JP2017156589A - ブレーズ型回折格子、製造方法、分光装置及び伝送装置 - Google Patents

ブレーズ型回折格子、製造方法、分光装置及び伝送装置 Download PDF

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【課題】ブレーズ型回折格子に関する新たな技術を提供する。【解決手段】リン化インジウムの単結晶材料で構成されたことを特徴とするブレーズ型回折格子を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、ブレーズ型回折格子、製造方法、分光装置及び伝送装置に関する。
位相型回折格子は、格子溝の形状をブレーズ型(鋸歯型)、正弦波型、矩形波型などにすることによって、格子の1周期内で入射光に位相差を与え、回折光の強度特性を用途に応じて選択可能にした回折格子である。ブレーズ型回折格子は、格子溝が三角形の断面形状を有する位相型回折格子である。ブレーズ型回折格子は、砥石を用いた研削加工やダイヤモンドバイトを用いた切削加工(シェービング加工)によって、三角形の断面形状を有する格子溝を順次形成して製造されている。
ブレーズ型回折格子には、高次の回折光を使用するように設計され、結晶材料からなる回折格子が存在する。この種の回折格子では、良好な光学特性を得るために、格子溝を形成するための機械加工を、脆性モードではなく、延性モードで行う必要がある。ここで、延性モードと脆性モードとの境界には、臨界切り取り厚さが存在する。臨界切り取り厚さは、結晶の滑り面の結晶方位と被加工面との関係、結晶軸と切削方向との関係、結晶軸と切削力方向(工具のすくい角及び切削方向に依存する)との関係に依存することが知られている(特許文献1参照)。特許文献1には、シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)の結晶材料において、被加工面を(1 1 1)面、切削方向を(1 1 1)面内とし、ダイヤモンドバイトを用いた超精密切削加工によって、格子溝を形成することが開示されている。なお、被加工面とは、格子溝を形成すべき面である。
特開2003−75622号公報
しかしながら、結晶材料の被加工面の結晶方位(結晶の面方位)や臨界切り取り厚さのパラメータは、安定した延性モードを得るための1つの要件である。ブレーズ型回折格子は、透過型又はイマージョン型(裏面反射型)として使用される場合、格子溝を構成する長辺及び短辺の少なくとも一方の影響を受ける。但し、ブレーズ型回折格子は、一般的に、入射光が格子溝を構成する短辺に対して垂直に入射するように用いられるため、反射型回折格子と同様に、格子溝を構成する短辺の表面粗さ(面精度)が重要となる。
リン化インジウム(InP)の結晶材料は、光学材料として用いられているが、かかる結晶材料からブレーズ型回折格子を製造する(即ち、InPの結晶材料の被加工面に格子溝を形成する)ための機械加工に関する技術については、これまで提案されていない。
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、ブレーズ型回折格子に関する新たな技術を提供することを例示的目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一側面としてのブレーズ型回折格子は、リン化インジウムの単結晶材料で構成されたことを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、例えば、ブレーズ型回折格子に関する新たな技術を提供することができる。
本発明の一側面としてのブレーズ型回折格子の構成を示す概略断面図である。 図1に示すブレーズ型回折格子を製造するための加工装置の構成を示す概略斜視図である。 図2に示す加工装置において、被加工物及びダイヤモンドバイトを示す概略断面図である。 本発明の一側面としてのブレーズ型回折格子を製造する製造方法を説明するためのフローチャートである。 図4に示す製造方法の各工程における被加工物を示す概略断面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一側面としてのブレーズ型回折格子(エシェル型回折格子)1の構成を示す概略断面図である。ブレーズ型回折格子1は、リン化インジウム(InP)の単結晶材料で構成されている。ブレーズ型回折格子1は、入射光を回折するための複数の格子溝11がブレーズ型(鋸歯型)である回折格子であって、特定の次数及び波長に対して高い回折効率を有する。ブレーズ型回折格子1において、複数の格子溝11のそれぞれは、入射光が最も多く入射するブレーズ面と、かかるブレーズ面に隣接するカウンタ面とを含む。本実施形態では、ブレーズ型回折格子1は、図1に示すように、イマージョン型回折格子(裏面反射型回折格子)である。但し、ブレーズ型回折格子1は、表面で反射する反射型回折格子として構成されてもよい。
