と同時に作用させることを含む、上記方法。
[2] (i)ホスホリラーゼが、1,3−β−ガラクトシル−N−アセチルヘキソサミンホスホリラーゼ、1,4−β−ガラクトシル−L−ラムノースホスホリラーゼ、N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼ、1,4−β−マンノシルグルコースホスホリラーゼ、1,4−β−マンノオリゴ糖ホスホリラーゼ、1,4−β−マンノシル−N−アセチルグルコサミンホスホリラーゼ、1,4−β−マンノシル−N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼ、1,2−β−マンノビオースホスホリラーゼ、1,2−β−マンノオリゴ糖ホスホリラーゼ、マルトース転移スターチシンターゼより選択される、[1]の方法。
[3] (ii)アノメリックキナーゼが、ガラクトキナーゼ、グルクロノキナーゼ、ガラクチュロノキナーゼ、アラビノキナーゼ、フコキナーゼ、N−アセチルガラクトサミンキナーゼ、N−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ、及びマルトキナーゼより選択される、[1]又は[2]の方法。
[4] (i)ホスホリラーゼ及び(ii)アノメリックキナーゼが以下の組み合わせよりなる、[1]の方法:
1,3−β−ガラクトシル−N−アセチルヘキソサミンホスホリラーゼ及びガラクトキナーゼ;
1,4−β−ガラクトシル−L−ラムノースホスホリラーゼ及びガラクトキナーゼ;
N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ;
1,4−β−マンノシルグルコースホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ;
1,4−β−マンノオリゴ糖ホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ;
1,4−β−マンノシル−N−アセチルグルコサミンホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ;
1,4−β−マンノシル−N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ;
1,2−β−マンノビオースホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ;
1,2−β−マンノオリゴ糖ホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ;あるいは、
マルトース転移スターチシンターゼ及びマルトキナーゼ。
[5] (i)ホスホリラーゼ及び(ii)アノメリックキナーゼが以下の組み合わせよりなる、[4]の方法:
1,3−β−ガラクトシル−N−アセチルヘキソサミンホスホリラーゼ及びガラクトキナーゼ;
1,4−β−ガラクトシル−L−ラムノースホスホリラーゼ及びガラクトキナーゼ;あるいは、
N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ。
[6] さらに、製造されたオリゴ糖を精製する工程を含む、[1]〜[5]のいずれかの方法。
本発明によれば、糖1リン酸を生成する反応、オリゴ糖を生成する反応、ならびに、ATPを再生させる反応を組み合わせ、これらの反応を同時に行うことにより、一段階でオリゴ糖の製造を行うことができ、また、様々な糖を原料として利用し得ることから、簡便かつ効率的であり、また汎用性の高い、オリゴ糖の製造方法を提供することができる。
本発明はオリゴ糖の製造方法であって、
以下の(i)〜(v)の酵素:
(i)ホスホリラーゼ、
(ii)アノメリックキナーゼ、
(iii)ピルビン酸オキシダーゼ、
(iv)カタラーゼ、及び
(v)酢酸キナーゼ、を
リン酸、ならびにATP及び/又はADPの存在下にて、
出発原料である、供与体糖、受容体糖、酸素分子、ならびにピルビン酸と同時に作用・反応させることを含む。
本発明において「ホスホリラーゼ」とは、グリコシド結合を加リン酸分解して糖1リン酸を生成する可逆反応を触媒する酵素を意味し、このような酵素には例えば、1,3−β−ガラクトシル−N−アセチルヘキソサミンホスホリラーゼ(EC2.4.1.211)、1,4−β−ガラクトシル−L−ラムノースホスホリラーゼ(EC2.4.1.247)、N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼ(EC2.4.1.280)、1,4−β−マンノシルグルコースホスホリラーゼ(EC2.4.1.281)、1,4−β−マンノオリゴ糖ホスホリラーゼ、1,4−β−マンノシル−N−アセチルグルコサミンホスホリラーゼ(EC2.4.1.320)、1,4−β−マンノシル−N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼ、1,2−β−マンノビオースホスホリラーゼ、1,2−β−マンノオリゴ糖ホスホリラーゼ、マルトース転移スターチシンターゼ(EC2.4.99.16)等を挙げることができ(Motomitsu Kitaoka、Appl.Microbiol.Biotechnol.,99(20),8377−8390(2015))、本発明においては、目的とするオリゴ糖、ホスホリラーゼの反応に用いられる基質(供与体糖より生成される糖1リン酸及び受容体糖)に基づいて、これらより選択されるものを利用することができる。
