JP2017156169A - センサ装置 - Google Patents

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爆 坂口
剛 西尾
Takeshi Nishio
剛 西尾
祐太 岡崎
Yuta Okazaki
祐太 岡崎
基之 岳山
Motoyuki Takeyama
基之 岳山
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Abstract

【課題】簡易な構成で物体の接触を精度良く測定することができるセンサ装置を提供する。【解決手段】センサ装置2は、接地されたフレーム12を覆い、物体が接触する被接触部材14を備え、物体の接触を判定するためのセンサ装置であって、被接触部材14の内部においてフレーム12に対向する位置に配置された第1のセンサ電極18と、被接触部材14の内部においてフレーム12と第1のセンサ電極18との間に配置された第2のセンサ電極20と、第1の静電容量y1及び第2の静電容量y2を測定する測定部26と、第3の静電容量C2と第4の静電容量C3との比を表す容量比kを演算し、第1の静電容量y1、第2の静電容量y2及び容量比kに基づいて、第1のセンサ電極18と被接触部材14に接触した手16との間における第5の静電容量C1を演算する演算部28とを備える。【選択図】図4

Description

本発明は、物体の接触を判定するためのセンサ装置に関する。
車両用のステアリングホイールとして、運転者が車両の運転時にステアリングホイールのリムから手を放した際に運転者に警告する機能を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この種のステアリングホイールのリムの内部には、リング状のフレームと、フレームに対向する位置に配置されたセンサ電極とが配置されている。車両の運転時には、センサ電極とリムの表面に接触した運転者の手との間における静電容量(浮遊容量)が測定される。この測定された静電容量に基づいて、運転者がリムを手で把持しているか否かが判定される。
国際公開第2013/117719号
しかしながら、上述した従来のステアリングホイールでは、次のような課題が生じる。車両の運転時に測定される静電容量には、上述した浮遊容量だけでなく、センサ電極とフレームとの間における寄生容量も含まれる。ステアリングホイールのセンサ電極とフレームとの間の材料が有する誘電率は温度特性を有することから、寄生容量も温度変化の影響を受け易いという特性を有している。そのため、車両の運転時にステアリングホイールの温度が変動した場合には、ステアリングホイールの温度変動に伴って寄生容量が変動するようになる。その結果、車両の運転時に測定される静電容量が変動してしまい、運転者がリムを手で把持しているか否かを精度良く判定することができない。
そこで、本発明は、簡易な構成で物体の接触を精度良く測定することができるセンサ装置を提供する。
本発明の一態様に係るセンサ装置は、接地されたフレームを覆い、物体が接触する被接触部材を備え、前記物体の接触を判定するためのセンサ装置であって、前記被接触部材の内部において前記フレームに対向する位置に配置された第1のセンサ電極と、前記被接触部材の内部において前記フレームと前記第1のセンサ電極との間に配置された第2のセンサ電極と、前記第1のセンサ電極により形成される第1の静電容量及び前記第2のセンサ電極により形成される第2の静電容量を測定する測定部と、前記第1のセンサ電極と前記第2のセンサ電極との間における第3の静電容量と、前記第2のセンサ電極と前記フレームとの間における第4の静電容量との比を表す容量比を演算し、前記第1の静電容量、前記第2の静電容量及び前記容量比に基づいて、前記第1のセンサ電極と前記被接触部材に接触した前記物体との間における第5の静電容量を演算する演算部と、を備える。
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
本発明の一態様に係るセンサ装置では、簡易な構成で物体の接触を精度良く測定することができる。
実施の形態に係るセンサ装置の使用例を示す図である。 実施の形態に係るセンサ装置を抜き出して示す図である。 図2のIII−III線断面斜視図である。 図2のIV−IV線断面図である。 第1の静電容量を測定する状態での、実施の形態に係るセンサ装置の機能構成を示すブロック図である。 第2の静電容量を測定する状態での、実施の形態に係るセンサ装置の機能構成を示すブロック図である。 自動車の起動時における、実施の形態に係るセンサ装置の動作の流れを示すフローチャートである。 図6における第1の静電容量及び第2の静電容量の測定のステップを具体的に示すフローチャートである。 図6における容量比の初期化のステップを具体的に示すフローチャートである。 自動車の運転時における、実施の形態に係るセンサ装置の動作の流れを示すフローチャートである。 図9における把持判定のステップを具体的に示すフローチャートである。 第5の静電容量の経時変化を示すグラフである。
