JP2017152694A - 熱電変換セル及び熱電変換モジュール - Google Patents

熱電変換セル及び熱電変換モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】熱電変換材料同士の熱膨張差による破損を防止でき、交換が容易で、簡便な構造により構成された熱電変換セル及び熱電変換モジュールを提供する。
【解決手段】熱電変換セル101Aは、貫通孔11を有し、その貫通孔11の貫通方向の両端部のそれぞれに雌ねじ部(絶縁側ねじ部)12aを有する絶縁部材1Aと、熱電変換素子(P型熱電変換素子31)を有し、貫通孔11内に収容された熱電変換部材3Aと、絶縁部材1Aの各端部にそれぞれ連結され、雌ねじ部12aに対応する雄ねじ部(電極側ねじ部)22a及び貫通孔11内の熱電変換部材3Aの端部に電気的に接続された電極部22を有する電極部材2Aと、を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、P型熱電変換素子又はN型熱電変換素子を備える熱電変換セル及び、その熱電変換セルを用いて複数のP型熱電変換素子とN型変換素子とを直列に配列した熱電変換モジュールに関する。
熱電変換モジュールは、一組の配線基板(絶縁基板)の間に、一対のP型熱電変換素子とN型熱電変換素子とを電極あるいは直接に接続状態に組み合わせた熱電変換セルを、P型,N型,P型,N型の順に交互に配置されるように、電気的に直列に接続した構成とされ、両端を直流電源に接続して、ペルチェ効果により各熱電変換素子中で熱を移動させる(P型では電流と同方向、N型では電流と逆方向に移動させる)、あるいは、両配線基板間に温度差を付与して各熱電変換素子にゼーベック効果により起電力を生じさせるもので、冷却、加熱、あるいは、発電としての利用が可能である。
熱電変換モジュールに用いる熱電変換セルとして、例えば特許文献1には、筒状絶縁支持体の隔壁を介した一方の内部にP型熱電変換素子(p型半導体素子)が充填され、他方の内部にN型熱電変換素子(n型半導体素子)が充填され、一端部でP型熱電変換素子とN型熱電変換素子とが電気的に接続された熱電変換セル(熱電変換素子)が開示されている。また、特許文献1には、筒状絶縁支持体の内部にP型熱変換素子とN型熱電変換素子とを配置した熱電変換セルにより、各熱電変換セルを密着して配置できるので、熱電変換モジュールの組立作業が容易になることが記載されている。
また、特許文献2には、熱電変換素子を備える発電部を有し、継続的に動作することができる温度検出装置が開示されている。この特許文献2に記載の温度検出装置では、ケースに熱電変換素子を収容し、熱電変換素子を第1伝熱部と第2伝熱部との間で押圧することによって固定している。また、特許文献2には、第1伝熱部と熱電変換素子との間、及び第2伝熱部と熱電変換素子との間のうちのいずれか一方に、衝撃吸収性を有する熱接続要素を介在させた固定構造により、熱電変換素子の破損を抑えることが記載されている。
さらに、特許文献3には、熱電変換素子(半導体素子材チップ)を螺子孔を有する一対の金属ブロックで挟み接合することにより構成された熱電変換用基本素子が開示されている。また、特許文献3には、この熱電変換用基本素子を金属セグメントに固定螺子によって固定することにより、熱電変換モジュール(熱電変換素子)を構成することが記載されており、熱電変換モジュールは、熱電変換用基本素子に直接、固定螺子を埋め込む構造により構成されている。
特開2011‐134940号公報 特開2015‐32747号公報 特開平8‐306968号公報
このような熱電変換モジュールには、熱電変換モジュールの両面あるいは片面に絶縁基板が用いられることが多い。しかし、この構成では熱電変換材料と金属材料等の異種材料の界面が多いため、製造プロセスが複雑になるとともに、熱膨張差等による異種材料の界面の剥離や熱電変換材料の破壊が生じやすい。特許文献1に記載される熱電変換セルにおいても、異種材料の界面が多く存在し、熱膨張差による破壊が懸念される。また、特許文献1に記載の熱電変換セルのように、筒状絶縁支持体の内部にP型熱変換素子とN型熱電変換素子とを充填した構成では、加工作業が煩雑になる。また、特許文献2に記載される熱電変換素子の固定構造は、衝撃吸収性を有する熱接続要素を介在させることにより、熱電変換素子の破損を抑えているが、使用する部材が多く、複数の熱電変換素子を組み合わせて大型化する構造への適用が難しい。
また、特許文献3に記載の熱電変換モジュールのように、螺子孔を有する一対の金属ブロックを熱電変換素子に接合した熱電変換用基本素子を設け、熱電変換用基本素子を金属セグメントを介して固定螺子により固定する構造では、金属ブロックと熱電変換素子とを接合した熱電変換用基本素子が必要になるため、金属ブロックと熱電変換材料の接合性が良い材料でなければ出力や耐久性の低下を招いてしまう。また、特許文献3に記載の熱電変換用基本素子の構造では、熱電変換素子を固定螺子の雄ねじ部よりも十分に太くする必要があり、設計が難しい。
また、熱電変換モジュールは、複数の熱電変換セルのP型熱電変換素子とN型熱電変換素子とを交互に直列に接続していることから、一部の熱電変換セルの破損により、正常に機能する大多数部分も含めて熱電変換モジュールが使用不可能となる。さらに、熱電変換モジュールを最大出力で使用するためには、熱電変換モジュールの内部抵抗と出力先の負荷抵抗とが同等でなければならない。このため、出力先の負荷抵抗に合わせて、事後的に熱電変換モジュールの内部抵抗を変更することが望ましい。しかし、熱電変換セル同士が連結された構造では、容易に変更や交換を行えず、設計の自由度が制限されていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、熱電変換材料同士の熱膨張差による破損を防止でき、交換が容易で、簡便な構造により構成された熱電変換セル及び熱電変換モジュールを提供することを目的とする。
本発明の熱電変換セルは、少なくとも1個の貫通孔を有し、該貫通孔の貫通方向の両端部のそれぞれに絶縁側ねじ部を有する絶縁部材と、少なくとも1個の熱電変換素子を有し、前記貫通孔内に収容された熱電変換部材と、前記絶縁部材の各端部にそれぞれ連結され、前記絶縁側ねじ部に対応する電極側ねじ部及び前記貫通孔内の前記熱電変換部材の端部に電気的に接続された電極部とを有する電極部材と、を備える。