本発明においては、好ましくは、1,3−β−ガラクトシル−N−アセチルヘキソサミンホスホリラーゼ、1,4−β−ガラクトシル−L−ラムノースホスホリラーゼ、N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼを利用することができる。
本発明において、ホスホリラーゼは公知のものを利用することができ、その由来は特に限定されず、例えば、ヒト由来、動物由来、細菌(例えば、クロストリジウム属細菌由来、ビブリオ属細菌由来、ビフィドバクテリウム属細菌)由来のもの等を用いることができる。
本発明において「アノメリックキナーゼ」とは、糖とATPから糖1リン酸とADPを生成する反応を触媒する酵素を意味し、このような酵素には例えば、ガラクトースを基質として利用することができるガラクトキナーゼ(EC2.7.1.6)、グルクロン酸を基質として利用することができるグルクロノキナーゼ(EC2.7.1.43)、ガラクチュロン酸を基質として利用することができるガラクチュロノキナーゼ(EC2.7.1.44)、L−アラビノースを基質として利用することができるアラビノキナーゼ(EC2.7.1.46)、L−フコースを基質として利用することができるフコキナーゼ(EC2.7.1.52)、N−アセチルガラクトサミンを基質として利用することができるN−アセチルガラクトサミンキナーゼ(EC2.7.1.157)、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン及びマンノースを基質として利用することができるN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ(EC2.7.1.162)、マルトースを基質として利用することができるマルトキナーゼ(EC2.7.1.165)等を挙げることができ、目的とするオリゴ糖、ホスホリラーゼの反応に必要とされる基質(供与体糖より生成される糖1リン酸及び受容体糖)に基づいて、これらより選択されるものを利用することができる。
本発明においては例えば、ガラクトキナーゼ、N−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ、マルトキナーゼを利用することができ、好ましくは、ガラクトキナーゼ、N−アセチルヘキソサミン1−キナーゼを利用することができる。
本発明において、アノメリックキナーゼは公知のものを利用することができ、その由来は特に限定されず、例えば、ヒト由来、動物由来、細菌(例えば、ビフィドバクテリウム属細菌)由来のもの等を用いることができる。
本発明において好ましくは、アノメリックキナーゼは上記ホスホリラーゼと以下の組み合わせで用いることができる:
1,3−β−ガラクトシル−N−アセチルヘキソサミンホスホリラーゼ及びガラクトキナーゼ;
1,4−β−ガラクトシル−L−ラムノースホスホリラーゼ及びガラクトキナーゼ;
N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ;
1,4−β−マンノシルグルコースホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ;
1,4−β−マンノオリゴ糖ホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ;
1,4−β−マンノシル−N−アセチルグルコサミンホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ;
1,4−β−マンノシル−N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ;
1,2−β−マンノビオースホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ;
1,2−β−マンノオリゴ糖ホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ;あるいは、
マルトース転移スターチシンターゼ及びマルトキナーゼ。
より好ましくは、アノメリックキナーゼは上記ホスホリラーゼと以下の組み合わせで用いることができる:
1,3−β−ガラクトシル−N−アセチルヘキソサミンホスホリラーゼ及びガラクトキナーゼ;
1,4−β−ガラクトシル−L−ラムノースホスホリラーゼ及びガラクトキナーゼ;あるいは、
N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ。
本発明において「ピルビン酸オキシダーゼ」とは、ピルビン酸をリン酸の存在下に酸素により酸化し、アセチルリン酸と二酸化炭素と過酸化水素を生成する反応を触媒する酵素を意味する。
本発明において、ピルビン酸オキシダーゼは公知のものを利用することができ、その由来は特に限定されず、例えば、ヒト由来、動物由来、細菌由来のもの等を用いることができる。
本発明において「カタラーゼ」とは、過酸化水素を不均化して、水1分子と酸素(O)1/2分子に分解する反応を触媒する酵素を意味する。
本発明において、カタラーゼは公知のものを利用することができ、その由来は特に限定されず、例えば、ヒト由来、動物由来、細菌由来のもの等を用いることができる。
本発明において「酢酸キナーゼ」とは、アセチルリン酸とADPを酢酸とATPに変換する反応を触媒する酵素を意味する。
本発明において、酢酸キナーゼは公知のものを利用することができ、その由来は特に限定されず、例えば、ヒト由来、動物由来、細菌(例えば、ビフィドバクテリウム属細菌)由来のもの等を用いることができる。
