JP2017160475A - 触媒層、膜電極接合体、電解セル及び触媒層の製造方法 - Google Patents

触媒層、膜電極接合体、電解セル及び触媒層の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】芳香族炭化水素化合物を水素化する効率を向上させる技術を提供する。【解決手段】芳香族炭化水素化合物を水素化する電気化学還元装置用の触媒層は、第1物質126と、第2物質128とを含む。第1物質126は、芳香族炭化水素化合物を水素化するための触媒162を含み、第2物質128よりも親水性が高い。第2物質128は、第1物質126よりも芳香族炭化水素化合物に対する親和性が高い。【選択図】図3

Description

本発明は、触媒層、膜電極接合体、電解セル及び触媒層の製造方法に関する。特に本発明は、芳香族炭化水素化合物を電気化学的に水素化する技術に用いられる触媒層、膜電極接合体、電解セル及び触媒層の製造方法に関する。
シクロヘキサンやデカリンといった環状有機化合物は、水素ガスを用いて対応する芳香族炭化水素化合物(ベンゼン、ナフタレン)を核水素化することで効率的に得られることが知られている。例えば、特許文献1,2には、トルエン等の芳香族炭化水素化合物を還元するカソード触媒層、及び水を酸化するアノード触媒層が、プロトン伝導性の電解質膜を挟むように配置された膜電極接合体を備える有機ハイドライド製造装置が開示されている。
特開2012−072477号公報 国際公開第11/122155号パンフレット
本発明者らは、芳香族炭化水素化合物を電気化学的に水素化する技術について鋭意検討を重ねた結果、従来の技術には、芳香族炭化水素化合物を水素化する効率を向上させる余地があることを認識するに至った。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、芳香族炭化水素化合物を水素化する効率を向上させる技術を提供することにある。
本発明のある態様は、触媒層である。当該触媒層は、芳香族炭化水素化合物を水素化する電気化学還元装置用の触媒層であり、第1物質と第2物質とを含む。第1物質は、芳香族炭化水素化合物を水素化するための触媒を含み、第2物質よりも親水性が高い。第2物質は、第1物質よりも芳香族炭化水素化合物に対する親和性が高い。
本発明の他の態様は、膜電極接合体である。当該膜電極接合体は、プロトン伝導性を有する電解質膜と、電解質膜の一方の側に配置され、上記態様の触媒層で構成される還元電極と、電解質膜の一方の側とは反対側に配置され、水を酸化してプロトンを生成するための酸素発生用電極と、を備える。
本発明のさらに他の態様は、電解セルである。当該電解セルは、上記態様の膜電極接合体と、膜電極接合体を挟む一対のセパレータと、を備える。
本発明のさらに他の態様は、触媒層の製造方法である。当該製造方法は、芳香族炭化水素化合物を水素化するための触媒とアイオノマーとを混合し、得られる混合物を、アイオノマーのガラス転移温度をTg、アイオノマーの熱分解温度をTdとした場合にTg−20℃≦T≦Tdの条件を満たす焼成温度Tで焼成することにより、所定の親水性を有する第1物質を調製する工程と、第1物質よりも芳香族炭化水素化合物に対する親和性の高い第2物質を用意する工程と、第1物質と第2物質を溶媒中で混合して、芳香族炭化水素化合物を水素化する電気化学還元装置用の触媒層を形成する工程と、を含む。
本発明によれば、芳香族炭化水素化合物を水素化する効率を向上させることができる。
実施の形態に係る電気化学還元装置の概略構成を示す模式図である。 実施の形態に係る電気化学還元装置が有する電解セルの概略構成を示す断面図である。 還元電極を拡大して示す模式図である。 アイオノマーのガラス転移温度(Tg)について説明するための図である。 図5(A)は、第2物質として疎水化中空シリカ粒子を用いた場合における、第2物質の混合率と相対電流密度との関係を示すグラフである。図5(B)は、第2物質として疎水化メソポーラスカーボンを用いた場合における、第2物質の混合率と相対電流密度との関係を示すグラフである。 第1物質調製時の焼成温度と相対電流密度との関係を示すグラフである。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に用いられる「第1」、「第2」等の用語は、いかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。
図1は、実施の形態に係る電気化学還元装置の概略構成を示す模式図である。なお、図1では、電解セルが備えるセパレータの図示を省略し、膜電極接合体の構造を簡略化している。電気化学還元装置10は、芳香族炭化水素化合物を水素化する装置であり、電解セル100、電力制御部20、有機物貯蔵槽30、水貯蔵槽40、気水分離部50及び制御部60を備える。
電力制御部20は、例えば、電力源の出力電圧を所定の電圧に変換するDC/DCコンバータである。電力制御部20の正極出力端子は、電解セル100の酸素発生用電極(正極)130に接続される。電力制御部20の負極出力端子は、電解セル100の還元電極(負極)120に接続される。これにより、電解セル100の酸素発生用電極130と還元電極120との間に所定の電圧が印加される。なお、電力制御部20には、正および負極の電位検知の目的で参照極が設けられていてもよい。この場合、参照極入力端子は、電解質膜110に設けられる参照電極112に接続される。