熱電変換セルは、絶縁部材の両端部のそれぞれに設けられた絶縁側ねじ部と、電極部材に設けられた電極側ねじ部との螺合により、絶縁部材に電極部材が連結された構成とされる。また、電極部材と熱電変換部材(熱電変換素子)とは、電極部材が絶縁部材に連結されることにより、各電極部材の電極部同士の間に熱電変換部材が挟持され、電気的に接続される。このように、熱電変換部材と各電極部材とは接合されておらず、電極部の間に熱電変換部材が挟持されることにより電気的に接続されるので、異種材料の熱膨張差による各部材の破損を防止できる。また、熱電変換セルは、絶縁部材の絶縁側ねじ部と電極部材の電極側ねじ部とを締めたり緩めたりすることで、容易に組み立てや分解を行うことができる。したがって、絶縁部材の内部に収容される熱電変換部材に破損が生じたり、設計変更により熱電変換部材の交換が必要になったりした際にも、熱電変換部材の交換を容易に行うことができる。
また、絶縁部材に複数の貫通孔を設けて各貫通孔にそれぞれ熱電変換部材を収容することで、複数の熱電変換部材が配列された熱電変換セルを構成することもできる。この場合、絶縁部材の両端部には、貫通孔の数に応じて複数の電極部材が連結されるが、隣接して配置される電極部材同士の間を導電性を有する接続部材により電気的に接続することで、各貫通孔の内部に収容された熱電変換部材のP型熱電変換素子とN型熱電変換素子とを交互に直列に接続でき、容易に熱電変換モジュールを製造できる。
なお、同じ極性を持つ熱電変換セルを並列に組み合わせることで、熱電変換モジュールの内部抵抗を制御可能であり、出力先の負荷抵抗に適応した熱電変換モジュールの設計を任意に行うことができる。さらに、使用可能温度領域の異なる熱電変換部材を収容した熱電変換セル同士を温度の勾配方向に重ねて直列に連結することで、セグメント構造を構成でき、熱電変換モジュールの高効率化を図ることができる。
本発明の熱電変換セルにおいて、前記少なくとも1個の貫通孔は1個であり、前記絶縁部材の両端部に設けられた前記絶縁側ねじ部のうち、一方が正ねじからなり、他方が逆ねじからなるとよい。
絶縁部材の両端部に設けられた絶縁側ねじ部の一方を正ねじとし、他方を逆ねじとすることで、一方と他方の絶縁側ねじ部の締め込み方向を揃えることができる。このため、絶縁部材を締め込み方向に回転させることで、両端部の絶縁側ねじ部と電極部材の電極ねじ部とを一度に連結できる。また、絶縁部材を締め込み方向と逆方向に回転させることで、絶縁側ねじ部と電極側ねじ部とを緩めることができ、絶縁部材の両端部にそれぞれ連結されている電極部材を一度に取り外せる。したがって、熱電変換セル及び熱電変換モジュールを容易に製造できる。
本発明の熱電変換セルにおいて、前記絶縁側ねじ部が雄ねじ部であり、前記電極側ねじ部が雌ねじ部であり、前記貫通孔の貫通方向において、前記熱電変換部材が前記絶縁部材よりも大きく形成された構成であってもよい。
本発明の熱電変換セルにおいて、前記絶縁側ねじ部が雌ねじ部であり、前記電極側ねじ部が雄ねじ部であり、前記貫通孔の貫通方向において、前記熱電変換部材が前記絶縁部材よりも小さく形成された構成であってもよい。
本発明の熱電変換セルにおいて、前記熱電変換部材は、P型熱電変換素子又はN型熱電変換素子からなる複数の前記熱電変換素子を直接又は導電性部材を介して前記貫通孔の貫通方向に積層された構成であってもよい。
貫通孔の内部に収容される熱電変換部材は、単体のP型熱電変換素子又はN型熱電変換素子により構成することもできるし、複数のP型熱電変換素子又はN型熱電変換素子を積層して構成することもできる。熱電変換セルでは、熱電変換部材と電極部材との接合を行うことなく、電極部同士の間に熱電変換部材を挟持することで熱電変換部材と電極部材とを電気的に接続することとしているので、複数の熱電変換セルを組み合わせることで、異なる材質からなるP型熱電変換素子とN型熱電変換素子とを組み合わせることができ、材料の選択肢が広がり、両熱電変換素子の性能を揃えて安定した熱電変換モジュールを構成できる。
本発明の熱電変換モジュールは、前記熱電変換セルを複数有し、前記熱電変換セルは、前記熱電変換素子がP型熱電変換素子からなる第1熱電変換セルと、前記熱電変換素子がN型熱電変換素子からなる第2熱電変換セルとを有しており、前記第1熱電変換セルと前記第2熱電変換セルとが交互に直列に接続されてなる。
本発明の熱電変換モジュールにおいて、前記第1熱電変換セルと前記第2熱電変換セルとは、導電性を有する接続部材により接続される構成であってもよい。
本発明の熱電変換モジュールにおいて、前記第1熱電変換セルの前記電極部材と前記第2熱電変換セルの前記電極部材とが一体に形成された連結型電極部材を有し、前記連結型電極部材により前記第1熱電変換セルと前記第2変換セルとが接続される構成であってもよい。
本発明の熱電変換モジュールにおいて、前記第1熱電変換セルと前記第2熱電変換セルとが前記貫通方向に交互に積層されてなり、前記熱電変換セルの一方の端部に連結される前記電極部材に高温側フィンが接続され、該熱電変換セルの他方の端部に連結される前記電極部材に低温側フィンが接続される構成であってもよい。
本発明の熱電変換モジュールにおいて、前記高温側フィンと前記低温側フィンは、前記電極部材に一体に形成される構成であってもよい。
本発明によれば、熱電変換材料同士の熱膨張差による熱電変換部材の破損を防止でき、熱電変換部材の破損が生じた際にも、熱電変換モジュール内の熱電変換部材の交換を容易に行うことができる。
