JP2017153454A - ペクチン性多糖類の製造方法 - Google Patents

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龍司 阪本
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Abstract

【課題】植物より抽出したペクチン性多糖類の製造方法、ペクチン性多糖類の脱メトキシ化方法及びペクチン性多糖類の提供。
【解決手段】特定の塩基配列と65%以上の配列同一性を有する塩基配列によってコードされるアミノ酸配列を含む酵素又は他の特定のアミノ酸配列と65%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む酵素によって処理することにより、酸、アルカリ処理することなく、ペクチン性多糖類を脱メトキシ化する方法。好ましくは、前記同一配列性が90%以上、特に好ましくは、100%であるアミノ酸配列を有する酵素を作用させて脱メトキシ化することを含む、ペクチン性多糖類の製造方法。植物より抽出したペクチン性多糖類の全糖中のガラクツロン酸含量が65重量%以下であることが好ましい、ペクチン性多糖類の製造方法。好ましくは、塩基配列がペニシリウム属由来であり、植物が大豆またはエンドウである、ペクチン性多糖類の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ペクチン性多糖類の製造方法、ペクチン性多糖類の脱メトキシ化方法、およびペクチン性多糖類に関する。
食品産業においてペクチン性多糖類は酸性乳飲料用安定剤、ゲル化剤、増粘剤等の各種機能剤として利用されている多糖類である。ペクチン性多糖類はビートや果物等の様々な植物性原料から抽出され製造されており、大豆の食物繊維(オカラ)を原料として抽出して製造される水溶性大豆多糖類もその一種である。
その糖鎖の構造は由来する原料によって様々である。ペクチン性多糖類中の糖鎖の特徴は、主成分であるガラクツロン酸のみから構成されるホモガラクツロナン領域と、ガラクツロン酸およびラムノースの二糖の繰り返し構造の主鎖に、ラムノースからアラビナンやガラクタン等の中性糖の側鎖を有するラムノガラクツロナン領域とがあることである(図1)。これらの領域の割合は植物の起源により異なっている。
ペクチン性多糖類中のガラクツロン酸残基は、カルボキシル基が部分的にメトキシ化されており、全ガラクツロン酸分子中におけるメトキシ化されたガラクツロン酸分子の割合はメトキシ化度(DM)で表される。ペクチン性多糖類の機能剤としての効果は、このDM値によって大きく影響を受けることがわかっている。DM値が50%以上では、酸性条件下で高濃度の糖が存在するとゲル化する。一方、DM値が50%未満では、Ca2+などの多価イオンの存在下でゲル化が起こる。植物細胞壁中では後者の作用によりペクチン性多糖類が架橋し、細胞壁に強度を与えている。
ペクチン性多糖類のDM値を調整する例として、例えば酸性飲料の分散安定性を高めるため、ペクチン性多糖類の糖鎖中の一部の糖に結合しているメチルエステルを加水分解して脱メトキシ化処理された水溶性大豆多糖類が開示されている(特許文献1、2)。この脱メトキシ化処理の方法として、酸、アルカリ、アンモニア等の添加による方法が示されている。
特開平5−262802号公報 国際公開第2012/176852号公報
ペクチン性多糖類、例えば水溶性大豆多糖類の製造の際に、酸やアルカリによって糖の脱メトキシ化を行うと、その後の中和工程により生じる塩を電気透析等で除去する脱塩工程が必要であった。さらに、酸やアルカリの添加により悪風味の生成や着色が生じるため、活性炭処理等による脱臭工程や脱色工程が必要であった。
そのため、酸やアルカリ以外による脱メトキシ化方法として、ペクチンメチルエステラーゼ(以下、「PME」とも称する)を作用させる方法が挙げられるが、本発明者らの試験によれば、市販のPME製剤を用いても、ペクチン性多糖類の原料の起源によっては脱メトキシ化が十分にされない場合があった。例えば市販のPME(新日本化学工業製:スミチームPME)を用いた場合、リンゴ由来のペクチン性多糖類に対する活性は高かったが、水溶性大豆多糖類に対してはほとんど活性を示さなかった。この原因として、リンゴ由来のペクチン性多糖類にはホモガラクツロナン領域が多く、一方で大豆などの豆類のペクチン性多糖類にはラムノガラクツロナン領域が多いことが考えられる。さらに、市販のPMEによっては、内在するペクチナーゼによりペクチン性多糖類自体が分解してしまう問題もあった。