制御部60は、参照電極112の電位を基準としたときの酸素発生用電極130又は還元電極120の電位が所望の電位となるように、電力制御部20の正極出力端子及び負極出力端子の出力を制御する。なお、電力源としては、特に限定されないが、通常の系統電力を用いてもよく、太陽光や風力などの自然エネルギー由来の電力も好ましく用いることができる。
有機物貯蔵槽30には、芳香族炭化水素化合物が貯蔵される。本実施の形態で用いられる芳香族炭化水素化合物は、少なくとも1つの芳香環を含む化合物である。芳香族炭化水素化合物としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ジフェニルエタン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ジエチルベンゼン、メシチレン、メチルナフタレンなどが挙げられる。これらは単独で用いられても、組み合わせて用いられてもよい。芳香族炭化水素化合物は、好ましくはトルエン及びベンゼンの少なくとも一方である。なお、電気化学還元装置10は、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、N−アルキルピロール、N−アルキルインドール、N−アルキルジベンゾピロール等の含窒素複素環式芳香族化合物を用いることもできる。
芳香族炭化水素化合物は、常温で液体であることが好ましい。また、上述の芳香族炭化水素化合物の複数種を混合したものを用いる場合は、混合物として液体であればよい。芳香族炭化水素化合物が常温で液体である場合、加熱や加圧などの処理を行うことなく、液体の状態で芳香族炭化水素化合物を電解セル100に供給することができる。これにより、電気化学還元装置10の構成の簡素化を図ることができる。
有機物貯蔵槽30に貯蔵された芳香族炭化水素化合物は、第1液体供給装置32によって電解セル100の還元電極120に供給される。第1液体供給装置32としては、例えば、ギアポンプあるいはシリンダーポンプ等の各種ポンプ、または自然流下式装置等を用いることができる。有機物貯蔵槽30と還元電極120との間には、循環経路が設けられる。なお、循環経路は設けられなくてもよい。電解セル100により核水素化された芳香族炭化水素化合物と、未反応の芳香族炭化水素化合物とは、循環経路を経て有機物貯蔵槽30に貯蔵される。還元電極120で進行する主反応ではガスは発生しないが、水素等のガスが副生する場合には循環経路の途中に気液分離手段を設けてもよい。
水貯蔵槽40には、例えばイオン交換水、純水、あるいはこれらに硫酸等の酸を加えた水溶液等(以下では適宜、単に「水」という)が貯蔵される。水貯蔵槽40に貯蔵された水は、第2液体供給装置42によって電解セル100の酸素発生用電極130に供給される。第2液体供給装置42としては、例えばギアポンプあるいはシリンダーポンプ等の各種ポンプ、または自然流下式装置等を用いることができる。水貯蔵槽40と酸素発生用電極130との間には、循環経路が設けられる。なお、循環経路は設けられなくてもよい。電解セル100において未反応の水は、循環経路を経て水貯蔵槽40に貯蔵される。なお、当該循環経路の途中には、気水分離部50が設けられる。電解セル100における水の電気分解によって生じる酸素等のガスは、気水分離部50によって水から分離されて系外に排出される。
図2は、実施の形態に係る電気化学還元装置が有する電解セルの概略構成を示す断面図である。電解セル100は、膜電極接合体102と、膜電極接合体を挟む一対のセパレータ150a,150bと、を備える。膜電極接合体102は、電解質膜110、還元電極120、及び酸素発生用電極130を有する。
電解質膜110は、プロトン伝導性を有する材料(アイオノマー)で形成される。電解質膜110は、プロトンを選択的に伝導する一方で、還元電極120と酸素発生用電極130との間で物質が混合したり拡散することを抑制する。電解質膜110の厚さは、好ましくは5〜300μmであり、より好ましくは10〜150μmであり、さらに好ましくは20〜100μmである。電解質膜110の厚さを5μm以上とすることで、電解質膜110のバリア性を確保して、芳香族炭化水素化合物や酸素等のクロスリークの発生をより確実に抑制することができる。また、電解質膜110の厚さを300μm以下とすることで、イオン移動抵抗が過大になることを抑制することができる。
電解質膜110の面積抵抗、即ち幾何面積当たりのイオン移動抵抗は、好ましくは2000mΩ・cm以下であり、より好ましくは1000mΩ・cm以下であり、さらに好ましくは500mΩ・cm以下である。電解質膜110の面積抵抗を2000mΩ・cm以下とすることで、プロトン伝導性が不足するおそれをより確実に回避することができる。プロトン伝導性を有する材料としては、ナフィオン(登録商標)、フレミオン(登録商標)などのパーフルオロスルホン酸ポリマーが挙げられる。カチオン交換型のアイオノマーのイオン交換容量(IEC)は、好ましくは0.7〜2meq/gであり、より好ましくは1〜1.3meq/gである。カチオン交換型のアイオノマーのイオン交換容量を0.7meq/g以上とすることで、イオン伝導性が不十分となるおそれをより確実に回避することができる。一方、当該イオン交換容量を2meq/g以下とすることで、アイオノマーの水や芳香族炭化水素化合物への溶解度が増大して電解質膜110の強度が不十分となるおそれをより確実に回避することができる。