(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した技術に関し、以下の問題が生じることを見出した。
特許文献1のセンサ装置では、ステアリングホイールのリムの内部には、「背景技術」の欄で説明したフレーム及びセンサ電極に加えて、シールド電極がセンサ電極とフレームとの間に配置されている。このシールド電極でフレームを静電遮蔽することにより、センサ電極とフレームとの間に寄生容量が生じるのを抑制することができる。
しかしながら、フレームを確実に静電遮蔽するためには、シールド電極でフレーム全体を覆う必要があり、ステアリングホイールの製造上の制約が厳しくなるという問題が生じる。
このような問題を解決するために、本発明の一態様に係るセンサ装置は、接地されたフレームを覆い、物体が接触する被接触部材を備え、前記物体の接触を判定するためのセンサ装置であって、前記被接触部材の内部において前記フレームに対向する位置に配置された第1のセンサ電極と、前記被接触部材の内部において前記フレームと前記第1のセンサ電極との間に配置された第2のセンサ電極と、前記第1のセンサ電極により形成される第1の静電容量及び前記第2のセンサ電極により形成される第2の静電容量を測定する測定部と、前記第1のセンサ電極と前記第2のセンサ電極との間における第3の静電容量と、前記第2のセンサ電極と前記フレームとの間における第4の静電容量との比を表す容量比を演算し、前記第1の静電容量、前記第2の静電容量及び前記容量比に基づいて、前記第1のセンサ電極と前記被接触部材に接触した前記物体との間における第5の静電容量を演算する演算部と、を備える。
本態様によれば、第1のセンサ電極及び第2のセンサ電極を用いて測定した第1の静電容量及び第2の静電容量と、演算した容量比とに基づいて、第5の静電容量を演算する。容量比は、第3の静電容量と第4の静電容量との比であるため、センサ装置の温度変動に影響されない(すなわち、温度に依存する誘電率がキャンセルされた)値である。そのため、このような容量比を用いることにより、センサ装置の温度変動の影響が小さな第5の静電容量を演算することができる。したがって、このような第5の静電容量の変化を検出することにより、上述したシールド電極でフレーム全体を覆う必要がなく簡易な構成で、センサ装置の温度が変動した場合であっても、物体の接触を精度良く判定することができる。
例えば、前記センサ装置は、さらに、前記第5の静電容量が閾値以上である場合には、前記物体が前記被接触部材に接触していると判定し、前記第5の静電容量が前記閾値未満である場合には、前記物体が前記被接触部材に接触していないと判定する判定部を備えるように構成してもよい。
本態様によれば、第5の静電容量と閾値とを比較することにより、物体が被接触部材に接触しているか否かを判定することができる。
例えば、前記第1の静電容量は、寄生容量としての前記第3の静電容量及び前記第4の静電容量と、浮遊容量としての前記第5の静電容量との合成容量であり、前記第2の静電容量は、寄生容量としての前記第4の静電容量と、浮遊容量としての第3の静電容量及び前記第5の静電容量との合成容量であるように構成してもよい。
本態様によれば、第1の静電容量及び第2の静電容量を測定することにより、第5の静電容量を演算で求めることができる。
例えば、前記第1の静電容量をy、前記第2の静電容量をy、前記容量比をk、前記第5の静電容量をC1、前記第3の静電容量をC、前記第4の静電容量をCとしたとき、前記演算部は、下記の式1〜式3を用いて前記第5の静電容量を演算するように構成してもよい。
Figure 2017156169
Figure 2017156169
Figure 2017156169
本態様によれば、上式1〜式3を用いることにより、第5の静電容量を容易に演算することができる。
例えば、前記フレーム及び前記被接触部材は、車両用のステアリングホイールに含まれるように構成してもよい。
本態様によれば、運転者がステアリングホイールを把持しているか否かを判定することができる。
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態)
[1.センサ装置の全体構成]
まず、図1〜図4を参照しながら、実施の形態に係るセンサ装置2の全体構成について説明する。図1は、実施の形態に係るセンサ装置2の使用例を示す図である。図2は、実施の形態に係るセンサ装置2を抜き出して示す図である。図2の(a)は、運転者がリム6を手16で把持した状態での、実施の形態に係るセンサ装置2を示す図であり、図2の(b)は、運転者がリム6から手16を放した状態での、実施の形態に係るセンサ装置2を示す図である。図3は、図2のIII−III線断面斜視図である。図4は、図2のIV−IV線断面図である。
