JP2017163020A - プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法 - Google Patents

プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基準装置と一般機との間および複数の一般機間におけるエッチング速度のばらつきを抑制する。【解決手段】プラズマ処理装置を用いて予め実行されたプラズマ処理により取得された、第1の高周波電力と第1のエッチング速度との関係を示す第1のデータベース、較正の基準となる基準プラズマ処理装置を用いて予め実行されたプラズマ処理により取得された、第2の高周波電力と第2のエッチング速度との関係を示す第2のデータベース、および、プロセスレシピを保持する記憶部と、第2のデータベースからレシピ指定電力に相当する第2の高周波電力に対応する基準装置換算速度を読み出すとともに、第1のデータベースから基準装置換算速度に相当する前記第1のエッチング速度に対応する補正電力を算出する演算部と、レシピ指定電力を、演算部で算出された補正電力に補正する制御部とを備える、プラズマ処理装置。【選択図】図1

Description

本発明は、処理対象物の表面をプラズマによってエッチングする装置および方法に関する。
電子部品や回路基板を製造する様々な工程において、処理室内でプラズマを発生させて、処理対象物の表面をエッチングするプラズマ処理装置が用いられている。生産性を向上させるため、プラズマ処理を行う1つの工程で、複数のプラズマ処理装置(一般機)を並行して稼働させる場合もある。しかし、同じ構造を有する複数の一般機を同じ条件で稼働させても、そのエッチング速度が互いに異なる場合がある。
そのため、特許文献1は、プラズマの強度とプラズマプロセスにおける全ての制御パラメータとの関係を、一般機と、一般機と同じ構造を備え、較正の基準となるプラズマ処理装置(基準装置)との間で比較し、基準装置に基づいて、一般機のプラズマ処理実行中に処理条件を較正することを教示している。特許文献2は、プラズマ状態を把握できるデータを基準装置を用いて取得し、較正すべきパラメータを特定した後、特定されたパラメータに対応する一般機のパラメータを較正することを教示している。これにより、較正するパラメータが少なくなるため、較正に要する時間が短縮される。
特開2002−270581号公報 特開2009−295658号公報
しかし、上記の方法では、基準装置と一般機との間および複数の一般機間において、エッチング速度が異なる場合がある。
本発明の一局面は、処理室と、前記処理室に設けられる電極部と、前記電極部に第1の高周波電力を印加することにより、前記処理室内でプラズマを発生させる高周波電源部と、を備え、前記電極部に処理対象物を載置して、前記処理対象物の表面をエッチングするプラズマ処理装置であって、さらに、前記プラズマ処理装置を用いて、第1の標準試料に対して予め実行されたプラズマ処理により取得された、前記第1の高周波電力と第1のエッチング速度との関係を示す第1のデータベース、前記プラズマ処理装置と同じ構造を備え、較正の基準となる基準プラズマ処理装置を用いて、前記第1の標準試料と同じ組成を含む第2の標準試料に対して予め実行されたプラズマ処理により取得された、第2の高周波電力と第2のエッチング速度との関係を示す第2のデータベース、および、プロセスレシピ、を保持する記憶部と、前記プロセスレシピで指定された高周波電力であるレシピ指定電力を読み出し、前記第2のデータベースから、前記レシピ指定電力と同じ前記第2の高周波電力における前記第2のエッチング速度である基準装置換算速度を算出するとともに、前記第1のデータベースから、前記基準装置換算速度と同じ前記第1のエッチング速度における前記第1の高周波電力である補正電力を算出する演算部と、前記プロセスレシピで指定された前記レシピ指定電力を、前記演算部で算出された前記補正電力に補正する制御部と、を備える、プラズマ処理装置に関する。