格子溝11は、2つの面によって形成され、三角形の断面形状を有する。具体的には、格子溝11は、ブレーズ方向BD及びブレーズ方向BDに垂直な格子法線(Grating Normal)GNを含む断面において、短辺12(を含む面13)と長辺14(を含む面15)とで構成される非対称の三角形の形状を有している。短辺12及び長辺14のそれぞれは、図1の紙面に垂直な方向に延びている。
頂角θは、短辺12と長辺14とのなす角(即ち、短辺12を含む面13及び長辺14を含む面15の2つの面のなす角)であって、本実施形態では、90度である。頂角θは、後述するダイヤモンドバイト22の開き角とほぼ等しい。ブレーズ型回折格子1において、格子溝11を構成する2つの面13及び15のうちの一方の面は、ブレーズ面である。本実施形態では、短辺12を含む面13がブレーズ面として機能し、長辺14を含む面15がカウンタ面として機能する。ブレーズ型回折格子1では、上述したように、ブレーズ面(短辺12を含む面13)とカウンタ面(長辺14を含む面15)とは、互いに直交している(頂角θ=90度)。但し、ブレーズ型回折格子1を反射型回折格子として構成する場合には、長辺14を含む面15がブレーズ面として機能し、短辺12を含む面13がカウンタ面として機能することもある。また、ブレーズ方向BD及びブレーズ方向BDに垂直な格子法線GNを含む断面において、格子溝11が三角形の形状を有するのは一例であって、他の形状(多角形形状)を有していてもよい。
後述するように、ブレーズ型回折格子1は、格子溝11を構成する2つの面13及び15のうちの少なくとも一方の面がInPの単結晶材料の結晶方位の(1 0 0)面となるように製造される。本実施形態では、2つの面13及び15がInPの単結晶材料の結晶方位の(1 0 0)面になるように、格子溝11を形成する。
ブレーズ型回折格子1は、一般的に、図1に示すように、入射光Lを多く回折(分割)するために、短辺12を含む面13に対して入射光Lが正対するように配置される。従って、ブレーズ型回折格子1の回折効率は、短辺12を含む面13の表面粗さ(面精度)に依存するため、短辺12を含む面13を高精度に加工することが求められる。
図2は、ブレーズ型回折格子1を製造するための加工装置20の構成を示す概略斜視図である。図2では、互いに直交する3軸方向に、X軸、Y軸及びZ軸を定義している。加工装置20は、InPの単結晶材料からなる被加工物(ワーク)Wに複数の格子溝11を形成してブレーズ型回折格子1を製造する製造装置である。
InPの結晶材料は、1μmから6μm程度の波長を有する赤外光を実用的な透過率で透過し、赤外光の分光用の光学素子として好適である。大型の結晶材料として比較的入手が容易なCVD(Chemical Vapor Deposition)方式で得られる結晶材料は、一般的に、多結晶材料である。但し、多結晶材料は、結晶方位が完全に均一ではなく、結晶軸に依存する加工特性を安定して得ることが難しいため、良好な光学面を得ることが難しい。そこで、本実施形態では、InPの結晶材料として、単結晶材料を用いる。実際には、不純物などによって完全な単結晶材料を得ることは難しいが、ここでは、「結晶方位」は、「結晶支配性」を意味するものとし、結晶方位の全てについて完全に方位が揃った状態に限定するものではない。
加工装置20は、数十nmオーダーで切り込みの数値制御(NC(Numerical Control))が可能な超精密切削加工機である。加工装置20は、先端(切削刃)が鋭利であって、高精度な加工転写性が得られるダイヤモンドバイト22を工具として用いる。加工装置20は、ダイヤモンドバイト22(切削刃)を移動させて被加工物Wの被加工面(表面)を切削するシェーパー(鉋削り)方式によって、被加工物Wの被加工面に複数の格子溝11を形成する。このように、加工装置20は、ダイヤモンドバイト22を用いた切削加工によって、三角形の断面形状を有する格子溝11を順次形成することでブレーズ型回折格子1を製造する。ここで、切削加工とは、大きな外力をかけずに被加工面を切り削る加工方法であって、大きな外力によって被加工面を変形させて加工する塑性加工や高速回転する砥石によって被加工面を除去する研削加工とは異なる。
