以下、本発明に係るナビゲーション装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、実施の形態において、同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るナビゲーション装置のブロック図である。
ナビゲーション装置1は、例えば、自動車、二輪車などの移動体に搭載され、移動体の現在の走行位置(現在位置)や目的地への経路案内などのナビゲーションを行うナビゲーション機能を備えた装置である。なお、ナビゲーション装置1は、専用機でもよく、ナビゲーション機能を備えたスマートフォンなどの携帯端末装置であってもよい。また、ナビゲーション装置1が適用される移動体として、上記の道路上を移動する自動車について説明するが、ナビゲーション装置1が適用可能な移動体の概念には、道路上を移動する人や動物、海上を航行する船、空間を飛行する飛行体などの移動するものを広く含む。
以下の説明では、道路上を走行する自動車にナビゲーション装置1を搭載した場合の例について説明する。なお、自動車には、バス、タクシー、トラックなどの商業的な行為をするための運輸営業用自動車と、それ以外の自家用自動車とが含まれる。
ナビゲーション装置1は、格納部101、ナビゲーション部102、取得部103、出力部104を備える。
格納部101は、ナビゲーションに使用する地図情報を格納している。ナビゲーション用の地図情報は、例えば、地図に含まれる各種の情報が複数のレイヤ(層)に分けて作成されている。例えば、地図情報は、道路、鉄道、水系、宅地、山林などの形状を描いた第1のレイヤ、家屋などの建造物の形状を描いた第2のレイヤ、施設名などの名称を含む各種の文字情報が記述された第3のレイヤ、道路の繋がりを示す道路ネットワークに関する情報を記述した第4のレイヤなどの複数のレイヤに分けて作成されている。
地図情報に含まれる画像情報は、例えば、ラスタデータやベクタデータである。道路ネットワークに関する情報は、複数の道路が交差する交差点や複数の道路に分岐する分岐点などの点(ノード)と、ノード同士を接続する線(リンク)の情報で構成されている。ノードは、例えば、地図上の位置情報(経度、緯度、高さの情報)によって特定されている。リンクは、例えば、起点及び終点のノードとリンクの形状を特定する複数の形状構成点とによって特定されている。ノードとリンクには、位置情報に加えて各種の属性情報が対応付けられている。例えば、リンクの属性情報には、距離や道路幅などの情報が含まれている。
格納部101は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。格納部101に地図情報が記憶される過程は問わない。例えば、地図情報は、記録媒体を介して格納部101に記憶されてもよく、通信回線等を介して格納部101に記憶されてもよい。また、入力デバイスによって入力された地図情報が格納部101に記憶されてもよい。
ナビゲーション部102は、ナビゲーションを行う。ナビゲーションとは、現在地から目的地までの経路案内に関する各種の情報を画像表示又は音声出力によって移動体の移動を制御するものに提供することである。本実施の形態では、ナビゲーション装置1が搭載される移動体を自動車としているので、移動体の制御車は、運転者(ドライバー)となる。以下の説明では、ナビゲーション装置1が搭載される自動車を「自動車X」と称し、自動車Xの運転者を「運転者Y」と称して説明する。経路案内に関する各種の情報(ナビゲーション情報)は、自動車Xの現在位置、目的地、現在位置から目的地までの経路、渋滞や事故発生などの道路状況、目的地の到着予想時間、交差点又は分岐点における走行方向などの情報である。
ナビゲーション部102は、ナビゲーション装置1が搭載された自動車Xの現在位置、目的地、現在位置から目的地までの経路、渋滞や事故発生などの道路状況、交差点又は分岐点における走行方向などの情報を、格納部101に格納されている地図情報を用いて出力する。また、ナビゲーション部102は、現在時刻、目的地の到着予測時刻など情報を、文字又はアナログ時計などの図形を用いて出力する。
ナビゲーション部102は、地図情報を用いてナビゲーションを行う場合、格納部101から自動車Xの現在位置を含む地図情報(比較的広域の地図情報)を読み出し、ナビゲーション装置1のディスプレイ(ディスプレイともいう)の全画面に地図を表示する。また、ナビゲーション部102は、例えば、ナビゲーション部102が取得した自動車Xの現在位置の情報と、格納部101に格納された地図情報の道路ネットワークの情報とを用いてマップマッチング処理を行い、地図上の自動車Xの現在位置に対応する位置を算出する。
ナビゲーション部102は、ディスプレイの全画面に表示した地図上に自動車Xの現在位置、目的地、目的地までの経路、渋滞や事故発生などのナビゲーション情報を表示してナビゲーションを行う。以下、このナビゲーションの表示態様を「一画面表示」という。
ナビゲーション部102は、交差点又は分岐点などでの進路変更を案内する場合、ディスプレイの全画面を複数の分割画面(通常、2つの分割画面)に分割し、一方の分割画面に元の広域の地図とナビゲーション情報を表示してナビゲーションを継続する。また、ナビゲーション部102は、格納部101から交差点又は分岐点の構造を示す図(例えば、交差点又は分岐点の部分を拡大した地図若しくは交差点又は分岐点の道路構造を示す模式図などの図)を読み出して他方の分割画面に表示する。さらに、ナビゲーション部102は、他方の分割画面に表示した図上に進路変更を示すナビゲーション情報を表示して交差点又は分岐点におけるナビゲーションを行う。以下、このナビゲーションの表示態様を「二画面表示」という。二画面表示は、ディスプレイの表示領域を横方向に二分割したものでもよく、縦方向に二分割したものでもよい。或いは、ディスプレイの表示領域の内部に小領域を設けるようにしたもの(Picture in picture)でもよい。
また、ナビゲーション部102は、一画面表示及び二次画面表示において、ディスプレイに、時計の図形を表示し、その時計の図形上に現在時刻や目的地の到着予想時刻などの情報を文字又は図形によって表示する。この場合も、ナビゲーション部102は、格納部103に格納されている時計の図形、現在時刻や到着予想時刻を示す図形を読み出し、ディスプレイの所定の位置に表示する。
また、ナビゲーション部102は、通常、MPUやメモリ等で実現することができる。ナビゲーション部102の各処理の手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、専用のハードウェア(専用回路)でナビゲーション部102を実現しても良い。なお、ナビゲーション部102が行うナビゲーションの具体的な処理は、周知であるので、詳細な説明は省略する。
