JP2017156395A - テラヘルツ波発生装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】テラヘルツ波を高効率で発生させることが可能なテラヘルツ波発生装置及びその製造方法を提供する。【解決手段】第1光導波路コア30と、第1光導波路コア上にクラッド層40を介して形成された第2光導波路コア50とを備えて構成される。第2光導波路コアは、励起光及び信号光が入力され、励起光及び信号光に基づいてテラヘルツ波を発生させる。第1光導波路コアは、第2光導波路コアよりもテラヘルツ波に対する吸収係数が小さく設定されている。そして、第1光導波路コアは、第2光導波路コアで発生したテラヘルツ波を伝播させる。【選択図】図1

Description

この発明は、テラヘルツ波を発生させる装置及びその製造方法に関する。
電波天文学、電子分光、材料科学、セキュリティ、情報通信又は食品検査等の幅広い分野において、テラヘルツ波の利用が期待されている。テラヘルツ波は、電波と光波の間の例えば0.1〜10THzの周波数帯の電磁波である。
テラヘルツ波の発生方法として、量子カスケードレーザ、フォトミキシング若しくはフェムト秒レーザを用いた光スイッチ又は光整流を用いる方法がある。
また、非線形光学結晶を用いた、非線形光学効果によってテラヘルツ波を発生させる方法もある。
例えば、励起光を含む周波数の異なる2種類の光を、非線形光学結晶にコリニアに入力し、差周波発生過程によってテラヘルツ波を発生させる装置がある(例えば特許文献1参照)。また、非線形光学結晶で構成された光導波路に光を入力し、超短パルス光源による光整流によってテラヘルツ波を発生させる装置がある(例えば特許文献2参照)。また、励起光を含む周波数の異なる2種類の光を、非線形光学結晶からなる発振基板にノンコリニアに入力し、差周波発生過程によってテラヘルツ波を発生させる装置がある(例えば特許文献3参照)。
ここで、非線形光学結晶として用いられる例えばニオブ酸リチウム(LiNbO)は、テラヘルツ波に対する吸収が大きい。そのため、非線形光学結晶において、テラヘルツ波を長距離伝播させることは困難である。そこで、特許文献1に係る装置では、発生したテラヘルツ波を、チェレンコフ放射によって非線形光学結晶表面から放射させる。また、特許文献2に係る装置では、発生したテラヘルツ波を、プリズムを用いて非線形光学結晶表面から放射させる。また、特許文献3に係る装置では、カットオフ条件を満たすように発振基板の厚さを薄くすることによって、発生したテラヘルツ波を発振基板表面から放射させる。
ところで、光通信の分野には、非線形光学効果を利用した波長変換素子がある。このような波長変換素子を光導波路素子において実現する際には、非線形光学結晶として例えばLiNbOを光導波路の材料として用いることができる。非線形光学効果に基づく波長変換の手法としては、疑似位相整合(QPM:Quasi−Phase Matching)がある。このQPMを、LiNbOを材料とする光導波路において実現させた波長変換素子として、QPM型波長変換素子がある。QPM型波長変換素子は、光導波路に周期的分極反転構造を作り込んで構成される。
QPM型波長変換素子では、位相整合条件を満たすように分極反転構造の周期を設計することによって、任意の波長の光に対して波長変換を行うことができる。そして、QPM型波長変換素子では、光が相互作用する長さ(相互作用長)を大きくとる、すなわち光を長距離伝播させることによって、より大きな非線形光学効果を得ることができる。
テラヘルツ波の発生に、上述のQPM型波長変換素子を利用することが考えられる。この場合、差周波発生過程で相互作用する光を、QPM型波長変換素子内で長距離伝播させることで、高効率にテラヘルツ波を発生させられると考えられる。
特開2010−204488号公報 特開2011−203718号公報 特開2015−118392号公報
しかしながら、上述したように、非線形光学結晶として用いられるLiNbOは、テラヘルツ波に対する吸収が大きい。そのため、特許文献1〜3の装置では、テラヘルツ波を長距離伝播させることができず、相互作用長を大きくとることができない。従って、テラヘルツ波を効率良く発生させることが困難と考えられる。