図1に示すように、実施の形態に係るセンサ装置2は、自動車4(車両の一例)の車室に搭載されている。センサ装置2は、例えば自動車4を操舵するための車両用のステアリングホイールに含まれる。
センサ装置2は、リング形状のリム6と、リム6の内周面に一体的に形成された略T字状のスポーク8と、スポーク8の中央部に配置されたホーンスイッチ(図示せず)を覆うホーンスイッチカバー10とを備えている。
図2の(b)及び図3に示すように、リム6は、金属で形成されたリング状のフレーム12と、フレーム12の全周を覆う略円筒状の被接触部材14とを有している。したがって、フレーム12及び被接触部材14は、車両用のステアリングホイールに含まれる。図4に示すように、フレーム12は、自動車4のシャーシ(図示せず)に電気的に接続されることにより、シャーシの電位であるグランド15に接地されている。被接触部材14は、運転者の手16(物体の一例)により把持(接触)される部材であり、例えば樹脂又は木材等の誘電体で形成されている。なお、被接触部材14については、樹脂の表面に、皮革又は木材等の薄板が形成される構成のものであっても、それらを全体として被接触部材14と定義する。図2の(a)に示すように、運転者は、自動車4の運転時にリム6を手16で把持するようになる。
実施の形態に係るセンサ装置2は、運転者がリム6を手16で把持しているか否か(すなわち、運転者の手16がリム6に接触しているか否か)を判定する機能を搭載している。以下、センサ装置2の当該機能に関連する構成について説明する。
図2〜図4に示すように、センサ装置2は、さらに、リム6の被接触部材14の内部に配置された(埋め込まれた)第1のセンサ電極18及び第2のセンサ電極20を備えている。第1のセンサ電極18及び第2のセンサ電極20は、静電容量方式のグリップセンサである。図2に示すように、第1のセンサ電極18及び第2のセンサ電極20は、運転者の手16により把持されるリム6の位置、例えばいわゆる9時15分から10時10分までの位置に2箇所配置されている。
図3及び図4に示すように、第1のセンサ電極18及び第2のセンサ電極20の各々は、金属で形成された略矩形状の薄板である。第1のセンサ電極18及び第2のセンサ電極20の各々の有効面積は、略同一である。第1のセンサ電極18は、フレーム12の側面に対向する位置に配置されている。第2のセンサ電極20は、フレーム12と第1のセンサ電極18との間において、第1のセンサ電極18と略平行に配置されている。
[2.センサ装置の機能構成]
次に、図4〜図5Bを参照しながら、実施の形態に係るセンサ装置2の機能構成について説明する。図5Aは、第1の静電容量yを測定する状態での、実施の形態に係るセンサ装置2の機能構成を示すブロック図である。図5Bは、第2の静電容量yを測定する状態での、実施の形態に係るセンサ装置2の機能構成を示すブロック図である。
図5A及び図5Bに示すように、センサ装置2は、第1のスイッチ22、第2のスイッチ24、測定部26、演算部28及び判定部30を備えている。
第1のスイッチ22は、測定部26からの切替信号に基づいて、第1のセンサ電極18の接続先を切り替えるための切替スイッチである。第1のスイッチ22は、a)第1のセンサ電極18が測定部26に接続された状態(図5Aに示す状態)、b)第1のセンサ電極18がグランド15に接続された状態(図5Bにおいて破線で示す状態)、及び、c)第1のセンサ電極18が測定部26及びグランド15から切断された状態(図5Bにおいて実線で示す状態)のいずれかに切り替えられる。
第2のスイッチ24は、測定部26からの切替信号に基づいて、第2のセンサ電極20の接続先を切り替えるための切替スイッチである。第2のスイッチ24は、d)第2のセンサ電極20が測定部26に接続された状態(図5Bに示す状態)、e)第2のセンサ電極20がグランド15に接続された状態(図5Aにおいて破線で示す状態)、及び、f)第2のセンサ電極20が測定部26及びグランド15から切断された状態(図5Aにおいて実線で示す状態)のいずれかに切り替えられる。
測定部26は、第1のセンサ電極18により形成される第1の静電容量yと、第2のセンサ電極20により形成される第2の静電容量yとを測定する。測定部26は、第1の静電容量yを測定する際には、図5Aに示すように、第1のセンサ電極18が測定部26に接続されるように第1のスイッチ22を切り替え、且つ、第2のセンサ電極20が測定部26及びグランド15から切断されるように第2のスイッチ24を切り替える。一方、測定部26は、第2の静電容量yを測定する際には、図5Bに示すように、第1のセンサ電極18が測定部26及びグランド15から切断されるように第1のスイッチ22を切り替え、且つ、第2のセンサ電極20が測定部26に接続されるように第2のスイッチ24を切り替える。