本発明の他の一局面は、処理室と、前記処理室に設けられる電極部と、前記電極部に第1の高周波電力を印加することにより、前記処理室内でプラズマを発生させる高周波電源部と、プロセスレシピを保持する記憶部と、を備えるプラズマ処理装置を用いて、前記電極部に載置された処理対象物の表面をエッチングするプラズマ処理方法であって、前記記憶部が、さらに、前記プラズマ処理装置を用いて、第1の標準試料に対して予め実行されたプラズマ処理により取得された、前記第1の高周波電力と第1のエッチング速度との関係を示す第1のデータベースと、前記プラズマ処理装置と同じ構造を備え、較正の基準となる基準プラズマ処理装置を用いて、前記第1の標準試料と同じ組成を含む第2の標準試料に対して予め実行されたプラズマ処理により取得された、第2の高周波電力と第2のエッチング速度との関係を示す第2のデータベースと、を保持しており、前記プロセスレシピで指定された高周波電力であるレシピ指定電力を読み出し、前記第2のデータベースから、前記レシピ指定電力と同じ前記第2の高周波電力における前記第2のエッチング速度である基準装置換算速度を算出するとともに、前記第1のデータベースから、前記基準装置換算速度と同じ前記第1のエッチング速度における前記第1の高周波電力である補正電力を算出する演算工程と、前記プロセスレシピで指定された前記レシピ指定電力を、前記演算工程で算出された前記補正電力に補正する補正工程と、を備える、プラズマ処理方法に関する。
本発明によれば、非常に簡便な方法により、基準装置と一般機との間および複数の一般機間におけるエッチング速度のばらつきが抑制される。
本発明の実施形態に係るプラズマ処理装置の概略構造を断面で示す概念図である。 本発明の実施形態に係るプラズマ処理の工程を説明するフローチャートである。 本発明の実施形態に係る第1のデータベースが保持する情報を概念的に示すグラフである。 本発明の実施形態に係る第2のデータベースが保持する情報を概念的に示すグラフである。 本発明の他の実施形態に係るプラズマ処理の工程を説明するフローチャートである。
(プラズマ処理装置)
プラズマ処理装置は、処理室と、処理室に設けられ、処理対象物が載置される電極部と、電極部に第1の高周波電力を印加する高周波電源部と、を備える。処理室にプラズマ発生用ガスを供給し、電極部に第1の高周波電力を印加すると、処理室内にプラズマが発生する。発生したプラズマにより、電極部に載置された処理対象物の表面はエッチングされる。
処理対象物のエッチングの深さは、エッチング速度および処理時間により決定される。エッチング速度は、電極部に印加される高周波電力(第1の高周波電力)、プラズマ発生用ガスの種類や濃度、処理室内の圧力等の様々なパラメータにより制御される。そのため、特許文献1および2では、一般機に配備された各種測定機器を用いて上記パラメータに関する多数のデータを取得して、一般機において実行されているプラズマ処理の状態を把握している。そして、一般機における各種データを、較正の基準となるプラズマ処理装置(基準装置)の対応するデータに基づいてリアルタイムで補正することにより、一般機で実行中のプラズマ処理の状態を基準装置に近付けている。しかし、このように一般機の各パラメータを補正する場合であっても、プラズマ処理装置(一般機および基準装置を含む)間でエッチング速度にばらつきが生じ、エッチングの深さに差が生じる。プラズマ処理装置間でエッチング速度にばらつきが生じるのは、エッチング速度が、上記以外のパラメータ、例えば、各プラズマ処理装置の構成部品の組み付け状態の違いや、設計公差内でのわずかな寸法の違い、あるいは、プラズマ処理の履歴の違いによる処理室内の構成部品の磨耗の程度の差など、各プラズマ処理装置に固有のパラメータの影響を受けるためだと考えられる。
