JP2017152289A - 放電ランプ - Google Patents

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Abstract

【課題】気密容器の失透や変形が過昇温によることを検知できる放電ランプを提供する。【解決手段】実施形態によれば、ロングアーク型放電ランプは、内部が気密に封止され、両端に一対の電極が対向して係止された気密容器と、気密容器の内部に封入される金属ハロゲン化物と、金属ハロゲン化物よりも融点が高く、前記融点が1450(℃)以上1500(℃)以下である金属化合物と、を有し、紫外線を放出する。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、放電ランプに関する。
例えば、液晶パネル製造分野や印刷分野において、被照射物に紫外線を照射して露光、硬化、乾燥などの用途に用いられる光源としての放電ランプが開示されている。
特開2009−259790号公報
放電ランプは、外壁温度が900(℃)以上となる条件で点灯を行った場合、気密容器の失透や変形が発生する可能性が高くなる。特に、放電ランプを組み込んで点灯させる照射装置の内部において、例えば、照射装置に設けられた冷却機構の異常や放電ランプに投入される電力が高すぎるなどの異常な使用条件で点灯された場合、気密容器の失透や変形が発生する可能性が高くなる。そのため、放電ランプの外表面の外壁温度は650〜850(℃)程度の範囲になることが望まれる。
一方、気密容器の失透や変形は過昇温以外でも発生する可能性がある。例えば、気密容器の失透は、放電ランプに封入された封入物により発生する可能性がある。また、気密容器の変形は、点灯中に生じる熱により発生する可能性がある。
本発明の実施形態は、気密容器の失透や変形が過昇温によることを検知できる放電ランプを提供する。
本発明の実施形態によれば、内部が気密に封止され、両端に一対の電極が対向して係止された気密容器と、気密容器の内部に封入される金属ハロゲン化物と、金属ハロゲン化物よりも融点が高く、前記融点が1450(℃)以上1500(℃)以下である金属化合物と、を有し、紫外線を放出する。
本発明の実施形態によれば、気密容器の失透や変形が過昇温によることを検知できる放電ランプを提供することができる。
図1は、第1の実施形態に係る放電ランプを例示する模式図である。 図2は、第1の実施形態に係る放電ランプ1の気密容器10の外壁温度別の点灯時間と照度維持率の関係を示す図である。 図3は、第1の実施形態に係る放電ランプ1において、冷却風Wの利用率(%)と気密容器10の外壁温度Touter、気密容器10の内壁温度Tinnerの関係を示す図である。 図4は、第1の実施形態に係る放電ランプ1において、冷却風Wの利用率(%)と気密容器10の外壁温度Touter、金属化合物18の関係を示す図である。
以下で説明する実施形態に係る放電ランプ1は、内部が気密に封止され、両端に一対の電極20、20が対向して係止された気密容器10と、気密容器10の内部に封入される金属ハロゲン化物16と、金属ハロゲン化物16よりも融点が高く、前記融点が1450(℃)以上1500(℃)以下である金属化合物18と、を有し、紫外線を放出するロングアーク型である。
本実施形態によれば、気密容器10の失透や変形が検知できる。
また、以下で説明する実施形態に係る放電ランプ1において、金属化合物18は、酸化タングステンを含む。
本実施形態によれば、気密容器10内で化学反応を起こさず、安定して存在することができ、気密容器10の失透や変形が検知できる。
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る放電ランプ1について、図1を用いて説明する。図1は、放電ランプ1を例示している。
図1に示したように、本実施形態に係る放電ランプ1は、気密容器10と、一対の放電電極20,20とを有する。
本実施形態では、放電ランプ1として、メタルハライドランプを用いたロングアーク型の放電ランプの実施形態を例示している。
気密容器10は、直管状に形成され、内部に放電空間12を有する。また、気密容器10の両端には封止部14,14が形成されることで、放電空間12を気密に保つ。気密容器10は、紫外線を透過する材料で構成されており、例えば石英ガラスで構成される。気密容器は、外径が23mm、発光長(放電電極20−20間の距離)が375mmである。