図4に示すように、第1の静電容量yは、寄生容量としての第3の静電容量C及び第4の静電容量Cと、浮遊容量としての第5の静電容量Cとの合成容量である。一方、第2の静電容量yは、寄生容量としての第4の静電容量Cと、浮遊容量としての第3の静電容量C及び第5の静電容量Cとの合成容量である。
ここで、第3の静電容量Cは、第1のセンサ電極18と第2のセンサ電極20との間における静電容量である。第4の静電容量Cは、第2のセンサ電極20とフレーム12との間における静電容量である。第5の静電容量Cは、第1のセンサ電極18と被接触部材14に接触した運転者の手16との間における静電容量である。第1の静電容量y及び第2の静電容量yは、次式1のようにモデル化することができる。
Figure 2017156169
なお、上式1では、第1の静電容量yは、第3の静電容量Cと第4の静電容量Cとが直列接続され、且つ、第5の静電容量Cと、第3の静電容量C及び第4の静電容量Cとが並列接続された合成容量であることを表している。また、上式1では、第2の静電容量yは、第5の静電容量Cと第3の静電容量Cとが直列接続され、且つ、第5の静電容量C及び第3の静電容量Cと、第4の静電容量Cとが並列接続された合成容量であることを表している。
演算部28は、測定部26により測定された第1の静電容量y及び第2の静電容量yに基づいて、第3の静電容量Cと第4の静電容量Cとの比を表す容量比kを演算する。具体的には、演算部28は、次式2を用いて容量比kを演算する。
Figure 2017156169
なお、上式2は、次のようにして導出される。容量比kは、運転者がリム6を手16で把持していない状態で演算されるため、上式1においてC=0とすることにより、次式1’が得られる。
Figure 2017156169
上式1’の前段の式をCについて解いた後に、上式1’の後段の式を代入して変形することにより、上式2が導出される。
演算部28は、さらに、測定部26により測定された第1の静電容量y及び第2の静電容量yと、演算した容量比kとに基づいて、第5の静電容量Cを演算する。具体的には、演算部28は、次式3を用いて第5の静電容量Cを演算する。
Figure 2017156169
なお、上式3は、次のようにして導出される。上式2を上式1に代入することにより、次式1’’が得られる。
Figure 2017156169
上式1’’をC及びCを未知数とする連立方程式と見て、Cについて解くことにより、上式3が導出される。
判定部30は、演算部28により演算された第5の静電容量Cと閾値との比較に基づいて、運転者がリム6を手16で把持しているか否かを判定する。具体的には、判定部30は、第5の静電容量Cが閾値以上である場合には、図2の(a)に示すように、運転者がリム6を手16で把持していると判定する。一方、判定部30は、第5の静電容量Cが閾値未満である場合には、図2の(b)に示すように、運転者がリム6から手16を放していると判定する。
すなわち、運転者がリム6を手16で把持している場合には、図4に示すように、第1のセンサ電極18と被接触部材14に接触した運転者の手16との間に第5の静電容量C(浮遊容量)が発生するようになる。そのため、この第5の静電容量Cの大きさを検出することによって、運転者がリム6を手16で把持しているか否かを判定することができる。
なお、上述した測定部26、演算部28及び判定部30は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はプロセッサ等で構成されており、メモリ(図示せず)に記憶されたコンピュータプログラムを読み出してそれを実行することにより各種機能を実行する。
[3.センサ装置の動作]
[3−1.自動車の起動時におけるセンサ装置の動作]
まず、図6〜図8を参照しながら、自動車4の起動時におけるセンサ装置2の動作について説明する。図6は、自動車4の起動時における、実施の形態に係るセンサ装置2の動作の流れを示すフローチャートである。図7は、図6における第1の静電容量y及び第2の静電容量yの測定のステップを具体的に示すフローチャートである。図8は、図6における容量比kの初期化のステップを具体的に示すフローチャートである。
まず、運転者は、自動車4を起動(例えば、イグニッションをオン)する(図6のS11)。その後、測定部26は、第1の静電容量y及び第2の静電容量yを測定する(S12)。なお、この測定は、運転者がリム6から手16を放した状態で行われる。
ここで、図7を参照しながら、図6のステップS12の内容について具体的に説明する。図5Aにおいて破線で示すように、測定部26は、第2のセンサ電極20がグランド15に接続されるように第2のスイッチ24を切り替える(図7のS121)。これにより、第2のセンサ電極20に蓄積された電荷は、第2のスイッチ24を介してグランド15に流れることにより、第2のセンサ電極20から除去される。その後、図5Aにおいて実線で示すように、測定部26は、第2のセンサ電極20が測定部26及びグランド15から切断されるように第2のスイッチ24を切り替える(S122)。これにより、第2のセンサ電極20の電位が浮いた状態となる。