電解質膜110には、多孔性のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の補強材が混合されてもよい。補強材を導入することで、イオン交換容量の増加に伴う電解質膜110の寸法安定性の低下を抑制することができる。これにより、電解質膜110の耐久性を向上させることができる。また、芳香族炭化水素化合物や酸素のクロスオーバーを抑制することができる。
なお、図1に示すように、電解質膜110における、還元電極120及び酸素発生用電極130から離間した領域に、電解質膜110に接するように参照電極112が設けられてもよい。参照電極112は、還元電極120及び酸素発生用電極130から電気的に隔離されている。参照電極112は、参照電極電位に保持される。参照電極112としては、例えば標準水素還元電極(参照電極電位=0V)、Ag/AgCl電極(参照電極電位=0.199V)等が挙げられる。なお、参照電極112は、還元電極120側の電解質膜110の表面に設置されることが好ましい。
還元電極120と酸素発生用電極130との間を流れる電流は、図1に示す電流検出部113によって検出される。電流検出部113で検出された電流値は、制御部60に入力され、制御部60による電力制御部20の制御に用いられる。参照電極112と還元電極120との間の電位差は、電圧検出部114によって検出される。電圧検出部114で検出された電位差の値は制御部60に入力され、制御部60による電力制御部20の制御に用いられる。
還元電極120は、電解質膜110の一方の側に配置される。本実施の形態では、還元電極120は電解質膜110の一方の主表面に接するように設けられている。還元電極120は、還元極触媒層122及び拡散層124が積層された構造を有する。還元極触媒層122は、拡散層124よりも電解質膜110側に配置される。
図3は、還元電極120を拡大して示す模式図である。図3では、芳香族炭化水素化合物の一例としてトルエン(TL)を図示している。還元極触媒層122は、第1物質126と第2物質128とを含む。第1物質126は、芳香族炭化水素化合物を水素化するための触媒162(還元触媒)を含む物質である。第1物質126は、例えば触媒162を担持した状態の触媒担体160が、プロトン伝導性を有するアイオノマー(カチオン交換型のアイオノマー)で被覆された構造を有する。還元極触媒層122に用いられる触媒162は、例えばPt、Pdの少なくとも一方を含む。また、触媒162は、Pt、Pdの少なくとも一方からなる第1の触媒金属(貴金属)と、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、Ru、Sn、W、Re、Pb、Biから選択される1種または2種以上の第2の触媒金属とを含む金属組成物で構成されてもよい。
この場合、当該金属組成物の形態としては、第1の触媒金属と第2の触媒金属との合金、あるいは第1の触媒金属と第2の触媒金属からなる金属間化合物などが挙げられる。第1の触媒金属と第2の触媒金属の総質量に対する第1の触媒金属の割合は、好ましくは10〜95wt%であり、より好ましくは20〜90wt%であり、さらに好ましくは25〜80wt%である。第1の触媒金属の割合を10wt%以上とすることで、耐久性(耐溶解性など)の低下をより確実に抑制することができる。一方、第1の触媒金属の割合を95wt%以下とすることで、還元触媒の性質が貴金属単独の性質に近づくことを回避して、電極活性が不十分となることをより確実に抑制することができる。
触媒担体160は、電子伝導性材料で構成される。電子伝導性材料の電子伝導度は、好ましくは1.0×10−2S/cm以上であり、より好ましくは3.0×10−2S/cm以上であり、さらに好ましくは1.0×10−1S/cm以上である。電子伝導性材料の電子伝導度を1.0×10−2S/cm以上とすることで、還元極触媒層122に対してより確実に電子伝導性を付与することができる。
触媒担体160としては、例えば多孔性カーボン(メソポーラスカーボンなど)、多孔性金属、多孔性金属酸化物のいずれかを主成分として含有する電子伝導性材料を挙げることができる。多孔性カーボンとしては、例えばケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、バルカン(登録商標)などのカーボンブラックが挙げられる。窒素吸着法で測定した多孔性カーボンのBET比表面積は、好ましくは50m/g以上1500m/g以下であり、より好ましくは500m/g以上1300m/g以下であり、さらに好ましくは700m/g以上1000m/g以下である。多孔性カーボンのBET比表面積を50m/g以上とすることで、触媒162を均一に担持させやすくすることができ、これにより芳香族炭化水素化合物の拡散性をより確実に担保することができる。また、多孔性カーボンのBET比表面積を1500m/g以下とすることで、芳香族炭化水素化合物の反応時や、電気化学還元装置10の起動時あるいは停止時に、触媒担体160の劣化が生じやすくなることを回避することができる。これにより、触媒担体160に十分な耐久性を付与することができる。