本発明の第1実施形態の熱電変換セルを示す正面図である。 図1に示す熱電変換セルの縦断面図である。 図1に示す熱電変換セルの分解断面図である。 図1に示す熱電変換セルを用いた熱電変換モジュールの正面図である。 本発明の第2実施形態の熱電変換セルを示す縦断面図である。 第2実施形態の熱電変換セルを用いた熱電変換モジュールを示す正面図である。 本発明の第3実施形態の熱電変換セルを示す縦断面図である。 本発明の第4実施形態の熱電変換セルを示す縦断面図である。 本発明の第5実施形態の熱電変換セルを用いた熱電変換モジュールの正面図である。 図9のA‐A線の矢視方向の平断面図である。 本発明の第6実施形態の熱電変換セルを用いた熱電変換モジュールの縦断面図である。 図11に示す熱電変換モジュールの上面図である。 図11に示す熱電変換モジュールの下面図である。 本発明の第7実施形態の熱電変換セルを用いた熱電変換モジュールの縦断面図である。 本発明の第8実施形態の熱電変換セルを用いた熱電変換モジュールの縦断面図である。 本発明の第9実施形態の熱電変換セルを用いた熱電変換モジュールの縦断面図である。 本発明の第10実施形態の熱電変換セルを用いた熱電変換モジュールの縦断面図である。 本発明の第11実施形態の熱電変換セルを示す正面図である。 図18に示す熱電変換セルの縦断面図である。 図18に示す熱電変換セルの分解斜視図である。 本発明の第12実施形態の熱電変換セルを用いた熱電変換モジュールを示す斜視図である。 図21に示す熱電変換モジュールの縦断面図である。 本発明の第13実施形態の熱電変換セルを用いた熱電変換モジュールの斜視図である。 図23に示す熱電変換モジュールの縦断面図である。 図23に示す熱電変換モジュールの分解断面図である。 本発明の第14実施形態の熱電変換モジュールを示す斜視図である。 本発明の第15実施形態の熱電変換モジュールを示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図4に、熱電変換モジュール201の実施形態を示す。この熱電変換モジュール201は、複数の熱電変換セル101A,101Bを有し、導電性を有する接続部材4を介してP型熱電変換素子31を備える第1熱電変換セル101AとN型熱電変換素子32を備える第2熱電変換セル101Bとが接続されており、P型熱電変換素子31とN型熱電変換素子32とが直列に接続された構成とされる。熱電変換セル101A,101Bを構成する熱電変換素子として、P型熱電変換素子31又はN型熱電変換素子32が用いられる。なお、図1〜図3には、P型熱電変換素子31を用いた第1熱電変換セル101Aを一例として図示している。
第1熱電変換セル101Aは、図1〜図3に示すように、1個(単数)の貫通孔11を有する絶縁部材1Aと、貫通孔11の内部に収容された1個(単数)のP型熱電変換素子31(熱電変換素子)を有する熱電変換部材3Aと、絶縁部材1Aの各端部にそれぞれ連結された一組の電極部材2A,2Aとを備える構成とされる。また、図4に示す第2熱電変換セル101Bは、熱電変換セル101Aと共通の絶縁部材1Aと一組の電極部材2A,2Aを用いて構成され、貫通孔11の内部に収容される熱電変換部材3Bが、1個(単数)のN型熱電変換素子32を有する構成とされる。
絶縁部材1Aは、絶縁性を有する部材により形成され、一般的なセラミックス(例えば、陶器、磁器、ステアタイト、コージライト、フォルステライト、ムライト、マセライト、マコール、ホトベール、ジルコニア、チタニア、イットリア、アルミナ、窒化ケイ素)、ガラス、樹脂等の熱伝導性の低い材料が好適に用いられる。本実施形態の絶縁部材1Aは、内側に貫通孔11が形成されることにより円筒状に設けられており、貫通孔11の両開口部(両端部)に雌ねじ部12aが設けられ、これらの雌ねじ部12aにより本発明における絶縁側ねじ部が構成されている。なお、雌ねじ部12aは、正ねじ(右ねじ)とされる。
電極部材2Aは、導電性を有する部材により形成され、アルミニウムやアルミニウム合金、黄銅等の金属材料が好適に用いられる。電極部材2Aは、図1〜図3に示すように、円板状の頭部21と、この頭部21から立設された円柱状の電極部22とを有している。また、電極部22の外周面に、絶縁部材1Aの雌ねじ部12aに対応する雄ねじ部22aが設けられており、この雄ねじ部22aにより本発明における電極側ねじ部が構成されている。
そして、電極部材2Aは、その雄ねじ部22aと絶縁部材1Aの雌ねじ部12aとの螺合により、絶縁部材1Aに着脱可能に取り付けられており、雄ねじ部22aと雌ねじ部12aとを螺合させることで、貫通孔11内に収容される熱電変換部材3A又は熱電変換部材3Bの端部に電極部22の下面が当接されるようになっている。また、雌ねじ部12aと雄ねじ部22aとの螺合により、一組の電極部材2A,2Aが、それぞれ絶縁部材1Aの両端部に連結されることで、各電極部材2A,2Aの電極部22,22同士の間に熱電変換部材3A又は熱電変換部材3Bが挟持され、各電極部材2Aと熱電変換部材3A又は熱電変換部材3Bとが電気的に接続される。
このように、熱電変換部材3A(P型熱電変換素子31)又は熱電変換部材3B(N型熱電変換素子32)と各電極部材2Aとは接合されておらず、絶縁部材1Aの雌ねじ部12aと各電極部材2Aの雄ねじ部22aとを締めたり緩めたりすることで、熱電変換セル101A,101Bの組み立てや分解を容易に行うことができる。なお、電極部材2Aの電極部22は、熱電変換部材3A,3Bとの接続部分の面積(下面)が、熱電変換部材3A,3Bの大きさに応じて、熱電変換部材3A,3Bの端面の面積よりも若干大きく設定される。
P型熱電変換素子31及びN型熱電変換素子32の材料としては、テルル化合物、スクッテルダイト、充填スクッテルダイト、ホイスラー、ハーフホイスラー、クラストレート、シリサイド、酸化物、シリコンゲルマニウムなどがあり、ドーパントによりP型とN型の両方をとれる化合物と、P型かN型のどちらか一方のみの性質をもつ化合物がある。また、P型熱電変換素子の材料として、BiTe、SbTe、PbTe、TAGS(=Ag‐Sb‐Ge‐Te)、ZnSb、CoSb、CeFeSb12、Yb14MnSb11、FeVAl、MnSi1.73、FeSi、NaCoO、CaCo、BiSrCo、SiGeなどが用いられ、N型熱電変換素子の材料として、BiTe、PbTe、LaTe、CoSb、FeVAl、ZrNiSn、BaAl16Si30、MgSi、FeSi、SrTiO、CaMnO、ZnO、SiGeなどが用いられる。
これらの材料のうち、環境への影響が少なく、資源埋蔵量も豊富なシリサイド系材料が注目されていることから、本実施形態でもシリサイド系材料を用いる。すなわち、P型熱電変換素子31がマンガンシリサイド(MnSi1.73)、N型熱電変換素子32がマグネシウムシリサイド(MgSi)により形成される。これらP型熱電変換素子31とN型熱電変換素子32とは、例えば横断面が正方形、一辺が1mm〜8mm)の角柱状に形成され、長さ(貫通孔11の貫通方向に沿う長さ)は2mm〜8mmとされる。また、図2及び図3に示すように、各熱電変換素子31,32の長さh1は、絶縁部材1Aの長さ(高さ)h21よりも小さく形成される。