その後、図5Aに示すように、測定部26は、第1のセンサ電極18が測定部26に接続されるように第1のスイッチ22を切り替え(S123)、第1の静電容量yを測定する(S124)。なお、ステップS124で測定される第1の静電容量yは、上式1の前段の式でC=0としたときのyである。
次に、図5Bにおいて破線で示すように、測定部26は、第1のセンサ電極18がグランド15に接続されるように第1のスイッチ22を切り替える(S125)。これにより、第1のセンサ電極18に蓄積された電荷は、第1のスイッチ22を介してグランド15に流れることにより、第1のセンサ電極18から除去される。その後、図5Bにおいて実線で示すように、測定部26は、第1のセンサ電極18が測定部26及びグランド15から切断されるように第1のスイッチ22を切り替える(S126)。これにより、第1のセンサ電極18の電位が浮いた状態となる。
その後、図5Bに示すように、測定部26は、第2のセンサ電極20が測定部26に接続されるように第2のスイッチ24を切り替え(S127)、第2の静電容量yを測定する(S128)。なお、ステップS128で測定される第2の静電容量yは、上式1の後段の式でC=0としたときのyである。
以上のようにして第1の静電容量y及び第2の静電容量yを測定した後に(図6のS12)、演算部28は、容量比kを初期化(演算)する(S13)。
ここで、図8を参照しながら、図6のステップS13の内容について具体的に説明する。演算部28は、測定部26により測定された第1の静電容量y及び第2の静電容量yに基づいて、容量比kを演算する(S131)。その後、演算部28は、演算した容量比kが想定値(すなわち、工場出荷時における容量比)の範囲内に含まれるか否かを判定する(S132)。演算部28は、演算した容量比kが想定値の範囲内に含まれると判定した場合には(S132でYES)、演算した容量比kをメモリ(図示せず)に記憶する(S133)。これにより、容量比kが初期化される。このように初期化された容量比kは、後述するように、自動車4の運転時に把持判定する際に用いられる。
一方、演算部28は、演算した容量比kが想定値の範囲内に含まれないと判定した場合には(S132でNO)、容量比kをメモリに記憶しない。この場合には、容量比kは初期化されない。なお、演算した容量比kが想定値の範囲内に含まれない場合としては、例えば、運転者がリム6を手16で把持している場合等が考えられる。したがって、より確実に容量比kを初期化するためには、自動車4の起動時に手16がリム6を把持していない状態(例えばドアロックの解錠時)で、演算部28が図6のフローチャートの処理を実行すればよい。
[3−2.自動車の運転時におけるセンサ装置の動作]
まず、図9及び図10を参照しながら、自動車4の運転時におけるセンサ装置2の動作について説明する。図9は、自動車4の運転時における、実施の形態に係るセンサ装置2の動作の流れを示すフローチャートである。図10は、運転者がリム6を手16で把持しているか否かを判定する流れを示すフローチャートである。
まず、測定部26は、上述した図6のステップS12と同様に、第1の静電容量y及び第2の静電容量yを測定する(図9のS21)。なお、この測定は、運転者がリム6を手16で把持した状態で行われる。その後、判定部30は、容量比kの初期化が完了しているか否かを判定する(S22)。
判定部30は、容量比kの初期化が完了していると判定した場合には(S22でYES)、運転者がリム6を手16で把持しているか否かを判定する(S23)。一方、判定部30が容量比kの初期化が完了していないと判定した場合には(S22でNO)、上述した図6のステップS13と同様に、容量比kの初期化を行う(S24)。なお、イグニッションをオンした時から継続して手16がリム6を把持している場合には、容量比kの初期化を行うことができなくなる。この場合には、判定部30は、容量比kの初期化が完了するまで、把持判定不可を示す信号を自動車4の制御部(図示せず)に出力する。
ここで、図10を参照しながら、図9のステップS23の内容について具体的に説明する。まず、演算部28は、測定部26により測定された第1の静電容量y及び第2の静電容量yと、演算した容量比kとに基づいて、第5の静電容量Cを演算する(図10のS231)。その後、判定部30は、第5の静電容量Cと閾値との比較を行う(S232)。判定部30は、第5の静電容量Cが閾値以上である場合には(S232でYES)、運転者がリム6を手16で把持していると判定する(S233)。一方、判定部30は、第5の静電容量Cが閾値未満である場合には(S232でNO)、運転者がリム6から手16を放していると判定する(S234)。
なお、上述したステップS21〜S24は、自動車4の運転中、所定の周波数(例えば、数十Hz程度)で繰り返し行われる。