取得部103は、ナビゲーション部102が上記のナビゲーションを行っている間、障害物情報を取得する。障害物は、通常、自動車Xの走行の妨げとなるものである。障害物には、自動車Xが走行している道路上に停車している他の自動車、道路上を走行している自転車、原動機付き自転車、自動二輪車などの二輪車、道路上に置かれている物や落下物などが含まれる。また、障害物には、自動車Xが走行している道路に進入する恐れのある人、動物、他の移動体なども含まれる。自動車Xの走行の妨げとなり得るものであれば、障害物の種類は問わない。
障害物情報には、例えば、障害となる物体の種類(移動体、人、動物、落下物などの種類)、大きさ、数量、位置などの情報を含まれる。従って、取得部103は、例えば、障害物の種類、大きさ、数量、位置などの障害物情報を取得する。取得部103の障害物情報の取得方法は、問わない。取得部103は、例えば、自動車Xに障害物を検知する障害物検知装置を設け、その傷害物検知装置の検知情報を用いて自動車Xの周囲にある障害物を検出してもよい。
障害物検知装置には、例えば、ミリ波や赤外線レーザーなどを用いたレーダー式の障害物検知装置やステレオカメラを用いた障害検知装置を用いることができる。
レーダー式の障害物検知装置は、例えば、障害物検知装置から所定の方向(例えば、自動車Xの前方や斜め前方の方向)の所定の角度範囲(例えば、照射方向を中心に水平方向(左右方向)に±α[°]の範囲や垂直方向(仰角方向)に±β°[°]の範囲)にミリ波の電波や赤外線レーザーを照射して当該角度範囲内に存在する物体を検知することができる。また、障害物検知装置は、例えば、照射したミリ波の電波又は赤外線レーザーが障害物を反射して返ってくる時間を計測することにより障害物検知装置から障害物までの距離を検出することができる。
障害物検知装置は、通常、自動車Xの適所に搭載されるから、障害物検知装置を用いた場合、取得部103は、その障害物検知装置から出力される検知情報を用いて、自動車Xから所定の角度範囲に存在する障害物を検出するとともに、自動車Xから障害物までの距離を検出する。
また、取得部103は、障害物検知装置がミリ波の電波又は赤外線レーザーを所定の範囲でスキャンするように照射し、その反射波を検知した情報を用いてその範囲に存在する物体の輪郭を検出する。取得部103は、例えば、検出した障害物の輪郭から当該輪郭の面積を算出することにより障害物の大きさの情報を取得するとよい。
また、取得部103は、自動車Xの現在位置の情報と、自動車Xからミリ波レーダー又は赤外線レーザーを照射した方向の情報と、自動車Xから障害物までの距離の情報とを用いて障害物の位置情報を算出する。
例えば、自動車Xに搭載された障害物検知装置の水平面内に、自動車Xの走行方向をY軸方向とするXY座標系を設定し、障害物検知装置が障害物を検知した方向の角度をY軸に対して右回りに+θ[°]とし、障害物検知装置から障害物までの距離をL[m]とすると、取得部103は、L×cos(θ)とL×sin(θ)とを演算することによりXY座標系における障害物の位置(Xs,Ys)の情報を取得する。この障害物の位置(Xs,Ys)の情報は、自動車Xの現在位置に対して方向と距離で定義される相対的に位置情報である。
取得部103は、障害物の位置(Xs,Ys)を自動車Xの位置を定義する座標系(例えば、緯度・経度の座標系)の位置に変換した後、自動車Xの現在位置の情報に加算して絶対的な位置情報を取得するようにしてもよい。
自動車Xにステレオカメラを用いた障害物検知装置を設けた場合、取得部103は、ステレオカメラで所定の方向の(例えば、前方や斜め前方の方向)の視野がずれた2つ画像を撮影し、それらの撮影画像の画像解析を行って障害物の大きさ、数量、位置、種類(例えば、物、移動体、人などの種類)などの情報を取得する。
取得部103は、撮影画像に写っている物体の輪郭(外形形状)を抽出し、その輪郭の形状をパターン認識することにより、自動車、二輪車、静止物、人などの種類の情報を取得する。また、取得部103は、撮影画像に写っている物体の輪郭の大きさを算出することにより、障害物の大きさを取得する。また、取得部103は、一方の撮影画像に写っている物体と他方の撮影画像に写っている物体の画面内の位置のずれ(視差)から障害物検知装置から障害物までの距離を算出することにより、自動車Xから障害物までの距離を取得する。
なお、取得部103は、道路交通情報通信システムの放送を利用して有線又は無線により障害物情報を取得してもよい。また、サーバなどで交通の障害となる状況に関する情報を提供するサービスがある場合は、取得部103がそのサーバにアクセスして交通の障害となる障害物情報を取得するようにしてもよい。交通の障害となる状況とは、移動体が車線内に停まっていたり、落下物などが車線内に存在していたり、移動体が車線内を移動していたりして、停車車両、落下物、人などが移動体の走行の障害となる状況である。
取得部103は、自動車Xの現在位置が交差点又は分岐点に近付き、ナビゲーション部102がその交差点又は分岐点におけるナビゲーションを行うときに当該交差点又は分岐点における障害物情報を取得する動作を行うことは好適である。
交差点又は分岐点におけるナビゲーションとは、交差点又は分岐点の名称と、交差点又は分岐点における右折、左折、直進などの進行方向の情報を運転者に提供するものである。すなわち、取得部103は、自動車Xの現在位置が交差点又は分岐点に近付き、ナビゲーション部102がその交差点又は分岐点におけるナビゲーションを開始すると、例えば、障害物検知装置を作動させて交差点又は分岐点の周囲に存在する障害物情報を取得するようにしてもよい。また、取得部103は、道路交通情報通信システムの放送を利用して自動車Xが進入しようとしている交差点又は分岐点における障害物情報を取得したり、サーバにアクセスして当該交差点又は分岐点における障害物情報を取得したりしてもよい。
出力部104は、取得部103が取得した障害物情報を出力する。出力部104が行う出力とは、例えば、ディスプレイへの表示、プロジェクターを用いた投影、プリンタでの印字、音出力、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。本実施の形態では、障害物との衝突を防止するために障害物情報を運転者Yに報知するものであるから、出力部104が行う障害物情報の出力は、通常、ディスプレイへの障害物情報の表示とナビゲーション装置1のスピーカーによる障害物情報の音声出力のいずれか若しくは両方による出力である。