そこで本発明は上記の問題を改良し、ラムノガラクツロナン領域が多いペクチン性多糖類に対しても有効に作用する酵素による脱メトキシ化を行うことを含む、ペクチン性多糖類を製造する方法を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、特定の酵素を用いることで上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
(1)植物より抽出したペクチン性多糖類に、
a)配列番号1に記載の塩基配列と65%以上の配列同一性を有する塩基配列によってコードされるアミノ酸配列を含む酵素、または
b)配列番号2に記載のアミノ酸配列と65%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む酵素、
を作用させて脱メトキシ化することを含む、ペクチン性多糖類の製造方法、
(2)植物より抽出したペクチン性多糖類に、
a)配列番号1に記載の塩基配列と90%以上の配列同一性を有する塩基配列によってコードされるアミノ酸配列を含む酵素、または
b)配列番号2に記載のアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む酵素、
を作用させて脱メトキシ化することを含む、ペクチン性多糖類の製造方法、
(3)植物より抽出したペクチン性多糖類に、
a)配列番号1に記載の塩基配列によってコードされるアミノ酸配列を含む酵素、または
b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む酵素、
を作用させて脱メトキシ化することを含む、ペクチン性多糖類の製造方法、
(4)植物より抽出したペクチン性多糖類の全糖中のガラクツロン酸含量が65重量%以下である、(1)〜(3)のいずれかの製造方法、
(5)植物が大豆またはエンドウである、(1)〜(3)のいずれかの製造方法、
(6)塩基配列がペニシリウム属由来である、(1)〜(5)のいずれかの製造方法、
(7)植物より抽出したペクチン性多糖類に、
a)配列番号1に記載の塩基配列と65%以上の配列同一性を有する塩基配列によってコードされるアミノ酸配列を含む酵素、または
b)配列番号2に記載のアミノ酸配列と65%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む酵素、
を作用させることを含む、ペクチン性多糖類の脱メトキシ化方法、
(8)植物より抽出したペクチン性多糖類の全糖中のガラクツロン酸含量が65重量%以下である、(7)の方法、
に関する。
本発明によれば、豆類由来のペクチン性多糖類のような、ガラクツロン酸含量が比較的少ない、すなわちラムノガラクツロナン領域が多いペクチン性多糖類であっても、酵素によって効率良く脱メトキシ化処理することができる。
ペクチン性多糖類の推定構造を示す図である。 アップルペクチン、水溶性大豆多糖類に対するPMEの活性を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。本発明は、ある態様において、ペクチン性多糖類に酵素を作用させることを含む、脱メトキシ化されたペクチン性多糖類の製造方法を提供する。
(ペクチン性多糖類)
本態様におけるペクチン性多糖類は、ガラクツロン酸を主成分とする主鎖を有する植物由来の水溶性多糖類をいう。ペクチン性多糖類は、通常ホモガラクツロナン領域とラムノガラクツロナン領域を有している。一実施形態において、本発明におけるペクチン性多糖類は、全糖中のガラクツロン酸含量が65重量%以下であり、好ましくは60重量%以下であり、より好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは25重量%以下である。全糖中のガラクツロン酸含量が少ないほど、ペクチン性多糖類中のホモガラクツロナン領域が少なく、逆にラムノース、アラビノース、ガラクトース、フコース、キシロース、グルコース等の中性糖を持つラムノガラクツロナン領域が多い指標となる。全糖中のガラクツロン酸含量は、以下の方法で求められる:
(構成糖の分析)
本態様におけるペクチン性多糖類の全糖含量はフェノール硫酸法を用いた比色定量法にて、ガラクツロン酸含量はBlumenkrantz法を用いた比色定量法にて測定する。中性糖の組成は、硫酸分解した後、電気化学検出器を用いたイオンクロマトグラフィー法(HPLC-PAD法)を用いて測定する。