さらに、この吸収の問題により、特許文献1〜3の装置では、テラヘルツ波を非線形光学結晶表面から放射させることによって出力する。そのため、出力されるテラヘルツ波のモードフィールドが安定しない。従って、集光して分光計測等に利用することが困難である。
また、QPM型波長変換素子を利用する場合にも、上述した吸収の問題により、長距離伝播させることが困難である。そのため、特許文献1〜3の装置と同様に、テラヘルツ波を効率良く発生させることが困難と考えられる。
そこで、この発明の目的は、テラヘルツ波を高効率で発生させることが可能なテラヘルツ波発生装置及びその製造方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、この発明によるテラヘルツ波発生装置は、第1光導波路コアと、第1光導波路コア上にクラッド層を介して形成された第2光導波路コアとを備えて構成される。第2光導波路コアは、励起光及び信号光が入力され、励起光及び信号光に基づいてテラヘルツ波を発生させる。第1光導波路コアは、第2光導波路コアよりもテラヘルツ波に対する吸収係数が小さく設定されている。そして、第1光導波路コアは、第2光導波路コアで発生したテラヘルツ波を伝播させる。
また、この発明によるテラヘルツ波発生装置の製造方法は、まず、第1基板、接着剤層及び第2基板がこの順に積層された積層体を用意する。第1基板は、第2基板よりもテラヘルツ波に対する吸収係数が小さく設定されている。次に、第2基板をパターニングすることによって第2光導波路コアを形成する。また、第1基板をパターニングすることによって、第2光導波路コアの下側に第1光導波路コアを形成する。また、接着剤層の、第1光導波路コア及び第2光導波路コアに挟まれた部分としてクラッド層を形成する。
この発明のテラヘルツ波発生装置では、第2光導波路コアで発生したテラヘルツ波が、吸収係数の小さい第1光導波路コアを主に伝播する。そのため、この発明のテラヘルツ波発生装置では、第2光導波路コアに、吸収係数の大きい材料を用いたとしても、テラヘルツ波の吸収が抑えられる。一方で、第2光導波路コアにおいて、信号光及び励起光のパワー密度が大きくなるように設計することで、第2光導波路コアの長さに渡って、テラヘルツ波を高効率で発生させることができる。よって、この発明のテラヘルツ波発生装置では、高効率に発生したテラヘルツ波を、吸収による損失を抑制して出力させることができる。従って、装置全体としてテラヘルツ波を高効率で発生させることができる。
(A)及び(B)は、この発明のテラヘルツ波発生装置を示す概略図である。 (A)及び(B)は、この発明のテラヘルツ波発生装置の製造方法を説明するための工程図である。 (A)及び(B)は、この発明のテラヘルツ波発生装置の製造方法を説明するための工程図である。
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
(構成)
図1を参照して、この発明の実施の形態によるテラヘルツ波発生装置について説明する。図1(A)は、テラヘルツ波発生装置を示す概略的斜視図である。図1(B)は、図1(A)に示すテラヘルツ波発生装置をI−I線で切り取った概略的端面図である。
なお、図1において、光の概略的な伝搬方向を矢印Rで示す。また、以下の説明では、支持基板の厚さに沿った方向を厚さ方向とする。また、光の伝播方向に沿った方向を長さ方向とする。また、長さ方向及び厚さ方向に直交する方向を幅方向とする。
テラヘルツ波発生装置100は、例えば光通信において、信号光をテラヘルツ波に変換する装置として使用することができる。ここでは、一例として、受動型光加入者ネットワーク(PON:Passive Optical Network)で一般的に使用される1.3〜1.6μm付近の波長帯の信号光に基づいて、3THz付近のテラヘルツ波を発生させる場合の構成例について説明する。