上記の酵素はいずれも、天然の生物又は遺伝子組換え生物(もしくは細胞)により産生されたもの、あるいは市販されているものを用いることができる。遺伝子組換え生物(もしくは細胞)は、当業者に公知である分子生物学的手法を用いて、各酵素をコードする遺伝子を適当なベクターに組み込み、そのベクターを用いて適当な宿主生物(例えば、細菌、酵母、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞等)を形質転換することにより得ることができる(Sambrook J.ら、“Molecular Cloning A LBORATORY MANUAL/Fourth edition”,Cold Spring Harbor Laboratory Press(2012)参照)。
上記生物により産生された酵素は、通常の方法を用いて、当該生物の培養物より単離精製できる。ここで「培養物」とは、培養上清、培養細胞もしくは培養菌体又は細胞もしくは細胞の破砕物を意味する。培養後、目的の酵素が菌体内又は細胞内に生産される場合には、細胞を遠心分離により回収し、適当な緩衝液に懸濁後、超音波破砕機、フレンチプレス、マントンガウリンホモゲナイザー、ダイノミル等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を回収する。あるいは、目的の酵素が菌体外または細胞外に生産される場合には、遠心分離などにより菌体または細胞を除去し、培養液を回収する。この無細胞抽出液を遠心分離し、得られた上清から、又は上記培養液から、通常の酵素の単離精製法、即ち、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、陰イオン交換クロマトグラフィー法、陽イオン交換クロマトグラフィー法、疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィー法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を単独あるいは組み合わせて用いて、精製酵素を得ることができる。
本発明方法において用いられる酵素は、精製された形態であっても、上記無細胞抽出液又は培養液のような粗製物の形態であってもよい。
また、本発明方法において用いられる酵素は、固定化された状態であってもよい。酵素を固定化することによって、酵素が安定化され、連続反復使用が可能となる点において有効である。酵素の固定化は、担体結合法、架橋法、包括法を用いて行うことができる。担体結合法では、酵素を担体(例えば、セルロース、デキストラン、アガロースなどの多糖類の誘導体、ポリアクリルアミドゲル、ポリスチレン樹脂、多孔性ガラス、金属酸化物など)に、物理的吸着、イオン結合及び共有結合等を用いて結合させることができる。架橋法では、2個又はそれ以上の官能基を持つ試薬を用いて、酵素同士を互いに架橋することによって固定化することができる。架橋試薬としては、Schiff塩基をつくるグルタルアルデヒド、ペプチド結合をするイソシアン酸誘導体、N,N’−エチレンマレイミド、ジアゾカップリングをするビスジアゾベンジン、あるいはアルキル化するN,N’−ポリメチレンビスヨードアセトアミド等を用いることができる。包括法では、高分子ゲルの細かい格子の中に酵素を取り込む格子型と、半透膜の高分子の皮膜によって酵素を皮膜するマイクロカプセル型を用いる。格子型の方法では、ポリアクリルアミドゲル、ポリビニルアルコール、光硬化性樹脂等の合成高分子物質や、デンプン、コンニャク粉、ゼラチン、アルギン酸、カラギーナン等の天然高分子物質といった高分子化合物を用いることができる。マイクロカプセル型の方法では、ヘキサメチレンジアミン、セバコイルクロリド、ポリスチレン、レシチンなどを用いることができる(福井三郎、千畑一郎、鈴木周一、「酵素工学」東京化学同人発行、1981年)。担体には、上記5種の酵素のそれぞれを固定してもよいし、あるいはこれらより選択される2,3,4、又は5種の酵素の組み合わせにて固定してもよい。
本発明において、上記酵素群は、反応液中以下の一連の反応を触媒し、リン酸、ならびにATP及び/又はADPの存在下にて、ホスホリラーゼの基質の一つとなる受容体糖、アノメリックキナーゼの基質となる供与体糖、酸素分子、ならびにピルビン酸より、オリゴ糖を生成する:
Figure 2017163881
すなわち、ピルビン酸オキシダーゼはピルビン酸をリン酸の存在下に酸素により酸化し、アセチルリン酸と二酸化炭素と過酸化水素を生成する。
酢酸キナーゼは、生成されたアセチルリン酸を基質としてADPをATPに変換するとともに酢酸を生成する。ここで生じたATPは、下記アノメリックキナーゼの反応によりADPに変換され、リサイクルされる。
アノメリックキナーゼは、供与体糖及びATPより、糖1リン酸とADPを生成する。ここで生じたADPは、上記酢酸キナーゼの反応によりATPに変換されることによりリサイクルされる。
ホスホリラーゼは、生成された糖1リン酸と受容体糖より、目的のオリゴ糖とリン酸を生成する。ここで生じたリン酸は、上記ピルビン酸オキシダーゼの反応により、アセチルリン酸に変換され、上記酢酸キナーゼの反応に利用されリサイクルされる。
カタラーゼは、上記ピルビン酸オキシダーゼの反応により生じた過酸化水素を水1分子と酸素(O)1/2分子に分解する。ここで生じた酸素は上記ピルビン酸オキシダーゼの反応に利用される。
本発明においては反応全体として、ピルビン酸、供与体糖、受容体糖、及び酸素を原料として、目的のオリゴ糖、二酸化炭素、水、酢酸を生成することができる。