本態様におけるペクチン性多糖類は植物由来である。好ましい植物の例として、豆類;サツマイモ、ジャガイモ等の芋類;およびビート等の根菜類が挙げられる。より好ましくは、本発明におけるペクチン性多糖類は豆類由来である。本態様の製造方法は、全糖中のガラクツロン酸含量が上述の範囲であるペクチン性多糖類に特に有効である。豆類由来のペクチン性多糖類は一般にラムノガラクツロナン領域が多く、上述のガラクツロン酸含量となる。豆類の好ましい例として、例えば大豆、小豆、エンドウ豆、インゲン豆、金時豆、うずら豆、ササゲ、緑豆、空豆、ヒヨコ豆、レンズ豆、落花生、イナゴ豆、クズなどが挙げられるが、これらに限定されない。さらに好ましくは、本発明におけるペクチン性多糖類は水溶性大豆多糖類または水溶性エンドウ多糖類である。好ましい実施形態において、本発明におけるペクチン性多糖類は豆類の子葉部から得られる。さらに具体的な例として、例えば、特許第2599477号公報に開示される水溶性大豆多糖類や国際公開WO2012/176852号に開示される水溶性エンドウ多糖類を用いることができる。
(ペクチン性多糖類の抽出)
酵素を作用させる前に、植物よりペクチン性多糖類を、例えば水などの溶媒で抽出する。多糖類を抽出する条件は、使用する植物に応じて当業者が適宜設定できる。例えば、熱水等の溶媒で抽出することによって多糖類を得ることができる。例えば大豆の場合、豆乳、豆腐や分離大豆蛋白質の製造過程で副生するオカラを原料として用いることができ、これを熱水抽出することによってペクチン性多糖類を得ることができる。
抽出の温度は、使用する原料に応じて当業者が適宜設定できる。例えば、100℃〜180℃、100℃〜150℃、150〜180℃などが挙げられる。抽出温度を100℃以上に設定することにより、抽出時間を短縮することができ、また歩留まりを向上させることができる等、実用性の面で好ましい。また、加熱温度の上限は特に規定されないが、180℃以下、さらに150℃以下に設定することにより副反応による着色を抑制することができ好ましい。
(脱メトキシ化酵素)
本態様において用いられる酵素は、ペクチンメチルエステラーゼ(PME)である。PMEの由来は特に限定されないが、好ましくは植物または微生物由来、より好ましくは微生物由来である。具体例として、例えば、配列番号1の塩基配列に対して、約65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上または100%の配列同一性を有する塩基配列によってコードされるアミノ酸配列を含む酵素である。また例えば、配列番号2のアミノ酸配列に対して、約65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む酵素である。
このような酵素は、配列番号1の塩基配列に対して、約65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上または100%の配列同一性を有するコード配列を含む微生物により産生させることができる。ここでいうコード配列とは、実際にアミノ酸翻訳が行われる配列をいう。このようなコード配列を含む微生物の例として、典型的にはペニシリウム(Penicillium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ネオサルトリア(Neosartorya)属等に属する微生物が挙げられ、特にペニシリウム属が70%以上の配列同一性を有する。より詳しくは80%以上の配列同一性を有する微生物としては、ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)、ペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roqueforti)、ペニシリウム・ソリタム(Penicillium solitum)、ペニシリウム・ノルディカム(Penicillium nordicum)、ペニシリウム・カマンベルティ(Penicillium camembertii)、ペニシリウム・エキスパンサム(Penicillium expansum)等に属する菌株が挙げられる。75%以上の配列同一性を有する微生物としては、ペニシリウム・ディギタータム(Penicillium digitatum)等に属する菌株が挙げられる。70%以上の配列同一性を有する菌種としては、ペニシリウム・ブラシリアヌム(Penicillium brasilianum)、ペニシリウム・パルロゼラム(Penicillium purpurogenum)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、ネオサルトリア・ウダガワエ(Neosartorya udagawae)等に属する菌株が挙げられる。