多孔性金属としては、例えばPtブラック、Pdブラック、フラクタル状に析出させたPt金属などが挙げられる。多孔性金属酸化物としては、例えばTi、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wの酸化物が挙げられる。また、触媒担体160には、Ti、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wなどの金属の窒化物、炭化物、酸窒化物、炭窒化物、部分酸化した炭窒化物といった、多孔性の金属化合物(以下では適宜、多孔性金属炭窒化物等と呼ぶ)も用いることができる。窒素吸着法で測定した多孔性金属、多孔性金属酸化物及び多孔性金属炭窒化物等のBET比表面積は、好ましくは1m/g以上であり、より好ましくは3m/g以上であり、さらに好ましくは10m/g以上である。多孔性金属、多孔性金属酸化物及び多孔性金属炭窒化物等のBET比表面積を1m/g以上とすることで、触媒162を均一に担持させやすくすることができる。
触媒162を担持した状態の触媒担体160は、アイオノマーで被覆される。したがって、第1物質126は、第2物質128よりも高い親水性を有する。アイオノマーとしては、例えばナフィオン(登録商標)、フレミオン(登録商標)などのパーフルオロスルホン酸ポリマー等を挙げることができる。アイオノマーのイオン交換容量(IEC)は、好ましくは0.7〜3meq/gであり、より好ましくは1〜2.5meq/gであり、さらに好ましくは1.2〜2meq/gである。触媒担体160が多孔性カーボンである場合、アイオノマー(I)/触媒担体(C)の質量比I/Cは、好ましくは0.1〜2であり、より好ましくは0.2〜1.5であり、さらに好ましくは0.3〜1.1である。質量比I/Cを0.1以上とすることで、十分なイオン伝導性をより確実に得ることができる。一方、質量比I/Cを2以下とすることで、触媒162に対するアイオノマーの被覆厚みが過剰になることを抑制して、反応物質である芳香族炭化水素化合物の触媒活性点への接触が阻害されることを回避することができる。
前記「アイオノマーで被覆される」とは、例えば、表面分析において二次粒子表面の5割以上が、アイオノマーに被覆されていることを意味する。言い換えれば、表面分析において二次粒子表面の5割以上に、アイオノマーのみにしか含まれない元素が存在することを意味する。なお、還元極触媒層122に含まれるアイオノマーは、触媒162を部分的に被覆していることが好ましい。これによれば、還元極触媒層122における電気化学反応に必要な3要素(芳香族炭化水素化合物、プロトン、電子)を効率的に反応場に供給することができる。
第2物質128は、第1物質126よりも芳香族炭化水素化合物に対する親和性が高い物質である。例えば、第2物質128は、水に対してよりも芳香族炭化水素化合物に対して親和性が高い。逆に第1物質126は、芳香族炭化水素化合物に対してよりも水に対して親和性が高い。第2物質128は、好ましくは多孔質材料で構成される。第2物質128に用いられる多孔質材料は、例えばメソポーラスカーボン及びメソポーラスシリカの少なくとも一方である。これらは単独で用いられても、組み合わせて用いられてもよい。
第2物質128を構成する物質(例えば多孔質材料)は、アイオノマーで被覆されていない。前記「アイオノマーに被覆されていない」とは例えば、表面分析において、二次粒子表面のうちアイオノマーに被覆されている部分が5割未満であることを意味する。言い換えれば、表面分析において、二次粒子表面のうちアイオノマーのみにしか含まれていない元素が存在する部分が5割未満であることを意味する。あるいは、第2物質128は、第1物質126よりもアイオノマーによる被覆面積が小さく、第1物質126は、第2物質128よりもアイオノマーによる被覆面積が大きい。また、第2物質128は撥水性表面を有する。前記「撥水性表面」とは、表面分析(XPS)において、酸素、窒素及び硫黄原子の割合が5割以下の表面を意味する。
第1物質126に含まれるフッ素量は、第2物質128に含まれるフッ素量に対して2倍以上であることが好ましい。第1物質126のフッ素量を第2物質128の2倍以上にすることで、第1物質126中のアイオノマーが増加し、親水性が増加するため、芳香族炭化水素化合物を優先的に第2物質128中に拡散させることができる。また、還元極触媒層122に含まれる第1物質126と第2物質128の比率は、質量比で4:1〜1:1であることが好ましい。還元極触媒層122の厚さは、好ましくは1〜100μmであり、より好ましくは10〜30μmである。還元極触媒層122への第2物質128の混合により、還元極触媒層122の厚さは増加する。還元極触媒層122の厚さが増加すると、プロトンの移動抵抗が増大し、また芳香族炭化水素化合物の拡散性は低下しやすい。このため、第2物質128の含有量と還元極触媒層122の厚さとは、上述した範囲で調整することが望ましい。第1物質126と第2物質128とは、球状に限定されず、繊維状などであってもよい。
拡散層124は、後述するセパレータ150aから供給される液状の芳香族炭化水素化合物を還元極触媒層122に均一に拡散させる機能を担う。拡散層124を構成する材料は、芳香族炭化水素化合物に対して親和性が高いことが好ましい。拡散層124を構成する材料としては、例えばカーボンペーパー、カーボンの織布又は不織布などを用いることができる。拡散層124を構成する材料としてカーボンペーパーを用いる場合、拡散層124の厚さは、好ましくは50〜1000μmであり、より好ましくは100〜500μmである。また、拡散層124を構成する材料の電子伝導度は、好ましくは10−2S/cm以上である。
還元極触媒層122は、電解質膜110を通過したプロトンが触媒162に到達できるよう湿潤状態に維持される。また、還元極触媒層122には、電解質膜110側から水が進入する場合がある。また、還元極触媒層122において、第1物質126と第2物質128とは、混合された状態で存在する。そして、第1物質126は、第2物質128よりも水に対する親和性が高く、第2物質128よりも芳香族炭化水素化合物に対する親和性が低い。一方、第2物質128は、第1物質126よりも芳香族炭化水素化合物に対する親和性が高く、第1物質126よりも水に対する親和性が低い。