出力部104は、ナビゲーション部102が行っているナビゲーションの表示の状態に応じて、ナビゲーション情報の出力態様とは異なる出力態様で障害物情報を出力することは好適である。出力部104は、ナビゲーション部102が二画面表示でナビゲーションを行っているときに取得部103が障害物情報を取得した場合は、例えば、その障害物情報を音声で出力する。
出力部104は、例えば、障害物の種類、大きさ、位置、数量などの障害物情報を音声によって出力する。出力部104は、例えば、「**先に##の障害物があります。注意して走行して下さい。」という雛形のメッセージ文を有している。出力部104は、「**」と「##」の部分に取得部103が取得した、自動車Xの現在位置から障害物での距離L[m]と障害物の種類Z(例えば、停車している移動体や落下物)の情報を嵌め込むことにより、「L[m]先に停車しているZ(例えば、トラック)の障害物があります。注意して走行して下さい。」のメッセージ文を生成する。そして、出力部104は、生成したメッセージ文を音声合成により音声に変換してナビゲーション装置1のスピーカーから出力する。なお、出力部104は、音声ではなく、障害物に関するメッセージ文を生成してナビゲーション装置1の表示画面の上下左右の端部に表示してもよく、音声とメッセージ文の両方で障害物情報を出力してもよい
また、出力部104は、ナビゲーション部102が一画面表示でナビゲーションを行っているときに取得部103が障害物情報を取得した場合は、ナビゲーションの表示の態様を一画面表示から二画面表示に切り換え、二画面のうち一方の画面でナビゲーション部102によるナビゲーションを継続させ、他方の画面で障害物情報を表示する。
出力部104は、二画面表示のうち他方の画面で障害物情報を表示する場合、取得部103が取得した障害物の位置情報と、格納部101に格納された地図情報の道路ネットワークの情報とを用いてマップマッチング処理を行い、地図上の障害物の存在位置に対応する位置を算出する。
そして、出力部104は、格納部101から障害物の位置を含む比較的狭域の地図情報を読み出し、その地図を二画面表示のうちの他方の画面に表示する。また、出力部104は、地図上の障害物の存在位置に対応する位置に障害物を示す所定のマークを表示する。この場合、出力部104は、障害物情報を音声やメッセージ文でも出力するとよい。
出力部104は、ナビゲーション部102がナビゲーションをしている道路または取得部103が取得した障害物情報の障害物が存在する道路が予め決められた条件を満たす場合にのみ、障害物情報を出力するようにしてもよい。ここで、条件を満たす場合とは、例えば、道路が、自動車Xが障害物との間で衝突事故を発生する確率を高くするような属性値を有する場合である。
地図情報が有する道路ネットワークに関す情報には、道路の種類、幅員などの属性値が含まれている。道路の種類とは、道路法、道路交通法などで定義される国道、都道府県道、市町村道などの道路や幅員の観点で分類される建築基準法上の「二項道路」若しくは「細街路」と呼ばれる道路である。
なお、建築基準法には、幅員が4[m]以上又は6[m]以上の道路と幅員が4[m]未満の道路の種類が定義されており、幅員が4m未満の道路は「二項道路」若しくは「細街路」と呼ばれている。
自動車Xが走行している道路の幅員や、交差点や分岐点などで進行方向を変化させた先の道路の幅員が自動車同士の離合が困難なほど狭い場合、それらの道路に障害物があると、幅員が十分な道路に比べて自動車Xが障害物との間で衝突事故を発生する確率が高くなる。
従って、所定の条件を、道路の幅員が閾値未満若しくは閾値以下であるとすると、出力部104は、自動車Xが走行している道路又は障害物が存在する道路の幅員が閾値未満若しくは閾値以下である場合にのみ、障害物情報を出力するようにしてもよい。閾値が4[m]の場合、所定の条件は道路が細街路に該当するとなるので、出力部104は、自動車Xが走行している道路又は障害物が存在する道路が細街路に該当する場合にだけ、障害物情報を出力するようにしてもよい。
なお、道路法若しくは道路交通法などで定義される国道、都道府県道、市町村道などの道路には、自動車同士の離合が困難な幅員の狭い道路もあるので、道路が細街路に該当する場合は、その道路が国道、府道、市道などの道路の種類のいずれに属するかは問わない。
また、道路が急カーブなどで見通しの悪い形状を有している場合、急カーブの先に障害物があると、自動車Xが当該急カーブに進入したときに、見通しの利くカーブよりも障害物と衝突事故を発生する確率が高くなる。このため、道路が見通しの悪いカーブなどの形状を有するという属性値も所定の条件を満たすか否かの判断の対象にしてもよい。
さらに、天候状態によって道路の路面状態は変化し、道路が凍結路になるなどのタイヤの摩擦力を低下させる状態になった場合は、自動車Xが走行している道路が細街路でなくても障害物との間で衝突事故を発生し易くなる。従って、このような属性値を有する場合も所定の条件を満たすか否かの判断の対象にしてもよい。
すなわち、所定の条件を満たすか否かの判断には、天候に関する条件を満たすか否かの判断を含めてもよい。天候に関する条件として、例えば、天候が雪、雨又は濃霧などである、気温が閾値(例えば、摂氏0[°])以下であるなどの条件を設定することは好適である。
出力部104は、自動車Xの位置情報と地図情報が有する道路ネットワークに関する情報とからナビゲーション部102が取得した自動車Xの走行している道路の属性値が細街路を有していたり、当該道路の走行先が見通しの悪い形状を有していたり、当該道路が凍結路になっていたりする場合、所定の条件を満たすと判断して、その場合にのみ取得部103が取得した障害物情報を出力するようにしてもよい。
また、所定の条件に天候に関する条件を含める場合、ナビゲーション装置1に天候に関する情報を取得する天候情報取得部を設け、出力部104は、天候情報取得部が、例えば、天候が雪、雨又は濃霧であるの情報、若しくは気温が閾値以下であるの情報を取得した場合に、取得部103が取得した障害物情報を出力するようにしてもよい。
出力部104は、ディスプレイやスピーカー等の出力デバイスを含むと考えても良く、含まないと考えても良い。出力部104は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現することができる。
図2は、図1に示すナビゲーション装置1の障害物情報を表示する機能を実現するハードウェアの構成の一例を示す図である。