65%以上の配列同一性を有する菌種としては、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ノミウス(Aspergillus nomius)、ネオサルトリア・フィシェリ(Neosartorya fischeri)等の菌種の微生物が挙げられる。特に配列番号1の塩基配列と100%の配列同一性を含む微生物としてペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)31B株(寄託番号P-02187、寄託機関:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター)が挙げられる。また、このような性質を満たす限り、市販の酵素を使用してもよい。
Figure 2017153454
(酵素による脱メトキシ化)
抽出されたペクチン性多糖類の脱メトキシ化処理は、上記の酵素を用いて、例えばpH4〜7、30〜50℃、30分間〜2時間の条件で行う。好ましいpHの例はpH4.5〜5.5などであり、温度の例は35〜45℃などであり、時間の例は40分間〜1.5時間などである。分散安定性などの、所望の効果を得るためには、酵素処理により、ガラクツロン酸などの全ウロン酸当たりのメトキシ化されているウロン酸の含量(メトキシ化度:DM)を60%以下、好ましくは50%以下とすることが好ましい。なお、DM値は以下の方法により定量するものとする。
(メトキシ化度の定量方法)
メトキシ化度の定量は、通常のペクチン性多糖類のメトキシ化度を測定する方法に準じる。すなわち、アルカリで脱メチルする前後の試料液を用い、滴定値より以下の計算式によって求める。
メトキシ化度(DM)= V2/(V1+V2)×100
上式中、V1は、塩酸を含むイソプロピルアルコールを用いて試料のウロン酸をフリーにし、さらにイソプロピルアルコールで洗浄し、塩酸を除去した試料を作成し、この試料水溶液を用いて、フェノールフタレインを指示薬として赤変した点を終点とする滴定における0.1N水酸化ナトリウムの滴定量(ml)である。また、V2は、上記の滴定された試料水溶液に終濃度0.5Nになる様に水酸化ナトリウムを加えて強アルカリ性とし、攪拌下に40℃,20分間加温して完全に脱メチルし、次いで脱メチルに用いた水酸化ナトリウム量と当量の塩酸を加え、V1と同様にして滴定した時の0.1N水酸化ナトリウムの滴定量(ml)である。
(精製処理)
得られたペクチン性多糖類を含む反応液はそのまま、または要すれば中和後に、必要に応じて精製処理を施すことができる。精製処理する通常の方法として、活性炭処理、樹脂吸着処理、限外濾過法、逆浸透法、ゲル濾過法、透析法、イオン交換樹脂法、電気透析法およびイオン交換膜法等が例示でき、これらの一法または二法以上の組み合わせにより行うことができる。ただし本発明では、特定のPME酵素を用いて脱メトキシ化処理を行うことにより、脱塩処理や脱色処理などの精製処理を省略することができることが特徴であるため、これらの精製処理を行わないことにより、より製造効率を高めたペクチン性多糖類の製造手段を実現できる。
得られたペクチン性多糖類の反応液またはさらに精製処理後の液を、好ましくは加熱殺菌し、濃縮および/または乾燥を行い、濃縮品または乾燥品とする。加熱殺菌、濃縮、乾燥の手段は当業者に公知の方法を用いることができる。濃縮の例として、例えば蒸発、減圧、凍結濃縮等が挙げられる。また乾燥の例として、噴霧乾燥、凍結乾燥、ドラム乾燥等が挙げられる。
本発明は他の態様において、ペクチン性多糖類を脱メトキシ化する方法に関する。用いられる原材料、処理方法は上記の通りである。
また本発明は他の態様において、上記の方法で得られたペクチン性多糖類に関する。用いられる原材料、処理方法は上記の通りである。本方法で得られたペクチン性多糖類は、脱塩、活性炭処理等による脱臭工程や脱色工程などの工程を経ずとも、良好な性状を示す。
以下に実施例を記載するが、本発明が実施例により必ずしも限定されるものではない。特に断りのない限り、%および部は重量基準を示す。
実施例1:
1.酵素の作製
ペニシリウム・クリソゲナム31B株(寄託番号:P-02187、寄託機関:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター)より、PMEを発現する遺伝子配列と推定される配列番号1または3の配列を、pPICZαベクターに挿入し、大腸菌をベクターで形質転換してプラスミドを得た。得られたプラスミドを用いて、エレクトロポレーション法によりピキア・パストリス(Pichia pastoris)酵母を形質転換し、PMEを作製した(図2ではrPME2)。得られたPMEのアミノ酸配列は配列番号2の通りであった。