このため、還元極触媒層122において、第1物質126の表面には水の被膜が形成され、連続する複数の第1物質126によって親水性の通路が形成される。この親水性の通路は、プロトン伝達路L1を構成する。一方、第2物質128の表面には水の被膜が形成されないため、連続する複数の第2物質128によって疎水性の通路が形成される。この疎水性の通路は、芳香族炭化水素化合物伝達路L2を構成する。
上述のように、還元極触媒層122は湿潤状態をとる。このため、還元極触媒層122は、言わば水の膜が形成された状態となる。この水の膜によって、拡散層124から還元極触媒層122中への芳香族炭化水素化合物の進入が阻害される傾向にある。これに対し、本実施の形態の還元極触媒層122は、疎水性の第2物質128を含み、これにより芳香族炭化水素化合物伝達路L2が形成されている。このため、拡散層124から還元極触媒層122に到達した芳香族炭化水素化合物は、芳香族炭化水素化合物伝達路L2を介して還元極触媒層122内に進入し、拡散することができる。
なお、第2物質128は、触媒162を担持していないことが好ましい。上述のように、第2物質128は、芳香族炭化水素化合物の芳香族炭化水素化合物伝達路L2を構成し、プロトン伝達路L1とは独立している。したがって、第2物質128の表面は、反応物であるプロトンが供給されず、電気化学反応の反応場にならない。このため、第2物質128に触媒162を担持させないことで無駄な触媒162を排除し、電解セル100の製造コストの上昇を抑えることができる。前記「触媒162を担持していない」とは例えば、第2物質128における触媒162の含有量が、第2物質128の全質量に対して0質量%以上1質量%以下であることを意味する。
還元電極120は、還元極触媒層122と拡散層124との間に図示しない緻密層を有してもよい。緻密層は、液体の芳香族炭化水素化合物及び芳香族炭化水素化合物の水素化体の、還元極触媒層122の面方向への拡散を促す機能を有する。特に、緻密層を設けることで、セパレータ150aの拡散層124に直に接する領域(これをリブという)の、セパレータ150aと還元電極120との積層方向における直下に、芳香族炭化水素化合物等を拡散させることができる。
図2に示すように、セパレータ150aは、電解質膜110とは反対側の還元電極120の主表面に積層される。セパレータ150aは、例えばカーボン樹脂や、Cr−Ni−Fe系、Cr−Ni−Mo−Fe系、Cr−Mo−Nb−Ni系、Cr−Mo−Fe−W−Ni系あるいはTi系などの耐食性合金で形成することができる。セパレータ150aの拡散層124側の面には、単数又は複数の溝状の流路152aが設けられる。流路152aには、有機物貯蔵槽30から供給される液状の芳香族炭化水素化合物が流通する。液状の芳香族炭化水素化合物は、流路152aから拡散層124に浸み込む。流路152aの形態は、特に限定されないが、例えば直線状流路、サーペンタイン流路などを採用し得る。
酸素発生用電極130は、水を酸化してプロトンを生成するための電極であり、電解質膜110の一方の側(還元電極120が配置される側)とは反対側に配置される。本実施の形態では、酸素発生用電極130は電解質膜110の他方の主表面に接するように設けられているが、酸素発生用電極130は電解質膜110から離間していてもよい。酸素発生用電極130は、酸素発生極触媒層132及び拡散層134が積層された構造を有する。酸素発生極触媒層132は、拡散層134よりも電解質膜110側に配置される。なお、拡散層134は設けられなくてもよい。
酸素発生極触媒層132は、Ru、Rh、Pd、Ir、Ptから選択される1種以上の金属あるいは金属酸化物を触媒として含む。これらの触媒は、電子伝導性を有する金属基材に分散担持、又はコーティングされてもよい。このような金属基材としては、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Mo、Ta、Wなどの金属、あるいはこれらを主成分とする合金などで構成される、金属繊維(繊維径:例えば10〜30μm)、メッシュ(メッシュ径:例えば500〜1000μm)、金属多孔体の焼結体、発泡成型体(フォーム)、エキスパンドメタル等を挙げることができる。酸素発生極触媒層132の厚さは、好ましくは0.1〜10μmであり、より好ましくは0.2〜5μmである。
拡散層134は、後述するセパレータ150bから供給される水を酸素発生極触媒層132に均一に拡散させる機能を担う。拡散層134を構成する材料は、水に対して親和性が高いことが好ましい。拡散層134を構成する材料としては、例えばカーボンペーパー、カーボンの織布又は不織布などを用いることができる。拡散層134を構成する材料としてカーボンペーパーを用いる場合、拡散層134の厚さは、好ましくは50〜1000μmであり、より好ましくは100〜500μmである。また、拡散層134を構成する材料の電子伝導度は、好ましくは10−2S/cm以上である。
セパレータ150bは、電解質膜110とは反対側の酸素発生用電極130の主表面に積層される。セパレータ150bは、セパレータ150aと同様の材料で構成することができる。セパレータ150bの拡散層134側の面には、単数又は複数の溝状の流路152bが設けられる。流路152bには、水貯蔵槽40から供給される水が流通する。水は、流路152bから拡散層134に染み込む。流路152bの形態は、流路152aと同様である。