放電空間12は、一対の放電電極20,20より電力が印加されることで、放電空間12に封入された水銀、金属ハロゲン化物16や希ガス(図示しない)が発光する。放電空間12は、例えば内径が20mm、発光長が375mmで構成される。
水銀は、放電空間12に封入され、放電ランプ1の外部より電力が印加されることで、例えば254nm、365nmの紫外線を放出する。水銀の封入量は、例えば1〜5mg/cmである。
希ガスは、放電ランプ1の始動時に放電を促進させ、放電開始後に放電維持に寄与する。希ガスの封入圧力は、例えば、0.6(kPa)〜7.0(kPa)である。また、希ガスは、キセノン、アルゴン、ネオンのいずれか一種、または二種以上の混合ガスでよい。
封止部14,14は、放電空間12の両端に形成される。封止部14,14は、気密容器10と同じ石英ガラスで構成される。封止部14,14は、電極20,20を所望の位置に設けた後に、減圧下で図示しないガスバーナーなどの溶融手段により溶融して封止する、いわゆるシュリンクシールにより形成される。なお、封止部14,14には、気密容器10と異なる石英ガラスなどで構成されても良い。また、封止部14,14は、図示しないピンチャーなどの成形手段による、いわゆるピンチシールにより形成されてもよい。封止部14,14の長さは、例えば、30mmである。
金属ハロゲン化物16は、気密容器10の内部に封入される。金属ハロゲン化物16は、主として、放電ランプ1に電力が供給されたときに発光や放電の維持に寄与する。金属ハロゲン化物16は、放電ランプ1に電力が供給されていないときは気密容器10内に大部分が固体や液体として存在する。一方、金属ハロゲン化物16は、放電ランプ1に電力が供給されたとき、気密容器10の内部で溶融して一部が気体として存在する。金属ハロゲン化物16は、主に水銀や鉄、ヨウ化タリウムを含む。なお、金属ハロゲン化物16は、水銀を含まない、いわゆる水銀フリーであってもよい。
金属化合物18は、金属ハロゲン化物16と異なり、放電ランプ1に電力が供給されても発光や放電の維持に寄与しない。すなわち、金属化合物18は、放電ランプ1に電力が供給されても溶融せず、放電ランプ1が過昇温になったときに溶融する。つまり、金属化合物18は、融点により金属ハロゲン化物16と明確に区別される。金属化合物18は、例えば、融点が1450(℃)以上1500(℃)以下であればよい。金属化合物18の融点が1450(℃)未満であると、溶融した金属化合物18の一部が放電ランプ1の放電中にアークと接触し、発光に寄与してしまい、発光特性などが変化するため、好ましくない。一方、金属化合物18の融点が1500(℃)を超えると、気密容器10が変形しても金属化合物18が溶融しないため、気密容器10の変形を検知できず、好ましくない。よって、金属化合物18の融点は、融点が1450(℃)以上1500(℃)以下であればよい。金属化合物18は、融点が1450(℃)以上1500(℃)以下であり、かつ安定的に気密容器10に封入できる物質であることが望ましい。金属化合物18は、例えば、酸化タングステンを含むことが望まれる。金属化合物18として酸化タングステンを含むことで、安定的に気密容器10に封入することができ、気密容器10の失透や変形が過昇温であることをより正確に検知できる。
一対の放電電極20,20は、放電ランプ1の外部より印加された電力を放電空間12に導入し、放電空間12にてアーク放電を生起する。一対の放電電極20,20は、一部が封止部14,14に埋設して設けられ、放電空間12の両端部に対向して設けられる。一対の放電電極20,20は、軸材22,22、コイル24,24、箔26,26、アウターリード28,28を有する。
軸材22,22は、放電空間12に電力を印加する。軸材22,22は、一端が放電空間12に突出して構成されていて、他端が封止部14,14に埋設される。また、軸材22の放電空間12側に突出した一端にはコイル24が設けられる。また、軸材22,22は、他端で箔26,26と溶接により接続される。軸材22,22は、例えばタングステンにより構成される。
コイル24,24は、軸材22,22の一端側に設けられ、放電中の軸材22,22の先端から温度を放射することで、軸材22,22の温度上昇を抑制する。コイル24,24は、一端が軸材22,22の一端側、すなわち、放電空間12側に設けられ、他端が軸材22,22の他端側に設けられる。コイル24,24は、例えばタングステンにより構成される。
箔26,26は、封止部14、14に埋設され、封止されることにより、気密容器10を気密に保つ。箔26,26は、一端が軸材22,22の他端と溶接され、他端がアウターリード28,28の一端と溶接され、封止部14,14に埋設して設けられる。箔26,26は、例えばモリブデンにより構成される。