なお、各熱電変換素子31,32については、例えばボールミルにて母合金を例えば粒径75μm以下に粉砕後、プラズマ放電焼結、ホットプレス、熱間等方圧加圧法により例えば円盤状、各板状のバルク材を作製し、これを例えば角柱状に切断することにより形成される。なお、各熱電変換素子31,32の両端面に、ニッケル、金等のめっきからなるメタライズ層33が形成される。
このように、本実施形態の熱電変換セル101A,101Bにおいては、絶縁部材1Aの貫通孔11の内部にP型熱電変換素子31を有する熱電変換部材3A又はN型熱電変換素子32を有する熱電変換部材3Bを収容するとともに、両電極部材2A,2Aの間に熱電変換部材3A又は熱電変換部材3Bを挟持することにより、電極部材2Aと熱電変換部材3A,3Bとを電気的に接続することとしているので、異種金属の熱膨張差による各部材の破損を防止できる。また、熱電変換セル101A,101Bは、絶縁部材1Aの雌ねじ部12aと電極部材2Aの雄ねじ部22aとを締めたり緩めたりすることで、容易に組み立てや分解を行うことができ、絶縁部材1Aの内部に収容される熱電変換部材3A,3Bに破損が生じたり、設計変更により熱電変換部材3A,3Bの交換が必要になった際にも、熱電変換部材3A,3Bの交換を容易に行うことができる。
また、図4に示すように、P型熱電変換素子31を備える第1熱電変換セル101AとN型熱電変換素子32を備える第2熱電変換セル101Bとを用いて、これら熱電変換セル101A,101Bを、P型熱電変換素子31とN型熱電変換素子32とが交互に直列に接続されるように複数組み合わせることにより、熱電変換モジュール201を容易に製造できる。この熱電変換モジュール201は、第1熱電変換セル101Aと第2熱電変換セル101Bとを並列に並べて配置し、一方の側部(図4では上側)に配置される電極部材2A,2A間を接続部材4を介して接続することにより製造される。接続部材4は、導電性を有する部材により形成され、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金を好適に用いることができる。
この場合、電極部材2Aの頭部21と絶縁部材1Aとの間に接続部材4を挟持することにより、電極部材2Aと接続部材4とを介して第1熱電変換セル101Aと第2熱電変換セル101Bとが電気的に接続され、P型熱電変換素子31とN型熱電変換素子32とが直列に接続される。また、接続部材4は、電極部材2Aの雄ねじ部22aと絶縁部材1Aの雌ねじ部12aとを締めたり緩めたりすることで、着脱可能に設けられる。
また、図1〜図4に示す熱電変換セル101A,101Bでは、頭部21を有する電極部材2Aを用いていたが、図5に示す第2実施形態の熱電変換セル(第1熱電変換セル)102のように、外周面全体に雄ねじ部22aが設けられた、いわゆる止めねじ(イモねじ)により電極部材2Bを構成してもよい。この場合、絶縁部材1Aから突出する電極部材2Bの雄ねじ部22aに、この雄ねじ部22aに対応する雌ねじ部(正ねじ)52aを有するナット5を取り付けることができ、これら電極部材2Bの雄ねじ部22aとナット5の雌ねじ部52aとの螺合により、熱電変換セル102の高さを自由に調整できる。このため、熱電変換セル102の高さの自由度を向上できる。ナット5は、導電性を有する部材により形成され、アルミニウムやアルミニウム合金、黄銅等の金属材料が好適に用いられる。
なお、第2実施形態の熱電変換セル102において、第1実施形態の熱電変換セル101A,101B及び熱電変換モジュール201と共通する要素には、同一符号を付して説明を省略する。また、同様に、以降の第3実施形態〜第13実施形態の熱電変換セル及び熱電変換モジュールにおいても、先行する実施形態と共通する要素には、同一符号を付して説明を省略する。
また、図4に示す熱電変換モジュール201では、P型熱電変換素子31を備える第1熱電変換セル101AとN型熱電変換素子32を備える第2熱電変換セル101Bとを並列に並べて配置した構成としていたが、図6に示す第3実施形態の熱電変換モジュール202のように、P型熱電変換素子31を備える第1熱電変換セル103AとN型熱電変換素子32を備える第2熱電変換セル103Bとを貫通孔11の貫通方向に交互に積層して配置した構成としてもよい。
この熱電変換モジュール202においては、第1熱電変換セル103Aと第2熱電変換セル101Bとが、それぞれの貫通孔11の雌ねじ部12aに取り付けられる電極部材2Bを介して接続される。電極部材2Bは、前述したように、外周面全体に雄ねじ部22aが設けられており、いわゆる止めねじ(イモねじ)により構成されるものである。そして、電極部材2Bには、その上面と下面とにそれぞれ電極部22,22が形成されており、電極部材2Bは2個の電極部材を一体に形成した構成とされる。そして、この電極部材2Bにより、本発明における連結型電極部材が構成され、第1熱電変換セル103Aと第2熱電変換セル103Bとが電極部材2Bにより接続される。
また、熱電変換モジュール202の各電極部材2Bには、電極部材2Bごとに交互に高温側フィン6Aと低温側フィン6Bとが取り付けられている。すなわち、熱電変換モジュール202は、第1熱電変換セル103A又は第2熱電変換セル103Bの個々の単位では、一方の端部に連結される電極部材2Bに高温側フィン6Aが接続され、他方の端部に連結される電極部材2Bに低温側フィンが接続された構成とされる。そして、熱電変換モジュール202は、図6の右側を高温部側とし、図6の左側を低温部側とすると、図6の上側から下側に向かって電流が流れ、発電できるようになっている。
また、上記実施形態の熱電変換セル101A,101B,102,103A,103Bでは、貫通孔11の内部に収容される熱電変換部材3A,3Bを、P型熱電変換素子31又はN型熱電変換素子32のいずれか1個(単数)の熱電変換素子を有する構成とし、P型熱電変換素子31とN型熱電変換素子32とが交互に直列に接続されるように複数組み合わせることにより熱電変換モジュール201,202を構成していたが、図7に示す第3実施形態の熱電変換モジュール203のように、使用可能温度領域が異なる熱電変換素子(P型熱電変換素子)34A〜34Cを備える熱電変換セル104A〜104C同士を、高温部側から低温部側にかけて温度の勾配方向に重ねて直列に連結した構成とすることも可能である。