本実施の形態では、酸素発生用電極130には液状の水が供給されるが、液状の水に代えて、加湿されたガス(例えば、空気)が供給されてもよい。この場合、加湿ガスの露点温度は、好ましくは室温〜100℃であり、より好ましくは50〜100℃である。
電解セル100には、図示しない集電体が接続される。集電体は、銅、アルミニウムなどの電子伝導性が良好な金属で形成される。
芳香族炭化水素化合物としてトルエンを用いた場合の電解セル100における反応は、以下のとおりである。
<酸素発生用電極での電極反応>
3HO→1.5O+6H+6e
<還元電極での電極反応>
トルエン+6H+6e→メチルシクロヘキサン
すなわち、酸素発生用電極130での電極反応と、還元電極120での電極反応とが並行して進行する。そして、酸素発生用電極130における水の電気分解により生じたプロトンが、電解質膜110を介して還元電極120に供給される。還元電極120に供給されたプロトンは、還元電極120において芳香族炭化水素化合物の核水素化に利用される。したがって、水の電気分解と芳香族炭化水素化合物の水添反応とを1ステップで行うことができる。
<還元極触媒層122の製造方法>
本実施の形態に係る還元極触媒層122の製造方法は、第1物質126を調製する工程と、第2物質128を用意する工程と、還元極触媒層122を形成する工程と、を含む。第1物質126を調製する工程では、まず芳香族炭化水素化合物を水素化するための触媒162と、アイオノマーとが混合される。第1物質126が触媒担体160を含む場合は、触媒担体160も混合される。そして、得られる混合物が、所定の焼成温度Tで焼成される。焼成温度Tは、アイオノマーのガラス転移温度をTg、アイオノマーの熱分解温度をTdとした場合に、Tg−20℃≦T≦Tdの範囲に設定され、より好ましくは、Tg−10℃≦T≦Tg+40℃の範囲に設定される。これにより、所定の親水性を有する第1物質126が調製される。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、例えば示差走査熱量計を用いてアイオノマーを10℃/分で昇温させたときのデータをもとに定義した値である。以下、図4を参照しながら、ガラス転移温度(Tg)の定義について詳細に説明する。図4は、アイオノマーのガラス転移温度(Tg)について説明するための図である。図4に示すように、横軸に温度、縦軸に熱流をとってプロットした場合、ガラス転移の前後において比熱が変化し、熱流のベースラインがシフトする。ガラス転移前の熱流のベースラインBLと、ガラス転移における熱流変化の変極点Pの接線PLとが交わる点Qにおける温度をガラス転移温度(Tg)とする。
熱分解温度(Td)についても、ガラス転移温度(Tg)と同様に定義することができ、例えば示差走査熱量計を用いてアイオノマーを10℃/分で昇温させたときのデータをもとに定義される。熱分解温度(Td)の場合、図4における熱流のベースラインBLは、熱分解前の熱流のベースラインとなり、変極点Pは、熱分解における熱流変化の変極点となる。すなわち、図4に示すように、横軸に温度、縦軸に熱流をとってプロットした場合、熱分解の前後において比熱が変化し、熱流のベースラインがシフトする。熱分解前の熱流のベースラインBLと、熱分解における熱流変化の変極点Pの接線PLとが交わる点Qにおける温度を熱分解温度(Td)とする。
また、第1物質126を調製する工程とは別に、第1物質126よりも芳香族炭化水素化合物に対する親和性の高い第2物質128が用意される。第2物質128を用意する工程では、例えばメソポーラスカーボンあるいはメソポーラスシリカに所定の疎水化処理が施されて、第2物質128が調製される。
続いて、還元極触媒層122の形成工程が実施される。すなわち、調製された第1物質126と第2物質128が所定の溶媒中で混合される。これにより、還元極触媒層122を形成するための触媒組成物が調製される。この触媒組成物を電解質膜110の表面又は拡散層124の表面に塗布することで、還元極触媒層122を形成することができる。用いる溶媒としては、1−プロパノール、水、エチレングリコール、エタノール、2−プロパノール等を挙げることができる。
触媒担体160、触媒162及びアイオノマーを混合して第1物質126を先に調製し、その後に第1物質126と第2物質128とを混合する手順を踏むことで、第2物質128がアイオノマーで被覆されてしまうことをより確実に回避することができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る還元極触媒層122は、第1物質126と第2物質128とを含む。第1物質126は、触媒162を含むとともに第2物質128よりも親水性が高い。一方、第2物質128は、第1物質126よりも芳香族炭化水素化合物に対する親和性が高い。このように、第1物質126と第2物質128とで還元極触媒層122を構成することで、還元極触媒層122内に親水性のプロトン伝達路L1と、疎水性の芳香族炭化水素化合物伝達路L2とを設けることができる。