テラヘルツ波発生装置100は、支持基板10、接着剤層20、第1光導波路コア30、クラッド層40、及び第2光導波路コア50を備えて構成されている。ここでは、第2光導波路コア50の一端を入力端55として使用する。また、第1光導波路コア30の、入力端55とは反対側の一端を出力端35として使用する。そして、第2光導波路コア50の入力端55には、外部から信号光と励起光とが並列に入力される。第2光導波路コア50では、信号光及び励起光に基づく差周波発生過程によってテラヘルツ波が発生する。テラヘルツ波は、第1光導波路コア30を主に伝播し、出力端35から出力される。
支持基板10は、第1光導波路コア30よりも屈折率の小さい、例えば平板状のガラス基板で構成されている。その結果、支持基板10がクラッドとして作用する。
接着剤層20は、支持基板10上に、支持基板10の上面10aを被覆して形成されている。接着剤層20は、例えばエポキシ系接着剤又はアクリル系接着剤等の光学接着剤によって形成されている。また、接着剤層20は、少なくとも第1光導波路コア30の直下の領域において形成される。その結果、第1光導波路コア30と支持基板10が接合される。なお、支持基板10がクラッドとして作用するため、第1光導波路コア30と支持基板10の接合において、接着剤層20を形成せずに直接接合により接合してもよい。
第1光導波路コア30は、接着剤層20の上面20aに形成されている。第1光導波路コア30は、テラヘルツ波を伝播可能な屈折率を有し、かつテラヘルツ波に対する吸収係数が第2光導波路コアよりも小さい、例えば高抵抗シリコンによって形成されている。高抵抗シリコンの抵抗は、例えば1kΩ・cm以上、好ましくは20kΩ・cm以上であるものを用いることができる。
また、第1光導波路コア30の幅及び厚さの寸法は、テラヘルツ波の波長をλ1、及びテラヘルツ波に対する第1光導波路コア30の屈折率をN1として、それぞれ小さくともλ1/N1程度に設計するのが好ましい。その結果、モードフィールドの広がりに対応し、テラヘルツ波を第1光導波路コア30内に十分に閉じ込めて伝播させることができる。ここでは、3THz付近のテラヘルツ波を伝播させるため、第1光導波路コア30の幅及び厚さを、それぞれ10〜100μm程度の範囲内とすることができる。
クラッド層40は、第1光導波路コア30の上面30aに形成されている。クラッド層40は、第2光導波路コア50よりも屈折率の小さい、例えばエポキシ系接着剤又はアクリル系接着剤等の光学接着剤によって形成されている。また、クラッド層40は、少なくとも第2光導波路コア50の直下の領域において、1〜5μm程度の範囲内の厚さで形成するのが好ましい。その結果、第2光導波路コア50を伝播する信号光及び励起光が第1光導波路コア30に漏れるのを防ぐことができる。
第2光導波路コア50は、クラッド層40の上面40aに形成されている。第2光導波路コア50は、例えばニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、チタニルリン酸カリウム(KTiOPO)又はニオブ酸カリウム(KNbO)等の強誘電体結晶によって形成されている。これら強誘電体結晶には、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、スカンジウム(Sc)又はインジウム(In)等を一又は複数種類添加することもできる。
第2光導波路コア50には、自発分極の向きが互いに反転した第1ドメイン領域51と第2ドメイン領域53とが、光の伝播方向Rに沿って交互に周期的に作り込まれている。すなわち、第2光導波路コア50は、周期的分極反転構造を有している。なお、第1ドメイン領域51と第2ドメイン領域53との境界面は、光の伝播方向Rに対して直交するように設計される。ここでは、第2光導波路コア50として、周期的分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN:Periodically−Poled LiNbO)を用いる場合について説明する。