加工装置20は、筐体21と、ダイヤモンドバイト22と、Xステージ23と、Yステージ24と、Zステージ25とを有する。筐体21は、外部振動に対して強く、高剛性を有する。筐体21は、X軸方向に移動可能なXステージ23及びY軸方向に移動可能なYステージ24で構成されるXYステージSTを収容する。XYステージSTは、例えば、後述する冶具26を介して、被加工物W、即ち、InPの単結晶材料を保持する。ダイヤモンドバイト22は、Z軸方向に移動可能なZステージ25に保持されている。Zステージ25は、本実施形態では、ダイヤモンドバイト22を回転させる機能を有していないが、ダイヤモンドバイト22を回転させる機能を有していてもよい。
図3は、冶具26を介してXYステージSTに保持された被加工物Wと、ダイヤモンドバイト22とを示す概略断面図である。図3において、Mは、ダイヤモンドバイト22を被加工面Wに対して相対的に移動させるバイト送り方向Tと平行なブレーズ方向BDに平行なバイト送り平面を示している。
ダイヤモンドバイト22は、図3に示すように、三角形の断面形状を有する格子溝11を形成(転写)するための少なくとも2つの稜線切れ刃22a及び22bを含む。稜線切れ刃22a及び22b(ダイヤモンドバイト22の先端部)がなす角、即ち、ダイヤモンドバイト22の開き角θ1は、格子溝11の頂角θとほぼ等しく、本実施形態では、90度である。稜線切れ刃22a及び22bは、その丸みを極力少なくし、稜線の直線精度が非常に高くなるように構成されている。これにより、ブレーズ型回折格子1を製造する際に、格子溝11の壁面精度を高精度に維持することができる。
本実施形態では、ダイヤモンドバイト22と被加工物Wの被加工面とが対向する位置において、Z軸方向への切り込み量が、例えば、0.2μmとなるように、ダイヤモンドバイト22を被加工物側に下降させる。そして、かかる状態でX軸方向又はY軸方向に直線的又は曲線的にXYステージSTを移動させる。ダイヤモンドバイト22と被加工物Wとの相対移動によって切削速度が得られ、稜線切れ刃22a及び22bで被加工物Wの被加工面を切削加工する。
加工装置20による機械加工において、移動対象は、ダイヤモンドバイト22でもよいし、被加工物W、即ち、被加工物Wを保持するXYステージSTでもよい。また、ダイヤモンドバイト22への過負荷を回避するために、Z軸方向への必要な切り込み量を分割し、分割した切り込み量だけを形成する工程を複数回繰り返してもよい。被加工物Wの被加工面に格子溝11を形成するための加工においては、ダイヤモンドバイト22のバイトすくい面の裏側から噴射させて加工熱を除去するとともに、切り屑を潤滑に流すとよい。
以下、図4及び図5を参照して、加工装置20を用いてブレーズ型回折格子1を製造する製造方法について説明する。図4は、ブレーズ型回折格子1を製造する製造方法を説明するためのフローチャートである。図5(a)乃至図5(d)は、図4に示す製造方法の各工程における被加工物Wを示す概略断面図である。
S110では、InPの単結晶材料からなる被加工物Wを取得する。例えば、結晶成長装置などで製造されたInPの単結晶材料からなる被加工物Wを、円筒形状、立方体形状、或いは、直方体形状などの適当な形状で取得する。本実施形態では、図5(a)に示すように、上面(上側端面)及び左側端面の両方がInPの単結晶材料の結晶方位の(1 0 0)面、側面がInPの単結晶材料の結晶方位の(1 0 0)面と等価となる直方体形状の被加工物Wを取得する。
S120では、S110で取得した被加工物Wを切削する。本実施形態では、被加工物Wを、図5(b)に示すように、点線Dに沿って切削する。被加工物Wの上面に対する点線Dの傾斜角度は、例示的に、20度とする。S120における被加工物Wに対する切削加工では、加工装置20ではなく、加工装置20よりも精度の低い加工装置を用いてもよい。
S130では、S120で切削した被加工物Wを研磨する。本実施形態では、図5(c)に示すように、被加工物Wの切削面Cを研磨装置Pによって研磨する。加工装置20で用いる冶具26を介して、被加工物Wを研磨装置Pに設置してもよい。なお、切削面Cは、被加工物Wを点線Dに沿って切削することで形成された面である。
S140では、S130で研磨した被加工物WをXYステージSTに載置する。本実施形態では、図5(d)に示すように、被加工物Wを、その被加工面C’がダイヤモンドバイト22と対向するように、冶具26を介してXYステージSTに載置する。冶具26は、被加工物Wを載置する載置面がXYステージST(詳細には、Yステージ24の表面)に対して20度傾斜している。従って、被加工物Wを冶具26を介してXYステージSTに載置することで、被加工面C’がYステージ24の表面と平行になる。なお、被加工面C’は、被加工物Wの切削面Cを研磨することで得られた面である。