そこで、本実施形態では、一般機を用いてあらかじめ取得された、所定の条件における第1のエッチング速度、および、基準装置を用いてあらかじめ取得された、一般機と同じ条件における第2のエッチング速度に基づいて、一般機のプラズマ処理条件を補正する。第1のエッチング速度および第2のエッチング速度は、所定の条件下、一般機および基準装置により実際に処理されたエッチングの深さおよび高周波電力の印加時間から算出される。つまり、第1および第2のエッチング速度は、実測値に基づいて算出されている。よって、第1および第2のエッチング速度には、特許文献1または2で用いられたようなプラズマ処理状態に関する各種パラメータに加えて、各プラズマ処理装置に固有のパラメータが反映されている。このように、プラズマ処理条件の補正に、エッチング速度の実測値を用いることで、従来のプラズマ処理状態に関する各種パラメータを用いた補正では解消することが困難であった、各プラズマ処理装置に固有のパラメータに起因するばらつきを解消することができる。そのため、基準装置と一般機との間、一般機が複数ある場合にはさらに各一般機の間におけるエッチング速度のばらつきが抑制される。よって、一般機が複数ある場合であっても、いずれの一般機も、基準装置と同等のプラズマ処理を行うことができる。
さらに、一般機のプラズマ処理条件の補正は、一般機の電極部に印加される第1の高周波電力に対してのみ行われる。プラズマ発生用ガスの種類や濃度、処理室内の圧力等のパラメータが同じ条件である場合、エッチング速度は、電極部に印加される高周波電力に大きく依存する。そこで、エッチング速度に影響を与える他の条件を変えずに、第1の高周波電力のみを補正する。これにより、生産現場における工程管理が非常に容易となる。
以下、図1を参照しながら、本発明の実施形態に係るプラズマ処理装置100を説明する。図1は、本発明の実施形態に係るプラズマ処理装置の概略構造を断面で示す概念図である。
処理室103aは、水平なベース部101と、蓋部102とにより構成される真空チャンバ103を密閉状態にすることにより形成される。蓋部102は、昇降手段(図示せず)によって昇降自在に配設されている。蓋部102が下降して、ベース部101の上面に当接することにより、真空チャンバ103は密閉状態になる。このとき、蓋部102とベース部101との間にはシール部材104が介在しており、これによって、処理室103aの密閉状態が担保される。処理室103aでは、処理対象物109がプラズマ処理される。ベース部101には開口部101aが設けられており、開口部101aを塞ぐように、絶縁部材106を介して電極部105が嵌め込まれている。電極部105の上面は、絶縁層107で覆われている。絶縁層107の上面には、処理対象物109を位置決めするためのガイド部材108が配置されている。
ベース部101の開口部101aの周縁には、貫通孔101bが形成されている。貫通孔101bには、管路111が挿入されており、管路111には、ベントバルブ112、ガス供給バルブ113、真空バルブ114および真空計115が接続されている。ガス供給バルブ113および真空バルブ114には、さらにガス供給部116および真空ポンプ117がそれぞれ接続されている。真空バルブ114を開くとともに真空ポンプ117を稼働させることにより、処理室103a内のガスが排出されて、減圧状態になる。処理室103a内の真空度は真空計115によって測定される。一方、ガス供給バルブ113を開けると、プラズマ発生用ガスが、ガス供給部116から処理室103a内に供給される。ガス供給部116は流量調整機能を内蔵しており、処理室103a内に供給されるプラズマ発生用ガスの流量が調整される。ベントバルブ112を開けると、処理室103a内に大気が供給される。
電極部105には、整合器118を介して高周波電源部119が電気的に接続されている。一方、蓋部102は接地部110に接地されている。処理室103a内にプラズマ発生用ガスを供給するとともに高周波電源部119を稼働させると、電極部105と蓋部102との間に高周波電圧が印加される。これにより、処理室103a内にはプラズマが発生する。整合器118は、プラズマを発生させるプラズマ放電回路(図示せず)と高周波電源部119とのインピーダンスを整合させる。ベントバルブ112、ガス供給バルブ113、真空バルブ114、真空計115、ガス供給部116、真空ポンプ117、高周波電源部119は、制御部120により制御される。