ナビゲーション装置1は、MPU(Micro Processing Unit)11と、ブートアッププログラム等のプログラムや、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータが記憶されるフラッシュメモリ等のROM12と、MPU11に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM13と、無線通信モジュール14と、MPU11、ROM12等を相互に接続するバス15、ナビゲーションの情報と障害物情報を表示する液晶ディスプレイ16と、を備えるコンピュータシステムで構成されている。MPU11、ROM12、RAM13、液晶ディスプレイ16は、ナビゲーション部102と出力部104を実現し得る手段であり、ROM12は、格納部101を実現し得る手段である。また、図示省略の障害物検知装置から障害物情報を取得する構成の場合は、その障害物検知装置とMPU11が取得部103を実現し得る手段となる。また、例えば、道路交通情報通信システムから障害物情報を取得する構成の場合は、MPU11と無線通信モジュール14が取得部103を実現し得る手段となる。なお、ナビゲーションの情報と障害物情報を取得し、出力する機能は、ROM12に格納されているプログラムをMPU11に実行させることにより実現されるものである。MPU11に実行させるプログラムは、例えば、以下のようなプログラムである。
コンピュータがアクセス可能な記録媒体は、地図情報が格納された格納部を具備し、コンピュータを、地図情報を用いて、ナビゲーションを行うナビゲーション部と、ナビゲーション部がナビゲーションを行っている間、障害物に関する障害物情報を取得する取得部と、障害物情報を出力する出力部と、して機能させるプログラムである。図2に示すコンピュータシステムがどのように動作してナビゲーション部102、取得部103、及び出力部104の各ブロックの機能を実現するのかについては周知であるので、詳細な説明は省略する。
次に、ナビゲーション装置1における障害物情報の出力動作について、説明する。
以下の説明では、ナビゲーション装置1は、GPS機能を有しており、GPSによって当該ナビゲーション装置1の位置情報(緯度経度情報)が検出できるものとする。なお、位置の検出方式は、CPSに限られず、例えば、携帯電話ネットワークの基地局を用いる方式、無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントを用いる方式であってもよく、これらの方式を組み合わせた方式であってもよい。
また、自動車Xは、ミリ波レーダーを用いて自動車Xの周辺に存在する障害物を検知する障害物検知装置を備え、ナビゲーション装置1の取得部103は、その障害物検知装置から障害物情報を取得するものとする。
図3は、自動車Xに設けられる障害物検知装置の構成の一例を示す図である。
同図に示すように、障害物検知装置2は、検知範囲の異なる複数のレーダー201と各レーダー201の出力信号を用いて障害物の検知処理を行う障害物検知部202とを含む。各レーダー201は、水平方向(左右方向)に凡そ40[°]の検知範囲を有している。各レーダー201の検知範囲の中央を各レーダー201の代表的な照射方向とすると、隣接するレーダー201は、代表的な照射方向が互いに凡そ40[°]異なっている。そして、障害物検知装置2は、自動車Xの前方の凡そ200°の範囲で障害物を検知するように、自動車Xのフロント面の適所に5個のレーダー201が設けられている。
各レーダー201は、例えば、76MHzの電波(ミリ波)をフェーズド・アレイ方式により凡40[°]の検知範囲をスキャンするように照射し、その検知範囲にある物体からの反射波を受信する。障害物検知部202は、各レーダー201から出力される受信信号を用いて障害物までの距離と方向を検出する。障害物検知部202は、例えば、各レーダー201から発射したミリ波が障害物で反射して当該レーダー201に戻ってくるまでの時間を計測し、その時間を用いて障害物までの距離を算出する。また、障害物検知部202は、障害物が検出されたミリ波の発射方向によって障害物の方向を求める。
図4は、ナビゲーション装置1が運転者Yに目的地までの経路をナビゲーションしている期間に障害物検知装置2が障害物情報を取得し、自動車Xが走行している道路又は障害物が存在する道路が所定の条件を満たす場合にナビゲーション装置1が障害物情報を出力する処理の手順を示すフローチャートである。
自動車Xの運転者Yがナビゲーション装置1に目的地を設定して経路探索を行い、その探索結果に基づき経路を決定した後、案内開始(ナビゲーション開始)の操作を行うと、ナビゲーション装置1は、目的地までの経路の案内を開始する。
図4のフローチャートにおいては、運転者Yが目的地までの経路を決定し、案内開始の操作をしているものとして、障害物情報の出力処理を説明する。
(ステップS101)ナビゲーション部102は、GPSにより自動車Xの現在位置の情報を取得する。
(ステップS102)ナビゲーション部102は、取得した自動車Xの現在位置が交差点の近くに位置しているか否かを判別する。ナビゲーション部102は、例えば、自動車Xの現在位置の情報と、地図情報の道路ネットワークの情報とを用いてマップマッチング処理を行い、地図上の自動車Xの現在位置に対応する位置を算出する。また、ナビゲーション部102は、経路探索で算出した経路の情報を用いて自動車Xが走行している道路の情報を取得し、その道路の自動車Xの走行先のノード情報から自動車Xが近付いている交差点の位置情報を取得する。そして、ナビゲーション部102は、地図上の自動車Xの現在位置と自動車Xの走行先にある交差点との間の距離Lcを算出し、その距離Lc[m]が閾値LTH[m](例えば、数十m)以下であるか否かを判別する。ナビゲーション部102は、LTH<Lcであれば(S102:N)、自動車Xは交差点の近くに位置しているとして、ステップS103に進み、Lc≦LTHであれば(S102:Y)、自動車Xは交差点の近くに位置していないとして、ステップS105に進む。
(ステップS103)ナビゲーション部102は、ディスプレイの画面表示を一画面表示(ディスプレイの全画面を用いた表示)に切り換える。もしくは、当該画面表示を一画面表示のまま保持する。
(ステップS104)ナビゲーション部102は、格納部101から自動車Xの現在位置を含む比較的広域の地図情報を読み出し、ディスプレイの全画面に表示する。また、ナビゲーション部102は、ナビゲーション情報をディスプレイに表示した地図上に表示してステップS108に進む。具体的には、ナビゲーション部102は、地図上の自動車Xの現在位置に対応する位置に当該自動車Xを示す所定のマークを表示するとともに、地図上に自動車Xの現在位置から目的地に至る経路を表示する。なお、ナビゲーション部102は、地図上に目的地に対応する位置がある場合に当該目的地を示す所定のマークを表示する。