このように、使用可能温度領域の異なる熱電変換部材3C〜3Eを収容した熱電変換セル104A〜104C同士を温度の勾配方向に重ねて直列に連結することで、セグメント構造を構成でき、熱電変換モジュールの高効率化を図ることができる。
なお、この熱電変換モジュール203においても、絶縁部材1Aの貫通孔の両開口部に一組の電極部材2B,2Bを取り付けて、両電極部材2B,2B間に熱電変換部材3C〜3Eを挟持することにより、熱電変換部材3C〜3Eと各電極部材2Bとが電気的に接続される。また、熱電変換部材3C〜3Eを電極部材2Bを介して積層する以外にも、各熱電変換部材3C〜3Eをアルミニウム等の導電性部材を介して積層できる。導電性部材を介して熱電変換部材3C〜3Dとを積層することで、導電性部材と熱電変換部材とを密着させることができ、電気抵抗を下げることができる。
また、図8に示す第4実施形態の熱電変換セル105のように、絶縁部材1Bの貫通孔11の内部に収容される熱電変換部材3Fが、複数の熱電変換素子(P型熱電変換素子)34A〜34Cを直接又は導電性部材を介して貫通孔11の貫通方向に積層された構成のものであってもよい。熱電変換素子34A〜34Cを貫通孔11内に重ねて収容して、絶縁部材1Aの上下に取り付けられる両電極部材2A,2Aの間に挟持することで、各熱電変換素子34A〜34Cを連結することも可能である。この場合、電極部材による電気抵抗や熱抵抗がなくなるため、電極部材を使用した場合よりも高い出力を得ることができる。
なお、絶縁部材1Bの貫通孔11の内部にある熱電変換素子34A〜34C同士や、メタライズ層33同士や、メタライズ層33と熱電変換素子同士が化学反応してしまう場合、若しくは使用温度領域が大きくことなる場合には、図7に示す構成を用いた方がよい。この場合、図7に示すように、電極部材2Bを使用して熱電変換素子34A〜34C同士を隔離でき、例えば上側に配置される熱電変換部材3Cの低温部側から伝わる温度よりも十分に低下した温度を、その下側に配置される熱電変換部材3Dの高温部側に伝えることが可能となる。
このように、異なる材料からなる熱電変換素子(熱電変換部材)を組み合わせることで、材料の選択肢が広がり、性能を揃えて安定した熱電変換モジュールを構成できる。また、同じ極性を持つ熱電変換セルを並列に組み合わせることで、熱電変換モジュールの内部抵抗を制御可能であり、出力先の負荷抵抗に適応した熱電変換モジュールの設計を任意に行うことができる。
上記実施形態の熱電変換セル101A,101B,102,103A,103B,104A〜104C,105では、1個(単数)の貫通孔11を有する絶縁部材1Aを用いる構成としていたが、図9及び図10に示す第5実施形態の熱電変換セル106のように、複数の貫通孔11を有する絶縁部材1Cを用いる構成としてもよい。絶縁部材1Cには、図9及び図10に示すように、2つの貫通孔11が並列に配置されており、それぞれの貫通孔11の内部に、P型熱電変換素子31を有する熱電変換部材3Aと、N型熱電変換素子32を有する熱電変換部材3Bとが収容されている。
この場合も、各貫通孔11の両開口部に取り付けられた一組の電極部材2A,2Aにより、貫通孔11の内部に収容された熱電変換部材3A又は熱電変換部材3Bを挟持することで、各電極部材2Aと熱電変換部材3A,3Bとを電気的に接続できる。また、図9に示すように絶縁部材1Cの一方の側部に配置される電極部材2A,2A同士の間を接続部材4を介して接続することで、各貫通孔11の内部に収容された熱電変換部材3A,3BのP型熱電変換素子31とN型熱電変換素子32とを交互に直列に接続することができ、容易に熱電変換モジュール204を製造できる。
さらに、図11〜図13に示す第6実施形態の熱電変換セル107Aのように、3つ以上の貫通孔11を有する絶縁部材1Dを用いて、熱電変換モジュール205を構成することもできる。絶縁部材1Dには、図12及び図13に示すように、合計16個の貫通孔11がマトリクス状に配置されており、それぞれの貫通孔11の内部に、P型熱電変換素子31を有する熱電変換部材3Aと、N型熱電変換素子32を有する熱電変換部材3Bとのいずれかが収容されている。そして、各貫通孔11の両開口部に電極部材2A,2Aを取り付けることにより、貫通孔11の内部に収容された熱電変換部材3A又は熱電変換部材3Bが一組の電極部材2A,2A間に挟持され、各電極部材2Aと熱電変換部材3A,3Bとが電気的に接続されている。
また、このように構成される熱電変換セル107Aの各貫通孔11に取り付けられた電極部材2A,2A間を、接続部材4を介して接続することで、各貫通孔11の内部に収容された熱電変換部材3A,3BのP型熱電変換素子31とN型熱電変換素子32とを交互に直列に接続でき、容易に熱電変換モジュール205を製造できる。
また、図14に示すように、複数の熱電変換部材3G〜3Jが収容された熱電変換セル107Bを複数積層することで、セグメント構造の熱電変換モジュール206を構成することもできる。この第7実施形態の熱電変換モジュール206においては、2つの熱電変換セル107Bの間が、各貫通孔11に取り付けられる電極部材2Bを介して接続され、各貫通孔11に取り付けられた電極部材2A,2A間が接続部材4を介して接続されることで、P型熱電変換素子35A及びP型熱電変換素子35BとN型熱電変換素子36A及びN型熱電変換素子36Bとが交互に直列に接続される。
また、この熱電変換モジュール206の各貫通孔11内に収容されるそれぞれの熱電変換部材3G〜3Jには、図8に示す熱電変換セル105の熱電変換部材3Fのように、P型熱電変換素子又はN型熱電変換素子からなる複数の熱電変換素子を直接又は導電性部材を介して貫通孔11の貫通方向に積層された構成のものを用いることもできる。また、熱電変換モジュール206と同様の構成の熱電変換モジュールを、図8に示す熱電変換セル105と同様のP型熱電変換素子からなる熱電変換部材を有する第1熱電変換セルと、N型熱電変換素子からなる熱電変換部材を有する第2熱電変換セルとを並列に並べて配置するとともに、貫通孔の貫通方向に積層して配置することにより構成することもできる。