さらに、制御部120には、入力部121、補正選択部122、記憶部123、演算部124、表示部125が接続される。入力部121には、プロセスレシピと、第1および第2のデータベースを作成するための各データとが入力される。補正選択部122は、例えば、切り替えスイッチを備えている。作業者はこのスイッチを切り替えて、プロセスレシピの補正を行うか否かを選択することができる。補正選択部122は、上記のような機械的なスイッチに限らない。例えば、入力部121にプロセスレシピの補正を行うか否かを入力することで、補正選択部122を操作してもよい。
入力部121に入力されたデータベースを作成するための各データは、第1または第2のデータベースとして記憶部123に格納される。入力部121に入力されたプロセスレシピもまた、記憶部123に格納される。補正選択部122において、プロセスレシピを補正することが選択されている場合、演算部124は、各データベースに基づき、プロセスレシピで指定された高周波電力(レシピ指定電力P)を補正する演算を行い、補正された第1の高周波電力(補正電力P)を算出し、制御部120に結果を伝達する。制御部120は、プロセスレシピで指定されたレシピ指定電力Pを補正電力Pに補正し、補正されたプロセスレシピに従ってプラズマ処理を開始するよう、上記各部に指示する。表示部125は、入力されたプロセスレシピ、第1および第2のデータベース、演算部124から制御部120にエラーが通知されたことを示すエラーメッセージ等を表示する。制御部120、入力部121、記憶部123および演算部124の具体的な機能については、後述する。
[第1実施形態]
以下、図2〜図4を用いて、第1実施形態に係るプラズマ処理工程を説明する。図2は、本実施形態に係るプラズマ処理の工程を説明するフローチャートである。図3は、第1のデータベースが保持する情報を概念的に示すグラフである。図4は、第2のデータベースが保持する情報を概念的に示すグラフである。
(プラズマ処理方法)
まず、入力部121に、あらかじめ一般機および基準装置を用いて取得された、所定の高周波電力により発生させたプラズマによるエッチング速度を、当該高周波電力とともに入力しておく。例えば、入力部121に、一般機の電極部に印加された高周波電力およびそのときのエッチング速度を1セットとして、複数セット、入力しておく。同様に、基準装置の電極部に印加された高周波電力およびそのときのエッチング速度を1セットとして、複数セット、入力しておく。入力されたデータは、それぞれ第1のデータベースおよび第2のデータベースを作成するために、記憶部123に格納される(データ格納工程)。データ格納工程は、後述する入力工程(ステップ1)の前に行われてもよいし、後であってもよい。
記憶部123には、入力されたデータに基づき、例えば、図3に示すような情報を保持する第1のデータベースが保持される。図3のグラフは、横軸が第1の高周波電力を示し、縦軸が第1のエッチング速度を示している。図3では、4パターンの高周波電力Pを一般機の電極部に印加したときのエッチングの深さと印加時間とから算出されたエッチング速度Rが、プロットされている。データの数は4パターンに限らない。また、データベースは入力部121から入力されたデータのみで構成されていてもよいし、入力部121から入力されたデータを補間するデータを含んでもよい。入力されたデータの補間は、例えば、入力されたデータの近似直線や近似曲線を引いて行われる。このようにして、一般機を用いて実測された高周波電力Pとそのときのエッチング速度Rとの関係が、第1データベースとして記憶部123に保持される。
さらに、記憶部123には、一般機と同じ構造を備える基準装置における第2の高周波電力Pと第2のエッチング速度Rとの関係が、例えば図4に示すような情報を保持する第2のデータベースとして保持される。第2のデータベースは、一般機と同じ構造を備える基準装置を用いたこと以外は、第1のデータベース場合と同様にして得られる。