図5は、ナビゲーション部102がディスプレイに一画面表示でナビゲーション情報を表示している状態の一例を示す図である。また、図5は、自動車Xの現在位置を含む比較的広域の地図GMをナビゲーション装置1の表示画面105全体に表示し、その地図GM上に自動車Xの現在位置Pを示す所定のマークM1(△マーク)と、目的地までの経路を示す経路案内線GL1を表示したものである。なお、△マークM1は、三角の頂点を自動車Xの走行方向に向けて表示している。また、目的地は、ナビゲーション装置1に表示している地図には存在していないので、地図上には表示されていない。
地図GM内の細線と二重線は道路を示し、細線で示す道路は幅員4m未満の道路(細街路)であり、二重線で示す道路は幅員4m以上の道路である。また、道路に沿った太線は目的地に至る経路を示す経路案内線GL1である。
図5の例では、自動車Xの走行先に交差点Pc1があるが、自動車Xの現在位置Pから交差点Pc1までの走行距離Lcが閾値LTHよりも大きいので、ナビゲーション部102は、一画面表示でナビゲーションを行っている。
(ステップS105)ナビゲーション部102は、自動車Xが近付いている交差点で経路案内をするか否かを判別する。交差点における経路案内とは、例えば、交差点において直進する、右折する、左折するなどの進行方向を運転者Yに知らせる案内である。交差点における経路案内の情報がない場合(S105:N)、ステップS103に進み、交差点における経路案内の情報がある場合(S105:Y)、ステップS106に進む。
(ステップS106)ナビゲーション部102は、ディスプレイの表示画面を二分割し、画面表示を一画面表示から二画面表示に切り換える。ナビゲーション部102は、例えば、ディスプレイの表示画面を横方向に二分割し、2つの分割画面を用いた二画面表示に切り換える。なお、ナビゲーション部102は、ナビゲーション装置1の表示画面を縦方向に二分割してもよく、画面表示をPicture in Pictureの表示形態に切り換えてもよい。
(ステップS107)ナビゲーション部102は、一画面表示で行っていたナビゲーション情報の表示を二画面表示のうちの一方の画面に切り換える。また、ナビゲーション部102は、格納部101から交差点の構造を示す図像(例えば、交差点の部分を拡大した地図若しくは交差点の道路構造を示す模式図などの図)を読み出して他方の画面に表示する。そして、ナビゲーション部102は、その交差点の構造を示す画像に交差点における経路案内の情報を表示する。
図6は、ナビゲーション部102がディスプレイに二画面表示でナビゲーション情報を表示している状態の一例を示す図である。図6は、特に自動車Xが交差点Pc2に近接し、当該交差点Pc2におけるナビゲーション情報(経路案内の情報)を表示する場合の表示例である。また、図6は、ナビゲーション部102がナビゲーション装置1の表示画面105を左右に二分割し、格納部101から読み出した自動車Xの現在位置を含む比較的広域の地図GMを左側の分割画面105Aに表示し、格納部101から読み出した交差点Pc2を含む比較的狭域の地図Gcを右側の分割画面105Bに表示してナビゲーション情報を表示している表示例である。同図の地図GM,Gc内の細線は幅員4m未満の道路(細街路)であり、二重線は幅員4m以上の道路である。また、△のマークM1は、自動車Xの現在位置を示している。また、地図GM内の道路に沿った太線GL1は目的地までの経路を示す経路案内線であり、地図Gc内の道路に沿った太い矢印線GL2は交差点Pc2における進行方向の案内線である。
図6では、ナビゲーション部102が地図情報の道路ネットワークの情報から取得した交差点Pc2における進行方向の情報を用いて、メッセージ文(「まもなく、○○交差点です。右折して下さい。」)を生成し、そのメッセージ文も地図GM,Gcの下部に表示している。すなわち、ナビゲーション部102は、道路ネットワークの情報から交差点Pc2を示す情報(例えば、○○交差点の名称)、その交差点Pc2における進行方向を示す情報(例えば、右折の情報)を取得する。ナビゲーション部102は、予め用意されている「間もなく、**交差点です。##して下さい。」という雛形のメッセージ文の「**」の部分に「○○」の交差点の名称の情報を嵌め込むとともに、「##」の部分に[右折]の情報を嵌め込んで、「間もなく、○○交差点です。右折して下さい。」のメッセージ文を生成する。そして、ナビゲーション部102は、そのメッセージ文を表示画面105の地図GM,Gcの下部に表示している。この場合、ナビゲーション部102は、「間もなく、○○交差点です。右折して下さい。」のメッセージ文を音声に変換してナビゲーション装置1のスピーカー106(図7参照)から出力してもよい。
なお、図6の例では、表示画面105を横方向に二分割しているが、表示画面105をPicture in Pictureの態様で2つの領域に分け、現在位置Pを含む地図情報を広い領域に表示し、交差点Pc2の経路案内用の画像を狭い領域に表示するようにしてもよい。
(ステップS108)取得部103は、障害物検知装置2を用いて障害物情報を取得する。取得部103は、障害物検知装置2から出力される障害物の検知情報のうち、自動車Xを中心に所定の範囲RTH内に存在する障害物の障害物情報を取得する。
(ステップS109)取得部103は、障害物情報の取得処理により障害物が検出されたか否かを判別する。障害物が検出されない場合は(S109:N)、ステップS101に戻り、障害物が検出された場合は(S109:Y)、ステップS110に進む。
(ステップS110)取得部103は、自動車Xが走行している道路又は障害物が存在する道路が所定の条件を満たすか否かを判別する。所定の条件は、例えば、道路が細街路に該当するという条件である。
取得部103は、例えば、ナビゲーション部102がナビゲーション情報として取得した自動車Xが走行している道路の属性値又は障害物が存在する道路の属性値に幅員が閾値DTH(例えば、4[m])未満であるという情報が含まれているか否かを判別する。取得部103は、幅員が閾値DTH未満であるという情報(すなわち、道路が細街路であるという情報)が含まれていれば、自動車Xが走行している道路又は障害物が存在する道路は条件を満たすと判断し(S110:Y)、ステップS111に進み、幅員が閾値DTH未満であるという情報(すなわち、道路が細街路ではないという情報)が含まれていなければ(S110:N)、ステップS101に戻る。