2.酵素処理
得られた酵素20μLと、5%大豆多糖類(不二製油(株)製:「ソヤファイブ−S−LN」、図2ではLN、全糖中ガラクツロン酸含量:約18%)または1%アップルペクチン(Sigma製:pectin from apple、図2ではAP、全糖中ガラクツロン酸含量:約80%以上)各々180μLを混合し、37℃1時間でインキュベートした後、イソプロパノール400μLを加え、遠心分離に供した。得られた上清(450μL)に、2mg/mLブタノール50μLを内部標準として加え、ガスクロマトグラフ(GC)分析を行った。PME活性はメタノール遊離量を指標に算出した。結果を図2に示す。
比較例1:市販PME(スミチームPME)
市販のPME(新日本化学工業製:スミチームPME)を用いて、実施例と同様に酵素処理を行った。結果を図2に示す。
上記結果により、実施例の酵素はラムノガラクツロナン領域の多い水溶性大豆多糖類に対しても作用したが、市販のPMEはアップルペクチンのみに活性を示した。
比較例2:アルカリ処理による脱メトキシ化方法
実施例1で用いた5%水溶性大豆多糖類(不二製油(株)製:「ソヤファイブ−S−LN」)溶液にアルカリを添加して、pH12.0に調整し、60℃に保持しつつ60分間、脱メトキシ化処理を行い、次に溶液のpHを4.5に調整した。
しかし、脱メトキシ化処理におけるアルカリと酸によるpH調整により、水溶性大豆多糖類溶液中に生ずる塩の量が多くなったため、該溶液を電気透析に通して塩を除去した。また、脱塩後の水溶性大豆多糖類溶液は、なお脱メトキシ化処理によって、独特の悪風味が付き、着色も強いものであった。そのため活性炭処理を行ってさらに悪風味や着色を取り除いた。
このように、アルカリ処理による脱メトキシ化方法を行うと、電気透析や活性炭処理などの精製工程が必ず必要となり、水溶性大豆多糖類の製造工程が煩雑となった。
本発明により、酸、アルカリ等の処理を行わずにペクチン性多糖類を脱メトキシ化することができる。

Claims (8)

  1. 植物より抽出したペクチン性多糖類に、
    a)配列番号1に記載の塩基配列と65%以上の配列同一性を有する塩基配列によってコードされるアミノ酸配列を含む酵素、または
    b)配列番号2に記載のアミノ酸配列と65%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む酵素、
    を作用させて脱メトキシ化することを含む、ペクチン性多糖類の製造方法。
  2. 植物より抽出したペクチン性多糖類に、
    a)配列番号1に記載の塩基配列と90%以上の配列同一性を有する塩基配列によってコードされるアミノ酸配列を含む酵素、または
    b)配列番号2に記載のアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む酵素、
    を作用させて脱メトキシ化することを含む、ペクチン性多糖類の製造方法。
  3. 植物より抽出したペクチン性多糖類に、
    a)配列番号1に記載の塩基配列によってコードされるアミノ酸配列を含む酵素、または
    b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む酵素、
    を作用させて脱メトキシ化することを含む、ペクチン性多糖類の製造方法。
  4. 植物より抽出したペクチン性多糖類の全糖中のガラクツロン酸含量が65重量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 植物が大豆またはエンドウである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 塩基配列がペニシリウム属由来である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 植物より抽出したペクチン性多糖類に、
    a)配列番号1に記載の塩基配列と65%以上の配列同一性を有する塩基配列によってコードされるアミノ酸配列を含む酵素、または
    b)配列番号2に記載のアミノ酸配列と65%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む酵素、
    を作用させることを含む、ペクチン性多糖類の脱メトキシ化方法。
  8. 植物より抽出したペクチン性多糖類の全糖中のガラクツロン酸含量が65重量%以下である、請求項7に記載の方法。
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