周期的分極反転構造の周期Λは、第2光導波路コア50に入力される信号光及び励起光、並びに第2光導波路コア50で発生させるテラヘルツ波に対して、疑似位相整合(QPM)条件を満たすように設定される。そして、信号光及び励起光に基づく差周波発生過程によってテラヘルツ波を発生させるQPM条件として、下式(1)を満たすように周期Λが設定される。なお、テラヘルツ波の波長をλ1、テラヘルツ波に対する第2光導波路コア50、クラッド層40及び第1光導波路コア30を含む構造全体における実効屈折率をN1、信号光の波長をλ2、信号光に対する第2光導波路コア50を導波するモードの実効屈折率をN2、励起光の波長をλ3、及び励起光に対する第2光導波路コア50を導波するモードの実効屈折率をN3とする。
Λ=1/(N1/λ1−N3/λ3+N2/λ2) ・・・(1)
また、第2光導波路コア50の幅及び厚さの寸法は、相互作用する信号光及び励起光のパワー密度を向上させるために小さく設計するのが好ましい。一方で、微細加工に係る製造上の困難性や、信号光及び励起光入力時における散乱抑制等の観点から、一定の大きさが必要である。さらに、伝播する光のモードフィールドの安定性の観点から、幅及び厚さの寸法を揃えるのが好ましい。これらに鑑み、第2光導波路コア50の幅及び厚さをそれぞれ3〜10μm程度の範囲内、好ましくは7〜8μm程度の範囲内とすることができる。
なお、第2光導波路コア50の幅については、第1光導波路コア30と合わせることもできる。従って、第1光導波路コア30の幅を100μm程度とした場合には、第2光導波路コア50の幅も100μm程度とすることができる。この場合には、パワー密度が小さくなる反面、製造が容易となる。ただし、パワー密度が小さくなったとしても、第2光導波路コア50の長さを大きくとることで、相互作用長を大きくできるため、全体として一定のテラヘルツ波の発生効率を確保することもできる。
以上に説明したテラヘルツ波発生装置100では、第2光導波路コア50で発生したテラヘルツ波が、テラヘルツ波を伝播させるのに最適化された第1光導波路コア30を主に伝播する。
ここで、テラヘルツ波は、長波長であるためモードフィールドが大きい。そのため、第2光導波路コア50で発生したテラヘルツ波が第1光導波路コア30に移行するというよりは、第2光導波路コア50で発生したテラヘルツ波のモードフィールドが第1光導波路コア30まで広がると考えるのが適当である。
そして、テラヘルツ波の吸収による損失は、テラヘルツ波のモードフィールドと、光導波路コアの吸収係数の分布との重なり積分に依存する。テラヘルツ波は、吸収係数の大きい第2光導波路コア50においては吸収されるが、吸収係数の小さい第1光導波路コア30を主に伝播させることができる。テラヘルツ波発生装置100では、第2光導波路コア50における重なり積分が小さくなるため、テラヘルツ波の吸収が抑えられる。
なお、差周波発生過程におけるテラヘルツ波の発生効率は、励起光、信号光及びテラヘルツ波の重なり積分に依存する。テラヘルツ波発生装置100では、励起光及び信号光が第2光導波路コア50に閉じ込められて伝播するのに対し、テラヘルツ波は第1光導波路コア30を主に伝播する。従って、これら3波の重なり積分は小さくなる。しかし、上述したように、第2光導波路コア50の幅及び厚さを小さく設計することで、信号光及び励起光のパワー密度を向上させることができる。その結果、テラヘルツ波の発生効率を向上させることができる。
さらに、テラヘルツ波発生装置100では、テラヘルツ波を第1光導波路コア30の端部(出力端35)から出力できるため、モードフィールドが安定した状態でテラヘルツ波を取り出すことができる。
(製造方法)
図2及び図3を参照して、上述したテラヘルツ波発生装置100の製造方法について説明する。図2(A)及び(B)並びに図3(A)及び(B)は、テラヘルツ波発生装置の製造方法を説明する工程図であり、それぞれ、各製造段階で得られた構造体の概略的斜視図である。
まず、支持基板10の上面10aに、第1接着剤層220によって第1基板230を接合する(図2(A))。
支持基板10としては、例えばガラス基板を用いることができる。また、第1基板230としては、テラヘルツ波に対する吸収係数が後述する基板250よりも小さい、例えば高抵抗シリコン基板を用いることができる。また、第1接着剤層220としては、例えば光学接着剤を用いることができる。支持基板10と第1基板230とを接合した後、研磨によって第1基板230の厚さを調整する。