アウターリード28,28は、一部が封止部14,14に埋設され、気密容器10の内部とリード線40とを電気的に接続する。アウターリード28,28は、一端が箔26,26と溶接され、他端がリード線40,40と接続される。アウターリード28、28は、例えば、モリブデンにより構成される。
ベース30,30は気密容器10の封止部14,14、アウターリード28,28およびリード線40,40の外周に設けられ、アウターリード28,28およびリード線40,40の接続箇所が露出することを防ぐ。ベース30,30は、例えば、セラミックスで構成される。また、ベース30,30内には、気密容器10との嵌合をより強固とするため、例えばセメントで封止部14,14と固着されてもよい。
リード線40,40は、気密容器10の内部に、図示しない電源回路と電気的に接続する。リード線40,40は、一端がアウターリード28,28の他端と接続され、他端が電源回路などと接続される。リード線40,40は、例えば軟銅線により構成される。なお、リード線40,40の他端には、電源回路との接続を容易にするため、端子50,50が設けられてもよい。
このようにして設けられた放電ランプ1は、放電ランプ1に電力が供給されて点灯しているとき、図示しない送風機等により送られた冷却風Wにより冷却される。
ここで、気密容器10について、更に詳しく説明する。
気密容器10の外壁温度は、850(℃)以下であることが望ましい。これは、気密容器10の外壁温度が900(℃)以上となる条件で点灯を行った場合、気密容器10の失透や変形が発生する可能性が高くなる。特に、放電ランプ1を組み込んで点灯させる照射装置の内部において、例えば、照射装置に設けられた冷却機構の異常や放電ランプ1に投入される電力が高すぎるなどの異常な使用条件で点灯された場合、気密容器10の失透や変形が発生する可能性が高くなる。そのため、放電ランプ1の外表面の外壁温度は650〜850(℃)程度の範囲になることが望まれる。
このため、気密容器10の外壁温度が850(℃)以下であるという条件を満たすと、気密容器10の失透や変形などを抑制することができる。一方、気密容器10の外壁温度が900(℃)以上となると、気密容器10の失透や変形などが発生する。
しかしながら、気密容器10の失透や変形は過昇温以外でも発生する可能性がある。例えば、気密容器10の失透は、放電ランプ1に封入された封入物により発生する可能性がある。また、気密容器10の変形は、点灯中に生じる熱により発生する可能性がある。
そこで、気密容器10の失透や変形が、過昇温によることを検知することを目的として、放電ランプ1は、金属化合物18を有する。放電ランプ1が金属化合物18を有することで、気密容器10の失透や変形が過昇温によることを検知することができる。
ここで、放電ランプ1において、気密容器10の外壁温度を変えて照度維持率の検討を行った。評価条件は以下のとおりである。なお、照度維持率は、点灯0時間において、主たる波長365nmの照度値(オーク製作所社製照度計UV−35)を100%として任意の時間の照度を規格化した。また、照度維持率の基準として、点灯時間2000時間後に80%以上であることが望まれる。
放電ランプ1(共通):内径=22mm、放電空間の長さ=1140mm、放電ランプ1の全体長さ=1260mm、ランプ電圧=1800V、ランプ電流=8.3A、ランプ電力=16.5kW。
気密容器10の外壁温度=750(℃)、850(℃)、900(℃)、1000(℃)。なお、放電ランプ1の気密容器10の外壁温度は、熱電対を用いて測定を行った。
結果を図2に示す。図2から明らかであるとおり、気密容器10の外壁温度が850(℃)以下の条件を満たすと、点灯時間が2000時間でも照度維持率が85%以上を確保することができた。一方、気密容器10の外壁温度が900(℃)以上となると、点灯時間が2000時間で照度維持率が75%以下となった。特に、気密容器10の外壁温度が1000(℃)となると、点灯時間1000時間で照度維持率が70%以下となった。このため、気密容器10の外壁温度が1000(℃)については、点灯時間1000時間で評価を打ち切った。以上のことから、放電ランプ1は、気密容器10の外壁温度が850(℃)以下になるような条件で点灯することが望ましいことがわかる。