[4.効果]
次に、図11を参照しながら、実施の形態に係るセンサ装置2により得られる効果について説明する。図11は、第5の静電容量Cの経時変化を示すグラフである。
図11に示すように、演算部28で求めた第5の静電容量Cは、手16がリム6を把持するまでの間は第1のセンサ電極18の対向電極となる手16が存在しないため、0である。手16がリム6を把持することにより、第5の静電容量Cが増大する。このとき、リム6の温度によって、被接触部材14の誘電率が変動するので、第5の静電容量Cの値も変動する。すなわち、図11の例では、リム6の温度が低温(10℃)のときには、把持による第5の静電容量Cの変動幅が小さく、リム6の温度が高温(20℃〜30℃)になるに従って、把持による第5の静電容量Cの変動幅が大きくなる。ゆえに、想定されるリム6の最低温度における、把持時の第5の静電容量Cの値よりも低い値を閾値として設定する。これにより、図11に示すように、第5の静電容量Cが温度特性を有している場合であっても、把持による第5の静電容量Cの値の変動幅の方が閾値よりも大きいので、判定部30は温度の影響を低減した高精度な把持判定が可能となる。このとき、第3の静電容量C及び第4の静電容量Cについては、把持判定に用いられないので、これらの温度による変動の影響も受けない。
手16がリム6を把持すると、リム6の温度が手16の体温に至るまで、第5の静電容量Cの値は徐々に大きくなる。この間の温度上昇は、第5の静電容量Cの値が閾値よりも大きい範囲で発生するので、温度上昇による把持判定への影響はほとんど発生しない。リム6の温度が手16の体温に至ると、手16がリム6を把持している限りリム6の温度は、ほぼ体温と等しくなり、その温度を維持する。ゆえに、第5の静電容量Cの値も略一定となる。
手16がリム6を放すと、第1のセンサ電極18の対向電極が存在しなくなるので、第5の静電容量Cは0に戻る。従って、第5の静電容量Cが閾値以下となるので、判定部30は手放しを判定する。このとき、手放しによる第5の静電容量Cの変動幅は温度による変動幅よりも大きいので、判定部30は高精度に手放しを判定することができる。
これらのことから、第1の静電容量yから第5の静電容量Cのみを分離して、第5の静電容量Cの変化を検出することにより、リム6の温度が変動した場合であっても、運転者がリム6を手16で把持しているか否かを精度良く判定することができる。
上述したように、実施の形態に係るセンサ装置2では、第1のセンサ電極18及び第2のセンサ電極20を用いて測定した第1の静電容量y及び第2の静電容量yと、演算した容量比kとに基づいて、第5の静電容量Cを演算する。容量比kは、リム6の温度変動に影響されない(すなわち、温度に依存する被接触部材14の誘電率がキャンセルされた)値であるので、このような容量比kを用いることにより、リム6の温度変動に起因した第3の静電容量C及び第4の静電容量Cの温度特性に影響されない、第5の静電容量Cを演算することができる。したがって、このような第5の静電容量Cの変化を検出することにより、リム6の温度が変動した場合であっても、運転者がリム6を手16で把持しているか否かを精度良く判定することができる。
(変形例)
以上、一つ又は複数の態様に係るセンサ装置について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態又は変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
上記実施の形態では、センサ装置2を車両用のステアリングホイールとしたが、これに限定されず、例えば車両用の座席シートであってもよい。この場合、被接触部材14は、例えば運転者の上半身が接触する座席シートの背もたれ部又は座面となる。
上記実施の形態では、第1のセンサ電極18及び第2のセンサ電極20をリム6の9時15分から10時10分までの位置に2箇所配置したが、これに限定されず、例えばリム6の全周に亘って配置してもよい。
なお、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
また、以下のような場合も本発明に含まれる。
(1)上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムで実現され得る。RAM又はハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
(2)上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、ROMからRAMにコンピュータプログラムをロードし、ロードしたコンピュータプログラムにしたがって演算等の動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