また、第1実施形態の熱電変換モジュール201等では、各貫通孔11に取り付けられた電極部材2A,2A間を接続部材4を介して接続していたが、図15に示す第8実施形態の熱電変換モジュール207のように、2個の電極部22,22を有する連結型電極部材2Cを用いて、P型熱電変換素子31を備える第1熱電変換セル108AとN型熱電変換素子32を備える第2熱電変換セル108Bとを並列に配置し、各熱電変換部材3A,3Bを電気的に接続することもできる。
この場合、連結型電極部材2Cの2個の電極部22,22は、頭部23を介して一体に形成されているので、各電極部22の雄ねじ部22aに、それぞれ個別の絶縁部材1Aを取り付けることができる。すなわち、絶縁部材1Aの一方の雌ねじ部12aを各電極部22の雄ねじ部22aに螺合させて連結させた後、絶縁部材1Aの他方の雌ねじ部12aに、1個の電極部22を有する電極部材2Aの雄ねじ部22aを連結させる。これにより、熱電変換部材3AのP型熱電変換素子31と熱電変換部材3BのN型熱電変換素子32とを交互に直列に接続できる。
また、上記第1〜第8実施形態では、絶縁部材の両端部に設けられた雌ねじ部12a(絶縁側ねじ部)のねじ方向を同一の方向(正方向)としていたが、図16に示す第9実施形態の熱電変換モジュール208のように、絶縁部材1Eの一方の雌ねじ部12aを正ねじ(右ねじ)とし、他方の雌ねじ部12bを逆ねじ(左ねじ)とすることで、一方と他方の雌ねじ部12a,12bの締め込み方向(回転方向)を揃えることができる。この場合、絶縁部材1Eの一方の端部に連結される電極部材2A,2Cには、一方の雌ねじ部12aに対応するように、電極部22に正ねじの雄ねじ部22aが形成されたものを用いる。また、絶縁部材1Eの他方の端部に連結される電極部材2Dには、他方の雌ねじ部12bに対応するように、電極部22に逆ねじの雄ねじ部22bが形成されたものを用いる。
このように構成することで、絶縁部材1Eを一方向に回転させるだけで、絶縁部材1Eの両端側に配設される一方の雌ねじ部12aとこの雌ねじ部12aに対応する電極部材2A,2Cの雄ねじ部22a、他方の雌ねじ部12bとこの雌ねじ部12bに対応する電極部材2Dの雄ねじ部22bを、一度に締め込むこと又は緩めることができる。これにより、絶縁部材1Eとこの絶縁部材1Eの両端部に連結される一組の電極部材2A,2D又は2C,2Dとの着脱を一度に行える。したがって、P型熱電変換素子31を備える第1熱電変換セル109AとN型熱電変換素子32を備える第2熱電変換セル109Bとを複数組み合わせるとともに、それぞれのP型熱電変換素子31とN型熱電変換素子32とを交互に直列に接続でき、大型の熱電変換モジュール208を容易に製造できる。
さらに、図17に示す第10実施形態のように、電極部材2E〜2Gにセラミックス板41と熱伝達金属層42とを有する構成のものを用いて、熱電変換モジュール209を構成することもできる。
セラミックス板41は、一般的なセラミックス、例えばアルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si)や、グラファイト板上に成膜したダイヤモンド薄膜基板等の熱伝導性の高い絶縁性を有する部材を用いることができる。また、熱伝達金属層42には、アルミニウムや銅等の弾性変形、塑性変形しやすく、熱伝導性に優れる部材を用いることができる。
このように、電極部22(頭部21,23)の外側にセラミックス板41を設けておくことで、熱電変換モジュール209を、表面が導電性の材料で覆われた熱源等に設置した場合、電極部22と熱源等との間にセラミックス板41が介在し、熱源等と電極部22とが接触することを防止できる。したがって、熱源等と電極部22との電気的な接続(リーク)を確実に回避でき、絶縁状態を良好に維持できる。また、電極部材2E〜2Gに熱伝達金属層42を設けておくことで、熱電変換モジュール209を熱源等に設置したときに、熱伝達金属層42と熱源等とを接触させることができ、熱電変換モジュール209と熱源等との密着性を高めて熱伝達性を向上できる。したがって、熱電変換モジュール209の熱電変換性能(発電効率)を向上できる。
また、上記の第1〜第10実施形態においては、絶縁側ねじ部を雌ねじ部12a,12bで構成し、電極側ねじ部を雄ねじ部22a,22bで構成したが、絶縁側ねじ部を雄ねじ部で構成し、電極側ねじ部を雌ねじ部で構成することもできる。以下、絶縁側ねじ部を雄ねじ部で構成し、電極側ねじ部を雌ねじ部で構成した例について、説明する。
図18〜図20は、第11実施形態の第1熱電変換セル(熱電変換セル)301を示している。この第1熱電変換セル301は、貫通孔71を有する絶縁部材7Aと、貫通孔71に収容された熱電変換部材3Aと、絶縁部材7Aの各端部にそれぞれ連結された電極部材8A,8Aとを備える。なお、各部品を構成する部材(材料)には、上記の実施形態と同様のものが用いられることから、説明を省略する。
絶縁部材7Aは、内側に1個の貫通孔71が形成されることにより円筒状に形成され、その外側に雄ねじ部72aが設けられ、絶縁部材7Aの各端部を含む外周面全体に雄ねじ部72aが形成されている。なお、雄ねじ部72aは正ねじ(右ねじ)とされ、この雄ねじ部72aにより本発明における絶縁側ねじ部が構成される。
電極部材8Aは、天面部と円筒部とを有するキャップ状に形成されている。このうち、天面部が電極部81とされ、円筒部の内面に雄ねじ部72aに対応する正ねじの雌ねじ部82aが形成されている。この雌ねじ部82aが本発明の電極側ねじ部とされる。そして、絶縁部材7Aと各電極部材8Aとは、雄ねじ部72aと雌ねじ部82aとの螺合により、着脱可能に設けられている。
また、図19に示すように、絶縁部材7Aの長さ(高さ)h22は、熱電変換部材3Aの長さh1よりも小さく形成されている。このため、熱電変換部材3Aを貫通孔71に挿通させて貫通孔71内に収容させると、熱電変換部材3Aの端部を貫通孔71から突出させた状態で配設できる。したがって、一組の電極部材8A,8Aをそれぞれ絶縁部材7Aの両端部に連結すると、熱電変換部材3Aの端部に電極部81を確実に当接できる。そして、各電極部材8A,8Aの電極部81,81同士の間に熱電変換部材3Aを挟持させることで、各電極部材8A,8Aと熱電変換部材3Aとを電気的に接続できる。