各データベースを作成するためのデータは、あらかじめ、基準装置および一般機を用いて、同じ物質をエッチングの対象として、所定のデータベース作成用の処理条件でプラズマ処理を行うことにより取得される。データベースの作成は、少なくとも1つの所定の処理条件によるプラズマ処理の結果に基づいて行われる。補正の精度を高めるためには、高周波電力の異なる複数の処理条件によるプラズマ処理の結果を用いて、データベースが作成されることが望ましい。
データを取得する際のエッチングの対象となる物質は、実際の一般機によるプラズマ処理に供される処理対象物に含まれることが望ましく、プラズマによってエッチングされる対象の物質(エッチング対象物)と同じ組成を有する物質であることが望ましい。すなわち、処理対象物と、一般機のデータを取得する際の試料(第1の標準試料)と、基準装置のデータを取得する際の試料(第2の標準試料)とは、エッチング対象物として、いずれも同じ組成を有する物質を含んでいることが望ましい。第1の標準試料および第2の標準試料は、エッチング対象物のみで形成されていてもよいし、エッチング対象物と、当該プラズマ処理条件ではエッチングされない他の物質と、を含んでいてもよい。また、第1の標準試料および第2の標準試料は、処理対象物と同じ構造を有していてもよい。
処理対象物としては、特に限定されず、例えば、電子機器の製造に用いられる基板、基板上に回路が形成された回路基板、回路基板に電子部品が実装された実装基板、半導体基板等が挙げられる。エッチング対象物も特に限定されず、例えば、基板、基板上に形成された絶縁膜、基板上のレジスト、回路を構成するための金属材料、半導体材料等が挙げられる。プラズマ発生用ガスは、エッチング対象物に応じて、適宜選択される。例えば、金をエッチングする場合にはアルゴンガス、レジスト等の有機物をエッチングする場合には酸素ガス、SiO等の絶縁膜をエッチングする場合にはCF等のフッ化炭素含有ガスを用いることができる。
エッチング速度は、高周波電力の印加時間とエッチングの深さとから算出される。エッチングの深さは、標準試料を電極部に載置し、処理室にエッチング対象物に適切なプラズマ発生用ガスを供給した後、所定の高周波電力を所定時間印加することによりエッチング処理された標準試料から測定される。
印加時間は、測定できる程度のエッチング深さが得られる限り、特に限定されない。印加時間は、実際に一般機で行われる印加時間(以下、処理時間)と同じであってもよいし、処理時間より長くてもよい。ここでは、電極部に印加された印加高周波電力とエッチング速度との関係が分かればよいため、実際の処理時間あるいはエッチング深さにかかわらず、データを採取する際の印加時間を決定することができる。例えば、一般機によって行われる工程がクリーニング工程である場合、処理時間は数秒〜数百秒であり、エッチング深さはナノオーダーレベルの場合もある。ナノオーダーレベルのエッチング深さを測定するのは、非常に困難である。しかし、各データベースを作成するためのデータの取得では、例えば、エッチング深さの測定が容易となるレベル(例えば、ミクロンオーダー)にまで達する程度に、印加時間を長くすることができる。よって、エッチング速度がより正確に算出されるため、プラズマ処理装置間のエッチング速度のばらつきが抑制され易くなる。
さらに、上記のとおり、データを取得する際に使用する標準試料は、少なくともエッチング対象物を含んでいればよい。そのため、実際の一般機の処理対象物が、複雑な構造(例えば、実装基板)を有しており、エッチング対象物のエッチング深さの測定が困難な場合であっても、エッチング速度をより正確に算出することができる。つまり、予め各データベースを作成しておく本実施形態は、実際のプラズマ処理時間が短い(例えば、数秒〜数百秒)場合や、処理対象物が複雑な構造を有している場合に、特に有用である。具体的には、実装基板のクリーニング工程において、本実施形態のプラズマ処理装置100あるいはプラズマ処理方法は好ましく用いられる。
(1)入力工程
入力工程では、プロセスレシピが入力部121に入力される(ステップ1)。プロセスレシピでは、処理時間、プラズマ発生用ガスの供給量、一般機の電極部に印加するべきレシピ指定電力P、処理室103a内の圧力等のプラズマ処理を行うための条件が指定されている。