これら一連の反応は、反応液中、リン酸、ならびにATP及び/又はADPの存在下、上記の5種の酵素群を受容体糖、供与体糖、酸素分子、ならびにピルビン酸と同時に作用させることにより行うことができる。
反応液中に加える各酵素の量は、各反応を触媒可能な量であればよく、特に限定はされないが、例えば、0.05U/mL〜1000U/mLの範囲で適宜選択することができる。精製酵素として加える場合はその酵素の比活性にもよるが、1μg/mL〜1000μg/mLの範囲で適宜選択できる。ホスホリラーゼであれば、例えば、0.05U/mL〜100U/mL、好ましくは、0.1U/mL〜50U/mLの範囲より、アノメリックキナーゼであれば、例えば、0.05U/mL〜200U/mL、好ましくは0.1U/mL〜100U/mLの範囲より、ピルビン酸オキシダーゼであれば、例えば、0.1U/mL〜100U/mL、好ましくは0.1U/mL〜10U/mLの範囲より、カタラーゼであれば、例えば、1U/mL〜500U/mL、好ましくは10U/mL〜200U/mLの範囲より、酢酸キナーゼであれば、例えば、10U/mL〜1000U/mL、好ましくは10U/mL〜500U/mLの範囲より、それぞれ適宜選択して用いることができる。
「供与体糖」は、アノメリックキナーゼの基質となり、上記アノメリックキナーゼの反応によって糖1リン酸を生成できるものであればよく、目的とするオリゴ糖や反応液中に加えるアノメリックキナーゼに応じて適宜選択することができる。このような「供与体糖」としては例えば、ガラクトース、グルクロン酸、ガラクチュロン酸、L−アラビノース、L−フコース、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルグルコサミン、マンノース、マルトース等を挙げることができるが、これらに限定はされない。反応液中に加える供与体糖の量は、特に限定されるものではないが、例えば、25mM〜2.5M、80mM〜2Mより選択される量とすることができる。供与体糖は反応液中に一度に全量を加えても良いし、複数回に分けて、また、間隔をあけて加えても良い。
「受容体糖」は、ホスホリラーゼの基質となり、上記ホスホリラーゼの反応によって糖1リン酸と共に目的とするオリゴ糖を生成できるものであればよく、目的とするオリゴ糖や反応液中に加えるホスホリラーゼに応じて適宜選択することができる。このような「受容体糖」としては例えば、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、L−ラムノース、グルコース、ガラクトース、マンノース、N,N’−ジアセチルキトビオース、1,4−β−マンノオリゴ糖、1,2−β−マンノオリゴ糖、マルトオリゴ糖等を挙げることができるが、これらに限定はされない。「受容体糖」は、上記「供与体糖」と同じであっても良いし、異なっていても良い。反応液中に加える受容体糖の量は、特に限定されるものではないが、例えば、25mM〜2.5M、好ましくは80mM〜2Mより選択される量とすることができる。受容体糖は反応液中に一度に全量を加えても良いし、複数回に分けて、また、間隔をあけて加えても良い。
本発明において好ましくは、供与体糖及び受容体糖は、以下のアノメリックキナーゼ及びホスホリラーゼとの組み合わせと共に、以下の組合せで用いることができ、生成物として各オリゴ糖を生成することができる:
1,3−β−ガラクトシル−N−アセチルヘキソサミンホスホリラーゼ及びガラクトキナーゼ、ガラクトース(供与体糖)、N−アセチルグルコサミン(受容体糖)、ラクト−N−ビオースI(生成物);
1,3−β−ガラクトシル−N−アセチルヘキソサミンホスホリラーゼ及びガラクトキナーゼ、ガラクトース(供与体糖)、N−アセチルガラクトサミン(受容体糖)、ガラクト−N−ビオース(生成物);
1,4−β−ガラクトシル−L−ラムノースホスホリラーゼ及びガラクトキナーゼ、ガラクトース(供与体糖)、L−ラムノース(受容体糖)、1,4−β−ガラクトシル−L−ラムノース(生成物);
1,4−β−ガラクトシル−L−ラムノースホスホリラーゼ及びガラクトキナーゼ、ガラクトース(供与体糖)、グルコース(受容体糖)、1,3−β−ガラクトシルグルコース(生成物);
1,4−β−ガラクトシル−L−ラムノースホスホリラーゼ及びガラクトキナーゼ、ガラクトース(供与体糖)、ガラクトース(受容体糖)、1,3−β−ガラクトビオース(生成物);
N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ、N−アセチルグルコサミン(供与体糖)、N−アセチルグルコサミン(受容体糖)、N,N’−ジアセチルキトビオース及びN,N’,N’’−トリアセチルキトトリオース(生成物);
1,4−β−マンノシルグルコースホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ、マンノース(供与体糖)、グルコース(受容体糖)、1,4−β−マンノシルグルコース(生成物);
1,4−β−マンノオリゴ糖ホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ、マンノース(供与体糖)、マンノース(受容体糖)、1,4−β−マンノオリゴ糖(生成物);
1,4−β−マンノシル−N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ、マンノース(供与体糖)、N,N’−ジアセチルキトビオース(受容体糖)、1,4−β−マンノシル−N,N’−ジアセチルキトビオース(生成物);