このように、絶縁部材7Aの絶縁側ねじ部を雄ねじ部72aとし、電極部材8Aの電極側ねじ部を雌ねじ部82aとした場合にも、これら雄ねじ部72aと雌ねじ部82aとを締めたり緩めたりすることで、第1熱電変換セル301の組み立てや分解を容易に行うことができる。
図21及び図22は、第12実施形態の熱電変換モジュール401を示している。この熱電変換モジュール401は、P型熱電変換素子31(熱電変換部材3A)を備える第1熱電変換セル302AとN型熱電変換素子32(熱電変換部材3B)と備える第2熱電変換セル302Bとを貫通孔71の貫通方向に交互に積層することにより、P型熱電変換素子31とN型熱電変換素子32とを直列に接続した構成とされる。
この熱電変換モジュール401では、第1熱電変換セル302Aと第2熱電変換セル302Bとが、それぞれの絶縁部材7Aの端部に取り付けられる連結型電極部材8Bを介して接続される。各連結型電極部材8Bには、図22に示すように、上側と下側とにそれぞれ電極部81,81が形成されており、第1熱電変換セル302Aの電極部材と第2熱電変換セル302Bの電極部材とを一体に形成した構成とされる。また、連結型電極部材8Bには、両側(上側及び下側)に雄ねじ部72aに対応する雌ねじ部82aが形成されており、各雌ねじ部82aに絶縁部材7Aの雄ねじ部72aを螺合させることにより、連結型電極部材8Bの両側にそれぞれ絶縁部材7Aを連結でき、一組の連結型電極部材8B,8Bの電極部81,81同士の間に熱電変換部材3A又は3Bを挟持できる。そして、図23に示すように、絶縁部材7Aと連結型電極部材8Bとを連結することで、連結型電極部材8Bと熱電変換部材3A又は3Bとを交互に積層して第1熱電変換セル302Aと第2熱電変換セル302Bとを接続でき、P型熱電変換素子31とN型熱電変換素子32とが交互に直列に接続された熱電変換モジュール401を構成できる。
また、連結型電極部材8Bには、高温側フィン又は低温側フィンとして使用されるフィン83が一体に形成されている。そして、熱電変換モジュール401では、図21及び図22に示すように、各電極部材8Bがフィン83の延出方向を交互に逆向きにして配設されている。これにより、熱電変換モジュール401では、図22の左側を高温部側とし、図22の右側を低温部側とすると、図22の下側から上側に向かって電流が流れ、発電できるようになっている。この場合、図22の左側に延出されたフィン83が高温側フィンとされ、図22の右側に延出されたフィン83が低温側フィンとされる。
図23〜図25は、第13実施形態の熱電変換モジュール402を示している。この熱電変換モジュール402は、図24に示すように、P型熱電変換素子31(熱電変換部材3A)を備える第1熱電変換セル303AとN型熱電変換素子32(熱電変換部材3B)を備える第2熱電変換セル303Bとを並列に配置し、P型熱電変換素子31とN型熱電変換素子32とを連結型電極部材8Cを介して接続した構成とされる。
この熱電変換モジュール402を構成する絶縁部材7Bは、内側に1個の貫通孔71が形成されることにより円筒状に形成されている。また、絶縁部材7Bの外側には、貫通孔71の貫通方向の各端部に、正ねじの雄ねじ部72aと逆ねじの雄ねじ部72bとがそれぞれ形成され、これら雄ねじ部72a,72bの間に、六角柱状の角柱部73が形成されている。なお、これらの雄ねじ部72a,72bにより、本発明における絶縁側ねじ部が構成される。
また、連結型電極部材8Cは、平板状に形成されており、正ねじの雄ねじ部72aに対応する正ねじの雌ねじ部82aと、逆ねじの雄ねじ部72bに対応する逆ねじの雌ねじ部82bとが、1個ずつ形成されている。したがって、1個の連結型電極部材8Cに2個の絶縁部材7Bが連結可能とされる。なお、これら雌ねじ部82a,82bが、本発明における電極側ねじ部とされる。また、連結型電極部材8Cには、2個の電極部81が形成されており、各電極部81は、各雌ねじ部82a,82bに絶縁部材7Bを連結させたときに、貫通孔71の開口端部と対向する位置、すなわち、各雌ねじ部82a,82bの奥側に設けられている。
また、図25に示すように、絶縁部材7Bの貫通方向の長さ(高さ)h23は、熱電変換部材3A,3Bの長さh1よりも小さく形成されている。このため、熱電変換部材3A又は3Bを貫通孔71内に挿通させて、貫通孔71内に収容させると、熱電変換部材3A,3Bの端部を、貫通孔71から突出させて配設できる。一組の連結型電極部材8C,8Cの間に絶縁部材7Bの両端部を連結すると、熱電変換部材3A,3Bの端部に電極部81を確実に当接できる。したがって、各連結型電極部材8C,8Cの電極部81,81同士の間に熱電変換部材3Aを挟持でき、各連結型電極部材8C,8Cと熱電変換部材3A,3Bとを電気的に接続できる。
熱電変換モジュール402では、絶縁部材7Bは、両端部の雄ねじ部72a,72bの一方を正ねじとし、他方を逆ねじとして、これら一方と他方の雄ねじ部72a,72bの締め込み方向を揃えているので、絶縁部材7Bを一方向に回転させることにより、一方の雄ねじ部72aとこの雄ねじ部72aに対応する連結型電極部材8Cの雌ねじ部82a、他方の雄ねじ部72bとこの雄ねじ部72bに対応する連結型電極部材8Cの雌ねじ部82bを、一度に締め込むこと又は緩めることができる。このため、絶縁部材7Bとこの絶縁部材7Bの両端部に連結される一組の連結型電極部材8C,8Cとの着脱を一度に行える。また、絶縁部材7Bは、雄ねじ部72aと雄ねじ部72bとの間に形成された角柱部73をスパナ等で把持することにより容易に回転でき、熱電変換部材3A,3BのP型熱電変換素子31とN型熱電変換素子32とが直列に接続された熱電変換モジュール402を容易に製造できる。
さらに、図26に示す第14実施形態のように、3個以上の絶縁部材7Bを用いて、熱電変換モジュール403を構成することもでき、複数の絶縁部材7Bと連結型電極部材8Cとを組み合わせることにより、熱電変換部材3AのP型熱電変換素子31と熱電変換部材3BのN型熱電変換素子32とを交互に直列に接続でき、容易に大型の熱電変換モジュール403を製造できる。