(ステップS111)出力部104は、ナビゲーション部102が二画面表示でナビゲーションをしているか否かを判別する。ナビゲーション部102が二画面表示でナビゲーションをしている場合は(S111:Y)、ステップS112に進み、ナビゲーション部102が一画面表示でナビゲーションをしている場合は(S111:N)、ステップS113に進む。
(ステップS112)出力部104は、取得部103が取得した障害物情報を、例えば、音声で出力する。例えば、取得部103が自動車Xの進入しようとしている交差点の手前に停車している大型の自動車(例えば、トラック)を障害物情報として取得したとする。出力部104は、当該障害物情報と予め用意されている雛形のメッセージ文とを用いてメッセージ文を生成する。例えば、格納部101に「**交差点の手前に##が停車しています。注意してください。」の雛形のメッセージ文が格納されているとする。出力部104は、雛形のメッセージ文の「**」と「##」の部分に、ナビゲーション部102が取得した交差点の名称「○○」と取得部103が取得した障害物の種類(例えば、トラック)を嵌め込んで、「○○交差点の手前にトラックが停車しています。注意して下さい。」のメッセージ文を生成する。そして、出力部104は、メッセージ文を音声に変換してナビゲーション装置1のスピーカーから出力してステップS101に戻る。
図7は、ナビゲーション部102が二画面表示でナビゲーションを行っている場合の障害物情報の出力態様の一例を示す図である。図7の例は、ナビゲーション部102が図6に示す二画面表示でナビゲーションを行っているときに、取得部103が交差点Pc2の手前に止まっているトラックの障害物情報を取得した場合の表示例である。ナビゲーション装置1の表示画面105に二画面表示で表示されているナビゲーションの画像は図6と同じである。
出力部104は、生成した「○○交差点の手前にトラックが停車しています。注意して下さい。」のメッセージ文を音声に変換してナビゲーション装置1の正面下部の左右の端部に設けられたスピーカー106から出力する。なお、出力部104は、生成した「○○交差点の手前にトラックが停車しています。注意して下さい。」のメッセージ文を表示画面105の地図GM,Gcの下部に表示するようにしてもよい。また、出力部104は、右側の分割画面105Bに表示されている地図Gcの交差点Pc2の手前の位置に障害物が存在することを示す所定のマークを表示するようにしてもよい。また、出力部104は、上記の障害物情報を音声とメッセージ文の両方で出力してもよい。
(ステップS113)出力部104は、ディスプレイの表示画面を二分割し、画面表示を一画面表示から二画面表示に切り換える。出力部104は、例えば、ディスプレイの表示画面を横方向に二分割し、2つの分割画面を用いた二画面表示に切り換える。なお、出力部104は、ディスプレイの表示画面を縦方向に二分割するようにしてもよい。
(ステップS114)ナビゲーション部102は、一画面表示で行っていたナビゲーションを二画面表示のうちの一方の画面を用いて継続する。また、出力部104は、二画面表示のうちの他方の画面を用いて障害物情報を表示する。
図8は、ナビゲーション部102が一画面表示でナビゲーションを行っているときに取得部103が障害物情報を取得した場合の障害物情報の出力態様の一例を示す図である。 図8の例は、ナビゲーション部102が図5に示すナビゲーションを行っている状態から自動車Xが交差点Pc1に近付いたときに、取得部103がその交差点Pc1の手前のトラックを障害物として検知した場合の障害物情報の表示例である。
取得部103が障害物情報を取得したときには、ナビゲーション部102は、図8の上側に示すように、一画面表示でナビゲーションを行っている。このときには、自動車Xは、交差点Pc1の手前まで近付いているので、ナビゲーション部102は、地図GMの交差点Pc1の手前の位置に自動車Xの現在位置を示すマークM1を表示している。
取得部103が障害物情報を取得すると、出力部104は、図8の下側に示すように、ナビゲーション装置1の画面表示を二画面表示に切り換え、左側の分割画面105Aに一画面表示でナビゲーションを行っていた経路案内の画像を表示する。また、出力部104は、二画面表示のうちの右側の分割画面105Bに障害物情報を表示する。この場合、出力部104は、交差点Pc1付近の拡大した地図情報を格納部101から読み出して右側の分割画面105Bに地図Gcを表示し、その地図Gc上の障害物の位置情報に対応する位置qに障害物の存在を示す星印のマークM2を表示する。なお、この場合も、図8に示すように、二画面表示の下側に「○○交差点の手前にトラックが停車しています。注意して下さい。」のメッセージ文を表示するようにしてもよい。
なお、図4のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みがあった場合は、障害物情報の出力処理はその時点で終了する。図4のフローチャートでは、ナビゲーション部102は、自動車Xが交差点に近付いた場合に一画面表示を二画面表示に切り換え、左側の分割画面105Aで広域の地図GMを用いたナビゲーションを継続し、右側の分割画面105Bで狭域の地図Gcを用いて交差点における経路案内を行うようにしている(ステップS101〜S109のループ処理)。
しかし、ナビゲーション部102が一画面表示を二画面表示に切り換えてナビゲーションを行う場合は、自動車Xが交差点に近付いた場合に限定されるものではなく、ナビゲーション部102は、例えば、自動車Xの走行経路を分かり易く案内する必要がある場合に適宜、一画面表示を二画面表示に切り換えてナビゲーションを行う。例えば、自動車Xが高速道路を走行している場合、ナビゲーション部102は、自動車Xが高速道路の出口やジャンクションに近付く毎に、一画面表示を二画面表示に切り換え、例えば、右側の分割画面105Bで各出口やジャンクションの地図又は道路構造を示す画像を表示して自動車Xの走行方向を案内することがある。
また、ステップS108における障害物情報の取得処理では、取得部103は、自動車Xに搭載された障害物検知装置2を用いて障害物を検出する例について説明したが、障害物情報の取得方法はこの方法に限定されるものではない。
取得部103は、例えば、財団法人道路交通情報通信システムセンターが電波ビーコン又は光ビーコンを用いて提供する安全運転支援システムを利用して自動車Xの走行経路における障害物情報を取得するようにしてもよい。この安全運転支援システムは、例えば、交差点の手前や見通しの悪いカーブの手前などに設置されたビーコンからそのビーコンの設置位置を通過する車両に対して進行先の交差点で交差する車両の位置や速度の情報、進行先で発生している渋滞の情報、進行先で対面する信号機の情報などを提供するシステムである。