(2)補正選択工程
次に、補正選択部122において、プロセスレシピの補正を行うか否かを選択する(ステップ2)。
プロセスレシピを補正しないと選択した場合、制御部120は、入力されたプロセスレシピに従ってプラズマ処理を開始するよう、プロセス処理装置100の各部(例えば、ベントバルブ112、ガス供給バルブ113、真空バルブ114、真空計115、ガス供給部116、真空ポンプ117、高周波電源部119等)に指示する(ステップ99)。
(3)演算工程
一方、プロセスレシピの補正を行うことを選択した場合、制御部120は、記憶部123から第2のデータベースを呼び出して、プロセスレシピで指定されたレシピ指定電力Pに相当する第2の高周波電力Pを読み出す(ステップ3)。続いて、第2のデータベースから、第2の高周波電力Pに対応する第2のエッチング速度(基準装置換算速度R)を算出する(ステップ4。図4参照)。次に、制御部120は、記憶部123から第1のデータベースを呼び出して、ステップ4で算出された基準装置換算速度Rに相当する第1のエッチング速度Rに対応する第1の高周波電力(補正電力P)を算出する(ステップ5。図3参照)。
(4)補正工程
制御部120は、プロセスレシピで指定されたレシピ指定電力Pを、ステップ5で算出された第1の補正電力Pに補正し、補正されたプロセスレシピに従ってプラズマ処理を開始するよう、プラズマ処理装置の上記各部に指示する(ステップ6)。
[第2実施形態]
以下、図5を用いて、第2実施形態に係るプラズマ処理の工程を説明する。図5は、本実施形態に係るプラズマ処理の工程を説明するフローチャートである。本実施形態は、演算部124において、ステップ3で読み出された第2の高周波電力P(すなわち、レシピ指定電力P)と、ステップ5で読み出された補正電力Pとの差が算出され、この差が、予め設定された閾値よりも大きいか否か判定される(ステップ7:判定工程)こと以外、第1実施形態と同様である。
(5)判定工程
判定工程は、ステップ5の後、ステップ6の前に行えばよい。図5に示すように、補正電力Pとレシピ指定電力Pとの差が閾値よりも大きい場合、演算部124から制御部120にエラーが通知される(ステップ999)。エラーが通知されると、制御部120は、第1および/または第2データベースに誤りがある可能性があると判断し、この旨を表示部125に表示し、作業者に報知する。
一方、補正電力Pとレシピ指定電力Pとの差が閾値以下である場合、制御部120は、プロセスレシピで指定されたレシピ指定電力Pを、ステップ5で算出された補正電力Pに補正し、補正されたプロセスレシピに従ってプラズマ処理を開始するよう、プラズマ処理装置の上記各部に指示する(ステップ6:補正工程)。閾値は、例えば、補正を行わない場合の基準装置と一般機との、同じ高周波電力におけるエッチング速度の差に基づいて設定される。
本発明のプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法によれば、基準装置と一般機との間および複数の一般機間におけるエッチング速度のばらつきが抑制されるため、特に電子部品や回路基板を製造する種々の工程に好適に用いられる。
100:プラズマ処理装置、101:ベース部、101a:開口部、101b:貫通孔、102:蓋部、103:真空チャンバ、103a:処理室、104:シール部材、105:電極部、106:絶縁部材、107:絶縁層、108:ガイド部材、109:処理対象物、110:接地部、111:管路、112:ベントバルブ、113:ガス供給バルブ、114:真空バルブ、115:真空計、116:ガス供給部、117:真空ポンプ、118:整合器、119:高周波電源部、120:制御部、121:入力部、122:補正選択部、123:記憶部、124:演算部、125:表示部

Claims (7)

  1. 処理室と、
    前記処理室に設けられる電極部と、