1,2−β−マンノビオースホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ、マンノース(供与体糖)、マンノース(受容体糖)、1,2−β−マンオビオース及び1,2−β−マンノトリオース(生成物);
1,2−β−マンノオリゴ糖ホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ、マンノース(供与体糖)、マンノース(受容体糖)、1,2−β−マンノオリゴ糖(生成物);
マルトース転移スターチシンターゼ及びマルトキナーゼ、マルトース(供与体糖)、マルトオリゴ糖(受容体糖)、1,4−α−グルカン(生成物)。
反応液中に加えるピルビン酸の量は、特に限定されるものではないが、例えば、50mM〜3M、好ましくは80mM〜2Mより選択される量とすることができる。ピルビン酸は塩の形態(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)で反応液中に加えることができる。
反応液中の酸素分子は、気相より供給されるものを利用することができる。このため反応は、反応液中に酸素が供給可能な条件、例えば、通気性を有する、又は比表面積の大きい反応容器を用いて実施することができる。また、反応液気相の酸素分圧を高くすることにより、気液界面の酸素移動速度を高めることができる。
上記反応中、ATP、ADP、及びリン酸はリサイクルされるため、反応液中にこれらの要素は触媒量存在すれば良く、上記反応の等量となるように加えなくても良い。反応液中に加えるATP及びADPの量はそれぞれ、特に限定されるものではないが、例えば、0.1mM〜10mM、好ましくは0.2mM〜5mMより選択される量とすることができる。また、反応液中に加えるリン酸の量は、特に限定されるものではないが、例えば、1mM〜200mM、好ましくは10mM〜100mMより選択される量とすることができる。リン酸は塩の形態(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等)で反応液中に加えることができる。
本発明において「反応液」は、特に限定されるものではないが、水又は緩衝液を利用することができる。緩衝液としては、酵素反応に一般的に用いられるもの、例えば、トリス塩酸緩衝液、トリス酢酸緩衝液、HEPES緩衝液、MOPS緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液、クエン酸ナトリウム緩衝液などを使用できる。使用濃度は、10mM〜500mM、好ましくは10mM〜300mMより選択される量とすることができる。反応液のpHは4〜9、好ましくは、5.5〜8.5とすることができる。
反応液中には必要に応じてさらに、二価金属イオン、チアミン二リン酸、フラビンアデニンジヌクレオチドより選択される一又は複数の因子を加えることができる。二価金属イオンは、酢酸キナーゼ及びアノメリックキナーゼの補因子として作用することができる。二価金属イオンとしては、特に限定されないが、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等を利用することができ、塩の形態で反応液中に加えることができる。反応液中に加える二価金属イオンの量は特に限定されるものではないが、例えば、0.1mM〜50mM、好ましくは0.5mM〜10mM、より選択される量とすることができる。チアミン二リン酸及びフラビンアデニンジヌクレオチドは、ピルビン酸オキシダーゼの補因子として作用することができる。反応液中に加えるチアミン二リン酸の量は特に限定されるものではないが、例えば、0.01mM〜1mM、好ましくは0.05mM〜0.5mM、より選択される量とすることができる。また、反応液中に加えるフラビンアデニンジヌクレオチドの量は特に限定されるものではないが、例えば、0.0005mM〜0.05mM、好ましくは0.001mM〜0.01mM、より選択される量とすることができる。
反応温度は特に限定されるものではないが好ましくは15℃〜50℃、より好ましくは25℃〜40℃とすることができる。
反応時間は、1時間〜60日間、好ましくは12時間〜40日間とすることができる。必要に応じて撹拌しながら反応を行っても良い。
生成したオリゴ糖は、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル濾過法など各種のクロマトグラフィー、熱水抽出、硫安分画、結晶化(濃縮、温度低下、溶媒添加(エタノール、メタノール、アセトン等))等の、オリゴ糖の精製に用いられる通常の精製法を単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることによって精製することができる。
得られたオリゴ糖は、例えば医薬品、化粧品、食品添加物等の材料として好適に用いることができる。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって
限定されるものではない。
実施例1.各酵素の調製
(i)ホスホリラーゼ
(i−1)1,4−β−ガラクトシル−L−ラムノースホスホリラーゼ
クロストリジウム・フィトファーメンタンス由来の1,4−β−ガラクトシル−L−ラムノースホスホリラーゼ(EC2.4.1.247)を、公知の手法(M.Nakajimaら、J.Biol.Chem.,284(29),19220−19227(2009))に基づいて調製した。
すなわち、クロストリジウム・フィトファーメンタンスのゲノムDNAを鋳型として、1,4−β−ガラクトシル−L−ラムノースホスホリラーゼをコードする遺伝子を以下のプライマーを用いたPCR法により増幅した:
フォーワードプライマー:AGGAGAAATCATATGGAACAACAAAAGGAG(配列番号1)
リバースプライマー:ATTATGTCTCGAGTAATGGAAGAATTACGG(配列番号2)。
得られたPCR産物は、市販の遺伝子発現用プラスミドに組み込んだ後、これを用いて大腸菌の形質転換体を行い、生産された組換えタンパク質を精製することによって、1,4−β−ガラクトシル−L−ラムノースホスホリラーゼの精製酵素標品を得た。得られた精製酵素の比活性は43U/mgであった。
(i−2)1,3−β−ガラクトシル−N−アセチルヘキソサミンホスホリラーゼ
ビフィドバクテリウム・ロンガムJCM1217株由来の1,3−β−ガラクトシル−N−アセチルヘキソサミンホスホリラーゼ(EC2.4.1.211)を、公知の手法(特開2005−341883号公報)に基づいて調製した。
すなわち、ビフィドバクテリウム・ロンガムJCM1217株のゲノムDNAを鋳型として、1,3−β−ガラクトシル−N−アセチルヘキソサミンホスホリラーゼをコードする遺伝子を以下のプライマーを用いたPCR法により増幅した:
フォーワードプライマー:AGCACCCATGGCCAGCACCGGCCGCTTCACGCTGC(配列番号3)
リバースプライマー:CGCGGCTCGAGGGCTTCACGCCATGCGATGCCGCTGTC(配列番号4)。
得られたPCR産物は、市販の遺伝子発現用プラスミドに組み込んだ後、これを用いて大腸菌の形質転換体を行い、生産された組換えタンパク質を精製することによって、1,3−β−ガラクトシル−N−アセチルヘキソサミンホスホリラーゼの精製酵素標品を得た。得られた精製酵素の比活性は19U/mgであった。
(i−3)N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼ
ビブリオ・プロテオリティクス由来のN,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼ(EC2.4.1.280)を、公知の手法(Y.Hondaら、Biochem.J.,377(1),225−232(2004);なお、本論文中において、N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼは、「chitobiose phosphorylase」として記載される)に基づいて調製した。
すなわち、ビブリオ・プロテオリティクスのゲノムDNAを鋳型として、N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼをコードする遺伝子を以下のプライマーを用いたPCR法により増幅した:
フォーワードプライマー:CATATGAAATACGGCTATTTCGATAATGACAAT(配列番号5)
リバースプライマー:CTCGAGACCGAGTACCACAACCTGGTTGTC(配列番号6)。
得られたPCR産物は、市販の遺伝子発現用プラスミドに組み込んだ後、これを用いて大腸菌の形質転換体を行い、生産された組換えタンパク質を精製することによって、N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼの精製酵素標品を得た。得られた精製酵素の比活性は3.1U/mgであった。
(ii)アノメリックキナーゼ
(ii−1)N−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ
N−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ(EC2.7.1.162)は、公知の手法(特開2007−97517号公報)に基づいて調製した。
すなわち、ビフィドバクテリウム・ロンガムJCM1217株のゲノムDNAを鋳型として、N−アセチルヘキソサミン1−キナーゼをコードする遺伝子を以下のプライマーを用いたPCR法により増幅した:
フォーワードプライマー:AACGGACCCCATATGACCGAAAGCAATGAAGTTTTATTC(配列番号7)
リバースプライマー:GCTGACCTCGAGCCTGGCAGCCTCCATGATGTCGGCTAC(配列番号8)。
得られたPCR産物は、市販の遺伝子発現用プラスミドに組み込んだ後、これを用いて大腸菌の形質転換体を行い、生産された組換えタンパク質を精製することによって、N−アセチルヘキソサミン1−キナーゼの精製酵素標品を得た。得られた精製酵素の比活性は1.5U/mgであった。
(ii−2)ガラクトキナーゼ
ガラクトキナーゼ(EC2.7.1.6)は、公知の手法(T.Nihiraら、Anal.Biochem.,371(2),259−261(2007))に基づいて調製した。
すなわち、ビフィドバクテリウム・ロンガムJCM1217株のゲノムDNAを鋳型として、ガラクトキナーゼをコードする遺伝子を以下のプライマーを用いたPCR法により増幅した:
フォーワードプライマー:GATATACATATGACTGCTGTTGAATTCATTGAGC(配列番号9)
リバースプライマー:GATTTACTCGAGTGCCTCGCGTGAAGCGGATTTCGCCGC(配列番号10)。
得られたPCR産物は、市販の遺伝子発現用プラスミドに組み込んだ後、これを用いて大腸菌の形質転換体を行い、生産された組換えタンパク質を精製することによって、ガラクトキナーゼの精製酵素標品を得た。得られた精製酵素の比活性は174U/mgであった。
(iii)ピルビン酸オキシダーゼ
ピルビン酸オキシダーゼ(EC1.2.3.3)は東洋紡社製のPYO−0311を用いた。