この安全運転支援システムを利用した場合、ナビゲーション装置1は、見通しの悪い交差点で交差する車両やカーブを曲がった先の渋滞の情報等を障害物情報として取得し、その障害物情報をナビゲーションとともに出力することができるので、事故多発地点などでの衝突事故を未然に防止することができる。
また、取得部103は、例えば、車載器同士の間の無線通信、車載器と交差点の路側帯などに設置された路側機との間の無線通信、車載器と歩行者が保持する携帯機器との間の無線通信など技術を用いた高度道路交通システムを利用して障害物情報を取得してもよい。この高度道路交通システムは、UHF帯の電波(たとえば、700MHz帯の電波)を用いて運転者に安全運転を支援するための情報を提供するシステムである。
車載器同士の間の無線通信システム(車車間通信システム)は、例えば、2台の車両が互いに接近すると、両車両に搭載されている車載器同士が通信を行って、互いに相手の車両の位置などの情報を両車両の運転者に知らせることができるシステムである。この車車間通信システムを利用した場合、ナビゲーション装置1は、見通しの悪い交差点や物陰などで運転者の死角となる位置に侵入する車両の情報を障害物情報として取得し、その障害物情報をナビゲーションとともに出力することができるので、見通しの悪い交差点などでの出会い頭の衝突事故を未然に防止することができる。
また、車載器と路側機との間の無線通信システム(路車間通信システム)は、例えば、車両が交差点などに近付くと、車両に搭載されている車載器がその交差点の路側帯に設けられた路側機と通信を行って、交差点の信号情報、交差点の規制情報、交差点の歩行者情報等の情報を運転者に知らせることができるシステムである。この路車間通信システムを利用した場合、ナビゲーション装置1は、交差点における歩行者や他の移動体などの情報を障害物情報として取得し、その障害物情報をナビゲーションとともに出力することができるので、事故多発地点などでの衝突事故を未然に防止することができる。
また、車載器と歩行者の携帯機器との間の無線通信システム(歩車間通信システム)は、例えば、車両の近くに歩行者が居る場合、車両に搭載されている車載器がその歩行者が保持している携帯機器と通信を行って、歩行者の位置などの情報を運転者に知らせることができるシステムである。この歩車間通信システムを利用した場合、ナビゲーション装置1は、車両に接近する歩行者の情報を障害物情報として取得し、その障害物情報をナビゲーションとともに出力することができるので、例えば、高齢者や子供などの急など飛び出しなどによる衝突事故を未然に防止することができる。
図4のフローチャートでは、取得部103が障害物情報を取得した場合、自動車Xが走行している道路又は障害物が存在する道路が細街路に該当するという条件を満たす場合にのみ障害物情報を出力するようにしているが(ステップS110の処理)、上述したように、道路の条件は細街路に該当するという条件に限定されるものではない。例えば、道路が見通りの悪い道路形状(急カーブの形状)を有していたり、天候状態などによって道路の路面状態が滑り易くなる悪天候状況の場合にも障害物情報を出力するようにしてもよい。
図7の例では、ナビゲーション部102が二画面表示でナビゲーションを行っている場合、障害物情報を音声若しくはメッセージ文又は音声とメッセージ文の両方などで出力するようにしているが、ナビゲーション装置1の表示画面105を三分割し、一つの分割画面に障害物情報を出力するようにしてもよい。例えば、図9に示すように、二画面表示における右側の領域を上下に二分割して三画面表示とし、上側の分割画面105B’に二画面表示における右側の分割画面105Bに表示する交差点Pc2の経路案内用の画像を表示し、下側の分割画面105Cに障害物の位置を示す画像Gsを表示してもよい。
次に、図10に示すフローチャートを用いて、障害物情報の出力処理の変形例の手順について説明する。図10に示すフローチャートは、図4に示すフローチャートに対して、自動車Xが交差点に近付いた場合にだけ障害物情報を取得する点と、障害物が検出された場合、自動車Xが走行している道路又は障害物が存在する道路が所定の条件を満たす場合にのみ障害物情報を出力する点とが異なる。
(ステップS201)ナビゲーション部102は、GPSにより自動車Xの現在位置Prの情報を取得する。
(ステップS202)ナビゲーション部102は、自動車Xの現在位置が交差点の近くに位置しているか否かを判別する。ナビゲーション部102は、例えば、自動車Xの現在位置の情報と、地図情報の道路ネットワークの情報とを用いてマップマッチング処理を行い、地図上の自動車Xの現在位置に対応する位置を算出する。また、ナビゲーション部102は、経路探索で算出した経路の情報を用いて自動車Xが走行している道路の情報を取得し、その道路の自動車Xの走行先のノード情報から自動車Xが近付いている交差点の位置情報を取得する。
そして、ナビゲーション部102は、地図上の自動車Xの現在位置と自動車Xの走行先にある交差点との間の距離Lcを算出し、その距離Lc[m]が閾値LTH[m](例えば、数十m)以下であるか否かを判別する。ナビゲーション部102は、LTH<Lcであれば(S202:N)、自動車Xは交差点の近くに位置しているとして、ステップS206に進み、Lc≦LTHであれば(S202:Y)、自動車Xは交差点の近くに位置していないとして、ステップS203に進む。
(ステップS203)ナビゲーション部102は、ディスプレイの画面表示を一画面表示(ディスプレイの全画面を用いた表示)に切り換える。
(ステップS204)ナビゲーション部102は、格納部101から自動車Xの現在位置を含む比較的広域の地図情報を読み出し、ディスプレイの全画面に表示する。また、ナビゲーション部102は、ナビゲーション情報をディスプレイに表示した地図上に表示する。具体的には、ナビゲーション部102は、地図上の自動車Xの現在位置に対応する位置に当該自動車Xを示す所定のマークを表示するとともに、地図上に自動車Xの現在位置から目的地に至る経路を表示する。なお、ナビゲーション部102は、地図上に目的地に対応する位置がある場合に当該目的地を示す所定のマークを表示して(図5の表示例参照)、ステップS201に戻る。
(ステップS205)取得部103は、障害物検知装置2を用いて障害物情報を取得する。取得部103は、障害物検知装置2から出力される障害物の検知情報のうち、自動車Xを中心に所定の範囲RTH内に存在する障害物の障害物情報を取得する。なお、取得部103は、電波ビーコン又は光ビーコンを用いた安全運転支援システムを利用して自動車Xの走行経路における障害物情報を取得するようにしてもよい。また、取得部103は、車車間通信システム、路車間通信システム、歩車間通信システムなどの高度道路交通システムを利用して障害物情報を取得してもよい。