このように、加工装置20におけるバイト送り平面Mに対して、20度傾斜するように被加工物Wを冶具26を介してXYステージSTに載置する。そして、ダイヤモンドバイト22が格子溝11を形成する被加工面C’、即ち、バイト送り平面Mの単結晶材料の結晶方位が(tanθ 1 0)になるように、被加工物Wを配置する。ここで、θは、冶具26の傾斜角であって、上述したように、20度である。本実施形態では、工具であるダイヤモンドバイト22を格子溝面の分散直交方向(溝方向)に並進させて、三角形の断面形状を有する格子溝11を形成(転写)するシェーパー方式を採用している。
S150では、S140でXYステージSTに載置された被加工物Wの被加工面C’に複数の格子溝11を形成する。本実施形態では、ブレーズ型回折格子1を製造する際に、格子溝11を構成する短辺12を含む面13が(1 0 0)面となるようにInPの単結晶材料の結晶方位を設定(選択)し、臨界切り取り厚さ以下で切削加工を行う。換言すれば、InPの単結晶材料の結晶方位の(1 0 0)面と等価な面に垂直な方向に沿って被加工面を削り取る切削加工を行う。これにより、短辺12を含む面13が(1 0 0)面以外の面である場合と比較して、脆性破壊を最小限に留めた非常に良好な切削加工を行うことができる。従って、短辺12を含む面13の面精度が高く、高品位なブレーズ型回折格子1を得ることができる。また、本実施形態では、頂角θを90度としているため、格子溝11を構成する短辺12を含む面13及び長辺14を含む面15の両方を、InPの単結晶材料の結晶方位の(1 0 0)面で構成することができる。格子溝11を構成する2つの面13及び15の表面粗さを小さく抑えることで、回折効率の向上や迷光の減少などの点で有利なブレーズ型回折格子1を得ることができる。
本実施形態では、図1や図3に示すように、格子溝11を構成する短辺12を含む面13及び長辺14を含む面15がInPの単結晶材料の結晶方位の(1 0 0)面になるように、ブレーズ型回折格子1を製造している。また、Z軸方向への仕上げ時の切り込み量を0.1μm以下にすることによって、表面粗さ10nm以下の良好な光学面を得ることができる。
一方、本実施形態の比較例として、InPの単結晶材料の結晶方位を適切に設定(選択)せずに、例えば、短辺12を含む面13をInPの単結晶材料の結晶方位の(1 1 1)面とする場合を考える。この場合、Z軸方向への仕上げ時の切り込み量を0.2μm以下としても、表面粗さが10nmを超え、面精度が著しく低下してしまう。
また、ブレーズ型回折格子1を反射型回折格子として用いる場合、入射光Lは、ブレーズ方向BDに垂直な格子方向GNから所定角度傾いた方向からブレーズ型回折格子1に入射することになる。そのため、格子溝11を構成する短辺12を含む面13及び長辺14を含む面15の影響を受ける。このような場合には、短辺12を含む面13及び長辺14を含む面15の少なくとも一方がInPの単結晶材料の結晶方位の(1 0 0)面となるようにすればよい。上述したように、頂角θが90度であれば、短辺12を含む面13及び長辺14を含む面15の両方を、InPの単結晶材料の結晶方位の(1 0 0)面にすることができる。また、本実施形態では、ダイヤモンドバイト22を用いて切削加工を行う例について説明した。但し、他の工具を用いた切削加工であっても、InPの単結晶材料の結晶方位の(1 0 0)面を被加工面としているため、その他の結晶方位の面を加工するよりも表面粗さを小さく抑えることができる。
本実施形態のブレーズ型回折格子1は、光源装置、分光装置、伝送装置などの光学装置に適用することで、優れた光学特性を有する光学装置を実現することができる。光源装置は、例えば、光(例えば、レーザー光)を射出する光源と、光源からの光を回折させるブレーズ型回折格子1とを有し、ブレーズ型回折格子1で回折された光を供給する機能を実現する。分光装置は、ブレーズ型回折格子1と、ブレーズ型回折格子1で回折された光を受光する受光素子とを有し、入射光を分光する機能を実現する。また、伝送装置は、ブレーズ型回折格子1を有し、入射光を伝送する機能を実現する。
長距離の高速通信においては、光ファイバーが広く用いられている。光ファイバーは、一般的に、石英(SiO)で構成されているため、光の伝送時の屈折率による信号変化が最小となる波長として、約1.5μmの波長が用いられる。InPの単結晶材料で構成されたブレーズ型回折格子1は、1.5μmの波長帯において、シリコン(Si)と同じレベルの大きな屈折率を有している。
一方、Siに対しては、機械加工による回折格子の製造が困難であり、化学的な加工法であるエッチングが用いられている。しかしながら、エッチングでは、特定の角度(Siでは、約71度)の断面形状を有する回折溝しか形成することができないため、光学的に理想的な効率及び特性を得ることが難しい。