また、図27に示す第15実施形態のように、連結型電極部材8Dに、セラミックス板41と熱伝達金属層42とを有する構成のものを用いて、熱電変換モジュール404を構成することもできる。このように、電極部81の外側にセラミックス板41を設けておくことで、熱源等と電極部81との電気的なリークを確実に回避でき、絶縁状態を良好に維持できる。また、連結型電極部材8Dに熱伝達金属層42を設けておくことで、熱伝達金属層42と熱源等とを接触させることができ、熱電変換モジュール404と熱源等との密着性を高めて熱伝達性を向上できる。
上記実施形態において説明したように、本実施形態の熱電変換セルにおいては、電極部材と熱電変換部材(熱電変換素子)とは、電極部材を絶縁部材に取り付けることにより、貫通孔の両側に配置された電極部同士の間に熱電変換部材が挟持され、電気的に接続される構成とされる。このように、本実施形態の熱電変換セルでは、熱電変換部材と各電極部材とを接合せずに、電極部間に熱電変換部材を挟持することにより電気的に接続することとしているので、異種金属の熱膨張差により各部材の破損を防止できる。また、絶縁部材と電極部材とは雌ねじ部と雄ねじ部の螺合により着脱可能に設けられているので、容易に組み立てや分解を行うことができるとともに、絶縁部材の内部に収容される熱電変換部材に破損が生じたり、設計変更により熱電変換部材の交換が必要になった際にも、熱電変換部材の交換を容易に行え、設計の自由度を向上できる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に逸脱しない範囲において、上記以外の種々の変更を加えることも可能である。
例えば、上記実施形態においては、熱電変換素子として角柱状の素子を用いたが、円柱状の素子を用いることもできる。
1A,1B,1C,1D,1E,7A,7B…絶縁部材
2A,2E,8A…電極部材
2B,2C,2D,2F,2G,8B,8C,8D…連結型電極部材(電極部材)
3A〜3J…熱電変換部材
4…接続部材
5…ナット
6A 高温側フィン
6B 低温側フィン
11…貫通孔
12a,12b…雌ねじ部(絶縁側ねじ部)
52a…雌ねじ部
21,23…頭部
22…電極部
22a,22b…雄ねじ部(電極側ねじ部)
31,34A〜34C,35A,35B…P型熱電変換素子
32,36A,36B…N型熱電変換素子
33…メタライズ層
41…セラミックス板
42…熱伝達金属層
71…貫通孔
72a,72b…雄ねじ部(絶縁側ねじ部)
73…角柱部
81…電極部
82a,82b…雌ねじ部(電極側ねじ部)
83…フィン
101A,101B,102,103A,103B,104A〜104C,105,106,107A,107B,108A,108B,109A,109B,301,302A,302B,303A,303B…熱電変換セル
201〜209,401〜404…熱電変換モジュール

Claims (10)

  1. 少なくとも1個の貫通孔を有し、該貫通孔の貫通方向の両端部のそれぞれに絶縁側ねじ部を有する絶縁部材と、
    少なくとも1個の熱電変換素子を有し、前記貫通孔内に収容された熱電変換部材と、
    前記絶縁部材の各端部にそれぞれ連結され、前記絶縁側ねじ部に対応する電極側ねじ部及び前記貫通孔内の前記熱電変換部材の端部に電気的に接続された電極部を有する電極部材と、
    を備えることを特徴とする熱電変換セル。
  2. 前記少なくとも1個の貫通孔は1個であり、
    前記絶縁部材の両端部に設けられた前記絶縁側ねじ部のうち、一方が正ねじからなり、他方が逆ねじからなることを特徴とする請求項1に記載の熱電変換セル。
  3. 前記絶縁側ねじ部が雄ねじ部であり、
    前記電極側ねじ部が雌ねじ部であり、
    前記貫通孔の貫通方向において、前記熱電変換部材が前記絶縁部材よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱電変換セル。
  4. 前記絶縁側ねじ部が雌ねじ部であり、
    前記電極側ねじ部が雄ねじ部であり、
    前記貫通孔の貫通方向において、前記熱電変換部材が前記絶縁部材よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱電変換セル。
  5. 前記熱電変換部材は、P型熱電変換素子又はN型熱電変換素子からなる複数の前記熱電変換素子を直接又は導電性部材を介して前記貫通孔の貫通方向に積層された構成とされることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の熱電変換セル。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の前記熱電変換セルを複数有し、
    前記熱電変換セルは、前記熱電変換素子がP型熱電変換素子からなる第1熱電変換セルと、前記熱電変換素子がN型熱電変換素子からなる第2熱電変換セルとを有しており、
    前記第1熱電変換セルと前記第2熱電変換セルとが交互に直列に接続されていることを特徴とする熱電変換モジュール。
  7. 前記第1熱電変換セルと前記第2熱電変換セルとは、導電性を有する接続部材により接続されていることを特徴とする請求項6に記載の熱電変換モジュール。
  8. 前記第1熱電変換セルの前記電極部材と前記第2熱電変換セルの前記電極部材とが一体に形成された連結型電極部材を有し、
    前記連結型電極部材により前記第1熱電変換セルと前記第2変換セルとが接続されていることを特徴とする請求項6に記載の熱電変換モジュール。
  9. 前記第1熱電変換セルと前記第2熱電変換セルとが前記貫通方向に交互に積層されてなり、
    前記熱電変換セルの一方の端部に連結される前記電極部材に高温側フィンが接続され、該熱電変換セルの他方の端部に連結される前記電極部材に低温側フィンが接続されていることを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の熱電変換モジュール。
  10. 前記高温側フィンと前記低温側フィンは、前記電極部材に一体に形成されていることを特徴とする請求項9に記載の熱電変換モジュール。
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