(ステップS206)取得部103は、障害物情報の取得処理により障害物が検出されたか否かを判別する。障害物が検出されない場合は(S206:N)、ステップS207に進み、障害物が検出された場合は(S206:Y)、ステップS210に進む。
(ステップS207)ナビゲーション部102は、自動車Xが近付いている交差点で経路案内の情報があるか否かを判別する。交差点における経路案内とは、交差点における経路が直進する、右折する、左折するなどの進行方向を運転者Yに知らせる案内である。交差点における経路案内の情報がない場合(S207:N)、ステップS203に進み、交差点における経路案内の情報がある場合(S207:Y)、ステップS208に進む。
(ステップS208)ナビゲーション部102は、ディスプレイの表示画面を二分割し、画面表示を一画面表示から二画面表示に切り換える。ナビゲーション部102は、例えば、当該ディスプレイの表示画面を横方向に二分割し、2つの分割画面を用いた二画面表示に切り換える。
(ステップS209)ナビゲーション部102は、一画面表示で行っていたナビゲーション情報の表示を二画面表示のうちの一方の画面に切り換える。また、ナビゲーション部102は、格納部101から交差点の構造を示す図像(例えば、交差点の部分を拡大した地図若しくは交差点の道路構造を示す模式図などの図)を読み出して他方の画面に表示する。そして、ナビゲーション部102は、その交差点の構造を示す画像に交差点における経路案内の情報を表示して(図6の表示例参照)、ステップS201に戻る。
(ステップS210)取得部103は、自動車Xが走行している道路又は障害物が存在する道路が所定の条件を満たすか否かを判別する。所定の条件は、道路が細街路に該当するという条件である。取得部103は、例えば、ナビゲーション部102がナビゲーション情報として取得した自動車Xが走行している道路の属性値又は障害物が存在する道路の属性値に幅員が閾値DTH(例えば、4[m])未満であるという情報が含まれているか否かを判別する。取得部103は、幅員が閾値DTH未満であるという情報(すなわち、道路が細街路であるという情報)が含まれていれば、自動車Xが走行している道路又は障害物が存在する道路は条件を満たすと判断し(S210:Y)、ステップS211に進み、幅員が閾値DTH未満であるという情報(すなわち、道路が細街路ではないという情報)が含まれていなければ(S210:N)、ステップS207に進む。
(ステップS211)出力部104は、ナビゲーション部102が二画面表示でナビゲーションをしているか否かを判別する。ナビゲーション部102が二画面表示でナビゲーションをしている場合は(S211:Y)、ステップS212に進み、ナビゲーション部102が一画面表示でナビゲーションをしている場合は(S211:N)、ステップS213に進む。
(ステップS212)出力部104は、取得部103が取得した障害物情報を、音声で出力する。例えば、取得部103が自動車Xの進入しようとしている交差点の手前に停車している大型の自動車(例えば、トラック)を障害物情報として取得したとする。出力部104は、取得部103が取得した障害物情報と予め用意されている雛形のメッセージ文とを用いてメッセージ文を生成する。「**交差点の手前に##が停車しています。注意してください。」の雛形のメッセージ文を格納部101に格納し、出力部104は、雛形のメッセージ文の「**」と「##」の部分に、ナビゲーション部102が取得した交差点の名称「○○」と取得部103が取得した障害物の種類(例えば、トラック)を嵌め込んで、「○○交差点の手前にトラックが停車しています。注意して下さい。」のメッセージ文を生成する。そして、出力部104は、メッセージ文を音声に変換してナビゲーション装置1のスピーカーから出力して(図7,図9の表示例参照)、ステップS201に戻る。
(ステップS213)出力部104は、ディスプレイの表示画面を二分割し、一画面表示から二画面表示に切り換える。出力部104は、当該ディスプレイの表示画面を横方向もしくは縦方向に二分割し、2つの分割画面を用いた二画面表示に切り換える。
(ステップS214)ナビゲーション部102は、一画面表示で行っていたナビゲーションを二画面表示のうちの一方の画面を用いて継続する。また、出力部104は、二画面表示のうちの他方の画面を用いて障害物情報を出力して(図8の表示例参照)、ステップS201に戻る。
なお、図10のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みがあった場合は、障害物情報の出力処理はその時点で終了する。
上記の実施の形態において、サーバなどで交通の障害となる状況に関する情報を提供するサービスがある場合は、取得部103が有線又は無線によりそのサーバにアクセスして交通の障害となる障害物情報を取得するようにしてもよい。
上記のように、本実施の形態によれば、ナビゲーション部102がナビゲーションを行っているときに、障害物情報を取得し、ナビゲーションとともにその障害物情報を出力するので、運転者Yに障害物に対する注意を喚起することができる。特に、自動車Xが交差点に近づいたときに障害物情報を取得してその障害物情報を出力するので、衝突事故が生じやすい交差点において、運転者Yに障害物への注意を喚起することができる。
また、ナビゲーション部102が行うナビゲーションの表示の状態に応じて、障害物情報をナビゲーションの出力態様とは異なる出力態様で出力するので、運転者Yへのナビゲーションを阻害することなく、運転者Yに対して障害物への注意を喚起することができる。 特に、障害物の位置情報を取得して地図上に障害物の位置を出力するので、自動車Xの現在位置に対する障害物の位置の相対的な位置関係を運転者Yに分かり易く知らせることができる。
また、自動車Xが走行している道路又は障害物が存在する道路が交通事故を誘発する所定の条件を満たす場合に、障害物情報を取得してナビゲーションとともに出力するようにしているので、運転者Yに障害物への注意を喚起して衝突事故の防止を支援することができる。例えば、道路の幅員が閾値以下又は閾値未満の幅員であるという条件を満たす場合、道路が見通しの悪い急カーブを有するという条件を満たす場合、道路の路面状態が凍結路などの低摩擦状態になっている条件を満たす場合などに障害物情報を運転者Yに報知することにより、細街路、急カーブ、凍結路などの事故が発生しやすい道路条件での障害物への事故を防止することができる。