従って、InPの単結晶材料で構成されたブレーズ型回折格子1は、光学的に理想的で高い効率、及び、単位サイズ当たりの高い分散能力を有する回折格子であるため、多くの波長を効率的に分離することが可能であり、伝送装置などで有用なデバイスとなる。
InPの結晶材料は、高い屈折率(約3.4)を有する半導体材料であり、大きなバンドギャップ(1.29)を有している。InPの結晶材料は、より大きなバンドギャップ(3.6)を有する硫化亜鉛(ZnS)のように、可視光を透過させることはできない。但し、InPの結晶材料は、近赤外分光や通信分野で非常に重要な1.5μm付近の波長の光を透過させる材料としては、ZnSの屈折率(2.2)と比較して、イマージョンモードでの分光性能が約1.5倍優れている。ここで、分光性能とは、分散(同じ波長差では大きな角度で分離する)能力である。InPの結晶材料で構成されたイマージョン型回折格子は、通常の回折格子の3.4倍の分光性能を有するため、同じ波長を分離するためには1/3.4倍の小型化、或いは、同じサイズでは3.4倍の分光性能を実現することができる。例えば、通信波長帯1.5μmにおいて、5万色を分離するために必要となるInPの結晶材料で構成された回折格子のサイズは、理論上で約23mm(ブレーズ角を75度とする場合)であり、実用上でも50mm程度で十分である。一方、一般的な回折格子では、理論上で約78mm(ブレーズ角を75度とする場合)、実用上で約170mmのサイズが必要となる。また、本実施形態で実現される格子溝の幾何学形状によって、透過率や屈折率で近い特性を有するSiよりも効率を相対的に高くすることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
1:ブレーズ型回折格子 11:格子溝 12:短辺 13:面 14:長辺 15:面

Claims (12)

  1. リン化インジウムの単結晶材料で構成されたことを特徴とするブレーズ型回折格子。
  2. 前記ブレーズ型回折格子は、入射光を回折するための複数の格子溝を含み、
    前記格子溝を構成する2つの面のうちの少なくとも一方の面は、前記単結晶材料の結晶方位の(1 0 0)面であることを特徴とする請求項1に記載のブレーズ型回折格子。
  3. 前記格子溝を構成する2つの面は、前記単結晶材料の結晶方位の(1 0 0)面で構成されていることを特徴とする請求項2に記載のブレーズ型回折格子。
  4. 前記2つの面のうちの一方の面は、ブレーズ面であり、
    前記ブレーズ面は、前記単結晶材料の結晶方位の(1 0 0)面であることを特徴とする請求項2に記載のブレーズ型回折格子。
  5. 前記格子溝は、三角形の断面形状を有し、
    前記ブレーズ面は、前記三角形の断面形状の短辺を含む面であることを特徴とする請求項4に記載のブレーズ型回折格子。
  6. 前記三角形の断面形状の長辺を含む面は、前記単結晶材料の結晶方位の(1 0 0)面であることを特徴とする請求項5に記載のブレーズ型回折格子。
  7. 前記2つの面のなす角は、90度であることを特徴とする請求項2乃至6のうちいずれか1項に記載のブレーズ型回折格子。
  8. 前記ブレーズ型回折格子は、イマージョン型回折格子を含むことを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載のブレーズ型回折格子。
  9. ブレーズ型回折格子を製造する製造方法であって、
    リン化インジウムの単結晶材料の被加工面に対して、前記単結晶材料の結晶方位の(1 0 0)面に垂直な方向に沿って前記被加工面を削り取る切削加工によって、入射光を回折するための複数の格子溝を形成する工程を有し、
    前記格子溝を形成する2つの面のうちの少なくとも一方の面は、前記単結晶材料の結晶方位の(1 0 0)面であることを特徴とする製造方法。
  10. 前記切削加工では、ダイヤモンドバイトを用いることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
  11. 入射光を分光する分光装置であって、
    請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載のブレーズ型回折格子を有することを特徴とする分光装置。
  12. 入射光を伝送する伝送装置であって、
    請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載のブレーズ型回折格子を有することを特徴とする伝送装置。
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