なお、第1基板230の厚さ及び抵抗について、テラヘルツ波を伝播させる条件と合致するものであれば、支持基板10、第1接着剤層220及び第1基板230の積層体として、SOI(Silicon On Insulator)基板を利用することもできる。この場合には、SOI基板のBOX(Buried Oxide)層が支持基板10に対応し、SOI層が第1基板230に対応する。
次に、第1基板230の上面230aに、第2接着剤層240によって第2基板250を接合することによって、支持基板10、第1接着剤層220、第1基板230、第2接着剤層240、及び第2基板250がこの順に積層された積層体を得る(図2(B))。
第2基板250としては、例えばニオブ酸リチウム(LiNbO)等の強誘電体結晶を用いることができる。そして、第2基板250には、自発分極の向きが互いに反転した第1ドメイン領域51と第2ドメイン領域53とが交互に周期的に作り込まれている。すなわち、第2基板250には、周期的分極反転構造が作り込まれている。また、第2接着剤層240としては、例えば光学接着剤を用いることができる。第1基板230と第2基板250とを接合した後、研磨によって第2基板250の厚さを調整する。
次に、第2基板250をパターニングすることによって、第2光導波路コア50を形成する(図3(A))。
パターニングには、例えばダイシングソーを用いることができる。ダイシングソーとして、粒径の小さいダイヤモンドブレードを用いることによって、形成される第2光導波路コア50の側面を平滑化することができる。そして、上面250a側から第2基板250に切り込みを入れることによって、互いに平行な1対の第1溝260を形成する。また、第1溝260は、周期的分極反転構造の配列方向に沿って形成する。これによって、第2基板250の、第1溝260間の部分として第2光導波路コア50を形成することができる。従って、第1溝260間の離間距離として、第2光導波路コア50を設定することができる。
第1溝260は、少なくとも第2接着剤層240の上面240aに到達する深さで、より好ましくは第2接着剤層240の中途まで到達する深さで形成される。第1溝260を第2接着剤層240の中途まで到達する深さで形成することによって、第2光導波路コア50の側面を平滑化することができる。その結果、第2光導波路コア50の側面における散乱損失を抑制できる。
次に、第1基板230をパターニングすることによって、第1光導波路コア30を形成する(図3(B))。
パターニングには、第1溝260の形成と同様に、例えばダイシングソーを用いることができる。そして、上面230a側から、第2接着剤層240及び第1基板230に対して連続的に切り込みを入れることによって、互いに平行な1対の第2溝270を形成する。第2溝270は、第1溝260と平行で、かつ第1溝260よりも外側に形成される。なお、図3(B)の構成例では、第2溝270は、第1溝260と隣接して一体的に形成されている。これによって、第1基板230の、第2光導波路コア50の下側に、第2溝270間の部分として第1光導波路コア30を形成することができる。従って、第2溝270間の離間距離として、第1光導波路コア30を設定することができる。
第2溝270は、少なくとも第1接着剤層220の上面220aに到達する深さで、より好ましくは第1接着剤層220の中途まで到達する深さで形成される。第2溝270を第1接着剤層220の中途まで到達する深さで形成することによって、第1光導波路コア30の側面を平滑化することができる。その結果、第1光導波路コア30の側面における散乱損失を抑制できる。
また、第2接着剤層240の、第2溝270間の部分として、厚さ方向に第1光導波路コア30と第2光導波路コア50とに挟まれたクラッド層40が形成される。
なお、第2溝270は、第1溝260と平面的に重なる位置に形成することもできる。この場合には、第1溝260形成時に、第1基板230及び第1接着剤層220まで切り込みを入れることによって、第1溝260と第2溝270とが重なった1対の溝として形成する。また、この場合には、第1光導波路コア30及び第2光導波路コア50の幅が一致する。これによって、テラヘルツ波発生装置100が得られる。