次に、同一条件で、冷却能力を変化させた場合の放電ランプ1の気密容器10の外壁温度および気密容器10の内壁温度の推定値を算出した。なお、気密容器10の内壁温度Tinnerについては、温度測定が困難であるため、次式で内壁温度Tinnerを算出した。
Figure 2017152289
ここで、Touterは気密容器10の外壁温度、γは熱伝導の形で放出されるエネルギーの比(無次元量)、Wsは管壁負荷(W/cm)、λは石英の熱伝導率(W/℃・m)、tは石英の厚さ(mm)である。
また、冷却風Wの送風条件としては、冷却風Wの流量が6(m/min)である状態を定格である100%として、冷却風Wの利用率を表す。
実測の気密容器10の外壁温度Touterから算出した内壁温度Tinnerの結果を図3に示す。外表面の外壁温度が901(℃)のとき、内表面温度は1460(℃)に達すると推測され、酸化タングステンの融点1473(℃)とほぼ等しい事が分った。
以上の予備試験の結果を踏まえて、冷却風Wの利用率(%)と気密容器10の外壁温度(℃)、および金属化合物18の溶融有無について評価を行った。具体的には、上記実験条件で、冷却風Wの利用率を変化させ、気密容器10の外壁温度を徐々に上昇させた。
実験結果を図4に示す。なお、図4において、金属化合物18が溶融しなかったときを“○”、金属化合物18が溶融したときを“×”で表す。図4から明らかであるとおり、冷却風Wの利用率を67(%)まで低下させると、気密容器10の外壁温度が901(℃)になる。このとき、図3の推算結果では1460(℃)となり、酸化タングステンの融点より13(℃)だけ低い為、溶融しないと予測されたが、実際の内壁温度は算出値よりやや高く、溶融に至ったと考える。結果より、算出値と実際の現象の間には相関が見られ、気密容器10の内壁温度が1400(℃)以下の条件、すなわち、気密容器10の外壁温度が850(℃)以下の条件では酸化タングステンは溶融しなかった。また、気密容器10の内壁温度が酸化タングステンの融点と同等の1460(℃)に達した時点で同物質が溶融したと考えられる。
以上の実施形態に基づいて説明したように、本発明によれば、異常な使用環境で点灯された場合、特に気密容器10の外表面温度が900(℃)以上になる様な条件で点灯された場合であっても、気密容器の失透や変形が過昇温によることを検知できる。
また、本発明によれば、金属化合物18として、融点が1450(℃)以上1500(℃)以下であることで、気密容器10の外表面温度が900(℃)以上になる様な条件で点灯された場合であっても、金属化合物18が発光に寄与すること無く、より正確に気密容器10の失透や変形が過昇温によることを検知できる。
また、金属化合物18として酸化タングステンを用いることで、気密容器10に封入しても化学反応を起こさず安定して存在することができ、気密容器10の失透や変形が過昇温であることをより正確に検知できる。
上記実施形態では、単位長さ当たりの入力密度が145W/cmのロングアークランプを用いたが、より高負荷のランプ、例えば単位長さ当たりの入力密度が160〜280W/cmのランプであれば、より冷却条件を適正にコントロールし、温度を低減する必要がある為、本発明が有用である。逆に単位長さ当たりの入力密度が120W/cm以下の負荷の小さいランプであっても、冷却設備の故障などにより無冷却もしくは冷却能力が低い状態で点灯された場合を考慮すれば、十分に有用と言える。
また上記実施形態で、放電ランプ1は、いわゆるメタルハライドランプの構成であったが、金属ハロゲン化物16を有しない、即ち、水銀と希ガス、金属化合物18のみを封入した、いわゆる高圧水銀ランプであってもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…放電ランプ、
10…気密容器、
12…放電空間、
14…封止部、
16…金属ハロゲン化物、
18…金属化合物、
20…電極、
22…軸材、
24…コイル、
26…箔、
28…アウターリード
30…ベース、
40…リード線、
50…端子。

Claims (2)

  1. 内部が気密に封止され、両端に一対の電極が対向して係止された気密容器と;
    前記気密容器の内部に封入される金属ハロゲン化物と;
    前記金属ハロゲン化物よりも融点が高く、前記融点が1450(℃)以上1500(℃)以下である金属化合物と;
    を有し、紫外線を放出するロングアーク型放電ランプ。
  2. 前記金属化合物は、酸化タングステンを含む請求項1記載のロングアーク型放電ランプ。
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