(iv)カタラーゼ
カタラーゼ(EC1.11.1.6)は和光純薬社製(製品コード035−12903)を用いた。
(v)酢酸キナーゼ
ビフィドバクテリウム・ロンガムJCM1217株のゲノムDNAを鋳型として酢酸キナーゼ(BLLJ_0643)遺伝子を、以下のプライマーを用いたPCR法により増幅した:
フォーワードプライマー:ATGCCCCATATGGCGAAAACCGTCCTTGTC(配列番号11)
リバースプライマー:CGGTCTCGAGCTTGGCGAAGGTGTTGCCGT(配列番号12)。
得られたPCR産物を制限酵素NdeI及びXhoIで消化後、同様に処理した市販の遺伝子発現用プラスミドpET30(ノバジェン社製)にDNAライゲーションキット(宝酒造株式会社製)を用いて連結した。
次いで、得られたプラスミドを用いてSambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.“Molecular Cloning,A Laboratory Manual第2版”1.74章Vo1.1(1989)に記載された方法に従い、大腸菌を形質転換した。
得られた形質転換体を用い、常法に従って該遺伝子の発現及び組換えタンパク質の生産を行った。得られた組換えタンパク質はNi−NTAアガロース(キアゲン社製)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し、酢酸キナーゼの精製酵素標品を得た。得られた精製酵素の比活性は12000U/mgであった。
以上のようにして得られた(i)ホスホリラーゼ、(ii)アノメリックキナーゼ、(iii)ピルビン酸オキシダーゼ、(iv)カタラーゼ、及び(v)酢酸キナーゼの各酵素を以下の実施例に用いた。
実施例2.ラクト−N−ビオースIの調製
以下の組成からなる反応液1Lを調製した。
反応液:
Figure 2017163881
反応液を33mLずつ内径85mmのポリスチレン製シャーレ30枚に分注し、1気圧酸素下において30℃にて11日反応を行った。
反応終了後、反応液をHPLC([カラム]Shodex Asahipak NH2P−50 4E;[溶媒]アセトニトリル/水78:22;[流速]1mL/min;[検出]荷電化粒子検出器)で分析したところ、ラクト−N−ビオースI濃度は292mMであり、N−アセチルグルコサミンの残存濃度は14mMであった。
この結果、収率95%でラクト−N−ビオースIを合成できたことが確認された。
また、反応液を中空糸膜カートリッジ(旭化成社製SLP−0053)を用いて除タンパクしたのち、マイクロアシラーザーS3(アストム社製)を用いAC−220−550カートリッジ(アストム社製)により脱塩を行った。
得られた除タンパク−脱塩反応液を濃縮することによりラクト−N−ビオースIの結晶化を行い、86.5gの結晶ラクト−N−ビオースIを得た。
実施例3.1,4−β−ガラクトシル−L−ラムノースの調製
以下の組成からなる反応液100mLを調製した。
Figure 2017163881
反応液を20mLずつ内径85mmのポリスチレン製シャーレ5枚に分注し、1気圧酸素下において30℃にて6日反応を行った。
反応6日後に、ガラクトース及びL−ラムノースともに検出されなくなった。反応液をHPLC([カラム]Shodex HILICpak VG−50 4E;[溶媒]アセトニトリル/水87:13;[流速]1mL/min;[検出]荷電化粒子検出器)で分析したところ、1,4−β−ガラクトシル−L−ラムノースの濃度は292mMであり、原料のL−ラムノースはほぼ定量的に1,4−β−ガラクトシル−L−ラムノースに変換されたことが確認された。
実施例4.1,3−β−ガラクトシル−グルコースの調製
以下の組成からなる反応液1Lを調製した。
Figure 2017163881
反応液を25mLずつ内径85mmのポリスチレン製シャーレ40枚に分注し、1気圧酸素下において30℃にて14日反応を行った。
反応終了後、反応液をHPLC([カラム]Shodex Asahipak NH2P−50 4E;[溶媒]アセトニトリル/水75:25;[流速]1mL/min;[検出]荷電化粒子検出器)で分析したところ、反応14日後のガラクトシルグルコース濃度は370mMであった。
また、反応液を中空糸膜カートリッジ(旭化成社製SLP−0053)を用いて除タンパクしたのち、マイクロアシラーザーS3(アストム社製)を用いAC−220−550カートリッジ(アストム社製)により脱塩を行った。得られた除タンパク−脱塩反応液に乾燥酵母5gを添加し一晩37℃にて発酵を行うことにより残存している単糖類を除去した。反応液を遠心分離後、固形分濃度63%までエバポレーターで濃縮し、4℃にて結晶化を行った。得られた結晶を脱水−真空乾燥を行い、純度92%の1,3−β−ガラクトシル−グルコース70.5gを得た。
実施例5.1,3−β−ガラクトビオースの調製
以下の組成からなる反応液100mLを調製した。
Figure 2017163881
反応液を33mLずつ内径85mmのポリスチレン製シャーレ3枚に分注し、1気圧酸素下において30℃にて33日反応を行った。
反応終了後、反応液をHPLC([カラム]Shodex Asahipak NH2P−50 4E;[溶媒]アセトニトリル/水75:25;[流速]1mL/min;[検出]荷電化粒子検出器)で分析したところ、反応33日後の1,3−β−ガラクトビオース濃度は320mMであった。
実施例6.N,N’−ジアセチルキトビオース、及びN,N’,N’’−トリアセチルキトトリオースの調製
以下の組成からなる反応液50mLを調製した。