このように、テラヘルツ波発生装置100は、材料層の積層及びパターニングの組合せによって簡易に製造することができる。
なお、第1溝260の外側に残存する第1基板230、第2接着剤層240及び第2基板250の部分(残存部分)280は、テラヘルツ波発生装置100の動作に寄与しない。そのため、この残存部分280を除去することもできる。しかし、この残存部分280を残すことによって、製造工程中又は個片化後において、テラヘルツ波発生装置100を掴む等のハンドリングが容易となる。ただし、動作時において、第2溝270の幅を、第1光導波路コア30を伝播するテラヘルツ波が残存部分280に漏洩するのを防ぐ程度に設定するのが好ましい。
(特性評価)
発明者は、上述した製造方法によって製造したテラヘルツ波発生装置100について特性評価を行った。
ここでは、接着剤層20の厚さを、第1光導波路コア30の直下の領域において2μmとした。また、第1光導波路コア30を、20kΩ・cmの高抵抗シリコンによって形成し、幅及び厚さをそれぞれ30μmとした。また、第2光導波路コア50をPPLNによって形成し、幅及び厚さをそれぞれ10μm、5μmとした。また、クラッド層40の厚さを、第2光導波路コア50の直下の領域において2μmとした。また、これら各層の長さ、すなわちテラヘルツ波発生装置100全体の素子長を50mmとした。そして、第2光導波路コア50の入力端55から、波長1568.02nmの信号光及び波長1545.07nmの励起光を入力した。
その結果、差周波発生過程による信号利得が観測された。位相整合条件から2.8THzのテラヘルツ波が発生したと考えられる。
10:支持基板
20:接着剤層
30:第1光導波路コア
40:クラッド層
50:第2光導波路コア
100:テラヘルツ波発生装置

Claims (5)

  1. 第1光導波路コアと、
    前記第1光導波路コア上にクラッド層を介して形成された第2光導波路コアと
    を備え、
    前記第2光導波路コアは、励起光及び信号光が入力され、前記励起光及び前記信号光に基づいてテラヘルツ波を発生させ、
    前記第1光導波路コアは、前記第2光導波路コアよりもテラヘルツ波に対する吸収係数が小さく、かつ前記第2光導波路コアで発生したテラヘルツ波を伝播させる
    ことを特徴とするテラヘルツ波発生装置。
  2. 前記第1光導波路コアは、高抵抗シリコンを材料として形成されており、
    前記第2光導波路コアは、強誘電体結晶を材料として形成されており、かつ周期的分極反転構造が作り込まれている
    ことを特徴とする請求項1に記載のテラヘルツ波発生装置。
  3. 前記第2光導波路コアの厚さが3〜10μmの範囲内の値であり、前記第2光導波路コアの幅が3〜100μmの範囲内の値である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のテラヘルツ波発生装置。
  4. 前記第1光導波路コアを伝播するテラヘルツ波の波長をλ、及びテラヘルツ波に対する前記第1光導波路コアの屈折率をNとして、前記第1光導波路コアの幅及び厚さがそれぞれ小さくともλ/Nである
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のテラヘルツ波発生装置。
  5. 第1基板、接着剤層及び第2基板がこの順に積層され、かつ前記第1基板は、前記第2基板よりもテラヘルツ波に対する吸収係数が小さく設定されている積層体を用意する工程と、
    前記第2基板をパターニングすることによって第2光導波路コアを形成し、前記第1基板をパターニングすることによって、前記第2光導波路コアの下側に第1光導波路コアを形成し、及び前記接着剤層の、前記第1光導波路コア及び前記第2光導波路コアに挟まれた部分としてクラッド層を形成する工程と
    を備えることを特徴とするテラヘルツ波発生装置の製造方法。
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