    前記電極部に第1の高周波電力を印加することにより、前記処理室内でプラズマを発生させる高周波電源部と、を備え、
    前記電極部に処理対象物を載置して、前記処理対象物の表面をエッチングするプラズマ処理装置であって、
    さらに、
    前記プラズマ処理装置を用いて、第1の標準試料に対して予め実行されたプラズマ処理により取得された、前記第1の高周波電力と第1のエッチング速度との関係を示す第1のデータベース、前記プラズマ処理装置と同じ構造を備え、較正の基準となる基準プラズマ処理装置を用いて、前記第1の標準試料と同じ組成を含む第2の標準試料に対して予め実行されたプラズマ処理により取得された、第2の高周波電力と第2のエッチング速度との関係を示す第2のデータベース、および、プロセスレシピ、を保持する記憶部と、
    前記プロセスレシピで指定された高周波電力であるレシピ指定電力を読み出し、前記第2のデータベースから、前記レシピ指定電力と同じ前記第2の高周波電力における前記第2のエッチング速度である基準装置換算速度を算出するとともに、前記第1のデータベースから、前記基準装置換算速度と同じ前記第1のエッチング速度における前記第1の高周波電力である補正電力を算出する演算部と、
    前記プロセスレシピで指定された前記レシピ指定電力を、前記演算部で算出された前記補正電力に補正する制御部と、
    を備える、プラズマ処理装置。
  2. 前記プロセスレシピの補正を行うか否かを選択する補正選択部を備える、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記演算部では、さらに、前記レシピ指定電力と前記補正電力との差を算出し、
    前記差が、予め設定された閾値よりも大きい場合、
    前記演算部は、前記制御部にエラーを通知する、請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 処理室と、
    前記処理室に設けられる電極部と、
    前記電極部に第1の高周波電力を印加することにより、前記処理室内でプラズマを発生させる高周波電源部と、
    プロセスレシピを保持する記憶部と、
    を備えるプラズマ処理装置を用いて、前記電極部に載置された処理対象物の表面をエッチングするプラズマ処理方法であって、
    前記記憶部が、さらに、前記プラズマ処理装置を用いて、第1の標準試料に対して予め実行されたプラズマ処理により取得された、前記第1の高周波電力と第1のエッチング速度との関係を示す第1のデータベースと、前記プラズマ処理装置と同じ構造を備え、較正の基準となる基準プラズマ処理装置を用いて、前記第1の標準試料と同じ組成を含む第2の標準試料に対して予め実行されたプラズマ処理により取得された、第2の高周波電力と第2のエッチング速度との関係を示す第2のデータベースと、を保持しており、
    前記プロセスレシピで指定された高周波電力であるレシピ指定電力を読み出し、前記第2のデータベースから、前記レシピ指定電力と同じ前記第2の高周波電力における前記第2のエッチング速度である基準装置換算速度を算出するとともに、前記第1のデータベースから、前記基準装置換算速度と同じ前記第1のエッチング速度における前記第1の高周波電力である補正電力を算出する演算工程と、
    前記プロセスレシピで指定された前記レシピ指定電力を、前記演算工程で算出された前記補正電力に補正する補正工程と、
    を備える、プラズマ処理方法。
  5. 前記演算工程の前に、前記プロセスレシピの補正を行うか否かを選択する補正選択工程を備える、請求項4に記載のプラズマ処理方法。
  6. 前記演算工程の後、前記レシピ指定電力と前記補正電力との差を算出し、前記差が、予め設定された閾値よりも大きいか否かを判定する判定工程を備える、請求項4または5に記載のプラズマ処理方法。
  7. 前記処理対象物が、電子部品が実装された回路基板である、請求項4〜6のいずれか一項に記載のプラズマ処理方法。
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