これにより、拡散層124から還元極触媒層122への芳香族炭化水素化合物の進入、拡散を促進することができる。したがって、芳香族炭化水素化合物を、還元極触媒層122の反応場に均一且つ迅速に供給することができる。この結果、電極面積・時間当たりに水素化できる芳香族炭化水素化合物の量(電流密度)を向上させることができる。よって、芳香族炭化水素化合物を水素化する効率を向上させることができる。また、芳香族炭化水素化合物の濃度が低下した場合であっても、芳香族炭化水素化合物の水素化反応の低下を抑制することができる。
また、上述した還元極触媒層122を有する膜電極接合体102を電解セル100に用いることで、電解セル100の性能を向上させることができる。また、第2物質128をメソポーラスカーボンやメソポーラスシリカ等の多孔質材料で構成した場合には、芳香族炭化水素化合物の水素化効率をより向上させることができる。
さらに、本実施の形態に係る触媒層の製造方法は、触媒162とアイオノマーとを混合し、得られる混合物を焼成して第1物質126を調製する工程と、第2物質128を用意する工程と、第1物質126及び第2物質128を溶媒中で混合して触媒層を形成する工程とを含む。このように、第1物質126と第2物質128とをそれぞれ別個に用意した後に、これらを混合して触媒層を形成することで、第2物質128がアイオノマーで被覆されてしまうことをより確実に回避することができる。これにより、触媒層中に芳香族炭化水素化合物伝達路L2をより確実に形成することができるため、芳香族炭化水素化合物の水素化効率をより確実に向上させることができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、これら実施例は、本発明を好適に説明するための例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
(実施例1)
<第1物質の調製>
第1物質として、アイオノマーコートPtRu/Cを調製した。まず、触媒担体としての多孔性カーボンに触媒としての白金・ルテニウムを担持させたPtRu/C(品番:TEC61E54、田中貴金属社製)と、20wt% Nafion(登録商標) DE2020CS(Du Pont社製)と、純水と、1−プロパノール(1−PrOH)とを、それぞれの比率が質量比で7:14:18:61となるようにして混合した。得られた混合物を、ボールミルで粉砕した。得られた粉末を窒素雰囲気化で蒸発乾固し、次いで温度150℃で焼成した。以上の工程により、第1物質としてのアイオノマーコートPtRu/Cを得た。
<第2物質の調製>
第2物質として、疎水化中空シリカ粒子(疎水化メソポーラスシリカ)を調製した。具体的には、中空シリカ粒子(商品名:シリナックス、日鉄鉱業社製)350mgを、3−メチルトリエトキシシラン50mLに加えた。得られた溶液を温度120℃で溶媒がなくなるまで加熱して、中空シリカ粒子の表面をメチル基修飾した。以上の工程により、第2物質としての疎水化中空シリカ粒子を得た。
<膜電極接合体の作製>
アイオノマーコートPtRu/Cと、疎水化中空シリカ粒子と、純水と、1−PrOHとを、それぞれの比率が質量比で4:1:23:72となるよう混合した。得られた混合物をボールミルで粉砕して、触媒組成物を得た。この触媒組成物を、電解質膜(商品名:Nafion(登録商標)212、Du Pont社製)の一方の主表面にスプレーで塗布して、還元極触媒層を形成した。触媒の担持量は、0.5mg/cmであった。
また、酸素発生極触媒層用の触媒組成物を以下のようにして調製した。まず、乳鉢で磨り潰した酸化イリジウム粉末(和光純薬社製)と、20wt% Nafion(登録商標)DE2020CS(Du Pont社製)と、純水と、1−PrOHとを、それぞれの比率が質量比で7:14:18:61となるように混合した。得られた混合物をボールミルで粉砕して、触媒組成物を得た。この触媒組成物を、電解質膜の他方の主表面にスプレーで塗布して、酸素発生極触媒層を形成した。触媒の担持量は2.5mg/cmであった。
還元極触媒層及び酸素発生極触媒層のそれぞれの表面上に、MPL(マイクロポーラス層)付きGDL(ガス拡散層)(商品名:SIGRACET GDL 35BC、SGLカーボン社製)を積層した。得られた積層体に温度120℃及び圧力1MPaでのホットプレスを実施し、膜電極接合体を得た。
(実施例2)
第2物質として疎水化メソポーラスカーボンを用いたことを除いて、実施例1と同様にして膜電極接合体を得た。疎水化メソポーラスカーボンは、以下のようにして調製した。すなわち、メソポーラスカーボン(商品名:Starbon(登録商標)300、アルドリッチ社から市販)を、窒素99%及び水素1%の還元雰囲気条件で、温度900℃で2時間焼成して、疎水化メソポーラスカーボンを得た。
(比較例1)
実施例との比較のために、第2物質を含有しない膜電極接合体を形成した。具体的には、PtRu/C(品番:TEC61E54、田中貴金属社製)と、20wt% Nafion(登録商標) DE2020CS(Du Pont社製)と、純水と、1−プロパノール(1−PrOH)とを、それぞれの比率が質量比で5:10:20:65となるようにして混合した。得られた混合物をボールミルで粉砕して、触媒組成物を得た。この触媒組成物を、電解質膜(商品名:Nafion(登録商標)212、Du Pont社製)の一方の主表面にスプレーで塗布し、還元極触媒層を形成した。触媒の担持量は、0.5mg/cmであった。また、実施例1と同様にして酸素発生極触媒層を形成した。その後、実施例1と同様にしてガス拡散層を積層し、ホットプレスして膜電極接合体を得た。