(3)上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、各装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されてもよい。ICカード又はモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカード又はモジュールには、上記の超多機能LSIが含まれてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、ICカード又はモジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有してもよい。
(4)本発明は、上記に示す方法で実現されてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムで実現してもよいし、コンピュータプログラムからなるデジタル信号で実現してもよい。
また、本発明は、コンピュータプログラム又はデジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したもので実現してもよい。また、これらの記録媒体に記録されているデジタル信号で実現してもよい。
また、本発明は、コンピュータプログラム又はデジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送してもよい。
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、メモリは、コンピュータプログラムを記憶しており、マイクロプロセッサは、コンピュータプログラムにしたがって動作してもよい。
また、プログラム又はデジタル信号を記録媒体に記録して移送することにより、又はプログラム又はデジタル信号をネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
(5)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
本発明のセンサ装置は、例えば車両用のステアリングホイール等に適用することができる。
2 センサ装置
4 自動車
6 リム
8 スポーク
10 ホーンスイッチカバー
12 フレーム
14 被接触部材
15 グランド
16 手
18 第1のセンサ電極
20 第2のセンサ電極
22 第1のスイッチ
24 第2のスイッチ
26 測定部
28 演算部
30 判定部

Claims (5)

  1. 接地されたフレームを覆い、物体が接触する被接触部材を備え、前記物体の接触を判定するためのセンサ装置であって、
    前記被接触部材の内部において前記フレームに対向する位置に配置された第1のセンサ電極と、
    前記被接触部材の内部において前記フレームと前記第1のセンサ電極との間に配置された第2のセンサ電極と、
    前記第1のセンサ電極により形成される第1の静電容量及び前記第2のセンサ電極により形成される第2の静電容量を測定する測定部と、
    前記第1のセンサ電極と前記第2のセンサ電極との間における第3の静電容量と、前記第2のセンサ電極と前記フレームとの間における第4の静電容量との比を表す容量比を演算し、前記第1の静電容量、前記第2の静電容量及び前記容量比に基づいて、前記第1のセンサ電極と前記被接触部材に接触した前記物体との間における第5の静電容量を演算する演算部と、を備える
    センサ装置。
  2. 前記センサ装置は、さらに、前記第5の静電容量が閾値以上である場合には、前記物体が前記被接触部材に接触していると判定し、前記第5の静電容量が前記閾値未満である場合には、前記物体が前記被接触部材に接触していないと判定する判定部を備える
    請求項1に記載のセンサ装置。
  3. 前記第1の静電容量は、寄生容量としての前記第3の静電容量及び前記第4の静電容量と、浮遊容量としての前記第5の静電容量との合成容量であり、
    前記第2の静電容量は、寄生容量としての前記第4の静電容量と、浮遊容量としての第3の静電容量及び前記第5の静電容量との合成容量である
    請求項1又は2に記載のセンサ装置。
  4. 前記第1の静電容量をy、前記第2の静電容量をy、前記容量比をk、前記第5の静電容量をC1、前記第3の静電容量をC、前記第4の静電容量をCとしたとき、前記演算部は、下記の式1〜式3を用いて前記第5の静電容量を演算する
    請求項3に記載のセンサ装置。
    Figure 2017156169
    Figure 2017156169
    Figure 2017156169
  5. 前記フレーム及び前記被接触部材は、車両用のステアリングホイールに含まれる
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のセンサ装置。
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