Figure 2017163881
反応液を内径85mmのポリスチレン製シャーレに入れて、1気圧酸素下において30℃にて反応を行った。反応1,2,3,4,5,6,7,9,11日時点でそれぞれ2.5mmolのN−アセチルグルコサミン(553mg)と2.5mmolのピルビン酸ナトリウム(275mg)とを反応液に追加して、溶解した。N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼは、N−アセチルグルコサミンによる拮抗基質阻害を受けるため、N−アセチルグルコサミンを逐次添加して、反応系中のN−アセチルグルコサミン濃度を低く抑えることができる。
反応終了後、反応液をHPLC([カラム]Shodex Asahipak NH2P−50 4E;[溶媒]アセトニトリル/水70:30;[流速]1mL/min;[検出]荷電化粒子検出器)で分析したところ、反応12日後のN,N’−ジアセチルキトビオース濃度は130mMであり、N,N’,N’’−トリアセチルキトトリオースの濃度は39mMであった。この時点でのN−アセチルグルコサミンの添加量は合計550mM相当であった。
本発明によれば、簡便かつ効率的に様々なオリゴ糖を製造することができ、製造されたオリゴ糖は医薬品、化粧品、食品等、様々な分野において利用することができる。

Claims (6)

  1. オリゴ糖の製造方法であって、
    以下の(i)〜(v)の酵素:
    (i)ホスホリラーゼ、
    (ii)アノメリックキナーゼ、
    (iii)ピルビン酸オキシダーゼ、
    (iv)カタラーゼ、及び
    (v)酢酸キナーゼ、を
    リン酸、ならびにATP及び/又はADPの存在下にて、
    供与体糖、受容体糖、酸素分子、ならびにピルビン酸と同時に作用させることを含む、上記方法。
  2. (i)ホスホリラーゼが、1,3−β−ガラクトシル−N−アセチルヘキソサミンホスホリラーゼ、1,4−β−ガラクトシル−L−ラムノースホスホリラーゼ、N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼ、1,4−β−マンノシルグルコースホスホリラーゼ、1,4−β−マンノオリゴ糖ホスホリラーゼ、1,4−β−マンノシル−N−アセチルグルコサミンホスホリラーゼ、1,4−β−マンノシル−N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼ、1,2−β−マンノビオースホスホリラーゼ、1,2−β−マンノオリゴ糖ホスホリラーゼ、マルトース転移スターチシンターゼより選択される、請求項1に記載の方法。
  3. (ii)アノメリックキナーゼが、ガラクトキナーゼ、グルクロノキナーゼ、ガラクチュロノキナーゼ、アラビノキナーゼ、フコキナーゼ、N−アセチルガラクトサミンキナーゼ、N−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ、及びマルトキナーゼより選択される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. (i)ホスホリラーゼ及び(ii)アノメリックキナーゼが以下の組み合わせよりなる、請求項1に記載の方法:
    1,3−β−ガラクトシル−N−アセチルヘキソサミンホスホリラーゼ及びガラクトキナーゼ;
    1,4−β−ガラクトシル−L−ラムノースホスホリラーゼ及びガラクトキナーゼ;
    N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ;
    1,4−β−マンノシルグルコースホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ;
    1,4−β−マンノオリゴ糖ホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ;
    1,4−β−マンノシル−N−アセチルグルコサミンホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ;
    1,4−β−マンノシル−N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ;
    1,2−β−マンノビオースホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ;
    1,2−β−マンノオリゴ糖ホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ;あるいは、
    マルトース転移スターチシンターゼ及びマルトキナーゼ。
  5. (i)ホスホリラーゼ及び(ii)アノメリックキナーゼが以下の組み合わせよりなる、請求項4に記載の方法:
    1,3−β−ガラクトシル−N−アセチルヘキソサミンホスホリラーゼ及びガラクトキナーゼ;
    1,4−β−ガラクトシル−L−ラムノースホスホリラーゼ及びガラクトキナーゼ;あるいは、
    N,N’−ジアセチルキトビオースホスホリラーゼ及びN−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ。
  6. さらに、製造されたオリゴ糖を精製する工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
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