各実施例及び比較例の膜電極接合体について、それぞれの還元電極に5%トルエン・95%メチルシクロヘキサン混合溶液を流量20ccmで流通させた。また、それぞれの酸素発生用電極に0.5mol/L硫酸水溶液を流量20ccmで流通させた。そして、膜電極接合体に外部から電圧を印加し、還元電極と酸素発生用電極との間に流れる電流密度を測定した。そして、比較例1に係る膜電極接合体で得られる電流密度を基準とした場合の各実施例に係る膜電極接合体で得られる電流密度(相対電流密度)を算出した。
さらに、各実施例において、第1物質に対する第2物質の混合率(第1物質100質量%に対する第2物質の質量%)を異ならせた複数の膜電極接合体を形成した(実施例1,2における第2物質の混合率は約25%、より正確には27%)。そして、それぞれについて電流密度を測定し、さらに相対電流密度を算出した。第2物質の混合率と相対電流密度との関係を図5(A)及び図5(B)に示す。なお、還元電極側の電位は、−0.02V(vs. RHE)に設定した。
図5(A)は、第2物質として疎水化中空シリカ粒子を用いた場合における、第2物質の混合率と相対電流密度との関係を示すグラフである。図5(B)は、第2物質として疎水化メソポーラスカーボンを用いた場合における、第2物質の混合率と相対電流密度との関係を示すグラフである。図5(A)及び図5(B)に示すように、還元極触媒層に第2物質を混合することで、第2物質を混合しない場合に比べて電流密度を向上させられることが確認された。特に本実施例により、供給されるトルエンが低濃度であっても電流密度を向上させられることが示された。
<焼成温度の検討>
第1物質を調製する際の焼成温度を70,90,110,130,150,170℃に設定し、それ以外は実施例1と同様にして、複数の膜電極接合体を形成した。得られた各膜電極接合体について、上述した電流密度測定試験と同条件で電流密度を測定した。また、比較例1の膜電極接合体で得られる電流密度を基準として、各膜電極接合体の相対電流密度を算出した。なお、第1物質に用いたアイオノマーである20wt% Nafion(登録商標) DE2020CS(Du Pont社製)のガラス転移温度(Tg)は110℃であり、熱分解温度(Td)は150℃である。第1物質調製時の焼成温度と相対電流密度との関係を図6に示す。なお、還元電極側の電位は、−0.02V(vs. RHE)に設定した。
図6に示すように、第1物質を調製する際の焼成温度(T)を、Tg−20℃≦T≦Tdの範囲とすることで、第2物質を混合しない場合に比べて電流密度を向上させられることが確認された。なお、アイオノマーとしてSS700/20(旭化成イーマテリアルズ株式会社製:濃度=20%、Ew=780)を用いた場合でも、同様の傾向が見られることを発明者らは確認している。
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
10 電気化学還元装置、 100 電解セル、 102 膜電極接合体、 110 電解質膜、 120 還元電極、 122 還元極触媒層、 126 第1物質、 128 第2物質、 130 酸素発生用電極、 150a,150b セパレータ、 160 触媒担体、 162 触媒。

Claims (8)

  1. 芳香族炭化水素化合物を水素化する電気化学還元装置用の触媒層であって、
    前記触媒層は、第1物質と第2物質とを含み、
    前記第1物質は、芳香族炭化水素化合物を水素化するための触媒を含み、前記第2物質よりも親水性が高く、
    前記第2物質は、前記第1物質よりも前記芳香族炭化水素化合物に対する親和性が高いことを特徴とする触媒層。
  2. 前記第2物質は、多孔質材料で構成される請求項1に記載の触媒層。
  3. 前記多孔質材料は、メソポーラスカーボン及びメソポーラスシリカの少なくとも一方である請求項2に記載の触媒層。
  4. 前記芳香族炭化水素化合物は、トルエン及びベンゼンの少なくとも一方である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の触媒層。
  5. 前記第2物質は、前記触媒を担持していない請求項1乃至4のいずれか1項に記載の触媒層。
  6. プロトン伝導性を有する電解質膜と、
    前記電解質膜の一方の側に配置され、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の触媒層で構成される還元電極と、
    前記電解質膜の前記一方の側とは反対側に配置され、水を酸化してプロトンを生成するための酸素発生用電極と、
    を備えることを特徴とする膜電極接合体。
  7. 請求項6に記載の膜電極接合体と、
    前記膜電極接合体を挟む一対のセパレータと、
    を備えることを特徴とする電解セル。
  8. 芳香族炭化水素化合物を水素化するための触媒とアイオノマーとを混合し、得られる混合物を、前記アイオノマーのガラス転移温度をTg、前記アイオノマーの熱分解温度をTdとした場合にTg−20℃≦T≦Tdの条件を満たす焼成温度Tで焼成することにより、所定の親水性を有する第1物質を調製する工程と、
    前記第1物質よりも前記芳香族炭化水素化合物に対する親和性の高い第2物質を用意する工程と、
    前記第1物質と前記第2物質を溶媒中で混合して、前記芳香族炭化水素化合物を水素化する電気化学還元装置用の触媒層を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする触媒層の製造方法。
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